予算特別委員会速記録第三号

○福島副委員長 伊藤こういち委員の発言を許します。
   〔福島副委員長退席、小磯(善)副委員長着席〕

○伊藤委員 初めに、防災対策の強化について伺います。
 二十七年前、阪神・淡路大震災発生の翌日、私は、友人のご両親を救出したい、この一心で神戸に入り、巨大地震が都市を襲う恐ろしさを目の当たりにしました。
 また、今日から三日後の三月十一日には、東日本大震災から十一年を迎えます。
 改めて、これまでの災害でお亡くなりになった方々のご冥福を心からお祈りを申し上げます。
 私は、これまでの経験を生かし、都議会で繰り返し首都東京の災害対策の強化を訴えてまいりました。
 知事は、昨年十月に、東京都首都直下地震被害想定を十年ぶりに見直すことを表明いたしました。近年、私たちが経験してきた大災害から教訓としてきたことを基に、被害想定を見直し、次の対策に生かしていくことは、都民、国民と首都東京を守ることに直結する大事なことであると考えます。
 そこで、この時期に首都直下地震等、被害想定の見直しを行う意義、目的について、都の見解を求めたいと思います。

○村松総務局長 平成二十四年に策定しました現在の被害想定は、東日本大震災を踏まえて、都の防災対策を早急に強化すべく、見直しを行ったものでございます。
 それから十年が経過しまして、木造住宅密集地域の不燃化など、地震に強いまちづくりが着実に進展する一方、人口構造や世帯構成など社会環境が大きく変化しております。
 また、この間、熊本地震や大阪府北部地震など、全国各地で大規模な地震災害が頻発しており、これらを通じて、地震が建物に及ぼす影響などについて最新の知見等が蓄積されております。
 こうした状況を踏まえまして、都の防災対策をより一層強化するため、今般、被害想定を見直すことといたしました。

○伊藤委員 前回、二〇一二年に策定した被害想定は、分かりづらい部分もありましたけれども、私にとっては非常に衝撃的でありました。
 例えば、冬の夕方の十八時、夕方の六時、風速八メートルのときに、東京湾北部でマグニチュード七・三、震度七の地震が発生した場合、木造住宅密集地域が点在する私の地元品川区内では、死者が約八百名、そのうち火災による死者が五百二十名を占めるという想定結果でありました。
 これを基に、私は、品川区民の方々に対策と備えを訴え、行政も真剣に取り組み、また、住民のご理解とご協力があって、この十年の間、災害対策の強化が進められてまいりました。
 このたび見直す被害想定は、これまで以上に都民に分かりやすく、防災意識が高められ、対策と備えを進められるとともに、いざというときには適切な避難で命を守ることに役立つものとすべきであります。
 このパネルでありますけれども、これは都議会公明党が提案をし、都や区市町村が公表している浸水ハザードマップとグーグルマップ、そして海抜情報を重ねて、知りたい地域の水害リスクが目で見て分かる仕組みになっておりまして、東京都防災アプリで発信されている情報であります。
 このアプリ自体、まだまだ周知が足りていないようでありますけれども、まだ入れてない方は、ぜひこれ、アプリをスマホに入れていただいて、活用していただければと思います。これを使っていらっしゃる方々からは、非常に分かりやすい、こうした情報が大変に大事だ、みんな知っているのか、こんな声が届いております。
 そこで、これは今、水害リスクマップでありますけれども、このたびの首都直下地震被害想定の見直しに当たっては、このパネルの水害リスクの情報のように、今度は地震による被害想定をデジタル化して、住宅の倒壊や火災延焼などのリスクが都民に分かりやすく伝わるように見える化をして情報発信を行うべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○村松総務局長 新たな被害想定は、実効性ある防災対策につなげることはもとより、都民の防災意識の向上に生かしていくことが重要でございます。
 そのため、被害想定を踏まえて地域防災計画を修正し、防災対策の実効性を一層高めてまいります。
 また、新たに東京都防災ホームページ等において、首都直下地震等で発生が想定される建物被害や液状化の状況などをデジタルマップ上に表示するとともに、東京都防災アプリからも確認できるようにいたします。
 各地域の被害状況等を視覚的に分かりやすく示すことによって、都民の自発的な防災活動につなげてまいります。

○伊藤委員 地震は近年に頻発をしておりまして、揺れが広範囲に及ぶことが多く、誰もが実体験をしております。
 一方、風水害も頻発をしておりますけれども、局所的に甚大な被害が多いことから、誰もが自分事としてその脅威を肌で感じることは難しいと思います。
 そこで、都は、DXを活用して、風水害の状況をこれまで以上にリアルに再現できる仕組みを構築して、都民に早期避難の重要性について理解を促すとともに、訓練等にも活用するなど、災害対応力を強化すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○村松総務局長 デジタル技術により、災害対応力を一層強化することが可能となり、都は様々な場面で活用しているところでございます。
 現在、水害の脅威を疑似体験できるVR動画を作成し、ユーチューブで配信しているほか、来年度からは、アプリ版マイタイムラインの運用も開始し、より多くの都民に適切な避難行動を促してまいります。
 さらに、新たに構築するデジタルツインを活用した水害シミュレーションには、地形の高低差等のデータを基に、時間の経過による水位の変化を立体的に再現し、各地域の被害状況を視覚的に捉える機能を導入いたします。こうした機能を実践的な訓練で活用することで、発災時における都の対応をより現実に即したものに見直してまいります。
 これらの取組を通じて、自助、共助、公助それぞれの災害対応力をさらに高めてまいります。

○伊藤委員 「未来の東京」戦略 version upでは、東京の危機克服・都市強靱化十か年プロジェクトに取り組むとしております。
 私はこれまでも繰り返し申し上げてきたことは、最先端技術を人の命を守るために使うべきと考えております。
 そこで、まずは次の十年に向けて、あらゆる災害から都民、国民の命と首都東京を守るべく、知事の決意と都の方向性を伺いたいと思います。

○小池知事 気候変動の影響によって、頻発化、激甚化する風水害、いつ起きてもおかしくない首都直下地震、そして火山噴火、未知の感染症やテロなど、様々な脅威に対処する危機管理は都民が活躍するための大前提となっております。
 困難の中で成し遂げました東京二〇二〇大会のレガシーでございますが、あらゆる備えを強化して、人を守る危機管理の重要性こそレガシーだといえると考えております。そういう強い思いの下で、私は、都民の命と財産、そしてこの先の未来を生きる人々まで思いを巡らせまして、「未来の東京」戦略のversion upに都市強靱化のプロジェクトを盛り込みました。
 このプロジェクトでは、気象、地理など各種データや被害想定のシミュレーションなどに基づく検証を行って、長期的な視点から取るべき施策を明らかにいたします。その際は、ご指摘のように、AIや5Gなどのデジタルテクノロジーや最先端技術を活用した取組を幅広く取り入れてまいります。
 危機管理の要諦でございますが、広く大きく構えることにございます。今後、全庁を挙げまして検討を進め、災害の脅威から都民を守る、強靱で、そして持続可能な東京をつくり上げてまいります。

○伊藤委員 次に、スマートシティについて質問いたします。
 私は、昨年の都議会第一回定例会一般質問で、水道メーターにスマートメーターを取り付けて、水道の使用状況を通信で送り、そのデジタルデータを活用して、とりわけ高齢者や一人暮らしの方の見守りと独居死の対策に向けて早期の全戸展開の実現を求めました。
 都水道局は、この春から令和六年度にかけて、本格的に水道スマートメーターの設置の先行導入に取り組みますけれども、その中でデータの活用方法や見守りサービスに向けた事業者等との連携の仕方についても具体的に進めるべきと考えます。
 都の見解を伺います。

○浜水道局長 水道局では、令和四年四月からスマートメーターの先行導入を本格的に開始し、十月からは、スマートメーターによる自動検針の運用を開始いたします。
 これと同時に、各種手続や料金の支払い等が行えるスマートフォンアプリの利用開始を予定しており、スマートメーターを設置したお客様を対象に、異常な水量を検知した際に随時に通知する機能や、一時間ごとの使用水量を確認できる機能を搭載することとしております。
 これにより、漏水の早期発見や遠方の親族等による見守りに活用することが可能と考えております。
 また、都庁各局や他のインフラ企業に加え、見守りサービス等を提供する事業者などとの意見交換やニーズの把握を行い、スマートメーターから得られるデータの活用に向けた連携を模索してまいります。

○伊藤委員 少しでも早く水道スマートメーターが全戸展開できるよう、都は積極的に取組を進めていただきたいと思います。
 私が冒頭で述べた阪神・淡路大震災では、地震によって水道管路が壊れ、消火栓を水利として使うことができず、火災が発生していながら、消火活動ができない事態が起きていました。
 現在、都においては、配水管路強化の取組のうち、管と管をつなぐ継ぎ手の部分の耐震化は、令和二年度末の時点で四七%というふうに聞いております。
 今後は、令和十二年度には六一%まで進めるということでありますけれども、地震の発生は事業の進捗を待ってくれるわけではありません。八年後で六〇%台、これは私は、まだまだスピードが足りない、このように思います。
 配水管路の耐震化を整備して、災害による漏水、断水の予防対策を一刻も早く進めるべきと考えます。
 一方、有事の際に、迅速に水道の復旧活動ができる対策の強化も重要であります。さきに質問した水道スマートメーターは、各戸のお宅の水道メーターに設置されるものでありますけれども、災害や事故時などに備えて、スマートメーターを活用して、まち全体を面で状況把握ができるようにしていくべきだと思います。
 都は今後、まち中にある配水小管にもスマートメーターを設置していくとし、パイロットエリアに先行導入をするとしています。そのうちの一つが、住居地域である世田谷区の上用賀、桜丘のエリアであります。
 水道管は、もうご案内だと思いますけれども、環七のような大きな道路の地下に配備されているのが本管でありまして、このパネルでいうと、太い青のラインが本管であります。直径が二メートルを超えるものもあるということであります。人間で例えれば動脈の血管です。
 その本管から、まち中に張り巡らされているのが配水小管でありまして、細い赤ラインで示してあるのが配水小管であります。人の体に例えれば毛細血管であります。
 その配水小管の要所要所にスマートメーターを取り付けて、水圧や水量のデジタルデータを通信で送って状況を把握できるようにするという取組であります。
 阪神・淡路大震災のときのように、地震等によって水道管路の破損があった場合、どこがどうなっているのかを即座に把握し、迅速な復旧活動を行うためには、この配水小管スマートメーターが大変に有効であると思います。
 そこで、この取組は、今般見直される首都直下地震被害想定を基に、火災延焼危険地域や避難所周辺などを優先して設置をしていくことも検討していくべきと考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○浜水道局長 配水小管スマートメーターは、配水管内の流量や水圧の変化を定期的に把握し、異常を検知した際には、直ちに監視端末へ通知する機能を持っております。これにより、震災や事故時の漏水を早期に検知し、断水や濁水の範囲を迅速に特定することが可能となり、復旧作業の効率化が期待できます。
 今後、三年間のプロジェクトにおけるパイロットエリアでの効果の確認を行った上で、防災力向上に向けて配水小管スマートメーターの活用方法や設置の在り方について検討してまいります。

○伊藤委員 続きまして、環境教育、中でも学校給食のプラストローレスについて質問をしてまいりたいと思います。
 私の地元品川区では、母親と子供たちが、迫り来る環境問題を学び、何ができるのかを考え、それを家庭で実践をしているグループがあります。
 さらに、環境悪化につながるプラスチックストローの使い捨てのように、当たり前になっていることを見直すきっかけとして、学校給食で使われるプラスチックストローの代替方法を求め、品川区議会に請願を提起して、全会一致で採択され、その内容は都教委にも伝えられております。
 それを踏まえ、私は、二〇一九年第一回都議会本会議一般質問で、学校給食に使われるプラスチックストローが毎日大量に捨てられている現状を正し、都教委が率先してプラスチックストローの削減に取り組むべきと求めました。
 これに対し、当時の中井教育長は、乳業メーカーや区市町村とも連携しながら、プラスチックストローに代わる方法について検討していくと答弁しました。
 そこで、都は、品川区から都へ伝えられたこの母親たちの願いをどう受け止めてきたのか、また、これまで乳業メーカーや区市町村とどのように連携して取組を進めてきたのか、伺いたいと思います。

○藤田教育長 学校給食のプラスチックストローの問題を解決することは、地球環境問題に対する取組や児童生徒への環境教育の観点からも重要でございまして、この点を憂慮された保護者の方々の声は重く受け止めているところでございます。
 都教育委員会は、都立学校の生徒によるコップに牛乳を移し替える取組や紙ストローの使用などの試行を経まして、直飲みできるパックの検討を行うこととしたところでございます。
 また、事業者に対しては、ストローレス容器の課題等に関するアンケート調査を実施したほか、意見交換や製造過程の視察を実施いたしました。
 また、将来のストローレスへの円滑な移行に向け、各区市町村に個別に出向き、課題の把握に努め、都立学校で試行した事例なども含めて、理解を求めてきたところでございます。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、事業者に対しても、また、区市町村に対しても、この間、働きかけをしっかりと行ってきていただいたということでございました。
 こうした都の働きかけにご理解をいただいた上で、都が目指す方向性と軌を一にして、積極的にプラスチックストローレス容器、この容器を開発したり、あるいは採用したりする事業者が出てまいりました。
 例えば、これはSchool POPという製品でありますけれども、(実物を示す)一見すると、ただの牛乳パックがちっちゃくなったように見えるかもしれませんけれども、プラスチックストローを使わずに牛乳を飲むことができるように、開けやすさであったりとか、飲みやすさであったりとかが工夫をされた容器であります。これを使った学校給食用牛乳の採用が都内で初めて決まり、いよいよこの春、新年度から世田谷区などで使用開始となります。
 しかし、このようなすばらしい取組を都内全域に広げていくためには課題があります。それは、現在、学校給食用牛乳については、安定的な供給を図るため、国の要領に基づいて、区域ごとに最も低い価格でのみ、入札によって都知事が事業者を決定することになっています。
 しかし、私は、持続可能な社会の実現が求められる今、単に価格だけではなくて、環境への配慮など都が目指すべき方向性からも、事業者を総合的に評価し、決定し、都内全域に学校給食におけるプラスチックストローの削減を波及させていくべきと考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○藤田教育長 学校給食用牛乳は、国の学校給食用牛乳供給対策要領に基づきまして、都が複数の区域を設け、区域ごとに最低価格を提出した業者を選定しております。
 来年度、都内におきましては、この仕組みにより決まった八社のうち三社が、環境への配慮からストローを使わずに飲むことができる容器の導入を予定しております。
 なお、この容器は、児童生徒の個々の事情に配慮し、ストローの使用も可能な設計となっております。
 今後、都教育委員会は、業界の動きが一層広がるよう国に要領の改正を要望するとともに、価格競争の実施時に環境への配慮も併せて確認するなど、事業者に対し働きかけてまいります。

○伊藤委員 以前、小池都知事は、地元の品川区立第三日野小学校を訪れ、小学四年生三十人の前で、海ごみについて考えようというテーマで特別授業を行っていただきまして、海ごみ問題や3R、風呂敷の活用などを子供たちに分かりやすく授業をしていただきました。
 さらに知事は、プラスチックストローに代わるアイデアを提案するように子供たちに宿題を出しました。子供たちが考え、アイデアを出していくことは大事な取組であります。そして、そうした子供たちのアイデアが社会に届くように、具体的な形にしていくのは大人の役割であります。
 そこで、子供のアイデアに着目した都の取組を伺うとともに、こうした環境教育を一層推進すべきと考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○藤田教育長 都教育委員会は今年度、身近な題材を基に地球環境を考える取組として、都立中高生を対象に、プラスチックストローを使わない牛乳パックのデザインを募集いたしました。十四名から創意工夫を凝らした様々なデザインが寄せられ、現在、実用化の可能性のある作品について、東京都立産業技術研究センターとの連携により、試作品を作製しているところでございます。完成後、三月中に事業者に提案を行う予定でございまして、生徒にとっては、自らの考えが社会につながることを実感できる貴重な体験となります。
 今後、こうした取組を好事例として各学校に周知を行うなど、環境教育を推進し、子供たちが日常生活における環境問題に自ら気づき、行動できるための資質、能力を育成してまいります。

○伊藤委員 子供たちが考えたアイデアを、この三月中に試作品として完成をさせて、事業者に提案をしていくということでありました。ここまでは都教委が頑張ってくれました。また、産技研も頑張ってくれました。どうか、今日、産業労働局長に答弁調整していませんけれども、聞きませんけれども、この後は、どうか子供たちのアイデアをしっかりと形にしていただくように、マッチングをしていただいて、実用化をぜひ手伝っていただきたい、このようにお願いをさせていただきたいと思います。
 私たち大人よりもはるかに先の未来を生き抜いていく子供たちが、自分たちの、そしてまた、その次の世代に引き継いでいく宝物としての地球環境を、子供たち自身が守り、つくり上げていくことが重要であります。
 都議会公明党が主導して、全会一致で東京都こども基本条例が採択され、来年度には子供政策連携室が設置され、各局が連携して、子供の目線に立った先進的な施策が展開されることとなりました。
 そこで、今後は全庁的な取組として、未来の地球環境等について子供たちの意見を聞き、都政に反映をしていくべきであります。
 また、環境局が、海ごみ抑制に向けて環境学習用教材として作成したムービーにあるような、東京の子供たちと海外の子供たちがインターネットを通じて、国境を越えて地球環境やSDGs等について意見交換と交流が行える取組を、東京から世界へ向けて発信してはどうかと提案をしたいと思います。併せて知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 ご指摘にありましたように、私は以前、環境問題を考える授業に参加いたしました。子供たち、大変熱心に議論をして、そして意見も活発に述べ合っているんですね。このとき私が出した宿題でございますが、子供たちは真剣に答えてくれたわけであります。かけがえのない地球を守りたいという意識は、私たちが思っている以上に子供たちが強く持っている、こうした思いや意見を生かしていくことが重要であります。
 都は来年度、子供の参加や対話を通じた政策を全庁を挙げて展開してまいりますが、地球環境などの課題は、この国の未来を担う子供たちが具体的な取組に参加するふさわしいテーマでございます。
 東京の子供たちが、世界の子供たちと共に地球規模の課題に目を向ける取組など、創意工夫を凝らしながら、様々な分野で子供目線に立った政策を進めてまいります。

○伊藤委員 次に、外国につながる子供について質問します。
 世界的なアフターコロナを見据えて、ますますのグローバル化の加速に、都としても対応が迫られております。都内在住の外国人は全国で最も多く、同時に、日本語指導が必要な高校生は、平成二十年からの十年間で全国平均の二・七倍を大きく上回る四倍に増加をしております。国は、小中学校に続いて、令和五年度からは高校における特別な教育課程を導入して、日本語指導が必要な全ての高校生に日本語の授業を実施することとなりました。
 しかし、日本語指導といっても、その子供の母語や来日した時期、年齢によっても指導の仕方が千差万別であります。加えて、これまでの日本語指導が必須でなかった高校段階においては、指導する側も教員のみならず、ボランティアやNPO法人等に頼らざるを得なかった実態があります。
 都は、先日の本会議代表質問で、都議会公明党が支援体制の強化を求めたことに対して、まずは在京枠設置校のうち、現在の四校に配置されている多文化共生スクールコーディネーターを八校全てに配置、拡充すると答弁をしました。
 しかし、令和二年度時点で、日本語指導が必要な都立高校生は約八百人おります。コーディネーターの対象となるのは、今申し上げた八校合わせて約四百名だけであります。その他の約四百名は、ほかの都立高校に、とりわけ定時制高校に大勢の生徒が通っている現実を直視して、支援策を講じるべきであります。
 都は、今後、設置される多文化共生スクールサポートセンターの機能を拡充強化をしていき、ボランティアなどの指導経験者や現役、勇退教員、専門家などの人材を確保するとともに、スキル向上のための研修を実施するなどして、多文化共生スクールコーディネーターを必要とする全ての学校に配置できるよう支援していくべきと考えます。見解を求めたいと思います。

○藤田教育長 都立高校に在籍する外国につながる生徒について、日本語の学習や専門家による相談等、支援の体制を整えていくことは重要でございます。
 都教育委員会は、日本語学習や在留資格の悩み等の相談に対し、NPO等と連携して、専門家である多文化共生スクールコーディネーターを派遣しており、在京外国人生徒向け入試を行う現在の四校から、来年度は八校全校に取組を拡大いたします。
 来年度から専門家の派遣業務等をNPO等の民間事業者がサポートセンターとして事務局を担い、今後は相談に応じて具体的な支援方法を計画してまいります。

○伊藤委員 令和五年度から、この特別な教育課程がスタートということであります。来年の春にはもう令和五年度を迎えてまいります。時間がありませんので、どうかこの体制の拡充をお願いしたいと思います。
 外国につながる子供の中には、日本に来て、そもそも教育機関につながっていない子供たちも潜在化をしております。
 こうした子供たちも含めて、外国につながる子供の教育と支援について、都は一本化した総合窓口となるポストを設置するなど、令和五年度からの特別な教育課程の導入を着実に進めていけるよう、教育庁の体制を整備すべきと考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○藤田教育長 外国につながる子供たちが安心して学校に通うためには、一人一人の状況に応じた支援が必要でございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、学校への就学に向けた手引や多言語化した就学案内を作成するとともに、NPO等民間事業者や法律の専門家等と連携し、児童生徒や保護者からの相談対応を行っております。また、学校において、早期の日本語の習得に向けた学習機会を設けているところでございます。
 来年度は、子供の状況に応じた日本語指導の授業を行うための特別の教育課程が令和五年度に高校で導入されることに伴い、教員用指導ハンドブックの開発や指導力向上に向けた研修を行うなどの準備を進めてまいります。
 令和五年度の着実な導入に向け、関係局や区市町村等関係団体と連携を深めるとともに、体制を整備してまいります。

○伊藤委員 私は、地元の定時制高校の入学式や卒業式に出席したときなど、また、そのほかにも折々に外国につながる子供やボランティアの方々にお話を伺ってまいりましたけれども、子供たちは、学習に加えて、日本語の習得のみならず、生活や文化の違いなどへの戸惑い、進学や就職どうなってしまうんだろう、こんな不安な声、家族のことや、時には法的なことで悩んでいることもありまして、多角的な支援が必要であることを痛感しています。
 外国につながる子供にとっても、またその家族にとっても、日本に来て本当によかったと実感してもらえるよう、世界から選ばれる多様性に富んだ国際都市東京として成長していくべきであります。
 そのためには、まず、外国につながる子供や家族が困難なことを解決でき、安心の居場所があることが重要であり、都教委や生活文化局などの各局の連携はもとより、様々な団体と連携していくことも重要と考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○武市生活文化局長 外国につながる子供が抱える悩みは様々であり、学校の内外で多面的なサポートが必要でございます。
 地域においては、外国人支援団体が運営する日本語教室などが、言語教育や学習支援だけでなく、相談対応や交流の機会の提供等も行っておりまして、外国につながる子供の居場所となっております。
 都は昨年度、東京都つながり創生財団を設立し、こうした外国人支援団体とのネットワークの形成を図るとともに、「やさしい日本語」を含む十四言語で対応する東京都多言語相談ナビを運営し、困り事を抱える子供や家族を適切な窓口につなぐ取組を行っているところでございます。
 今後、各局をはじめ多くの関係機関と連携を図り、外国につながる子供やその家族が安心して暮らせる環境をつくってまいります。

○伊藤委員 先ほど申し上げたとおり、様々な悩みや不安を抱えていらっしゃることだろうと思います。どうか各局が連携をして、しっかりと支えていただきたい、このように思います。
 次に、不登校の児童生徒への支援について質問をいたします。
 都内の公立学校の不登校の児童生徒の状況は、令和二年度で、小学生は六千三百十七人であり、この十年で三・二六倍になりました。中学生は一万一千三百七十一人で、十年前の一・六三倍に上っており、コロナ禍の影響もあり、現在はさらに増加傾向にあると私は感じております。
 学校に行けないことは、子供本人が不安と苦しさを感じ、保護者も戸惑いを抱えながら子育てをしていることと思います。こうしたSOSを見逃さずに、これまで以上に心に寄り添う取組が重要であります。
 国は、不登校の子供たちの学校復帰を目的とする従来のやり方から、平成二十八年には教育機会確保法が制定をされまして、子供たちが社会との関わりを大事にする新たな学びの場、居場所として、フリースクール等も一定の条件の下で学校の出席扱いとして認められるようになりました。
 しかし、この法律の目的や内容が保護者や教育関係者に届いておらず、私は同僚議員と共に大分県の先駆的な取組を視察、調査するなどして、都に積極的な取組を求めてまいりました。
 そして、都は、都議会公明党の要請に応え、冊子、未来を創るかけがえのない子供たちの自立に向けてを作成し、さらに不登校の子供たちへの理解を深めるために、学校、教育委員会、フリースクール等の代表者が情報交換と連携ができるよう、協議会を開催してきたと聞いております。その成果について伺いたいと思います。

○藤田教育長 都教育委員会は昨年度、学校に通うことができない子供の気持ちを支援に携わる大人が正しく理解するための冊子を作成し、都内全公立学校に配布、配信をいたしました。この冊子では、学校、家庭、関係機関が同じ視点で子供を支えることの重要性などを指摘しており、校長連絡会等で説明し、不登校は取り巻く環境によってどの子にも起こり得るとの理解を促しております。
 また、昨年度から、教育委員会及び学校とフリースクール等の連携を強化するための協議会を年間三回開催をいたしておりまして、効果的事例の共有などを通して相互理解を深めることができております。
 その結果、フリースクール等を利用した際の出席の取扱いに関するガイドライン等を設定した地区が、この二年間で二十二地区から二十七地区に増加するなど、連携が進展しているところでございます。

○伊藤委員 相互に情報を共有して、信頼を深めていくことが何よりも重要であると思います。
 一方で、保護者からは、子供が不登校であることについて、学力の問題や将来のこと、さらにはフリースクール等へ通うための経済的な負担など、様々な不安の声が都議会公明党に寄せられております。
 そこで、都は、フリースクール等に通う児童生徒や保護者への必要な支援について、課題とニーズを捉え、具体策につなげていくべきであります。
 都教委の来年度予算案の新規事業の中には、フリースクール等に通う児童生徒及びその保護者への必要な支援として一億円の予算が計上されております。
 そこで、具体的な取組や支援策、対象となる人数等について、見解を求めたいと思います。

○藤田教育長 都教育委員会は、一人一人に寄り添った多様な支援の充実に向けて、学校外の学びの場の一つであるフリースクール等に通う子供や、その保護者に必要な支援等を把握するため、来年度、約一億円の予算を計上いたしました。
 文部科学省の調査では、令和二年度において、都内公立小中学校の児童生徒のうち八百十八人がフリースクール等で相談、指導を受けておりますことから、調査対象を千人程度と算定をいたしました。
 今後、具体的な調査内容や調査にご協力いただけるご家庭への協力金を含めた実施方法など、詳細について検討してまいります。

○伊藤委員 調査にご協力いただける方は約千人、予算は一億円ということでありますから、単純に割り算をすれば、一人当たり年間約十万円の支援になるかと思います。保護者にとって大変に助かる支援策であります。
 ぜひ、来年度のこの事業を成果あるものにして、フリースクール等へ通う子供たちが安心して学び、自立していけるよう、継続して今後につながる事業としていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 私は、移動しながらよくFM東京ブルーオーシャンを聞くことがあります。そのゲストにサヘル・ローズさんという方が先日ゲストで登場されて、トークをされておりました。
 この方のことについては皆さんご案内の方も多いと思いますけれども、イラン西部の小さなまちで生まれて、イラン・イラク戦争のときに空爆を受けて、たった四歳で家族と生き別れになった子であります。孤児院に預けられましたけれども、このときにフローラさんという救護隊のボランティアの方に救い出されて、このフローラさんがその子を引き取って養女として育て、そして日本に来日をされました。いろんな事情があったのでしょう。公園でホームレスの状態で過ごしていたときに、ある婦人の方が声をかけてくれた、そして、その子を、家族を救ってくれた、こんなエピソードを聞きました。
 どうか、ウクライナの人たちを都営住宅にというお話を昨日させていただきましたけれども、知事、これから日本に来られる方、この方々に対して、住むところ、食べるもの、様々なこと、しっかりと応援をしていただきたいと思います。
 以上です。

○小磯(善)副委員長 伊藤こういち委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

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