予算特別委員会速記録第四号

○宇田川副委員長 風間ゆたか委員の発言を許します。
   〔宇田川副委員長退席、三宅委員長着席〕

○風間委員 立憲民主党の風間ゆたかです。
 初めて予算委員会、質問をさせていただきます。
 数少ない小池都知事とやり取りできる機会ですので、ぜひ、冒頭に小池都知事に質問をしたいと思いますが、まずは経済産業政策について伺います。
 コロナ禍で、経済成長の低迷、そして、この日本においては、働く人たちの賃金、平均賃金がほぼ横ばいという状態が続いている中で、私たちは、先般、代表質問で賃上げに関しての質問を行ったところであります。
 局長からの答弁は、労使交渉で決めるものだというもっともな答弁でありましたが、私たちとしては、経済政策として、今、岸田総理になって状況が変わってきているのではないか、東京都の経済を底上げ、これを期待している人たちの声を受けて、小池都知事の賃金を上げていくことに関する経済政策についても伺いたいという観点から質問をしたのですが、小池都知事からの答弁がなかったので、今回は、ぜひ、その観点から質問を伺いたいと思っています。
 英国では一・四八倍、米国では一・四一倍と、この二十年間で賃金が上がっているという状況です。
 この経済政策として、市場経済の中で賃金が決まっていくというのは大前提ではありますけれども、その中でも経済政策として取り組んでいく、政治判断で取り組んでいくということはできるのだろうと思います。
 長らく利潤主導型の経済政策がこの国では続いてきたんだと思いますけれども、岸田総理になって、賃金を上げていくというところに、新たなかじを切ったのだと私たちは捉えておりますけれども、こうして都民も、収入が上がっていく、所得が上がっていくということで、生活基盤が向上していくということに期待感を持っているのではないかと思います。
 この観点で、小池都知事の答弁を求めます。

○小池知事 都政のミッションというのは、都民の幸福な生活を実現することだと、このように認識しております。
 そのために、都内経済の活性化を図る、そして持続可能な成長につなげていく、そして都民が安心して生活できる環境を整える、この両方の政策を推し進めていく必要がございます。
 都は、「未来の東京」戦略で、イノベーションを生み出すスタートアップへの支援や、世界をリードする国際金融都市など、まず稼ぐ東京ということを実現して、そのための多面的な取組を推進しているところでございます。
 また、多様で柔軟な働き方や就労に困難を抱える方への支援をはじめ、子供から高齢者までライフステージに応じた様々な政策を展開することで、都民が心豊かに生活ができる、そのような東京を目指しております。

○風間委員 ありがとうございます。
 岸田総理は、民間企業にも三%を超える賃上げを期待すると述べて、政府としても環境整備に努めるということを表明しております。
 経済政策として取り組めることには限りがあるとは思いますけれども、今、知事の答弁だと、賃金というところに関しては、あまり具体的に触れていらっしゃいませんでしたけれども、平均所得が上がっていくためには、正規雇用を増やしていくといったことも必要で、この後質問したいとは思っていますけれども、賃金が上がっていく経済政策が必要ではないかという観点からの質問でありました。
 小池都知事は、大臣経験者でもありますし、大きな視点でこういった経済政策、取り組んでいくだろうという都民の期待感もあるかと思いますけれども、このあたりに関して、いま一度、都知事、賃上げということに関してはどのような見解をお持ちか、お聞かせください。

○小池知事 賃金を上げていくということにつきましては、これまでも、それぞれ総理をはじめとする方々、ある意味、官製ベアなどといわれておりました。企業活動と、そして賃金、その経営の一環としての賃金をどうしていくのかという判断が必要になってくるんだろうと思います。

○風間委員 官製ベアに関しても、経済政策としては一定の有効性があるという見解を示す専門家もいらっしゃいますから、今回の岸田総理がこのように取り組んでいくということに関しては、国民も期待を持っているものだと思います。
 そして、この首都東京において所得が上がっていくということについては、東京の経済成長、それが自分たちに還元されるのかということについても関心を持っていると思いますので、引き続き、東京都政として、都民の所得が上がっていくために取り組んでいただくことを求めます。
 また、このコロナ禍からの復興ということで、四定では、私たち、グリーンリカバリーということを求めたところでもあります。
 都知事答弁では、東京都ではこれをサステーナブルリカバリーという形で進めていくということで、より広義でサステーナブルな東京を進めていくんだ、そしてこのコロナ禍からの復興を目指すんだというものだと捉えております。
 新しい産業を生み出していくということも重要ですし、また、新たな分野で成長産業が生まれていくということも必要かと思います。
 その観点から、ソーシャルインパクトファンド、仮称ですね、これに東京都が取り組むということに関しては大変に期待をしているところであります。
 一方で、ESG投資以上にインパクト投資というもの自体が、経済的リターンを求めないものも含めて投資対象とするというような一般的な認識があるかと思いますけれども、そうなってくると、この投資対象が大変に幅広くなってくるということから、この基準をどういうふうに定めていくのか。また、都民の税金をそこに投入していくということなのであれば、官民協働で行っていくということに関しても期待感はありますけれども、税金の使い方として適正なのかどうか、このチェック体制なんかも含めて、どのように進めていくのかということに大変注視していきたいと思っていますが、このあたり、東京都はどのように取り組んでいくんでしょうか。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 都が出資を行っている官民連携ファンドは、都の資金を呼び水として民間の資金やノウハウを引き出し、官民が連携して政策目的を達成するための手法でございます。
 政策目的の達成状況等につきましては、投資先の概要などの情報を適宜公開しています。
 加えて、ファンド運営事業者の選定に当たりましては、法律、会計、投資など、各分野の専門家を審査委員に加え、投資リスクの軽減等の観点から審査を実施しております。
 ファンド創設後も、運営事業者に対する質問権や検査権を確保し、専門家に委託して運営状況の監視を行っているところでございます。

○風間委員 このファンドをつくってから立ち上がるまで、一定の期間も要するかと思いますので、引き続き、この取組には注視していきたいと思います。
 サステーナブルリカバリーという観点からは、このESG投資を都内の各事業者が行っていくということも大変に重要な視点だと思います。
 一方で、このコロナ禍からの復興という観点で、何とか倒れないために一生懸命足を踏ん張っているというような事業者も多いような状況でありますから、なかなか人的リソースや資金調達、こういった面でESG、こういったところの観点に取り組みにくいという事業者も多いのではないかと思います。
 その観点から、サステーナビリティー経営支援事業というものを東京都がこれから取り組んでいくということでありますが、この取組内容について詳細を教えてください。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 中小企業がこの先も成長、発展を続けていくためには、持続可能性への配慮という社会の要請に応えた経営への転換が鍵となります。
 このため、中小企業が自社の経営課題を熟知している金融機関との深い対話を通じて、サステーナビリティーに関する野心的な目標を設定し、その目標の達成度合いと融資条件が連動するローンを活用しやすくなるよう、支援を行ってまいります。
 具体的には、CO2排出量削減などの目標設定に係るコンサルティングや、第三者による達成度の検証などに要する費用の一部を都が補助することにより、ローンの活用を促進し、中小企業の経営転換を図ってまいります。

○風間委員 ありがとうございます。
 サステーナブルリカバリーという観点から、ゼロエミッションの実現を中小企業にも観点として持ってもらうことも大変に重要な取組だと考えます。
 このゼロエミ実現に向けて取り組む余裕がない、これは先ほどの内容と同様かと思いますけれども、まずはこういったゼロエミ実現に向けて都内事業者に理解をしてもらうということも重要でしょうし、こういった観点からの中小企業支援というのも、今後は大変に重要なことだと思います。
 都は、様々メニューを取りそろえているかと思いますけれども、来年度、どのようなことに力を入れていくのか教えてください。

○坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業に対し、ゼロエミッションの考え方などを学ぶことのできるセミナーを実施いたします。また、専門家が中小企業に出向き、脱炭素化に向けた課題を明らかにした上で、経営戦略を作成する取組や、その内容の実施から定着までをサポートいたします。
 さらに、環境に配慮した製品の開発に要する経費の三分の二を、一千五百万円を上限に助成をいたします。

○風間委員 ありがとうございます。
 サステーナブルリカバリーということは、新たなこういった社会的な事業を生み出していくことの支援、このことに取り組んでいる東京都の姿勢を、まず評価をしています。
 今年度は、クラウドファンディングで新たな事業創造、起業ということを考えている人たちを支援していくという取組を行ってきたことにも注視をしているところでありますけれども、起業、創業というところだけではなく、来年度は、このクラウドファンディング支援を行っていくということについては、具体的にどういった対象に行っていく予定なのか、取組について教えてください。

○坂本産業労働局長 都はこれまで、創業を希望する方などがクラウドファンディングにより資金を調達する際、ファンディングのサービスを提供する事業者に支払う手数料の一部に助成を行ってまいりました。
 来年度は、中小企業等がクラウドファンディングにより、DX化や事業の再構築につながる取組を行う場合も、新たに助成の対象といたします。
 これらによりまして、中小企業の資金調達を支援してまいります。

○風間委員 クラウドファンディングについては、このコロナ禍で大分認知も広がってきたことかと思います。
 私も、取組に注目していた企業が大変な状況だということで、クラウドファンディングを始めた際に参加をしてみたこともありますけれども、このようにしてクラウドファンディングを中小企業支援として行っていくことに大変期待をしております。
 新たな事業創造をしていく、それを支援していくという観点からは、次の世代に対して、起業の面白さ、こういったことを伝えていく取組が非常に重要だと思っています。私自身も起業家教育に携わってきたことはありますけれども、東京都としてもこの起業家教育に取り組んでいること、このことには大変期待をしているところであります。
 より多くの子供たちに起業することの意義、そして、新たな時代を自分たちでつくっていくんだということを気づいてもらうということは、大変効果があると感じておりますけれども、今年度どのような取組をして、来年度どのような計画なのかということを教えてください。

○坂本産業労働局長 都は、小中学生や高校生が起業に関心を持ち、将来の進路の選択肢の一つとできるように支援を行っているところでございます。
 小中学生向けには、今年度、起業の面白さを学ぶイベントを四回開催いたしました。また、十一の小中学校に対して起業家教育のカリキュラムの作成を支援しており、来年度はその内容の実施をサポートいたします。
 高校生向けには、起業に必要な知識を学ぶ講座等を開催し、延べ五百名を超える参加がございました。また、起業に高い関心を持つ高校生十三名にビジネスモデルの作成のサポートを行い、来年度はその事業化の後押しも行います。

○風間委員 都内で十一校だということで、全体からするとほんの僅かだなという印象を持ってしまいますけれども、私も携わってきた経験上、なかなか学校現場の中に入って新たなプログラムを導入していくということが、学校現場にとっても大変なことだということは重々承知しております。しかし、いいことをやっているのですから、ぜひ教育庁とも連携しながら、これを広げていくことを期待したいと思います。
 さらには、サステーナブルリカバリーという文脈で今回はお話をしておりますことから、ぜひ子供たちにはソーシャルビジネスを立ち上げていくこと、チェンジメーカーになっていくんだということも含めて、この起業家教育の中には取り込んでいってもらえればなと思います。期待しています。
 続きまして、中小企業支援という観点から、一点、すみません、質問するのを失念していましたけれども、伺います。
 不確実性の高い今の時代にあって、これからの中小企業、存続していくことも困難だと悲鳴を上げている、そんな声を方々から聞くところであります。都も、様々な支援を行ってきているかと思いますけれども、この支援が行き届いていない、こんなことも感じることもあります。
 なかなか、都の支援を受けるというのはハードルが高いのではないかと尻込みしてしまうような中小企業も多いかと思いますけれども、こういった初めて都の支援を受ける、そんな企業でも今の時代の変化についていけるような、そんな企業変革を起こしたいと願っているような企業に対して、来年度どのような取組を行っていくのか教えてください。

○坂本産業労働局長 都の支援事業を中小企業が初めて利用する場合、相談窓口で専門家が会社の状況などを聞きながら、きめ細かい助言を行い、効果的なメニューを紹介することとしております。
 こうした助言などを受けて、中小企業が、例えば業務効率を高めるために会計処理などの事務手続を効率化するソフトウエアの購入などについて、百万円を上限に助成を行う事業を開始いたします。
 これらにより、中小企業の支援を進めてまいります。

○風間委員 ありがとうございます。
 続きまして、サステーナブルリカバリーという観点から、別の切り口でジェンダー平等、この視点から伺います。
 男性の育児休暇取得率、これがなかなか上がってこないという問題に、私たちは真剣に取り組んでいく必要があると考えているところであります。
 しかし、これは幾ら男性に育児休暇を取得しよう、しようと、声を上げて普及啓発をしていったとしても、企業側がなかなかそれを認めない、または認めないような雰囲気である、こんな声はずっと続いているところでありますけれども、東京都は、来年度、こういったことに対して、特に男性の育児休暇取得に予算を増やしていく、この取組には大変注目をしております。
 具体的にどのような取組を行っていくのか、お聞かせください。

○坂本産業労働局長 都は、男性従業員の育児休業中に代わりとなる社員を確保するなどの企業の取組に奨励金を支給しており、来年度はこの規模を四百件から七百五十件に拡充いたします。
 また、男性の育児休業の取得促進に向けた啓発キャンペーンを展開し、企業の優れた取組事例を集め、多様な媒体で発信をしてまいります。
 これらの取組によりまして、男性の育児休業の取得を後押ししてまいります。

○風間委員 先ほど申し上げましたように、やはり企業側の理解、そして社会全体の理解、これが必要なのだと思います。都が増額予算したこと、これがしっかりと行き届くように期待をするものであります。
 続きまして、雇用の観点から質問をしてまいります。
 先ほど申し上げましたように、国民の所得が、なかなか平均所得が上がっていかないと。この背景には、非正規労働者の比率の増加ということもいわれているところでもあります。
 実際に都内でも、非正規労働者、なかなか正規になりたくてもなれないというような声も届いてきているところでありますし、特に私は、一度子育てで仕事を辞めて、仕事を復帰したい、そして、まずは非正規労働から、さらには子育ても終わったので正規になりたいと、こう考えている女性でも、ほとんどがその願いがかなっていないというような状況だと感じています。
 さらにはシングルマザー、子育てしながらだったりすると、非正規からなかなか正規での採用がない、こういった声も届いているところであります。
 もちろん、これも雇用側の都合もあることですから、正規として採用することにはリスクがあるということは重々承知をしているところでありますけれども、東京都として、こういった課題に対して、どのような支援策を考えているのか教えてください。

○坂本産業労働局長 都は現在、非正規で働く従業員を正社員に転換する企業の取組に対して助成金を支給しております。
 来年度は、こうした取組に加えまして、ひとり親の方に対し、オンラインによる職業訓練を通じて、キャリア形成に向けた資格取得を支援いたします。
 これらの取組によりまして、非正規雇用の方の安定した就労を後押ししてまいります。

○風間委員 先ほど申し上げたように、採用する側、雇用する側の都合もあるかと思います。企業経営をする観点からいえば、やはり正規雇用をするということに対しては、大きなリスクを伴うということもあろうかと思いますので、こういった企業に対するインセンティブ等も、今後、検討をしていくようにお願いをいたします。
 続きまして、子供若者政策について伺います。
 二〇一九年の国連の子どもの権利委員会では、日本政府に対して多岐にわたる是正勧告がありました。それから三年、この国の子供政策として、子どもの権利条約にのっとった取組が行われているかといえば、まだまだな点も多々あろうかと思います。
 こういった子ども権利条約にのっとって子供政策を行っていく、何も政府任せということでは当然ないわけですし、東京都もかなり取り組んできていることと思います。
 東京都としては、東京都こども基本条例が制定され、来年度予算には、この理解促進の予算も計上されているかと思います。大変に重要なことだと思います。子供自身が自分たちは守られている存在なんだということを、まずは知るということ、このことについては、私も、こういった活動をしている子供たちの支援に携わったことがあります。
 東京都としては、この理解促進について具体的にどのように取り組んでいくのか、特に子供自身に知ってもらうということ、そして、これから親になっていく人たちにも知ってもらうということが重要だと思いますので、その観点からも教えてください。

○中村福祉保健局長 都は来年度、こども基本条例の内容を子供自身が理解できるよう、学識経験者や広報に関して知見を持つ有識者が参加する委員会で、内容構成等を検討して、年齢や発達段階に応じた普及啓発リーフレットを作成いたします。
 リーフレットは、学校を通じて子供や子育て家庭に配布するほか、これから親になる方にも届くよう、区市町村等と連携しながら、様々な機会を捉え、配布してまいります。

○風間委員 私の地元世田谷区では、各小中学校に子どもの権利条約に関するポスターが掲示をされていて、既に二年となります。
 こういった取組も重要かと思いますので、教育庁と連携しながら、ぜひこういったことも進めてもらえればと思いますし、これから子供の親になる人たちにしっかりと伝えていくためには、母子手帳に記載をする、こういった取組を行っている自治体もありますので、ぜひ自治体と連携して、この母子手帳への記載ということも進めていただければなと思います。
 子供政策を考える上で見過ごされがちなのが、若者、中高生の支援ということなんだと感じています。東京都は、子供の居場所創設事業で前提条件を撤廃することによって、中高生の居場所整備を支援できるようになるということに関しては、大変期待をしております。
 コロナ禍で中高生の集える場がない、こういったことであるとか、思春期特有の健康上の悩みを抱えることもある、または望まない妊娠等で一人で悩んでいる、こんなこともあるかもしれません。こういった中高生の悩みに対応できるよう、相談支援の取組を進めるべきだと考えますが、東京都としての見解を問います。

○中村福祉保健局長 都は、予期しない妊娠を含む妊娠や出産に関する相談に対応する妊娠相談ほっとラインや、思春期から更年期に至る女性の心身の健康に関する悩みに対応する女性のための健康ホットラインを実施しております。
 来年度は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため、東京ユースヘルスケア推進事業を開始いたします。
 この中で、若者への相談支援の実施に向けて、支援の対象や方法等を検討するとともに、健康教育や相談支援を行う区市町村への支援を拡充することとしております。

○風間委員 ありがとうございます。
 私の地元世田谷には、中高生の居場所ということで既に三か所ありますけれども、大変に人気であるという状況です。部活動ができなかったり制限されていたり、または放課後の居場所がなかったりということで、こういった中高生の居場所と相談体制、これを連携させていく取組も重要かと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、児童相談所について伺います。
 児童相談行政という観点からは、様々な課題があると思いますけれども、長期休暇前になると、一時保護所にはたくさんの子供たちで、かなり埋まってしまうというような話も聞いているところであります。
 これに対応する人材の育成、そして、採用といったことは大変に重要なことだと思いますが、これについて東京都は強化する方針だと伺っております。どのように強化をしていくのか、教えてください。

○中村福祉保健局長 都は今年度から、専任のチームを設置し、採用活動を積極的に展開するほか、若手職員等が働きやすい環境を整備するため、職員住宅の借り上げを行っております。
 来年度は、旧世田谷児童相談所を活用してトレーニングセンターを開設し、保護者等との面接スキルの向上のためのロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施いたします。
 こうした取組により、児童相談所の人材確保、育成に向けた取組を強化してまいります。

○風間委員 都内では、各区による児童相談所の設置によって、こういった人材の獲得競争になってくる懸念も当然あるわけですけれども、東京都としてこのあたりしっかり行っていくことを期待しています。
 児童相談行政という観点からは、社会的養育が必要な子供たちに対して、家庭的な環境で養育できるようにということで国も目標を定めているところであり、東京都も目標を設定しているかと思います。こういったことを行っていくフォスタリング事業ということは大変に重要だと認識しておりますけれども、なかなかこの里親になってくれる方々を増やしていくということについては、困難を極めている状況だと伺います。
 私も以前は、福岡市に行ってこのフォスタリング事業をどのように進めていくのかということ、かなり成果が上がっているということで伺ってきたことがありますけれども、里親を増やしていくために、フォスタリング事業を強化していくことが必要だとも思いますけれども、都の見解を求めます。

○中村福祉保健局長 都は、令和元年度に策定いたしました東京都社会的養育推進計画に基づきまして、実の家庭における養育が困難な場合には、家庭と同様の環境で養育できるよう、里親等への委託を推進しております。
 令和二年度から、里親のリクルートや研修、委託後の支援など、里親支援業務を包括的に民間団体に委託するフォスタリング機関事業を、多摩児童相談所の区域で試行的に実施しておりまして、令和四年度は新たに二つの地域で開始することとしております。

○風間委員 里親になってくれる方を一朝一夕で増やしていけるとは思っていません。しかし、東京都は、令和十一年度に三七・四%に比率を上げているというふうに掲げている状況で、平成三十年度の時点ではまだ一四・三%だったということから、大きな開きがあるものだと思います。
 フォスタリング事業を強化することによって、また、事業委託していく事業者にはこの里親を増やしていくということにより一層力を入れてもらうように、東京都としても取り組んでいくことを求めます。
 家庭的な環境で養育をしていくということも重要ですが、一方では、児童養護施設で生活をしている子供たちが現在もいるような状況です。
 こういった児童養護施設は、施設によっては様々な課題を抱えていることかと思います。こういった課題解決策として、都はどのように取り組んでいるのかを伺います。

○中村福祉保健局長 虐待によって心身に傷や障害を持つなど、ケアニーズの高い児童を支援する上で、児童養護施設は重要な役割を担っておりますが、夜勤等の不規則勤務や業務負担などによって、人材の確保、定着が課題となっております。
 来年度から、こうした課題を抱える施設に対しましてアドバイザーが個別にコンサルテーションを行い、組織運営力の向上を図る取組を開始いたします。

○風間委員 児童養護施設出身の方から話を伺ったことありますけれども、大変に困難な生活を強いられてきた話なども聞いたことがあります。施設によってばらつきがあるという状態から、少しでもよい事例を参考にしていける、そんな施設が増えていくことを期待しています。
 次に、保育待機児童の解消について伺います。
 解消に向けて取り組んでいるということに関しては、ほかの会派、または私たちの会派への答弁でも確認をすることができましたが、実際に保活をしている方から寄せられる声は、認可保育園に入りたかったのに結局入れなかったと、こういった声はいまだに届くところであり、今回配られた資料の中では、まだまだ認可保育園、希望しながら入れない人たちが相当数いるんだなということを感じているところであります。
 その一方で、認可保育園の施設整備予算、来年度を見ると、これ半減しているということに少々驚きましたが、これはどういう状況なのかを教えてください。

○中村福祉保健局長 都では、地域の実情に応じて保育サービスの拡充に取り組む区市町村を待機児童解消区市町村支援事業によって支援しておりまして、経費といたしましては、区市町村の施設整備計画を調査した上で計上しております。

○風間委員 認可保育園に入りたいと望みながら入れなかった方たちは、隠れ待機児童なんだという声も上がります。認可保育園に入りたいと思う人たちがきちんと認可保育園に入れるよう、そこまで東京都としても支援をしていく、このことを求めていきたいと思います。
 この間、待機児童が急激に減少したことの大きな理由としては、保育従事者の宿舎借り上げ制度かと感じているところでもあります。
 しかし、保育士さんから聞く声としては、これ、いつ打ち切られてしまうのかということで、不安だというような声も届くところであります。
 この制度について、東京都は、今後どうしていくのかということを教えてください。

○中村福祉保健局長 都は、保育人材の確保、定着、離職防止を図るため、職員用の宿舎を借り上げる事業者に対しまして、国事業に加えまして、対象の施設や職員を拡大するとともに、採用年数の制限を撤廃して独自に支援しており、来年度も本年度と同様の内容で支援していくこととしております。

○風間委員 ありがとうございます。
 次に、教育政策について伺います。
 先般、都立高校の一般入試が終わりました。私も中学三年生の保護者でして、区立中学生だったものですから、周りで受かって喜んだ子もいれば、落ちて残念がっている子供を、息子の友人たち等を見て感じているところであります。
 常に保護者から上がってきている声ではありますけれども、その中の三割、一般入試に関しては三割が、調査書、内申点、これで決まってくるということから、この調査書のつけ方について疑念があるというような声はいつも届いてくるところであります。
 例えば、定期テストがある学校、ない学校があったりしますし、担任の先生や教科の先生によって、その基準が、ばらつきがあるのではないかと。大体こういう、望みどおりの点が取れなかった方からは、そういう声も上がってくるのかもしれませんけれども、こういったことに関して、基準は統一されているのかどうか、改めて確認させてください。

○藤田教育長 都教育委員会は、学習指導要領の改訂時に、学習評価に関する国の資料等に基づき、評価の基本的な考え方や各教科における評価のポイントなどを示した指導資料を作成し、全公立小中学校に配布しております。
 それらの資料に基づき、各学校では、教科の特性に応じて、テストや作品、実技など多様な方法で評価を行うことなどを全ての教員で共有し、適正に評価を行っております。
 なお、年度当初には、児童生徒や保護者への説明を丁寧に行い、理解を得るように取り組んでいるところでございます。

○風間委員 子供たちにとっては、都立高校に入れるか、入れないかという、人生を左右するものだと思います。ですから、それだけ、より公平に行っていく必要があるんだと思います。
 その観点から、英語スピーキングテスト、これが都立高校一般入試に新たに二十点加わるということについては、あまりにも唐突ではないかというような声も届いておりますし、私たちの会派では質問を重ねてきたところであります。
 この件に関して、まだまだ認知が広まっていないと私たちは感じているところですけれども、来年度、これをすぐに反映させるということではなく、もう少し周知がしっかり行われてから行うべきではないかと考えますけれども、教育委員会の見解を問います。

○藤田教育長 都教育委員会は、平成三十一年二月にスピーキングテストの実施方針の公表以降、区市町村教育委員会や中学校等を対象に説明会を実施し、事業の趣旨や内容を周知してまいりました。
 また、中学校の生徒、保護者向けに、テストの目的や過去問題等をウェブサイトに公開するとともに、高校入試における活用について、都教育委員会の取組などを紹介する広報誌に掲載するなど、導入までのスケジュールの周知を図ってきたところでございます。
 来年度、本実施となりますことから、来月、新入生を含めた全生徒、保護者に対し、テストの概要を紹介するリーフレットを改めて配布する予定としておりまして、スピーキングテストを着実に実施してまいります。

○風間委員 イングリッシュスピーキング、これが重要だということに異論はありません。
 しかし、あまりにもこれが行き渡っていないということが問題ではないかと思いますから、しっかり周知した後に都立高校の入試に反映させていくべきだと、改めて私たちは主張しておきます。
 これはアチーブメントテストだということですから、イングリッシュスピーキングの能力を授業の中でしっかりと行っていく方が先ではないかという考え方もありますけれども、どのような取組をしていくのか、最後に伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、生徒の話すことの力を伸ばすため、都内公立中学校の全ての英語教科教員を対象とした研修の実施や指導資料の配布等により、授業改善を支援してきたところでございます。
 また、専用のウェブサイトを通じて、話す練習ができる動画教材やスピーキングテストの問題等を提供し、生徒がデジタル機器を活用し、効果的に学習に取り組めるよう、学習環境を整備してきたところでございます。

○三宅委員長 風間ゆたか委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十九分休憩

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