予算特別委員会速記録第六号

   午後二時五十五分開議
○福島副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 成清梨沙子委員の発言を許します。

○成清委員 初めに、ウクライナ危機への対応について質問します。
 ロシアによるウクライナ侵攻は、断じて許されるものではありません。都としても、国と連携しながら、様々な観点から支援の道を探っていくべきです。他方で、侵攻、影響の長期化に伴い、都民生活、都内経済に対しても物価の上昇をはじめ、様々な面で影響が生じる可能性があります。
 そこで、ウクライナ危機に対し、本補正予算により、都民生活、都内経済を下支えするとともに、都として可能な人道支援を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ロシアによるウクライナへの
○福島副委員長 時計を止めてください。速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○福島副委員長 速記を始めてください。

○小池知事 議員の皆様方におかれましても、ご協力よろしくお願いいたします。
 さて、ご質問に対してでございますが、ロシアによりますウクライナへの軍事侵攻に伴って、原油や穀物の価格高騰が都民の暮らし、そして都内経済に影響を与えております。
 緊迫した情勢の先行きが不透明な中で、都民や事業者を守るために、先手先手の対策として、今回、補正予算を編成いたしました。
 具体的には、経営環境の悪化に直面する事業者を下支えするため、資金繰り支援の拡充、燃料、穀物価格の高騰に伴う負担の軽減など、様々な対策を実施してまいります。
 また、雇用状況の悪化に備えまして、再就職支援の取組を強化するほか、生活に困窮する方々への食、そして宿泊場所の提供など、都民生活を支えるセーフティーネットの充実を図ってまいります。
 加えまして、原油価格の高騰を脱炭素化の契機と捉えまして、省エネ、再エネを後押しする取組も拡充してまいります。
 これらの本補正予算に盛り込んだ施策によりまして、都民生活、都内経済を確実に下支えするとともに、ウクライナ大使館とも緊密に連携をしながら、避難民の方々への相談支援、都営住宅への入居など、必要となる支援を全庁を挙げまして迅速に進めてまいります。

○成清委員 ウクライナ危機の混乱は世界中に波及しています。都内事業者においても、原材料調達の不安定化や仕入価格の上昇といった困難に直面するなど、様々な影響を受けており、その長期化が懸念されます。
 新型コロナの影響の長期化により事業環境、雇用情勢が十分に回復していないところに今回のウクライナ危機が重なり、さらに厳しい雇用情勢となることも懸念されます。
 今後も影響の長期化が予測される中にあっては、事業活動に影響を受ける中小企業の効率的かつ安定的な経営に向けた支援や、働く人々の雇用状況の悪化に備えた対応など、必要な対策をしっかりと講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 これまでの感染症の影響に今回のウクライナの情勢が加わって、都内の事業者やそこで働く方々は、先の見えない不安に直面しておられます。中小企業への支援と雇用の確保に向けた取組は急務でございます。
 中小企業の経営の命綱であります資金繰りを制度融資を通じましてより手厚く支えていく、そして、原油高の影響を受ける様々な企業につきましては、省エネ対策を通じたコスト削減を一層後押しをしてまいります。
 そして、穀物価格の上昇に直面する食品関連事業者でございますが、小麦以外の材料を活用した商品開発の支援も行ってまいります。
 また、離職、職を離れることを余儀なくされた方々には、リモートによる就職相談を新たに開始をいたします。さらに、採用意欲の高いIT企業などでトライアル就労を経て正社員となる機会を提供するなど、雇用の場の確保を図ってまいります。
 東京の中小企業の事業継続と雇用の安定に向けまして、先手先手の対応を展開してまいります。

○成清委員 我が会派は、予算特別委員会の代表質問、一般質問において、事業者への支援に加えて雇用面からの対策も講じるよう求めたのに対し、知事からは、就職特別相談窓口を開設するなど、必要な施策を先手先手で打ち出し、都民の不安を払拭していくとの答弁がありました。
 今般のウクライナ危機の長期化に伴う雇用情勢の悪化も見据えて、雇用対策の一層の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢の影響などによる雇用環境の悪化を想定し、都は、就職相談や就業の後押しの強化を図ります。
 具体的には、しごとセンターに設置した就職特別相談窓口におきまして、これまでの電話や来所による相談に加えて、新たにオンラインを活用したキャリアカウンセリングを行います。また、就職活動のノウハウを提供するためのセミナーをリモートで開始いたします。
 さらに、求職者に対し、採用意欲の高いITや介護分野等の企業で、最大六か月間の派遣就労の機会を提供し、正社員として就職できるサポートを二百五十名の規模で実施いたします。
 これらの取組によりまして、離職した方の早期の再就職を支援してまいります。

○成清委員 さて、先日の福島県沖を震源とする地震では、都内でも大規模停電が発生するなどの被害がありました。今回の地震によってお亡くなりになられた方々に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 改めて、都として、首都直下地震をはじめ、災害への備えを万全にすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東日本大震災から十一年、この同じ三月に、同じ地域で発生した今回の地震でございますけれども、電力供給や交通ネットワークに大きな影響を与えております。改めて、我が国が自然災害の脅威に常にさらされているということを痛感する次第であります。
 そして、備えよ常にと、常に申し上げてきておりますが、平時から、災害時を想定した万全の対策を講じるとともに、発災時には臨機応変に対応していく必要がございます。
 こうした認識の下で、過去最大級の地震を念頭に、耐震化や不燃化の進捗状況や、人口構造などの社会環境の変化を踏まえました被害想定の策定に取り組んでおります。
 今後、この想定を基にしまして、都や区市町村、関係機関一体となりまして、東京全体の防災力向上に向けてハード、ソフト両面から対策に取り組んでまいります。
 常に準備を怠ることなく、危機管理体制を盤石なものとしまして、都民の命と財産を守り抜いてまいります。

○成清委員 蔓延防止等重点措置が、昨日二十一日で全面解除されました。しかし、新規陽性者の減少ペースは緩やかな状況であり、また、オミクロン株BA・2系統の影響など、感染のリバウンドも懸念されます。都として、引き続き基本的な感染防止対策の徹底やワクチン接種のさらなる加速など、リバウンド防止に向けた取組を着実に進めていかなければなりません。
 第六波の大きな特徴は、子供の感染と子供を介したと思われる家庭内での感染の拡大です。これまで重症化リスクが少ないとされてきた子供の感染事例に対し、自宅療養中の容体変化への対応など、子供への往診体制の強化が必要と考えますが、見解を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 現在の感染状況は、十歳未満の新規陽性者数が高い値で推移をしておりまして、子供への医療支援を強化することが必要でございます。
 都は、広域的に対応可能な医療機関との連携により強化をいたしました往診体制を活用し、子供への往診やオンライン診療を積極的に進めるとともに、在宅医療を実施している医療機関に夜間休日における子供への往診等を改めて要請をいたしまして、実施体制を確保いたしました。
 こうした取組によりまして、例えば保護者と子供が同時に感染した場合でも、曜日や時間帯を問わず、家庭で安心して医療が受けられる環境を整備してまいります。

○成清委員 次に、コロナ病床確保料の適正化について質問します。
 令和三年第三回定例会での我が会派の代表質問で、補助金を受給しているにもかかわらず、コロナ患者を受け入れていない病院が存在することを指摘し、補助金の返還といった取組を求めました。
 そこで、病床確保料の補助に関して、審査結果を含めた取組状況について伺います。また、国立病院機構と地域医療機能推進機構の病院を含め、申請時より病床確保料が減額となった医療機関数について、併せて伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 病床確保料の補助に関しまして、病床使用率が低い医療機関にヒアリングや書面調査を行った結果、申請を行わなかった、または申請を取り下げた病院は四件ございました。申請のあった病院につきましては、書面を調査した結果、正当な理由なく入院を断っている病院がないものと確認をいたしております。
 また、上半期分の補助金執行に当たりましては、確保病床数や入院患者数の確認等を行いまして、この結果、申請時の九百四十五億円から四十四億円減額の九百一億円となっております。
 コロナ患者の受入れにより診療報酬を受けたことなどの理由で、病床確保料が減額となった医療機関は九十五機関、このうち国立病院機構と地域医療機能推進機構は三機関でございました。

○成清委員 上半期分の精査によって約四十四億円削減し、その中には地域医療機能推進機構と国立病院機構が三病院含まれているということです。特に国立病院機構のように、公共性の高い病院が減額を受けるような補助金の請求を行っていたことはゆゆしき事態であり、改めて是正を求めます。
 次に、都立病院、公社病院について伺います。
 独法化を通じて必要となるのが都民の利便性の向上、患者満足度の向上です。私たちはかねてより、病院の、特に病室のWi-Fiの設置を求め、令和三年十一月九日の厚生委員会においては、我が会派の菅原都議が、自身も網膜剥離で入院し、孤独な闘病生活を送った経験も踏まえ、その重要性を訴えたところです。
 また、利便性向上の観点から、病院においてDXの果たす役割は極めて重要であり、私も令和二年第三回定例会において、都立、公社病院においてオンライン診療を検討することを求めました。
 そこで、コロナ禍でその重要性が認識されたオンライン診療は、都立、公社病院でも積極的に取り組んでいくべきですが、見解を伺います。

○西山病院経営本部長 都立、公社病院では、新型コロナの感染拡大を踏まえ、慢性疾患等の再診患者が希望する場合に、医師の診断の下、電話診療で薬を処方しております。
 一方、ビデオ通話などによるオンライン診療については、病院が主に急性期医療を担っており、診療に当たっては、病状に応じた検査や処置を伴うといった課題がございます。
 こうしたことから、オンライン診療の活用については、患者から提供される主治医の検査結果等を基に、診断や治療についての意見を提供するセカンドオピニオン外来の導入を検討してございます。
 オンライン診療に関する国の動向や情報通信技術の進展を注視するとともに、現場の医師の意見を十分に踏まえながら、都立、公社病院にふさわしいオンライン診療について検討を行ってまいります。

○成清委員 都立、公社病院においても、オンライン診療という選択肢を提供することは重要です。前向きな検討をよろしくお願いいたします。
 また、病院においては診察までの待ち時間、診察後、会計や処方箋をもらうまでの待ち時間が長く、私自身病院に行くことも、子供を連れていくこともありますが、苦痛なものです。お医者さんと数分話すために全体では一時間以上要することもよくありますが、コロナ禍にあっては病院内での待ち時間を短縮する必要もあります。
 都立病院、公社病院において、院内での待ち時間の短縮を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○西山病院経営本部長 都立、公社病院では、これまで、患者の待ち時間短縮のため、電子カルテなどICTの活用や医師を補助するクラークの設置により診療の効率化を図るとともに、診察前の検査実施を進めてまいりました。
 また、待ち時間を有効に活用できるよう、携帯型の呼出し端末を患者に貸与するとともに、患者のスマートフォンにおいて診察の順番を確認できるアプリを導入するなどの取組を順次進めてまいりました。
 来年度は、駒込病院において、診察を終えた患者が会計を待たずに帰宅できる診療費の後払いサービスを開始するなど、院内における患者の待ち時間の短縮をさらに進め、新たな都立病院における患者サービスの一層の向上を図ってまいります。

○成清委員 今回は二点お伺いしましたが、新たな都立病院で患者満足度の向上、利便性の向上をしっかりと進めていただくようお願いいたします。
 子供政策について伺っていきます。
 就学前教育の重要性は専門家から特に強調されており、子供が小学校に行く前に多くの時間を過ごす幼稚園、保育園の役割は極めて重要です。東京で働く親が安心して長時間子供を預けることができることと、その場である幼稚園、保育園の質の向上に向けた取組は、待機児童解消にめどが見えてきた東京都が次に積極的に取り組むべき重要な課題の一つです。
 他方で、幼稚園と保育園に関する国の所管が文部科学省と厚生労働省に分かれているため、一体的な取組が進みづらい点があります。結局、国のこども家庭庁創設に当たっても、この課題は解決されず、都の子供政策連携室がこのような十分でない取組の課題解決に積極的に取り組むべきです。
 まず、幼稚園に関し、「未来の東京」戦略 version up 二〇二二には、幼小連携プログラムの展開が明記されていますが、幼稚園における学びの質の向上に向けた都の取組について伺います。

○藤田教育長 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、幼稚園における教育活動は、子供たち一人一人の資質、能力を育成する重要な役割を担っております。
 そのため、都は、荒川区、福生市、国立市と連携し、幼稚園と小学校が子供の発達や経験などの状況を共有することにより、小学校との学びの連続性を意識した幼稚園における教育の充実を図る研究などを進めております。
 また、質の高い幼児教育を推進するために園内に畑を整備し、農作物の栽培から収穫、調理、食事までの一連の体験を取り入れるなど、新たな取組を行う私立幼稚園への補助を本年度から開始したところでございます。
 こうした取組内容や研究の成果を広く普及することにより、公立、私立の各幼稚園が教育の質の向上を図る取組を一層推進してまいります。

○成清委員 保育所においても、自然との触れ合い、水泳、音楽、英会話、体操など、子供たちが様々な経験をすることは重要です。
 「未来の東京」戦略にも記載の子供の主体性や想像力を伸ばす保育の普及等、保育の質の向上や幼児教育の向上を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 乳幼児期に様々な活動や遊びを通して、子供の資質、能力を育むことは大切であります。
 都は、保育所がそれぞれの取組を共有し、保育内容を改善できるよう、現場訪問や職員交流などの施設間交流を支援するほか、保育士の資質向上のため、幼児教育や食育、アレルギー対応などの研修を実施しております。
 また、自然体験などを通じて、子供の主体性や想像力を育めるよう、自然を活用した保育に関する知見を取りまとめ、保育所等へ周知してまいりました。
 今年度からは、区市町村が、この知見を活用して保育者向けの研修を実施できるよう、必要な経費の補助率を十分の十としており、こうした取組により保育所における幼児教育を含め、保育の質の向上を支援してまいります。

○成清委員 具体的な話としては、自然体験、食育、アレルギー対応といった取組が挙げられました。もちろん、これは大変重要なことですが、幼稚園と比較すると保育所の幼児教育、就学前教育の視点は十分ではない印象です。
 他方で、保育園に対する宿舎借上げ支援、保育士の家賃補助に関しては、預かり保育など保育機能を強化した幼稚園であるTOKYO子育て応援幼稚園はその対象外とされています。幼稚園、保育園が担う機能は今後重なっていくことが予想されますが、残念ながら行政の支援には様々な差異が生じているのが現状です。
 子供政策連携室が先頭に立って、子供目線、ユーザー目線で、保育園も含めた就学前教育の充実や行政の縦割りによって不合理となっている保育園、幼稚園への支援を洗い出し、その是正を強力に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 幼稚園、保育園は、それぞれ制度の目的、また成り立ちが異なっていて、その目的を果たすために運用されております。しかし、そこに通う子供や、子を健やかに育てたいと願う親の目線から見ますと、様々な課題が見えてまいります。
 今必要なのは、従来の縦割りの発想から脱却をして、都政の政策全般を子供目線、まさにユーザーの目線から捉え直すことであります。
 こうした強い決意を込めて、これまでの延長線上にない新たな課題解決型の組織として、来年度、子供政策連携室を新設いたしまして、子供政策を総合的に推進する体制を構築いたすものでございます。子供政策連携室が中心となって、幼児期における課題など、テーマごとに関係各局との検討チームを組成しまして、多面的に議論を深めてまいります。
 様々な制度の壁を乗り越えて、庁内一丸となって、全ての子供の笑顔を育む未来の東京をつくり上げてまいります。

○成清委員 縦割りの脱却という言葉がありました。東京の全ての子供たちが行政の縦割りに左右されることなく、様々な幼児教育を享受できるようお願いいたします。
 子供政策と関連して、家電購入支援について要望いたします。
 私たち会派がかねてより強く訴えてきた家庭のDXの視点により、都として新たな支援が進められていることを大いに歓迎します。
 他方で、真に都民のニーズに沿った支援の形となっているかどうかについては常に検証が必要です。とうきょうママパパ応援事業に関し、保育園利用家庭にも産後の家事育児支援を実施すべき点や、家事支援用品の購入支援事業についてゼロ歳も含めるべき点など、引き続き制度の改善を求めます。
 また、東京に暮らす妊婦が助産所で妊婦健康診査を受診した場合、全国で東京都のみが妊婦健診受診票の直接使用ができず償還払いになっており、非常に利便性が悪いのが現状です。私たち会派はかねてよりその改善を強く求めており、改めて東京で暮らす全ての妊婦がデジタルを活用して、スムーズに妊婦健診を受診できる仕組みを区市町村と連携し構築することを要望します。
 次に、いじめ対策についてです。
 私たち会派の代表質問で取り上げたとおり、いじめ問題に対し専門家の知見を生かし、学校、行政の立場ではなく、被害に遭った子供、家族に寄り添う形での支援体制の強化事業が盛り込まれたことは大きな一歩です。適切な対応のためには、早期から法律など専門的な視点を踏まえることが重要であり、子供の最善の利益のために働くスクールローヤーも一つの重要な取組です。スクールローヤーの取組も一つの参考にしながら、いじめ対策に関し、専門家を活用した区市町村の取組のサポート体制を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 いじめ問題に対する子供や保護者への支援を充実していくため、都教育委員会は来年度、法律等の専門家が子供や保護者に寄り添い、直接話をよく聞き、相談支援を行う仕組みづくりに着手をいたします。
 この検討に当たりましては、弁護士等を活用した相談体制の整備について先進的に取り組んでいる自治体の事例を調査するとともに、保護者等が安心して法的な相談ができる仕組みについて専門家の助言を得てまいります。
 こうした調査の結果等を基に、二つの区市町村をモデル地区に指定し、保護者等がいじめの早期解決に向けて、初期の段階から法律や医療等の専門家のサポートを受ける効果的な相談体制を構築し、区市町村におけるいじめ対策の充実強化に生かしてまいります。

○成清委員 さて、私たち会派の求めに応じ、都が来年度フリースクール等に関する調査を実施することは、多様な学びの支援に向けた極めて大きな一歩です。
 今回の事業については、対象となる保護者や児童生徒を狭めず、できる限り広範に実態把握が可能なものにすべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 来年度の調査を実施するに当たりましては、近年、フリースクール等に通う子供が増加していることやフリースクール等の規模、活動内容などが様々であることから、フリースクール等を利用し、この調査にご協力いただける子供や保護者を幅広く募集する必要があると考えております。このため、SNSや都教育委員会ホームページを通じて、調査協力への募集を幅広く行ってまいります。
 また、区市町村教育委員会と連携して、フリースクール等に通う子供やその保護者へ協力依頼を行いますほか、都教育委員会の協議会に参加するフリースクール等に直接協力を求めてまいります。

○成清委員 学校とフリースクールの適切な連携を図っていくためには、まず両者が相互理解を深めていくことが必要です。また、不登校児童生徒の保護者が集まる自主的なネットワークなどがありますが、保護者はまずどうしてよいか分からず、自分を責めたり不安定になったりしています。
 学校現場におけるフリースクール等の理解促進を図るとともに、不登校児童生徒に対する指導や支援の一環で、教員が子供に対してフリースクール等を含めた様々な情報提供が可能な体制を都として推進すべきと考えますが、見解を伺います。あわせて、医学的、教育的見地から専門的な支援が必要なケースも多く、不登校児童生徒の保護者に対する支援の必要性について見解を伺います。

○藤田教育長 まず、フリースクール等の情報提供についてでございますけれども、子供一人一人の状況に応じた支援を充実するためには、教員がフリースクール等を含めた多様な学びの場での支援の特徴や内容を理解することが重要でございます。
 都教育委員会は、フリースクール等の活動例などを掲載した冊子を学校へ配布、配信をしまして、多様な場で一人一人に応じた適切な支援が受けられることについて、教員の理解の促進に努めているところでございます。
 来年度、フリースクール等と学校等の関係者が一堂に会する協議会において、パネルディスカッションなどを通じ、子供のニーズに応じた支援の重要性や、学校とフリースクール等が連携した効果的事例について共有を図ることで、教員の理解を一層深め、子供や保護者に適切な情報提供を行えるよう促してまいります。
 次に、保護者に対する支援についてでございますけれども、学校に通うことができない子供の背景や要因は複雑化、多様化をしておりまして、その保護者の不安や悩み等を受け止め、適切に支援するためには、様々な関係機関が専門性を生かし連携して対応することが必要でございます。
 区市町村が設置する教育支援センターでは、スクールソーシャルワーカーを活用した福祉や医療等の関係機関との連携やフリースクール等と協働した保護者相談会などを実施しており、こうした取組を促進するため、都教育委員会はその経費を補助しております。
 今後、保護者に寄り添った支援を充実するため、各教育支援センターの支援員等を対象とした連絡会を新たに設置をいたしまして、効果的な事例について共有をいたしますほか、支援の具体的手法について、心理の専門家から助言を受けるなど、支援員の資質の向上を図ってまいります。

○成清委員 いじめ、虐待など、長引くコロナが子供たちの心身に与える影響が懸念されますが、そのような中で子供を守る最後のとりでとして期待されるのが、子供の権利を守る第三者機関です。全国的に進めることが期待されますが、国においては議論が十分に進んでいません。
 そのような中、都の来年度予算案において、子供の意見表明、権利擁護のための先駆的な取組について、補助率十分の十の区市町村支援策を設ける点は大きな前進です。多くの区市町村の手が挙がるようにしていくべきと考えますが、事業の詳細と区市町村への周知方法について伺います。

○中村福祉保健局長 都は来年度、住民にとって身近な区市町村において、子供の権利を尊重し、擁護するための施策が進むよう子供の意見表明、参加の促進や権利擁護の充実に取り組む区市町村への補助を拡充いたします。
 具体的には、子供の意見を聞き、施策に取り入れるための機会の創出や子供の権利に関する普及啓発、相談対応の充実など、こども基本条例の趣旨を踏まえた取組に要する経費を十分の十で補助することといたしております。
 今後、多くの区市町村で実施されるよう、担当者会等で具体的な取組事例を示すなど、丁寧に働きかけてまいります。

○成清委員 重要な一歩ではありますが、区市町村への補助事業となっており、子供の権利擁護という極めて重要な点において対応できる人材、財源がない等の理由で自治体ごとに対応が異なる可能性が生じるのは大きな懸念です。全会派一致で成立した東京都こども基本条例の趣旨を踏まえれば、都が積極的に主体的に責任を持つべきです。
 都が主体となって、権利擁護の体制整備に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は、子供の権利擁護専門相談事業において、子供本人からいじめや虐待、体罰など様々な悩み事について、年間千件以上の相談を受け、深刻なものは、弁護士等の専門員が区市町村や学校などと連携しながら支援しております。
 東京都児童福祉審議会では、こども基本条例の施行を受け、昨年十一月に専門部会を設置し、子供のさらなる権利擁護を図るための方策を議論しておりまして、本事業の在り方についても、子供にとって、より活用しやすいものとなるよう検討してまいります。

○成清委員 子供の権利擁護体制のさらなる強化に向け、都も広域自治体として権利擁護機関の導入を進めるよう改めて求めます。
 次に、小一の壁について伺います。
 子供を抱える働く親の大きな悩みの一つが小一の壁です。都も学童保育の整備、機能拡大など様々な取組を強化していますが、親が働きやすい環境の整備も極めて重要となります。
 また、地方公務員の育児休業等について定めた法律では、時短勤務制度が小学校就学前までとなっていることも課題の一つであることは承知していますが、まずは隗より始めよで、都の職員の両立支援を後押ししていく必要があります。
 働く親が小一の壁を乗り越えるため、子供が九歳となるまでの時短勤務を可能とするなど、会社の環境整備を促進するとともに、都庁においても小学生の子を持つ職員の時短勤務制度の創設など、両立支援をより拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 子育てと仕事の両立を推進する、その点についてのご質問でございます。
 従業員の子育てに関わる様々なニーズに対しまして、柔軟な働き方ができる職場の環境づくりを進めていくことが重要であります。このため、都は、子供の小学校入学後も従業員が利用できる短時間勤務制度を設けるなどの対応を行った企業の取組に対して奨励金を支給しておりまして、来年度、その規模を拡充いたします。
 これに加えまして、働きやすい職場づくりを推進いたしますそのイベントにおきまして、短時間勤務やテレワークなど、柔軟な働き方を導入した企業の優れた取組事例を紹介しまして、また発信をしまして、普及啓発の強化に当たります。
 また、現在、法律において制約のある地方公務員でございますけれども、短時間勤務制度などの改善に向けて国に働きかけるなど、都庁職員のライフ・ワーク・バランスの充実を目指してまいります。
 これらの取組で、子育てと仕事の両立に向けました職場環境の整備を推進してまいります。

○成清委員 誰もが無理なく子育てと仕事の両立ができる東京都になるよう、民間企業への支援と国への働きかけをよろしくお願いいたします。
 男性教育職員の育休取得について伺います。
 東京都では全庁を挙げて男性職員の育児休業取得を進めています。教育委員会の育児休業取得率を見ると、事務職員など男性行政職員の取得率は二九%であるのに対して、男性教育職員は八%にとどまります。
 私たちは、これまでにも重ねて男性育休取得促進のためには、管理職の意識啓発が重要であると申し上げてきました。一昨年の予算特別委員会では、おじま委員が取り上げていました。
 児童生徒のジェンダー平等の学びが深められることから、学校現場での男性教育職員の産休、育休の取得は重要で、一層促進すべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、男性教育職員の育児休業等の取得を促進するため、配偶者の妊娠が分かった男性教育職員に、育児に役立つ制度や情報をまとめたガイドブックを配布しております。校長、副校長に対しては、これを活用して面談を実施し、育休等の計画的な取得を働きかけるよう求めているところでございます。
 また来月、オンライン開催を予定しております教育施策連絡協議会におきまして、都内全公立学校の校長に対して、男性の育休取得促進を直接働きかけるなど、職場の理解を一層促進してまいります。
 今後、さらに男性の育休取得期間に応じたきめ細かい対応ができるよう、校内体制や職場環境の改善策を検討してまいります。

○成清委員 取得目標である令和七年の三〇%に向けて、取組の強化をお願いいたします。
 次に、家族旅行について伺います。
 コロナ禍で約二年間需要が消失し、最も深刻な影響を受けた業界の一つが観光業界です。都はこれまでも、様々な支援策を実施してきましたが、一番は安心して旅行ができる環境の整備となります。事業実施時期、中身は慎重に検討する必要がありますが、感染が落ち着いた段階では都としても様々な形で観光を後押しすべきであり、その一つとして、コロナ禍で我慢を強いられることも多い子供が楽しめるという視点も極めて重要です。
 もっとTokyoの実施は都内の感染状況を慎重に見極める必要がありますが、今後実施する際には、子供連れ旅行への助成を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続き、観光の再開への期待は高まっているところであります。
 国のGO TOトラベル事業と併せまして都民の都内観光を後押しするもっとTokyoの実施につきましては、感染症のリバウンドに警戒をして、その状況を見極めながら専門家の意見も聞いて慎重に判断することが大切であります。
 これまで都民の皆様は家族旅行を控えたり、とりわけ子供たちは楽しみにしていた修学旅行、そしてまた遠足が中止となるなど、やりきれない思いを抱えていることと思います。
 子供たちは東京の地域ならではの文化や食に触れて、人々と交流するなど、旅での体験を通じて豊かな感性を養って、笑顔を取り戻してほしいものであります。
 そのため、もっとTokyoの再開に当たりましては、子供を連れた旅行には配慮の行き届いた支援となるように検討してまいります。

○成清委員 例えば子供二人、大人二人で旅行するとなると、特に中学生以上は大人と同じ料金になりますし、近場での旅行でもそれなりの金銭的な負担になります。配慮の行き届いた支援というお言葉がございました。ぜひ、金銭的負担の軽減をよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 昨年のパラリンピック東京大会での選手の活躍が記憶に新しい中、先日、北京パラリンピックが閉幕しました。パラリンピックの感動と記憶を多くの方と共有しつつ、パラスポーツを社会に根づかせていくことが大切です。
 本定例会本会議の代表質問で、我が会派は、来年度をパラスポーツの新たなステージの元年とし、一層の振興を図る取組をしていくべきと指摘しました。とりわけ東京二〇二〇大会一周年は、注目の集まる絶好の機会となります。
 そこで、この機会を有効に活用し、都民のパラスポーツへの関心、理解をさらに高めていくことが重要と考えますが、都の取組を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇パラリンピックの感動と記憶を呼び起こし、パラスポーツの魅力を広く都民と共有できる機会を設けることは重要でございます。
 このため、来年度については、パラリンピックが開催された八月と九月を東京パラスポーツ月間と位置づけ、開幕一周年となる八月二十四日の記念イベントを核として、参加体験型のイベントやパラスポーツをテーマにしたシンポジウムなど、様々な取組を集中的に展開し、多くの都民がパラスポーツに触れる機会を創出いたします。
 実施に当たりましては、区市町村や関係団体、企業など多様な主体とも連携しながら、パラスポーツムーブメントの一層の拡大につなげてまいります。
 こうした取組を通じて、都民のパラスポーツへの関心、理解の一層の向上に努めてまいります。

○成清委員 様々なバリアフリーや、障害のある方とない方との情報コミュニケーションの環境整備など、東京二〇二〇大会のレガシーとして引き継ぐべきものは多くあります。特に、まだまだ認知度が低い障害者スポーツが社会に根づいていくには、啓発や環境整備のほか、国際的なスポーツ大会が二〇二〇大会以降にも東京で開催されることが重要です。
 調査結果報告を受け、二〇二五年デフリンピック開催に向けての知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会におきましては、多くの都民がパラスポーツのすごさ、そしてその魅力を体感して、スポーツの力に勇気と感動を抱いたところでございます。
 パラリンピック競技だけではありません、世界レベルの様々なパラスポーツの大会が開催されます真のダイバーシティ東京を目指していきたいと考えております。
 デフリンピックでございますが、聴覚障害者のための歴史と伝統ある総合的な国際大会で、二〇二五年に東京で開催したいという声があることは承知をいたしております。
 このような大規模な国際大会は、様々な関係者の協力が必要でございまして、またパラスポーツの一層の発展とともに、都内にも多くのレガシーを残すこともできます。
 そうした観点に立ちまして、関係者から準備状況や計画につきましてはしっかりとお話を伺うとともに、本年の五月に予定されておりますブラジル大会の状況も把握しまして、都としての対応を速やかに検討してまいります。
 今後も様々なパラスポーツが社会に根づきますように取り組んでまいります。

○成清委員 東京二〇二〇大会で実施された競技を、都民生活に身近なものにしていくことが重要ですが、自転車のロードレースのように、長い距離を交通規制して行う競技は都民生活への影響もあり、なかなか実施されていないのが実情です。
 ロンドンやニューヨークでは市中での国際大会レースのほか、数万人規模が参加できる自転車のライドイベントが実施され、市民権を得ています。
 そこで、都も、レガシーとしてロードレース大会の開催や、都民が自転車を楽しめる機会づくりにも取り組み、東京の魅力を高めていくべきですが、併せて都の見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇大会の自転車ロードレースでは、コースとなった多摩地域を舞台に一流選手が駆け抜けて感動をもたらしました。
 こうしたレガシーを生かし、後世に引き継ぐため、多摩地域において自転車の大会開催を目指すこととし、来年度は計画策定を進めてまいります。
 また、身近なスポーツとしての自転車の魅力を感じていただくため、大会時に多くの競技が行われた臨海部で自転車のライドイベントを来年度実施いたします。愛好家のみならず、地元の方々やファミリー層も楽しめるようコース設定をするほか、プロによるデモンストレーションを行うなど、内容を検討してまいります。
 こうした大会やイベントを通じて、自転車によるスポーツ振興に取り組むとともに、東京の魅力を高めてまいります。

○成清委員 スポーツとしての自転車が認知されるためには、今、答弁があったようなイベントや大会の実績を積んでいくことが重要ですので、最初の一歩として、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 東京大会の一つのレガシーとして、共生社会の実現に向けた取組の強化があります。例えば、各種のレガシーを示した都のポスターでは、ヘルプマーク認知度八三・二%とされ、東京発のヘルプマークが全国共通マークになったと掲げられており、大変意義深い取組です。
 東京都では、ヘルプマークをつけていない人全てが手助けする社会の実現を目指しており、もちろん理想的にはそうなるべきですが、現実を見れば、マタニティーマークやヘルプマークをつけているからこそ、嫌がらせや攻撃の対象になるという事例も残念ながら見受けられ、共生社会の実現に向けた取組の強化が必要です。
 真の共生社会を実現するためには、一定の認知度があるヘルプマークを多くの場所で活用できる環境が望まれます。そのためには、ヘルプマークを身につけた方の意見を聞くべきと考えますが、都の見解を伺います。

○中村福祉保健局長 ヘルプマークは、外見からは分からない障害がある方などが身につけ、援助や配慮を必要としていることを周囲に伝えるためのマークであります。
 都は、ヘルプマークを身につけている方が様々な場面で必要な援助等を受けられるよう、公共交通機関の優先席などへのステッカー表示に取り組むほか、民間企業にも働きかけ、従業員や顧客への普及啓発や店舗内でのステッカー表示などを進めております。
 今後、さらなる普及に向け、ヘルプマークを身につけている方が外出等の場面で困っていることや求める支援の手法、民間企業の活用方法への意見等を調査し、その結果も踏まえながらヘルプマークの理解、促進を図ってまいります。

○成清委員 ヘルプマークをつけている方が周囲に気軽に支援を求められる、誰もがお互いに助け合える共生社会の実現に向けて、取組の強化をよろしくお願いいたします。
 東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして、都内でも増えているUDタクシーがあります。補助制度について、コロナ禍がタクシー業界に与えた影響もあり、補助制度の延長を私たちも求めてきましたが、令和四年度予算案に盛り込まれている点を評価します。
 改めて、UDタクシー導入補助の詳細を伺うとともに、障害のある方のみならず、高齢者やベビーカーを使用する子供連れなど、全ての人に優しいという点を、業界と共に広く都民への認知を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーは、環境性能が高く、CO2の削減に貢献するだけでなく、車椅子やベビーカーを利用する方も含め、誰もが移動しやすい交通手段でございます。
 そのため、都では平成二十八年度から、タクシー事業者がUDタクシーを導入する際に補助を実施し、本年二月までに一万三千台以上に補助を行ってまいりました。
 令和四年度の予算案では補助を継続するとともに、中小規模事業者に対しては補助額を拡充することによりまして、さらなる普及を図ることといたしました。
 UDタクシーは子供連れや妊婦の方をはじめ、誰でもが使えて利便性が高いことが広く知られるようになってきてございまして、都としてもタクシー事業者や業界団体、自動車メーカー等と連携しながら、さらに周知を図ってまいります。

○成清委員 ファッションについて伺います。
 東京は、あらゆる人々が交わることで様々な文化を育んできましたが、ファッションはその象徴の一つです。
 私の地元墨田区は、もともとファッションや繊維産業の集積地であり、数が減ってきてはいますが、メード・イン東京のものづくりを頑張られているアパレル産業の方が、今も多くいらっしゃいます。
 コロナ禍によりファッション、アパレル産業も厳しい状況に直面している中、先日の、我が会派の田の上都議の一般質問への答弁のとおり、東京二〇二〇パラリンピック大会のレガシーを将来に向け発展させていくべき中で、障害のある方の衣装に着目し、コンクールを行い、産業振興にも結びつける取組は極めて重要です。
 そこで、今回のコンクールを実施するに当たり、障害者向けの衣装のデザイン部門も含めて、どのように取り組んでいく考えなのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 ファッション、アパレル産業の発展に向けて、才能のある若手のデザイナーをこの東京から生み出していく、そうした人材が世界で評価される、様々な衣装を作り出していくということは重要でございます。
 特に、今回のパラリンピックの成果を踏まえまして、誰もが楽しめる東京発のファッションを世界に向けて発信する力を高めるという視点は、私は大変大切だと思っております。
 このため、都が新たにコンクールを行うに当たりまして、例えば障害のある方にとって優れた機能性とファッション性を同時に併せ持った作品を選ぶ部門を設けたりして、若い才能を発掘してまいります。
 そうした部門で優秀な評価を受けた学生の作品ですけれども、障害のある方などから意見や助言をいただきながら、ブラッシュアップを進めて、ファッションショーで世界的にも著名なデザイナーから、審査を受ける機会を設けてまいります。
 今申し上げました障害者用のデザイン部門に加えまして、例えば伝統的な着物を活用する部門であったり、自由な発想で衣装を作る部門、この三つがそれぞれに個性を際立たせながら、将来を担う若手を発掘していく世界的なコンクールをつくり上げていきたいと考えています。
 こうした取組を通じまして、学生デザイナーが新進気鋭の若手として世界で活躍できるよう支援をしまして、東京のファッション、アパレル産業の発展につなげてまいります。

○成清委員 大変意欲的な取組であり、我が会派もしっかりと後押ししていきたいと考えます。
 この取組を効果的なものにしていくためには、審査手法や学生へのサポート等において様々な配慮が必要です。
 また、学生デザイナーにとっては、開催されるファッションショーにおいて、有名なデザイナーから評価をもらえる機会や、時代の流れを読んでビジネスに結びつける力を身につけることも大切になります。
 都として、優れた才能を持つ学生を見出すための審査や、学生のデザインを実際の服にしていくための様々なサポートを具体的にどう進めていくのか伺います。あわせて、都は今回のデザインコンクールにより、どのように学生をデザイナーとして育て上げていくのか伺います。

○坂本産業労働局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、審査の進め方や学生へのサポートについてでございますが、学生向けのデザインコンクールでは、ジャンルや形式にとらわれないフリー部門や、障害のある方の衣装をデザインする部門のほか、伝統的な着物を活用する部門の三つでデザイン画の募集を行います。
 それぞれのデザイン画について、部門ごとに第一線で活躍する専門家が審査を行った上、優れた作品については具体的に衣装にできるよう、服の製作に精通したアドバイザーが支援を行うことといたします。さらに、これを絞り込み、ファッションショーに出る作品と学生を選出いたします。
 ファッションショーに向けては、服の生地や色彩などを選び、良質な作品を作るサポートを行うほか、モデルの選定やステージの演出などを学ぶことのできる機会を提供いたします。
 次に、学生デザイナーの育成についてでございますが、世界で活躍できる若手デザイナーを育成する上で、その能力を適切に評価し、本人に自信を与え、ビジネス面でも力を発揮できる知識やノウハウを身につける後押しが効果的でございます。
 このため、コンクールの最後の段階で行うファッションショーでは、世界的に著名なデザイナー等が審査を行い、学生デザイナーの自信と意欲を高める工夫を行います。
 また、ファッションショーに参加した学生に対し、経営戦略やマーケティングなどを学ぶことのできるセミナーや、先輩デザイナー等と交流のできるワークショップに参加する機会を提供いたします。さらに、こうした様々な取組を広く発信して、将来のブランドづくりに結びつけます。
 これらの取組によりまして、若手のデザイナーの育成を進めてまいります。

○成清委員 様々な配慮がされていることが分かりました。我が会派としても、この取組が多くの意欲ある若者の発掘につながり、世界的なコンクールに発展していくよう、全力で後押ししてまいります。
 さて、コロナ禍の中、テレワークの進展や外出の自粛により、都民が自宅で過ごす時間が長くなりました。我が会派の提案により実現したアートにエールを!東京プロジェクトなどを通じて、近年、新たな文化振興の取組が行われ、様々な知見が蓄積されてきました。
 また、自宅での過ごし方に関心が高まり、部屋を彩るアート作品にも注目が集まっています。
 都は、文化戦略の中で、アートのある生活プロジェクトを掲げており、アートが都民にとって一層身近になる取組が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 お答えします。
 お気に入りのアート作品をファッションやインテリア雑貨のように日々の生活に取り入れるということは、心地よい毎日を過ごす上で大切なことであります。
 今年度は、映画鑑賞の後に、映画の中で登場した絵画の展示会を訪れるイベントなど、作品購入のきっかけとなる民間事業への助成を開始いたしました。
 また、東京ならではの美術館やギャラリーの集積を生かしまして、国際的な活動の連携を促進する民間のアートイベントであるアートウィーク東京を支援いたしました。ここでは東京の個性豊かなギャラリーをバスで周遊しまして、日本の現代アートの創造性や多様性を世界に紹介するとともに、多くの都民に新たな体験を提供いたしました。
 来年度は、都も主催に入るなど、内容をさらに充実させて実施することによって、アートのあるライフスタイルを楽しむ人の裾野を広げまして、東京のアートシーンの活性化につなげてまいります。
 恐縮でございますが、このご質問と別件でありますが、一言、皆様方にお願いをしなくてはなりません。
 これは、今朝ほどから出されております電力の需給逼迫警報についての関連でございますけれども、先ほども報道でも午後二時台で使用率は一〇七%ということで、かなり逼迫をしている。逆に申し上げますと、節電がまだ十分行き渡っていないということであります。現場の方では、この超えた分は電圧を下げるなど、いろんな工夫もしておりますけれども、どうぞ皆さん、今、改めて身の回りのこの照明が、今必要なのかどうなのか。それから温度、今日はちょっと寒いので、その影響もあるわけですけれども、改めて、もう一枚着るなど、いろんな工夫をしながら、ここはみんなで節電していかなければ、首都東京の電力が止まりますと、これは極めて重要な問題になります。ここは改めてご協力をいただきたい。
 そして、隗より始めよということで、都庁舎におきましては、共用の廊下の半分はもう消しております。それから空調、これ十九度に設定すると寒いので、ここで一旦もう消してしまっているという状況。それからエレベーターの間引き運転、これも行っております。それからトイレの温水便座、何百基とありますけれども、これも止めております。都庁舎のライトアップ、これは余り電力を食うものではございませんが、メッセージとしてライトアップを行いません。
 そして、それらのことによって、ピーク時で六千二百キロワット消費をしているこの都庁舎でございますけれども、それを何とか抑えて五千八百になっているということで、それぞれのご家庭で、それぞれの事業者で、これらのことを、節電を実行していただくことによって、東京を守っていこうではありませんか。極めて厳しい状況ではございます。ウクライナ情勢だけではありません。この地震によっての影響、そして円安、様々な課題が今一気にこう押し寄せてきているという状況でございます。
 お時間頂戴いたしました。ぜひ都民の皆様、事業者の皆様、ご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。お時間ありがとうございました。

○成清委員 改めて、それぞれの立場で省エネを心がけてまいりたいと思います。
 神宮外苑について伺います。
 私たち会派はかねてより、自然と共生する東京の実現を強く訴えてまいりました。その観点からは、再開発では緑の総量が多くなり、そのエリアが育んできた様々な価値が適切に継承されるよう取り組むことが極めて重要です。
 神宮外苑地区の再開発においても、緑の総量が増加し、また神宮外苑地区がこれまで育んできた歴史的、文化的価値が適切に継承されていくよう、都として民間事業者から定期的に報告を受けながら確認していくべきと考えますが、見解を伺います。

○上野東京都技監 神宮外苑の歴史的、文化的価値につきましては、創建時に聖徳記念絵画館を中心として、西洋的な庭園や緑地等が整備され、今日まで多くの人々に開かれた庭として機能してきたことなどにございます。
 今回の計画では、神宮外苑地区の歴史的、文化的価値を適切に継承することができるよう、民間事業者におきまして、四列のイチョウ並木を保存し、眺望保全に係る絵画館の前庭部分は、創建時の芝生の姿を基調といたしまして再整備するとともに、前庭に連なる中央広場等から成る緑空間を整備するなど、実質の緑の割合を増加させながら、開かれた庭として再生してまいります。
 同時に、都といたしましても、事業者から、今後の事業化や管理運営などの過程を通じて、定期的な報告も受けながら取組状況の確認などをしてまいります。

○成清委員 かつて神宮外苑は民間有志で結成された明治神宮奉賛会が整備主体となり、多くの人々の協力を得て造営され、都民が共感や親しみを抱いてきました。そういう外苑地区であるからこそ、再整備そのものの中で広く都民、国民と共に新しい神宮外苑を造っていくという観点が重要です。
 創建時の趣旨を踏まえて、都民の共感を得ながら、将来につなげていく取組を都としても行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 明治神宮は、ご指摘にもありましたように、渋沢栄一翁らの尽力で創建をされたものでございます。そして神宮は、内苑と外苑とによって構成されるという基本構想の下で、外苑につきましては、世界に誇れる東京の象徴とすべく、民間の有志によって造営をされたものでございます。
 今回のまちづくりにおきましても、創建時の趣旨を引き継いで、都民と共に開かれた庭として再生することが重要であります。
 次の世代と共に新しい歴史をつくるべく、多くの方々の参画を呼びかけてまいりたいと考えております。

○成清委員 次に、行政手続のデジタル化について伺います。
 東京都では、デジタルファースト条例とそれに基づく推進計画を制定し、全ての行政手続を対象とし、全庁を挙げてデジタル化の取組を進めているところです。デジタル化に当たっては、申請者に加えて、各種の申請手続を代理する行政書士など専門家の視点は極めて重要です。
 行政手続のデジタル化に当たっては、行政書士等の専門家の視点も踏まえながら進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○寺崎デジタルサービス局長 都では現在、都民や事業者と接点のある全ての手続のデジタル化を進めるとともに、既にデジタル化した手続につきましても、改善に取り組んでいるところでございます。
 来年度は、現行手続の課題の抽出や業務フローの見直し等を進めるため、各局と連携して、申請者や代理人、行政書士等から意見を聞くなどし、デジタル化をさらに進めるとともに、既にデジタル化した手続につきましても、ユーザーレビュー等を通じて利用者の評価を把握し、改善へとつなげてまいります。
 こうした取組によりまして、利用者にとって利便性の高いデジタルサービスの提供に努めてまいります。

○成清委員 次の質問に移ります。
 東京には川や海、運河などすばらしい水辺空間があり、東京の将来のまちづくりに当たっては、魅力的な水辺空間の活用や水辺を生かした舟運の活用が大変重要です。
 私の地元である墨田区では、昨年春、隅田公園やミズマチが面する北十間川に新しい船着場が開業し、舟運活性化の機運が高まっています。
 しかし、長引くコロナ禍により、河川を中心に営業する屋形船などの舟運事業者にも深刻な影響が及んでいると聞いています。我が会派の要望を踏まえ、都もこれまでに、河川、港湾施設の占用料の納付猶予などの取組を行ってきました。引き続き、事業者への支援を行うことに加え、コロナの終息を見据えた舟運活性化の取組も並行して進めていかなければなりません。
 建設局では、両国リバーセンターにおいて日本橋川等をつなぐ舟運ネットワークの拠点となるよう、新たに小型船舶も利用しやすい船着場を増設するなど、舟運活性化に取り組んでいますが、ウェブを活用した船着場の予約受付など、舟運事業者の利便性を高めていく取組も重要です。
 そこで、建設局所管の防災船着場における、利便性向上への取組について伺います。

○中島建設局長 災害時の船による帰宅困難者や緊急物資の輸送等に備えて整備いたしました防災船着場を、平常時においても有効に活用し、舟運の活性化を図ることは重要でございます。
 これまで建設局では、利用者のニーズ等を踏まえ、隅田川の桜橋など六か所の船着場において、平常時に観光船などに開放してまいりました。このうち両国の船着場では、利用者サービス向上のため、リバーセンターに待合所を設けますとともに、舟運事業者等の利便を考慮し、船着場利用の申込みを前日まで可能とするなどの取組を実施してまいりました。
 令和四年度は、ウェブ上で利用の申込みができるよう、引き続きシステムの導入に向けた検討を進めてまいります。また、新たに葛西臨海公園の船着場を、親子連れでにぎわう夏休み期間中に開放いたします。
 こうした取組により船着場の利便性を高め、舟運の活性化を図ってまいります。

○成清委員 さらに舟運を活性化するには、観光や通勤手段として定着させていくことが重要です。
 例えば、通勤手段としていくことを考えますと、朝の通勤時間帯における運航可能性の検討やニーズを踏まえた新たなルートの開拓なども必要と考えます。
 コロナ後の舟運の活性化に向けて、通勤の実証実験や新たなルートの開拓などの取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○上野東京都技監 東京には川、海、運河などの水辺があり、その資源を生かして、多くの人々でにぎわう水の都を再生していけるよう、舟運を活性化することが重要でございます。令和元年度に行った舟運の社会実験である、らくらく舟旅通勤により、通勤等への活用可能性も認められました。
 その後、新型コロナの影響により実証実験を中断しておりましたが、都民のライフスタイルのさらなる多様化に対応できるよう通勤手段を充実させていく必要があるため、舟運につきましては通勤向け新規航路を開拓してまいります。
 来年度、らくらく舟旅通勤の第二弾を隅田川や運河などを活用した複数航路で行い、通勤向け定期航路の開設につなげ、利用者の一層の拡大や水の都東京の発信を図ってまいります。
 舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう、関係局と連携しながら積極的に取り組んでまいります。

○成清委員 次に、都立公園の受動喫煙対策について伺います。
 我が会派は、議員提案により成立した子どもを受動喫煙から守る条例や、原則屋内禁煙とする受動喫煙防止条例により受動喫煙対策を強力に進めてきました。スモークフリーを東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして定着させるため、多くの東京の子供たちが遊び、運動する環境である都立公園において、さらに踏み込んだ対応を行うべきです。
 都立公園における受動喫煙対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○中島建設局長 都立公園では、喫煙に関するルールを定め、歩きながらの喫煙や妊娠中の女性、子供の周囲での喫煙をしないよう園内掲示板等で周知いたしますとともに、巡回時に注意を促すなど、マナー向上に取り組んでおります。
 また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去し、受動喫煙の防止に努めているところでございます。
 今後、さらなる受動喫煙対策として、現在の喫煙場所の利用状況を総点検し、必要に応じてパーティションの設置や場所の変更などを行ってまいります。あわせて、喫煙場所について、園内の掲示やホームページにより周知を図ります。
 こうした取組により、都立公園における受動喫煙対策を進めてまいります。

○成清委員 さて、我が会派は、都民の安全・安心を守る防犯カメラの設置を推進してきました。これからは、特に子供たちの生活に密接に関わる場所など、危険な場所を洗い出して取り組む必要があります。
 通学路のみならず、通塾や公園等に向かう道など、放課後活動時に危険と思われる箇所にも防犯カメラを設置し、子供の安全・安心の確保に一層取り組むべきですが、見解を伺います。

○小西都民安全推進本部長 都はこれまで、子供の安全・安心の確保に向け、通学路、登下校区域に区市町村が設置する防犯カメラの整備を支援してまいりました。この結果、平成二十六年度からの八年間で都内累計約七千二百台の整備を達成いたしました。
 来年度は、子供に対する犯罪が特に放課後時間帯に多い状況を踏まえ、新たに塾や公園等の放課後活動場所に向かう経路に、地域の実情に通じた区市町村が設置する防犯カメラへの補助制度を開始いたします。
 今後、効果的な防犯カメラの設置事例を提供する等、様々な機会を捉え、区市町村に本制度の積極的な活用を促してまいります。これにより、地域の状況に応じた防犯カメラの設置を促進し、さらなる子供の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

○成清委員 次の質問に移ります。
 私たちはかねてより、デジタル人材の育成について多くの政策提言を行ってきましたが、東京全体のDXを推進していくためには、東京都のみならず、区市町村においてもデジタル人材を育成していくことが重要です。
 今回、都が打ち出した東京デジタルアカデミーにおいては、民間企業で活躍する人材を講師として招くなど、最新のデジタル技術を遅滞なく学ぶことのできる環境を整え、五年で五千人のリスキリングを目指すとしています。
 そこで、東京デジタルアカデミーにおいては、区市町村の職員も積極的に参加できるように設計し、行政におけるデジタル人材不足を打開すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 私は、今回新設する東京デジタルアカデミーを、将来的には都庁だけではなく、区市町村等も含め、都民サービスの最前線でデジタル化に取り組む職員が、共に学び、経験を分かち合う場としていきたい。また、海外の先進的な事例研究や現地調査、国内外の第一線で活躍する人材との交流等を通じて、最新の技術や知見を学ぶことのできる場としても、大きく育てていきたいと考えております。
 新年度を待たずに、先月から都と区市町村との間で、国内外の先進事例に関する調査や共同研修等の実施に向けて、具体的な協議や意見交換を開始しており、スピード感を持って取り組んでまいります。
 今、デジタルの世界では、様々なシーンで学び直しが話題になっています。この東京デジタルアカデミーが、隗より始めよの精神で、一つのお手本になりたい。そして、アカデミーを核として、戦略的かつ多角的に人材育成等を進めることで、東京をデジタルの世界でも、海外の先進都市と肩を並べるような都市にしていきたいと考えております。

○成清委員 デジタルアカデミーは、区市町村との連携や海外との交流も視野に入れた取組であり、高く評価します。ぜひ、行政の既存の枠にとらわれず、思い切った発想と視点を持って取組を進めていただきたいと思います。
 また、今、世界ではメタバースが大きく注目されています。メタバースとは、コンピューターやコンピューターネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる三次元の仮想空間やそのサービスのことを指します。
 世界のメタバース市場は、二〇二八年に約八千三百億ドル、日本円にして約百兆円の市場規模になるというレポートもあります。ぜひ、都としても、今後のメタバースの動向を注視しながら、都政における活用の可能性を研究していただくよう求めておきます。
 マイクロモビリティーの実装について伺います。
 我が会派では、南大沢におけるスマートシティの推進について、かねてより提言を重ねてまいりました。特に、デジタル技術を活用した市民参画、南大沢版アーバンデザインセンターのような産学官民が協同したまちづくり組織、都立大学の先生方に対する予算、人員面含めたサポートについて、対応の強化を求めます。
 実証実験等を開始して一年がたちますが、初年はコロナ禍の中、地元八王子市など関係者との調整や試験的な部分が大きく、自転車シェアリングやアプリ活用などの取組にとどまったと理解しています。今後、東京を代表するスマートシティとして、先進的な取組が加速していくことを強く期待します。
 電動キックボードなどの新たなマイクロモビリティーを実装するなど、先端技術の導入において、他地域に先行し、スタートアップも含めた民間事業者等の注目を集め、参入を加速するような取組をしていくべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 南大沢スマートシティでは、都や地元市、都立大学、地域で活動する様々な企業等から成る協議会におきまして、先進的な取組等を行いながら、地域の課題に即した実践的なまちづくりを進めております。
 今年度は、電動シェアサイクルを含むMaaSを実施するとともに、スタートアップ企業等の参画を促すピッチイベントも実施し、応募の中から、起伏の大きい当地区で新たに電動キックボードのシェアサービスを運営する企業を選定いたしました。来年度は、このサービスの実装化に向けて、ポートの確保等の具体的な取組を進めてまいります。
 さらに、地域の課題であるにぎわいの創出や情報発信等につきましても、関連するスタートアップ企業等の提案も受けながら検討を進め、SNS等を活用した機運醸成も図り、令和五年度以降の先端技術の社会実装につなげてまいります。

○成清委員 新しいモビリティーを実装する上で、シェアサイクルや電動キックボード等のシェアリング事業に必要なポート等の設置場所の確保が重要なインフラとなります。公有地や公開空地の活用など都市内の様々な空間を利用できるよう取り組む必要があります。
 公開空地の活用については、昨年の第三回定例会において我が会派から、都市開発諸制度について、方針の改定や運用の柔軟化により、シェアサイクルと同様に、電動キックボードのポート等、新たなマイクロモビリティーのシェアリング事業に関しても公開空地を利用できるよう求め、対応する旨の答弁を得ました。
 国の特例制度を活用し、電動キックボードの公道走行の実証実験は既に数多くの事例が積み重なっています。その結果を受けて、今国会において道路交通法の改正が行われ、車両区分が変更される見込みです。既に実証実験段階ではなく、実装フェーズとしてスピード感を持って取り組む必要があります。
 電動キックボードに対して、都の基本的な考え方を整理するとともに、導入を推進できるよう、事業者とも協議の上、安全性と利便性の両立に関係局で連携して取り組むべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 都は、電動キックボードは、ラストワンマイルなどの移動を充実する上で有効な手段であることから、その普及に向けて、様々な先行する取組の検証や評価を行った上で、道路交通法などによる関係施策とも連携しながら、具体的な運用方策などを検討することとしております。
 このため、地域特性等も勘案しながら、南大沢の社会実験などを踏まえ、事業者や地元自治体、関係局と連携し、安全で快適な走行空間の確保や交通結節点周辺におけるポート設置の促進策などにつきまして検討してまいります。
 一方、交通違反や事故防止の観点からの取組といたしまして、警視庁や事業者等と連携し、ルール、マナーの広報啓発を行ってまいります。
 電動キックボードの安全性の確保と利便性の両立を図りながら、都民の移動の質的向上を図ってまいります。

○成清委員 こうした新たなマイクロモビリティーは、単に乗車できる新たな乗り物というだけではなく、高精度GPSやセンサーによる速度調整等の制御システムなど、安全性と利便性を両立するためのテクノロジーとそれを適切に運用するシステムが搭載されていることが重要です。制御されていない、いわゆる野良電動キックボードが危険走行しないよう対策することについても、事業者と知見を出し合い、取り組むことを求めます。
 有権者一人一人の投票価値の平等、一票の平等は、民主主義の根幹を支える基本原則であり、その是正を積極的に取り組んでいかなければなりません。その観点からは、衆議院議員選挙区画定審議会が示した衆議院選挙の小選挙区の数を変更する十増十減は、法律に基づき着実に進められなければなりません。
 区割り審の勧告を基に法改正が行われれば、東京では、大幅な選挙区の改定が行われる見込みであり、有権者に対して、きめ細かな周知を行うべきと考えますが、選管の見解を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 選挙区の区域が変更される区市町村におきましては、有権者にとって投票環境がこれまでのものと大きく変わることが想定されるため、有権者に対して、十分な周知を行うことが重要でございます。
 このため、国に対し、広報をきめ細かく行うとともに、問合せ窓口を設置するなど周知を徹底するよう求めております。
 東京都選挙管理委員会といたしましても、特に選挙区が変更される地域の有権者に対し、分かりやすい情報となるように配慮しながら、区市町村選挙管理委員会とともに、ホームページや広報紙による周知を図ってまいります。

○成清委員 一部の政党内では、十増十減の見直しを求める声が上がっているとのことですが、東京をはじめ、都市部の有権者の投票価値を軽視する議論であり、民主主義の基本原則を軽視するものといわざるを得ません。着実な実施に向け、私たちも訴えを続けてまいります。
 以上、私たち都民ファーストの会東京都議団は、東京の魅力を磨き上げ、日本全体を牽引していく、東京大改革から日本大改革を実現していくために、これからも全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質疑を終わります。(拍手)

○福島副委員長 成清梨沙子委員の発言は終わりました。

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