予算特別委員会速記録第四号

○三宅委員長 原田あきら委員の発言を許します。
   〔委員長退席、宇田川副委員長着席〕

○原田委員 今、大問題となっている神宮外苑再開発についてお聞きします。
 二月九日、都市計画審議会において、神宮外苑地区地区計画の計画変更が承認されました。この計画により、神宮外苑内の樹木の伐採、移植数が千本を超えることが分かり、世界遺産の保護、保存に取り組む日本ICOMOS国内委員会の見直しを求める意見書は多くのマスコミが取り上げました。
 都市計画審議会後、ますます世論が高まり、多くの都民、専門家から異議の声が上がっています。住民説明会で出会った人々がつくった神宮外苑を守る有志ネットは、先日、緊急学習会を開催し、百六十名が参加、この団体とは別に、神宮外苑千本の樹木を切らないで、再開発は見直しをという署名は、現在五万四千筆を超え、先日、小池都知事に提出されました。
 さらに、地元の高校生三名がイチョウ並木でこれとは別の署名を集め、地元の町会も手伝って、これも先日、小池都知事に提出されました。
 知事はこうした反対や疑問の声、六万筆に及ぶ署名の重さをどう受け止めていますか。

○小池知事 東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくりでございますが、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていくことといたしております。
 これに基づいて、民間事業者は、先人の思いや歴史にも思いをはせながら、一本一本の樹木を大切に扱い、樹木の状態などの詳細な調査を行って、極力保存、または移植をし、事業を進めることといたしております。
 今回の計画により、新たな神宮外苑として、次の世代、次世代につなげていくことは、創建の趣旨にかなったものでございます。

○原田委員 知事、資料をご覧ください。これは、都が計画前と計画後でどれだけ緑の割合が増えるかを示した図に、主要な樹木を配置した図です。これを一見すると、計画後に緑の量が増えたように見えます。
 しかし、実際には、計画後の薄い緑の部分は低く細い木や芝生や植え込みで、薄っぺらい緑です。開発前の濃い緑で示した樹木の数に注目していただくと、樹齢百年の木々に覆われた現在の外苑の緑の重みがイメージできるのではないでしょうか。ところが、この木々が大量に伐採されるんです。
 石川幹子中央大学教授の調査を基に、実際に伐採される樹木を航空写真に落としたのが、この資料です。事もあろうに、イチョウ並木の一部も伐採されるなど、自然破壊の規模がよく分かります。
 小池知事は我が党の代表質問に対し、計画によって緑の量が増加するといいましたが、樹齢百年になる大木を含む千九百四本のうち、千本以上伐採、移植されることとなります。神宮外苑の深い森は、重大な規模で痩せ衰えることになるという認識、ありますか。

○上野東京都技監 今回の事業者の計画は、本地区の歴史と風格を継承しながら、既存の樹木につきましては、四列のイチョウ並木などを保存するとともに、樹木医の意見も聞きながら、樹木の状態など詳細な調査を行い、極力保存、または移植いたします。
 さらに、既存樹木に加え、新たな緑も創出いたしまして、それらを適切に維持管理しながら樹木を育成することで、従来よりも緑の量を増加させ、神宮外苑の緑空間の充実を図るものでございます。

○原田委員 緑の量は増えるとおっしゃいましたが、実際には、樹齢百年に及ぶような大木が伐採され、高さ三メートルほどの小さな木に置き換わるんです。イチョウ並木も一部切られるじゃないですか。話にならない。ごまかさないでください。
 また、都は、緑地等も増えると住民に説明をしてきましたが、緑地等といっても、建物の脇や屋上などの植え込みのような小さな植栽も含まれるんじゃありませんか。さらには、デッキ通路や、そこへのエレベーターや階段なども緑地等に含まれるんじゃありませんか。お答えください。

○上野東京都技監 緑地等につきましては、高木のみならず、芝生や植え込み、花壇など、歴史や利用状況等の地区特性を踏まえまして、その場所に応じた植栽を配置することといたしておりまして、生物多様性の観点からも、多様な植生とすることが、質の高い緑空間を創出していく上で必要不可欠でございます。
 さらに、バリアフリー動線としてのエレベーターや歩行者デッキ、階段等につきましては、公園内の安全、快適な歩行者動線を確保する上での構成要素として必要不可欠なものでございまして、公園まちづくり制度におきましては、これらも緑地等に含め、魅力ある公園の整備を誘導することといたしております。
 なお、今回の計画では、樹木や芝生広場などの実質の緑の割合は従前よりも増える計画となっております。

○原田委員 驚きますよね、歩道やエレベーターや階段まで緑地等に含めていると。都が増やすといっている緑は、こういったごまかしばかりなんじゃないですか。
 さて、その一方で、外苑は、百八十五メートル、百九十メートルの二棟の超高層ビル、商業施設、ホテルなどが立ち並ぶことになる都内屈指の巨大開発の現場となります。そこから吐き出される温暖化ガスは大変な規模となることが、我が党都議団の代表質問で明らかになりました。
 今回の開発により、年間四万七千トンものCO2が発生することが分かったんです。林野庁の試算によれば、これを森林で吸収するには新宿区三個分の面積の杉林が必要になりますが、このことを知事、ご存じでしたか。また、どう考えているんですか。

○上野東京都技監 民間事業者が作成いたしました環境影響評価書案に示されましたCO2排出量につきましては、あくまでも一定の仮定による試算値でございます。いずれにいたしましても、事業者におきまして、事業化段階での地域冷暖房の導入に加え、将来の技術革新の動向も見据え、新たな省エネ技術や再生可能エネルギーを積極的に活用するなど、CO2の排出削減を図っていくこととしております。
 また、事業者におきまして、新たな緑も創出し、適切に維持管理しながら樹木を育成いたしまして、地区全体のCO2の吸収能力も向上させてまいります。(発言する者あり)なお、林野庁によりますと、成長期の若い森林では、CO2をどんどん吸収する一方、成熟した森林になりますと、全体として吸収能力は

○宇田川副委員長 ご静粛に。

○上野東京都技監 低下していくとのことでございます。

○原田委員 私は知事に知っているかと聞いたんですね。大事な話なので、これは答えていただきたかったなと。高さ三メートルの木を数十本植えるので、CO2の吸収力が増えるんだという答弁でしたが、四万七千トンという巨大なCO2排出を前に、あまりに頼りない答弁です。
 しかも、ここにはビルを建てるときに発生するCO2は含まれていないんです。ビルを建てるときに発生するCO2は、開発後の年間排出量、今回でいえば四万七千トンの十数年分に匹敵すると指摘する研究者もいます。
 知事は施政方針で、脱炭素化とともに東京の緑を守るとし、CO2の排出削減のみならず、その吸収源となる緑の保全も両輪で進めると表明しています。神宮外苑における大量の樹木の伐採、移植と超高層ビル建設などによる温暖化ガスの排出増大は、知事の施政方針に真っ向から反することなのではないのか、よくよく考えていただきたいと思います。
 話を進めます。今回の計画の大きな特徴の一つは、秩父宮ラグビー場と神宮球場の土地を入れ替えることなんですね。神宮球場はかなり神宮前駅に近づくことになります。商業的に有利になることは間違いありません。
 そして、その隣に三井不動産の百八十五メートルのビルを建てます。その借地料は明治神宮に入ります。明治神宮や三井不動産の便宜を図るためにラグビー場を動かしたというのが土地の入替えの真相なんじゃないでしょうか。
 その結果、イチョウ並木の歴史的景観を壊し、また、樹齢百年の森を押し潰すことになるんです。三井不動産の百八十五メートルのビルとともに、伊藤忠が百九十メートルのビルを建てます。この場所は、本来百メートルをちょっと超えるくらいのビルしか建たない場所です。
 ところが、計画では、二百メートル級のビルが二棟建つことになっているんですね。この場所に二百メートル級の超高層ビルを建てるためには、その高さに必要な容積率が明らかに不足しています。これを解消するために、都市計画公園、明治公園の敷地から、公園の区域外に容積率を動かすんです。イメージとしては、これくらい、六十メートル前後ですかね、容積率を都市計画公園の中からこのビルに移転するんですね。
 これってどういうことかといいますと、我が家の前に公園があったとしてですよ、公園に高い建物が建っていないので、その分、我が家を高くしてもらおうというようなものなんですよ。
 お聞きしますけど、都市計画公園内の容積率が区域外に移転された例、今までにありますか。

○上野東京都技監 今回の計画区域の宅地は全て民有地でございまして、地区計画等の目標の実現に向けまして、民間主体のまちづくりを適切に誘導する必要がございます。公園まちづくり制度を活用しておりますけれども、公園まちづくり制度につきましては、民間事業者からの提案を受け、再開発等促進区を定める地区計画の活用によりまして、公園区域を再編し、都市計画公園除外区域における高度利用を図るものでございます。
 さらに、民間の創意工夫を生かし、都市計画公園区域と公園除外区域とが一体となりまして、全体として質の高い公園的空間を創出する仕組みでございまして、都市計画法上、都市計画公園区域内における適用も認められております。
 民間プロジェクトが実施されます地域内の各地区の特性に応じまして、容積を適正に配分することで、望ましい地域の将来像の実現を図ることとしております。
 こうしたことから、今回、都市計画公園区域の民地から区域外に容積を配分するものでございます。

○原田委員 つまり、民間事業者の提案を受けて、初めてやるということなんですね。これまで誰もやったことのない、都市計画公園という都民共有の財産から容積率を超高層ビルに移転するというやり方を、神宮外苑再開発で利益を得る人たちのために初めて適用する、そういう話なんです。
 ラグビー場と球場の土地の入替えといい、容積率の移転といい、まあ開発事業者や土地所有者に至れり尽くせりの計画なんじゃありませんか。
 今回の計画では、超高層ビルの用地のために、何と公園の区域を一部差し出す一方で、軟式野球場もゴルフ練習場もフットサル場もなくなります。実は、都は陸上競技場の常設サブトラックを設置する計画を持っていたはずです。しかし、ご覧のとおり、今の計画にはありません。サブトラックはいつなくなったんですか。なぜなくなったんですか。端的にお答えください。

○上野東京都技監 神宮外苑のまちづくりを検討するに当たりまして、新国立競技場の整備に関わる恒久サブトラックの設置につきまして、与条件の一つとして整理する必要がございました。
 平成二十四年五月頃には、神宮第二球場の辺りでの整備を想定しておりました。
 平成二十五年六月の神宮外苑地区地区計画の決定後、都といたしまして、東京二〇二〇大会後のまちづくりを進める区域におけるまちづくりの検討も進めるとともに、関係地権者等との調整を進めました。
 その過程で、区域内での恒久サブトラック設置のまちづくり計画上の課題などについても検討いたしまして、平成二十六年七月には、まちづくりを進める上では、設置する空間余地がないことなどから、設置困難と整理をいたしました。
 その後、それを与条件といたしまして、まちづくりの推進に向け、関係者等との調整をさらに進めることといたしたものでございます。

○原田委員 重大な答弁が出てまいりました。都が神宮外苑に常設サブトラックを設置する案を検討していたことを、そして、サブトラックを諦めた時期を初めて公式に認める答弁です。
 パネルをご覧ください。平成二十四年一月、都市整備局が副知事に説明した資料の中で、サブトラックの設置の検討がされています。この黒塗りのところに、神宮外苑への常設サブトラック設置案が描かれていたと思われます。この黒塗り、今の答弁からすれば、何で外せないのかなと。もっと何か大変な内容が入っているんですか。サブトラックがないと、国立競技場は、何と世界陸上などの国際大会どころか、日本選手権など国内大会も開けなくなるんです。
 先ほどの答弁で、常設サブトラックを設置できなくなったのは、まちづくりを進める上で設置する余地がなくなったからとのことでした。ここに大きな芝生の広場を整備する予定ですね。この広場は、大事なんですよ、先ほどの二つの超高層ビルが目いっぱい容積率を積み上げてもらうために、制度上、整備が必須条件になっている広場なんです。
 つまり、超高層ビル建設を優先したために、広場を造らざるを得ず、サブトラックが造れなくなったということなんじゃないのか。こういう問題がいよいよ明らかとなってまいりました。
 結局、都は、超高層ビルのためにスポーツクラスターを犠牲にした。そういうことなんじゃないですか。
 二つの超高層ビルが建つ一方で、歴史ある景観やかけがえのない緑が壊され、都民のためのスポーツクラスターが失われる、こんな計画がなぜ問答無用で進められるのか。それは、あの森喜朗元首相、東京オリンピック組織委員会元会長の肝煎りの計画だからにほかなりません。
 上野都技監、都技監は、岸記念体育会館の移転問題をはじめ、神宮外苑再開発に関わる開示文書に何度もそのお名前が登場する、この問題の当事者中の当事者です。四年前の都市整備委員会では、我が党の白石たみお議員の岸記念体育会館移転問題の追及に追い込まれ、外苑地区の開発は一体何なのかと述べ、延々と自説を展開されました。さぞお詳しいんでしょう。
 都技監、これからの質問は全て当事者として関わっていた当時をよく思い出してお答えいただきたい。
 ご覧ください。この資料は、四年前、岸記念体育会館移転問題に関わって我が党が追及する中で、都が隠し切れずに公表した資料です。今から十年前、都の幹部職員が当時衆議院の森喜朗氏を訪ね、神宮外苑再開発についてご説明を行った際の資料です。なぜか神宮外苑地区が黒塗りとなっています。
 この資料を見た森喜朗氏は、当時の副知事に対して、佐藤さん、すばらしい案じゃないか、長生きしないと、と語っています。どんな絵が描かれていたんでしょうか。
 都技監、この黒塗りの部分にはどんな絵が描かれていたんですか。今、私たちが目にしている計画が、ほぼそのまま、この十年前のこの資料に描かれていたんじゃないですか。

○上野東京都技監 この黒塗りの部分につきましては、情報開示条例に基づき、適切に対応させていただいたものでございますので、答弁は控えさせていただきます。

○原田委員 この黒塗りを外すのは、開示決定権者の小池都知事です。知事、十年も前に森氏には見せて説明していた資料を、いまだに都民に見せられないのはおかしいと思いませんか。黒塗りを外して見せるようにするのが知事の公約だったんじゃありませんか、知事。知事、知事。

○宇田川副委員長 どなたですか。

○原田委員 何と、答弁に立たれることもなく、答弁拒否と。
 黒塗り外せばいいんじゃないですか。都知事は答弁にも立たれないということなんですけど、情報公開、東京大改革の一丁目一番地とずっと私拝聴してきたんですけれども、この外苑問題においては住所不明のようです。
 十年前の外苑再開発計画でどんな絵を描いていたのか。実は当時の安井技監が自らの口で森氏に説明しています。
 お手元の資料6を皆さんご覧ください。取扱注意と右上に書かれているのが分かります。都の副知事と技監が、衆議院議員会館の森氏を訪ね、冒頭、神宮外苑の再整備について、東京都として考えているイメージをご説明に上がったから始まります。ここで別紙参照とあるのが、先ほどの黒塗りのパネルを含む資料です。十年前ですよ。
 そして、STEP2とあるここで、神宮外苑再開発の話が出てきます。安井技監は、オリンピック終了後に第二段階の整備をスタート、第二球場跡地に恒久サブトラック、神宮球場とラグビー場の敷地の入替えを提案しています。
 十年前のこのときには、今回の計画の大枠がもう示されていたんです。そして、森氏には特別に、もちろん、この黒塗りなしで説明されていたんですね。何で隠さなきゃいけないんですか。
 安井技監は、この際、神宮球場とラグビー場の入替えのメリットとして、明治神宮所有地の商業的な利用増進と明治神宮の利益についてもあけすけに語っています。
 この計画が、現在、住宅地のすぐそばに野球場や二百メートル級の超高層ビル二棟がそびえ立ち、自然や景観を破壊する計画の大本になっているわけです。
 森氏はこの計画を見て、すばらしいよ、あと十五年は長生きしないとなと大喜びしたという生々しいやり取りを記録し、このメモは終わっています。
 次の資料7をご覧ください。これも四年前、我が党の追及を受けて、都は、当時の安井技監に聞き取りを行っています。安井氏は、聞き取りに対し、神宮外苑の整備については森氏と会ったことがある、そう述べています。
 先ほどの二〇一二年五月のご説明もその一つだったと思いますが、では、神宮外苑b地区再開発について、都は、森氏といつから、どれくらい会っていたんですか。都技監。

○上野東京都技監 特に存じておりません。

○原田委員 驚くべき答弁です。あの資料は幾つも出ていて、皆さんのホームページにも出ているんですが、この場で何かをしゃべると、ごまかしになる。(上野東京都技監発言を求む)いや、結構です。(上野東京都技監発言を求む)外一件とは、資料にある二〇一二年(発言する者あり)じゃあ、どうぞ技監。

○上野東京都技監 訂正させていただきます。
 先ほどのご質問につきましては、神宮外苑のb区域といわれていますけれども、東京二〇二〇大会後のまちづくりを進める区域のことでございますけれども、この区域につきまして、森氏と東京都側が会ったのは、平成二十四年五月の外一件、会った記録がございます。

○原田委員 資料にある二〇一二年七月のことだと思われます。本当にその二回だけなんでしょうか。都民が外苑巨大開発を知ったのはごく最近のことですよ。ところが、都は既に十年前に、政治家と繰り返し会い、絵を描いていたわけです。こんなことが許されるはずがないわけですね。
 都技監、萩生田光一経産大臣に−−十年前の当時落選中の一般人でしたけど、萩生田さんとは何度か会っているんじゃないですか、この外苑問題で。

○上野東京都技監 恐らく、過去の、四年前の当予算特別委員会でもご質疑いただいていた関連することかと思いますけれども、当時開示されていた資料の中にそのような資料があったと記憶しております。
 それから、東京都は、当時も、その四年前にもご説明申し上げたかと思いますけれども、当時、この神宮外苑地区での世界に誇れるスポーツの拠点として再整備するという政策目的の実現のために、関係者への働きかけを行っていたものでございまして、当時、ラグビー協会会長であった森氏に状況を説明に伺った記録が先ほどのものだということかと承知しております。

○原田委員 当時、都と萩生田光一氏が接触していたメモがあります。このメモも私たちの追及を受けて隠し切れなくなった資料でしてね、都のホームページから見られます。本当にそんなことばっかり、政治家との水面下交渉ばっかりやってきたわけですよ。
 今の答弁で、スポーツ協会とかの要人と会うのは当然だみたいな、そんなことをぬけぬけとおっしゃいましたけど、森氏が何か公的な立場で都に会いに来たものでないことは明らかなんです。それは森氏自身が自らの口で暴露していまして、都が二〇一二年七月、もう一度、森氏に成果報告に上がった際のメモをご覧いただきたいと思うんですが、森氏はここで、私としては都の案、土地交換がいいと思う、協会としての意見は別途確認する必要があると語っており、何か組織の代表として来たものでないことを自ら明らかにしているわけですね。
 都はこれまで、この地域の一連の開発を国家プロジェクトなどといってきましたが、森氏個人の意向が最優先に計画が進められてきたのは明白じゃありませんか。
 巨大開発について、住民や都市計画審議会にはろくな資料も提示せず、一方では、政治家や一部企業とは懇切丁寧に計画を練ってきたことが今日の質疑で明らかになりました。
 そうして練られた計画が、都市計画公園も利用した、これまでやったことのない手法で、一部の人たちに利益を与える極めてゆがんだ計画であったことも明らかになりました。
 その結果、樹齢百年を超える樹木が大量に伐採され、歴史と文化あふれる景観が破壊され、都民のためのスポーツクラスターが奪われようとしています。
 都政の民主主義、地方自治の在り方が根幹から問われる大問題だということを重ねて指摘するものです。
 知事、最後に、自分たちで署名を集め、知事に届けた高校生の言葉を紹介します。よく聞いてください。
 東京には既に多くの高層ビルがあるのに、これ以上、木の命を犠牲にして建設するのはやめてほしい、言葉だけで自然保護とかSDGsとかいうのではなく、私たちの未来のことも考えて、ちゃんと決めてほしい。
 知事、こうした声にこそ応えるべきじゃありませんか。若者の未来を脅かすこのような計画を絶対に決定してはなりません。そのことを心より訴えて、質問を終わります。(拍手)

○宇田川副委員長 原田あきら委員の発言は終わりました。