予算特別委員会速記録第二号

   午後六時五分開議
○小磯(善)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 高倉良生理事の発言を許します。

○高倉委員 このたびのロシアによるウクライナへの軍事侵攻は断じて許してはならない暴挙であり、断固抗議するとともに、ロシアは速やかに攻撃をやめ、即時撤退するよう強く求めるものであります。国と国との問題は、軍事力ではなく、どこまでも粘り強い対話によって解決していくべきと考えます。
 今回の軍事侵攻では、子供を含む多数の市民が命を落としており、プーチン大統領は核兵器の使用につながる意思さえ示しています。さらに、原発への攻撃も行っております。絶対に許してはなりません。
 今後、私たちは、国際社会と力を合わせ、ウクライナ国民や在留者のためにしっかりと支援をしていくことが必要と考えます。
 小池知事がいち早く都庁舎をウクライナ国旗のカラーでライトアップするなど、支援のメッセージを発出していることに敬意を表します。ウクライナ危機に対し、都はあらゆる角度から支援を考えるべきと思います。
 ウクライナから国外に避難した人は百五十万人を超えております。既に日本政府は受入れを進める方針を示しておりますが、受入れに当たっては、住宅や食料、衣服、日用品の支援、子供の教育への配慮など、きめ細かな支援が必要と思います。
 そこでまず、都として、避難してくる方々に対し、都営住宅等を提供すべきと考えます。このことについては、ウクライナに対して都が具体策を持って支援すると発信をしていくことが、どれほどウクライナの人々の心を支え、励ましとなることかと私は思います。都営住宅等の提供というメッセージ、また、具体策の発信ということの持つ意味は非常に大きいというふうに思います。
 知事のご所見をお伺いします。

○小池知事 今回のロシアによる力で現状を変えようとする一方的なウクライナへの侵攻、決して許されるものではありません。
 また、国際社会、民主主義への挑戦であるという観点からいたしましても、国際社会の連帯が重要であって、都もその一員として揺るぎない対応が求められております。
 ウクライナ情勢の悪化に伴って、避難民受入れなどの人道的な支援について、明確な方針を打ち出すよう国に対し、緊急要望も行っております。
 ウクライナから避難を余儀なくされた方々を受け入れようとする国の姿勢につきましては賛同するものでございまして、また、都としてどういう形が最も有効か精査をしております。
 国から都営住宅等の提供について要請があった場合には、国と連携しまして、都としてウクライナの方々を支援してまいります。

○高倉委員 ウクライナ侵攻によりまして、原油だけでなく、他のエネルギー価格の高騰も懸念されております。さらには、穀物価格の上昇、経済制裁に伴う海外取引への影響など様々な課題が顕在化しつつあります。
 こうした経済情勢の悪化は、新型コロナにより長期にわたり影響を受けている都内の中小零細企業にとって、経営の存続すら危ぶまれる状況になりかねません。
 都内事業者が厳しい経営環境を乗り越えていくためにも、都として、中小企業にとって血液とも呼べる資金繰りを強化するとともに、経営面からのサポートを強化すべきと考えますけれども、知事のご所見をお伺いします。

○小池知事 ロシアのウクライナ侵攻によって資源の安定供給への懸念が広がっております。
 原油につきましては、米国の指標でありますWTIが一バレル百三十ドルを超えるなど、様々な価格のさらなる上昇が危惧をされます。
 また、コロナ禍で懸命に努力を続けてきた都内中小企業の経営環境に一層の厳しさが加わるということから、金融と経営の両面から迅速に支援策を展開する必要がございます。
 このため、中小企業の経営の命綱である資金繰りを支える新たな融資メニューを創設する。この融資制度によって、低廉なコストで資金を調達して、売上げなどに影響が出る中でも事業が継続できるように後押しをしてまいります。
 また、幅広く様々な業種の中小企業が省エネ対策を通じたコストの削減に効果的に取り組み、経営力を高めるための専門家の助言や、機器の導入への助成を行ってまいります。
 さらに、ロシアの会社との取引が困難となった中小企業が販売や仕入れの新たなルートをつくることができるように、助言やマッチング支援を行ってまいります。
 今後も、都内経済への影響の長期化なども見据えまして、切れ目のない支援を、スピード感を持って、全力で進めてまいります。

○高倉委員 企業を取り巻く環境が悪化する際には、資金繰り支援の強化が重要であります。コロナ禍の影響に加えまして、ウクライナ危機による原油高騰などによる経済への影響は、都内の中小事業者にとって二重の打撃となります。
 コロナ禍では、都議会公明党の要望を受け実施された緊急融資が多くの事業継続につながりまして、取組を高く評価しているところであります。
 現在の経済情勢を踏まえると、大胆な金融支援策を迅速に講ずるということが必要と考えますけれども、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢によりまして、原油や穀物などの価格の高騰のほか、ロシアの企業との取引停止など、事業者の経営に様々な影響が生じることが懸念されるところでございます。
 このため、都は、こうした状況の下、売上げに影響の出る中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資に新たなメニューを創設いたします。
 このメニューでは、一億円を限度額として低利融資を行うとともに、借入れの際に必要となる信用保証料について、小規模事業者に対しては四分の三、その他の事業者には三分の二の補助を行います。
 現在、早急に支援を始めることができるよう、三月中旬からの受付開始を目途に準備を進めているところでございます。

○高倉委員 今、答弁で、新たな制度融資のメニューについては、三月の中旬から受付を開始するというような答弁がありました。ぜひ迅速にお願いしたいと思います。
 昨年一年間の東京税関管内のロシアとの輸出入額は三千億円に上っておりまして、都内の中小企業には少なからずロシア企業との取引があると考えられます。
 ロシアの金融機関が国際的な決済システムから排除されることで、取引先への送金などの決済が困難となるなど、今後、ロシアの企業との取引を行う都内中小企業に及ぼす影響が懸念をされます。
 都は、こうした状況を踏まえ、都内中小企業が新たな販売先や仕入先を確保できるよう支援すべきと考えますけれども、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は、ロシアの企業との決済の停止などにより、販売や仕入れが困難となる中小企業に対して緊急的な対策を実施いたします。
 具体的には、今月から海外取引や貿易実務の専門家による特別相談を開始し、新たな取引先を探すために必要な相談や手続等についてアドバイスを行います。
 また、外国のビジネス事情に精通した民間人材を活用し、海外の新たな販売や仕入れのルートをつくるためのマッチングや、越境ECへの出品の支援を通じて取引先の開拓につなげてまいります。
 こうした取組によりまして、ロシアの企業との取引が困難となった中小企業に対して、適切にサポートを行ってまいります。

○高倉委員 次いで、都民の城改修事業について質問をいたします。
 都民の城改修基本計画における改修工事費は百三十六億円となっておりますが、この金額は、新築当時の初期工事費を基に、建築費指数によりまして単価の変動の影響を補正した上で、令和二年時点で想定される改修範囲や見積金額を用いて積算しております。
 新型コロナ感染症の拡大により、都民の城の設計等、改修工事は二年間延期となりまして、現在、原材料の調達が困難な状況で価格も高騰しています。
 そこで、令和二年度に積算された百三十六億の費用をそのまま同額で令和四年度に計上した場合に、設計、改修工事費は賄えるのか、財務局の見解を伺います。

○吉村財務局長 仮称都民の城改修基本計画でお示しいたしました約百三十六億円につきましては、その後の基本設計、実施設計において精査することとしており、昨年十月に完了いたしました基本設計において、概算工事費は約百三十四億円と試算されております。
 なお、現在、仮称都民の城は、酸素・医療提供ステーションとして活用していることなどから、実施設計の予算を計上しておりません。

○高倉委員 当初、都民の城の改修工事の完了は令和四年度で、令和五年度から供用開始をするとしておりましたが、さきに述べましたように二年間延びて、このままいくと、供用開始は令和七年度からになります。
 この場所は現在、新型コロナ酸素・医療提供ステーションになっておりまして、供用開始はさらに延びると考えられます。
 他方、都はこの場所を、旧青山病院の跡地や国連大学の用地、そして渋谷区の用地とともに、四つの敷地を一体的に活用していくことを目指すとしておりまして、昨年十二月に神宮前五丁目地区まちづくりの方向性を検討する有識者会議を立ち上げました。
 この有識者会議の検討スケジュールによりますと、第五回目の開催の令和四年四月中には、まちづくりの大きな方向性を提言するとなっています。そして、都は、四つの敷地の一体的活用を令和十一年をターゲットとして調整を行うとしております。
 しかも、先ほど財務局長の答弁がありましたけれども、財務局も令和四年度において実施設計の予算を計上していないということであります。
 したがいまして、都民の城を仮に令和七年度に供用を開始するとしても、解体期間を考慮しますと、都民が利用できる期間は正味三年間であります。
 この三年間のために、都民の税金百三十六億円、場合によってはさらに増えるというふうにも思いますが、それを投入していくことは、まさに税金の無駄遣いであり、改修工事はやめるべきと考えますが、財務局の見解を求めます。

○吉村財務局長 仮称都民の城につきましては、改修基本計画の中で、令和十一年をターゲットとして、周辺都有地とともに一体的に活用していくことを目指し、それまでの期間の活用を想定しておりました。
 しかしながら、現在、新型コロナウイルス感染症への対応の中で、当初想定されていなかった酸素・医療提供ステーションとして建物を利用していることなどから、改修基本計画の策定時点より改修スケジュールが大幅に遅れております。
 仮称都民の城につきましては、現在設置している神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議でも議論されておりまして、都としては、この有識者会議で出される提言を受け、今後の対応を検討してまいります。

○高倉委員 今、答弁にもありましたけれども、有識者会議の提言で、令和十一年をターゲットとして神宮前五丁目の四つの敷地を再開発していくのであれば、二、三年しか利用できない都民の城の改修工事は税金の無駄遣いになるのでやめるべきであるということを申し上げておきます。
 次に、民間知見を生かした5Gの通信基盤の整備についてお伺いします。
 令和四年度予算の施策展開の視点としまして、都は、サステーナブルリカバリーで世界をリードする東京へ進化させていくことが重要であるとしまして、その一つとして、社会の隅々までデジタル化を浸透させていくとしています。
 その社会基盤の整備として、都は、デジタルハイウエー構想を掲げております。
 都議会公明党は、一昨年の第四回定例会の代表質問で、多摩地域に5Gの通信アンテナが設置されていないことを取り上げまして、都は、5Gネットワークは多摩地域においても重要であると述べた上で、都有施設や政策連携団体の施設を積極的に開放し、さらには、都区市町村IT推進協議会を通して市町村の取組を促すとお答えになりました。
 しかし、二〇二二年一月現在、一部の通信キャリアが多摩地域に5Gの通信アンテナを設置しておりますが、その通信キャリアでさえ、西多摩地域には通信アンテナを設置しておりません。また、一部通信キャリアでは、区部のサテライト地域にも5Gの通信アンテナが設置されておりません。これでは、デジタルハイウエー構想ではなく、デジタル山手線構想になってしまいます。
 デジタルハイウエー構想も、基盤が整備されていなければ、絵に描いた餅になります。通信キャリアは民間だから難しいといわれるかもしれませんけれども、民間から来た宮坂副知事だからこそ、今までの知見を活用して整備をしていくことができるというふうに思います。宮坂副知事の見解を求めます。

○宮坂副知事 私が就任以来取り組んでいるスマート東京の実現に向けて、その前提となるのが5GやWi-Fi、光回線などの通信基盤の構築です。
 そのため、特に5Gネットワークの早期構築については、通信事業者のトップとのサミットなど様々な機会を捉え、直接要請してまいりました。
 また、都自らも多摩地域の約六千五百件を含む一万五千件以上の都有アセットをアンテナ基地局の候補地として公開しており、約百件が既に稼働、さらに約三百件について稼働に向けた調整を行っております。
 今後、基地局設置に関わる技術的支援の規模を拡充するなど、さらなるスピードアップを図ってまいります。
 来年度はさらに、都内の隅々まで高速インターネットが安定的につながる環境の構築を目指し、新たに西多摩地域などの通信困難地域における実測調査を本格化し、通信事業者へ整備拡充を具体的に働きかけてまいります。
 今後、こうした取組を私が先頭に立って、通信事業者とビジョンを共有し、総合的かつスピード感を持って展開することで、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京を実現してまいります。

○高倉委員 都は、また、令和四年度予算でデジタル関連経費を前年度より五百九十六億円増やし、二千三百三十四億円計上しております。ただ、デジタル化の成果物は目に見えないものが多いというのが特徴であります。また、失敗をしても一般の人には分かりづらいというのも特徴であります。ただ、失敗をすれば、多額の税金が消えていってしまうわけであります。
 そこで、財務局は、デジタル化の予算の成果をどういう形で検証をしていくのか、財務局長の見解を求めます。

○吉村財務局長 令和四年度予算編成では、政策評価と事業評価を一体的に実施し、評価制度をさらにブラッシュアップいたしました。
 具体的には、成果指標を設定し、外部有識者の意見も踏まえながら、課題や実績等の検証を行い、さらなる施策の見直しなどへつなげました。また、新たにホームページ上で検索しやすく、視覚的にも分かりやすい形で評価結果を公表しております。
 こうした評価制度を一層有効に活用することで、デジタル化に関する予算も含めまして、より成果重視の視点から評価を行い、施策の実効性、効率性の向上を図ってまいります。

○高倉委員 ただいまの答弁で、成果指標を設定し、外部識者の意見も踏まえながら、課題や実績等の検証を行っているというふうにありました。
 しかしながら、この検証は、しょせん内輪での検証というものであります。デジタル化は、サステーナブルな東京を実現させていく重要な政策であります。都は、監査委員監査のほかに包括外部監査を導入しているように、専門家による第三者の目で、デジタル化につきましては、システム監査など第三者のチェックを行う制度を構築していくべきであります。財務局長の見解を求めます。

○吉村財務局長 都はこれまで、デジタル化に関しまして、都外部の専門的知見を生かしつつ検証をしております。
 具体的には、各局の予算要求の際に、デジタルサービス局が、民間の知見も活用し、情報システムについて、技術的な見地から経費の適正性や費用対効果の妥当性等のチェックを行うとともに、財務局では、評価制度の一環として第三者の視点も踏まえた検証を行うなど、予算編成に反映しております。
 また、監査委員監査において、行政監査の一環として、専門家からの支援なども活用してシステム監査を実施いたしました。
 こうした取組も踏まえまして、デジタル化に関する評価に当たって、第三者の意見を反映する仕組みの充実につきまして、関係局と連携して検討してまいります。

○高倉委員 ぜひしっかり検討をしていただきたいというふうに思います。
 次に、新型コロナ対策についてお伺いをしたいと思います。
 現在の感染の拡大、第六波であります。連日の新規感染者数は、過去五回の波とは比べものにならないほど大規模なものであります。
 病床の使用率は現在五〇%を切るという状況になっております。一方で、入院調整本部による入院の措置状況を見ますと、今回の第六波における必要な医療体制の、そうした、いわば特徴が表れているというふうに私は思っております。
 調整本部の方には、毎日、医療機関からの空きベッド情報、それから保健所からの入院要請が届きます。それに対して入院調整を行っているわけでありますが、この二月の状況を見ますと、入院決定者は大体百人前後なんです。それに対しまして、ずっと減ってきてはいるんですけれども、この二月の状況は三百人から五百人という入院未決定者が出ているわけであります。
 この入院の未決定者のかなりの割合は高齢者になっているというふうに思いますけれども、こうした状況についてどうご認識されているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は入院調整本部を設置いたしまして、保健所からの要請に応じて、患者の重症度や療養の状況等を踏まえまして、優先度を考慮しながら、受入先となる医療機関を調整しております。
 三月二日の状況では、保健所から二百九十六人分の依頼がございまして、このうち入院決定が百十六人、依頼の取下げが五十人、その日に決定に至らなかった方が百三十人でございます。
 この百三十人の方は、施設で介護を受けている方を含めまして、七十代以上が八二%を占めておりまして、翌日以降に入院調整などを行っております。
 なお、施設に入所されている患者は、自らの生活環境をできる限り変えずに療養できることも大変重要でございまして、都は高齢者施設への往診などの取組を進めているところでございます。

○高倉委員 今、答弁で、決定に至らなかった人が、三月の二日ですけれども、百三十人であるというお話がありました。
 しかし、私が先ほど申し上げたように、例えば二月の九日は、決定に至らなかった人は五百人以上、それから二月の十六日は四百人以上、それから二月の二十三日は三百人以上と、かなりの数に上っております。先ほど申し上げたようにだんだん少なくはなってきているんですけれども、これは入院数を見ますとあんまり変わっていなくて、保健所からの依頼件数が減ってきているというような状況によるものというふうに思います。
 こうした現状、状況を見ますと介護が必要な高齢の感染者を医療機関で受け入れることが難しいというような状況が続いているというふうに思います。
 今回の第六波では、高齢者施設においてかなりのクラスターが発生をしております。介護が必要な高齢の感染者の方々への医療提供体制の逼迫といったことが大きな課題になってきているのではないかというふうに思います。
 介護が必要なために入院が難しいというのであれば、高齢者の介護、医療に対応できる臨時の医療施設のような形に、例えば高齢者施設をしていく、こういったことも必要なんじゃないかなと思います。すなわち、クラスターが発生をした高齢者施設については、酸素吸入器などの設備や治療薬、医療人材を集中的に投入するなどの、そういった取組を強化すべきというふうに思います。
 都は既に着手もされているというふうには思いますけれども、クラスターが発生をした高齢者施設に対する医療支援を強力に進めていくということが重要であると思いますけれども、都の取組について見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 今般のオミクロン株の流行におきまして、五名以上の陽性者が発生した高齢者施設は二百五十を超えているなど、施設内の感染が広がっております。
 そのため、都は、広域的に往診等を行う医療機関と連携し、これまでに延べ七十三の施設に往診等を実施いたしました。
 また、先月から、特別養護老人ホーム等への地区医師会の医療支援チームによる往診等を開始いたしまして、延べ七施設に実施するとともに、往診での中和抗体薬の投与や酸素濃縮装置の貸出しなどの取組を行っております。
 あわせて、高齢者施設での追加接種を重点的に進めておりまして、三月中旬には約九割の施設で完了する見込みでございます。

○高倉委員 先ほど入院調整本部の状況について申し上げましたけれども、これは、受入れ可能なベッドがあるにもかかわらず、介護が必要な高齢者が数多く受け入れられていないというようなことが顕著にあらわれているわけなんですね。
 昨年の第五波では、四十代あるいは五十代の感染者への対応といったことが課題になりましたけれども、今回はとりわけ、介護が必要な高齢者の医療機関の受入れといったことが、大きな課題というふうになって表面化してきているわけであります。今回の感染の特徴を踏まえるならば、介護も必要な医療施設を増強していくということが重要になってくると思います。
 一昨年、私ども都議会公明党は、このコロナ禍においてコロナ専用病院の開設を求めまして、都は二つの専用病院を開設したほか、都立病院の幾つかを事実上のコロナ専用病院というふうにもして運用したわけであります。
 今回の感染状況への対応を考えるならば、介護を必要とする高齢者の医療支援型の施設といったようなものを増強すべきというふうに考えますけれども、見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 現在、都では、重症化リスクの高い高齢者の感染拡大に適切に対応するため、先般、荒川区内の病院跡地を活用いたしまして、高齢者等医療支援型施設を開設いたしまして、国や運営を担う医療法人と連携いたしまして、理学療法士や管理栄養士を配置するなど、高齢者が安心して療養できる環境を整備いたしました。
 現在、運用している五十床の九割以上が稼働をしておりまして、医療人材の確保に引き続き努め、人工透析患者の受入れ病床も含め、順次拡大をしてまいります。
 また、多数の陽性者が発生した高齢者施設への往診や救急隊からの受入れなどに柔軟に対応することで、高齢者等医療支援型施設の機能を強化してまいります。

○高倉委員 今ご答弁をいただきましたけれども、今回の、私がちょっと指摘を申し上げたことと、それから都としての取組ということは極めて重要なことだというふうに思います。
 とりわけ、今回の第六波で非常に顕著にあらわれてきているということであるというふうに思います。やはり一回一回のそういう感染の波のそのときの対応、こうしたことを踏まえながら、今後やはり準備も含めて、戦略的にこの対応を考えていくということが重要であるというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、二月七日の知事への緊急要望におきまして、発熱等の症状があった人の診察、検査が可能な医療機関名を全て公表するように要望いたしました。
 今回の感染第六波におきまして、新規感染者が連日一万人を超えている状況の中で、発熱等の症状があった方につきましては、やはりまず知りたいと思うのは、身近で診察、検査が受けられる医療機関の情報であります。
 都民に対し、より分かりやすく情報提供できるように工夫すべきと考えますけれども、見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は昨年九月、公表に同意いたしました診療・検査医療機関のリストをホームページで公表し、十月にはこれらの医療機関情報をマップ化して掲載をいたしました。
 今般の感染急拡大に伴い、公表した一部の医療機関に患者が集中したため、本年二月二十五日から全ての診療・検査医療機関の情報を公表いたしました。
 公表に当たりましては、かかりつけ患者のみ対応する医療機関もあるため、その旨を明示するなどの工夫をいたしまして、現在、四千二百二十八機関を掲載しております。
 また、絞り込み検索機能の充実やスマートフォン用画面の新設などを行い、マップの操作性向上を図ってまいります。

○高倉委員 新型コロナ禍における経済対策について、二点、質問させていただきたいと思います。
 この長引くコロナ禍におきまして、中小企業は依然厳しい環境に置かれておりまして、さらに支援が必要であるというふうに思います。
 都は、我が党からの提唱を受けまして、中小企業が感染症対策に必要な換気設備やアクリル板などを助成する事業を実施をしております。この助成金を活用した中小企業からは、換気対策や三密回避に大変役立っているというふうな声も私どもは聞いております。
 都は、この三月末まで本事業の申請を行うこととしておりますが、厳しい状況にある中小企業をサポートしていくために、四月以降もこの助成金を延長して実施をしていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図るため、業界ごとのガイドラインに沿って、中小企業が換気設備の導入や消毒液の購入などを行う場合、必要となる経費に助成を行ってきたところでございます。
 今年の一月からは、本事業を既に活用した企業も再度の利用を可能とするほか、消耗品の購入助成について、複数の会社のグループだけではなく、一社でも申請できるよう見直しを行いました。また、コロナ対策リーダーを配置する店舗への助成額の引上げも加え、三月末まで申請を受け付けております。
 現在までに二万四千件を超える取組を支援してございまして、今後、感染状況の推移を踏まえながら、中小企業が厳しい経営環境に対応できるよう、事業の進め方を検討してまいります。

○高倉委員 それから、感染防止協力金のことでございます。これはさらなる改善が必要であると思います。
 例えば、支給不可の審査結果が出るまでに数か月を要した上で、店舗内の客席配置が不十分であったために支給対象外とされた事例がありました。申請後、都から早めに適切な事実確認や情報提供があれば、申請者は地元の保健所等に届出を行い、道路占用や営業許可の取り直しの手続を行いまして、少なくともその時点から支給対象となっていたというふうに想定される事例であります。
 実際に、そうした段取りを経て協力金の対象になった事業者があるわけでありまして、この申請者は数か月後に支給対象外の結果通知を受けたために、数か月間を遡って申請をし直すことがかなわなかったわけであります。
 こうした事例を踏まえれば、審査のスピードアップと事実確認の迅速化に取り組むことが必要と考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は、協力金に係る審査を円滑に進めることができるよう、民間の力を活用し、最大で約二千三百名が書類等のチェックを行う体制を構築し、対応を行ってまいりました。
 審査に当たりましては、業務を受託した事業者が担当者に研修を行い、制度やチェックのポイントについての十分な理解の下、実務を迅速に行うこととしております。
 今後は、申請者が協力金の支給対象となることの確認や、それを証明する書類の提出依頼に係る電話連絡などを専門に行う人員を柔軟に増やすことにより、事業者への連絡に要する期間の短縮を図ってまいります。
 こうした工夫を積み重ねることで、審査の円滑化を図り、申請者からの要望に応えてまいります。

○高倉委員 次に、高校三年生世代までの医療費無償化について質問をいたします。
 都議会公明党が提案をしてまいりました医療費の無償化について、小池都知事は、さきの都議会公明党の代表質問への答弁で、令和五年四月の開始を目指して、区市町村の準備経費等を来年度予算に計上した、今後、子供の医療費助成の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換等を実施をしていくというふうに述べられました。このことを高く評価するものであります。
 その際、区市町村の支援スキームについて提案をさせていただきましたが、その後、令和五年度から三年間、都が十分の十で区市町村を支援することを表明されました。
 今後、全ての区市町村で早期に実施することができるよう取組を進めるべきですが、福祉保健局長の答弁を求めます。

○中村福祉保健局長 高校生相当年齢を対象といたします高校生等医療費助成制度につきましては、事業の実施主体であります区市町村から早期に都の考え方を示すべきとのご意見もありまして、先週、都として基本的な枠組みを示しました。
 具体的には、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考に、都と区市町村の負担は二分の一とし、所得制限や一部負担の仕組みも導入する考えでございます。ただし、全ての区市町村で早期に実施されるよう、令和五年度からの三年間、都の負担を十分の十として区市町村を支援することとしております。
 今後、この基本的な枠組みにつきまして、区市町村長の会議等で説明いたしますとともに、区市町村のシステム改修経費の内容など、実施に当たりましての具体的な課題も含め、区市町村と意見交換を行うなど、丁寧に調整を進めてまいります。

○高倉委員 次いで、受験生チャレンジ支援貸付事業についてお伺いをしたいと思います。
 さきの本定例会の我が党の代表質問では、本事業の対象者が大きく拡大されることを踏まえて知事に答弁を求めましたが、令和四年度予算で区市町村への事務経費補助の増額を図る旨の答弁がありました。
 本事業の貸付実績数は、中学三年生と高校三年生の合計で、平成二十六年、二十七年と一万人を超えたのをピークとしまして、その後、若干ずつ下がり始め、令和二年度は七千六百四十六人と減少する傾向にございます。
 その原因には様々な要因があるものと思われますけれども、事業の対象となる学年の生徒は毎年異なることから、毎年新たに十分な周知を図る必要があるわけであります。
 この事業では、区市町村の職員の方々に窓口対応をしていただいております。今回、対象者数で約五倍もの拡大を図ることになりますが、区市町村の職員の方々には、今まで以上に意欲的に周知に取り組んでいただけるようにすることが大事なポイントでございます。
 本事業に係る区市町村の事務事業経費への補助は、福祉保健局からの区市町村に向けた包括補助に含められております。しかし、令和四年度には一挙に五倍もの対象拡大を図ることになります。
 したがいまして、この際、包括補助ではなく、別枠での区市町村への事務経費補助とすべきというふうに考えます。補助の拡大の中身と併せて、福祉保健局長の見解を求めます。

○中村福祉保健局長 来年度、受験生チャレンジ支援貸付事業の収入要件の見直しに伴いまして、申請の大幅な増加が見込まれるため、受付窓口となる区市町村の負担も大きくなることが想定されております。
 そのため、都では、区市町村の窓口経費に対する補助につきまして、体制整備に係る基礎基準額を引き上げるとともに、貸付件数に応じた加算区分を見直すことにより、補助内容を拡充いたします。
 あわせて、これまでの包括補助から単独の補助事業とすることといたしまして、必要な経費を確保いたします。

○高倉委員 次いで、医療的ケア児の通学費の支援についてお伺いします。
 都議会公明党は、医療的ケア児専用通学車両の運行開始から拡充まで一貫して推進をしてまいりました。
 都立肢体不自由特別支援学校では、医療的ケア児の専用通学車両を運行しておりますが、入学後に乗車できるまで、保護者が付き添って通学することが求められているわけであります。
 医療的ケア児の保護者からは、乗車できるようになるまでの間、学校への付添いに必要となる費用につきまして、負担軽減を求める要望を私どもは受けてまいりました。
 我が党は、令和三年第四回定例会におきまして、保護者が負担している福祉タクシーを利用した際の通学費について支援を求めましたところ、通学費の支援を検討するという考え方が明らかにされております。
 今後の取組について見解を求めます。

○藤田教育長 現在、医療的ケアの内容などについて、保護者から学校への引継ぎが完了するまでの間は、保護者の付添いによる通学をお願いしているところでございます。
 来年度からは、専用通学車両に乗車できるようになるまでの間、福祉タクシー等を利用した場合につきましても通学費の支援対象とすることで、医療的ケア児の通学手段の適切な確保と保護者負担の軽減を図ってまいります。

○高倉委員 次いで、ケアリーバーについて質問させていただきます。
 虐待や貧困などで保護をされまして、児童養護施設や里親家庭で暮らす子供や若者が、施設などを離れて、いわゆるケアリーバーとして自立へのスタートした後に、孤立や困窮に陥るケースが少なくありません。
 国が保護年齢の上限十八歳の措置を撤廃しまして、個別の判断で支援が継続できるよう進める中で、都は、施設職員などがケアリーバーのサポートができるように、そして安定した生活を送れるように、令和四年度より家賃支援を行うとしたことを評価いたします。
 しかし、様々に心配なところがあります。この家賃支援事業は、施設退所後一年間の支援施策となっておりますが、都が行った実態アンケート調査の結果、施設退所後の就業継続期間が一年未満だったというケースは四三%、一年から三年未満が四五%となっております。これは、約九割の方が施設退所後三年未満に不安定な生活に陥ったであろうということを示しているわけであります。
 また、アンケートに答えてくれた人は約二割という状況でありまして、実態はもっと深刻な可能性があります。そのため、支援期間が一年ということであれば、四割の方々への支援となりますが、三年の期間に延ばせば、九割のケアリーバーの自立支援のセーフティーネットとなるわけであります。
 都は、家賃補助の期間を一年ではなく三年に延長していくことを前提に、この政策をスタートすべきと考えますけれども、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 都は来年度から、施設退所者等へのアフターケアを強化するため、十八歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に必要な経費を支援することとしておりまして、なるべく早期に自立を図るため、支援対象期間を一年としております。
 事業の実施に当たりまして、ケアリーバーが自立後に離職するなど困難な状況に陥った場合に対応できるよう、今後の状況も踏まえながら、柔軟な運用を検討してまいります。

○高倉委員 ただいま答弁で、柔軟な運用というお答えがありました。補助の期間をしっかり延ばしていくというような意味での柔軟な運用という答弁というふうに受け止めさせていただきましたので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次いで、医療施策についてですが、重粒子線の治療についてお伺いしたいと思います。
 都議会公明党は、昨年の定例会におきまして、都立病院への重粒子線治療の導入を重ねて求めてまいりました。
 重粒子線治療は、二人に一人ががんになる時代に、患者の体への負担を極力減らし、仕事と治療の両立が可能になる治療であります。
 しかしながら、都内にはまだ施設がないために、都立病院での導入が必要であるというふうに考えているわけであります。
 ただ、重粒子線治療は保険適用が限られるといったことが課題であったわけであります。
 そうした中で、今年四月の診療報酬改定では、四年ぶりに重粒子線治療を含む粒子線治療の保険適用の対象となる疾患の範囲が拡大をされましたけれども、具体的内容について明らかにしていただきたいと思います。

○西山病院経営本部長 令和四年度診療報酬改定に向けた先進医療の保険導入等の議論を経まして、重粒子線治療の保険適用の対象となる疾患には、新たに手術による根治的な治療法が困難な肝細胞がん、肝内胆管がん、局所進行性膵がん、局所大腸がん、局所進行性子宮頸部腺がんの五つの疾患が加えられました。
 保険が適用されることにより、高額療養費制度の利用も可能となるため、患者の経済的負担が大きく軽減されることに加えまして、患者の治療の選択肢が広がると認識してございます。

○高倉委員 今、答弁で、保険適用になった五つのがんの紹介がありました。さっと答弁されましたので、なかなか分からないと思います。ちょっとこちらにしてみました。(パネルを示す)下の青いのが、すみません、見えなくて申し訳ないんですが、これが従来の保険の適用、上の赤い五つが今回新たに保険の適用になったというようなことでございまして、かなり保険適用が広がったのではないかというふうに思います。これによって、これまで治療を諦めざるを得なかったといった患者の皆さんにとりましては、大変な朗報ではないかなと思います。
 さきの定例会で、知事は、我が党の代表質問に対しまして、重粒子線治療の事業採算性等の検証を含め、最新のがん対策について検討していくとされました。
 これを踏まえて、令和四年度予算案に、都立病院における最先端がん治療の方向性に関する調査費三千万円が計上されています。本年七月に設立される方向になっている東京都立病院機構に対し、都から交付するということであるというふうに思いますが、来年度、具体的にどのように検討を進めていくのでしょうか。
 本調査は、東京都立病院機構で検討するスキームとなっておりますが、都のがん対策推進計画等との整合性を図る必要もありまして、都がしっかりと関与していくことも必要である点を指摘しておきたいと思います。
 また、重粒子線治療は、採算性だけではなく、体を傷つけない、すなわち低侵襲というふうに呼びますけれども、働きながら治療ができるといったようなことで、患者の体への負担の軽減という面もあります。
 最先端がん治療の方向性を検討する際には、こうした側面も十分に検討すべきと考えますけれども、併せて都の見解を求めます。

○西山病院経営本部長 独法化後の東京都立病院機構に継承される調査検討に当たり、重粒子線治療につきましては、他府県の状況や診療報酬改定等を踏まえた患者数の推計、必要な施設規模等を考慮して採算性の検証を行うとともに、専門人材の必要数、施設の立地等についても検討してまいります。
 さらに、がん治療における手術療法、薬物療法、放射線療法の三つの療法及び現在研究中の最先端がん治療について、低侵襲性や生存率の低い疾患への対応などの観点からも検証してまいります。
 こうした検証に取り組むことで、患者の視点に立ちながら、最先端がん治療の方向性を検討してまいります。

○高倉委員 先ほどパネルで紹介しましたけれども、今回新たに保険適用となった中での、その中の膵臓がんです。これは他の疾患に比べまして、極端に生存率が低いということでも知られております。こうした難治性のがんに対しまして、保険診療として重粒子線治療を利用できるようになったことは極めて重要であるというふうに思います。
 今、答弁がありましたこの調査を通じて、重粒子線治療の導入に向け、着実に検討を進めることを強く要望しておきたいと思います。
 次に、救急医療、災害医療について質問させていただきたいと思います。
 私は、災害時も含めた医療支援、これは救急医療、災害医療もそうですけれども、これについては、陸上からだけではなくて、空や海からの支援が大変重要であるというふうに考えてまいりました。
 都議会公明党は、令和元年第四回定例会で、ドクターヘリの導入を提案してまいりました。既に東京都には、東京型ドクターヘリというのがあるのは承知をしておりますけれども、これは今全国に展開をされているドクターヘリのことでありまして、小型で短時間の離陸など機動性が高いヘリであります。しかも、この同様のヘリを近隣県は導入しておりまして、いざというときの相互協力といったことも可能であります。
 今、このドクターヘリは、残すところあと東京と、それから香川だったでしょうか、二つになっておりまして、いよいよ東京都もドクターヘリの運航が目前に迫ってきているわけであります。
 まず、ドクターヘリの運航開始に当たりまして、知事のご決意をお伺いしたいと思います。

○小池知事 重篤な患者に一刻も早く適切な医療を提供できる救急医療体制を構築することが重要であります。
 このため、都は、短時間での離陸など機動力が高い小型ヘリを活用しましたドクターヘリを導入しまして、救急医療の効率的な提供を実現することといたしまして、今年の三月三十一日からの運航の開始となります。
 今後とも、近隣県と連携を図りながら、都民の安全・安心の確保に向けまして、救急医療体制の機能強化に取り組んでまいります。

○高倉委員 いよいよこの三月三十一日から運航が開始をされるわけであります。既にテスト飛行等も行われておりまして、都民の安全・安心がより一層確保されるものというふうに期待をしております。
 そこで、東京都が、このドクターヘリ導入に取り組んできたことなど、ドクターヘリの概要について答弁をお願いしたいと思います。

○中村福祉保健局長 ドクターヘリは、医師がヘリコプターに搭乗して速やかに患者の元に行き、現場や機内で必要な治療を行いながら医療機関に搬送するものであります。
 都は、ドクターヘリの基地病院に杏林大学医学部附属病院を選定するほか、協力病院に東京医科大学八王子医療センターと都立多摩総合医療センターを選定し、医師、看護師が常駐して迅速に出動できるよう、多摩航空センターに発信基地を整備いたしました。
 また、救急車と合流し、患者を引き継ぐランデブーポイントを九十九か所確保いたしまして、現在、様々な場面を想定した訓練を重ねております。
 今後とも、ドクターヘリの有用性が高まるよう、基地病院、運航会社、自衛隊、消防機関などとの連携を密にして取り組んでまいります。

○高倉委員 今、患者を引き継ぐランデブーポイントについては九十九か所確保しているということでありまして、大きな効果、役割を果たしていただけるのではないかというふうに期待をいたします。
 次いで、先ほど空と海と申し上げましたけれども、海の方のお話をちょっとさせていただきたいと思います。海からの医療支援ということになります。
 私は、国会にある議員連盟、議連がありまして、そこに協力をする形で、日本に病院船を導入する取組といったことを後押しさせていただいております。これまで東京都も協力をしていただきまして、東京港で民間船や自衛隊の護衛艦を使いまして、実証実験がこれまで二度行われてきております。
 また、その議連の招きで東京港に寄港しましたアメリカの海軍の、米海軍の病院船「マーシー」といったものも東京港に寄港しておりまして、私も艦内を見学させていただきました。国においては、もう今既に法整備も進められているところでございます。
 そうした動きの一環としまして、東京二〇二〇大会が開催をされました際に、東京ベイエリアにおきまして、陸上での救急搬送が困難となった場合に対応するために、救急艇を使用して、会場近辺から救急医療機関を結ぶ傷病者の搬送活動が、医師と救急救命士同乗で実施をされました。
 この取組は、東京消防庁と協定を締結しました民間団体であります公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナルと、日本救急医学会の諸大学の関係者が行った救急艇の社会実験でありまして、実施前の昨年第一回定例会での都議会公明党の本会議質問に対しまして、消防総監は、傷病者の搬送体制の多様化を図る上で大変有効であると答弁をされております。
 そして、昨年の取組に対して、消防総監からは、同団体の取組に対して感謝状も贈られているわけであります。
 コロナ禍の緊急事態宣言で、オリンピック・パラリンピックのときは無観客となりましたので、搬送実績はありませんでしたけれども、こうした初めての取組となりまして、今後の救急艇の実装といったことに大きな期待も寄せられているわけであります。
 多様な救急搬送手段として、このような取組を東京消防庁は今後も積極的に進めていくべきと考えますけれども、消防総監の見解を求めます。

○清水消防総監 災害等により多数の傷病者が発生し、救急車が不足する場合や、陸路が寸断された場合に迅速に医療機関へ搬送するためには、搬送体制の多様化が重要でございます。
 このため、東京消防庁では、東京二〇二〇大会開催期間中の災害に備え、医師等の医療従事者が同乗する民間船舶を有する団体と初めて協定を締結し、傷病者の搬送体制を強化いたしました。
 開催期間中、搬送実績はありませんでしたが、事前訓練等を通じて、民間船舶による搬送について課題も見えたものの、価値のある知見を得ることができました。
 今後も、震災等の大規模災害の発生に備え、民間団体や関係各機関と連携するなど、傷病者の搬送体制の充実強化に努めてまいります。

○高倉委員 医療施策のことでもう一点、国民健康保険についてお伺いしたいと思います。
 都が昨年十一月に示した仮係数に基づく令和四年度の納付金算定結果では、一人当たり保険料の伸びが、前年度と比較しまして九・四%の増とされまして、我が党は令和三年第四回定例会において、都民の保険料負担を軽減するための対策を早急に検討すべきと求めました。
 また、私ども公明党の竹谷とし子参議院議員が厚生労働委員会に所属をしておりまして、竹谷とし子議員は都議会公明党と連携をしまして、今回の保険料の負担軽減について、国への働きかけもしてきたところであります。
 今年二月の都の国保の協議会におきまして公表されました確定係数での算定結果では、一人当たり保険料の伸びは前年度比六・二%となりまして、仮係数と比較をして約三%伸びが抑えられましたが、令和三年第四回定例会での質疑も踏まえ、確定係数における算定をどう行ったのか、見解をお伺いします。

○中村福祉保健局長 国民健康保険制度では、都道府県は、一人当たり医療費の伸び等を推計し、保険給付の必要総額から国や都の公費を差し引いて区市町村の納付金総額等を算出することとされております。
 都が先月公表した確定係数の算定では、昨年十一月の仮算定から一人当たり医療費の推計を直近の実績を踏まえて補正し、給付費総額を算出しております。
 また、診療報酬改定分としてマイナス〇・九四%を反映したほか、国からは、一人当たり介護納付金と後期高齢者支援金が減額になることが示されております。
 こうしたことなどから、仮算定から納付金総額は約八十三億円減少し、一人当たり保険料額は、前年度比六・二%の伸びとなったものでございます。

○高倉委員 医療費が急激に増加しますと翌年度の保険料が上昇しまして、加入者の負担も大きくなるほか、国保財政の不安定要因にもなります。
 都の財政安定化基金には、新たに納付金の急激な上昇を抑える財政調整の機能が付加されることになりました。今後、区市町村と協議をしまして、有効に活用されるよう要望をいたしておきます。
 次に、環境の施策についてお伺いしたいと思います。
 二〇三〇年のカーボンハーフの達成に向けましては、都庁率先の行動が重要でありまして、「未来の東京」戦略では、都有施設のゼロエミッション化が明記をされておりまして、意欲的な取組と評価をいたしております。
 省エネや再エネの進展は、人類共通ともいえる大事な基本方針でありますけれども、その一方で、何事にも総論賛成、各論反対といった壁が付きまとうわけであります。
 都有施設のゼロエミッション化でも、実際に建造物の発注が行われる際には、必要な経費や手間暇などが敬遠されまして、せっかく民間から有益な省エネ提案があっても実現に結びつかないといったおそれがあるわけであります。
 設備設計を担う事業者団体からは、ある自治体の例としまして、新たな省エネの取組について、その財源として国の補助金の活用を提案してみましたが、補助金申請すら試みられることなく、経費が膨らむからといってスルーをされてしまい、省エネの取組も実現しなかったといった嘆きの声も聞かれたわけであります。
 カーボンハーフという高い目標を掲げる小池知事の下、まずは都庁が一丸となって、強い意志を持って、率先して取り組むマインドへの転換を図る必要があります。
 既存施設を含め、都有施設の再エネ、省エネ化を徹底的に進めるべきと考えますけれども、知事のご決意をお伺いします。

○小池知事 二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには、多くのエネルギーを消費する都自身が、隗より始めよの意識の下で、温室効果ガス削減などの取組を一層強化していくことは重要です。
 このため、都は、昨年三月に策定いたしましたゼロエミッション都庁行動計画におきまして、再エネ電気の利用促進や省エネ、再エネ設備等の率先導入を掲げております。
 また、今般、太陽光発電設備の設置目標の大幅な引上げ、そして、とちょう電力プランのさらなる対象拡大を図るなど、都有施設のゼロエミッション化を推し進めております。
 タイム・ツー・アクトと申し上げております。都庁自身、今こそ行動を加速させるとき、強い危機感を持って、全庁を挙げて脱炭素行動を進めて、都民、企業、行政等あらゆる主体の取組を牽引してまいります。

○高倉委員 今、知事から、都有施設のゼロエミッション化に向けましての力強い答弁がありました。
 そこで、具体論になります。「未来の東京」戦略にもあるとおり、都有施設の新築や改築に際しての省エネや再エネの取組の基本形は、財務局が定める省エネ・再エネ東京仕様を基に立案をされます。
 カーボンハーフというのは大変高い目標でありまして、現状の省エネ技術を単に集めて駆使するだけでは、カーボンの三割減ぐらいが精いっぱいではというふうに危惧する専門家の声もあります。今までにないレベルに挑戦するには、それに見合う省エネ・再エネ東京仕様のバージョンアップを急ぎ、その徹底した励行を図るべきと考えます。
 民間企業からは、かつて省エネ・再エネ東京仕様に記載のある取組を都のある部門に提案をしたところ、そんな予算は組んでいない、そこまでやる必要はないと軽く一蹴されてしまったという話もお伺いをいたしました。
 そこで、都有施設のゼロエミッションビル化を達成するため、まずは、導入すべき高いレベルを標準仕様としまして、新たな省エネ・再エネ東京仕様を早期に定めるべきと考えます。その際、民間の最新の再エネ、省エネ技術提案を積極的に取り入れるべきと考えます。
 加えて、新たな省エネ・再エネ東京仕様の実現に向け、都庁各局が意欲的に取り組める財源対策も講じるべきと思います。
 以上を踏まえ、省エネ・再エネ東京仕様を改定する狙いを各局に強く徹底すべきと考えますけれども、併せて見解をお伺いします。

○吉村財務局長 都有施設の新築、改築等の際には、標準的に導入する技術を定めました省エネ・再エネ東京仕様を適用し、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化に取り組んでまいりました。
 ゼロエミッションビル達成のためには、さらなる環境負荷低減を図る必要があることから、東京仕様を見直し、より省エネ化が見込める新たな技術などを反映するとともに、策定中の主要施設十か年維持更新計画においても環境対策に係る費用を見込んでまいります。
 改定した東京仕様の活用を各局へ徹底し、一層の省エネルギー化と多様な再生可能エネルギーの利用の推進を図り、都有施設のゼロエミッションビル化に取り組んでまいります。

○高倉委員 次いで、燃料電池バスの導入拡大について質問いたします。
 燃料電池車両の導入は、都内CO2排出量の約二割を占める運輸部門の脱炭素化にも大きく貢献できることから、都として特に力を入れていくべきと考えます。
 軽量で省スペースな水素タンクを積む燃料電池車両は、輸送量を確保しやすいために、大型で長距離を走行する車両に適しておりまして、既に都内で九十三台が走行しております。
 しかし、約一億円という高額な車両価格に加えまして、コロナ禍の影響による乗客の減少でバス事業者の経営状況が悪化をしまして、新たな燃料電池バスの導入が難しい状況であります。
 都は、来年度予算案で燃料電池バス導入補助の予算を大幅に拡充しておりますが、他の水素関連の補助では、必ずしも執行率が十分とはいえない事業もあることから、都は、燃料電池バスのさらなる導入拡大に向け、これまで以上に事業者の意欲を高める工夫を講じていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○栗岡環境局長 都はこれまで、バス事業者に対し導入費用を軽減する支援を行ってまいりましたが、車両価格が高いことや営業所の周囲に水素ステーションがないことなどの課題もあり、さらなる導入を逡巡する事業者も多うございます。
 このため、都は来年度新たに、バス事業者等が五年で五台以上の導入計画を提出する場合や、営業所等に水素ステーションを整備する場合、国と合わせて約八千万円の従来の補助に、都単独で最大二千万円を上乗せし、バス導入経費の自己負担分をおおむねゼロにしてまいります。
 また、バス対応水素ステーションの整備促進のため、補助上限額を引き上げ、自己負担をなくすことで事業者の導入意欲をさらに高めてまいります。
 こうした施策を一気に推し進め、燃料電池バスの大幅な導入を図り、運輸部門の脱炭素化を進めてまいります。

○高倉委員 それでは、次に、今年創設をされる方向になっております同性パートナーシップ制度−−同性というよりは、今回はパートナーシップ制度ということで、さらに少し広い制度になるというふうに思います。これについてお伺いしたいと思います。
 性的マイノリティーの当事者の方々から強い要望が寄せられてきた同性パートナーシップ制度につきまして、都議会公明党は繰り返し創設を訴えまして、昨年第二回定例会では、私や同僚議員が紹介議員となった制度導入を求める請願が全会一致で趣旨採択されております。
 令和四年度に制度を創設するとしまして、都はこのほど素案を示しました。その素案策定に当たりまして、性的マイノリティー当事者の思いをどう制度に込め、制度構築によって目指す都市の姿をどうされるのか、知事のご所見をお伺いしたいと思います。

○小池知事 インクルーシブシティ東京の実現に向けまして、性的マイノリティーの方々が自分らしく暮らせる環境づくりにつながるように、素案の策定に当たりましては、様々な観点からの検討を行いました。
 まず、対象者でありますが、近隣県からの通勤、通学者が多いこともございまして、そういう東京の実態を踏まえて、都民のみならず、在勤、在学の方も対象としたところであります。
 また、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策に万全を期すということから、当事者のデジタル環境が整っていない場合などを除きまして、手続をオンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入をいたします。
 加えまして、証明書発行後もメール等によりまして、都の施策に関する情報提供を行うとともに、生活上の困り事を伺うなど、つながりを持ち続けられる制度といたします。
 現在実施しているパブリックコメントなどを踏まえまして、今年の秋の運用開始に向けて制度を構築し、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現を目指してまいります。

○高倉委員 そこで、この同性パートナーシップ制度の導入に合わせて取り組んでいただきたいという課題についてお伺いしていきたいというふうに思います。
 ちょっとこのパネルをご覧いただきたいと思います。これは、都の職員の方々の福利厚生の、そういった待遇の今の状況でございます。
 これを見ていただくと分かりますように、同性パートナーの方については介護休暇のみ、これは二〇二一年の一月だったかと思いますが、同居家族のみ対象になったということで、これは三角にしてありますけれども、一歩前進が見られたわけですが、まだまだこれからなんですね。
 私は、東京都の条例、規則、例規集を調べてみました。その中に、本文中に配偶者という文言があるものが一体どれぐらいあるのかというふうに調べてみましたところ、百八十本以上あります。まあもちろん、それが全て何らかの改善が求められるというものではないかもしれませんけれども。
 このパートナーシップ制度を導入した際に、今回の素案でも、民間の事業者に対して、やはり様々な呼びかけをする内容を盛り込まれておりましたけれども、その前提となるのは、やはり隗より始めよで、東京都自らがしっかり取り組んでいくということが必要であると思います。
 そこでまず、この制度創設に向けて、都庁自らが取り組んでいく取組としまして、同性パートナー職員の処遇について改善を図るべきと思いますけれども、見解を伺います。

○村松総務局長 都職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できますよう、職場環境を整備することは重要でございます。
 そのため、都は、パートナー関係にある性的マイノリティーの職員に対する福利厚生制度等の適用に関しまして、国や他団体の状況等を注視しつつ、根拠となる法令との整合性について整理を進めてまいりました。
 今後、今回策定いたしました東京都パートナーシップ宣誓制度の素案も踏まえ、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則や、福利厚生制度の目的、趣旨を考慮しつつ、受理証明書の活用を含め、具体的な見直しを検討してまいります。

○高倉委員 今、具体的な見直しを検討するというご答弁がありました。しっかりお願いしたいと思います。
 先ほど例規集の百八十本以上に配偶者という文言があると申し上げましたけれども、その多くは、こうした、職員の方に関わる、そうした規定になっておりますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一つ、これは東京都職員のことではありませんけれども、都が実施をしている都民サービスにつながる様々な事業、これについても一つ一つ、やはりこのパートナーシップ制度の創設に合わせて改善を検討していくということが必要だと思いますけれども、これについての見解を求めます。

○村松総務局長 パートナーシップ宣誓制度の目的の一つでございます性的マイノリティー当事者の困り事の軽減など、暮らしやすい環境づくりにつなげるためには、都の行政サービスにおいて受理証明書の活用を図っていくことが必要でございます。
 このため、当事者からのニーズが高い、住宅や医療等の分野をはじめとした行政サービスについて、国の法令により対象者が規定されているもの等を除き、幅広く証明書が活用できるよう検討しているところでございます。
 これまで各局とは、それぞれの所管事業における受理証明書の活用や実施に当たっての課題整理など、検討を進めております。
 今後も引き続き、各局と精力的に調整を図ってまいります。

○高倉委員 これはぜひ、都の事業をしっかり調べて検討していただきたいと思います。各局にそれぞれまたがっているものもあるかと思います。ちょっと局の方に聞いてみたいというふうにも思ったんですけれども、ちょっと今日は時間がありませんので。
 先ほど答弁で住宅のことがございました。私どもも、特にこの都営住宅の入居について改善を図っていくべきということを申し上げてまいりましたけれども、このことについてだけ答弁を今日、求めておきたいと思います。

○榎本住宅政策本部長 パートナーシップ宣誓制度導入の趣旨を踏まえまして、都営住宅への入居に当たりましても受理証明書が活用できるようにすることが必要でございます。
 このため、都は現在、同様の制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法等について調査を行っております。
 今後、こうした調査の結果やパートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえまして、関係局と連携を図りながら、パートナー関係にある性的マイノリティーの方々が証明書を活用して、都営住宅への入居が可能となるよう、管理制度等における取扱いについて検討を進めてまいります。

○高倉委員 このパートナーシップ制度について、最後に、今日、都庁職員のことをお聞きしましたけれども、都庁グループであります政策連携団体の職員についても、私は改善を図っていくべきであるというふうに考えます。
 このことについて答弁を求めたいと思います。

○村松総務局長 都庁グループの一員でございます政策連携団体におきましても、多様な性に関する職員の理解を促進し、性的マイノリティーの当事者を含めた職員一人一人の人権が尊重されることが重要でございます。
 このため、都は政策連携団体に対して、パートナーシップ宣誓制度の意義等について十分な周知を行い、職員の意識向上を図るとともに、都における福利厚生制度の見直しの状況も踏まえながら、団体の制度整備を促してまいります。

○高倉委員 今、ずっと聞いてまいりましたけれども、それぞれしっかり検討していくということでありますので、制度創設に合わせて改善が図られるようによろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、スポーツのことについてお伺いをしたいと思います。
 東京二〇二〇大会のレガシーという観点で、パラアスリートの競技力向上と被災地支援の取組といったことについてお伺いしたいと思います。
 東京二〇二〇パラリンピックには、東京ゆかりの選手が六十二名出場しまして、多数のメダルを獲得しました。これは選手たちが目標に向かって諦めずに、たゆまぬ努力を重ねてきたことの証左にほかなりません。
 大会の成果が実感される今、それを今後のパラスポーツの振興につなげていくためにも、東京ゆかりの選手が世界の舞台で活躍し続けることが重要であります。
 そのためには、大会の開催を契機に、アスリートの国内外の大会参加に伴う費用をしっかりと支援していくべきであります。
 パラアスリートの大会参加には、同行スタッフや競技アシスタントの費用がかかります。こうした費用の支援を都で実施していただきたいと思いますけれども、見解を求めます。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇大会後も、一層パラスポーツを盛り上げていくためには、世界を目指すアスリートの活躍を支援していくことは重要でございます。
 都はこれまで、国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手に対して、競技用具等の購入、修繕費に加え、海外遠征費等、選手の競技力向上に資する活動に対して支援を実施してまいりました。
 来年度はこれに加えまして、パラスポーツにおいて必要不可欠なガイドランナーや競技アシスタントなど、選手を支えるスタッフに対しても、国内外の大会参加等に伴う経費を支援してまいります。
 こうした取組を通じて、国際大会で活躍する東京ゆかりの選手の競技力向上を後押ししてまいります。

○高倉委員 来年度から、視覚障害のある選手をゴールまで誘導するガイドランナー等、選手を支えるスタッフに対しても経費を支援するということでありました。
 大会後もパラスポーツを一層普及させていくためには、アスリートを支えるスタッフの支援も重要であります。こうしたスタッフの方の活動にも光を当てて、パラスポーツを多くの方に知っていただく取組を推進するよう要望しておきたいと思います。
 次いで、スポーツを通じた被災地支援についてでございます。
 東日本大震災から十年の節目となる昨年開催された東京二〇二〇大会では、支援をいただいた世界中の方々に感謝の気持ちを伝える絶好の機会になりました。
 また、東京二〇二〇大会成功に向け、都と被災県が手を携えて行ってきた多くの取組は、都民と被災県民の絆を生みました。
 都議会公明党は、開催前にも毎年、そして大会後の昨年の第四回定例会代表質問においても、改めて被災地に寄り添いながら被災地支援を推進していくことの重要性を指摘し続けてきました。
 復興オリンピック・パラリンピックのレガシーを着実に残していくためにも、今後、スポーツを通じた被災地支援を継続していくべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、東日本大震災直後から、スポーツの持つ力で被災地の復興を後押ししてまいりました。
 具体的には、被災地の子供たちを東京に招待し、東京の子供たちと交流試合を行うスポーツ交流事業や、東京マラソン十キロの部への被災県高校生の招待など、様々な事業を実施してまいりました。
 来年度からは、被災県と連携し、復興の進む東北をフィールドに、都民と被災県の方々が現地でスポーツ交流をする事業を展開してまいります。
 また、大会一周年の機会を捉えて実施する記念事業に被災地の子供たちを招待し、大会の感動や記憶を共有することなどによりまして、今後とも、都と被災地との交流を一層深め、その絆を未来に継承してまいります。

○高倉委員 復興オリンピック・パラリンピックという一つの節目を迎えましたが、東北を舞台にした取組や一周年記念事業などを通じて、これまで育んできた都民と被災地の方々との絆をより確かなものにしていただきたいと思います。
 今後とも、そして、被災地に寄り添いながら、スポーツを通じた被災地支援事業を推進されることを強く求めます。
 次に、動物施策についてお伺いしたいと思います。
 我が家には、二十歳になる保護猫が一匹おりまして、今日も朝、元気にしておりました。
 都議会公明党は、犬や猫など動物の命を守るために、保護機能つきの動物愛護センターを整備するよう求めてまいりました。
 都は、令和四年度予算案に、新たなセンター整備に向けて専門的な検討を進める経費を盛り込みました。
 新たなセンターを早期に実現をすべきであり、また、けがや病気の動物たちを保護するためには、シェルター機能のついた施設を実現する必要がございます。センター整備の実現に向けた取組について見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、人と動物との調和の取れた共生社会を実現するため、普及啓発や動物譲渡の取組などを進めておりまして、動物愛護相談センターは、その中核を担う施設でございます。
 センターの整備に当たりましては、必要な機能の確保や利便性、業務の効率性などを勘案するほか、より親しみやすく、身近なものとして、動物愛護の取組を都民と共に推進するための施設とすることが重要でございます。
 来年度は、ボランティアや獣医学の専門家等で構成する委員会を新たに設置いたしまして、施設像や機能を具体的に検討することとしておりまして、検討結果は、センターを動物との共生を推進する拠点として整備するために活用してまいります。

○高倉委員 ぜひ早急に推進をしていただきたいと思います。
 動物保護の取組の中で、動物への虐待を防いでいくことは命を大切にする取組として重要であります。
 しかし、動物は生き物というよりも、物として扱われているために、所有権が保護の壁になっております。
 動物への直接の虐待は許されるものではなく、根絶していかなければなりませんけれども、結果として虐待となっているようなケースについても、持ち主の所有権が壁になって適切な対応が取れない場合がございます。
 動物の緊急一時保護、所有権の一時的な停止を可能とするような取組が必要ではないかと考えておりまして、そのためには、私は条例による対応も検討していくべきというふうに思います。
 動物の不適正な飼育、虐待を早期に解決するための取組について見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 現在、不適正な飼養管理が行われている動物を自治体が保護できる法の規定がなく、飼い主が所有権を放棄する必要があるため、都は昨年五月、九都県市首脳会議を通じまして、必要な法整備を行うことを国に要望いたしました。
 また、不適正な飼養に関する情報を最初に探知することが多い区市町村にリーフレットを配布し、早期発見への協力を依頼するとともに、解決が困難な事例について情報交換をしております。
 今後、動物の不適正な飼養を早期に解決できるよう、区市町村と共に事例を検証し、関係機関の円滑な情報共有について検討してまいります。

○高倉委員 動物への虐待、あるいは病気やけがをした動物を一時的にでも保護するには、保護施設、シェルターが必要でありまして、動物の医療、獣医療との連携というのは不可欠であります。
 昨年、都議会公明党は、都内の日本獣医生命科学大学を訪問いたしまして、シェルターメディシンという専門的な獣医療や法獣医学の重要性を認識してまいりました。
 この大学には、動物医療センターという非常に立派なものがありました。先ほど重粒子線のお話をしましたけど、ここは動物の重粒子線の治療装置があったんです。驚きました。
 また、使っていない校舎で動物保護をするための、そういう準備を既にしておりました。大学ですから、しかも獣医系の大学ですから、学生さんもたくさんいて、ふだんから動物もたくさんいて、動物がここに来るということについては、そんなに抵抗感がないとおっしゃっていまして、こういうところとしっかり連携をしていくということは、動物の命を大切にしていく上でも、私はとても重要ではないかなと思うんです。
 今後、東京都としまして、動物施策を進めていくに当たって、このシェルターメディシンの考え方を積極的に取り入れていくということが重要であるというふうに思います。
 また、法獣医学では、例えば警察から届けられる動物の遺体の状況を見て、虐待の有無などを判断して、そのデータを集めていく、積み重ねていくことによって、今後どういうふうに虐待防止に取り組んでいったらいいか、こういったこともまた明らかになってくるわけであります。
 様々な面で大きなメリットがあるというふうに思いますが、都の動物施策に、こうした獣医学の専門分野の十分な取り入れを図っていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 引取り収容した動物の飼養管理に当たりましては、動物福祉を考慮する必要があることから、動物愛護相談センターでは、獣医系大学の専門家にご助言いただき、適切な健康管理や問題行動への対応などを行っております。
 また、大学から講師の派遣を受け、災害時における動物の救護等についてのシンポジウムを開催しております。
 今後とも、獣医学の専門家と連携し、その知見を踏まえながら動物愛護施策を推進してまいります。

○高倉委員 今日は、様々な角度から、令和四年度予算案の内容をはじめ、都政の課題について質問をさせていただきました。前向きなご答弁も数多くいただいたところでありまして、ぜひとも積極的に取り組んでいただきまして、都政を前へ進めていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。(拍手)

○小磯(善)副委員長 高倉良生理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後七時三十四分休憩

ページ先頭に戻る