予算特別委員会速記録第四号

○福島副委員長 古城まさお委員の発言を許します。
   〔福島副委員長退席、委員長着席〕

○古城委員 二十世紀最大の歴史家アーノルド・ジョゼフ・トインビー博士は、自然をはじめとする環境が人間に試練を与えるとき、その挑戦に屈服せず、雄々しく応戦しゆくたくましき社会から新しい文明が生み出されると洞察しています。
 私は、コロナ禍の先に東京の未来を開くためには、大きく二つの応戦が重要であると考えます。一つは、命を守る、皆で生きる喜びを分かち合える社会を築くことです。二つに、SDGsにも関連して、住まう、暮らす、働く、楽しむなど、持続可能な都市づくりです。こうした二つの方向性から、積極的な取組を進めていくべきです。
 質疑に当たり、未来を担う若者をはじめ、誰もが活躍できる社会を構築するため、また、東京をより魅力的なまちへと進化させるため、令和四年度予算に込めた思いについて、知事の答弁を求めます。

○小池知事 東京の持続的な成長の原動力は人であります。誰もが希望に応じた生き方を選択し、自分らしく活躍できる社会をいち早く実現していかなければなりません。
 また、東京の成長につながるビジネスや生活の基盤を整備するなど、世界の人々を引きつける都市へとさらに進化していくことは重要であります。
 こうした思いから、令和四年度予算におきまして、若者、そして女性など多様なニーズに応じました雇用対策や就業支援を充実する、また、新宿などの都心エリアや臨海部での国際競争力を備えた魅力的なまちづくりなど、東京の活性化に向けまして様々な施策を展開しているところでございます。
 こうした取組を着実に前へと進める、そのことによって、全ての人々が輝ける社会を形成するとともに、東京の魅力をさらに高めまして、新型コロナを乗り越えた先のサステーナブルリカバリーの実現につなげてまいります。

○古城委員 公明党青年委員会は、若者から直接話を聞くユーストークミーティング、街頭やSNSなどでの政策アンケート、ボイス・アクションやツギコメに取り組んでいます。
 昨年のボイス・アクションには七十万を超える声が届き、実現してほしい政策として、一人一人に寄り添った心のケア推進が二割を占めました。
 私は、二〇一八年三月の一般質問で、都の相談窓口においても、多くの若者が利用するSNSの活用を訴え、分かりやすく相談しやすい体制を提案しました。以来、相談者が継続的に支援を受けられるように、区市町村や関係機関との連携などの課題も指摘し、利便性向上を推進しています。
 今後は、SNS自殺相談がその本来の目的を一層発揮するためにも、区市町村における自殺対策の強化に向けて、都として支援すべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 都は、東京都地域自殺対策推進センターを設置し、区市町村職員等が自殺未遂者への基本的な対応を学ぶ研修などを実施するほか、区市町村連絡会で自殺対策の先進事例等を提供しております。
 今後、区市町村が悩みを抱える方を継続的に支援する体制をさらに強化できるよう、地域の関係機関が連携して相談者に対応するための具体的な方法、手法や、連携先となる地域資源の開拓方法などのノウハウを、連絡会等を通じて提供いたします。
 こうした取組によりまして、区市町村における自殺対策が一層進むように支援してまいります。

○古城委員 SNS教育相談についても、私は導入前より具体的な提案を行ってきましたが、電話や面接による相談との相互連携を強化し、さらに相談時間の延長も行い、子供たちに寄り添う重要な役割を果たしていると考えます。
 今後は、これまでの知見を生かし、相談時間の延長を継続するとともに、昨年の一般質問で求めた、IT技術を活用した心をケアする仕組みも含めて、子供たちがより相談しやすい体制を整備すべきです。都教育委員会の見解を求めます。

○藤田教育長 子供の様々な不安や悩みの解消に向け、SNS相談を充実するため、都教育委員会は今年度、相談の受付時間を、子供のニーズに応じて八時間に延長して実施してまいりました。来年度も引き続き受付時間の延長を継続いたします。
 また、これまでLINEを通して行っていた相談につきまして、より多くの子供たちが相談できるようにするため、LINEをインストールしていないスマートフォンや、GIGAスクール構想で配備された端末などからもアクセスできるようにして、利便性の向上を図ります。
 さらに、現在、都立高校向けに開発をしております、教員が生徒の心の不調を把握するアンケートシステムと連携し、相談ニーズのある生徒にSNS相談窓口を案内することで、生徒の相談を促してまいります。

○古城委員 近年、スマホ、SNS利用の低年齢化や青少年のインターネット利用時間の増加と同時に、様々なトラブルに遭う危険性も高まっています。ボイス・アクションやツギコメでも、ネットの誹謗中傷の根絶に向けた対策強化を求める声が多く寄せられました。
 青少年のネットトラブルの早期解決には、周囲に相談できる環境が不可欠であり、都の相談窓口、こたエールの役割が重要です。
 そこで、こたエールが青少年にとって身近な存在となるべく、さらに活用を促していくべきと考えますが、見解を求めます。

○小西都民安全推進本部長 インターネットの利用が拡大する中、青少年はSNS上の誹謗中傷や自画撮り被害など、様々なトラブルに直面しております。
 これまで都は、全ての学校に配布する啓発リーフレットや啓発講座などの中で、こたエールを周知するとともに、電話、メールに加え、LINEでの相談を実施してまいりました。
 来年度は新たに、こたエールの利用を一層促進するため、青少年に直接ウェブ広告を配信し、一人で悩みを抱え込まずに相談できるようアプローチしてまいります。
 こうした取組を通じて、青少年がネットトラブルを相談しやすい環境の整備を推進してまいります。

○古城委員 都議会公明党が一貫して推進してきた都の若者総合相談、若ナビαでは、幅広い分野にわたる若者の悩みを、今年度から始まったオンラインのほか、電話やメール、来所、SNSにより、専門家が丁寧に受け止め、状況に応じて適切な支援機関につないでいます。
 コロナ禍によって、若者の不安や悩みは一層深刻化しています。私も、ユーストークミーティングで、心の問題に悩んでもどこに相談していいのかよく分からないとの切実な思いを聞いてまいりました。行政の支援策や相談窓口を知らない、たどり着くことがかなわない若者もいます。
 相談時間の延長など、若者のニーズに対応し、より利用しやすい相談環境の整備を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○小西都民安全推進本部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、これまでもLINE相談やオンライン面接相談の導入など、若者になじみのあるツールを活用し、相談方法を拡充してまいりました。
 来年度は、LINEと電話の相談時間について、若者が利用しやすい夜間の二十三時まで延長いたします。また、若ナビαをより多くの若者に知ってもらうため、新たにLINE広告を実施するなど、SNSを活用した広報を強化いたします。
 こうした取組により、若者が利用しやすい環境整備を一層推進してまいります。

○古城委員 今日三月九日は、ボーイズ・ビー・アンビシャス、少年よ大志を抱けとの箴言を残したウィリアム・スミス・クラーク博士の忌日であります。青年の熱と力が新しい時代を築く原動力であることは論をまちません。東京の活力であります。
 そこで、様々な困難を抱える若者に対して、寄り添い、一歩を踏み出せるような支援が必要であると考えますが、見解を求めます。

○小西都民安全推進本部長 孤独や悩みを抱える若者が、将来に対し前を向けるよう支援することは重要であります。
 そこで、都は、来年度新たに、このような若者をオンラインイベントや情報発信により支援する若者応援プロジェクトを実施いたします。オンラインイベントでは、著名人と若者が語り合う場や参加者同士の交流の場など、一方的な発信ではなく、双方向でのやり取りができるよう工夫いたします。また、情報発信では、公式ホームページやウェブ広告により、行政等の支援内容についても積極的に発信いたします。
 こうした取組により、次代を担う東京の若者たちが他者とのつながりを実感し、希望を持って明るく前向きになれる機会を提供してまいります。

○古城委員 次に、就職氷河期世代についてです。
 私は、二〇一九年の一般質問で就労支援の強化を提案し、二〇二〇年の予算特別委員会では、東京しごとセンターに就職氷河期世代向けの専用窓口を設置することや、都職員採用においても、この世代の人材を幅広く求めることを訴えました。
 都では、昨年九月の補正予算により、非正規雇用労働者などが新たなスキルの習得を通じてキャリアアップを図り、ITなどの成長産業への就職を進める事業が実施されましたが、募集開始後一か月で定員を上回る応募があり、就職氷河期世代の方々が半数以上を占めるなど、大変ニーズが高いと聞いています。
 そこで、来年度は事業の一層の充実を図り、非正規で働く就職氷河期世代などのキャリア形成に向けた支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は、非正規で働く就職氷河期世代の方の安定した就労を支援するため、資格の取得やデジタルスキルの習得をサポートするeラーニング訓練と、職業紹介などを一体的に行う事業を実施しております。
 来年度は、この事業規模を三百人から千人に大幅に拡充し、しごとセンターの就職氷河期世代特別支援窓口の利用者などに紹介いたします。
 また、このeラーニング訓練を現在の六コースから十コースに拡充することで、再就職の促進を図ります。
 こうした取組によりまして、就職氷河期世代など非正規で働く方の安定した雇用を実現してまいります。

○古城委員 就職氷河期世代を対象とした都職員採用試験について、人事委員会事務局によれば、今年度も一千七百名を超える申込みがあり、対受験者合格倍率は五十倍に迫りました。
 二年前にも指摘いたしましたが、職員の年齢構成は四十歳前後が少ないという特徴があります。就職氷河期世代の方々が、都政の幅広いフィールドで活躍することが期待されます。
 国による三年間の集中取組方針の後も期間を限定することなく、都が率先して、引き続き就職氷河期世代の安定的な就労支援する採用の取組を行うべきと考えます。
 今年度の実績と併せて見解を求めます。

○村松総務局長 就職氷河期世代を対象とした常勤職員の採用については、都職員の年齢構成や退職動向等を踏まえ採用予定者数を決定し、今年度は、大学卒業程度の区分で十一名、高校卒業程度の区分で十二名、計二十三名を合格といたしました。来年度も、それぞれの試験区分で採用予定者数を十名とすることを先月公表したところでございます。
 また、非常勤職員の採用につきましては、採用後、就労経験を積むとともに、資格取得などを通じて、民間企業等への正規雇用での就労を目指す取組として選考を実施しておりまして、今年度十一名が合格いたしました。来年度も十名程度の採用を予定しており、現在、選考手続を進めているところでございます。
 令和六年度以降における採用の取扱いにつきましては、今後、就職氷河期世代を取り巻く状況や国、他の自治体の動向などを注視しつつ、適切に対応してまいります。

○古城委員 ぜひとも、都が率先して取組を進めていただきたいと思います。
 次に、国立競技場を発着点とする東京二〇二〇大会のマラソンコースを活用した東京レガシーハーフマラソンについてです。
 パラアスリートが自らの可能性に挑み、力と技を競い合った東京二〇二〇パラリンピックの感動を一過性で終わらせるのではなく、レガシーの具現化を進め、今後のパラスポーツの発展につなげていかなければなりません。
 閉会式では、聖火台の炎が最後にオレンジ色から紫色に変わりましたが、これは、IPCが立ち上げた世界人口の一五%に当たる障害のある方の人権を守るキャンペーン、WeThe15によるものでございます。
 そこで、東京レガシーハーフマラソンにおいては、障害者の参加割合一五%を目指すなど障害者に配慮して大会を運営すべきと考えますが、見解を求めます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、東京二〇二〇大会のパラリンピックマラソンコースを活用した東京レガシーハーフマラソンを、東京マラソン財団と共に令和四年秋に創設いたします。
 経験の少ない方でも参加しやすいハーフマラソンの特性を生かし、障害のある多くの方にも参加いただけるよう、障害者の参加枠を一〇%確保しております。これにつきましては、他の大会の例を見ても非常に高い水準であり、多くの方に挑戦いただきたいと考えております。
 今後の大会運営に当たりましては、障害者に配慮した更衣スペースの設置やサポートスタッフの配置など東京マラソンでの経験も踏まえまして、障害のある方が安心して参加いただける大会となるよう早期に検討を重ねてまいります。

○古城委員 私は、東京二〇二〇大会の掉尾を飾ったパラリンピックマラソンについて、機運醸成策を提案するとともに、日本代表が世界新記録での金メダル獲得を夢に見、願ってまいりました。
 結果は、女子T12視覚障害のクラスで、道下美里選手が見事に大会新記録で金メダルを獲得したのをはじめ、男子T12と男子T46で銅メダル獲得、日本代表全十選手が完走しました。さらに、女子T12で銅メダルとなった南アフリカのロザンヌ・クッツェー選手が、自身のクラスである女子T11の世界新記録を樹立しました。こうした快挙は、大きく取り上げられ、たたえられるべきであります。
 世界記録が誕生した東京二〇二〇大会のマラソンコースを活用する東京レガシーハーフマラソンでは、パラアスリートについて、順位とは別に、記録更新の結果や努力を顕彰するなど、パラスポーツの発展につなげる取組を行うべきと考えますが、見解を求めます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 障害者スポーツにおきましては、障害の程度が異なるクラスの選手が一緒に競技を行う場合があり、障害の程度が重い選手が順位とは別に特筆すべき成果を収める例もございます。
 例えば、今お話しの東京二〇二〇大会のパラリンピックマラソンでは、視覚障害のクラスで、全盲の選手が弱視の選手と一緒に出場し、順位では三位でしたが、全盲のクラスとしては世界新記録を樹立するなど大変活躍されました。
 東京レガシーハーフマラソンでは、このような選手の活躍にも光が当たるような情報を発信するなど、パラスポーツの理解促進につながる取組につきまして、主催者の東京マラソン財団と共に検討してまいります。

○古城委員 パラスポーツの発展につなげる取組、これは東京レガシーハーフマラソンでぜひとも障害者の方の参加割合一五%、高い目標かもしれませんが、ぜひとも目指していただきたい。その中で、多くの選手、パラアスリートの活躍を私たちは心から応援をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、外濠浄化プロジェクトについてです。
 公明党は一九六七年、東京の未来構想、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京を発表しました。そして、この構想に描かれた水と緑の回廊の実現に向けて、玉川上水を活用した外堀浄化や日本橋川の水質改善などを提言しています。
 ついに、「未来の東京」戦略に外濠浄化プロジェクトとして位置づけられ、version up 二〇二二でも、外堀浄化の推進を契機として、水の都東京をよみがえらせると深度化が図られています。
 まず、外堀に流入する雨の降り始めの特に汚れた下水を貯留するための施設整備の取組状況について、答弁を求めます。

○神山下水道局長 下水道局では、雨天時に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備など、合流式下水道の改善に取り組んできております。
 外堀の流域では、一万六千六百立方メートルに及ぶ貯留施設の整備を進めておりまして、そのうち千八百立方メートルを平成二十六年度に稼働させ、残りの一万四千八百立方メートルにつきましては、外堀通りの地下約五十メートルの深さに貯留管本体の整備を昨年度完了しております。
 さらに、昨年八月には降雨初期に外堀へ放流される下水を、この貯留管へ取り込む工事を契約しておりまして、令和五年度末の貯留開始に向け、施設整備を推進してまいります。

○古城委員 東京下水道の技術力の粋、これが象徴される工事であろうと思います。東京土木のまさに技術の結晶であります。今後とも、そうした技術を、この外濠浄化プロジェクトにしっかりと反映、生かしていただきたいと要望いたします。
 都議会公明党は、外堀の水質改善に向けて速やかに対策を講じることも求めてきました。
 今年度は、暫定対策が実施されており、今後も効果を発現させる取組を継続的に行うべきですが、見解を求めます。

○中島建設局長 外堀については、水質改善を進め、国の指定史跡にふさわしい良好な環境としていくことが重要でございます。
 このため、アオコに対する暫定対策として、水質改善処理剤の散布などを実施しております。これにより、今年度は東京二〇二〇大会開催時において、新見附濠でアオコの濃度が大会前の二分の一程度に低下したほか、市ヶ谷濠や牛込濠でも発生抑制の効果を確認いたしました。
 令和四年度は、地元の千代田区と連携し、処理剤の散布や効果の検証を行うなど、引き続き外堀の水質改善に取り組んでまいります。

○古城委員 「未来の東京」戦略 version up 二〇二二は、ステップワンとして、下水再生水の供給余力を活用して導水することが示されています。これは、この清流復活事業と共通することから、これまでの知見や経験を踏まえて関係局と連携すべきですが、見解を求めます。

○栗岡環境局長 野火止用水、玉川、千川上水清流復活事業は、関係局と協力し、多摩川上流水再生センターの処理水の一部を、砂ろ過及びオゾン滅菌により高度処理した下水再生水として放流し、水辺環境を回復する事業でございます。
 多摩川上流水再生センターから小平監視所まで導水した後、玉川上水へ放流し、中流部の中の橋まで再生水を流している部分が、外濠浄化プロジェクトの導水ルートの一部と共通してございます。
 清流復活事業では、例えば降雨時の氾濫などの危険が想定される際にも、地元等関係者の理解を得ながら、安全を確保した事業運営を行ってございまして、こうした経験を外濠浄化プロジェクトにおいても生かすことができます。
 今後も、外濠浄化プロジェクトについて、これまでの知見や経験を踏まえて関係局と連携して取り組んでまいります。

○古城委員 次に、ステップツーに示される荒川の河川水を活用し、ステップワンと合わせ、浄化に必要な量を導水するに当たり、都議会公明党は、工業用水道事業廃止後の施設活用を提案しています。
 導水に必要な施設整備について見解を求めます。

○浜水道局長 水道局では、関係五局による庁内検討会で決定した役割分担により、玉川上水の下流部とともに、荒川の河川水を活用する区間の施設整備を担当しております。
 この役割分担に基づき、今年度は、外堀の水質浄化に向けた荒川からの導水に必要な施設整備について、既存施設の活用や新たに整備が必要な施設に関する調査検討を実施しております。
 令和四年度は、このうち一部の区間の施設整備について、さらに検討を進めることとしております。

○古城委員 各局に確認をしてまいりましたけれども、これまで検討を進めてきた導水に向けた詳細調査や基本計画を基に、人々が憩う外堀の水辺再生を着実に進めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○上野東京都技監 外堀への導水に向けまして、これまで都は、関係局が役割分担し、新たな導水路整備等に関する詳細調査や様々な検討を行ってきておりまして、年度内に基本計画を取りまとめる予定でございます。
 令和四年度は、施設の基本設計に着手するとともに、多摩川からの通水の可能性の展望に向けた玉川上水の構造物健全度調査等を引き続き行う予定でございます。
 さらに、将来にわたり、水と緑の空間を残していくため、外堀や玉川上水などにおきまして、水辺環境の大切さを学ぶ子供向け勉強会などを新たに予定しております。
 外堀を中心とした魅力あるまちづくりへとつなげられるよう、引き続き、都市整備局が中心となりまして、関係局と共に、国や地元区とも連携いたしまして、人々が憩う外堀の水辺再生を着実に進めてまいります。

○古城委員 上野東京都技監を中心に、都市整備局をはじめ関係各局のご尽力によって、外濠浄化プロジェクトが東京の未来を開く事業として進展していることを高く評価するものであります。
 ここまで確認してきたとおり、外堀の浄化は待ったなしの状況であることから、新年度の予算案の概要にも示されているように、施策効果の早期発現に向けた事業執行の迅速化を図られたいと要望するとともに、今後も事業の進捗について関係各局に対して確認していくことを申し添えます。
 次に、私の地元新宿区にある淀橋市場についてです。
 二〇一九年の一般質問で、市場名に新宿を冠するなど新宿淀橋ブランドを掲げた魅力向上と活性化を提案しました。今般の中央卸売市場経営計画案は、新宿淀橋市場について、拡張整備事業を契機とする機能強化を図るとしています。
 より効率的な市場運営を実現することで、新宿淀橋市場が新たな都市型市場のモデルとなるように機能強化を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○河内中央卸売市場長 淀橋市場は、新宿をはじめとする区部西部の青果物流通において重要な役割を担っており、今般取りまとめた経営計画案では、供給拠点型市場として、小売店等の実需者ニーズに対応する機能を維持強化していくこととしております。
 また、昭和十四年の営業開始以来、適宜施設整備を行ってまいりましたが、現在、築五十年を経過する古い建物を有するなど老朽化対応が必要となっていることに加え、狭隘化という都心部に立地する市場ならではの課題を抱えております。
 これらの課題を解決し、より円滑な市場運営を実現していくため、拡張整備事業を進めており、本事業を契機として、自動搬送技術などを活用した場内物流の効率化を図ることとしております。
 今後、来年度実施する基本設計を通じて具体化を図ってまいります。

○古城委員 大消費地に隣接する恵まれた立地の新宿淀橋市場でございますけれども、周辺には、都営住宅やマンション、戸建て住宅も立ち並んでいます。近隣住民との距離が近い新宿淀橋市場であるからこそ、地域に根差して、地域との共生に向けて、ソフト、ハード両面で社会的役割を積極的に果たしていくとともに、地域に誇るべき市場となるよう魅力を高めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○河内中央卸売市場長 淀橋市場は、都市部に立地する特性を生かし、帰宅困難者の一時滞在施設に指定されるとともに、災害時に都と市場業者との協定に基づき、生鮮品の調達に協力するなど、地域防災に資する役割を担っております。
 来年度は、拡張整備事業に合わせ、策定済みのBCPのさらなる強化を図っていくこととしております。
 また、市場の業界団体である新宿淀橋市場協会が地元の青果店と連携して、旬の野菜や果物を販売するイベントを開催しているほか、地元の小学生を対象とした社会科見学の受入れなどに積極的に取り組んでおり、これらを地域の方々に幅広く発信するなど、さらなる市場の魅力の向上に努めてまいります。
 こうした取組を通じて、新宿に立地する淀橋市場が、地域の方々への貢献という社会的役割を着実に果たしてまいります。

○古城委員 次に、期待が高まる新宿グランドターミナルについてです。
 この構想は、二〇四〇年代の姿を描いていますが、長期に及ぶ工事期間中においても、誰もが安心して駅や駅前広場を分かりやすく利用しやすいように整備を進めるべきです。
 いよいよ土地区画整理事業の工事が着工するとのことですが、来年度の取組予定と今後のスケジュールについて説明を求めます。

○上野東京都技監 新宿駅周辺では、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編を目指し、土地区画整理事業により整備してまいります。
 今年度末から西口駅前広場の工事を開始し、来年度は線路上空の東西デッキなどの設計を行ってまいります。
 駅ビル建て替え工事などと併せまして整備を進め、二〇三五年度には、東西デッキと東西駅前広場を一部完成させるなど、鉄道上空の新たな往来を確保していく予定でございます。

○古城委員 民間開発と連携して土地区画整理事業を進めることが重要でありまして、既に新宿駅西口地区が国家戦略特区を活用して都市計画決定されています。
 そこで、国家戦略特区制度の特徴や、新宿駅周辺での活用状況について答弁を求めます。

○上野東京都技監 国家戦略特区は、都市再生を推進するため、国や都、区などの関係者が一堂に会した会議で協議することで、都市計画等の決定手続をワンストップ化し、迅速化を図るほか、税制支援などを行う制度でございます。
 新宿駅周辺の活用状況といたしましては、新宿住友ビルで交流を促す広大なアトリウムが整備されたほか、歌舞伎町一丁目地区では劇場と一体となったにぎわいのある広場整備などが、新宿駅西口地区では小田急の駅ビル建て替えなどがそれぞれ進んでおります。
 さらに、新宿駅西南口でも、京王、JR東日本の駅ビルの建て替えに活用を予定しております。

○古城委員 新宿グランドターミナルの一体的な再編の先駆けとなるプロジェクトとして、新宿駅西口地区で都市再生特別地区を活用する意義について見解を求めます。

○上野東京都技監 複数の鉄道路線が乗り入れる新宿駅周辺では、拡張の過程で、駅施設などが十分な整合性が図られずに継ぎ足されてきた結果、複雑な歩行者動線や段差によるバリアなど、様々な課題もあることから、都は、人中心のまちへつくり変えることといたしております。
 民間の創意と工夫を引き出して、これらの課題を解決できるよう、地域貢献を幅広く容積緩和の評価対象にすることができる都市再生特別地区を活用いたしまして、当地域のまちづくりを推進しております。
 例えば、西口地区では、駅ビルの建て替えの機会を捉え、都市再生特区により、快適な歩行者空間を創出するための広場の整備や、小田急線改札の新設と併せたバリアフリーにも配慮した地上、地下歩行者通路の整備などが可能となります。

○古城委員 新宿グランドターミナルへの再編を起爆剤として、コロナ禍を乗り越えたまちのにぎわいや活気を新宿から発信していくことが重要です。長期にわたるプロジェクトだからこそ、工事の各段階において新宿駅周辺が変わっていく絵姿を示していくべきであります。
 そこで、都民に対して、工事の安全対策や利便性に配慮した歩行者動線の確保、事業のPRなどの情報を伝えていく必要があると考えますが、見解を求めます。

○上野東京都技監 新宿駅は乗降客が多く、長期間にわたり複数の事業が段階的に進むことから、官民が連携し、駅利用者へ事業等に関する情報発信を適切に行っていくことが重要でございます。
 そこで、新宿区や民間事業者と連携しまして、事業が始まることを周知する動画を電車内や駅で放映するなど、昨年秋からまちづくりの機運を高める取組を行っております。
 今後、工事の進捗に応じて位置などが変動する暫定的な歩行者通路につきましては、民間事業者と共にホームページやSNSなどを活用し、分かりやすい情報提供を行ってまいります。
 さらに、本年二月に立ち上げましたエリアマネジメントに関する検討部会を通じまして、関係者との連携を一層強化し、事業の進捗状況に応じた効果的な情報発信を行い、まち全体の変わりゆく姿を示してまいります。

○古城委員 私は、誰もが安心して心軽やかに移動でき、分かりやすく利用しやすい空間の整備を訴え続けています。
 この新宿グランドターミナルの再編を契機として、駅の東西南北の一体的な活用を図り、現在、都が検討を進めている西新宿地区の再編も含め、新宿全体のまちづくりを推進すべきと考えますが、見解を求めます。

○上野東京都技監 西新宿地区では、副都心建設から半世紀経過し、人中心の空間への改造が求められていることから、都は地元協議会等と共に地区の再整備を検討しております。
 道路と街区間の段差を解消するバリアフリー動線の確保や、新たなにぎわいとビジネスを生み出す交流機能の導入、先端技術も活用した次世代モビリティーの実装などにつきまして議論しておりまして、来年度、再整備方針を策定する予定でございます。
 東口地区では、百貨店や老舗等から成る国内有数の商業集積地の特性を踏まえ、都が策定した街並み再生方針に基づき、地元関係者が、国際集客都市の形成や、歩行者優先で回遊性の高いまちづくりなどに取り組んでおります。
 こうした異なる個性を生かしたまちづくりを進め、新宿グランドターミナルへの再編を契機といたしまして、地域全体をつなぎ、質の高い国際交流拠点を目指してまいります。

○古城委員 私は、新しい生活様式への適応が求められる今、社会的課題の解決と経済発展の両立に向けて、東京版Society五・〇であるスマート東京を進展させるためには、日常生活の不安や不便、働く人々の課題などを解決するサービスが体感できる事業を実施すべきと訴えてまいりました。その先行実施エリアが西新宿でございます。
 こうした事業や取組の恩恵を都民に還元することが重要であります。例えば、人々の社会活動が仮想のデジタル空間で行われるSF作品のような世界がメタバースと呼ばれ、世界中で話題になっています。
 私は、この機を捉え、西新宿モデルに参画したスタートアップが持つデジタルの力を活用して、例えば、まちの過去から未来への変遷や生まれ変わっていく明るい将来像などを可視化するサービスなど、ここから世界をリードする新しいサービスを生み出していく、にぎやかで楽しく、勢いのある西新宿にすべきと考えます。
 宮坂副知事の見解を求めます。

○宮坂副知事 西新宿では、先行して整備した5Gネットワークを活用して、自動配送ロボットなどスタートアップによる最先端技術の実装を集中的に支援しています。
 一方、世界では、VRやAR、現在話題を集めている空飛ぶ車、メタバースなど新たな技術が光のスピードで次々と生まれ、都市への導入が始まろうとしています。
 しかし、こうした技術はあくまでもツールであり、まずは地域住民や働く人、幅広い世代の声をデジタル技術も活用して傾聴、対話することで、地域のニーズを知ることから始めることが大事です。
 私は、そこから見いだされたニーズに合った新しい技術を持つスタートアップなどの挑戦者が活躍できるまちにしていきたいと考えています。
 来年度は、地域の企業や大学とコンソーシアムを立ち上げるとともに、住民の方々との交流を深め、地域ぐるみで新たなことにチャレンジする土壌をつくり上げてまいります。
 こうした取組により、住民の方々が愛着と誇りを持ち、世界から注目される西新宿モデルを確立してまいります。

○古城委員 台湾のオードリー・タン氏は、若い世代と、これまで支えてこられた先輩方、この共同、いわゆる青銀共創といいます。青と銀が共に創る、こうしたことを訴えておられます。さらには、その担い手としてスマートシチズンという、こういう考え方も示されております。皆様よくご存じのことだと思います。
 ぜひとも、この考え方も含めて、ここ新宿、そして、東京から全国、全世界へと、Society五・〇スマート東京をしっかりと進展をさせていただきたい。重ねて重ねて強く要望させていただきます。
 次に、がん医療について質問します。
 私は、がんの放射線治療に関して、高精度な放射線治療装置を安全かつ効率的に運用するためには、とりわけ人材不足が指摘されている医学物理士の確保、育成の取組の必要性を訴えてまいりました。
 そこで、都立病院におけるこれまでの医学物理士の確保、育成の取組について説明を求めます。

○西山病院経営本部長 医学物理士は、高精度放射線治療の治療計画の立案や検証、管理を行うスタッフであり、放射線治療の安全性や治療成績の向上に重要な役割を担ってございます。
 平成二十四年度に二名を配置して以降、高齢化に伴う放射線治療の適用患者の増加などが進む中、その必要性に応じて採用等により人材確保を進め、本年一月現在、六名を配置してございます。
 また、平成三十年度からは診療放射線技師を対象に、医学物理士の資格取得支援を開始し、取得に要する費用や服務上の支援を行っており、これまでに三名が医学物理士の資格を取得いたしました。

○古城委員 今後の放射線治療の発展には、医学物理士制度の整備は必須であり、日本放射線腫瘍学会においても、医学物理士の在り方が検討、推進されています。
 また、都議会公明党が、政策目標、チャレンジエイトに掲げる重粒子線治療装置の導入に向けても、いや増して医学物理士の果たす役割が重要となります。
 そこで、今後も医学物理士の確保、育成に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

○西山病院経営本部長 放射線治療のさらなる高度化が見込まれる中、医学物理士の果たす役割は一層重要になると認識してございます。
 独法化後は、医学物理士を新たな職として位置づけ処遇するとともに、年度途中に欠員が生じた場合でも、機動的に人材を確保してまいります。
 また、資格取得に向けた支援についても、引き続き実施してまいります。
 こうした取組によりまして、独法化のメリットも十分生かしながら、新たな都立病院で高度な専門職である医学物理士を適切に確保、育成してまいります。

○古城委員 次に、難聴児の支援についてであります。
 都議会公明党は、全ての新生児が都内全域で聴覚検査を受けられるための体制整備と早期療育に向けた取組の充実を訴えてきました。
 これを受けて、都は、二〇一九年四月から全区市町村で新生児聴覚検査の公費負担制度を導入しています。
 都外での里帰り出産なども含め、この制度の成果について答弁を求めますとともに、これからも全ての新生児が受診できるように取り組んでいくこと、さらに、難聴児とその家族に対する検査から診断、治療、療育、教育に至るまでの切れ目のない支援に向けて、早急に体制整備すべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 まず、新生児聴覚検査でございますが、平成三十一年度から、都内で出産した場合は、共通受診券によりまして、また、里帰り出産など都外の場合は償還払いにより、三千円を公費で負担する体制を取っております。
 都は、検査可能な医療機関のリストをホームページに掲載するほか、区市町村や医療機関等の関係機関向けに検査の流れや関係機関の役割などを示した実務の手引を作成し、配布しております。
 検査の受診率は、制度導入以前の平成三十年度の九二・八%から、令和二年度は九八・八%と上昇しているところでございます。

○三宅委員長 答弁漏れじゃないですか。もう一つ答弁があると思うんです。

○中村福祉保健局長 失礼しました。難聴児を早期に発見して、療育や教育など切れ目のない支援につなげるためには、保健、医療、福祉、教育の関係機関の連携が必要でございます。
 都は来年度は、医師、言語聴覚士のほか、療育施設や教育機関の関係者などで構成する協議会を設置し、検査から診断、治療、療育、教育に至るまでの連携に向けた課題や情報を共有いたします。
 また、協議会では、難聴児と保護者に対する相談対応や情報提供などを担う都の中核的機能の在り方のほか、地域の支援関係者に対する研修などの難聴児支援の方策について検討を進めてまいります。

○三宅委員長 古城まさお委員の発言は終わりました。(拍手)

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