予算特別委員会速記録第四号

○三宅委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 初めに、オンラインによる出席委員について申し上げます。
 都民ファーストの平委員から、オンラインによる本日の委員会への出席の申請があり、これを許可いたしましたので、ご了承願います。
 平委員、よろしくお願いいたします。

○とや委員 この際、都立、公社病院の独立行政法人化に関わり、都民や関係者などからの意見を予算特別委員会として聞き取るため、参考人招致を求める動議を提出いたします。
 都立、公社病院は、採算を取るのが困難な感染症医療や救急、周産期、障害、難病、島しょ医療など、民間の医療機関では担い切れない医療を提供する役割を担ってきました。とりわけ、コロナ禍の下で、都立、公社病院は、全国で最も柔軟かつ機動的にコロナ対応を行っており、都民の命のとりでとなっています。
 本予算特別委員会の質疑でも、独法化の検討を提言した経営委員会の提言自体が自治法違反になりかねないものであることも明らかになりました。
 多くの都民から独法化中止を求める請願や陳情が提出され、病院現場で働く職員からも疑問や懸念の声が多く上がっており、都立、公社病院を独立行政法人化することについて、都民の理解も合意も得られていません。
 参考人招致は、関係者や都民、弁護士などに出席していただき、予算特別委員会として意見を聞き取り、独法化に関わる審議を一層深めるために極めて重要です。
 よって、予算特別委員会として参考人招致を行うことを求めます。

○三宅委員長 ただいま、とや委員から、参考人の招致を求める動議が提出されました。
 これより採決を行います。
 とや委員の動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○三宅委員長 起立少数と認めます。よって、とや委員の動議は否決されました。

○三宅委員長 次に、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、三月二十二日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○三宅委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定いたしました。

○三宅委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 鈴木純委員の発言を許します。

○鈴木(純)委員 よろしくお願いします。
 令和四年度の一般会計予算規模は、前年度と比べますと五・一%増の七兆八千億円となり、コロナ禍にもかかわらず、都税収入は三年ぶりのプラスと転じております。
 一方で、都市インフラの強靱化、社会保障関係費の増加など、避けられない財政需要がある中において、さらにウクライナ情勢に関する今後の影響、ふるさと納税の減収額など、今後も様々な課題がある中で、東京都は財政運営を行っていかなければなりません。
 中でも、小池百合子都知事が、さきの我が会派の質問に対して答弁をいただきました首都強靱化プロジェクトでも明らかなように、災害対策は重要かつ大きな事業であります。
 初めての予算委員会となりますが、私からは、災害、そして水害を中心に伺わせていただきます。
 日本は世界有数の地震大国でありますが、中でも首都東京が位置する関東地方の地下では、プレート境界が複雑な構造になっており、日本の中でも非常に地震活動が活発な地域の一つとなっております。
 首都直下地震は、今後三十年以内に約七割の確率で、南海トラフ地震は七割から八割の確率で発生といわれております。まさに切迫性が高い状況であります。
 こうした中、都は、過去の地震で得られた最新知見や、人口構造などの社会環境の大きな変化等を踏まえ、現在、被害想定の見直しを行っているところであると認識しております。
 こうした大規模地震が現実となった場合、発災直後は広範囲で停電が発生するなど、情報通信網が一気に途絶することが想定されています。
 発災時に災害対処の方針を迅速に決める上でも、情報空白期にいかに被害の状況等を早く捉えるかがとても重要となると考えております。首都直下地震発生直後の情報収集について伺います。

○村松総務局長 発災直後においては、被害の全体像を早期に把握することが、その後の迅速かつ円滑な救出救助や緊急輸送ルートの確保などを行う上で極めて重要でございます。
 そのため、発災直後、東京都地震被害予測システムを稼働させ、都内の被害状況を予測いたします。
 さらに、都内四か所に設置した高所カメラや警察、消防のヘリコプターからの映像等で、実際の被害状況を俯瞰的に把握いたします。
 こうした情報を関係機関と共有し、迅速な救出救助活動につなげてまいります。

○鈴木(純)委員 ただいまの答弁で、発災直後の被害状況の把握の手順については理解できました。
 東京都地震被害予測システムにより、東京都全体の被害状況を予測することに合わせて、リアルタイムで被災地域を俯瞰的に把握するための高所カメラの役割はとても重要だと思います。
 そこで、発災直後においては最新技術を活用し、高所カメラによる被災状況の把握を、人手に頼らず、迅速かつ的確に行うことが重要と考えます。見解を伺います。

○村松総務局長 都は現在、高所カメラを都庁の屋上、レインボーブリッジ、東京スカイツリー、スカイタワー西東京の四か所に合計六台設置しております。
 来年度以降、都庁舎に設置されております二台のカメラから順次機能の強化に取り組んでまいります。
 具体的には、これまで職員が直接目視で常時監視する必要がございました火災や建物倒壊等の被害状況をAIによる映像の解析で自動的に検知し、様々な被害を速やかに一覧できる機能を導入いたします。
 高所カメラの機能を向上することで、被災状況を迅速に把握してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。高所カメラの高度化を進め、効率的な情報収集を図っていくとの答弁をいただきました。
 防災分野においてもDXを活用し、災害対応力のさらなる強化を図れることが期待できますので、ぜひ加速して取り組むことを要望いたします。
 その後、被災地域を把握した後は、人命救助が重要となり、七十二時間を中心とした救出救助活動の展開が極めて重要となります。首都直下地震は、一都三県において甚大な被害が想定されることから、全国からの応援が必要不可欠であります。
 国の計画によりますと、最大で自衛隊が十一万人規模、警察が一万四千人規模、消防が二万人規模で応援に来ることとなっており、こうした救出救助機関の活動拠点の確保が重要となります。
 現在、都は、東京都震災対策条例に基づき、こうした部隊が活動する拠点を指定していますが、現在の指定状況と今後の対応について伺います。

○村松総務局長 防災機関の活動拠点について、都は、震災対策条例に基づき、全国から集まる自衛隊や警察、消防の援助隊の参集ルートに沿って、都立公園や清掃工場などを指定しております。
 発災後の状況に柔軟に対応するため、現在、四十七か所の活動拠点を確保しているところでございます。
 今後、活動拠点のさらなる確保に努めるとともに、拠点ごとの利用計画に沿って実践的な訓練を行ってまいります。
 具体的には、活動拠点の管理者と現地機動班との連携による拠点開設に向けた準備、首都直下地震の被害状況を想定した図上訓練などを行いまして、救出救助活動の実効性を高めてまいります。

○鈴木(純)委員 大規模災害においては、こうした救出救助活動に続き、避難所生活を余儀なくされた多くの被災者の方々への支援やライフライン、住宅の復旧、災害廃棄物の処理など、応急復旧活動は長期間にわたり続いていきます。
 そのため、先ほどの答弁にもありました救出救助活動拠点も含め、こうした活動の拠点ともなるオープンスペースの確保は、長期間にわたり必要となることが分かります。
 一方で、都内のオープンスペースは、地方に比べると非常に限りがあることから、優先順位に基づく利用調整が発生するおそれもあるため、その調整が必要となることが想定されます。
 そこで、都内の限られたオープンスペースを応急復旧の各段階において有効に活用できるようにすべきと考えます。見解を伺います。

○村松総務局長 都内では、大規模災害発生時の応急復旧活動に活用できる公園や河川敷などのオープンスペースが限られるため、人命の救助やライフラインの復旧、災害廃棄物の処理など、時間の経過とともに変化する利用ニーズに応じて、有効に活用していくことが必要でございます。
 このため、都は、オープンスペースについて応急復旧活動の段階ごとに具体的な利用方法を整理したデータベースを作成するとともに、このデータベースを活用し、関係機関等と利用調整に関する訓練を実施しているところでございます。
 また、昨年十月には、未利用の国有地等を大規模災害発生時に活用するため、関東財務局と協定を締結するなど、オープンスペースのさらなる確保に努めております。
 こうした取組を通じて、オープンスペースの一層の確保と有効活用を図り、円滑な災害対応につなげてまいります。

○鈴木(純)委員 地域によっては住宅が密集するなど、オープンスペースの確保が困難なエリアもあります。こうした場合、近隣の他自治体のオープンスペースも含め、都が総合調整役として、必要な拠点をしっかりと確保するよう調整いただくことを要望させていただきます。
 そして、首都直下地震では、東日本大震災時同様に、最大五百万人を超える帰宅困難者の発生が見込まれており、新たな対策も必要であります。
 先日の本会議一般質問で、知事は、我が会派の一般質問に対し、企業との連携強化をさらに進めるため、防災リーダー制度を創設すると答弁をいただきました。一方、この制度を災害発生時に効果的に運用していくためには、現場で実際に対策に当たるリーダーの方々が企業内でしっかりと力を発揮できなければ意味がありません。
 今後、防災リーダーが期待されている役割をしっかりと果たせるよう、日頃からきめ細やかなサポートをしていくことが必要だと考えますが、東京都の見解を伺います。

○村松総務局長 防災リーダーが企業等における旗振り役となり、積極的に対策を推進できるよう様々な支援を行ってまいります。
 まず、防災関係の知識を分かりやすく伝えるため、家具の転倒防止や必要な備蓄品、訓練の実施方法などについて、イラストや動画などにより定期的に配信いたします。
 また、発災時には、一斉帰宅の抑制やテレワークによる出勤抑制などを、リーダーを通じて要請してまいります。
 さらに、リーダーから困り事や疑問点等を集めまして、Q&Aにまとめてホームページに掲載するとともに、都が配信する研修教材の内容などにも反映いたします。
 こうした都とリーダーとの双方向のつながりを生かして、企業等と都が一体となって防災対策を推進してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 今後どのような成果、効果が出るか、この制度を注視していきたいと思います。
 次に、都営地下鉄における耐震対策について伺わせていただきます。
 災害発生時に都市が復興を果たしていく上で、輸送を担う交通インフラの役割は非常に重要であります。また、都営地下鉄が長期期間運休するような事態となった場合、都民生活や都市活動に与える影響は甚大であり、地下鉄内が倒壊するようなことは免れなくてはなりません。
 地下鉄の耐震について、さきの第四回定例会で、今後は施工が難しい箇所が残っているとの答弁がありましたが、様々な手法を用いて、計画的に着実に進めていく必要があると考えます。
 そこで、都営地下鉄の耐震対策を今後どのように取り組むのか伺わせていただきます。

○内藤交通局長 都営地下鉄におきましては、阪神・淡路大震災を踏まえた対策は既に完了しておりまして、施設の崩壊などの被害に対する安全性は確保されております。
 現在は、東日本大震災を踏まえたさらなる耐震対策といたしまして、高架部の橋脚及び地下部の中柱の補強を進めてございます。
 今年度末には累計で約千七百五十本、約四八%の補強が完了する見込みでございますが、今後は、補強する柱が駅務室の壁などと一体となり、施工が難しい箇所が多く残っておりますことから、他の改良工事ときめ細かな工程調整を行いながら進める必要がございます。
 新たな経営計画では、例えば三田線巣鴨駅で、駅構内にある変電所の更新工事と併せて施工するなど、令和四年度からの三か年で約二百本の柱の補強工事を実施いたします。
 引き続き、安全・安心の確保に向けまして、耐震対策を計画的に進めてまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 地下の工事というのは、特にいろいろと計画どおりにいかないことがあるというのも承知しております。また、具体的な答弁もいただきましたので、これからも着実に耐震対策を進めていただくことを要望いたします。
 続きまして、下水道について伺わせていただきます。
 下水道は、汚水の処理による生活環境の改善、雨水の排除による浸水の防除、公共用水域の水質保全といった役割を持ち、日々都民の生活を下支えする重要なライフラインであり、一たびその機能が停止すると、都民の快適な暮らしに大きな影響を与えることとなります。
 近年、首都直下地震の切迫性が指摘されている中、下水道についても震災への備えは一層重要なものとなっており、中でも下水を処理する過程で多くの電力を必要とすることから、震災時に停電が発生することに備えた水再生センターやポンプ所における電源の確保は欠かせない取組と考えております。
 そこで、区部における震災に伴う停電時に下水処理機能を維持するための対応と、令和四年度における取組について伺わせていただきます。

○神山下水道局長 下水道局では、令和元年度末までに区部の水再生センターやポンプ所など九十八施設全てにおいて、停電時における対策といたしまして非常用発電設備などを設置しております。
 さらに、震災時などにおいても、下水処理機能などを安定的に確保するために発電容量の増強を進めており、令和四年度は吾嬬ポンプ所など五施設で整備を行ってまいります。
 今後も必要な電力を確保する取組を推進いたしまして、下水処理機能などを維持してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、風水害の方に移らせていただきます。
 近年、全国各地で大規模風水害が毎年のように発生しており、こうした風水害が東京でいつ発生してもおかしくありません。
 特に東京の東部低地帯は、ゼロメートル地帯をはじめとした標高の低い地域が広がっており、荒川や江戸川といった国が管理する大きな河川が、上流から広範囲にわたる流域の水をかき集めて東京湾に流れ着く、まさに河口に位置しています。
 このため、大雨による河川の洪水による氾濫と、大型台風接近による海からの高潮の脅威にさらされる大規模風水害のリスクが極めて高い地域であります。
 この東部低地帯において大規模風水害が発生した場合は、広範囲で二週間から三週間といった長期にわたる浸水が想定されていることから、行政区域を越える避難、いわゆる広域避難が必要となります。この広域避難を行うために、まず、避難先となる場所の確保が重要であると認識しております。
 このため、都は、昨年九月には渋谷区にあるオリンピックセンターと、また、今年一月には私が住む我がまち台東区にあります東京藝術大学と広域避難先の提供に関する協定を締結したとのことであり、まさに広域行政を担う都の役目をこなすことで、大きな一歩であることから、これは評価するべき点であります。
 都は、広域避難者を七十四万人と想定していることから、ぜひスピード感を持って、さらに広域避難先を確保していただくことを要望いたします。
 一方、広域避難先は確保するだけで足り得るものではなく、その広域避難先の運営を円滑に行うためのルールづくりが何よりも重要であると考えております。
 そこで、いつ起こるとも知れない大規模風水害に備え、都と関係区で連携し、広域避難先の運営に関するより具体的なルールなどを定めた広域避難計画の策定を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○村松総務局長 大規模風水害時において広域避難を円滑に行うためには、都や関係区などの役割と具体的な業務をあらかじめ定めておくことが必要でございます。
 このため、都と国で設置いたしました検討会において、広域避難のタイムラインに沿って、都や関係区等の役割分担や避難先の開設等に向けた手順などを整理したガイドラインを今月中に取りまとめることとしております。
 来年度は、このガイドラインに沿って、都や関係区がそれぞれの役割に応じた広域避難計画を策定いたします。
 施設の規模やレイアウトなどを踏まえた適切な運営方法や、避難誘導方法などを定める計画を関係区が策定できますよう、都がマニュアルを作成するなど、積極的に支援してまいります。

○鈴木(純)委員 まず計画があって初めて訓練や検証ができ、その結果を計画に反映することで実効性が高まるものだと思います。ぜひ関係区の意見も十分に踏まえながら、都が先導して大規模水害時における広域避難計画の策定をこれから進めていただきたいと強く要望いたします。
 一方、こうした避難先を幾ら確保しても、都民が避難しなければ意味がないのではないかと思います。
 各区において、河川の浸水状況と避難先等を示したハザードマップを作成し、周知を図っているところでありますが、こうしたハザードマップなども活用し、大規模水害時に自宅がどの程度浸水するのかリスクを確認し、どこに避難するのか、どの方角に避難するのかをあらかじめ家族ごとにルールを決めておくことが重要だと考えます。
 都では、家族等で話し合って避難行動計画を作成するためのツール、東京マイ・タイムラインを作成しておりますが、こうしたツールも活用し、いつ起こるとも知れない風水害に備えた普及啓発を進めるべきと考えます。見解を伺います。

○村松総務局長 風水害から命を守るためには、都民一人一人がリスクを正しく認識し、避難行動に移すことが重要でございます。
 都は現在、水害時における地域の危険性をより分かりやすく確認できるよう、水害リスクマップの機能を搭載した東京都防災アプリを配信しております。
 また、都民が適切なタイミングで避難行動が取れますよう、東京マイ・タイムラインを作成し、学校教育の場や町会、自治会向けのセミナーなどで普及啓発を図っているところでございます。
 来年度は、このアプリ版を配信し、スマートフォンでより簡便に作成できるようにすることで、多くの方々が災害時の行動を容易に検討できる環境を整備してまいります。
 今後もこうした普及啓発を積極的に進めてまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 いざというときに実際の避難行動に結びつける取組は大変重要であります。ぜひ今後もこうした家族の避難ルールを定めるための普及啓発も進めていただきたいと思います。
 記憶に新しい令和元年の台風十九号、あの台風がきっかけで、私たち都民、そして東京都をはじめとする行政も、水害への考え方を改めさせられたことが起きました。当時、都内において、これまでにない避難者数を記録したものの、それでも避難所へ避難した方の割合は、避難の必要な方の五%にも満たなかったことであります。
 また、大雨時に防災行政無線が聞こえない場合なども想定され、必要な情報が都民に十分伝わっていない可能性があり、情報発信の課題もあると考えております。
 そこで、都民が適切な避難行動を取ることができるよう、災害に関する情報発信の在り方を改めて検討する必要があると考えます。見解を伺います。

○村松総務局長 台風の大型化などに伴いまして、洪水、高潮氾濫等による浸水リスクの増大が懸念されており、都民の適切な避難行動を促す効果的な情報発信の重要性が一層高まっております。
 都はこれまで、区市町村と連携し、避難情報等を東京都防災アプリなどを活用して都民に発信してまいりました。
 来年度は、国や区市町村等と連携し、水害リスクの効果的な伝え方や情報発信手段の充実強化の在り方について、放送関係者や通信事業者など様々な専門家の意見等を聴取する場を新たに設置いたします。
 こうした専門家などの意見も踏まえまして、具体的な対策を取りまとめてまいります。

○鈴木(純)委員 情報の出し手である行政がその伝達方法について検討する際、情報の受け手である都民の目線に立つことが重要だと思います。ぜひ様々な分野の専門家から意見を聴取し、実効性のある検討を進めていただくことを要望いたします。
 現段階での想定最大規模の降雨により、荒川の右岸で氾濫した場合、台東区の地域には、早くて六時間程度で氾濫した水が到達するということで、国が氾濫シミュレーションで確認することができます。浸水の状況が事細かに確認できるわけではありません、現状は。
 都は来年度、デジタルツインを活用し、仮想空間の中で水害の発生を再現するシミュレーターの構築に着手し、今後、訓練等に活用するとのことでありますが、台東区のように堤防決壊から一定程度時間が稼げるエリアでは、住民がどのルートを通って安全な場所に避難すればよいか、そのために地元の警官や消防団員がどこに避難誘導すればよいか分かるようになれば、非常に有益なものになると考えます。
 これから開発に着手とのことでありますが、ぜひ将来的には、こうした住民目線の避難の観点からの検討を視野に入れていただくことも併せて要望いたします。
 これまで、広域避難や情報発信などについて質問してまいりましたが、都民生活や経済活動を支える交通インフラについても、災害対応力の向上が不可欠であります。
 交通局では、大規模水害への備えを充実するための整備計画を来年度策定するとしておりますが、ハード整備には時間がかかることが懸念されます。
 これから、冬が終わりを告げ、秋にかけて、いつ発生してもおかしくない水害を想定し、いざというときの対応手順をあらかじめ定めるなど、適切な備えを講じておくことが重要であります。
 そこで、荒川が氾濫するような大規模水害の発生が迫っている場合に、乗客の命や施設を守るため、都営地下鉄ではどのように対応するのか伺います。

○内藤交通局長 都営地下鉄では、大規模水害時の事前行動を時系列で整理したタイムラインを策定しており、発災が予見される場合には、お客様の安全確保の観点から計画運休することとしております。
 計画運休に当たりましては、四十八時間前には実施の可能性を、二十四時間前には実施についてお知らせいたします。
 また、施設や設備の浸水に備え、駅係員が防水扉を稼働させたり、止水板を取り付けるなど、被害の軽減を図ることとしております。
 車両につきましては、最新の浸水被害のシミュレーションも踏まえまして、現在、避難手順の整理を進めており、今年度は実際に車両を避難させる訓練を実施いたしました。
 引き続きこうした訓練を積み重ね、災害時の対応力を高めるなど、お客様の安全確保を最優先に浸水対策に万全を期してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 災害、水害の分野においては特に、ここまで備えれば安心だというところまでは、なかなかたどり着けないと今までも感じてきております。引き続き浸水対策を進めていただき、次の質問に入ります。
 下水道の浸水対策についても伺わせていただきます。
 下水道は、汚水を処理することで快適な生活環境、良好な水環境を創出することに加え、都市に降った雨を一つ一つの下水道管で集め、川や海に速やかに流すことで東京を浸水から守る重要な役割を持っております。
 下水道局は、浸水対策として、大規模なポンプ所や下水道管の整備を区部の様々な地区で重点的に取り組んでおりますが、台風や集中豪雨による浸水被害は毎年のように続いております。
 こうした背景には、一時間五十ミリ以上の降雨が増加傾向にあるなど、東京を取り巻く環境の変化があります。
 そこで、浸水対策の一層の強化に向けた下水道局の今後の取組について伺わせていただきます。

○神山下水道局長 下水道局ではこれまで、一時間五十ミリ降雨への対応を基本といたしまして、早期に浸水被害を軽減するため、五十七地区を重点化し、施設整備を推進してきております。
 今年度末には、五十七地区のうち約八割に当たる四十八地区で事業が完了、または事業中となる見込みであり、対策は着実に進展しております。
 その一方で、豪雨の激甚化、頻発化や気候変動の影響による将来の降雨量の増加が報告されておりまして、浸水対策のさらなる強化が求められております。
 このため、今後は、今年度末に策定する新たな浸水対策計画に基づきまして、一時間七十五ミリ降雨へレベルアップし、施設整備を推進してまいります。

○鈴木(純)委員 これまでの一時間五十ミリに対応する施設の整備から七十五ミリにレベルアップした対策を進めて、豪雨に対する安全性を向上させていくことは評価します。今後とも下水道施設の整備を積極的に進めて、浸水被害の解消に向けて大きな役割を果たしていただきたいと思います。
 近年、想定し得る最大規模の高潮等による大規模な水害など、ハードによる施設整備の水準を上回る水害への対応も考えていかなければなりません。
 特に東部低地帯と呼ばれる東京の東側は、東京湾につながる荒川や隅田川などの大きな河川が流れていることに加え、地盤の高さが海水面以下のゼロメートル地帯を有しており、高潮などの水害に対して脆弱な地域であり、より対策が必要であります。
 今後、想定し得る最大規模の高潮など、大規模な水害に対して下水道の対策を進めていくべきと認識しておりますが、見解を伺わせていただきます。

○神山下水道局長 下水道局では、都の方針に基づきまして、下水道施設が堤防や水門などに守られている等の立地条件を踏まえ、万が一、地震により堤防等が損壊したときに備え、東京都防災会議で示された最大津波高さに対する耐水対策を実施してまいりました。
 一方、想定し得る最大規模の高潮等による浸水が発生した場合における対応につきましては、昨年度から関係局と検討の場を持ったところであり、下水道の役割を踏まえまして、引き続き議論してまいります。

○鈴木(純)委員 こうした大規模な水害への対応は簡単ではないと思いますが、東京都をはじめとする行政の一番の役割は何かと問われれば、それは命を守ることなんだと思います。これから起こり得る水害、災害から命を守るためにも、関係局との議論をしっかりと行っていただき、形になるように前へ進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 近年、全国各地で激甚な豪雨災害が毎年のように発生しておりますが、こうした豪雨に対する取組として期待されるのが調節池の整備であります。
 台風十九号後の都議会自民党の代表質問に対し、都は、台風の際の調節池の整備効果として、神田川・環状七号線地下調節池では、下流の中野区において、推定で最大約一・五メートル水位を低下させるなど、溢水の未然防止に大きな効果を発揮されたと答弁しております。
 激しさを増す豪雨から都民の命や暮らしを守っていくためには、調節池の整備を進めていくことが重要であると、私も同じ認識です。
 また、先日の都議会自民党の一般質問において、現在八か所、総容量約百十万立方メートルの調節池整備を進めているとの答弁もありました。こうした取組に加え、新たな調節池整備に向け、取組を加速していくべきだと考えております。
 そこで、新たな調節池整備に向けた令和四年度の取組について伺わせていただきます。

○中島建設局長 都は、「未来の東京」戦略において、二〇三〇年度までに約百五十万立方メートル分の新規調節池を事業化することを目標に掲げております。
 これまでに、仮称石神井川上流第一調節池など四か所を事業化しておりまして、令和四年度は、引き続き詳細設計等を進めてまいります。
 加えて、目黒川流域の新たな調節池を事業化し、工法や構造の比較検討などを行う基本設計に着手いたします。
 これにより、目標の八五%、約百二十八万立方メートル分を事業化することとなります。
 さらに、神田川等九河川において候補地や形式等の検討を実施するなど、新たな調節池の整備に向けた取組を一層推進してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 設計の段階に入っている四か所については、早期の工事着手に向け、着実に取り組んでいただきたいと思います。
 また、来年度から目黒川流域で新たな調節池を事業化するといった答弁がありましたが、この調節池は、昨年の第三回定例会における我が会派の代表質問に対し、広域調節池を延伸し、目黒川流域の新たな調節池として機能させると答弁がありました。その後も着実に取り組まれていることが確認できました。
 先日、私も環状七号線地下調節池を視察させていただきました。その役割や効果を改めて確認したところでありますが、この環七地下調節池を広域調節池として整備し、二〇二五年度の取水開始を目指して整備を進めていると仄聞していますので、早期の効果発揮に向けて、着実に取り組んでいっていただきたいと思います。
 加えて、その調節池を目黒川流域の新たな調節池と連結して整備するということで、さらにスケールが大きく、また治水上の効果も大きなものが期待できるのではないかと考えられます。
 そこで、整備中の環状七号線地下広域調節池の効果及び目黒川流域の調節池を連結して整備されることで強化される効果について、併せて伺わせていただきます。

○中島建設局長 環状七号線地下広域調節池は、年超過確率二十分の一、時間最大七十五ミリの降雨に対応するため整備するものでございまして、神田川、石神井川、白子川の三流域にまたがる総容量約百四十三万立方メートルの施設でございます。
 完成すると、流域を越えた調節池容量の相互融通により、時間百ミリの局地的短時間の豪雨にも効果を発揮いたします。
 この調節池に、来年度事業に着手いたします目黒川流域の調節池を連結させ、総容量約百九十万立方メートルの施設として整備してまいります。これにより、相互融通機能が拡充され、豪雨への対応力が目黒川から白子川までの四流域にわたり強化されます。

○鈴木(純)委員 完成しますと、四流域にまたがり調節池容量の相互融通が可能な施設となるとのことでありますが、それぞれの河川で調節池を整備するのではなく、こうして連結することで、より広範囲の豪雨にも効果を発揮するなどの相乗効果も期待できると思います。
 河川整備に当たっては、こうした工夫により効率的に整備を進めていくことが重要であり、特に今後の整備に当たっては、将来の気候変動を踏まえた治水対策も視野に入れ、取り組んでいく必要があると考えております。
 既にその影響が顕在化してきているともいわれていますが、都は機を逃さず、気候変動を踏まえた河川整備に取り組んでいくことが重要だと考えます。
 河川整備における気候変動の影響を踏まえた来年度の取組について伺わせていただきます。

○中島建設局長 激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、今後の気候変動の影響なども踏まえ、効率的、効果的に河川施設の整備を進めていくことが重要でございます。
 こうした認識の下、来年度、今後の降雨量の増加などを考慮しました河川施設の在り方の策定に向けた取組に着手いたします。
 具体的には、学識経験者等から成る検討委員会を設置し、目指すべき整備目標や地下河川を含めた施設整備方針などについて検討してまいります。
 水害に強い都市東京の実現に向け、今後とも護岸や調節池等の整備を推進してまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 気候変動対応の検討に着手するとのことでありますが、ぜひ百年後を見据えて、その時代の都民も安心して暮らせる東京としていくためにも、着実な検討をお願いいたします。
 また、河川施設の未来像も踏まえ、早期に安全性が向上するよう、効率的に整備を進めていくことも併せて要望させていただきます。
 ここまでは水害対策について伺わせていただき、何度かワードとして出ました近年の激甚化する風水害、その主な要因として地球温暖化が挙げられております。
 気候変動に関する政府間パネル、IPCCが昨年八月に公表した報告書では、地球温暖化が人間活動の影響によることは疑う余地のないということ、産業革命前と比べて世界平均気温の上昇幅は、二〇二一年から四〇年の間に一・五度を超える可能性が非常に高いことなどが科学的に示されております。
 今後、地球温暖化が進み、短時間豪雨の増加や台風の大型化など、災害の規模がより一層大きくなることが危惧されております。
 東京都は、二〇五〇年までにCO2排出量を実質ゼロにするゼロエミッション東京の実現を目指し、二〇三〇年にCO2を半減するカーボンハーフを掲げております。来年度予算案では、ゼロエミッション東京の実現として、昨年度の約四倍となる九百七十一億円を計上しております。
 将来にわたって都民の生命と財産を守るために、脱炭素化への取組を早急に、かつ強力に進める必要があると考えております。見解を伺わせていただきます。

○栗岡環境局長 都は、人々を脅かす地球規模の課題である気候危機を回避するため、二〇三〇年までの取組が極めて重要であるとの認識の下、二〇三〇年カーボンハーフを掲げ、脱炭素化に向けた社会変革への行動を加速してございます。
 このため、環境基本計画の改定に着手し、併せて条例による制度の強化、拡充の検討を進めており、実効性ある施策の構築を図ってまいります。
 さらに、直ちに加速、強化すべき施策については、建物の断熱性能の向上や再エネ設備の設置促進、水素やZEVの普及を強力に後押しする支援策などを大幅に強化、拡充し、計画改定を待つことなく実行してまいります。
 今後も広く共感と協働を得ながら、あらゆる主体の行動の加速を推し進め、持続可能な未来を切り開いてまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 計画改定や条例による制度など、大きな枠組みをしっかりとつくっていくとともに、これに先駆け、都民や事業者の取組を促す支援策を実行していくとのことであります。
 我々に残された猶予はありません。時機を逸することなく、あらゆる手段を尽くして、着実に脱炭素化を進めていただきたいと要望いたします。
 特に運輸部門は、現状までに大幅な削減をしていることから、他部門と比較してCO2削減の高い目標が提示されております。そのため、新しい取組とともに従来の取組も加速していくことが求められ、具体的な施策の実施に当たっては、できることから直ちに取り組んでいくべきと考えます。
 例えば、自動車のZEV化は不可欠でありますが、その普及には、インフラ整備も含めて一定の時間が必要です。ハイブリッド車は、乗用車を中心に既に普及が進んでおり、これに切り替えることによって、すぐにCO2の削減につながります。
 特にタクシーは、都民の身近な公共交通として日夜走り続けていることから、ハイブリッド車へ転換することでCO2の削減に大きく貢献できます。
 都では、都議会自民党の要望によって、従来からハイブリッドのUDタクシーに補助を行っておりますが、脱炭素化を加速するため、今後さらなる普及を図っていくべきと考えております。見解を伺わせていただきます。

○栗岡環境局長 都内に約五万台あるタクシーは、一台当たりの走行距離が長いため、環境性能の高い車両に転換することにより、大きなCO2削減効果が期待できます。
 都では、ハイブリッド車等のユニバーサルデザインタクシーの普及に向け、平成二十八年度に補助制度を開始し、これまでに一万三千台以上に対して補助を実施してまいりました。
 令和四年度予算におきましては、さらなる普及を図るため補助制度を継続するとともに、コロナ禍や最近の原油高などにより大きな影響を受けている中小規模事業者への補助を拡充するなどの対応を行ってございます。
 今後とも、運輸部門におけるCO2排出量のさらなる削減に向け、ユニバーサルデザインタクシーの普及に取り組んでまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 脱炭素化に向けた取組に当たっては、既存の技術を活用しながら、できることから着実に進めていくことが重要だと考えます。引き続き業界団体と連携しながら、ハイブリッドのUDタクシーの普及に取り組むことを要望いたします。
 気候変動対策においては、これまで伺ったような温室効果ガスの削減策である緩和策も重要である一方、その影響による被害を回避、軽減する適応策の視点も重要です。
 先ほど伺った水害のような自然災害も含め、気候変動の影響は幅広い分野に表れることが見込まれます。
 東京都は、昨年度策定した東京都気候変動適応計画において、都施策の全般にわたり適応に取り組むこととし、全庁的な推進体制の下、PDCAサイクルにより着実に取組を進めるとしておりますが、来年度に向けての適応策をどのように進めていくのか伺わせていただきます。

○栗岡環境局長 都民の生命、財産を守り、人々や企業から選ばれ続ける都市を実現するためには、CO2排出を削減する緩和策に加え、適応策を着実に進めることが重要でございます。
 このため、昨年三月に策定いたしました東京都気候変動適応計画では、自然災害、健康、農林水産業など、都政の幅広い分野にわたる施策を展開するとともに、今年度からの三年間の取組予定をアクションプランとして示しました。
 来年度に向けては、デジタルトランスフォーメーション等を活用した自然災害対策などの新たな施策を盛り込むとともに、様々な危機への対応力を強化するなど、アクションプランを更新していく予定でございます。
 今後とも庁内横断会議を通じた全庁的な推進体制の下、PDCAサイクルによる管理を徹底し、気候変動の影響によるリスクの最小化に向け、着実に取組を進めてまいります。

○鈴木(純)委員 ありがとうございます。
 適応策のアクションプランを更新することで、新たな施策も盛り込んでPDCAサイクルを回して進めていくことが分かりました。
 都民の命と暮らしを守るためには、都庁一丸となって取り組むことが必要です。庁内の関係各局がしっかりと連携をし、着実に適応策を進めることを求め、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

○三宅委員長 鈴木純委員の発言は終わりました。

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