予算特別委員会速記録第六号

○三宅委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席し、第百十三号議案について発言したい旨の申出がありました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○三宅委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定しました。

○三宅委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで及び第百十三号議案を一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月九日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 ほっち易隆理事の発言を許します。

○ほっち委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 二〇一一年三月十八日、その一週間前、三月十一日に起きた東日本大震災の後、水蒸気爆発を起こした福島第一原発の建屋にて、貯蔵プールへの放水を行ったのは、東京消防庁百三十九名のハイパーレスキュー隊でした。緊迫する中、隊員たちが危険を顧みず、放水活動に慌ただしく走り回る様子を今も鮮明に記憶しております。
 時の石原慎太郎元東京都知事は、佐藤康雄総隊長以下、放水作業を行ったレスキュー隊員全員を前に、国運を左右する闘いに命を賭して頑張っていただいた、国民を代表して感謝し、これからも尊い仕事に邁進してくださいと涙ながらに語られました。批判を顧みず、危険に立ち向かう真のリーダーの姿をそこに見ました。
 我が国、そして首都東京は、今まさに国難にあります。小池知事をはじめとする、ここにおられる全ての都庁幹部の皆様におかれましては、この崇高な精神を引き継ぎ、これからも都政に当たられますことを都民の代表として切に願い、質問に入らせていただきます。
 コロナ禍が二年を超えて、既に関連経費だけで六兆円を超えました。ロシア侵攻によるウクライナ情勢が世界経済に与える影響は大きく、これまで堅調に推移してきた株価も一時下落するなど、不安定な様相にあります。
 先日の岸田総理の会見でも、展開次第では、我が国も戦後最大の危機に陥るとの強い危機感を述べました。また、環境対策やデジタル競争など、新たな取組には長期にわたって大きな予算が必要となります。
 こうした中、先日の我が会派の質疑に対し、首都強靱化プロジェクトについて言及がありました。社会環境は国難、財政の見通しは厳しい、こうした中での危機管理と都市基盤整備のかじ取りにミスは許されません。大事なのはプロジェクトの中身です。絵に描いた餅で首都を守ることはできません。
 そこで、内容はいつ頃我々議会に示されるのか、また、どのような形で議会に示されるのか、小池知事にお伺いをいたします。

○小池知事 先般も福島沖を震源とする大きな地震がございまして、東京でも長時間の揺れ、そして停電などが発生をいたしました。今日もその影響で電力需給の逼迫が生じております。
 いつ起きてもおかしくない巨大地震、そして火山噴火、頻発化、激甚化する豪雨、さらにテロなど、様々な脅威から都民の命と暮らしを守るという強靱な都市を築き上げていかなければなりません。
 こうした強い思いの下で、今回の「未来の東京」戦略のversion upでは、三か年のアクションプランを策定しまして、地下調節池の新規の着手や無電柱化の加速など、具体的な施策の強化を図るとともに、新たに都市の強靱化を全庁挙げて進めるプロジェクトを立ち上げまして、検討を開始しております。
 これまで経験のない厳しい危機が起こり得る状況に対しまして、取組をさらに加速するため、このプロジェクトでは、気象、地理など各種のデータや被害想定等のシミュレーションに基づく検証を進めてまいります。
 長期的な視点から、都市の強靱化を実現するハードとソフトの具体的な施策を来年度中にまとめ次第、都議会にはお示しをしてまいりまして、そして、こうした施策を強力に展開することによりまして、東京の危機管理を万全に持っていきたい、このように考えております。

○ほっち委員 今、知事の答弁にありましたとおり、来年度、都議会にお示しになるということでした。都政の両輪として、闊達な議論をしていきたいというふうに思っております。
 首都直下地震をはじめとする大規模な災害が発生した際、復旧に向けて大きな課題となるのが災害廃棄物の処理であります。東日本大震災の際には、十三道県で約二千万トンの災害廃棄物が発生をしました。首都直下地震の際には、東京だけでその二倍の約四千万トンが発生すると推計されております。
 災害廃棄物は一般廃棄物であり、区市町村が処理の責任を負っています。しかし、基礎的自治体が単独で処理することは非常に困難です。
 例えば、倒壊した建物等の瓦礫や被災した方々が排出するごみは、区立公園などの一時仮置場に運ばれることになりますが、小規模な敷地では、すぐにあふれ返ってしまいます。
 また、清掃工場で生活ごみを処理しながら災害廃棄物も処理するとなると、莫大な時間を要します。都県境を越えた広域的な処理も必要となることはいうまでもありません。
 都は、こうした仮置場の設置や災害廃棄物の円滑な処理などについて、区市町村をしっかりと支援していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○栗岡環境局長 首都直下地震をはじめとする非常災害からの早期復旧、復興を図るため、時々刻々と変化する状況に対応しながら、災害廃棄物を迅速に処理することが重要でございます。
 都は、災害廃棄物処理計画によりまして、初動期から復旧、復興期までの処理の流れや、各主体の役割分担を示してございます。
 仮置場の設置運営は区市町村が行うこととしておりますが、被害状況によりまして、都が把握するオープンスペース等を利用できるよう、関係局と連携して取り組んでまいります。
 また、首都圏の自治体等が参画するブロック協議会におきまして、災害廃棄物の広域的な処理に向け、より迅速に広域連携体制を構築できるよう、共通の課題について継続的に情報共有を図りながら関係強化を進めてございます。
 被害想定の見直しを受け、来年度、計画の見直しを予定しており、円滑な処理に向け、さらに検討を深めてまいります。

○ほっち委員 大災害に際し、都民が一日も早く日常を取り戻すためには、災害廃棄物を円滑に処理することが必要であります。そのためには、平常時から区市町村との緊密な連携が不可欠です。
 加えて、陸路搬送だけではなく、先般整備した防災船着場の活用なども視野に入れておくなどの検討をすることも求めておきたいと思います。このことを指摘し、次の質問に移ります。
 新型コロナウイルス感染症が長期化する中で、医療提供体制も逼迫した状態が続いています。緊急事態には病床も医療人員も想定どおりに機能しないことを、私たちはこのコロナ禍で学んでまいりました。
 こうした情勢の中、大きな災害が発生した場合、現在の医療体制が正しく機能するのかといった不安の声が届いております。
 都内には八十四の拠点病院に加えて、都が独自に整備する百三十七の災害拠点連携病院があります。しかし、コロナの教訓に学べば、果たして正常に機能するのか改めて見直す必要があると思います。
 患者が殺到し、スタッフや病床が足りなくなることや、建物倒壊で救急車による搬送が円滑にできなくなる状況も予見されます。
 現在、被害想定の見直しが検討されています。この見直しに合わせて、感染拡大時も踏まえ、都の災害医療体制を改めて見直すべきだと考えます。見解をお伺いいたします。

○中村福祉保健局長 都は、首都直下地震等の大規模地震により、地域の医療機能が低下した場合に必要な医療救護活動を適切に行うための活動指針として、平成二十九年度に改定した災害時医療救護活動ガイドラインに基づき、災害医療体制を構築しております。
 一方、豪雨災害や地震に伴う浸水、停電等による被害や新型コロナウイルスなどの感染症の拡大時にも対応できる災害医療体制の再構築が必要となっております。
 このため、新たな被害想定を基に、専門家等の意見も聞きながら、ガイドラインの見直しを検討してまいります。

○ほっち委員 近年、全国各地で大規模風水害が毎年のように発生をし、東京でも、いつ風水害が発生してもおかしくありません。
 特に東京の東部低地帯は、ゼロメートル地帯をはじめ、低い地域が広がっており、荒川や江戸川といった国が管理する大きな河川が上流から東京湾に流れ、大雨による河川の洪水による氾濫と、大型台風接近による海からの高潮の脅威にさらされ、大規模風水害のリスクが高い地域となっています。
 首都直下地震や火災等にとどまらず、水災時において消防庁の職員はもちろん、消防団の活躍も求められます。
 そこで、水災時において消防団員が効果的に活動する方策はいかにあるべきか、各区の消防団運営委員会からの答申内容も踏まえ、水災時の消防団活動の在り方と今後の取組について、東京消防庁の見解をお伺いいたします。

○清水消防総監 水災時における消防団活動の原則は、消防署隊と一体となって、各種の災害や人命危険のある事象の対応に消防力を集中させ、被害の軽減を図ることを最優先としております。
 また、答申内容を踏まえ、来年度は特別区消防団のさらなる活動力の強化を目的とし、胴付長靴のほか、長時間の活動にも対応できるよう、寝袋を各分団本部に配置する予定でございます。
 今後とも消防団員等の意見を聞きながら、水災時における活動体制のさらなる充実強化に努めてまいります。

○ほっち委員 引き続き、活動体制のさらなる充実に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 首都直下地震と違い、水害への備えは、数日前から避難準備や防水への対応を備えることができます。その中で、例えば災害弱者といわれる要支援者を避難所へ誘導するに当たっては、私自身も消防団員の一人でありますが、ふだんから顔が見える地元の方を中心に組織をしている消防団等が望ましいというふうに考えます。
 消防団の連絡網を駆使するなど、柔軟な対応を行うことで、一人でも多くの命を救うことにつながります。意見として申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 災害において、事前の備えだけではなく、被災者の速やかな生活再建も大変重要な課題であります。首都直下地震が発生した場合には、被害規模は、これまでの災害とは比較にならないほど大きく、復興にも多くの時間を要することが想定されます。
 我が会派はこれまでにも、発災直後の被災者の円滑な生活再建を支援するために、必要な罹災証明にデジタル技術を活用することを提案してまいりました。この技術が導入されれば、今まで経験が浅い区市町村職員が担うこともあった住家被害認定調査が、より迅速かつ効率的に行われることとなり、調査を行う区市町村職員の負担軽減や被災者の生活再建の円滑化が期待できます。
 そこで、罹災証明へのデジタル技術の導入に関し、現在の進捗状況と来年度の取組についてお伺いをいたします。

○村松総務局長 罹災証明の発行手続のデジタル化に向けまして、今年度から、都市防災や地震工学等の専門家や、国、自治体の防災担当者等で構成する研究会を設置しております。
 現在、この研究会では、罹災証明を迅速に発行するための支援ツールの開発に向けまして、熊本地震など過去の災害で実際に被災した家屋の画像を取り込んで、AIに損傷程度の判定を行わせる技術実証を行っているところでございます。
 この技術実証では、家屋の損傷箇所の特定度合いによってAIによる判定が困難となる場合があることが確認できました。
 来年度からは、判定する精度を向上させるため、サンプル画像を追加し、AI学習を積み重ねるとともに、損傷箇所を特定するための手順を改良するなど、令和五年度の運用開始に向け、取組を加速させてまいります。

○ほっち委員 運用開始に向けて、着実に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、復旧、復興を支える建設人材についてお伺いをいたします。
 建設業は、インフラ整備や更新、道路のメンテナンスなど、ハード面で都政を支えるだけでなく、大規模災害時には、道路上に放置された車両や瓦礫等の障害物を早急に除去し、緊急車両の通行を確保するとともに、その後の復旧を行うなど、この首都東京において重要な産業であります。
 しかしながら、東京が今後も発展していくために必要な建設業の若手技能者の確保は深刻な状況が続いています。
 都は現在、職業能力開発センターにおいて、建設現場でニーズが高い鉄筋施工や型枠施工などの様々な職業訓練を実施し、若手の技能者を育成しています。しかし、就職率は約八割と非常に高いものの、こうした建設関連の職業訓練を希望する若者はなかなか集まらない状況であります。
 そこで、首都強靱化を支える建設業における人材確保に向けて、都もその仕事や魅力を発信し、特に子供たちや若者に興味を抱いてもらう取組を実施すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 建設業の人材確保に向けては、新たな担い手となる若者や子供に対し、その仕事への関心を高めることのできる取組が重要でございます。
 このため、都は、建築大工や左官など、建設業やものづくり産業の熟練技能者がたくみの技を実演し、その魅力を発信するものづくり・匠の技の祭典を毎年開催しているところでございます。
 このイベントでは、会場内に建設業の様々な技能をPRするエリアを設置し、木工教室など、技能を体験する機会を設けているところでもございます。
 来年度は、ものづくり技能に関するポータルサイトやSNSを通じて、建設業で働く若者が活躍する姿を紹介するなど、情報発信を強化いたします。
 これらの取組によりまして、建設業の魅力を効果的に発信し、若者等の関心を向上させてまいります。

○ほっち委員 次に、中小建設業界においては、人材の定着も課題となっています。せっかく採用しても、すぐに離職をしてしまうケースも多いというふうに聞いております。
 建設業における新規高卒者の三年目の離職率は約五割で、全産業の離職率を常に上回っているのが現状であります。特に中小の事業者では、昔ながらの徒弟制度を続けており、適切な人材育成や指導がなされていない現状もあります。
 また、一方で、私の知人の建設業経営者には、従業員間の積極的なコミュニケーションや、一年を経過した時期に給与や保険などの待遇で積極的に報いるなど、適切なマネジメントを行うことによって定着につなげていると、急成長しているという成功例もあります。
 そこで、建設業界の中小企業が行う人材の定着に向けた取組を支援していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 建設業種の中小企業が若手の人材の定着を進めることのできるよう、業界団体を通じて支援を行うことは効果的でございます。
 このため、都は来年度から、様々な業界の人材の確保や定着に向けて、各団体からの要望を踏まえたオーダーメードの支援を十五の団体に提供いたします。建設関連の業界団体等に対して、この事業の活用を促し、人材の定着に向けたマネジメントを学ぶセミナーや、若手従業員の効果的な指導方法を習得するプログラムを実施いたします。
 こうした支援を通じまして、建設業における人材の定着等を促進してまいります。

○ほっち委員 しっかりと取り組んでいただきたいというふうにお願いさせていただきます。
 次に、財政運営についてお聞きをさせていただきます。
 昨日をもって、二か月にも及んだ蔓延防止等重点措置がようやく終了の運びとなりました。しかしながら、この間の度重なる行動制限、また時短要請により、既に飲食店や特に観光業など、多くの事業者は疲弊し切っております。客足もすぐに戻るとは思えず、多くの事業者は、売上げ不振により、いつ事業継続を諦めてもおかしくない厳しい状況にあります。都として感染防止対策に取り組むことは当然でありますが、これからは収益回復に直結する事業者支援も含め、社会経済活動の継続にもっと軸足を置いていただきたい。
 今回、都は、ウクライナ危機の影響を受けた事業者支援の補正予算を追加しました。この件に関しても、もちろん重要な取組ではありますが、コロナ禍で大きなダメージを受けている事業者とは、業種や業態など異なる部分も多く、それぞれに対して寄り添った支援策が必要であります。
 いずれにしても、今求められるのは、コロナ禍や原油価格高騰の影響を受ける都内の中小事業者それぞれの声を酌み取り、これだったら頑張ってみようと思えるような、十分かつ効果的な支援策であると思います。
 幸いにも税収は回復をし、都財政もいっときの危機的状態を脱しました。コロナ禍や原油、原材料価格高騰など、それぞれの影響を受ける事業者ごとの実態を踏まえた支援に向けて、今後さらに効果的な財政出動を行うべきと考えますが、小池都知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 長引くコロナ禍の影響、そして、今回のウクライナ危機に伴います経済情勢の悪化などによって、様々な業種の中小企業が厳しい経営環境に置かれています。
 都内経済を守り抜くためには、こうした事業者の方々の実情に応じまして経営を下支えし、事業展開を後押しするなど、実効性のある手だてをきめ細かに講じることが必要です。
 こうした考えの下で、コロナ対策として当初の予算に盛り込みました飲食店等への経営改善などの支援に加えまして、今般、原油価格高騰等によって影響を受ける製造業であるとか、農業者などを支援するために追加で補正予算を編成しまして、必要な対策を迅速に実施するところでございます。
 その上で、中小事業者が置かれた状況を踏まえながら、これまで培ってきた財政対応力も活用しまして、今後も必要な対策にしっかり財源を振り向けまして、機動的に対応してまいります。

○ほっち委員 今、都知事からご答弁いただきましたけれども、必要な対策を迅速に実施していくという答弁がありました。
 今回の補正予算、説明等々もお伺いをさせていただきました。そして、その内容も資料も読ませていただきましたけれども、その中で脱炭素化に資する取組の三十五億円、このようなことが計上されておりました。
 国難の今、果たしてこの脱炭素化がウクライナ危機に必要なのか。この三十五億円というものは、果たして本当に必要なのかと、私自身にとっては、元の予算を膨らませたものではないのかなという違和感を感じさせていただいています。
 皆さんがどう思うか、そして都知事もどう思うかということをお聞きしたいなというふうな思いもありますが、時間の関係上、指摘にとどめさせていただきたいと思います。
 我が国では、昨年十二月から三回目の接種が開始をされておりますが、G7の中では下から二番目の接種率であり、遅れている状況にあります。
 こうした中、都は先週、区市町村ごとの接種率を公表しました。都民に追加接種の進捗状況を正しく理解していただき、早期の接種にご協力をいただくためには、大変有効な手段だというふうに思います。
 重点措置は解除となったとはいえ、年度末は人の動きも増加をします。先日も厚生労働省の専門家会合にて、感染力がより強いとされるオミクロン株のBA・2系統への置き換わりが進んでいるとして、感染再拡大の可能性も示唆がありました。
 引き続き、都全体として接種のスピードアップを図るべきだと考えますが、加速化に向けた都の取組についてお伺いをさせていただきます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、ワクチンチーム等を通じ、住民接種の主体である区市町村と連携するとともに、十四か所の大規模会場を運営するなど、一体となって接種を推進しております。
 三回目接種をさらに加速するには、都民の接種への理解が重要でありまして、東京iCDCの専門家の知見を踏まえて、効果や副反応等に関する動画を新たに作成するほか、モニタリング会議の場なども活用し、交互接種の安全性等を引き続き広く発信してまいります。
 また、区市町村の接種状況を随時把握しつつ、自治体からの意見や要望を踏まえ、精力的に支援してまいります。
 さらに、一、二回目接種を都の大規模会場で受けた方や職域接種を行わない企業、大学等に対し、都の会場での接種をご案内してまいります。
 こうした取組により、都全体で接種を加速してまいります。

○ほっち委員 今、自治体からの意見や要望を踏まえ精力的に支援をしていくというふうな答弁でありました。優先順位や方法など、具体的にどのような支援をやるのでしょうか。
 東京都は、高齢者施設でのワクチン接種を促進するため、ワクチンバスを運行しております。
 例えば、遅れている自治体や地域に対して、ワクチンバスを優先的に配備するなど、十分実現可能な取組だというふうに考えますが、都の見解をお伺いさせていただきます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、区市町村とのワクチンチーム会議で、ワクチン供給に関する情報の早期展開や、追加接種に関する好事例を紹介するなど、各自治体を積極的に支援しております。
 こうした取組の一環といたしまして、先月中旬からワクチンバスの運行を開始いたしまして、高齢者施設等の入所者や、西多摩地域の山間部の高齢者等を対象に追加接種を行うなど、都民のニーズに寄り添った取組を展開しております。
 高齢者施設等への接種が順調に進んでいることから、明日には、地元自治体と連携し、奥多摩町で新たに小児接種を実施する予定となっており、引き続き各自治体の声を丁寧に聞き取り、区市町村からの要請等に応じて、ワクチンバスの派遣について調整をしてまいります。

○ほっち委員 契約の方、今月までというふうなお話も伺っていますけれども、契約をさらに延ばして、今やるべきこと、ワクチン接種を希望する方ができる限り速やかに接種できるように、都も精力的に区市町村の後方支援、またワクチンバス等々も活用していただくことを強く要望させていただきます。
 本日より、蔓延防止等重点措置が解除されました。都はこの間、新型コロナの医療提供体制の確保を進めてきましたが、三月十日のモニタリング会議では、救命救急センターにおける一般の重症患者のための病床が不足していることが指摘をされたところであります。
 都が公表した直近の数値を見ると、三月十六日時点の救命救急センター内の重症者用病床使用率は七七・二%に上がっています。
 知事は当面、コロナ対策として、レベル三の医療体制を維持していくとおっしゃっていましたが、今後は緊急医療体制をしっかりと確保した上で、新型コロナの医療体制と通常医療の両立を図っていくことが重要と考えます。
 そこで、今後の医療提供体制について見解をお伺いいたします。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 現在、重症病床使用率等は低下傾向にあるものの、年度替わりで人の動きが活発化する時期に加え、新たな変異株への置き換わりなどが懸念されるため、当面は現行の医療提供体制を維持してまいります。
 一方、都内二十六か所の救命救急センターに対しては、コロナ用の重症用病床の稼働状況を踏まえまして、コロナ以外の救急患者の受入れに転用するよう依頼し、通常医療の患者受入れ体制を強化してまいります。
 引き続き、感染状況に応じまして、コロナ医療と通常医療の双方が適切に確保されるよう取り組んでまいります。

○ほっち委員 厳しいかじ取りだと思いますけれども、しっかりと状況を見て対応していただきたいというふうに思います。
 先日の代表質問では、ロシアの侵攻を契機とするウクライナ危機の影響を受ける中小企業や農林水産事業者への支援についてお伺いをさせていただきました。
 知事からは、金融と経営の両面からの対策を迅速に講じる、また、スピード感を持って機動的、弾力的に対応していくとの答弁をいただいたところであります。
 ウクライナ情勢は引き続き緊迫した状況が続いています。原油高や穀物価格の上昇などにより、至るところで事業者の経営に影響が出ています。
 こうした状況に対し、都は迅速に対策を講じるとともに、状況変化があった場合には、柔軟に対応する姿勢が必要であると思います。
 ウクライナ情勢は長期化の様相を見せており、事業活動に大きな影響を受ける中小企業や農林水産の事業者に対し、ニーズに即した適切な支援を充実させる必要があると考えますが、改めて知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 今回のウクライナの情勢によって、原油、そして穀物などの安定供給に支障が生じ、都内経済への影響の長期化も懸念をされております。東京の産業を担う中小企業、そして農林水産の事業者の経営を支える施策を先手先手で打ち出すことは必要であります。
 中小企業の経営の命綱である資金繰りの支援を、より一層手厚く行ってまいります。原油高の影響を受ける製造業や穀物価格の上昇に直面する食品関連事業者に対しまして、コスト引下げに向けた支援を強化いたします。
 畜産用の飼料や漁船の燃料の値上がりによります負担を軽減する支援も着実に進めてまいります。デジタル技術を活用して、農業者のEコマースや漁場の特定に役立つ海洋情報の漁業者への提供によって、経営の効率化を後押ししてまいります。
 今後も都内経済への影響などを注視しながら、必要な施策を着実に講じてまいります。

○ほっち委員 東京都は事業者が求めている適切な支援策を本気で考えているのかというような、悲痛な事業者の声が我々にも届いております。皆さんもそうした声にも真摯に耳を傾けるよう、強く求めておきたいと思います。
 ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、原油価格の高騰に加え、世界有数の小麦の生産国であるロシアやウクライナから、農作物の安定的な供給が困難となっており、国際的にも小麦価格などが高騰しています。
 機械部品などを製造する中小企業は、工場の稼働などに原油価格の高騰の影響を受けやすく、また加えて、食品製造の企業は、小麦などの価格上昇により、経営への負担増が余儀なくされるなど、ものづくりに携わる中小企業は厳しい局面に立たされております。
 先日、都は、原材料価格の高騰に苦しむ食品関連の組合などへの新たな支援や中小製造事業者の固定費を削減する支援の拡充を行うと公表しましたが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。

○坂本産業労働局長 都は、小麦など穀物価格の上昇の影響を受ける食品関連の事業者に対しまして、コストの削減に向けた取組を後押しする緊急的な支援を新たに実施いたします。
 具体的には、食品製造業の組合などにアドバイザーを派遣して、経営上のコスト削減に向けた助言などを行います。
 また、小麦などの材料の仕入れ先を新規に開拓するための商談会の実施や、組合による共同購入で必要となる倉庫の借り上げなどの経費につきまして、その五分の四を、三百万円を上限に助成する取組を開始いたします。
 さらに、原油高で影響を受ける中小製造業に対しまして、電力などの固定的なコストを減らす設備等の導入への助成について、経営への影響の長期化が懸念されるため、支援の規模を大幅に拡大いたします。
 こうした取組によりまして、厳しい状況に直面する中小企業を適切にサポートしてまいります。

○ほっち委員 本当に事業者の皆さんの声というものをしっかりと聞いていただきたいというふうに思っております。
 次に、ウクライナ侵攻を契機として、企業を取り巻く様々なリスクが顕在化しています。その一つがサイバー攻撃です。コロナ禍において企業のDX化が進み、中小企業でもテレワークなどを導入する事例が増えています。
 一方で、本来であれば業務のデジタル化と両輪となるべきセキュリティ対策は、十分ではありません。家庭などに持ち帰る各従業員の端末まで、きめ細かい対策を講じることは難しい状況であります。
 先日、都は、サイバーセキュリティ対策を支援する新たな取組を公表しました。実施に向けて、中小企業のこうした実態を踏まえ、さらにきめ細かい支援が必要と考えます。具体的な取組についてお伺いをいたします。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢の中で、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化の重要性が一層明確となったところでございます。
 こうした中、都は、中小企業がデジタル化を安全な環境で進めることができるよう、緊急的な支援を実施いたします。
 具体的には、サイバー攻撃に関する特別相談窓口を設けるほか、中小企業の従業員が使うパソコンを常時チェックし、攻撃があった場合には、被害を最小限に食い止めるサービスの提供を行います。このサービスは、中小企業百社、延べ三万台のパソコン端末を対象に行うことといたします。
 さらに、中小企業が攻撃を速やかに確認できるシステムや機器を導入する場合の経費につきまして、その経費の二分の一を、一千五百万円を上限に助成をいたします。
 これらによりまして、中小企業のサイバーセキュリティ対策の向上を後押ししてまいります。

○ほっち委員 海外に比べると、まだまだ大変遅れているというふうな指摘もありますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 先週の水曜日、岸田総理大臣から、今後の観光需要喚起策についての発言がありました。蔓延防止等重点措置の終了に伴い、県民割の支援対象を四月一日に地域ブロックへ拡大するという趣旨であります。
 都は、昨年度実施した都内観光促進事業については、令和三年第四回定例会において六十万泊分の補正予算を計上し、昨年度分と合わせて約百万泊分の予算を確保しております。都内の観光事業者からは、本事業を速やかに実施してほしいという声が我が党にも届いております。
 そこで、都はこうした声を受け止め、今後の都内への誘客の再開に向け、島しょ部も含めてどのように取り組むのか、また、そのための準備をどのように進めるのか、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 観光産業でございますが、東京の観光産業は、コロナ禍の影響で厳しい状況が続いて、観光の再開への期待は高まっているところでございます。
 国のGO TOトラベル事業と併せて、都民の都内観光を後押しする、もっとTokyoの実施についてでありますけれども、感染症のリバウンドに警戒をしまして、その状況を見極めながら、専門家の意見も聞き、慎重に判断することが大切と考えております。
 こうした考え方に立って、島しょへの旅行者が宿泊や買物で利用のできる商品券、しまぽ通貨を販売する事業の実施も慎重な判断が必要と考えております。
 東京への旅行者誘致の再開に向けてでございますが、事業者が宿泊施設の改修など、受入れ環境の整備を事前に行う取組を後押しするほか、適切な時期に支援を速やかに開始できますように準備を進めております。

○ほっち委員 今、知事の答弁にもありましたとおり、大変厳しい状況、業界の声というのも、都知事も耳にされているということであります。
 やはり業界の方々は非常に困っております。実際、経済と医療体制、両方しっかりと維持していかなければいけない。そして、両方とも回していかなければいけない。本当に大変な厳しいかじ取りだというふうに思っています。
 どうか東京の長として、しっかりとリーダーシップを発揮していただいて、これからも東京の長として頑張っていただきたい。そして何よりも、国に委ねるのではなく、東京の長として、知事の決断に期待をしたいなというふうに思っております。
 先日の予算特別委員会でも、ウクライナ情勢の影響を受ける農林水産事業者への支援について取り上げましたが、その後も先行きは見通せず、原油価格の高止まりも続いています。
 漁業者からは、燃油価格の急騰と漁獲量の減少やコロナ禍に伴う魚価安とが相まって、これまでにない厳しい経営状況との声が多く寄せられております。
 漁業者へ燃料を供給している東京都漁業協同組合連合会によれば、直近の燃油の供給価格は、前年同期の一・五倍以上に高騰しているほか、島しょ地域の主要魚種であるキンメダイの昨年の漁獲高は、コロナ禍以前に比べ約二割も減少しているということであります。
 漁業は、一次産業の中でも特に生産コストに占める燃油費の割合が高く、原油価格の高騰の影響を強く受ける産業であります。
 こうした漁業者の負担を軽減し、漁業者が安心して操業を行えるよう、対策を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 都は、燃油の価格上昇の影響を受ける漁業者の負担を減らすための支援を行っているところでございます。
 具体的には、燃油価格が一定の基準を超え、上昇した部分に補填を行う国の積立金制度につきまして、漁業者が負担をする積立金の三分の二に助成をしているところでございます。燃油価格の高騰が続く中、この支援を四月以降も延長して実施をいたします。
 また、漁船の燃料の削減につながる効率的な操業を後押しするため、伊豆諸島の海域で海水の温度や海流などを予測して、漁場を決める際に役立つ情報を提供するシステムの運用を前倒しいたします。これに加えまして、このシステムについて新たに小笠原諸島の海域も対象といたします。
 これらによりまして、漁業者の事業運営を着実にサポートしてまいります。

○ほっち委員 漁業では、生産コストのうち、燃油費の割合が一〇%から三〇%を占めるといわれ、原油価格高騰の影響は深刻であります。島しょ地域では、これからの季節、漁業の盛漁期を迎えることから、漁業者が安心して漁を行い、安定した経営を行えるよう、一層の支援が必要というふうに考えます。
 漁船用燃油価格への影響を緩和するため、漁業者に対する燃料購入費の支援に加え、漁業収入が減少した際に補填される国の共済制度への加入促進に向けて掛金の支援を行うなど、都としてのさらなる取組の強化を要望しておきます。
 そして、ウクライナへの人道支援について一言申し上げます。
 政府は、ウクライナからの避難民に対し、就労が可能な一年間の特定活動への変更を認める方針を示しました。これによって住民登録も可能になり、都も就労支援を進めていくべきだというふうに思います。
 また、就労するとなれば、職場環境の整備やワクチン接種も検討が必要です。都営住宅に入居の際には家具セットも用意されているとのことですが、こうした課題に対し、都は、国を牽引して取り組むといった気概を示すべきだというふうに思います。
 こうした姿勢こそ、国際都市東京、首都東京に期待される人道支援だと考え、このことを指摘して、次の質問に移らせていただきます。
 東京二〇二〇大会のレガシーについて伺います。
 先日の委員会でも質疑をしましたが、パラスポーツが脚光を浴び、社会に広まったことは大きなレガシーです。この機運を絶やすことなく、パラスポーツへの興味、関心を一層高め、スポーツを通じた共生社会を目指していくことが肝要です。
 パラスポーツには、例えば聴覚障害者や知的障害者の競技スポーツも含まれており、その魅力を広めていくことが大切です。
 そして、聴覚障害者にはデフリンピック、知的障害者にはスペシャルオリンピックスという総合的な国際大会もあります。特にデフリンピックについては、二〇二五年東京招致を目指している団体が今月二十五日に集会を予定しているようですが、デフリンピックについては、これまで議会の場で、小池都知事にご自身のお考えを聞いた機会がありませんでした。
 そこで、知事のデフリンピックについての認識についてお伺いをいたします。

○小池知事 社会のあらゆるバリアをなくして全ての人が輝ける社会を目指すには、様々な障害に目を向けて理解し合うことが大切です。
 ご指摘のデフリンピックでございますが、聴覚障害者による総合的な国際大会で、このような大規模な国際大会の実施に当たっては、まず国の財政支援などをはじめ、様々な関係者の協力が必要でございます。
 これまでデフリンピックというのは、聴覚障害者のスポーツの振興、そして社会参画の促進に寄与してきたものでございまして、選手が競い合い、躍動する姿を通じて、ろう者やろう文化への理解が深まり、聞こえる人と聞こえない人の交流が進む、多様性の大切さを発信する機会となることでありましょう。
 パラスポーツの一層の発展とともに共生社会の実現につながる、このように認識をいたしております。

○ほっち委員 知事のデフリンピックについての認識は分かりました。確かにデフリンピックは、共生社会の実現に向けた重要な大会であると思います。
 大きな国際大会を開催するには、我々都議会も一致団結して取り組んでいくべきであり、しっかりと準備が必要であります。
 そこで、パラリンピックの二十二競技は東京大会を経験していますが、それ以外のパラスポーツの国際大会はどうなっているのか。都は調査をされていますが、その内容についてお伺いをいたします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は令和元年度から、パラリンピック競技以外のパラスポーツの国際的な大会の開催主体となる統括団体や単一競技の競技団体を対象に、体制や運営実態などについて調査をしてまいりました。
 各団体は、成り立ちや規模が異なるものの、それぞれSNS等を活用した情報発信や、選手の育成などに取り組んでいることが確認できました。一方で、いずれの団体も認知度向上や競技人口の拡大に課題を抱えておられました。
 また、調査した団体は、国際大会への選手派遣は行っているものの、自国での国際大会の開催には財政や組織体制に課題があり、国内大会の開催のみにとどまっておられました。

○ほっち委員 パラスポーツの競技団体は、様々な悩みを抱えているということです。都は、こうした悩みに応えるとともに、それ以外の団体の活動も発展するよう支援を求めておきたいと思います。
 そこで、都は、こうした声を踏まえ、聴覚障害者や知的障害者など様々なパラスポーツを対象として、観戦の機会となる国際大会や、それにつながる国内大会の開催を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 パラスポーツへの関心を高めるためには、実際に競技を見て、その魅力を知っていただくことが重要でございます。
 都はこれまで、国際大会の開催を促進するため、特にパラリンピック競技を対象に支援を行ってまいりました。
 大会後は、本制度を拡充し、新たに聴覚障害者や知的障害者のスポーツなど、パラリンピックで実施されていない競技を対象に加えたほか、支援上限額も拡大してまいります。
 また、全国大会なども含め、都立施設の優先受付や利用料金の減額のほか、大会の情報発信や広報協力などの支援を今後も実施してまいります。
 こうした取組を通じ、パラスポーツの普及発展につなげてまいります。

○ほっち委員 大会招致と併せて取り組むべきは、パラアスリートの育成であります。トップレベルのパラアスリートが躍動する姿、力の限りに戦う姿に多くの方が魅了されました。ましてや、東京にゆかりのあるアスリートなら応援にも一層熱が入ります。
 先日閉幕した北京冬季パラリンピックでも、都立特別支援学校出身の森井大輝選手をはじめ、東京にゆかりのある選手の頑張りに、私も精いっぱいのエールを送り続けさせていただきました。
 今後も東京の若い世代の選手が力をつけ、世界の大きな舞台で活躍することを強く願っております。
 そこで、都として、東京ゆかりのパラアスリートを発掘、育成し、活躍を後押しするべきだというふうに考えますが、都の取組を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、国際大会で活躍する東京ゆかりのパラアスリートを輩出するため、選手の競技力向上に取り組んでおります。
 来年度は、パラアスリートを目指す方を対象とした選手発掘の競技体験会をより多くの方が参加していただけるよう、区部と多摩地域で実施いたします。参加者には、競技団体の練習会等への案内を行うなど、本格的な競技活動につなげてまいります。
 国際大会への出場が期待される東京ゆかりパラアスリートにつきましては、競技活動費の補助に加え、新たに選手のニーズに合わせたパーソナルトレーニングの受講に係る経費も上乗せして支援してまいります。
 こうした取組により、今後とも、パラアスリートの発掘、育成、強化に積極的に取り組んでまいります。

○ほっち委員 東京大会を通じて、スポーツ施設のバリアフリー化が進みました。今後、これらの施設を活用し、様々なパラスポーツ大会の開催を目指す中にあって、大会を契機にパラスポーツに関心を持った方が、一人でも多くアスリートとして活躍できるよう、都としてしっかりと支援をしてもらいたいと思います。
 都教育委員会では、子供たちがパラリンピアンとの交流やボッチャなどの障害者スポーツに親しめるよう、各学校で組織的、計画的に展開をしてきました。かけがえのないレガシーを残すためには、大会後も教育活動として発展させていくことが大切であります。
 東京二〇二〇大会のレガシーを生かした取組の一つとして、障害者理解に向けた活動が挙げられます。
 子供たちが障害者理解を深め、共生社会の実現を図っていくためには、障害のある子供と障害のない子供の学校間交流の機会を増やし、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育んでいくことが重要であります。
 学校間交流の機会の拡充に向けて、eスポーツを介した交流など、多様な方法を用いながら、オンラインを使った交流を活性化させていくことは大変有効だと考えますが、都教育委員会の今後の取組についてお伺いをいたします。

○藤田教育長 都教育委員会は、都立特別支援学校が地域の小中学校などと運動会や学習発表会等に共に取り組み、児童生徒の相互理解を図る活動を推進しているところでございます。
 一部の学校では、オンラインを活用し、児童生徒によるお互いの学校の様子の紹介や、海外の学校と生活や文化を紹介し合うなどの交流が行われてきております。
 こうしたことから、今後、双方の距離を問わずに交流できるオンラインの利点を生かし、多くの学校や海外も視野に入れた交流などを行ってまいります。
 加えて、交流内容の充実を図るため、児童生徒の障害の程度に応じて、eスポーツ等の多様な活動を取り入れるなど、実施方法について工夫してまいります。

○ほっち委員 オリ・パラ大会を契機に、東京には新たなスポーツ施設が整備されました。さきの委員会でも質疑をしましたが、これらは都民が健康で豊かな生活を送るために重要な、貴重な財産であります。
 今後、スポーツ文化を都内で広げていくためには、こういった競技施設も最大限生かし、地域住民や企業と一体となった新たな形でスポーツに触れる機会を設けるべきだと考えますが、見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇大会を契機に高まったスポーツの機運をさらに高めていくためには、地域と連携し、スポーツに触れる機会を増やしていくことが重要でございます。
 このため、多くの競技施設が集まる臨海部におきまして、そのレガシーを生かすとともに、都民や企業の参画を呼びかけ、地域一体となってスポーツを楽しめるイベントを来年度実施いたします。
 競技会場に加え、駅周辺などの公共空間や商業施設等で様々なスポーツ体験ができるようにするほか、DXなども取り入れ、訪れた誰もがその楽しさを実感できるものとしてまいります。
 こうした取組を通じ、スポーツをより身近なものとして広げてまいります。

○ほっち委員 本来ならば、特に臨海部は、大会時にはまち全体がスポーツ一色となり、大いに盛り上がるはずでありました。昨年は実現できませんでしたが、来年度は施設のみならず、住民や企業などが一体となって、地域でスポーツを楽しむ文化を醸成し、その定着に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 障害者スポーツ大会の開催支援やアスリートの育成、地域と一体となったスポーツ振興など、今後の重要なスポーツ施策について質疑を行いました。
 最後にもう一つ、大会のレガシーにつながる大規模な国際大会、世界陸上選手権について伺います。
 報道によると、二〇二五年に開催される世界陸上について、日本陸連が日本への招致を表明しているとのことであります。
 東京での開催が実現をすれば、国立競技場を中心に世界最高峰の陸上競技大会が繰り広げられることになります。まさに、二〇二〇大会のレガシーとなると考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会後も、東京のスポーツ振興や都市のプレゼンスの一層の向上を図るために、東京での国際大会の誘致、開催を支援いたしております。
 世界陸上競技選手権は、二百を超える国、そして地域から二千名のトップアスリートが集まる世界最高峰の陸上競技大会でございまして、日本陸上競技連盟が二〇二五年の日本での開催を目指している、そのことについては承知をいたしております。
 国内における開催場所をはじめとした計画の詳細については、現在、日本陸連の方で調整中と聞いております。具体的なお話がございましたならば、東京はもとより、日本全体の活性化にも寄与する、そういったことなどから、どのような支援ができるのか検討してまいります。
 今後も様々な国際大会の開催を通じまして、スポーツフィールド東京の実現に取り組んでまいります。

○ほっち委員 日本陸連において調整中で、都の支援は検討中とのことでした。現段階で具体的な答弁ができないのは分かりますが、世界陸上の重要性をご理解いただき、日本陸連や国とも連携をし、東京開催に向けて果敢に取り組んでいただきたいと思います。
 世界陸上や先ほどのデフリンピックの開催は、名実ともに東京を世界で一番の都市へと押し上げることにつながります。
 コロナの先に、スポーツの力で東京、日本に改めて元気を取り戻すための旗印とすべきです。ラグビーワールドカップ、そして二〇二〇大会を開催した経験を生かし、国や区市町村、競技団体とスクラムを組み、オールジャパンで取り組んでいただくよう求めておきます。
 また、都政の両輪である我々都議会としても、会派を超えた協力が必要であります。併せて皆様にもお訴えをさせていただき、次の質問に移ります。
 東京二〇二〇大会は、開催が危ぶまれる中、感染防止対策、競技環境の安全確保、選手村でのきめ細かい配慮などの対策を講じたことで、国内外から高い評価と信頼を得ることができました。
 コロナ禍で、改めてスポーツのすばらしさを世界に示したことで、競技人口の拡大にとどまらず、多様な価値を社会に根づかせることもできたと思います。
 この間、国際的な調整や国内自治体との連携、そして、無観客開催という条件の中、懸命に国内外におもてなしの精神を発揮してきた多くの都職員の得難い経験と知見は、都の貴重な財産であり、スポーツ行政はもとより、今後の都政運営に生かすべきであります。
 東京都は、この貴重な人材をどのように活用していくのか、小池都知事に見解を伺います。

○小池知事 コロナ禍、そして一年の延期、そして無観客という前例のない状況の下で、東京二〇二〇大会は成功裏に開催することができました。
 大会運営に携わってきた職員は、様々なバックグラウンドを持つ人材との協働や、国内外の多様なステークホルダーとの調整など、都庁内では得難い数多くの経験を積んでまいりました。
 こうした知識、経験は、大会を運営した職員しか持ち得ない財産でもございまして、今後の都政を変える原動力になり得るものであります。
 この人材を、スポーツ振興はもとより、共生社会やサステーナブルリカバリーの実現など、様々な重要課題に積極的に活用することで、都政の発展につなげてまいります。

○ほっち委員 幾多の困難を乗り越えて開催された東京二〇二〇大会では、各選手が必死に積み重ねてきた努力、公正なルールの下でのフェアプレー、自身の限界に挑戦する姿、そして、競技終了後は人種、民族、国籍を超えてたたえ合うというスポーツの持つ魅力と感動に触れることができました。
 こうしたスポーツの持つ公正さ、自己研さん、寛容さこそ、東京が未来に残すべきレガシーであり、都庁組織もしっかりと受け継ぐべき精神です。
 オリ・パラ準備局は、オリンピックのためだけの組織だったわけではありません。障害者スポーツ、地域スポーツ、国際スポーツの振興など、東京のスポーツ振興全般を所管する局でありました。
 東京大会は終了したとはいえ、このタイミングでいきなり局全体を廃止して生活文化局と統合するということですが、スポーツの価値を広め、多岐にわたるスポーツ行政の課題を解決するため、新しい組織では、今後、具体的にどのように施策を展開していくのか、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会を成し遂げ、次なるステージを迎えた今、都は、ハードとソフトの様々なレガシーを発展させて、多様性と包摂性にあふれた未来の東京をつくり上げていかなければなりません。
 新設する生活文化スポーツ局におきましては、大会で得たスポーツと、そして芸術文化のつながりを日常に溶け込ませ、豊かな都民生活を実現するべく、積極的に施策を展開してまいります。
 そして、最新の国際水準の設備を有します新規恒久施設等でございますが、各施設のそれぞれの特性に基づいて、スポーツはもちろん、エンターテインメントやユニークベニューなど多様な活用を図るとともに、大会の運営経験も生かしまして、国際スポーツ大会の誘致、開催を促進いたします。
 また、大会一周年の機会を捉えまして、子供たちにパラスポーツの観戦機会の提供や東京レガシーハーフマラソンの開催など、大会のレガシーの発信と併せまして、スポーツの価値を伝えて、関心を高める取組を推進してまいります。
 新たな体制の下で、スポーツレガシー、そして大会の成果をかけがえのない感動や記憶とともに、次の世代へとしっかりと引き継いでまいります。

○ほっち委員 ご答弁ありがとうございます。そもそも今の生活文化局だけでも大きな組織にもかかわらず、統合によりさらに肥大化することが、果たして組織改編にふさわしいとは、私自身、到底思えないことを指摘し、東京スポーツのさらなる繁栄を願って、次の質問に移ります。
 パラリンピックのレガシーとは、障害者スポーツの振興に限りません。働く意欲のある障害者が積極的に社会に進出し、活躍できる環境を実現することも、私たちが考えるレガシーの一つです。
 都内の民間企業における障害者の雇用率は二・〇九%と継続的に上昇してきてはいるものの、いまだ法定雇用率を下回っている状況であります。
 一方、コロナ禍の長期化により多くの企業でテレワークが定着しました。障害者の方の中には、通勤に係る負担や慣れない職場環境への不安が就労の障壁となっている場合も多く、テレワークの普及は働き方の可能性を広げることとなります。また、企業にとっては障害者雇用を拡大するチャンスにもなります。
 こうした思いから、支援体制の充実を我が自民党は求めてまいりました。また、こうした支援は障害者のみならず、治療や通院をしながら就労を継続する難病やがん患者の方にとっても大変有効であります。
 そこで、テレワークを活用し、障害者や難病、がん患者の方の雇用拡大をしていくべきだと考えますが、都の取組について伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、障害者や難病患者等がテレワークを活用し働くことのできる企業を増やすための支援を強化いたします。
 具体的には、障害者を初めて雇用する中小企業に職場環境整備を助言するアドバイザーに加えて、新たにITの専門家を派遣し、テレワークを活用した働き方の導入を伴走型で後押しをいたします。この支援を受けました企業には、テレワークで使用する機器の導入経費の三分の二を助成いたします。また、難病やがんの患者を新たに雇い入れる企業等に最大六十万円の奨励金を支給してございまして、テレワーク勤務制度を導入した場合には、十万円の加算を行っております。今後は、テレワーク勤務の一層の普及に向けて、病状等のケースに応じた様々な活用事例を幅広く紹介してまいります。
 これらの支援によりまして、テレワークの活用を進め、障害者や難病患者等の雇用の促進につなげてまいります。

○ほっち委員 続いて、中小企業における女性活躍推進、女性のキャリアアップについて伺います。
 国は、企業における女性活躍の推進に向けて、現在、従業員三百一人以上の企業に対し、女性の採用やキャリアアップ等の目標を定める行動計画の策定を義務づけています。
 来年度からは、法改正により計画の策定義務の対象は、従業員数百一人以上の企業に拡大しますが、こうした比較的規模の小さい企業では、そもそも法改正についての認知が十分に進んでおらず、そのノウハウも不十分だと思われます。
 また、行動計画の策定が義務づけられていない企業においても、女性がキャリアを積んで活躍できるような環境を整えていくことが大変重要だというふうに思います。
 そこで、中小企業における行動計画の策定に向けたサポートを強化する取組について、また、規模の小さな企業においても、女性活躍が推進されるよう取組を進めるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 都は現在、法律に基づき、中小企業が女性の採用や育成等に関する目標と取組内容を定める行動計画をつくる場合、研修やコンサルティングによる支援を行っているところでございます。
 来年度は、計画の策定をきめ細かくサポートするため、研修の実施規模を二百社から三百社に拡充するほか、研修終了後に受けることのできるコンサルティングの規模を百社から百五十社に増やします。
 また、女性の働きやすい職場環境づくりのノウハウなどを提供する研修を、計画の策定義務のない規模の小さな企業に対して重点的に実施いたします。
 さらに、経営者の意識啓発を進めるため、女性社員が能力を発揮することで経営にもたらされるメリットなどを学ぶ新たなセミナーを開始いたします。
 こうした取組によりまして、中小企業における女性活躍を一層推進してまいります。

○ほっち委員 ありがとうございました。
 先ほどこの委員会の始まる前にも館内に放送が流れました。今回、節電ですと。節電をしてくださいというふうな放送が流れました。経済産業省でも今回初めて電力の需給逼迫警報というものを出されて、また、東電でも電気の使用量を抑えてくださいというふうな話が出てまいりました。
 これも十六日の地震の影響で、東電管内に送電する福島県内の火力発電所などの停止が続いた影響だというふうにいわれております。
 この件につきましても質問させていただきたいんですが、この間を含めて、次に、環境エネルギー関連について質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、再生可能エネルギーの利用拡大についてお伺いをいたします。
 都は、二〇三〇年までに再エネ電力利用割合を五〇%に高める都独自の目標を掲げています。
 都は、来年度予算案で太陽光発電設備の設置に関する支援を拡充するなど、都内の再生可能エネルギー設備の設置拡大についても積極的な提案をしています。
 しかし、都内の再生可能エネルギー電力利用量のうち、都内に設置された再生可能エネルギー発電設備による利用量割合は、僅か全体の五%にも届きません。目標の達成に向けては、東京都以外、都外から供給される電力の再エネ割合を高めていくことが必要不可欠であります。
 二〇三〇年、再エネ電力利用割合五〇%という高い目標設定に向けて、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○栗岡環境局長 目標達成に向けては、都外から供給される電力の再生可能エネルギー割合を高めていくことが必要でございます。
 このため、都は、都内に電力を供給する事業者に対しまして、供給電力の再エネ割合を高めていく仕組みや、再エネ割合等の情報を分かりやすく表示、発信することで、意欲的な電力事業者が需要家に選択される仕組みの検討を行ってございます。
 あわせて、事業所等の電力需要者に対し、再エネ一〇〇%電力などの利用や再エネ利用割合の段階的な拡大を促す仕組みなどの検討も進めてございます。
 今後、これらに加えまして、さらなる再エネ拡大に係る国への提案とともに、支援策の拡充、都民等への普及啓発等を全方位で展開し、二〇三〇年、再エネ電力利用割合五〇%を目指してまいります。

○ほっち委員 都のエネルギー需要を満たすには、今も将来も都外の発電に頼らざるを得ません。都内での再エネ電力の増強に向け、発電に力を注ぎつつ、都外での再エネ電力の供給に貢献する施策を強力に推し進めるべきであります。
 二〇五〇年ゼロエミッション、二〇三〇年カーボンハーフに向け、残された時間は僅かであります。今後も都外再エネ電力の利用拡大に向けた都の意欲的な施策を期待し、次の質問に移ります。
 コロナ禍からの経済回復で世界的にエネルギー需要が増大をし、エネルギー価格も高騰しています。脱炭素化による電力不足が要因との指摘もあります。
 日本政府は、新たなクリーンエネルギーへの投資支援や再エネの最大限の導入促進に取り組むことを示しました。同時に、安定かつ安価な電力供給や気候変動問題への対応を考えれば、安全確保を大前提とした原子力利用は欠かせないとの原発再稼働について言及がありました。
 政府は、昨日、初の電力需給逼迫警報を出しました。先日の福島県沖地震の影響で、一部の火力発電所の停止が続く中、悪天候で気温の低下が予想され、電力需要が増える見込みのためであります。
 東京都は、環境先進都市を掲げ、脱炭素社会を目指しています。一方で、エネルギー自給率の低い、我が国の最大消費地でもあります。加えて、電力の供給源は地方に大きく依存しています。
 東京都の首長として、原子力利用の在り方について、改めて小池知事の見解を伺います。

○小池知事 エネルギーの大消費地であります東京は、都市活動に欠かせない電力の多くを他県からの供給に支えられてきたことを忘れてはいけません。
 東京は、電力等のエネルギーの効率的活用と再生可能エネルギーの地産地消を推進する責務を果たしながら、全国各地との共存共栄を図ることで脱炭素型の社会経済構造への移行に積極的に貢献していく必要がございます。
 このため、都は、二〇三〇年カーボンハーフなど、世界をリードする目標を掲げて、都民、事業者の省エネ行動や再エネ利用、水素エネルギーの活用などを後押しする支援策の拡充、条例制度の新設、強化の検討など取組を加速させております。
 原子力発電を含めました我が国のエネルギー政策につきましては、安定供給や経済効率性、さらには脱炭素化への対応といった多岐にわたる観点を踏まえまして、国家レベルで議論、検討が行われるべきものと考えます。
 都は、引き続きエネルギーの大消費地としてなすべき取組を果敢に推し進めてまいります。

○ほっち委員 石原元知事は、三・一一以降も東京のエネルギー政策の柱の一つとして原発の存在は重要であるとの考えを明確に訴えてきました。
 小池知事におかれましても、原子力エネルギーの在り方について、国だけに任せるのではなく、首都東京としての明確なメッセージを発信していただきたいというふうに思います。
 続いて、多摩のMICE拠点育成支援について伺います。
 都は来年度、MICE誘致に関連する予算を充実しています。MICEの開催は、高い経済波及効果や産業の活性化が期待でき、経済の回復につながる有効な方策の一つといえます。
 多摩地域には、大学や研究機関が集積する一方、自然を生かした観光資源も数多くあります。
 さらに、今年の秋には八王子に東京たま未来メッセが開設し、MICEを受け入れる環境が充実します。こうした多摩地域の特色を生かし、都内経済の回復を後押ししていくことが重要と考えます。
 そこで、都における多摩地域へのMICE誘致に向けたこれまでの取組と、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○坂本産業労働局長 都はこれまで、多摩でMICEが数多く開催されるよう、会議場やホテル等が確保できるエリアを重点的に支援する拠点として選びまして、地元での受入れに向けた取組をサポートしてまいりました。
 来年度は、多摩の二つのエリアでMICEの魅力をPRするイベントを開催いたします。このイベントでは、MICEの主催者等に対し、多摩の豊かな自然や文化を体験できるプログラムを提供するほか、会議で使用するホテルやユニークベニューを紹介いたします。
 開催に当たりましては、地元の観光事業者や大学と連携することで、必要な知識やノウハウを共有し、MICEの受入れ体制づくりに結びつけてまいります。
 また、イベントの様子やエリアの魅力をウェブサイトなどを通じて海外に幅広く発信いたします。
 こうした取組によりまして、多摩地域へのMICE誘致を着実に進めてまいります。

○ほっち委員 コロナ禍により、MICEも小規模化の傾向が見られ、また、自然に親しめる場所への関心が一層高まっているそうであります。そういう意味では、多摩地域のチャンスであります。
 一方、交通アクセスに課題もあります。今後はこのような課題を解決するなど、多摩のMICEの活性化を支援していただくことを要望いたします。
 二〇二〇年三月の全国的な学級閉鎖をはじめ、第六波では児童生徒間にも感染が広がったことから、学級閉鎖に踏み切る学校も多く発生をしました。
 同時に、GIGAスクール構想の実施も重なり、オンライン授業を活用するなど、これまでの学校教育、授業環境と劇的に変貌をしています。こうした変化が、各年次の学習面においてどのような影響があったのか、効果や課題点について明らかにしていく必要があります。
 コロナ禍にあって、学校生活も著しく変化している中、子供たちの学力の習熟度や学習意欲等の状況を適切に把握をし、今後に生かしていくことが重要です。東京都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○藤田教育長 コロナ禍の様々な制約がある中でも、子供たちに確かな学力を育むためには、子供の学習や生活状況などをきめ細かく把握し、適切な対応を図ることが必要でございます。
 一昨年の一斉臨時休業明けに際して、都教育委員会は、子供の小さな変化も見逃さないためのチェック表や指導計画の見直しに関する資料を提示し、各学校は子供の学習状況の確認や補習、個別面談などを継続的に実施してまいりました。
 こうした取組により、学力の定着を図るとともに、国の学力調査でもその状況を確認しているところでございます。また、その後もオンライン等も活用して、学びの継続に取り組んでおります。
 今後も各調査等を活用し、一人一人の状況や意欲などをきめ細かく把握するとともに、個に応じた指導を進めることができるよう、区市町村教育委員会と連携し、各学校を支援してまいります。

○ほっち委員 コロナ禍は、子供たちが学習と生活の両面において、健全な習慣を身につける上で非常に困難な時期であったというふうに思います。特にコロナ禍以降に入学した子供たちには丁寧なフォローが必要であります。こうした点も念頭に、長期的な視野で各種調査に当たるよう求めておきます。
 続いて、学校における部活動についてです。
 学校における部活動は、必ずしも教員が担う必要のない業務であり、部活動を今後も同じやり方で継続していくことは困難といわれています。
 国は、中学校における休日の部活動を令和五年度から段階的に地域移行を進める方針を示しました。
 生徒にとって、中学校生活の充実を図るためにも望ましい部活動の運営方法を検討していくことが必要であると考えます。地域移行に向けた都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○藤田教育長 中学校での休日における部活動の地域への移行につきましては、働き方改革の推進とともに、地域の指導者による専門的な技術指導により、生徒にとって魅力あるスポーツ、文化活動の実現につながるものと考えております。
 都教育委員会は、今年度から始まりました国の実践研究を二区市で実施をしておりまして、地域の企業やプロチーム等と連携した専門的な指導により、部活動が充実した等の成果が見られたところでございます。
 一方で、平日と休日の一貫した指導のための協力体制や、費用負担等の課題も明らかになっているところでございます。
 今後、国の動向を踏まえ、効果的な外部指導者の配置や休日の部活動の運営方法等について、区市町村教育委員会等で構成する会議において検討を行い、生徒にとって望ましい部活動になるよう取組を進めてまいります。

○ほっち委員 私立中学校では、既に部活動を外部へ委託するなど、部活動を継続して学校の活動として取り組む動きがあるようです。
 公立中学校において、休日の部活動が切り離された結果、生徒たちの充実した学校生活が阻害されることがないよう、体制整備に努めていただきたいと思います。
 また、令和四年度から登録・認証制度が導入される総合型地域スポーツクラブは、休日の部活の受皿としても期待をされています。部活動の円滑な地域移行のためにも、総合型スポーツクラブの登録、認証が速やかに行われるよう、都の支援を求め、次の質問に移ります。
 続いて、デジタル関連について伺います。
 先日の代表質疑では、オープンデータの取組の重要性について質疑を行いました。本日はクローズドデータについて取り上げたいと思います。
 オープンデータを活用し、意思決定や政策立案につなげる最初の一歩は、可視化による現状把握により共通認識を持つことであります。そして、そのデータが多ければ多いほど的確な判断を導くことにつながります。
 一方、こうしたデータの中には、一般公開が難しい行政内部の関係者のみがアクセス可能な、いわゆるクローズドデータの性格を持つものが存在をします。これらのデータは、犯罪等に利用される側面もあることから、セキュリティを確保しながら利活用を進めることが重要であります。
 都は来年度、全庁横断的に都政データを3Dで可視化できるデジタルツインの実現に向けたデータ基盤の整備を行うとしていますが、こうした点も十分踏まえながら、クローズドデータの活用を進めるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○寺崎デジタルサービス局長 都が保有いたしますデータの中には、ライフラインの詳細な位置情報など、危機管理上の理由等から一般に公開することが難しいものがある一方で、それを庁内の必要な関係者間で共有し活用することで、業務効率化などに資するデータも存在をいたします。
 来年度は、こうしたデータを安全かつ効果的に活用していくため、庁内の関係者が専用の回線を利用してのみアクセス可能なデジタルツインのデータ連携基盤を新たに構築いたします。
 これによりまして、セキュリティの高いネットワーク上で各局が行政データを活用できる環境を整え、スピーディーな意思決定や政策立案の実現を後押ししてまいります。

○ほっち委員 次に、話をオープンデータに戻します。
 さきの代表質問で、行政データをオープンデータとして利活用していくことや、区市町村や民間企業に対してもデータ整備の支援に取り組んでいく旨の答弁がありました。
 一方で、海外では、公的部門においてデータの利活用が進展しているだけではなく、民間部門においても企業データを効果的に利活用し、成長や技術革新を遂げています。都もデータの公開や整備にとどまらず、官民連携によるデータ流通を促進し、あらゆる生活や産業の場において、最大限に活用した新たなサービスの創出が期待をされます。
 官民でのデータの流通促進や利活用にどのように取り組んでいくのか、宮坂副知事にお伺いをいたします。

○宮坂副知事 データの流通促進や利活用は、あらゆる産業への利用可能性や経済成長への期待から、行政のみならず民間からも注目が集まっています。
 都は、官民を問わず、広くデータ流通を促進し、利活用を進めるための基盤として、東京データプラットフォームの構築に取り組んでおり、来年度は、仮想データ連携基盤を構築し、それを活用したプロジェクトを推進するなど、本格運用に向けた取組を加速してまいります。
 このプラットフォームを通じたデータの流通促進や利活用が進むためには、広く都民の皆様や都内事業者の持続的な参画、参加者相互の活発な交流、さらには、これらを継続して実施していくための運営の在り方など、様々な課題があると実感しております。
 データに関する経済界の期待は大きいです。新たなデータ流通の仕組みを確立し、東京全体のデジタルトランスフォーメーションを推進することで、東京の成長につながるイノベーションや社会課題の解決を後押ししてまいります。

○ほっち委員 データやデジタル技術の活用は、社会課題の解決と経済成長の鍵になります。東京データプラットフォームの取組を通じた新たなデータ流通の仕組みをスピード感を持って構築すべく、都が率先して汗をかき、下支えをしていくことを期待しております。
 今までデジタル関連について質問をさせていただきましたが、いかにデータ共有の基盤を構築し、個々の情報が有益なものであったとしても、それを活用し政策形成に生かそうという意識や組織そのものが変わらなければ、結局は宝の持ち腐れになってしまいます。
 そのためにも、各局が自らの所管の責任を果たすために、データを囲い込むといった縦割りの考え方から脱却をしなければなりません。組織の枠にとらわれず、各局が保有するデータや知見を共有し活用することで、都民にもシームレスな行政サービスを提供していくことが期待をされます。
 デジタルをてことした構造改革を進めている中で、都庁の縦割りを打破し、柔軟で機動的な組織へと転換を図る必要がありますが、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 都庁のミッションと申しますのは、あらゆる分野で都民に質の高い行政サービスを提供することにございます。
 自らの業務範囲を限定した部分最適ではなく、都民にとって何が必要かを考え、様々な関係者と連携した全体最適の視点から新たなサービスを生み出していかなければなりません。そして、それを実現する鍵がご指摘のデジタルでございます。
 都政の構造改革、シン・トセイ2におきましては、都民などユーザーとの対話を徹底すること、全庁を挙げてデータの活用を進めること、そして既存の枠組みにとらわれずにオープンに連携することなど、改革実践に必要なスタンスを示しておりまして、職員一人一人への浸透を図ってまいります。
 デジタルツインのデータ連携基盤の共有に加えまして、副知事をトップにいたしまして、全局が参加するスマート東京推進チームを核とし、各局のDX施策のノウハウを共有してまいります。
 こうした実践を積み重ねていくことで、組織の壁を超えたサービスの改善につなげまして、柔軟で機動的な実行力ある都庁への変革を果たしてまいります。

○ほっち委員 今、知事から組織の壁を超えたサービスの改善につなげていくとの答弁がありました。私自身も国会議員の秘書、区議会、そして都議会議員と経験してきましたが、最も横の連携ができていないのは、この都庁という組織であるというふうに感じております。また、私だけではなく、同様の声は国からも、区市町村からも耳にしております。
 就任されて五年半がたちました。知事にはリーダーシップを発揮し、都庁の縦割り打破に向けて、改めて強い信念と都民目線で取り組んでいただくことを強く要望し、私、自民党を代表しての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○三宅委員長 ほっち易隆理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十四分休憩

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