予算特別委員会速記録第二号

   午後三時四十六分開議
○福島副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 後藤なみ理事の発言を許します。

○後藤委員 質疑に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復をご祈念申し上げるとともに、医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーの皆様には心から敬意を表するものです。
 世界各国による軍事行動回避の呼びかけもむなしく、ロシアによるウクライナへの侵攻が現実のものとなりました。民間人や原発施設への攻撃も続いており、国際法違反の観点からも、人道支援の観点からも、断じて許されるものではありません。こうした事態に強い抗議の決意を込めて、本日この議場にいる都民ファーストの会の全ての議員がこのウクライナの国旗のバッジを胸につけて、参加をしております。
 改めて、ロシアのウクライナ侵攻に対し強く抗議するとともに、ウクライナの人々の安全を守るため、国に対し人道的な対応を求めてまいります。
 さて、新型コロナウイルス感染症との闘いも二年以上が経過し、都はこの間、都民、事業者を守るため、全国に先駆けて感染拡大防止協力金を創設し、そして医療体制の強化など、都度必要な対策を切れ目なく講じてきました。今なお続くコロナ禍、さらにはウクライナ情勢の影響による原油高等への対応など、不測の事態に対応するのはもちろんのこと、世界の金融投資残高の四分の一を占めるまでに急拡大をしているESG投資の流れなど、世界の潮流も踏まえ、「未来の東京」戦略ビジョンに掲げる政策を進めていくに当たって、いま一度、この都財政の現在地を確認する必要があると考えます。
 そこで、改めて、令和四年度予算編成を終えた現時点での都の財政環境に対する認識を知事に伺いたいと思います。

○小池知事 まず、足元の税収でございますが、回復をしておりますものの、感染症による影響に加えまして、ご指摘の緊迫する国際情勢による経済活動への悪影響など、我が国の景気は様々な下振れリスクがあります。よって、今後の税収動向は楽観できない状況にあると認識しております。
 一方で、コロナ対策や原油高対策はもとより、激甚化する自然災害への備え、そして熾烈な世界の都市間競争に勝ち抜くための成長戦略の展開など、現下の都政は様々な課題も抱えております。
 そのため、令和四年度予算においては、今後の財政環境の変化にも対応し得るように、財政調整基金など、基金全体で約一兆円の残高を確保する。それとともに、今ございましたESG債ですね、こちらの発行規模を維持しながら都債の発行を抑制するなど、将来に向けた財政対応力を強化してまいります。
 また、限られた財源で都政の諸課題に的確に対応するために、評価制度のブラッシュアップを行いまして、施策の新陳代謝にも積極的に取り組んでいるところです。

○後藤委員 今、知事のご答弁に都債の発行というお話がございました。この都債というのは、都財政を表す分かりやすい指標の一つだと思います。
 時に都債は借金としても例えられておりますが、この都債の都の依存度を見てみますと、都は三・八%ということで、国の三四・三%、そして地方の八・四%という数字に比較しても、著しく低いというのが現状でございます。とはいえ、都民の立場に立てば、こうしたことをなかなか自分事として実感が湧きづらいというのが正直なところではないでしょうか。
 小池知事就任以来、この都債とどのように向き合い、そして堅実な財政運営につなげ、今後どのような活用を図っていくのか伺います。
 また、都債残高を、都民に分かりやすい、都民一人当たりの借金にいい換えると、現在はどのような状況なのか伺います。

○吉村財務局長 元来、都は、景気変動の影響を受けやすい不安定な財政構造にあることから、財源の年度間調整を図るため、都債や基金を戦略的に活用していくことも重要でございます。
 こうしたことから、都債については、都税収入の急減やコロナ対策などの突発的な財政需要が発生した際には、必要な施策を確実に実施していくため、財源として積極的な活用を図ってまいりました。
 一方、都税収入が好調な際には、財政環境の変化に備えて、発行抑制などにより、都債の残高を減少させているところでございます。
 こうした取組によりまして、都民一人当たりの都債残高は、平成二十八年度の約四十万円から、令和四年度末見込みでは約三十六万円へと着実に減少させるなど、都民の将来負担の軽減を図っております。今後も将来に向けた発行余力を培いながら、財源として活用してまいります。

○後藤委員 都民の将来負担は年々減少しているというご答弁がございましたが、将来を見据えた財政運営を行うに当たっては、施策の新陳代謝というのも重要な要素となります。
 振り返ってみれば、小池知事就任時に、各事業に終期が設定されるなど、事業評価もバージョンアップが図られ、積極的な施策展開を支える大きな役割を果たしてきたというふうに認識をしております。
 政策評価との一体的実施というさらなる変化を遂げる事業評価について、施策の新陳代謝や財源確保といった観点から、どのような実績を上げてきたのか。そしてまた、令和四年度予算においてはどのような役割を果たしているのかについて伺います。

○吉村財務局長 事業評価は、自己改革強化の取組として、平成二十九年度予算から全ての事業に終期を設定し、評価時期をルール化するなど、終期の到来した事業の事後検証を徹底する仕組みを導入しております。その後、エビデンスベースによる評価など、新たな評価手法を取り入れたほか、政策評価との一体的実施により、成果重視の評価を実現するなど、改善を重ねております。
 こうした取組によりまして、終期設定以降の六年間で、約五千八百億円の財源確保につなげているところでございます。
 令和四年度予算では、DXによる業務効率化やQOSの向上の視点も踏まえ、事後検証を徹底したことなどにより、一千百十六件の見直し、再構築を行うとともに、五百六十八件の新規事業を構築するなど、施策の新陳代謝の強化を図っております。

○後藤委員 六年間で五千八百億円もの財源確保の一方で、五百件を超える新事業を構築されたということで、まさに小池知事が掲げる備えよ常にの精神が、この小池都政の財政運営にもしっかりと生きているということが確認できました。
 その一方で、コロナ禍にウクライナ情勢と、最近の都政は不測の事態に立て続けに見舞われています。こうした中でも、都民、事業者を確実に守るため、着実な施策展開を支えられるかどうか、今まさに小池都政の財政運営の真価が問われている、そんな場面ではないでしょうか。
 ウクライナ情勢による原油高等への対応も含め、都政を着実に前進させる財政運営をどのように行っていくか、知事に強い決意を伺います。

○小池知事 新たな変異株の発生、そしてウクライナ情勢の急変など、状況は刻一刻と変化しております。財政環境の先行きも楽観視できる状況にはございません。加えまして、都には社会資本ストックの維持更新、増加する社会保障関係経費など、将来にわたって財政需要の増加が見込まれております。
 こうした中にありましても、都民の負託に的確に応える、そのためには原油高対策を含めまして、喫緊の課題に対し、情勢の変化に応じて迅速に対処をする。それとともに、中長期を見据えて東京の未来を切り開くべく、都政の新たなステージへと力強く歩みを進めていかなければなりません。
 こうした考えの下で、今後の財政運営に当たっては、施策の展開を支える強固な財政基盤を確保しながら、ワイズスペンディングの視点から各施策や事業を検証する、無駄をなくす、実効性を高めていく、その不断の努力を徹底していくことが必要でございます。
 そのため、中長期的な財政需要も見据えながら基金や都債など、将来に向けた財政対応力の一層の強化を図るとともに、評価制度を駆使して、創意工夫を凝らすこと、そして施策の新陳代謝を促進してまいります。
 いかなる財政環境の中にあっても、都に課せられた使命を確実に果たしていく、そうした決意を持って戦略的な財政運営を行ってまいります。

○後藤委員 いかなる財政環境でも、課せられた期待を果たしていくとの強いご答弁がありましたが、今回のウクライナ危機は、原油や小麦などの原材料価格のさらなる高騰や海外取引の停滞を招いており、都民や都内事業者への負担は日に日に重くなっていくというおそれがあります。
 こうしたコスト高は、広く様々な事業者にも及びつつありまして、民間調査機関の分析によれば、実に約六割もの企業が今後の事業活動にマイナスの影響が生じているとしています。
 このような困難な状況の中、ウクライナ危機から都内の様々な事業者を支えるため、知事がリーダーシップを発揮し、速やかに対策を講じていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、今回のウクライナ情勢、これが経済に及ぼす影響というのは、私はもうプーチン・ショックともいうべき深刻な状況だと考えます。米国の原油の基準価格になるのがWTI、ウエスト・テキサス・インターミディエートというのがあるんですが、一バレル百三十ドルを超えるなどの原油高、そして小麦などの穀物価格の上昇への対応が必要な東京の事業者に対しまして、金融と経営の両面からの支援を迅速に展開する必要がございます。
 このため、中小企業の経営の命綱となるのが資金繰りですが、その資金繰りを支える新たな融資メニューを創設いたします。農林水産の事業を円滑に進めていくために必要な新たな貸付けの仕組みも開始をいたします。
 また、幅広く様々な業種の中小企業が原油の価格高騰を踏まえまして、省エネ対策を通じたコスト削減に効果的に取り組むことができるように、専門家の助言、また機器の導入への助成を行いまして、経営の効率化に向けたサポートを行ってまいります。
 さらに、農家が栽培で行う肥料の経費負担を抑えるために、その効果的な使い方を助言をする、畜産農家が買い入れる飼料のコストを軽減できるよう支援を行うなど、きめ細かなサポートを開始いたします。
 今後も、都内経済への影響の長期化なども見据えまして、さらなる対策について、スピード感を持って全力で対応してまいります。

○後藤委員 今まさに、このウクライナ危機に関しては、プーチン・ショックという形で表現をされておりました。そして、中小企業対策についてもしっかりと行っていくというご答弁がございましたので、少しこの中小企業への支援について掘り下げてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。
 ウクライナ情勢の変化で、原油価格の高騰の影響によるエネルギーコストの上昇は、様々な業種の中小企業の経営を圧迫していくものと想定されます。こうした企業の中には、コロナ禍で大きな影響を受けている小売業や卸売業なども含まれています。
 こうした状況を踏まえ、都内中小企業に対して、コスト削減により経営改善を促すような支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 原油価格等の高騰により、エネルギーコストの上昇が見込まれる中、都は、中小企業の省エネによる取組を通じた経営改善を後押しする緊急的な対策を実施いたします。具体的には、今月から省エネ対策のアドバイザーや経営の専門家を企業の現場に派遣し、光熱水費等の削減に役立つ機器の導入や経営改善の助言を行います。
 また、こうした助言に基づいて、高効率の冷凍冷蔵庫やエネルギーの使用量をリアルタイムで把握できる機器などの導入に必要となる経費について、その二分の一を、百万円を上限に助成をいたします。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業の事業継続をきめ細かくサポートしてまいります。

○後藤委員 今のご答弁では、省エネ性能の高い機器について補助を新設するということで、ぜひ速やかな周知、そして事業の執行をお願いいたします。
 次に、ウクライナ危機に関する農業支援について伺います。
 都内では、現在一万人近くの農家が農業を営み、新鮮で安全・安心な農産物を都民に提供しています。こうした農家にとって、肥料は生産活動の基本ともいえる重要な農業資材です。
 一方で、ロシアは化学肥料の原料の主要な産地とも聞いておりまして、この原料の供給が滞ることで肥料の価格が高騰し、そして農業者の経営を圧迫するということが懸念をされております。
 都は、こうした状況を踏まえ、肥料の価格高騰の影響を受ける農業者の負担を軽減するための支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢により、様々な資源の供給への懸念が生じ、それを原料とする化学肥料の価格が一層高くなる可能性もございます。このため、都は農家への影響を軽減するため、肥料の購入量を減らすことでコストの増加を抑える支援を行います。
 具体的には、農業者に対し、民間の力を活用して農地の土壌に含まれる各種の養分の量を把握する診断を無料で実施いたします。さらに、この診断結果に基づき、生産現場を熟知した普及指導員が、土壌に適した肥料の種類や作物に合った使用量などについてきめ細かく助言を行います。
 こうした取組を通じまして、農業者の経営の安定化を後押ししてまいります。

○後藤委員 肥料の省エネ対策ともいえる診断事業をスタートされるというご答弁がございました。また、先ほどお話にありましたような原油価格等の高騰は、都民の雇用や生活にも大きな影響を及ぼしかねません。
 事業が深刻なダメージを受け、雇用の維持も難しくなる事業者が出てくることも想定される一方で、食料品や光熱水費などが上昇し、家計への負担が増すことも考えられます。
 こうした中で、雇用と生活、この両面から対策をしっかりと講じておくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、今回のウクライナ危機におきましては、事業コストの増加による経営の悪化や、また物価の上昇などを通じて都民の雇用、そして生活にも大きな影響が生じることが想定されております。
 このため、都は、就職特別相談窓口を開設しまして、離職を余儀なくされた方々に対して、早期の再就職に向けたサポートを実施してまいります。また、生活に困っておられる方の相談を広く受け付けるために、緊急生活相談窓口を設置しまして、適切な支援につなげてまいります。
 今後も、経済や雇用への影響などを注視しながら、必要な対策を機動的に講じてまいります。

○後藤委員 今のご答弁では、就職特別相談窓口、そして緊急生活相談窓口、この二つの相談窓口が設置される、このようなご答弁でございました。各種相談窓口の新設においては、ぜひとも区市町村とも連携をしていただきまして、一人でも多くの方を支える体制整備をよろしくお願いをいたします。
 また、ウクライナ情勢が緊迫する中、現在、世界中で企業や組織のサーバーダウン、仮想通貨の価格急落など、各所で混乱が生じているところであります。
 特に、我が国の首都である東京がサイバー攻撃の標的になれば、指令機能の麻痺が懸念されます。加えて、都は新型コロナウイルス感染症の対応でも、多くの患者を受け入れる都立病院や交通システムをつかさどる警視庁、そして交通局などの社会的インフラに関わる部局も抱えており、これまで以上に都のセキュリティ対策の強化に向けた取組が重要だと考えます。
 ウクライナ情勢を受けて、都としてサイバーセキュリティに関する対策をさらに厳重に進めることが重要だと考えますが、どのように進めていくのか、課題認識と併せて宮坂副知事に伺います。

○宮坂副知事 都では、私をトップとした東京都CSIRTを設置し、各局と連携して、インシデント発生時にも迅速に対応に当たる体制を整備しております。
 今般のウクライナ情勢を踏まえた対応としては、国からの注意喚起を受け、都におきましても、サイバーセキュリティ対策について最大限の警戒態勢をしいております。
 具体的には、国や警視庁等を通じ最新の情報を収集するとともに、全職員に対し、サイバー攻撃に関する注意喚起を繰り返し行うなど、インシデント防止を徹底しております。
 また、区市町村と共同で運営する自治体情報セキュリティクラウドにつきましても、不測の事態に備え、委託事業者も含め、即応体制を整備するなど監視体制を強化しております。
 サイバーセキュリティ対策には終わりがなく、複雑化するサイバー攻撃に対応できるよう、常に最新の技術を持って脅威に対応していかなければなりません。来年度には、新たに職員の対応能力向上に資する研修を実施するとともに、国や各局、区市町村と一層緊密に連携し、セキュリティ対策の強化に向け、不断の取組を行ってまいります。

○後藤委員 厳重な体制をしいていくということでございました。サイバー攻撃は、常に新しい技術との戦いであります。ぜひとも、民間での経験が非常に豊富な宮坂副知事を先頭に、ぜひ陣頭指揮を執って対応に当たっていただきたいというふうに思います。
 加えて、都内企業におけるサイバーセキュリティ体制の強化も重要です。先日、トヨタ自動車は、国内全十四工場の稼働を三月一日に停止すると発表しており、日本政府の制裁措置に対するロシアの報復の可能性も指摘をされています。
 都内中小企業に向けて注意喚起を行うとともに、サイバーセキュリティの向上を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢の中で、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化の重要性が一層明確となったところでございます。東京の中小企業におきましても十分な注意を払い、対応を進めていくことは重要でございます。
 このため、都は、多くの中小企業が被害を未然に防ぐことのできるよう、中小企業振興公社の事業を利用した企業向けのダイレクトメールや、都の専門ウェブサイトにより注意喚起を行ってまいります。また、国による対応窓口との連携強化を図り、よりきめ細かい相談等のサポートを行います。
 さらに、都は来年度から、中小企業が社内にサイバーセキュリティ対策の体制をつくる取組を支援することとしておりまして、この開始時期の前倒しを図ります。
 今後、サイバーセキュリティ対策の充実について、スピード感を持ち、機動的かつ弾力的に対応をしてまいります。

○後藤委員 注意喚起を行うというご答弁がございました。都内の中小企業者等などは、なかなかホームページを小まめに見ているわけではなかったりすると思います。ぜひともきめ細かに情報の周知をお願いしたいというふうに思います。
 今回のウクライナ侵攻も含めた感染症や災害、そして気候変動など、不測の事態から都民の命や暮らしを守り抜くとともに、サステーナブルリカバリーやデジタルによる構造改革を実現し、将来にわたる東京の成長を確実なものにしていくためにも、この予算に掲げた政策を速やかに実行へと移し、効果を都民の皆様にいち早くお届けしていくことこそ、真の意味で、都民のための都政、都民ファーストの施策となるのではないでしょうか。
 そこで、従来の発想から転換を図り、事業執行についても工夫を凝らすことで、都政のさらなるスピード化を図ることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都政を取り巻く状況が刻一刻と変化をいたしております。その中、東京が世界の都市間競争で生き残っていく、そのためには施策の効果を速やかに発現させて、都民、事業者の皆様に一日も早く、その成果を還元することが必要であります。
 そのために、従来の年度単位の思考や実証実験の繰り返しから脱却をして、事業執行の迅速化を図らなければなりません。こうした考えの下、既存の計画を前倒しして実行するなど、スピード感を持って施策を進めるよう指示をして、来年度予算を編成いたしました。
 具体的には、債務負担行為を活用しながら年度単位にとらわれないで、調査から工事までの期間を短縮して、早期の事業完了につなげていくということです。また、事業者等への補助につきましても準備を前倒しし、募集開始の迅速化を図ってまいります。
 こうした取組を徹底して、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービス、これをスピード面からも向上させていくということで、東京大改革を一段と加速してまいります。

○後藤委員 まさに今、ウクライナ情勢や新型コロナ対策など、刻一刻と変化をする状況だからこそ、タイムリーな事業執行が求められていると思います。ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により減少に転じていた都税収入は、令和元年以来の過去最大規模となる五兆六千三百八億円を見込んでいます。企業収益が改善傾向にあること、雇用就業対策が堅調に推移しているというふうに聞いていますが、多くの都民の実感とは乖離していることもあり、中身を見ていく必要があると考えます。
 例えば、飲食、観光などのサービス業が減少している中でも伸びている業種、そして雇用環境が悪化している分野や職種がある一方で、人手が不足をしているという分野や職種もあり、コロナ禍を通じて、業種や職種等によって差が開いているというのが現状だと思います。
 そこで、今後の都の財政状況において、都税収入の見通しをより詳細に見ていくことは重要ですが、コロナ禍の影響が長期化する中で、来年度予算案が令和元年度決算に次ぐ過去最大規模の五兆六千三百八億円となることの要因や、令和五年度以降の都税収入の見通しについて見解を伺います。

○砥出主税局長 令和四年度の都税収入の増加は、税収の約三割を占める法人二税の増が大きな要因となっており、これはデジタル需要や海外経済回復による需要の増加を背景に、IT関連産業や製造業等で業績が改善しているためでございます。
 また、景気の先行きにつきましては、ウイズコロナの下で景気が持ち直していくことが期待されるものの、感染症による影響や供給面での制約、原材料価格の動向、国際情勢の緊張などによる下振れリスクが指摘されております。
 令和五年度以降の都税収入につきましては、こうした景気動向に加え、国の税制改正等の動向も踏まえる必要があり、慎重に見極めていくべきものと認識しております。

○後藤委員 令和四年度の都税収入は増加をしているものの、長引くコロナ禍が経済に与える影響は甚大であると思います。
 令和五年度以降の都税収入は、依然として予断を許さない状況であり、今後の景気動向や国の税制改正の動向を注視しながら、引き続き健全な財政運営に努めていただくことを要望しておきます。
 次に、都の税制面について伺いたいと思います。
 我が会派はかねてより、税制面からもサステーナブルシフトを後押しすべきと訴えており、令和三年第二定例会における代表質問において、小池知事から脱炭素社会の実現に向けた税制を検討する旨の答弁を得ています。
 さらに、我が会派では、ゼロエミッション東京の実現に向けて、住宅をはじめとする建築物における対応が非常に重要であることを、本会議や住宅政策審議会などを通じて提案をしてまいりました。
 今般、都が太陽光パネル付きゼロエミ住宅の導入促進のため、都独自の新たな減税となる不動産取得税の減免措置を取るとしたことを高く評価したいと思います。
 一方、都内では、周囲に建築物がある場合など、特に太陽光発電設備の設置が合理的でない場合もあることが想定されることから、減免制度において適切な対応が必要だと考えますが、見解を伺います。

○砥出主税局長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、住宅の脱炭素化を推し進めていくためには、補助や規制に加え、税制の活用も有効な手段の一つでございます。
 このため、今回、太陽光発電設備の設置を通じた再生可能エネルギーの利用促進と、東京ゼロエミ住宅の普及を税制面から支援することとし、来年度から一定の要件を満たす新築の東京ゼロエミ住宅について、不動産取得税を最大で全額減免することといたしました。
 制度の検討に当たりましては、東京の地域特性により日照条件が悪い場合があることなどを考慮いたしまして、断熱、省エネ性能が一定の水準以上にある住宅につきましては、太陽光発電設備を設置していない場合であっても、五割減免することとしたものでございます。

○後藤委員 太陽光発電設備を設置しない場合でも、断熱、省エネ性能が一定の水準以上にある住宅については、五割減免するとの対応を評価したいと思います。
 今後も、公平性には十分配慮しつつ、ゼロエミッションを実現するために、ぜひとも強力な施策の展開を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、介護離職ゼロに向けた介護職員向け宿舎借り上げ支援事業の拡充について質問をいたします。
 小池知事は就任以来、東京都から待機児童という言葉をなくすとの強い決意で様々な施策を実行し、令和三年度の待機児童は千名を切るなど、大きな実績を上げています。
 ぜひ、保育の待機児童ゼロ実現の先には、介護離職ゼロに向けても大きく政策を進めていただきたいと思います。
 介護離職ゼロに向けては、介護する人を支える介護従事職の支援強化も重要な課題です。こちらのパネルにありますように、東京都における介護業界の状況を見ると、深刻な人手不足の状況にあります。令和二年度の有効求人倍率は、全産業がこちら一・八倍というものに対しまして、介護職は六・一倍ということで、非常に困難な採用状況であることがうかがえます。
 特に、東京は地価等が高く、平均賃金も、こちらご覧いただきますと、大きな乖離が、全産業平均年収と比較すると二百万円近くの差が生じているということもございまして、非常に人材確保に苦労しているというのが現状でございます。
 二〇二五年には、三万一千人もの介護人材が不足をすることが見込まれており、超高齢化社会を迎える日本、そして東京において、介護人材の確保というのは喫緊の課題でございます。
 特に、我が会派は、これまで都が実施してきた介護職員の宿舎借り上げ支援について、要件の厳しさや介護の現場で働く職員の待遇改善が必要だと考えまして、その大幅な拡充を昨年末の会派予算要望の最重点項目の一つとして強く訴えてまいりました。
 そこで、かねてより目指してきた都の介護離職ゼロの実現に向けた知事の認識と、今後の都の介護人材対策における取組について、知事の見解を伺います。

○小池知事 今後ますます高齢化が進展する中で、介護と仕事の両立というのは多くの都民が直面する課題であります。
 介護離職のない社会を実現して、誰もが自分らしく輝ける社会をつくっていきたい、こう考えております。この強い思いから、昨年公表いたしました「未来の東京」戦略では、介護離職という言葉そのものが死語になっているということを、二〇四〇年代の目指す姿に掲げております。
 その実現のためには、介護サービス基盤の整備に加えまして、サービス提供を担う人材の確保によって、介護を社会全体で支える取組が重要となってまいります。
 都は、職場の体験や資格取得支援のほか、奨学金返済相当額の支給や宿舎の借り上げなどを行う事業者への支援など、様々な施策を展開いたしております。
 また、国に対しまして繰り返し提案要求してまいりました介護報酬でありますけれども、今般、国において介護職員の賃金を月額で九千円引き上げるという処遇改善が図られたところであります。
 来年度は、これまでの施策をさらに一層進化させまして、宿舎の借り上げの対象を福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加えまして、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所や、その他の在宅サービス事業所等にも拡大をいたします。
 さらに、他の業界から未経験者の介護分野への入職や定着を促進するため、インターンシップから就業先のマッチング、そして定着まで一貫した支援を開始するほか、地域の実情に応じた区市町村の再就業の促進などの取組への支援も拡充をしてまいります。
 こうした介護離職ゼロを目指す施策を着実に実施する、それとともに社会参加や健康の増進を図って、誰もが安心して暮らせる長寿社会を実現してまいりたいと考えています。

○後藤委員 今、知事からも介護離職が死語になっている世界をつくりたいという強いご答弁がありました。さらに、この宿舎借り上げ支援事業につきましても、拡充していくというご答弁がございましたので、さらに伺ってまいりたいと思うんですが、これまで小池知事は、待機児童対策についても、既に人の支援に光を当てて全ての保育士が利用できる家賃支援制度を創設いたしました。
 一方で、介護職の宿舎借り上げ支援制度については、従来は、特に人材確保が難しい在宅系の介護事業者などが対象外となっておりまして、東京都における介護業界の人材確保という面からいえば、保育業界で活用されている宿舎借り上げ支援制度のように、多くの介護職が本制度を利用できるよう、幅広い事業者を対象にすべきであると考えています。
 そこで、対象拡大が図られた介護職員宿舎借り上げ支援事業において、より多くの事業所で活用できるように取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 介護職員宿舎借り上げ支援事業について、都は来年度から、人材の確保、定着を一層図るため、訪問介護や通所介護など在宅サービス事業所等にも拡大をいたします。その上で、区市町村と災害時の協力協定を締結した事業所には、福祉避難所の指定を受けた場合と同様に補助率は八分の七といたします。
 今後、事業所に拡充のポイントを分かりやすく周知するとともに、区市町村には説明会の開催や参考例の紹介などによりまして、協定の締結を働きかけ、より多くの事業所で活用されるよう取り組んでまいります。

○後藤委員 これまで対象となっていなかった訪問介護など、多くの職種も対象にしていただいたということは、介護現場においては本当に重要な画期的なご答弁だと思います。
 これによりまして、最大で約七万円程度の住宅補助、暮らしの底上げにもつながるわけで、大変に期待をしたいというふうに思います。
 そして、重ねて申し上げますが、この制度は全ての介護従事者が利用できる制度であってほしいと思っております。例えば福祉用具専門相談員は、日本介護クラフトユニオンの調査によれば、介護従事者全体平均に比べて四万円弱給与が低いというふうにいわれております。
 こうした処遇の低さが、業務への不満や離職につながっているという現状もございまして、ぜひ、こうした多くの職種に光を当てて、介護従事者がぜひ仕事に誇りを持てる、そんな環境整備を強くお願いしたいというふうに思います。
 また、人材確保の部分で深刻な課題を抱えているのは障害者福祉事業者も同様であります。
 本制度の拡充に当たっては、障害者福祉事業者にも対象拡充すべきと考えますが、都としての取組について伺います。

○中村福祉保健局長 障害者福祉サービス等職員宿舎借り上げ支援事業につきましても、先ほどの介護施設等と同様に、都は来年度から、人材の確保、定着を、一層促進を図るため、支援の対象を区市町村と災害時の安否確認等の協定を締結した事業者や、その他訪問系の障害福祉サービス事業所等にも拡大し、より多くの事業所で活用できるようにいたします。

○後藤委員 障害福祉サービスへも対象拡大ということで、ぜひ周知をいただきたいというふうに思います。
 次に、子育て支援について質問をいたします。
 先月、愛知でゼロ歳から五歳の子供三人を死亡させたとして、母親が逮捕されるという痛ましい事件が発生しました。当時、専業主婦の母親が育児ノイローゼで無理心中を図ったとされており、改めてワンオペ育児の孤独な子育てが世の中にクローズアップをされました。
 コロナ禍の中、特に子育てに孤独を感じているのが在宅子育て家庭です。
 共働き世帯などでは、保育所や勤務先など複数の社会との接点があります。しかし、在宅子育て家庭では、コロナ禍の中、孤独な出産、そして孤独な育児に加えて、つながりの場となる児童館なども制限をしていることが多く、精神的な負担から鬱や虐待につながるリスクもあるとされています。
 さきの事件も決して特殊なケースではなく、二十四時間ほとんど子供と離れることができず、社会ともつながっていない状況では、協力者がいなければ、いとも簡単に精神的に追い詰められてしまうのが現状ではないでしょうか。
 特に、在宅子育て家庭では、専業主婦だから家事や育児を一人で行うのは当たり前という風潮もあり、周囲に助けを求めることを諦めたり、恥ずかしいと思ったりする人も少なくありません。仕事の有無にかかわらず、育児は一人で行うものでなく、家族、そして社会全体で行っていくものであると考えます。
 社会全体で孤独な育児をサポートしていく、そんな仕組みが必要です。
 サポートの仕組みとして真っ先に想起されるのが、フィンランド発祥で、一家庭ごとに一人の保健師が継続してその家庭を担当し、妊娠から出産、子育てに関するあらゆる相談にワンストップで対応することができるネウボラがあります。
 東京都は、妊娠、出産期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うため、とうきょうママパパ応援事業において保健師による面談事業を実施していますが、面談は出産前と一歳バースデーということで限定的ということもあり、ぜひとも継続して保護者に寄り添っていく、そんなサポーターの制度が必要だと考えます。
 ネウボラのように、妊娠期から就学までを継続して寄り添い、子育て家庭を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は来年度、地域において妊娠期から就学前までの子育て家庭に寄り添い、様々な支援をコーディネートする人材を養成するため、とうきょう子育て応援パートナー事業を開始いたします。
 具体的には、有識者や区市町村職員等で構成する検討ワーキングを設置いたしまして、この人材の位置づけや求められるスキル、支援に必要なアセスメント基準や支援プランの作成方法などについて検討いたします。
 この検討結果を踏まえまして、養成プログラムを取りまとめ、保護者との関係性を構築するための面接技術や妊産婦を支える視点などを習得するための研修に活用し、区市町村の人材育成を支援してまいります。

○後藤委員 今のご答弁では、様々な支援をコーディネートする人材をまず養成していくということ、そして、これからその人材に求められるスキルや支援プランの作成などについても検討していくというご答弁がございまして、ぜひこのフィンランドのネウボラなども参考にしながら、多くの子育て家庭に寄り添っていただける、そんなサポーターの制度にしていただきたいと思います。
 さきの在宅子育て家庭に挙げられるような孤独な育児を支えるために、保育園の在り方も変化をしていかなければならないのではないでしょうか。
 特に、制度開設以来、大都市の保育ニーズに対応してきた認証保育所制度は、東京都の待機児童解消によって大きな転換点を迎えています。
 今後は、保育園を単に子供を預かる、そういった施設から、地域の親子の福祉拠点として、どんな親子でも通える保育園にすることで、孤独な育児に悩む在宅子育て家庭も社会とつながれる、そんな拠点にしていくべきだと考えます。
 認証保育所においては、例えば保育所に通所していない児童を週二回程度預かるなどして、保育認定を受けていない児童も対象としているこの特徴を生かして、未就園児の受入れなどにぜひ積極的に取り組めるようにすべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 認証保育所は、保護者と事業所の直接契約により、利用者本位のサービスを積極的に提供し、都民の様々な保育ニーズに対応しております。
 都は来年度から、テレワークやパートタイムなど、保護者の就労形態の多様化や在宅子育て家庭のニーズにも柔軟に対応できるよう、運営費補助の対象となる利用時間をこれまでの一月当たり百二十時間以上から四十八時間以上に見直します。
 こうした取組によりまして、認証保育所がその特徴を生かして利用者のニーズに的確に対応できるよう、今後とも区市町村と連携しながら支援してまいります。

○後藤委員 百二十時間以上から四十八時間以上に運営費補助の対象を大幅見直しということで、これまで以上に在宅子育て家庭の支援につながるのではないかなと思って期待をしております。
 ぜひ今後も利用者の声に耳を傾けていただきまして、柔軟な制度の構築を求めたいと思います。
 また、コロナ禍の孤独な育児は児童虐待の要因につながることもあります。
 コロナ禍による在宅増もあって、児童虐待件数は増加傾向にあります。
 そんな中、保護者対応の難しさなど、児童相談所の業務の厳しさがしばしば報道されるようになりました。
 都の福祉職の応募状況を見てみますと、十年前の平成二十四年度は採用予定者数五名に対して九十三名ものお申込みがあったということですが、直近の令和三年度を見てみますと、採用予定者数三十人に対して申込みは八十名程度にとどまっているということで、児童相談所で働くことをためらう若者が多くなっているのではないでしょうか。
 処遇の改善や育成、強化、そして児相業務のDX化など、児童相談所の人材確保、育成、定着について、より効果的な取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 増え続けます児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、意欲ある人材を継続的に確保することは重要であります。
 都は今年度から、専任チームを設置し、採用活動を積極的に展開するほか、若手職員向けに職員住宅を借り上げるなど、人材確保に向けた取組を強化しております。
 来年度は、トレーニングセンターを開設し、保護者等との面接スキル向上のためのロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施いたします。
 また、AIを活用して、電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入し、記録作成の負担を軽減するとともに、指導役の職員がその内容を閲覧し、その場で助言するなど、人材育成にも生かしてまいります。

○後藤委員 様々ご答弁がありましたが、DXの推進はもちろんのこと、重要なのは、この児相で、今まさに前線で戦っていただいている職員の皆様が何に困っているか、それを吸収し改善につなげていくことが一番の採用にもつながっていくというふうに考えます。
 ぜひ、現場の意見を聞きながら、実効性の高い施策展開を求めたいと思います。
 また、社会全体で孤独な育児をサポートするためには家事育児支援も重要です。
 令和三年度に都が実施した調査では、男女の家事、育児関連時間の差は五時間二十分へと拡大し、コロナ禍において在宅時間が延び、家事総量が増加する中で、むしろ男女間の家事、育児の負担の差が深刻化しているという結果になりました。
 そうした中で、我が会派では、男性の家事、育児時間を延ばすための取組に加えて、かねてより家事の効率化を実現するスマート家電の導入や家事代行サービス活用などの家事育児時間の合理化、いわゆる家庭のDXを促す施策を設けるように求めてきました。
 我が会派の提案により、今年度初めて実現した出産応援事業、赤ちゃんファーストにおいても、子供一人当たり十万円相当の支援を行う中で、選択肢の中にスマート家電、いわゆるデジタル家電が導入されたのは重要な一歩であり、数多くの感謝の声が我が会派にも届いているところであります。
 さらに、産後ケア支援の一つである家事育児サポーターの派遣についても、コロナ禍における感染対策の観点から、家に人を呼ぶのではなくて、スマート家電の力で家事負担を軽減することが極めて重要であると我が会派は支援の強化を強く訴えてまいりました。
 都は令和二年度から、一歳を迎える子供を育てる家庭を対象に育児パッケージを配布する区市町村を応援していますが、まずはこの実績について伺います。
 また、区市町村からは二歳前後も対象にしてほしいという要望もあると聞いているため、併せて見解について伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 都は、とうきょうママパパ応援事業のメニューでありますバースデーサポートにおいて、区市町村が健康診査など、行政が関わる機会が少ない一歳前後の子供がいる家庭を対象に育児パッケージを配布する取組を支援しております。
 区市町村は、この取組を通じまして、子育て支援等の情報提供や家庭状況の把握などをしておりまして、昨年度は十四自治体が実施し、今年度は二十七自治体が交付申請をしております。
 本事業を実施する中では、健診の間隔が長くなる二歳前後も対象にしてほしいという意見もあることから、より多くの自治体で取り組めるよう、来年度からは一歳前後または二歳前後のいずれかで実施できることといたします。

○後藤委員 育児パッケージの配布対象の要件を緩和していただくということで、二歳前後でも可能とすることについて評価をしたいと思います。
 一方で、育児パッケージの配布以外にも、継続的に母子の状態を把握する機会を設けるべきだと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は来年度から、区市町村が子育て家庭の状況を把握する機会を増やすため、バースデーサポートの取組を拡充いたします。
 具体的には、区市町村が一歳前後または二歳前後の子供を育てる家庭を対象に、親同士の交流会や専門職による相談の場の提供などを行う場合にも支援いたします。
 この交流会等の案内時に、対象となる全家庭に対して育児に関するアンケートを実施することとしておりまして、これにより支援が必要な家庭を把握してまいります。

○後藤委員 来年度は、二歳前後の子供を育てる家庭を対象に交流会を実施するということで、まずこの実態把握の機会が増えたことについて評価をしたいと思いますし、先ほどご答弁にもありましたこのネウボラの仕組みのとうきょう子育て応援パートナー事業、これも継続的に母子や家庭全体をサポートする相談事業でもございます。
 こういった重層的な取組を併せて行っていくことで、ぜひともこの取組の強化を行っていただきたいと思います。また、多くの自治体にも手を挙げていただけるように、ぜひともこの事業を継続的に働きかけをよろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、ヤングケアラー支援について質問をいたします。
 国の調査によると、中学二年生の五・七%、全日制高校生の四・一%の子供がヤングケアラーに該当するといわれています。
 ヤングケアラーは、当事者となる子供自身や家族の間で問題として認識されにくいという困難さがあります。本来、中学生から高校生の世代は自身の個性や可能性を十分に伸ばす時期であり、人に投資する東京都としてもヤングケアラーの問題に向き合うことは重要です。
 私たちの会派は、二〇二〇年三月の第一回定例会厚生委員会で、私、ヤングケアラーの問題をいち早く取り上げさせていただきましたが、その後も繰り返し提案を続けてまいりました。
 都は来年度、ヤングケアラーの支援に踏み出すとのことですが、そこでまず、ヤングケアラーにはどのようなニーズがあるのか伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 国が令和二年度に実施いたしました調査では、家族の世話をしている中高生の約六割が周囲に相談したことがないと回答している一方で、学校や大人に求める支援については、話を聞いてほしい、進路や就職など将来の相談に乗ってほしいなどの回答がありました。
 家族の世話の具体的な内容につきましては、食事の準備など家事の割合が最も高くなっておりまして、勉強する時間や自由な時間が取れないなどの影響が指摘されております。
 また、都が今年度ヒアリングした元ヤングケアラーからは、ケアラー同士が話せる場や家事などを代替してくれる支援が必要との意見をいただいております。

○後藤委員 今のご答弁では、ヤングケアラーの当事者の方々から、相談できる場や家事支援のニーズがあるということが分かりました。
 そこで、こうしたヤングケアラーのニーズを踏まえ、今後都として相談の場や家事支援など、社会的な支えを構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は来年度、有識者や区市町村、介護や医療の関係機関等で構成する検討委員会を設置し、ヤングケアラーを把握するポイント、各機関の役割、連携方法、相談窓口の周知方法などを盛り込んだマニュアルを作成いたします。
 また、家庭や進学等の悩みを元ヤングケアラーに相談できるピアサポートや経験を共有することができるオンラインサロンなどを行う民間団体を支援し、ヤングケアラーが気軽に相談できる環境を整備してまいります。
 さらに、学習や部活動、友人との交流など子供らしい時間が持てるよう、民間団体が家事支援ヘルパーの派遣等を行う場合にも支援することとしておりまして、こうした取組により、ヤングケアラーを様々な面から支援してまいります。

○後藤委員 今回、都としてヤングケアラーの問題に向き合い始めたことは大変重要だと考えますし、来年度から始まる支援策を通じて当事者の声をより一層受け止め、支援策のさらなる改善につなげていただきたいと思います。
 また、ヤングケアラーの皆さん、こうした方々は、支援が必要である対象と同時に情報の弱者でもあります。こうした様々な制度が困難を抱えるヤングケアラーの方々にしっかりと届くように、情報の伝達、ぜひとも行っていただきたいというふうに思います。
 次は、チャイルド・デス・レビューについて質問をいたします。
 都内では、毎年五百名にも上る十八歳以下の子供たちが命を落としており、近年は小中高生の自死が増加しているなど、対策が急務です。
 自殺予防はもとより、不慮の事故など子供の死は予防できるものも多く、子供の死亡を予防するために、死亡検証制度であるチャイルド・デス・レビューというもので、事故や虐待を含む全ての子供の死亡事例について調査、そして検証し、再発を予防する取組、これが厚生労働省のモデル事業として、二〇二〇年度から七府県で既に実施をされているところであります。
 先般、チャイルド・デス・レビューの取組を求めた我が会派の提案を踏まえて、都においても検討会議が設置をされました。
 今後、未来を担う子供たちの命を守るため、都においてもチャイルド・デス・レビューの取組を加速すべきと考えますが、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 お話にもありましたが、国は、チャイルド・デス・レビューの制度化に向けた検討材料とするため、モデル事業を実施しておりまして、七府県が令和二年度から取り組んでおります。
 モデル事業の実施方法は、医療機関との共同実施や大学病院への委託等の取組体制、参画している機関、情報共有の方法などが様々であることから、都は来年度、その状況や実施上の課題等を独自に調査をいたします。
 それらも参考に、都内の医療機関や保健所、警察など関係機関と意見交換しながら、検証の取組体制、検証に関わる機関、対象の選定方法、収集する情報の範囲や入手、管理の方法など、都におけるチャイルド・デス・レビューの実施手法について検討してまいります。

○後藤委員 今後、チャイルド・デス・レビューの取組を進めるに当たっては、特に調査段階で関係者の方々の心情に十分配慮しつつ、未来を担う子供たちの命を守るために、都としても力を尽くしていただくことを求めます。
 次に、高校生等への医療費助成について質問をいたします。
 コロナ禍にあっては、先生や友達と話す機会も減り、子供たちのストレスも高まっています。
 今後、様々な影響も懸念されており、こうした中、都は来年度、我が会派が提案した東京ユースヘルスケア推進事業を開始し、高校生などが思春期特有の悩みなどを相談できる体制づくりに着手するとしたことは高く評価をしたいと思います。
 また、再来年度からの高校生などへの医療費助成開始に向けても、市区町村等が円滑に事業を開始できるよう、来年度、準備経費の補助を行うほか、区市町村に対する財政面での支援方針も明らかになったところであります。
 特に、子供たちは高校生になる頃から一人での受診へと移行していきますので、治療の機会を通じて、日常的に運動することの重要性や心と体の関係など、現場の医師から新たな気づきを得ることも重要ではないでしょうか。
 そこで、都として高校生等への医療費助成を実施するのであれば、思春期特有の健康上の悩みなどに答える東京ユースヘルスケア推進事業などの新たな取組に資すことも期待をされます。
 今後、高校生などへの医療費助成事業をどのように進めていくのか、都の見解を伺います。

○中村福祉保健局長 コロナ禍が青年期世代の心身に大きな影響を及ぼしており、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期に、自身の健康をコントロールし、改善できるような取組は重要であります。
 このため、都は、来年度予算案に、高校生相当年齢を対象とする医療費助成制度の実施主体である区市町村等の準備経費を計上するとともに、基本的な枠組みを示したところであります。
 具体的には、都と区市町村の負担を二分の一とし、所得制限や一部負担の仕組みを導入する考えでございます。ただし、早期の制度開始に向けまして、令和五年度からの三年間は都の負担を十分の十といたします。
 今後、区市町村と具体的な課題等について調整することとしておりまして、都が実施する若者の健康上の悩みに対する支援にも生かされるよう取り組んでまいります。

○後藤委員 本事業は、区市町村との連携が欠かせない事業です。
 十分の十補助期間が三年間という答弁がありましたけれども、こうしたことで二の足を踏む自治体も想定されるということで、ぜひしっかりと協議していただいた上で、持続可能な制度となるように切に要望したいというふうに思います。
 次に、子供を笑顔にするプロジェクトについて伺います。
 コロナ禍の影響で運動会や修学旅行などの学校行事が中止になり、友達との楽しい思い出となるはずの貴重な機会が失われました。また、外出自粛期間においては、狭い室内で家族が密集して過ごすことになり、外に出ることもままならない子供たちは大きなストレスを抱えています。
 子供たちの心身の健康や健全な成長のため、ふだんとは異なる体験をする機会を補うことが重要ではないでしょうか。
 そこで、都内全ての学校の児童生徒を対象に、自然体験活動やスポーツ観戦、そして芸術鑑賞などの多様な体験活動の機会をつくり、できるだけ多くの児童生徒が参加できるよう取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 コロナ禍にあって、子供たちは友達との関わりや学校行事等に様々な制約のある中で学校生活を送っております。
 こうした子供たちのため、都教育委員会は、都内公立、私立の全ての学校を対象として、自然体験活動や校内での演奏会など、友達と共に心を動かされる体験や思い出に残る様々な機会を創出し、子供たちの豊かな感性を育んでまいります。
 より多くの子供たちが参加できますよう、実施に係る経費を都が負担いたしますとともに、現在、事業実施の準備として区市町村教育委員会等と連携し、スポーツ、芸術等の希望する分野や実施時期などを把握するため意向調査を行っており、その結果を踏まえ様々な団体と連携し、具体的なプログラムを作成してまいります。

○後藤委員 子供たちの行動が大きく制限され、そして子供たちもストレスを抱える中、こうした事業を通じて子供たちの機会を後押ししていく取組は非常に重要だというふうに考えます。
 ぜひ、しっかりと現場の声を聞いていただきまして、実効性の高い施策となるようにお願いをしたいというふうに思います。
 次に、子供の学びの確保に向けての取組について伺います。
 第六波では子供への感染も拡大しており、感染や不安感から学校を休まざるを得ない子供や、そして学級閉鎖も相次いでいるところであります。
 そこで、感染拡大の中でも学びを継続するために、改めて都内の全学校におけるオンライン教育の体制整備を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 厳しい感染の状況が継続する中においても、オンラインによる学習を推進し子供たちの学びを確保するため、都教育委員会は、デジタルを活用した教材の作成やオンライン授業等の技術的なサポート等を行う支援員の配置経費を補助しております。
 さらに、今般のオミクロン株による感染状況を踏まえ、支援員の配置に係る対象経費の拡大や支援期間の延長等の補助要件を緩和し、追加配置が可能となるよう支援しているところでございます。また、学校において、すぐに授業で活用できる学習コンテンツを学校に提供しております。
 あわせて、学校に対し、分散登校とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業等の取組例も紹介し、オンラインの活用を促しております。

○後藤委員 今、様々なご答弁がございました。デジタルの活用をより一層働きかけていくということで、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
 さて、公立小中学校においては既に一人一台端末が実現し、こうした教育のデジタル化を教育の質の向上に実際につなげていく、そういった段階になっています。
 これまで都では、端末の接続や利用をサポートするICT支援員というものを全校に配置できるように区市町村を支援してきましたが、今後は教育の質の向上や感染症なども踏まえて、端末を利用した家庭学習等、より高度な利活用を促進するためのサポートも必要だと考えます。
 区市町村の小中学校において、今後も教育のデジタル化をサポートする支援員の全校配置を継続するとともに、より高度なノウハウを持った支援員を配置し、デジタルを活用した教育の質の向上を目指して取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会はこれまで、小中学校に対し、一人一台端末の円滑な導入、定着を図るための支援員の配置経費を補助してまいりました。
 今後は、学校の授業の中でデジタルをより実践的に利活用していく必要がございます。
 このため、支援員の役割は、デジタルに関する専門性に基づく授業計画の作成支援や授業の進度に応じた教材作成の提案等に変わっていくことになります。
 こうしたことから、区市町村教育委員会に対し支援員の役割や活用例を具体的に提示するとともに、来年度、新たに各校一人のデジタル利活用支援員の配置経費を補助し、その活用を促してまいります。

○後藤委員 ただいまのご答弁では、各校一人のデジタル利活用支援員の補助を行うというご答弁がございまして、大きな前進だと思います。各校に一人デジタル利活用支援員が配置されるとなれば、各学校のデジタル化も大きく進むと期待をしています。
 ぜひ、各校の好事例などを通じて、積極的に働きかけていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 次に、DX人材育成における東京都公立大学法人の活用について質問します。
 DX推進による社会の構造改革を成功させるためには、大学、各種学校等においても、デジタル人材の育成の取組を加速すべきです。新学習指導要領により、都立高校をはじめとした各高校では、来年度から始まる必修の情報Ⅰに加え、その翌年からはシステム構築など情報を使って価値を生み出す側の人材になるための情報Ⅱというのが始まります。
 そして令和七年度には、そうした子供たちが大学に入学をしてくるということになりまして、こうした高度な情報教育を受けた人材の能力やスキルを大学においてさらに高め、世に送り出していくことが重要だと考えます。
 そこで、都立大学において、予算措置も含め、大胆に環境整備を進め、先進的な情報教育を提供する教育機関へと進化させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、将来のデジタル人材を目指して、情報Ⅱの履修を選択するような意欲や能力のある学生を都立大学が率先して確保していくべきと考えますが、併せて見解を伺います。

○小池知事 まず、スマート東京を実現するということも大きな東京大改革の一つです。その先端のデジタルテクノロジーを使いこなして、イノベーションをつくり出すことのできる人材を育成していくことは急務であります。このため、都は、都立大学におきまして、デジタル教育環境の充実を図ってまいります。
 来年度から、ビッグデータの分析などデータサイエンスを学ぶ副専攻を新設いたします。
 また、日野キャンパスにおきましては、デジタル関連の教育研究資源を集約した新拠点の整備を進めまして、令和五年度の運用開始に合わせて、民間との連携、交流の強化など、新たな取組を展開してまいります。
 さらには、情報Ⅱを履修した高校生が大学に入学する、令和七年度になるわけですが、そこを見据えまして、より高度な専門性やスキルの獲得を目指す意欲ある人材を確保するための取組にも着手してまいります。
 試験科目など選抜方法の見直しであるとか、入学後のカリキュラムのレベルアップのほか、都立高校などの生徒を受け入れる新たな高校、大学連携の取組も具体化してまいります。
 未来の高度なデジタル社会を牽引する有為な人材の育成に向けました都立大学の取組を都としても積極的に支援していきます。

○後藤委員 今のご答弁では、データサイエンスを学ぶ副専攻を新設するなど、大学での情報教育の充実に加えて、高校で情報Ⅱを履修するなど意欲のある生徒を受け入れるための選抜方法を検討するということで表明をしていただきました。国内の情報教育の牽引につながる大変重要な答弁であると思っておりまして、高く評価し、そして、着実な事業の推進を求めたいと思います。
 次に、私立専修学校への支援について伺います。
 さきの都議会本会議における我が会派の代表質問でも取り上げましたが、私たちは、かねてより、東京で学びたい、働きたいという人々の多様なニーズに応えていける私立専修学校への支援の強化を訴えてまいりました。
 とりわけ、実務に関する知識や技能に直結した職業訓練を行う職業実践専門課程への支援は、未来の東京を支える質の高い専門人材の育成にもつながる重要な取組であると考えます。
 都は平成三十年度より、この職業実践専門課程に対する補助を実施しておりまして、来年度は、私たちの予算要望にも応え、補助の拡充を行うとのことですが、その内容について具体的に伺いたいと思います。

○武市生活文化局長 国は、企業等と連携したより実践的な職業教育に取り組む専修学校に対し、職業実践専門課程の認定を行っております。
 都は、この認定を促進し、職業教育の質の向上を図るため、平成三十年度から独自に補助を実施しております。
 補助の効果もあり、都における認定校や認定課程の数が年々増加していることから、来年度は、職業教育のさらなる充実や教育環境の向上に向けまして、生徒一人当たり単価を四千円から五千円に引き上げ、規模の拡大と合わせ、補助の拡充を図っております。

○後藤委員 今のご答弁では、単価四千円から五千円に引き上げるとのご答弁がありまして、大きな前進だと思います。引き続き、質の高い専門人材の育成を期待して、次の質問に参ります。
 次に、女性活躍の推進について伺います。
 明日三月八日は国際女性デーでございます。小池知事は、明日に先立ちまして、持続可能な明日に向け、ジェンダー平等を実現することはますます重要な意味を持つと発言をされています。持続可能な開発目標SDGsにおいても、ジェンダー平等の実現が示され、各国で取組が加速されています。
 しかし、日本は、世界最低レベルのジェンダーギャップ指数にも表れているとおり、世界から大きく後れを取っているのが現状です。前東京オリ・パラ組織委員会会長森喜朗氏の、女性は競争意識が強い、話が長いといった蔑視発言は大きな批判を浴びましたが、日本には、様々な無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャスバイアスというものが存在をしています。
 例えば、育児は女性が行うもの、そして、管理職は男性がなるものなど職場に関するものもあれば、女の子のランドセルは赤であるべきなど学校などにおける無意識の思い込みが存在をしています。
 性別によって、生き方や役割が制限されるのは合理的な考えではありません。これまで明らかになっていない事態を把握し、都としても対策を講じるべきだと考えます。
 都では、これまでも意識改革に取り組んできていますが、女性活躍がなかなか進まない原因にまで踏み込んだ新たな取組が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 女性の活躍は様々な取組によって進んできておりますけれども、諸外国と比較しますと絶望的な後れを取っています。
 その要因の一つが働き方であり、暮らし方の根底にある、保育園のお迎えは母親が行うものなど、無意識の思い込みがあると考えられます。
 今回、計画を改定しまして、この無意識の思い込みへの重層的なアプローチを新たに行ってまいります。
 来年度は、働く場や家庭など、日常のあらゆる場面に潜む無意識の思い込みに自ら気づいていただくきっかけづくりとして、エピソードをまず募集いたします。そして、それをSNSなどで広く発信する。
 また、無意識の思い込みですが、幼少期からの周囲の影響を受けて形成されやすい。さっきのランドセルの例などもそうかと思いますが、そこで、自治体初となる教育機関と連携した実態調査を行いまして、子供に接する大人だけではありません、子供自身への啓発を行うなど、大人、子供の両面から働きかけてまいります。
 都民と共に、無意識の思い込みに対する認知、そして関心を高め、気づくこと、決めつけないことの大切さを提唱して、社会全体の新しい常識、新常識として定着させてまいります。

○後藤委員 知事からも、現在の女性活躍については絶望的な状況にあるとの認識の上で、しっかりと対策を講じていくとの答弁がありました。ぜひとも、実態調査から見えてきたものをしっかりと分析していただきまして、今後は、都教委などともぜひ連携していただきながら、学校現場での教育指導等にもつなげていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 さて、コロナ禍において、男性と比べて女性の就業者数が大きく減少するなど、男性と女性の就業環境の差が顕在化しました。また、テレワークなど家庭で過ごす時間が増え、家事、育児時間の総量が増加する中、家事、育児時間の男女差が拡大したということはゆゆしき事態だと考えます。
 昨年の第四定例会の我が会派の代表質問に対して、生活文化局では、総合評価方式により入札を行う契約において、女性活躍や男性の育児休業取得促進などを推進している企業に対してインセンティブを設ける旨の答弁がありました。こうした取組を都全体で実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村財務局長 現在、都では、総合評価方式において、えるぼし認定や女性活躍推進大賞受賞の実績に対して加点を行っております。
 男女平等参画審議会において、本年一月に示された答申では、女性活躍推進法における一般事業主行動計画策定、公表等の義務を果たしている事業者を公共調達の際に優遇し、事業者の取組を促すことが必要との考えが示されました。
 答申を踏まえまして、女性活躍の一層の促進に向けまして、これまでの総合評価方式における取組を速やかに拡充し、事業者における女性活躍や男性の育児休業取得促進等の取組を公共調達を通じてしっかりと後押ししてまいります。

○後藤委員 新たなインセンティブを設ける、その制度のご答弁が様々ございました。ぜひ積極的に前に進めていただきまして、企業における女性活躍の推進に向けてもしっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。
 女性活躍に向けては、男性の家庭進出も重要です。日本の育児休業取得率は、女性が九割を超える高い水準を保っているのに対して、男性は、上昇傾向にあるものの、たった一割程度にとどまっている、そんな状況となっておりまして、大きな課題となっているのが現状であります。
 都は、「未来の東京」戦略において、二〇三〇年に男性の育児休業取得率を九〇%、一〇%から九〇%と大きく目標を掲げておりまして、取得率向上に向けた取組を強化していく必要があると感じます。
 今後、男性の育児休業取得率を向上させるために、特に企業と連携した取組を実施するとともに、育児休業取得に積極的な企業を都としても応援すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、男性の育児休業の取得を促進するため、その休業中に代わりとなる社員を確保するなどの企業の取組に奨励金を支給しておりまして、来年度はこの規模を四百件から七百五十件に拡充いたします。
 また、男性の育児休業の促進に積極的な企業を幅広くPRする制度を創設いたします。この制度では、育休の取得で高い実績を上げた企業に登録マークを提供し、その活用により、働きやすい企業としてのイメージを効果的に発信し、人材確保につなげる仕組みといたします。
 こうした取組によりまして、男性の育児休業の取得を促進してまいります。

○後藤委員 奨励金の規模の拡充、そして男性育児の促進に積極的な企業のPRをしていくということで、ぜひとも、こうした企業の取組をしっかりとPRしていただきまして、取組を加速していただきたいと思います。
 次に、雇用対策について伺ってまいります。
 長引くコロナ禍により、雇用情勢の回復も後れを取っています。特に、コロナ禍で大きなダメージを受けている飲食業や宿泊業界で非正規雇用として働いている方々は、解雇や雇い止め、そしてシフト勤務の減少などにより、大変厳しい状況に置かれています。そして、非正規雇用の多くが女性であることから、その影響はより強く女性に表れています。
 一方で、IT等の情報分野や介護サービス分野などでは人手不足が続くなど、コロナ禍の雇用環境は、業種によって、さっきも述べましたが、大きく異なっているのが現状であります。
 都は今年度、我が会派の提案を踏まえ、二万人を超える雇用支援を行う東京版ニューディールを実施しておりまして、一定の成果を上げていると認識をしています。現在のコロナ禍における雇用環境を踏まえ、離職を余儀なくされた方々が人材ニーズの高い業種で新たな職に就けるよう、効果的な支援を実施することが求められていると思います。
 今年度実施をしている東京版ニューディールの成果も踏まえ、雇用対策をより一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 感染症の影響が長期化しておりまして、非正規で働いていた多くの方々、離職を余儀なくされております。こうした方の再就職支援に当たりましては、成長が見込まれるIT産業や人手不足が続く介護分野などへの人材シフトを促進する視点が重要です。
 こうした視点に立って、都は今年度、東京版ニューディールを展開いたしております。ITなど採用意欲の高い分野において、職業訓練やマッチング支援などを着実に進めておりまして、一月末までに約二万一千人の就職のサポートを行っております。
 来年度につきましては、こうした取組を促進するため、デジタル分野の職業訓練を大幅に拡充をし、介護分野においては専門的な人材を育成してまいります。また、女性向けのオンライン訓練を開始して、経理や医療事務など安定的な就労につながる資格の取得に向けました支援を強化いたします。
 さらに、ITや介護の業界団体と連携しまして、マッチングの機会を増やすなど人材シフトにつながる雇用対策を加速させてまいります。

○後藤委員 今の知事のご答弁では、さらにこの東京版ニューディールの政策を拡充していくとの答弁がございました。ぜひデジタル分野の裾野を広げていただきまして、特に、このコロナ禍で困難を抱える女性たち、こうしたところにも寄り添った支援をお願いしたいというふうに思います。
 次に、テレワークの導入について質問をしたいと思います。
 テレワークは、感染拡大防止と事業活動の両立に極めて有効であることに加え、ライフ・ワーク・バランスを実現するなど、働き方改革を促進する重要なツールであります。
 テレワークの実施率が約六割に達している中で、さらなる普及啓発を図るためには、導入が困難とされている業種の企業に対しての支援が重要です。ぜひともきめ細かな支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、テレワークの実施が十分に進んでいない業種の企業に対しまして、伴走型の支援を開始いたします。
 具体的には、三百社の中小企業等に対して専門家を派遣し、テレワークで実施できる業務の洗い出しなどを助言いたします。また、社外からリモートで事務処理のできるソフト等を購入する経費について、最大で二百五十万円、二分の一の助成などを行います。

○後藤委員 今のご答弁では、最大で二百五十万円、二分の一の事務処理ソフトの購入助成などを行うというご答弁がございました。ぜひとも、この事業の推進に当たっては、なかなか導入が困難である、その理由が非常に重要だと思っておりますので、丁寧に意見を聴取していただきまして、支援策につなげていただくことを要望したいというふうに思います。
 次に、デジタルを活用した商店街の活性化について質問します。
 地域住民の消費生活を支える商店街は、少子高齢化の進展など、時代の変化とともに、住民生活を幅広く支える存在へと変化をしています。一方で、大型店の出店やネット販売等による消費スタイルの多様化に加え、デジタル化への対応が求められる中、商店街活動の担い手不足もあるなど、多くの課題に直面しています。
 商店街が地域のインフラとしての役割を保っていくためには、地域のほかの団体と連携し、時代の変化を捉えて柔軟に対応するとともに、商店街が自らの活動を振り返り、次の取組へつなげていくことも重要だと考えます。
 商店街がデジタル技術の活用をはじめ、時代の変化に対応した新たな取組を進められるよう後押しすべきと考えますが、見解を伺います。−−知事の見解を伺います。

○小池知事 商店街についてですが、ご指摘のように、住民の買物の場であるとともに、人々が交流する地域コミュニティの中心として、日々の暮らしの中に安全や安心を生み出す重要な役割を果たしています。
 社会や経済の状況が急速に変化する中で、商店街が地域の様々な団体と連携しながら、IT技術の発展など時代の流れに対応した取組を着実に進め、その活性化を図るということは重要です。
 このため、感染症の拡大防止に商店街を挙げて積極的に取り組む場合であったり、新しい技術を取り入れたデジタルスタンプラリーなどのイベントを開催する取組への支援を強化してまいります。
 また、イベントなどによる集客の成果を踏まえて、次の取組に着実につなげていけるように、人流データなどの活用を後押ししてまいります。
 こうした取組によって、様々な変化に柔軟に対応しながら、より質の高い戦略的な取組を進める商店街を支援してまいります。

○後藤委員 今の知事のご答弁では、商店街の役割自体も日々変わっていると、地域コミュニティとしての中心にあるというご答弁がありました。一方で、商店街の皆様から話を聞いていると、やはりなかなか、デジタル化への対応というところで、データなどをどのように扱ったらいいか分からない、そういった課題もお聞きをしております。
 今回、この人流データなどの活用を後押しするということで、ぜひとも、このデータの活用などをしっかりと取組の後押しをしていただきまして、商店街振興の活性化に向けて取組を加速していただきたいと思います。
 次に、労働者協同組合について伺います。
 働く人たちが資金を出し合って、経営に携わる労働者協同組合に法人格を認めるという法案が国会において全会一致で成立し、新たな働き方が実現しようというふうになっております。
 協同労働とは、事業主に雇用される雇用形態とは異なりまして、労働者が自ら出資をすることで、対等な立場で事業に従事すること、それによって、多様な働き方を促進できるものと大きく期待をされています。
 本法案は、二〇二〇年十二月に成立をしておりまして、二年以内に施行となっております。既に、徳島県では労働者協同組合の設立に向けた相談窓口が設置されたり、埼玉県でも自治体向けの説明会を通じた普及啓発が行われるなど、対応が順次進んでおります。
 今後、都におきましても、新たに誕生する働き方となる労働者協同組合について、都民への制度普及啓発や設立の相談など、積極的に支援を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 労働者協同組合ですが、介護、子育てなど、地域の様々なニーズに応じた事業を展開し、多様な就労機会を創出することが期待されています。
 こうした組合を地域課題を解決する担い手として位置づけまして、区市町村とも連携し、その活動の促進を図ることが重要です。
 このため、都は、組合の設立を検討する方々や団体に対しまして、説明の場を設けるとともに、相談窓口を開設します。また、専用のウェブサイトを開設しまして、活動事例等を発信することに加え、ワークショップを開催するなど多様な働き方の一つとして、都民に幅広く紹介をいたします。
 さらに、この組合と連携をし、地域の課題を解決できるよう、庁内に制度内容等を周知しまして共有を図るとともに、区市町村に対するガイダンスを実施いたします。
 こうした取組によって、労働者協同組合の誕生を後押しし、地域社会にしっかりと根づかせてまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。
 今のご答弁では、相談窓口の設置や周知徹底など、多くの制度が前進をすることになりまして、高く評価をしたいと思います。
 今回、この労働者協同組合という制度は、まだ新しい制度ということもあり、この周知啓発というのが大きな課題です。まずは一人でも多くの都民にこの協同労働という新しい働き方を知っていただく取組の強化について、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、労働者協同組合が地域にしっかりと根づいていくためには、地域課題を解決する新たな担い手として、地元の区市町村はもとより、地域活動に取り組む町会や自治会、NPOなどとも手を携えていくことが重要ではないでしょうか。
 そこで、労働者協同組合が地域における多様な主体と連携して活動が進むよう取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○武市生活文化局長 労働者協同組合法によりますと、この団体は、多様な就労機会の創出、地域の需要に応じた事業を実施することで、持続可能で活力ある地域社会の実現に資するものとされております。
 都は、町会、自治会など、地域の団体が主体的に活躍できるような様々な取組を区市町村と協力して展開し、地域コミュニティの活性化を図っているところでございます。
 労働者協同組合につきましても、その目的とするところは共通でございまして、組合の活動情報を区市町村と共有するなどして、様々な連携の形を検討してまいります。

○後藤委員 法施行はこれからということで、今後、地域の様々な団体との新しい化学反応、こうしたものに期待をしたいというふうに思っております。ぜひとも今後は、地域のあらゆる団体と連携し、地域活性の一助となる取組に、ぜひとも後押しをしていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 次に、漫画、アニメなどのメディア芸術支援について伺います。
 漫画、アニメといったメディア芸術は、クールジャパンの代表的なコンテンツであるとともに、東京の芸術文化を支えています。いまだ新型コロナウイルス感染症の猛威が続く中、コミックマーケットなどのイベントの中止や延期が続き、イベントを楽しみにしているファンや作家等は厳しい状況に置かれています。
 さきの第一定例会、我が会派の代表質問において、我が会派は、様々な芸術文化団体等の要望や地域の実情を踏まえた新たな政策を展開していくべきと提案をし、それに対して都からは、芸術文化団体等とのネットワークを通じて得られた意見や提案等を今後の施策展開に生かしていくとの答弁を得ています。
 都は、アートにエールを!東京プロジェクトにおいて、文化活動を行うアーティストの支援を行ってきておりましたが、東京の芸術文化を支える漫画、アニメのイベントにおいても助成対象とすべきです。
 東京の芸術文化である漫画、アニメのイベントについては、支援の手を差し伸べるべきだと考えますが、見解を伺います。

○武市生活文化局長 都はこれまでも、様々な助成制度により、漫画やアニメなどのメディア芸術を含む幅広いジャンルの芸術文化活動を支援してまいりました。
 来年度は、多くの文化団体やアーティスト等が参加できる文化プロジェクトへの助成を新たに開始することとしておりまして、この助成においても、漫画やアニメ等のメディア芸術を対象といたします。
 このような取組を通じて、芸術文化を楽しむマインドの回復と、多様な芸術文化活動のさらなる活性化を図ってまいります。

○後藤委員 今回、文化プロジェクトの助成も、漫画、アニメが対象となるということで、当事者の皆様、関係者の皆様にとっては大きな前進であるというふうに思います。
 重ねて申し上げますが、漫画、アニメは世界に誇る日本の文化でもあります。しっかりと東京都としても、支援の強化をお願いして、次の質問に参ります。
 次に、デジタルミュージアムについて伺います。
 都は来年度予算に一億円を計上し、東京の自然情報に関して、デジタルで発信する事業を立ち上げるとのことです。
 東京の自然は、二千メートル級の亜高山帯から伊豆・小笠原諸島など固有種を有する島しょ部、ラムサール条約登録湿地など、多様で豊かな自然に恵まれていますが、気候変動による影響で、日々刻々とその姿を変えています。
 我が会派はこれまで、東京の豊かな自然情報を収集、保存、分析、発信する戦略的な拠点として自然史博物館を設置し、ゼロエミッションや自然環境保全に関する都民の意識を喚起して、都民と共に東京の自然を守っていくべきだと提案をしてきました。今回の予算は、その第一歩として極めて重要なものであり、高く評価をしたいと思います。
 一方、世界に目を向ければ、今年はパリ協定の生物多様性版ともいえるCOP15が開催される予定もあり、これを受けて東京もまた、生物多様性地域戦略を策定することになっています。
 そこで、自然環境デジタルミュージアム構想については、生物多様性地域戦略の中で戦略的な役割を果たす重要事業として位置づけるとともに、デジタルの力も最大限生かして、これまでにない自然史博物館の姿を描くことができるよう取り組むべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京には里山の美しい原風景など、様々な自然、多様な自然が広がっておりまして、それがもたらす生物多様性の恵みなど、東京に残された豊かな自然環境を身近に感じられることが自然を守る共感を育むことにつながってまいります。
 都民や企業などの関心と共感、行動につながる効果的な取組を推進することを目指しまして、東京の魅力的な自然環境を最新のデジタル技術を駆使して発信する自然環境デジタルミュージアム構想の検討を開始いたします。
 構想の検討に当たりましては、情報発信に加えて、自然環境情報の収集、保管、蓄積、保全に関わる都民や企業の活動支援など、生物多様性保全に必要な機能を幅広に検討してまいります。
 とりわけ来年度につきましては、デジタル技術を活用した自然情報のコンテンツを作成しまして、先行して発信をいたします。
 今後、人々が集い学べる都独自の自然環境デジタルミュージアム構想を新たな生物多様性地域戦略に位置づけまして、都民の共感を得ながら、豊かな自然があふれて、生き物と共生する都市を目指してまいります。

○後藤委員 今、知事からも大変前向きなご答弁がございました。ぜひ有識者や民間の力も活用して、新しい時代にふさわしい自然史博物館を描いていただきたいと思います。
 次に、マンション防災の表彰制度について伺います。
 都内において三十年以内にマグニチュード七以上の地震が来る可能性は七〇%以上といわれている中、マンションにおける防災力向上の取組も重要なテーマとなっています。
 都内は特にマンション居住者の割合が高く、分譲マンションだけ見ても、都内の約四世帯のうち一世帯がマンションに居住をしています。
 しかし、多くのマンションでは住民同士の交流の機会が少なく、発災時の備えについての意識向上や居住者連携などに課題があります。
 これまでの町会、自治会などの地縁を前提とした対策に加えて、マンション防災においては共助の支えとなる対策が必要不可欠です。
 横浜市では、よこはま防災力向上マンションという認証制度を活用して、ソフトの取組強化だけでなく、発災時におけるマンション内の共助の取組を促す仕組みもスタートしています。
 都では現在、東京都LCP住宅という形で建物の防災性能とソフトの取組を評価する取組というものがございますけれども、二〇一二年の制度創設以来、なかなか実績が振るわないということもございまして、抜本的な制度の改善というものが急務であると思います。
 例えば、このLCP住宅という名称が、なかなか都民にとっては分かりにくいということもございまして、例えばネーミングに防災というものを入れて、東京防災力向上マンションにするなど、分かりやすいネーミングに変更することや、管理組合法人などへのさらなる周知、さらには、登録におけるインセンティブなども設けるなど、対策を講じるべきだと考えます。
 東京都LCP住宅においては、制度周知を一層進め、マンションの共助の取組を促進すべきと考えますが、見解を伺います。

○榎本住宅政策本部長 地震災害時などにマンションで居住を継続するためには、居住者がハード、ソフトの両面にわたり共助に取り組むことが重要でございます。
 これまで都は、マンション管理ガイドブックで管理組合等に対し広く防災対策を促すとともに、エレベーター等の非常用電源確保や防災訓練などを行うマンションを東京都LCP住宅として登録、公表してまいりました。
 来年度は、非常用電源設備に太陽光発電や蓄電池等を活用した優良な事例等を調査いたしまして、そのノウハウや効果を広く発信するなど、LCP住宅のPRを強化いたします。
 こうした取組に加えまして、都民に伝わりやすい名称の付与や民間の知見も踏まえた制度改善を検討するほか、マンション管理業団体等への周知を積極的に行いまして、LCP住宅の登録を促進し、共助の取組を後押ししてまいります。

○後藤委員 今のご答弁では、名称の変更なども含めて、大胆な制度のアップデートも検討いただけるとのご答弁がございましたので、ぜひこうした議論を踏まえて、政策の実効性を上げていただく施策を進めていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 次に、隅田川における照明の設置について伺います。
 かつて水の都と呼ばれた江戸東京の歴史の中で、隅田川をはじめとする河川は、文化や経済、生活の中心でありました。現在においても河川は都市の中の貴重なオープンスペースであり、改正された河川敷地占用許可準則を適用したオープンカフェも開業されるなど、新たなにぎわいが生まれつつあります。
 特に照明施設については、隅田川下流で設置が進められている一方で、隅田川上流でも防災船着場付近や沿川の公園区域となっているスーパー堤防等では、照明が設置されている箇所もありますが、それ以外の箇所がなかなか暗いということで、夜間に水辺に近づきにくいという状況になっており、河川管理施設としても照明を計画的に設置していくことが重要だと考えます。
 私の地元足立区でも、千住曙町から小台、新田地域というところまで隅田川がずっと流れておりまして、河川のにぎわい創出や治安対策という意味でも、隅田川上流への早期設置を求める声が上がっているのが現状であります。
 そこで、今後は設置を進めている白鬚橋より下流の隅田川下流部に引き続き、その上流部においても照明の設置の検討を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○中島建設局長 都は、隅田川においてスーパー堤防やテラス整備を進め、水辺に親しみやすい環境を整えますとともに、夜の水辺に彩りを添え、人々が水辺に集い散策できるよう、テラスへの夜間照明の設置に取り組んでおります。
 具体的には、隅田川下流部のうち約九・六キロメートルの区間で設置を進めておりまして、今年度は言問橋下流左岸など約〇・八キロメートルで工事を実施しており、令和四年度は新大橋上流左岸など約〇・三キロメートルで工事を実施いたします。これにより対象延長の約九割が完成する見込みでございます。
 残る区間の整備に取り組みますとともに、今後は照明施設の設置による効果等を検証しながら、上流部への設置についても検討してまいります。

○後藤委員 上流部の設置についても検討していくというご答弁がございまして、大変喜ばしいことであると思います。さらなるにぎわいの創出に期待しつつ、早期の整備に向けて議論をぜひ進めていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 次に、日暮里・舎人ライナーの事故対策について質問をいたします。
 昨年十月に発生した千葉県北西部地震において、足立区で震度五強を観測し、日暮里・舎人ライナーでは車両の脱輪事故が発生しました。十分な検証を行い、今後の対策につなげていくことが不可欠であります。
 事故の詳細な報告については、現在国の調査中という認識をしておりますが、今後いつ起こるか分からない大災害に備え、今できる対策は速やかに講じていくべきだと考えます。日暮里・舎人ライナーの震災対策を今後どのように進めていくのか、見解を伺います。

○内藤交通局長 現在、国の運輸安全委員会により日暮里・舎人ライナーの脱輪原因等に関する調査、分析が行われておりますが、交通局といたしましても被災状況の検証を進め、局独自に取り得る対策を速やかに講じることといたしました。
 具体的には、緊急地震速報を受信した際、これまでは指令所の職員が手動で列車停止の操作を行ってまいりましたが、自動停止機能を追加することで、より迅速な列車の減速、停止を可能とするものとし、今月三日から運用を開始したところでございます。
 また、今回の事案では、先頭の車両が分岐部にございます段差に落ち込みましたことから、段差を解消するための部材を設置いたしまして、万一脱輪した際の衝撃を緩和することとしております。
 この工事につきましては、国の認可を得ました上で、令和四年度中の完了を予定しており、引き続き、運輸安全委員会の調査にも協力しながら、お客様の安全確保に努めてまいります。

○後藤委員 自動停止機能や段差の解消など、速やかに対策を講じていくとの答弁がございました。今後も災害は待ったなしといわれる中で、都民の命を守るためには、今できる対策を今後も速やかに講じていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に参ります。
 次に、デジタルツインの活用について伺います。
 デジタルツインは、まちづくりへの活用や防災のほか、少子高齢化、人口減少、交通渋滞などの都の抱える課題をサイバー空間で分析、シミュレーションすることによって、都庁各局の最適かつスピーディーな意思決定、そして政策立案の実現へとつなげるものです。
 これまで都は、東京都における「都市のデジタルツイン」社会実装に向けた検討会を設置するとともに、デジタルツインを実体験することで、都民理解の向上を目指す3Dビューアーを構築してきました。
 今後は、各局及び民間事業者が活用できる共通基盤データとして、地形や建物の形状などを点の集まりとして三次元の空間上に表現できる、いわゆる点群データというものを取得し整備するなど、デジタルツインの活用により、都政課題の解決につなげるべきだと考えますが、見解を伺います。

○寺崎デジタルサービス局長 デジタルツインの実現に向け、都はこれまで、河川や都営バスの運行状況などをリアルタイムで表示する3Dビューアーを構築するとともに、年度内に運用ルール等を定めたロードマップを策定することとしております。
 来年度は、デジタルツインの高度化を図るため、新たに地形などを三次元で表現するために必要な点群データの取得、整備を都内全域で進め、都や区市町村の防災対応力向上のためのデジタルツインを活用した水害シミュレーションの構築や山岳道路の斜面点検、土石流に対する安全対策など、各局事業での活用を進めてまいります。
 こうした取組によりまして、施策の質とスピードの向上につなげ、都政課題の解決を図ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。
 今回の点群データのように、デジタルツイン内のデータが増えるほど、多くのシミュレーションが可能になるということで、一層の相乗効果が期待できます。ぜひ着実に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、中小企業のゼロエミッション実現に向けた支援について伺います。
 東京都は、二〇五〇年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を目指すため、二〇一九年十二月にゼロエミッション東京戦略を策定、公表いたしました。
 そうした中、中小企業もゼロエミッションに向けて取り組むことで、光熱費、燃料費削減などの効果が見込めるだけでなく、新事業分野開拓による売上げの拡大や金融機関からの融資獲得などのメリットも期待ができます。
 そこで、都内の中小企業のゼロエミッション実現に向けて、経営力や技術力を高め、資金もしっかりと確保できるよう、都として支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京の中小企業がゼロエミッションに向けた事業を立ち上げ、力を発揮することで、東京の産業は持続可能な力強い発展を実現することができます。ましてや、今、ウクライナでのこの状況があるわけでございますので、ゼロエミッションというのは単に経済だけでなくて、さらに−−経済と、そして環境と、両方の課題になっているわけです。
 都として、中小企業が脱炭素化を進める事業を伸ばすロードマップをつくって、その内容を確実に実現できるように、複数年にわたって専門家が伴走して支援をするというものです。
 また、中小企業が優れた技術力を転用して、環境への負荷が少ない製品を開発することで、新たなマーケットを生み出す取組を強力に支援をしてまいります。
 さらに、脱炭素化に役立つ革新的な技術やサービスを開発するベンチャー企業を後押しするファンドを民間とともにつくり上げまして、資金の提供と併せて経営面からのサポートも行ってまいります。
 これらの取組によってグリーンイノベーションを創出し、東京におけるゼロエミッションと経済成長の両立を図ってまいります。

○後藤委員 今、知事からは、中小企業のゼロエミッション実現に向けての様々な決意と取組についてご答弁がございました。
 中小企業のゼロエミッション実現に向けては、特に自動車の非ガソリン化などゼロエミッションが進む中で、モビリティー関係企業などに対して、それらに対応した技術的、資金的な支援を行うなど、新しい事業への転換に向けたサポートを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、中小企業が自動車などモビリティー関連の産業分野で脱炭素化に役立つ技術を使い、事業の発展を実現できるよう支援を進めてまいります。
 具体的には、来年度より産業技術研究センターにおきまして、ガソリン自動車等の部品をつくる中小企業が事業転換を進められるよう、セミナーなどにより、EV等に係る情報提供を行います。
 また、同センターの体制を充実し、中小企業がゼロエミッション化に向けて開発する製品の品質を評価いたします。
 さらに、中小企業振興公社を通じ、エンジン部品の製造技術を生かし、環境に配慮した製品開発で必要となる経費の三分の二を、一千五百万円を上限に助成いたします。
 これらによりまして、中小企業のゼロエミッション化の取組と持続可能な発展を後押ししてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 これまでの質疑では、グリーン、デジタル、そしてダイバーシティなど、様々な質疑をしてまいりました。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、三十一名の議員が心を一つに合わせ、どんな小さな課題にも光を当て、真の都民の利益の代弁者になる、東京の魅力を磨き上げ、日本全体を牽引していく、東京大改革から日本大改革を実現していくために、これからも全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質疑を終わります。(拍手)

○福島副委員長 後藤なみ理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時四十六分休憩

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