予算特別委員会速記録第三号

○三宅委員長 米川大二郎委員の発言を許します。
   〔委員長退席、福島副委員長着席〕

○米川委員 組織は人なりといわれますが、私はこれまでも、都民に信頼される都政、都職員とするため、どうあるべきかについて質疑してきました。
 シン・トセイ2には、実践の中で制度や仕組みなどの構造的な課題を見いだし、それらを打破し最適化することこそが、まさに構造改革の本質としており、都民に信頼される都政、都職員とするため、とても重要なことと考えております。
 そこで、シン・トセイ2の考えを都職員が具体化するため、どのように取り組んでいくのかを知事に伺います。

○小池知事 改革の実践を通じて都政を変えていく、これがシン・トセイ戦略の基本であります。コアプロジェクトなど様々な取組をスピード感を持って推進をしまして、実践の中で見いだされた課題につきましては、柔軟な発想で制度や仕組みの変革につなげていく、こうしたアプローチで改革に取り組んでおります。
 未来型オフィスの実現におきましては、デスクや紙に縛られた従来のオフィスからオンラインやペーパーレス環境へと転換しまして、その実践を通じて、柔軟で機動的な仕事の進め方や組織マネジメント自体の変革につなげてまいります。
 また、人事、契約など内部事務のデジタル化を進める中で、制度や業務フローを抜本的に見直すBPRを徹底して、業務の効率化や生産性の向上を図ってまいります。
 さらに、都民との双方向コミュニケーションや民間との協働の実践の積み重ねなどによって、シン・トセイの理念を職員一人一人に浸透させ、都民に信頼される都政をつくり上げてまいります。

○米川委員 私は、様々な業務に対する対応と同時に、職員自らの制度や仕組みの構造改革も必要と考えます。その一つとして、職員の休暇制度があります。
 都職員の約六割は、退職する年の一月一日、つまり、退職まで三か月となったとき、新たに二十日間の年次有給休暇が付与されます。この場合、三月三十一日までの間に二十日間の年休を取得する職員がいることも課題の一つです。制度で決まっているから変えないというのではなく、例えば、会計年度単位であれば、付与された年次有給休暇を計画的に取得できると考えます。
 そこで、このようなことも踏まえ、職員の年次有給休暇について、都の考えを伺います。

○村松総務局長 知事部局等職員の年次有給休暇については、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則を踏まえて、暦年ごとに一月からの付与としております。
 休暇の取得状況等を管理する庶務事務システムで集計したところ、知事部局等における定年退職者のうち、退職年の一月から三月までの間に、二十日以上の年次有給休暇を取得した職員は、令和元年度は六人、令和二年度は五人でございました。
 年次有給休暇の付与時期を会計年度ごとに四月からとするためには、均衡の原則や休暇等を管理するシステムの改修経費等に関する整理が必要でございます。
 引き続き、業務効率化を図りつつ、費用対効果の観点等も踏まえながら、課題について研究してまいります。

○米川委員 地公法の均衡の原則と答弁がありましたが、職員全体の約四割は会計年度単位ですが、この二つの制度を維持し続けていくことに対し、疑問に思っております。
 また、二十日以上の年休を取得した場合、必ず周りの職員に負担をかけることになります。職員の士気の低下につながると考えております。
 制度だから仕方がない、都職員はこの程度でいいんだというような考えの職員を生み出し続けていくことになるため、早期に課題を研究し、整理した上で、制度を統一していくことを求めます。
 次に、私学部が発行しております東京都の私学行政によりますと、東京都の国公私立高校の生徒総数に対する私立高校の生徒数の割合は五六%、他道府県では、二番目に私立高校の割合の高い京都府は四六%、三番目に高い大阪府は四三%となっていて、東京のみ公立高校の割合が半分以下と特殊な状況となっています。
 また、公立中学卒業予定者の令和四年度都立高校全日制等志望予定(第一志望)調査結果(概要)によりますと、七〇%以上が都立校志望者となっておりますが、公立中学校卒業予定者の高校の就学計画は毎年五〇%台で固定しており、生徒が希望する進学先である都立高校の定員枠を広げてきませんでした。
 これまで都は、様々な私立高校に通う生徒の保護者負担軽減を行っておりますが、都立と比べれば、保護者負担の差はとても大きいです。
 そこで、今後、令和十二年には、公立中学校三年生の生徒数は八万三千人台になることも想定されていますが、東京の高校教育は、都立高校と私立高校でどのように担っていくのかについての考えを知事に伺います。

○小池知事 高等学校は、生徒が個性、そして特徴を生かして、生き方や働き方を自ら学び、それぞれの人生を生き抜く、社会の形成者として必要な資質を養う、重要な役割を担っています。
 都立高校におきましてはこれまで、普通科高校や専門高校に加えまして、不登校経験を持つ生徒を受け入れるチャレンジスクールであったり、創造理数科の開設など、生徒の多様なニーズに応える取組を行ってまいりました。
 私立高校では、それぞれの学校が、建学の精神に基づく特色ある教育活動を展開いたしております。
 公私ともに時代のニーズを的確に捉えて、学校の魅力が向上するように、切磋琢磨していかなければなりません。
 今後とも、東京の高校教育の両輪として、公私による連携の下で、新たな時代を切り開く人材を育成してまいります。

○米川委員 東京都の特殊な状況を考えれば、私立高校に通う生徒の保護者負担軽減は、さらに増やしていくことも必要になると考えております。その際に、都立校離れが起こらないようにするため、都立高校の魅力を高めていくことを求めます。
 次に、東京都は平成二年度から、私立高校などの経常費補助制度について、都内公立学校の教育費の実績値を用いた標準的運営費方式を採用しております。これは、生徒急減期に対応することを目的に、暫定的に導入された算定方法ですが、既に三十年が経過しています。
 今後もこの標準的運営費方式を続けていくのか、考えを伺います。
 また、私立高校に在籍する生徒の九〇%以上は普通科となっていますが、都内公立学校全体の経常費の実績値について、工業科などの専門科の扱いはどのようになっているのかも併せて伺います。

○武市生活文化局長 私立学校経常費補助は、教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的として、教育活動に要する運営費の一部を補助するものでございます。
 予算積算におきましては、公立学校の決算値を基に、私立学校の標準的運営費を算出し、その二分の一を予算額とする方式としております。
 これは、公立学校の運営費を指標とするものでございまして、積算根拠が明確で客観性を担保できるとともに、公私格差の是正にも効果が見込めることから、合理的な算定方法として導入したものでございまして、現在もこの方式を採用しております。
 なお、都立高校の工業科など、専門科の運営費についても考慮した上で算定をしております。

○米川委員 標準的運営費方式以外の算定方法を採用している自治体もございますが、今後も客観性を担保し、合理的な算定方法となるよう、常に内容の精査に努めるよう求めます。
 私は、平成二十九年十二月の文教委員会で、学校における働き方について質疑させていただきました。それから四年ほどたちましたが、都教育委員会は、この間、どのような取組を行い、教員の勤務状況はどのように変わったのか伺います。

○藤田教育長 都教育委員会では、教員の長時間労働の改善を図るため、平成三十年二月に、学校における働き方改革推進プランを策定し、学校閉庁日の設定等による教員の意識改革に加え、ICTや外部人材の活用等に取り組んでまいりました。
 具体的には、システムの導入により校務の効率化を図る区市町村への経費負担補助を実施し、現在、多くの自治体で導入が図られているところでございます。また、小中学校におきましては、授業準備の支援等を行うスクールサポートスタッフの導入を、また、中学、高校では部活動指導員の導入を進め、現在、希望する全ての学校に配置が行われております。
 こうした取組により、過去三か年における一月当たりの時間外労働時間の比較では、小学校教諭等において平均五時間程度、中には十時間程度の縮減が図れた地区も見られるなど、全ての学校種別におきまして減少傾向となってございます。

○米川委員 法人化される前は、同じ都立の教員が在職していた都立産業技術高専では、現在、月四%の教職調整額ではなく超過勤務手当が支払われており、この手当が支払われる時間が公立学校の時間外労働に該当します。
 そこで、一般教員の過去三年間の平均残業時間数はどのようになっているのかを伺います。

○村松総務局長 東京都立産業技術高等専門学校における教員の年間平均超過勤務時間数は、平成三十年度は約十時間、令和元年度は約九時間、令和二年度は約七時間でございます。

○米川委員 都立学校教員の勤務状況と比較すると、大幅に少ない時間数となっておりますが、産技高専は、特別にどのような取組を行っているのか伺います。

○村松総務局長 教育内容や学生の年齢構成が異なるため一概に比較はできませんが、産技高専では、スクールカウンセラーやクラブ活動指導員の配置といった負担軽減策を実施するほか、一年単位の変形労働時間制を導入し、業務の繁閑に応じて弾力的に勤務時間を割り振っております。

○米川委員 平成三十年に都教育委員会は、学校における働き方改革推進プランを策定しましたが、時間外労働を大幅に削減する結果には結びついていません。
 小中学校に即当てはまらないかもしれません。また、都立学校とは制度が異なるため、同じことはできないかもしれませんが、都立産業技術高専の実績は驚くべきものがあります。
 そこで、教員の時間外労働を削減し、教員が生き生きと職務に取り組めるようにすべきですが、都教育委員会に考えを伺います。

○藤田教育長 教員が、心身の健康を保持し、児童生徒への指導などの本来業務に注力できる環境を整えるためには、多様な取組を積極的に推進していく必要がございます。
 このため、都教育委員会では、これまでの取組に加え、来年度から小学校において、副担任相当業務を担う外部人材の活用を新たに実施するとともに、小中学校及び都立学校において、副校長を補佐する外部人材の配置を拡充するなどの取組を行ってまいります。
 また、一人一台端末の整備に伴い、児童生徒へのアンケートの集計作業や教材用のプリントをオンラインで配信するなど、効率化をより一層進めてまいります。
 今後も、教員が誇りとやりがいを持って職務に従事できるよう、学校における働き方改革を推進してまいります。

○米川委員 産技高専の時間外労働は、全て超過勤務手当に反映され、分かりやすいのに対して、都立学校で時間外労働時間が多ければ、当然、教員のパフォーマンスが落ちることや、学校にいれば当然かかる光熱水費などの費用をコストだと理解していないことが、大幅な時間削減につながらない原因だと、私も学校に勤務した経験がありますので、そのように考えております。学校長や主幹教諭などに学校運営のコストに対する考えを徹底させ、学校の働き方改革をさらに推進していくことを求めます。
 次に、昨年の予算特別委員会で、我が会派の質問を受け、都教育委員会は、新学習指導要領の趣旨を実現するための図書館運営の新たな体制整備に取り組むとの答弁がありました。令和四年度から、直接雇用の学校図書館専門員が配置され、都立学校図書館の運営が大きく変わることになります。
 学校図書館を計画的に利用し、授業で活用していくことが重要であるとの高等学校の新学習指導要領は、本年四月から年次進行で改訂されます。
 今後、学校図書館の役割がより一層期待される中、私は、令和二年第三回都議会定例会一般質問で、学校図書館の機能を最大限に発揮するため、充実活用のガイドラインの作成や学校図書館への支援のためコーディネーターを配置するべきであると申し上げました。
 都教育委員会で、現在、ガイドラインを策定中であると聞いていますが、策定後も様々な課題が出てくることが予想され、その場合、その都度、素早く対応していくことが必要です。
 そこで、都教育委員会は、今後、都立学校図書館をどのように運営していくのか伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、学習指導要領の改訂に伴い、学校図書館の機能の活用を図るため、令和四年度から令和五年度にかけて、運営形態を現行の業務委託から図書館専門員の配置に転換し、教員と連携する体制へ移行いたします。
 また、総合的な探究の時間等において図書館が活用されるよう、年度内にガイドラインを策定いたします。
 来年度は、さらなる図書館の利活用を図るため、コーディネーターを都教育委員会に配置し、授業での実施事例の紹介など、各学校への支援、助言を行ってまいります。
 これらの取組によりまして、図書館を活用した教育活動のさらなる充実を図ってまいります。

○米川委員 昨日配られました予算特別委員会要求資料のこの資料第181号には、これまでの業務委託、これだけ増えてきたよということがあったんですが、今、藤田教育長からの答弁で、来年の四月一日からは、全て直接雇用の学校図書館が運営されるということになります。とても期待しています。
 そして今、現在、図書館専門員の採用業務、これ鋭意進めているんですが、四月一日から新たな体制でスタートを切るため、未配置が生じないよう、しっかり取り組むことを求めます。
 また、細かいことになるんですが、募集要項の職務内容に、校長などから命じられた校務等という記載があります。いわゆる学校図書館以外の校務分掌に配置が可能であるとも解釈できますが、特に全日制課程では、学校の校務分掌に図書部を設置し、図書館専門員はそこで専念してもらうことが必要であると考えております。
 校務分掌、これは校長が定めるとのことですが、各学校において図書部を設置し、学校図書館の充実を図ることを求めます。
 次に、特別支援学校には、学校司書や図書館専門員などの学校図書館業務を行う職員が配置されておりません。これまで都教育委員会は、特別支援教育を推進するため様々な施策を行っていますが、他の都立学校と同様に、学校図書館業務を行う学校司書や図書館専門員を配置することで、特別支援学校における学校図書館の活用を一層充実させるべきですが、都教育委員会の考えを伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、全ての特別支援学校に司書教諭を配置しており、司書教諭は、児童生徒一人一人の障害の状態等を踏まえ、読書活動を計画する担任の教諭と協力して、学校図書館の活用に取り組んでおります。
 具体的には、車椅子の子供が手に取りやすい本の配置や書架のレイアウト、発達の段階に応じた興味を引く本の選定や読み聞かせ方の工夫などを行っております。
 また、各学校では、大学教授等から図書館運営や読書指導について助言を得たり、多摩図書館と連携して図書の選定を行うなど、必要に応じて外部の専門家の力も活用しているところでございます。
 今後、特別支援学校における学校図書館の運営や活用状況の調査を行い、読書活動の一層の充実につなげてまいります。

○米川委員 次に、現在、デジタルサポーターは、業務委託契約により都立学校に配置されておりますが、今後、都立学校でデジタルの利活用が進めば、デジタルサポーターの業務は教員と密接な連携が必要となり、業務委託では対応できなくなると考えております。
 そこで、今後、どのように対応していくのか、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 現在、都立学校のデジタルサポーターの業務内容は、端末やソフトの操作支援、教員研修の実施、デジタル機器の保守管理など、デジタルの活用の導入期における基本的な支援が中心となっております。
 今後、教員のデジタルスキルの向上に伴い、デジタルサポーターの役割は、授業計画の作成支援や進度に応じたデジタル教材の提案など、指導内容に関わる支援へ移行してまいります。また、各校の実情に応じた支援となるよう、業務に柔軟性を持たせることも必要になってまいります。
 このため、都立学校におけるデジタルサポーターの業務内容や任用の在り方については、デジタルの活用段階に合わせて検討していく必要があると考えているところでございます。

○米川委員 来年度のデジタルサポーターの業務委託について、適正に実施するために、どのように対応していくのかについて、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、現在、デジタル活用の導入期における端末操作等の基本的な支援を業務とするデジタルサポーターを配置しているところでございます。
 本業務を適切に実施していくため、派遣と委託の違いなど業務委託に関する教員の理解を促す資料を作成、配布することに加え、新たに作成するチェックリストを活用し、全教員にこれらのことを徹底いたします。
 また、各学校に対しては、あらかじめ定められた業務をサポーターが実施することを周知するとともに、当日行う業務を関係者間で確認するよう指導していきます。
 さらに、都教育委員会と受託者との間で行う定例の会議において、業務委託内容が適切に実施されていることを確認してまいります。

○米川委員 業務委託は、直接雇用した職員と異なり、業務範囲外のことを依頼することはできません。教職員には、何ができて、何ができないのかをしっかりと理解させ、適切に業務委託が行われることを求めます。
 次に、都教育委員会は、都立高校の部活動の強化を目的に、スポーツ特別強化校を指定しています。私はこれまでも、何度か質問した際に例示しました硬式野球、バスケ、バレーでは、部活動の強化を始めてから、まだ全国大会に出場しておりません。
 しかし、例えば、硬式野球では、都大会で上位に進出する学校も増えてきており、都教育委員会による取組の成果が着実に出ていると感じます。その上で、さらに一段高みを目指す時期に来ているのではないでしょうか。
 今後は、明確な目標を設定し、期限を設けてプロジェクトを立ち上げ取り組み、その結果を再度分析し、新たなチャレンジにつなげていくことが必要ではないでしょうか。
 そこで、都立高校の運動部の強化について、どのように取り組むのかを都教育委員会に伺います。

○藤田教育長 これまで都教育委員会は、運動部活動に重点的に取り組んでいる都立高校を対象に、全国大会や関東大会への出場を目指すことを目的として、平成二十七年度から強化校を指定してまいりました。その結果、全国高等学校総合体育大会で優勝するなどの成果を上げております。
 来年度は、科学的トレーニングの積極的な導入など、効果的な活動を推進することを目的に、スポーツサイエンスプロモーションクラブとして、野球部やバスケットボール部などの運動部活動を指定いたします。
 また、練習用具の充実や練習環境の整備を図ることにより、部活動の一層の活性化を図ってまいります。さらに、学校関係者等による検討会において、効率的な練習方法や強化の期間等について検証し、指定部活動の競技力をさらに向上させてまいります。

○米川委員 野球に関していえば、今、甲子園に出場した指導者の方が三名、都立学校で教えております。また、選手として甲子園に出場した方が、今、体育の教員で、都立学校でも勤務しております。四名、今おりますので、しっかりとどういったことが問題だった、どうすれば勝てるのか、そういったことをよく検討していってもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、尖閣諸島活用基金について伺います。
 石垣市は、昨年十二月、ユーグレナ石垣港離島ターミナル二階に、尖閣諸島情報発信センターを設置しました。市は、将来的に尖閣資料館の建設を国に要望しているとの報道があります。また、本年一月には、尖閣諸島の現地調査を実施しました。
 石垣市と同じように、国境離島である沖ノ鳥島や南鳥島を抱えた東京都は、維持保全や利活用に向けた研究調査を深めるとともに、VRなどコンテンツの作成など、国境離島の意義に関する情報を発信する取組を行うため、来年度予算に一億円計上しております。
 そこで、国が島の一部を国有化しましたが、尖閣諸島には民間所有の島もあることから、基金の活用主体を国に限定し続けるだけでなく、例えば、尖閣諸島を行政区域に含む石垣市による継続的な調査などにも活用できるのではと考えておりますが、都はこの基金をどのように活用していくのか、見解を伺います。

○村松総務局長 尖閣諸島活用基金については、現在、残高十四億一千万余円となっておりまして、同諸島を公の所有として安定させ、活用してほしいという寄附者の志が生かされますように対応していくことが必要であると認識しております。
 また、本基金の設置条例におきましても、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金とすると定められております。
 このため、都は、尖閣諸島を所有、管理している国に対して、その戦略的な活用を要望しているところでございます。
 今後も、地元自治体でございます石垣市等と意見交換を行うとともに、活用に向けた国の取組を粘り強く求めてまいります。

○米川委員 寄附者の志が生かされることが必要との答弁がありましたが、寄附をしていただいてから間もなく十年になります。活用方法について、寄附者や都民の考えを把握するため、アンケート調査などを行うことも必要と考えております。
 次に、若者の投票率向上について伺います。
 若者の投票率は、ほかの年代に比べて低く、インターネットやSNSなどを活用した効果的な啓発を展開する取組が、先月策定されたシン・トセイ2にも位置づけられています。
 高校までは学校で主権者教育が行われていますが、卒業後は教育の機会がなかなか得られにくいことが課題となっています。
 そこで、デジタルツールを活用し、学生などに向けた選挙、政治に関する啓発を充実させていくべきと考えますが、東京都選挙管理委員会の見解を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会ではこれまで、専門学校等に対して出前授業を実施するなど、学生などに向けた啓発事業を行ってまいりました。来年度から、新たにスマートフォンでも受講できるオンラインの啓発プログラムを提供いたします。
 具体的には、事前に投票の重要性を解説した動画を視聴してもらった後に、自分の関心のある政策テーマを検討するワークシートを作成してもらうというものでございます。
 自分で設定した選挙の争点をきっかけに、社会問題や政治への関心を高め、政治、選挙に対する意識づけを図ってまいります。

○米川委員 次に、立候補者などに向けた広報について伺います。
 昨年は、都議選や衆院選に加え、私の地元葛飾区においても区議会議員選挙と区長選挙が行われました。自分自身の選挙運動や地元の選挙応援を行う中で、立候補者の中には、認められている選挙手段を十分に理解しないまま選挙運動を行っているのではないかと感じる場面を見かけましたし、支援者からも問合せをいただくことがありました。
 個別の事案が摘発の対象となるかについては、関係機関が判断することになりますが、違法性が疑われるような事案が発生しないよう、選挙運動や政治活動に関する禁止事項を、イラストなどを用いながらホームページで分かりやすく発信していくことが重要であると考えますが、東京都選挙管理委員会の取組について伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、政党等に向けた政治活動用ポスター等に関する注意喚起文書の発出や、立候補時における選挙運動の説明など、適切な選挙運動、政治活動の促進に向けて、時期や対象に応じた周知を行っております。
 ホームページでの発信につきましても、禁止事項等の解説を誰もが分かりやすい内容としてさらに充実を図るなど、工夫を行ってまいります。

○米川委員 葛飾区西新小岩で中川緩傾斜型堤防の整備事業が行われますが、隣接する葛飾区立新小岩公園一部高台化事業と一体となって整備された際には、地域の防災拠点として大きな役割を果たすと考えています。
 そこで、中川の新小岩公園付近における高台化に向けた緩傾斜型堤防整備に関する現在の取組状況及び事業実施に向けて葛飾区との調整はどのようになっているのかを伺います。

○中島建設局長 中川において、沿川の公園整備等と一体的にスーパー堤防や緩傾斜型堤防の整備を実施し、高台化を推進することは重要でございます。
 中川の西新小岩地区における緩傾斜型堤防につきましては、川沿いに並行する都道の線形を変えるとともに、高さを上げる必要もあることから、これまで堤防整備後の交通処理の協議等を実施してまいりました。引き続き、工事中の仮設道路の線形に関する協議などを行ってまいります。
 また、新小岩公園との一体的な整備について、先月、区と覚書を締結したことから、今後、事業実施に向けた具体的な調整を進めてまいります。
 引き続き、区と連携し、西新小岩地区の高台化に向けて取り組んでまいります。

○米川委員 中川緩傾斜型堤防のすぐそばに高速道路の入り口がありますが、堤防と公園が一体的に整備された際は、この高台を利用してヘリコプターなどを救出救助活動などに一体的に活用できれば、東部低地帯の安全性を高めることにつながると考えます。
 そこで、水害時の防災拠点機能を確保するため、高台まちづくりの意義について見解を伺います。

○上野東京都技監 高台まちづくりにより、水害時の緊急的な避難場所が確保されるとともに、救出救助等の活動拠点として機能するほか、周辺の道路等を通じて浸水区域外への移動も可能となります。
 新小岩公園につきましては、公園の一部を高台化することになっておりまして、現在、区が中心となって、水害時の防災拠点機能を確保できるよう、首都高速道路や対岸の道路等の活用を含め検討しております。
 引き続き、国や区などと連携を図りながら、高台まちづくりに取り組んでまいります。

○米川委員 この新小岩地区は、南は江戸川区、西には墨田区がございます。しっかりと東京都が広域自治体として支援するよう求めます。
 次に、京成本線の京成高砂駅から江戸川駅付近の鉄道立体化について伺います。
 平成三十年第三回都議会定例会で一般質問した際の答弁では、京成高砂駅には車両基地があり、鉄道立体化を進める上で、その取扱いについて課題となっていました。
 その後、葛飾区では、令和二年八月に高砂駅周辺地区まちづくりガイドプランにて駅前広場などを提示し、具体的には、京成高砂一号踏切で交差している道路、通称バス通り、これを計画している駅前広場へのアクセス道路に位置づけました。令和三年十一月に、駅前広場の整備を含む京成高砂駅北口地区市街地再開発準備会が設立しております。
 私も区議会議員のときから取り組んできましたが、このように地元のまちづくりの検討が進展しており、いよいよ一歩前に進むときが来ていると感じております。
 そこで、京成高砂駅から江戸川駅付近の鉄道立体化に向けた今後の都の取組について伺います。

○中島建設局長 京成本線の京成高砂駅から江戸川駅付近には、補助第一四三号線など都市計画道路が三か所で交差することになるほか、開かずの踏切二か所を含む十三か所の踏切があり、鉄道立体化による踏切解消が必要でございます。
 本区間では、交差する道路の整備計画が具体化するとともに、地元区による駅周辺のまちづくりの取組が進展してまいりました。
 また、課題となっていた車両基地の移転案を、都が主体となり取りまとめたことなどから、国に着工準備に係る補助金を新たに要望いたしました。これにより、事業化に向けて一歩踏み出すこととなります。
 今後、構造形式や施工方法の検討を進めるなど、地元区や鉄道事業者と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。

○米川委員 次に、水元公園ドッグランについて伺います。
 私は、昨年の決算特別委員会で、水元公園のドッグランに関して、指定管理者とボランティア団体の役割分担について質疑するとともに、ドッグランの地面にありますコンクリートが砕かれた、いわゆる殻についての抜本的な対策の検討を求めました。
 そこで、水元公園のドッグランの安全対策について、これまでの取組と今後の対応について伺います。

○中島建設局長 水元公園のドッグランにおいては、安全な利用のため、石などの支障物の定期的な除去に加えまして、本年一月には、小型犬エリアの表面の土を入れ替えたところでございます。
 今後は、大型犬エリアを含めた一層の改善を図るため、効果的な対策を検討してまいります。
 安全に利用できるよう維持管理を行うことで、誰もが楽しめるドッグランづくりを進めてまいります。

○米川委員 次に、既設道路橋のバリアフリー化について伺います。
 私の地元葛飾区の中川にかかる青砥橋は、令和元年にエレベーター設置の請願が出され、翌年には区議会から都にエレベーター設置を求める意見書が出されています。
 現在、請願審査における私の質疑をきっかけとして、青砥橋を含む都内の既設道路橋のバリアフリー化の必要性について調査が行われていると聞いていますが、その状況と今後の取組について伺います。

○中島建設局長 都はこれまで、バリアフリー法に基づく特定道路上にある橋梁など約五十橋を対象といたしまして、歩行者の交通量や迂回路の有無等の調査を実施してまいりました。
 これらの調査結果を基に、バリアフリー化の必要性を検証した上で、エレベーターやスロープ等の設置場所の確保など実現性を考慮し、学識経験者の意見を伺いながら、整備の優先度について総合的な評価を進めております。
 今後、都民の意見を広く聞いた上で、既設道路橋のバリアフリー化の整備方針を策定いたします。

○福島副委員長 米川大二郎委員の発言は終わりました。(拍手)

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