予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議
○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 この際、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 漢人あきこ議員及び上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、三月九日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 この際、本件に対し発言の申出がありますので、これを許します。

○原委員 日本共産党都議団を代表し、委員外議員発言の申出について意見を述べます。
 会議規則第六十三条は、委員会は、審査または調査中の事件について必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明または意見を聞くことができる、委員でない議員からの発言の申出があったときもまた同様とすると定めています。
 この委員外議員の発言は、常任委員会については全ての議員がいずれかに所属しており、所属する常任委員会以外でも委員外議員の質問が自由に行えるということになれば、現在のルールが成り立たなくなってしまいますから、限定的に運用せざるを得ません。しかし、当初予算の審議は、議会、議員にとって特別に重要なものです。一人会派、無所属会派を含めて、全ての会派が予算審議に参加し、発言できるようにすべきです。
 都議会では、予算の審査が予算特別委員会と各常任委員会に分割付託されるルールになっていますから、予算特別委員会に委員を出していない会派は、自分が所属している常任委員会に分割付託された部分しか予算審議をすることができません。少数会派には予算全体の審査に発言の機会がないということであり、都民に選挙で選ばれ、都民の願いを前に進めるために、来年度の予算を審査するために発言を求めるのは当然のことです。
 したがって、予算特別委員会の委員以外の漢人あきこ議員と上田令子議員から提出された委員外議員発言の申出は、会議規則どおり認めるべきです。ぜひ一歩踏み出そうではありませんか。
 また今後、予算特別委員会の構成そのものを、一人会派、無所属会派を含めて、全会派が参加できるように検討することを提案して、発言といたします。

○三宅委員長 発言は終わりました。
 本件は、起立により採決いたします。
 漢人あきこ議員及び上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○三宅委員長 起立少数と認めます。よって、漢人あきこ議員及び上田令子議員の発言は許可しないことに決定しました。

○三宅委員長 次に、委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁を行い、また、マスクの着脱をされる場合には、速やかに行っていただけますようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 次に、傍聴人の方々に申し上げます。
 傍聴人の方々は、東京都議会委員会傍聴規則を守って、静粛に傍聴を願います。
 傍聴人は可否を表明したり騒ぎ立てるなど、議事の妨害となる行為をすることは禁じられております。委員会傍聴規則等に違反する場合には退場を命ずることがありますので、念のため申し上げておきます。ご協力を願います。
 これより順次発言を許します。
 松田康将委員の発言を許します。

○松田委員 先般逝去された石原慎太郎元東京都知事は、東京から国を動かすをキャッチフレーズに、時には国や経済界とも対決を辞さない力強い姿勢で渡り合いました。バブル崩壊後の財政危機にあえぐ都政から脱却をし、今日の都政の礎を築いたのは、まさに石原元知事の優れた経営手腕とリーダーシップにほかなりません。
 二月二十四日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国際秩序の根幹を揺るがすものであります。また、武力による一方的な現状変更は、国際法や国連憲章の重大な、かつ深刻な違反であります。
 このことから、三月三日、東京都議会は、ウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現を求め、全会派一致で決議を行いました。
 コロナ禍が二年を超え、ウクライナ危機によって日本経済や国民生活に重大な影響も危惧される中、小池知事におかれましては、この国難というべき都政の危機に当たり、首都東京のリーダーとして、都民の暮らしと都内事業者の経済活動を守り、子供たちの未来を共につくることをお願いをして、質問に入ります。
 東京は、かつてない複合的な危機に直面をしております。首都東京を守る知事として、都民の命と暮らしを守るため、あらゆる危機への備えを万全にするべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 危機管理の要諦、私はいつも、備えよ常にの精神で、平時から有事を想定した対策を講じることだと、かねてより述べてまいりました。これまで経験したことのない危機から都民の命と暮らしを守り抜く、そのためには、例えば最新のDXや先端技術も活用しながら、あらゆる事象に対して、ハード、ソフト両面からの危機管理対策を強化していかなければなりません。
 都におきましては、現在、ご存じのように、新型コロナウイルスという見えない敵に対して、医療提供体制の整備、そしてワクチン接種の促進など、様々な対策を講じてまいりました。現在もそうであります。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴います経済への影響などに備えた支援を直ちに措置をいたしたところでございます。
 さらに、いつ起きてもおかしくないのが首都直下地震等でございますが、これらにつきましては最新の知見を反映した新たな被害想定の策定を進めるとともに、豪雨災害やテロ対策などを含めました都市の強靱化に向けたプロジェクトを立ち上げて、強力に推進をしてまいります。
 今後とも、万全の備えを固めて、首都東京のまち、そしてそこに暮らす人々を守ってまいります。

○松田委員 知事はよく光のスピードで邁進するとおっしゃいます。今回のウクライナ危機に関しても、光のスピードで柔軟に、かつ機動的に取り組まれることをお願いして、次の質問に参ります。
 次に、ウクライナ危機に関する支援についてお伺いをいたします。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から十日余りが経過をし、現地の被害はさらに増しています。ロシアからの攻撃を避けるため、ウクライナからの国外退避者は、既に百五十万人を超えております。
 二回目の停戦協議で人道回廊の設置が合意をされましたが、これは停戦に直結する動きではなく、市民の退避後にさらなる攻撃を仕掛けるとの見方もあり、今後さらに避難民が増加するおそれもあります。
 こうした中、岸田総理は、国際機関と連携をして人道支援に一億ドルを拠出するとともに、ウクライナからポーランドなど第三国に避難をされた方々の我が国への受入れを表明をされました。
 そこで、都として、一刻も早く国と連携をしてウクライナ難民受入れに向けた準備を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘がありましたように、ロシアの軍事侵攻によって、多くの罪のないウクライナ国民が住み慣れた土地を追われる中で、国際社会が一丸となって人道支援を講じていくことは重要であります。
 これまで日本政府は、世界各地におけます人道危機に対しまして、状況に応じて緊急物資や食料の配布、保健、医療、衛生、教育などの支援を実施してきておりまして、今回のこのウクライナ危機におきましては、住居や生活等に係る支援が必要になると考えられております。
 こうしたことから、避難民受入れなどの人道支援につきまして、都として早急に対応する必要があり、国に対しましては、明確に方針を打ち出すように緊急要望もいたしております。
 今後、ウクライナへの人道支援につきましては、国から都に対して要請があれば速やかに対応してまいります。

○松田委員 東京都には平和の日条例というものがあります。もうすぐ東京大空襲で大きな被害を受けた三月十日を迎えます。
 平和国家日本の首都として、国際秩序の形成と恒久平和の実現に貢献する責務の下、ウクライナ難民の受入れなど、人道支援を積極的に行うべきと考えます。
 こうした動きは、既に愛媛県や群馬県大泉町など、首長の決断で迅速に動き始めている自治体があります。避難民にとって一日というのはどれほど長いものか。
 東京都も、例えば都内公営住宅の活用など、速やかな準備を進めるお考えはありますでしょうか。知事にお伺いいたします。

○小池知事 今、人道支援の動きが国内でも広がっております。
 先ほど、国に対しましても緊急要望をし、また、国からの要望がございましたら、それに迅速に対応するように備えてまいりたいと思います。

○松田委員 今、公営住宅、都では都営住宅ですとか、区市町村に依頼をすると、いろんな手段があると思いますが、都営住宅をこの難民受入れ、ほかの区市町村、また県、表明しているところがあります。こちらを活用するご予定、お考えはありますでしょうか。

○小池知事 どういう形が最も有効なのか、それに対しましては精査をしていきたいと考えます。

○松田委員 私、冒頭、光のスピードでお願いしますと申し上げました。ぜひ他自治体を率先して引っ張っていく首都東京の知事として、早い決断と人道支援をお願いいたします。
 続いて、具体的な中小企業事業者への支援について質問をさせていただきます。
 ロシアによるウクライナへの侵攻は、原油などエネルギー価格の高騰や様々な原材料価格の高騰などの形で、遠く離れた東京へも影響を及ぼしつつあります。
 特にものづくりに関わる中小事業者からは、燃料費、材料費の高騰や調達の不透明感から、経営の次の展開に見通しが立たないという声も上がっており、特に中小零細企業は厳しい経営環境に立たされております。また、農家や漁業者にとっても、燃料となる原油の価格の値上がりは経営に直結するものであります。
 原油高の長期化も予想される中、製造業をはじめとした中小零細事業者や農林水産業に対してどのように支援を展開していくのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 現在のウクライナ情勢、日々刻々と事態は変化をしている中でございますが、この情勢が続きますと、資源の安定供給への懸念が広がって、例えば原油ですと、米国の指標になりますWTI、これが一バレル百三十ドルを超えるなど、様々な価格の一層の高騰も危惧されているところでございます。
 こうした状況、東京の産業に及ぼす影響を抑えていく、そのために中小企業や農林水産の事業者などへの支援を金融と経営の両面から速やかに進めていく必要がございます。
 中小企業の経営の命綱となります資金繰りでありますが、これを下支えするということから、新たな融資メニューを創設するところであります。
 また、エネルギー利用の大きいものづくり産業ですが、電力などの固定的なコストを引き下げられるように、専門家による助言、また、設備の導入への助成を行って、経営の効率化を後押ししてまいります。
 さらに、農林水産業でありますが、コストの上昇による経営への影響を低減する支援も行ってまいります。事業者向けに貸付制度を新たにスタートするほか、漁業者の使う燃料費、畜産農家が買い入れる飼料、飼料費でありますが、それらの負担を抑える支援など、きめ細かなサポートを展開いたしてまいります。
 これからも都内経済への影響の長期化なども見据えまして、スピード感を持って、機動的、弾力的に対応してまいります。

○松田委員 金融と経営、両面から支援していくというご答弁をいただきました。
 それでは、個別に伺ってまいりたいと思います。
 まず、金融支援についてでありますが、原油や原材料価格が高騰する中、都内の中小企業や農林漁業者の当面の事業継続を支えていくには資金面での支援が欠かせませんが、具体的にどのような支援を行っていくのか、その内容を伺います。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢により、原油等のエネルギーに加え、資材や穀物の価格の高騰など、事業者の経営に様々な影響が生じることが懸念されております。
 このため、都は、こうした状況の下、経営に影響の出る中小企業に向けて、新たな制度融資メニューを創設いたします。低利で融資を行い、その信用保証料について、小規模事業者では四分の三、その他の事業者では三分の二の補助を行うことといたします。
 また、燃料や飼料等の価格高騰により経費負担が増加する農林漁業者などの資金繰りを支援するため、無利子で融資を行う新たな制度を開始いたします。
 これらにより、様々な事業者を金融面から下支えしてまいります。

○松田委員 ただいま信用保証料への補助、無利子融資というご答弁いただきました。
 先ほど知事も、機動的、弾力的ということですので、この長期化などの状況にも応じて、ぜひ拡充も検討していただければと思います。
 次に、製造業における原油価格高騰の対策について伺います。
 製造業においては、原油価格高騰は燃料コストに加えてプラスチック製品などの原料代の上昇にもつながって、現在の厳しい状況に加えて、より経営が悪化することが懸念をされます。
 東京都は、ものづくり企業に対して、緊急対策を行うことを公表いたしましたが、今後、こうした状況が長期化することも見据えた支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 製造業種の中小企業は、原油をエネルギーとして利用するほか、原材料にも使うなど、他の業種よりもその価格高騰の影響を受けやすい状況がございます。
 このため、都は、電力などの固定的なコストを減らす設備等の導入を後押しする緊急的な支援を開始いたします。
 具体的には、今月から中小企業診断士を企業の現場に派遣し、設備の導入やコスト改善に向けたアドバイスを行います。
 また、こうした助言に基づいて高効率の空調設備やLED照明機器などを導入する際に必要となる経費について、その五分の四を、三百万円を上限に助成いたします。
 今後、厳しい経営環境が続くことも見据え、中小企業における事業継続をきめ細かくサポートしてまいります。

○松田委員 空調設備やLED照明などの導入経費を助成することによって、間接的に事業者を支援していくというご答弁をいただきました。
 状況は刻々とまた変わっていきますので、臨機応変な対応を産業労働局にもお願いをいたします。
 次に、漁業、畜産業への支援を伺います。
 ロシアやウクライナは、原油や天然ガスなどのエネルギーに加えて、飼料の原料となるトウモロコシや大麦、小麦の主要な生産地であります。こうした資源の安定供給に関する懸念も出ております。
 こうした価格高騰は、漁業における船舶の燃料や家畜の飼料の調達コスト増加につながっていき、東京の漁業、そして畜産業にも影響を及ぼすことが考えられます。
 今後さらなる価格の高騰も予想される中、都内の漁業者や畜産農家が安心して経営を行っていけるよう支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、燃油や飼料等の価格上昇の影響を受ける漁業者や畜産農家に対し、その負担を減らすための支援を行います。
 漁業において、現在、燃油価格が一定の基準を超えて上昇した場合に補填を行う国の積立金制度がございまして、これに漁業者が支払う積立金の三分の二に助成を実施することとし、その支援内容をPRして利用を促進してまいります。
 また、飼料を買い入れる畜産農家についても同様の仕組みの国の積立金制度がございまして、都は、積立金の三分の二に助成を行う予定としており、制度の周知等を進めてまいります。
 こうした取組によりまして、漁業者や畜産農家の下支えを着実に行ってまいります。

○松田委員 今、様々なご支援、様々なメニューを局長からいただきましたが、知事、これは十分だとお考えでしょうか。
 知事もご認識のとおり、未曽有の国難にあります。今日伺った答弁は、これまでの経済支援の焼き直しのように見えるのは私だけでしょうか。
 いうまでもなく、首都東京は日本経済のエンジンであります。東京が他道府県を牽引していく役割を果たしていくべきであります。引き続き、メニューの拡充についても検討をお願いして、次の質問に移ります。
 次に、サイバーセキュリティについて伺います。
 現在、ウクライナの侵攻では、様々な形でサイバー攻撃も活発化をしております。先日は、トヨタの関連会社が攻撃を受け、工場が止まるなどの状況も発生をしております。
 コロナ禍によって、中小企業においてもDX化が進んできておりますが、デジタル化を進めることでサイバー攻撃の標的にもなりやすく、取引先の情報流出などのリスクも高まります。このため、セキュリティ対策が必要となりますが、経営体力に限界がある中小企業にとっては、自力で対策を講じることは難しい状況であります。
 都は、こうした状況を踏まえ、中小企業におけるサイバーセキュリティ対策を支援する取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 今回のウクライナ情勢の中で、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化の重要性が一層明確となったところでございます。東京の中小企業におきましても、その対応力を高めることは不可欠となっております。このため、被害の未然防止に向け、ウェブサイト等を通じて注意喚起を行ってまいります。
 都は来年度、中小企業のサイバーセキュリティ対策の向上に向けた仕組みづくりに支援を開始いたします。具体的には、対策の中心となる社員を育成できるよう、専門的な知識やノウハウを提供するセミナーを開催いたします。
 また、社内で対策を実施するための体制づくりなどを実践的に学ぶワークショップを開催するとともに、その企業に四回まで専門家が出向き、相談や助言を行います。
 今後、サイバーセキュリティ対策の充実について、スピード感を持って機動的かつ弾力的に対応してまいります。

○松田委員 オリンピック・パラリンピック二〇二〇大会のときにも多くのサイバー攻撃があったと伺っております。また、平和に対して、都民、国民の意識が希薄になってしまっている感も否めません。
 危機管理について、もう少しお伺いをしていきたいと思います。
 首都直下地震など、現在は何が起こるか分からない状況であります。新宿都庁にある東京都防災センターが機能不全に陥った場合の対応も想定しておく必要があります。
 国は、平成十五年に、緊急災害対策本部の設置場所として、まず首相官邸、二番目に内閣府、そして三番目に防衛省としております。しかし、これらの施設が甚大な被害を受けた場合は、立川広域防災基地内に政府の災害対策本部が設置をされるとしております。
 立川地域防災センターは、国が整備をした立川広域防災基地内にあり、情報収集、連絡調整、物資などの備蓄、輸送など、重要な機能を有しております。
 そこで、首都東京の危機管理を担う知事として、重要な役割を担う立川地域防災センターをどう捉えているのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 立川地域防災センターでございますが、発災時には、多摩地域の防災活動の拠点となる施設であり、また、国、そして市町村等との情報連絡、そして、隣接する多摩広域防災倉庫とともに、救援物資の備蓄や輸送などの機能に加えまして、東京都防災センターのバックアップ機能を有しているところでございます。
 令和元年、東日本台風が起こりました。その際も、このセンターを拠点としまして、多摩の全市町村へ都の職員をリエゾンとして派遣をいたしました。奥多摩町の孤立地域がそのときも出てきたわけでございますけれども、ここは自衛隊と連携しまして、物資の輸送なども行ったところでございます。
 ご指摘のように、近年の激甚化する、また頻発化する風水害、そしていつ起こるとも知れない首都直下地震など、これらに備えていく。そのために関係機関がしっかり連携して活動できますようにオープンフロア化などの大規模改修を進めているところです。
 また、様々な災害事象を想定しまして、実践的な訓練の実施や、また発災時のオペレーションの精度を高めていくということは重要です。
 ハード、ソフト両面からの機能強化を図ることによって、多摩地域はもとよりでございますが、東京全体の災害対応力の向上につなげてまいります。

○松田委員 今ご答弁ありましたとおり、立川では、東京都防災センターのバックアップ機能を有しているというご答弁をいただきました。
 この発災時にしっかりと機能するセンターとなるように、ハード面の整備はもとより、訓練などのオペレーションなどの向上を含め、さらなる機能強化へ向けて取り組んでいただきたいと思います。
 そのような重大な役割を担う立川防災センターに近接をして、都は、国や他の道府県からの支援物資を受け入れるための拠点として、立川にある多摩広域防災倉庫を令和二年三月から運用をしております。
 首都直下地震発生時には、都内に甚大な被害が発生し、膨大な物資需要が発生することが想定をされております。各区市町村の避難所への必要な物資を遅滞なく供給する上で、多摩広域防災倉庫の果たすべき役割は大きいと考えます。
 平成二十八年、熊本地震がありましたが、当時、現地の物資拠点の周辺にトラックが滞留をして物資供給が停滞をしたり、広域輸送基地自体が被災をする、このような事態が発生をしました。都内においても同様の事態が発生しないとも限りません。
 そこで、様々な事態も想定をして、多摩広域防災倉庫を中心とした、災害時の円滑な物資供給体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○村松総務局長 都は、首都直下地震等に備えて、物資供給拠点の機能向上を図っているところでございます。
 多摩広域防災倉庫についても、物資輸送車両が滞留することがないよう、先月、周辺に立地する企業と車両の待機場所を確保するための協定を締結いたしました。
 また、この倉庫が被災した場合にも備えて、大手物流事業者が保有する施設を都の広域輸送基地として活用できる体制を確保しております。
 今後は、新たに、倉庫周辺の道路混雑や施設損壊への対応など、大規模災害発生時の様々な状況も想定した訓練を事業者と連携して実施することで、災害時の物資供給体制の充実強化を図ってまいります。

○松田委員 これからも、民間の事業者とよく連携をして、発災時に備えて一層の強化を図っていただきたいと思います。
 それでは、予算委員会でありますので、予算についての質問に移りたいと思います。
 今年度の一般会計に関しましては、予算規模は七兆八千億円、過去最大となりました。少子高齢化をはじめとして、コロナ禍、ウクライナ危機、様々な要因があって、見通しが厳しい中、東京都は、支出の面、こちらを見直して、また収入を増やす、両方の取組を進めていかなければなりません。
 まず、都財政の見直しの面から、財務局長にお伺いをいたします。
 今回の予算編成において、見直しや無駄の削減に向けて具体的にどのように取り組んでいるのか伺います。

○吉村財務局長 令和四年度予算編成では、成果重視の視点から施策全体の見直しを図るべく、新たに政策評価と事業評価を一体的に実施し、より効果的な新規事業の構築につなげるなど、施策の新陳代謝を一層強化いたしました。
 具体的には、一つ一つの事業の検証を行う事業評価においては、例えば統一体力テストの結果の分析等にデジタルツールを導入し実務を効率化するほか、現場の意見も踏まえまして、警察官の制服支給を合理化し経費縮減を図るなど、合計で千百十六件の見直し、再構築を行い、千百十七億円の財源確保につなげております。
 また、最終補正予算におきましても、予算の執行過程で無駄をなくす取組を徹底するため総点検を行い、現時点で執行しないことが明らかな事項など、約二千三百億円の歳出を精査するなど、財政の対応力の強化に努めたところでございます。

○松田委員 見直しを行ってきたということであります。
 一方、税収の方がどうなったかを次に伺いたいんですが、ウクライナ危機が長引くことになれば、さらなる原油高を含めて、日本経済への影響も懸念されます。
 今回、令和四年度都税収入は増収と見込んでおりますが、こうした状況を踏まえて、令和五年度以降、税収の中長期の見通しをどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○砥出主税局長 我が国の景気の先行きにつきましては、社会経済活動を継続していく中で、景気の持ち直しが期待されるものの、感染拡大による影響や供給面での制約、原材料価格の動向など、下振れリスクも指摘されております。
 また、今後、ウクライナ情勢の悪化が長期化した場合、原油だけでなく、小麦などの穀物やアルミニウムをはじめとする金属等の安定的な供給が懸念されており、コスト上昇によって、令和四年度の企業収益が低下する可能性もございます。
 こうしたことから、令和四年度の企業業績の影響を受ける令和五年度以降の都税収入の中長期的な見通しにつきましては、楽観できないものと認識しております。

○松田委員 中長期的な見通しは、楽観できないというご答弁でありました。
 ただいま財務局長に都財政の見直しを伺い、そして税収の見通しを主税局長にお伺いをいたしました。今ご答弁あったとおり、増収だからといって安穏としていいわけではありません。今回の危機をはじめとして、いつ何どき何が起こるか分からない状況であります。
 さらに、これから東京都は、風水害、震災対策で少なくとも十年間で二兆円の支出があると見込まれており、さらに高度経済成長期に多く整備をされた都有施設の維持更新費用、これが今後三十年間で約三兆円かかるといわれております。
 また、少子化、そして高齢化、人口減少、こういった中で、社会保障費も今後三十年見通したときに約十四兆円がかかってくるといわれております。将来を見据えて、危機感を持って、東京都の責任者として、知事には取り組んでいただきたいと思います。
 そして、知事には、この事業の峻別、そして無駄をなくすという取組、今後どのように進めてまいるのか、お伺いをいたします。

○小池知事 東京の経済、これを再生、回復させる、そして今、世界の都市間で熾烈な競争がございます。それに勝ち抜くというためには、まず時代の大きな潮流を捉える、それから、今、大きなテーマは、グリーン、デジタルとなっております。持続的な成長につながる分野に時機を逸することなく、ここは大胆に投資をしていくという必要もあるかと考えております。
 こうした考えの下、今ご審議いただいております令和四年度の予算ですが、脱炭素化、そしてDXの推進に重点的に財源を振り向けたところでございます。
 また、都内の経済を支える中小企業の稼ぐ力の向上、国際金融都市の実現など、成長戦略の強化にも積極的に取り組んでおります。
 一方で、財源が限られているわけでございまして、見直すべき事業についてはしっかりと見直す、このことが不可欠です。
 そのために、歳出の精査はもとより、評価制度をさらに進化させてまいります。そして、無駄をなくすと同時に、施策の新陳代謝につながりますので、それを一層強化いたしました。
 これからも、東京の成長と成熟の両立に向けまして、ここは戦略的かつ重点的な施策の展開を図るとともに、社会変化を踏まえた不断の見直しを徹底するなど、常に申し上げてまいりました。めり、そして張り、これの利いた持続可能な財政運営を行ってまいります。

○松田委員 今年度はグリーン、デジタルに力を入れて無駄を排していく、こういったご答弁でありました。無駄を排していくのは当然のことであります。これからも取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、今回のコロナ禍、ウクライナ危機を受けて、都民の生活を守るためにも使うべきところにはしっかりと使っていく、このことも併せて申し述べさせていただきます。
 また、無駄を削減する一方で、東京都の税収自体を上げていく取組もやっていかなければなりません。そのためには、コロナ禍で停滞をしてしまっている海外からの資本を呼び込む、また、東京に来たい、そういった企業も増やしていかなければなりません。
 先ほど知事のご答弁にもありましたが、成長戦略、これを描くには、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備する、そのために設けている国家戦略特区制度など様々な施策を組み合わせて、それぞれが連動していくことが重要であると考えます。こうした展開に向けて、都のご意見を伺います。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 都は、特区制度を活用したビジネス環境の整備を促進しており、MICEやインキュベーション施設などを伴う多様な都市再生プロジェクトを推進し、国際競争力の強化を図っております。
 こうしたビジネス環境を活用し、外国企業の積極的な誘致を推進しており、来年度は、デジタル化の進展などの状況変化を踏まえた、戦略的な広報展開を図ります。
 また、スタートアップの創出、成長に取り組む東京コンソーシアムの機能を強化するため情報プラットフォームを構築するほか、大学等を主体とした様々な取組とも緊密に連携を図ります。
 例えば、都市再生プロジェクトでは、これまでに提案した案件の合計で約二十一兆円の経済波及効果が見込まれると試算されています。
 引き続き、これらの取組を通じて、東京の成長戦略として稼ぐ力の向上に努めてまいります。

○松田委員 今、非常に大きなお話をさせていただきましたが、東京都にある企業の九九%が中小企業になります。この中小企業が自ら稼ぐ力、これをバックアップするのが、東京都の役割であると思います。
 コロナ禍から東京の経済を回復させていくには、この中小企業を元気にする、とりわけDX、先ほど知事もおっしゃいました、力を入れていく、この推進が必要であります。各管理業務などをデジタル化することで生産性も向上いたします。
 しかし、限られた資金で成長に向けた一歩が踏み出せない場合も多いと聞いております。
 我が会派においては、代表質問において、実態を踏まえたきめ細やかな支援を行うべきと質疑を行いました。デジタル化に資するソフトウエア導入の助成など開始しますよという答弁をいただいております。
 そこで、改めて、中小企業のDXに向けてどのような支援を行っていくのか、詳細を伺います。

○坂本産業労働局長 都はこれまで、中小企業が生産性を高めるために、専門家から助言を受け、最先端のデジタル技術を導入する場合に、その経費について最大三分の二まで、三百万円を上限に助成をしてまいりました。
 来年度は、コロナ禍において中小企業がDXに取り組む必要性やデジタル機器などの活用ニーズが高まってきていることから、支援規模を大幅に拡充いたします。
 また、社内の業務運営の効率化に向けて様々な事務のデジタル化に必要となる経費への支援を開始いたします。
 具体的には、会計処理等の事務手続をデジタル化するソフトウエアの購入などについて、百万円を上限に小規模事業者などに最大三分の二の助成を行います。
 こうした取組を通じまして、中小企業におけるDX化を後押しすることで、生産性の向上につなげてまいります。

○松田委員 今、坂本局長から具体的なご答弁をいただきました。
 特に、デジタル化するソフトウエアの購入に百万円上限で三分の二、こういった細やかな支援というのは非常に重要であります。
 この中小企業のDX化に向けては、都が個々の企業の実態を踏まえた、きめ細かい支援をしていくという、今お話でありました。
 しかしながら、東京の経済は、地域ごとに異なる多様な産業の集積に支えられております。個々の企業に対する支援だけではなくて、地域や産業の集積に注目したデジタル化の支援を行うことによって、より大きな成果が期待をできます。
 かねてから我が党が申し上げております、区市町村との連携が非常に重要であると申し上げておりますが、この区市町村による地域の産業特性を踏まえたデジタル化の取組を後押しするべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都内の各地域で、中小企業がデジタル化を進め生産性や競争力を高めることができるよう、地域の実情に詳しい区市町村を通じて支援を行うことは効果的でございます。
 これまで都は、区市町村が地域の特性を踏まえて産業振興の計画をつくり、様々な施策を実行する場合に必要な経費について支援を行ってまいりました。
 来年度は、地域の抱える課題をAIやIoTなどのデジタル技術を用いて解決を図る中小企業の取組等について支援を行う地元の自治体を三十選び、サポートを行います。
 具体的には、各自治体の支援経費に対し、都が三分の二の補助率で最大四千万円の助成を行います。
 これによりまして、区市町村を通じて中小企業のデジタル化を効果的に進め、地域産業の活性化を図ってまいります。

○松田委員 今、具体的に区市町村の支援ということで、三分の二の最大四千万、三十自治体というご答弁をいただきました。これ、もっともっと力を、初年度ですので、まずここから、そして、もっともっと力を入れていただきたいと要望いたします。
 この区市町村と連携して、デジタルを後押しする、そして、デジタル化で中小企業を活性化させる、その意味では、都は、二〇二〇大会の需要を広く波及させるために、組織委員会などの発注情報をサイト上で提供するビジネスチャンス・ナビ、これを立ち上げて運営してまいりました。我が党はこれまでも、一層の取組拡大を求めております。オンラインで情報を発信しマッチングする取組は、コロナ禍でも非常に有効であります。
 来年度は予算規模も拡充されておりますが、ビジネスチャンス・ナビ、本来の目的である商談の成立件数の増加に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京二〇二〇大会の開催に向けつくり上げたビジネスチャンス・ナビには、これまで約三万九千社が登録をしております。(「少ない」と呼ぶ者あり)登録をした企業は、このナビを使い様々な発注案件を調べ、オンラインによる商談を行うことができ、都はこうした取組を通じて受注機会の拡大を後押ししてまいりました。
 来年度は、商談後の契約をオンラインによって行う機能を設けることといたします。これによりまして、発注案件を調べて商談を行い契約を結ぶ、一連の全ての過程をシステム上で進めることができる仕組みをつくり上げてまいります。
 また、新たに民間の営業体制を活用して、受注と発注のニーズを掘り起こし、これをビジネスチャンス・ナビを通じ商談成立に結びつける後押しを行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の販路開拓を着実に支援をしてまいります。

○松田委員 来年度からは、このビジネスチャンス・ナビによって契約まで行く一連の流れをつくるというご答弁がありました。ただ、今ご答弁していただいたときに、これまで三万九千社が登録、少ないという声も上がりました。これ、どうして少ないのかというと、やはり視点が欠けているところがあるのではないかと思います。
 都の発注に関しても、この公共調達に関しても、積極的に登録を目指していくべきであります。拡大のためにはこういった視点が必要であることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、オープンデータの取組についてお伺いをいたします。
 平成二十七年第四回定例会におきまして、私は、公共データが官民問わず利用され、住民の利便性向上や新産業の創出が図られていくためには、都が保有するデータを極力利用されやすい形で増やしていくべきと指摘をさせていただきました。そして、その上で、オープンデータの取組をどのように進めていくのかと質問をしました。
 その際、データの利活用の基盤づくりをはじめとしたオープンデータ化を推進していくと当時の中西総務局長からいただきました。先日、総務局に伺ったところ、質問当時わずか二十三ファイルであったそうでありますが、そこから、総務局内でも年間二千八百ほどファイルを増やしていったということでありました。
 そして、その後、新たにデジタルサービス局を都は立ち上げられました。全庁的にDX化を進める中、オープンデータの活用の重要性はますます高まっております。データを活用して、新たなサービスを創出できる環境を構築していくことが重要であると考えますが、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 オープンデータを活用した行政課題の解決、そして民間の新サービスの創出に向けまして、都では現在、防災、また、まちづくりなど、計約五万件の行政データを公開しております。
 来年度はより一層の利活用を進めると、そのためにラウンドテーブルでの民間事業者の意見やシビックテックの声などを踏まえまして、ニーズの高いデータの公開を進めるとともに、オープンデータカタログサイトのアクセス性の向上など改善を続けてまいります。
 また、オープンデータ・ハッカソンについてでありますけれども、サービスの実装に向けた支援件数の拡充を図りますほか、海外に向けた情報発信などを強化するということで広く参加者を募りまして、多様なサービスの創出につなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、官民協働でデータの利活用を一層推進し、まさにこれがオープンデータですけれども、都民のニーズやライフスタイルに合ったサービスが提供される豊かな社会の実現を目指してまいります。

○松田委員 ご答弁いただきました。今、約五万件をオープンデータ化し、豊かな社会の形成に向けて取り組んでいるというご答弁でございましたが、あれから七年たって、ここまで進んできたことに改めて御礼を申し上げます。
 さて、私の地元の板橋区では、区議会議員の方が率先をして板橋区のオープンデータを活用して、小学校ごとの人口動態や地域の医療機関、保育園などをマップに落とし込む、こんな取組も行っております。板橋区のデータだけでも、これだけのことができますが、区市町村よりもさらに多くのデータを有する東京都が、区市町村でも推進をしているオープンデータの取組に対して、都としてのノウハウの提供、イニシアチブを取ってほしいとも伺っております。また、いろんなデータの、エクセルだったり、ファイルの違いとかもあります。こういったことを都が牽引をして引っ張っていただきたいと思っております。
 そこで、区市町村のデータ利活用をさらに促進するためには、都が区市町村との連携、そして民間事業者に対して、データ整備に向けた支援をしていくべきだと考えます。これまでの取組と、今後どのようにさらに進めていくのかを伺います。

○寺崎デジタルサービス局長 都は、これまでのデータ利活用の取組で得られた知見を自治体や民間事業者へ展開していくこととしております。
 今年度、全区市町村を対象に行った調査では、オープンデータ化への加工の手順が分からないなどの多くの声が寄せられました。こうした課題の解決に向け、都では現在、利活用しやすいデータへの変換ツールの利用方法等をまとめたマニュアルの作成を進めております。
 来年度は、区市町村との協議会等で、本マニュアルの普及啓発を進めますとともに、新たに民間事業者が保有するデータについても、都のデータ整備のノウハウを広く共有する取組を開始いたします。
 これらの取組によりまして、ニーズの高いデータを官民相互で利活用しやすい環境を整え、多様なサービス創出につなげてまいります。

○松田委員 来年度からは、今まで区市町村と連携していたのを、民間事業者のデータについてもノウハウを共有していくというご答弁でありました。先ほど、知事が、まさにこの官民一緒になって共同でやっていくのがオープンデータだというふうにおっしゃいました。ぜひ、その取組をこれからもさらに一層進めていっていただきたいと思います。
 このオープンデータについて様々な取組がなされてきたことを今確認しましたが、これをさらに多くの分野で活用していくことは非常に重要であります。
 その一つが観光産業であります。今コロナ禍で観光業界、非常に痛手を受けております。例えば、この観光事業者が活用しやすいデータを提供して、その利用を促すということは重要であります。
 こうした観光産業におけるオープンデータの活用について、これまでの取組、そして、今後さらにどうしていくのかを伺います。

○坂本産業労働局長 都はこれまで、外国人旅行者の訪問した場所や消費額などの統計データについて、観光事業者等が利用できるようにオープンデータの形で提供をしてまいりました。
 来年度は、事業者が必要な情報を速やかに検索し、表示された内容を容易に分析できるよう、グラフや表を用いたダッシュボードのサイトを新たに構築いたします。
 また、今年度、スタートアップと協力して新宿区内の観光スポットなどを掲載したデジタルマップを作成したところでございます。このマップの閲覧状況を基に、年度内には旅行者の関心等をオープンデータとして公表いたします。
 さらに、来年度はセミナーを開催し、これらのオープンデータをマーケティング等に活用する方法を紹介いたします。
 こうした取組によりまして、観光事業者の新たなサービス展開を後押ししてまいります。

○松田委員 オープンデータの利活用ということで、これからバックアップをしていただくということでありましたが、コロナ禍でなかなかデータが、観光ですので集まらないということもあると思いますが、苦しんでおられる観光業界、側面から少しでも力になれるよう、これからもよろしくお願いを申し上げます。
 次に、知的財産の保護について伺います。
 この件に関しては、本会議をはじめ、私いろいろな機会、この都議会で取り上げさせていただいてまいりました。革新的な技術やアイデアを持っているスタートアップ企業、これが事業拡大を目指すには、他社との差別化を図って、大学や大企業とのオープンイノベーションに取り組む必要があり、その取組を実行するには、知財の活用戦略を定めて、経営の一部に取り入れた事業経営を行うことが重要であります。
 都は、中小企業の知的財産活用のための東京戦略、この改定を約十九年ぶりに進めておりますが、その中ではスタートアップ企業に対する知的財産支援を強化するとしておりますが、具体的にどうしていくのか伺います。

○坂本産業労働局長 都は、優れた技術等を持つスタートアップの事業展開を後押しするため、知的財産の計画を改定し、重点的な支援を開始いたします。
 具体的には、知的財産の保護や活用を図る上で必要な法律上の知識を提供するセミナーを開催するとともに、特許の実務経験を持つ民間OBを活用し、取引を行う際の注意点に関し助言を行います。
 また、弁理士や中小企業診断士等がチームをつくり、知的財産の活用を取り入れた経営戦略の策定をサポートいたします。
 さらに、新技術を開発し特許化する取組にアドバイスを行うとともに、それらの取組に必要な経費の半分を一千五百万円まで助成いたします。
 こうした取組によりまして、スタートアップの成長を支援し、その競争力の強化につなげてまいります。

○松田委員 スタートアップ企業というのは、なかなか知財というところまで思いが及ばない、そして、そこにお金をかけられないところがありますので、ぜひ東京都の力、産業労働局、これからも知財に関して、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ここまで財政のところから、ずっと中小企業支援まで聞いてまいりました。これからも厳しい状況が続きますので、ぜひとも東京都一丸となって、守り立てていただきますようお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。
 三月四日、蔓延防止等重点措置の二回目の延長が決定をされ、飲食店への時短要請など、これまでと同様の措置が継続をされることになりました。
 今回の決定に関しては、感染状況を踏まえるとやむを得ないという声がある一方、光が見えない、一体いつまで時短を強いるのか、本当に夜のまちで感染が広がっているのかという事業者の皆様からの悲痛な声も多く寄せられております。
 こうした行動制限を継続する都としては、都民、そして事業者に対して、今回の重点措置の延長に至った考え方を丁寧に説明をして理解をしていただくことが重要であります。
 そこで、まず今回の重点措置の決定に当たって、都はどのように考え、そして国とどのような調整を行ったのか伺います。

○村松総務局長 都は、一月二十一日から飲食店への営業時間短縮要請などの重点措置を実施しまして、都民、事業者と一体となって、感染防止対策等に取り組んでまいりました。夜間滞留人口は措置開始前よりも減少しまして、新規陽性数は下降傾向にあるなど、一定の効果は現れてまいりましたが、高齢者を中心に入院患者や重症患者は高い水準で推移しており、医療提供体制は依然として厳しい状況にございます。
 このため、新規陽性者数の一層の抑制を図り、医療提供体制の負荷を軽減する必要があると判断しまして、国に対して、近隣三県とも共同で重点措置の延長を要請いたしました。
 また、飲食店の時短要請については、感染リスクの高い夜間滞留人口の抑制に効果があることなどから、継続することで国と調整を行い、専門家の意見を踏まえて決定したものでございます。

○松田委員 国とも調整をした上での重点措置の内容を決めたというご答弁でありました。
 都はこれまでも、国に対して再三、オミクロン株の特性を踏まえた方針を明確化するように求めてきたと主張しておりますが、結局、国の方針は変わらず、現在も、これまでと同じように、飲食店の時短要請を継続しており、事業者は疲弊をしております。こうした状況にあるのは、都の要望が結実していないことが一因ともいえるのではないでしょうか。
 また、要望事項の具現化を真に実現をしようとするのであれば、措置決定の数日前に要請文を送るだけでなくて−−今回は三月四日に決定でしたが、都が要請したのは三月の二日でありました−−例えば国の幹部とのパイプをつくって計画的に交渉を進めておくなど、調整や要望の手法を見直すべきではないでしょうか。ぜひ、小池知事にはリーダーシップを発揮して、要請事項の実現に向けて、今後、より戦略的に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 その上で、こうして重点措置が延長されることになって、飲食店の皆様方には引き続きご負担をおかけすることになりますが、感染は止める、社会は止めないと、施政方針演説でも知事は明言されたのですから、漫然と行動制限を行うのではなく、どうしたら営業を続けることができるのかを真剣に考えていただきたいと思います。
 今後は、社会経済活動の継続を重視した対応を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 コロナとの闘いでございます。何より重要なのは都民の命と暮らしを守ること。今、ご質問の中にもありましたが、都はずっと、感染を止める、社会は止めないというその方針を掲げまして、先手先手に対策を講じてきたところであります。
 都民の命を守るとともに、日々の暮らしを継続していくということから、大規模な会場を順次開設するなどワクチンについて追加接種の加速化に取り組んでいるのは、ご存じのとおりであります。
 さらに、社会経済活動の停滞を招かないように、事業者に対してはBCPの策定やまた点検、テレワークの推進を働きかけるとともに、これらに対する新たな支援策を構築して、実施をしてまいったところであります。
 漫然と行動規制をしているわけでありません。お話の飲食店では、現在、国において、ワクチンと検査を活用した新たな緩和策も検討されておると聞いております。都として、事業者の現場の実態に即した実効性のある仕組みとなるように、都から現場の声も含めて要請をしているところであります。これからも、感染防止対策と社会経済活動の両立に向け、全力で取り組んでまいります。

○松田委員 漫然と継続しているわけではないということでありましたが、もっと積極的に、都が率先して、私は取り組んでいただきたいと思っております。
 今、BCP策定、テレワークとありましたが、飲食店でテレワークというのはどうやって行うのでしょうか。こういった間接的な支援ではなくて、我々に届いている飲食店の方からの、また、その他の事業者の方からの声も非常に切実であります。
 例えば飲食店では、協力金をもらっているからいいというのはなくて、お店を継続しているからこそできる、しかし、一回止めてしまうと、なかなかそれを続けることが難しいという声も伺っております。
 さらに、先ほども申し上げましたが、飲食店以外でも非常に厳しい業者がたくさんあります。先ほどの旅行業者もその一例であります。国を待たずして、都の独自の支援も検討すべきであります。都に対しては、国の方針策定や変更を待つだけではなくて、より積極的にアクションを起こして、現状を打開していく取組が期待をされております。社会経済活動の継続に向けて、都としてより主体的に行動することを強く要望して、次の質問に移ります。
 先ほど、知事もワクチン追加接種、非常に重要というお話がありましたが、高齢者施設の入所者への追加接種について伺います。
 都内の感染者数の状況は減少傾向にはありますが、依然一万人前後を推移しております。予断を許さない状況であります。こうした状況にあって、高齢者施設でのクラスターが今も発生をしています。もともと糖尿病や心疾患などの基礎疾患を有している高齢者がオミクロン株に感染すると重症化をし、病院への入院を余儀なくされるなど、医療体制のさらなる逼迫が懸念をされます。
 また、施設内で感染が発生をすると、職員の就業制限によって、その後の施設運営も困難となってしまいます。そうした意味からも、一般の高齢者への追加接種を推奨、推進することはもとより、高齢者施設に入所されている方への早期接種は非常に重要であります。
 先日の我が会派からの代表質問で、都は、高齢者施設の入所者に対して、ワクチンバスによる接種を今後増強するとの答弁がありました。
 また、オミクロン株に感染をすると重症化リスクが高くなるのは、施設に入所している障害のある方も同様であります。
 そこで、重症化リスクの高い高齢者施設や障害者施設の入所者への追加接種について、都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、都内に約三千か所ある高齢者施設等の入所者への追加接種が早期に完了いたしますよう、区市町村に重ねて要請するとともに、施設の入所者等への接種状況をきめ細かく把握いたしまして、接種の前倒しを働きかけております。
 また、高齢者施設や障害者施設の入所者等への接種を進めるため、ワクチンバスを来週から五チームに拡充し、延べ約百カ所の施設で接種する予定であり、高齢者施設につきましては、三月中旬には約九割の施設で追加接種が完了する見込みでございます。
 さらに、先月末には移動が困難な高齢者や障害者の方が、車両に乗車したまま接種可能な会場を開設しておりまして、こうした取組を通じて接種をさらに加速してまいります。

○松田委員 三月中旬には、今、九割の高齢者施設で接種を終えるということでありました。
 よく知事は、ワクチン接種と経口薬、これがやはり大事だということをおっしゃっております。次に、経口薬についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 現在、高齢や基礎疾患などの重症リスクを有する軽症者向けの複数の経口薬が実用化されていると聞いております。この経口薬、口から飲むやつですね、患者の負担が少なく、自宅で服用できるから有用であり、必要な患者が速やかに入手できる体制が重要であります。経口薬の現状と都の取組を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 経口薬は、国が所有をいたしまして、事前に登録した医療機関や薬局に配分をしております。都は、経口薬ラゲブリオにつきまして、東京都医師会等と連携し、三月三日時点で登録済みの医療機関約三千四百カ所、発注実績のある薬局約二千百か所を確保するとともに、先月承認されましたパキロビッドパックにつきましても、医療機関等に登録を働きかけております。
 これらは供給量が限られ、在庫できる数が制限されるなどの課題がございまして、国に対しまして、確実な供給と流通体制の改善を求めております。
 また、こうした輸入薬に頼らず、国産経口薬が早期に提供されますよう、治験協力の拡充などに取り組んでおります。

○松田委員 主に国の事業であるので、国のというご答弁が主ではありました。しっかりと、これ、都としても要望して進めていっていただきたいと思います。
 次に、ポストコロナを見据えて、対応をちょっと伺いたいと思います。
 これまで新型コロナの感染症の、振り返ると、医療機関でのクラスター発生は、その病院だけではなくて、その周辺の病院が診療を肩代わりする、このことによって医療システム全体に影響を及ぼしていく。特に中小病院、小さな病院では、クラスターが発生すると病院の機能停止につながりやすくなってしまい、地域医療に大きな負荷がかかって、医療が逼迫する要因となってしまいます。
 その背景としては、中小病院の多くは感染対策の人的資源や経験に乏しい。また、対策が後手に回ってしまう。このような課題があります。このポストコロナの時代においても、そこも見据えて、感染症に対する中小病院や地域の対応能力の底上げ、この感染症対策に重要であると考えますが、都としての取組を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、東京iCDCに、医師や看護師などで構成をいたします感染対策支援チームを設置いたしまして、このチームが保健所と連携をいたしまして、新型コロナのクラスターが発生した医療機関等に、感染管理に関する指導助言等を行っております。
 来年度は、大学研究者からの事業提案を受けまして、人的資源に限りのございます中小病院でのクラスター発生事例に着目をいたしまして、東京医科歯科大学と連携して、感染拡大要因の分析や効果的な対策等の検討を行ってまいります。
 また、こうした分析等を踏まえまして、中小病院や保健所などを対象に、教育コンテンツの開発や講習会の実施など、地域における感染症への対応能力向上を図ってまいります。

○松田委員 具体的に、来年度からは医科歯科大学と連携をして、この人的支援もバックアップをしていくというご答弁でありました。このコロナの対策、本当に大事であります。どうかこれからも、福祉保健局の皆様だけではなくて、都庁全体として取り組んでいただきたいと思います。
 次に、オリンピック・パラリンピックのレガシーについて質問をしてまいりたいと思います。
 まず、都立スポーツ施設の活用について伺います。
 先般の代表質問におきまして、我が会派から、二〇二〇大会を契機に整備拡充されるスポーツ施設を活用して、積極的にスポーツ施策を展開していくように求めました。新規恒久施設の開業、既存施設の機能強化に加えて、今後はさらに、大会のレガシーを生かして、アーバンスポーツやパラスポーツの施設も誕生します。こうした様々な施設が都民に末永く親しまれ、愛されるものとなっていくためには、スポーツの利用だけにとどめておくのではなくて、レジャーなどの利用にも、様々な都民の利用ニーズに応えていくことが必要であります。
 そのために、具体的に都はどのような取組をしていくのか伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 四月以降、順次再開業を迎える各施設では、既に数多くの主要なスポーツ大会の開催が予定されているほか、各施設の特性を生かした多様な活用を進めてまいります。
 例えば、海の森水上競技場では、広大な陸域を利用した音楽イベントやキャンプイベント、東京湾の雄大な景観を生かしたロケ地などのユニークベニューとしての活用を検討しております。
 また、カヌー・スラロームセンターでは、国内唯一の人工スラロームコースを生かした激流でのラフティングや、静水面での水上遊具等によるレジャー体験の機会を提供してまいります。
 今後とも、幅広い活用方策の検討を進め、スポーツ体験や健康づくりに加え、レジャーやエンターテインメントでの活用など、多様な価値を都民の皆様に提供できるよう取り組んでまいります。

○松田委員 都がスポーツ施設を整備することは、都民一人一人が健康で豊かに暮らせる東京を実現するための未来への投資であります。単に収支だけを問題にするべきではなく、様々な競技大会を観戦する機会を提供して、トップアスリートの熱戦に触れていただくとともに、幅広く施設を活用して、より多くの都民に使ってもらえるよう取り組んでいただければと思います。
 次に、東京大会で整備をした施設の見学会についてお伺いをいたします。
 新たに整備をした新規恒久施設をより多くの都民に知ってもらって、利用していただくためには、施設見学などの機会を設けることが効果的であります。
 東京大会のときには、子供たちがアサガオを育てて、選手や関係者をお迎えいたしました。SNSでは多くの選手から感謝の気持ちが発信をされ、世界中で話題になりましたが、そうした東京の将来を担う子供たちにも競技会場に足を運んでいただきたい、見てもらいたいと思っています。
 我が会派がかねてから主張してきた、東京大会の一周年記念行事の実施に合わせて、施設に足を運んでもらい、様々な体験をしていただくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 多くの都民の皆様に施設に親しみを持っていただくためには、実際に施設を見て体験していただくことが有効であると考えております。新規恒久施設は順次再開業を迎えますが、再開業に合わせ、施設見学会や競技体験会等の実施を予定しております。
 また、大会から一周年の時期には、大会の舞台となった新規恒久施設でも様々なイベントを行い、大会に協力した子供たちをはじめ多くの都民の皆様に参加いただきたいと考えております。
 さらに、大会施設を巡るレガシーツアーも検討しており、これらの機会に施設を訪れ、体験していただくことによりまして、新規恒久施設が大会のレガシーとして都民に愛され、親しまれるものとなるよう取り組んでまいります。

○松田委員 新規恒久施設は大きなポテンシャルを持っております。実際に見て体験する機会を提供することで、都民に愛される施設になるように取り組んでいただきたいと思います。
 ちなみに、大会を彩ったアサガオの種は、先日のオリ・パラ特別委員会でもご答弁いただきましたが、次の開催地であるパリに送られたということであります。東京からパリに、アスリートを思う子供たちの気持ちはしっかり届けられたことと思います。
 ところで、大会一周年の時期は、いろんなイベントを行うということでありますが、その名称が、単に一周年記念行事ではなくて、この大会一周年を記念してメモリアルイベントですとか、アニバーサリーイベント、こうしたいろんなネーミングを、新たなネーミングを考えていただければと思います。
 また、次のフランス大会につながるという意味でも、フランス語、知事もいろんな言語堪能だと思いますので、すばらしいネーミングをご検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、子供たちの施設の見学について、知事、いいですか。−−いいですね。観戦について伺います。
 東京二〇二〇大会では、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえて、多くの子供たちに予定をされていた学校連携観戦が、オリンピックでは中止になり、パラリンピックでは一部の希望する学校の子供たちの参加となりました。
 大会から一周年という機会を生かして、子供たちにも、施設の見学、そして競技の観戦をしてもらうべきと考えますが、都の取組について伺います。

○藤田教育長 東京二〇二〇大会施設の訪問やアスリートの活躍を目の当たりにすることは、子供たちにとって貴重な体験となります。
 都教育委員会では、来年度、都内公立、私立の全ての小中学校、高等学校、特別支援学校を対象に、友達と共に心を動かされる体験や思い出に残る様々な機会を創出し、子供たちの豊かな感性を育む取組を実施いたします。この取組を進めるに当たりまして、より多くの子供たちが参加できるよう、実施に係る経費を都が負担をいたします。今後、具体的なプログラムを作成するに当たりましては、関係する団体等の協力を得ながら、スポーツ観戦などを含め、多様なプログラムとなるよう取り組んでまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 今のご答弁の中で、実施に係る経費ということでありましたが、これは、現地まで行く交通費、バス代ですとか、また、そこでかかる会場費ですとか、そういった費用も含むということで、教育長、よろしいですか。
 ご答弁お願いします。

○藤田教育長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、実施に係る経費を都が負担するということでございますので、交通費等々、チケット代等々についても負担することになると存じております。

○松田委員 ありがとうございます。
 本当にコロナ禍で、子供たちは修学旅行や林間学校なども、この二年間止まってしまっているところが数多くあります。施設見学のご答弁、教育長からいただきましたが、なかなか学校現場からは、安全を最優先というところから、子供たちの大切な学びの場であり、そして思い出づくりの場が失われてしまっていることは否めません。
 こうした学校行事を感染症対策に気をつけながら、来年度できる限り行っていただくことをお願いいたします。
 次に、パラスポーツについて伺います。
 昨日も、北京のパラ大会、冬季パラでは、村岡桃佳選手が二つ目の金メダルを獲得するなど、非常に盛り上がりを見せております。
 東京都は、この一月に、スポーツレガシービジョンの中で、パラスポーツの今後の取組として、幅広いパラスポーツの普及と人材育成、きっかけを提供、そして場所の確保、この三つを掲げられております。
 現在、二〇二〇大会を契機に進められたこの取組を通じて、都民のパラスポーツの関心の高まり、そして障害のある方のパラスポーツ環境の充実など、多くのレガシーが芽生えております。
 このレガシーを社会にしっかりと根づかせていくためには、都が積極的に取り組むことはもちろんでありますが、多様な主体とともに推進することが重要であります。
 とりわけ区市町村による取組が不可欠であります。大会後、障害のある方からは、身近な場所でもっとスポーツを楽しめる機会が欲しいという声も届いておりますし、また、そのような場に誰でも参加できるようになれば、交流の促進や相互理解にもつながります。
 身近な地域でのパラスポーツの取組が着実に進むよう、区市町村への支援を充実させることが重要であると考えますが、都に伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都はこれまで、区市町村におけるパラスポーツの取組を進めるため、施設のバリアフリー工事やパラスポーツの普及啓発事業、障害のある方向けの教室や大会などに係る経費について、二分の一の補助等を実施してまいりました。
 障害のある方のニーズにきめ細かく対応するためには、日常生活を支える福祉、医療等の分野とスポーツとの連携が重要でございます。そのため、来年度は、さらにこうした関係者が協働して行う事業について、経費の三分の二を補助し、福祉施設等での障害の状況に応じたスポーツ活動の定着につなげてまいります。
 また、地域の実情に応じて助言を行うアドバイザーを派遣いたします。
 今後とも、地域におけるパラスポーツの取組が定着、発展するよう、区市町村と連携して取り組んでまいります。

○松田委員 区市町村への支援、二分の一から三分の二へとご答弁でありました。
 区市町村が、それぞれの地域にある資源や人材をつないで、また、福祉や医療の現場の声も踏まえてパラスポーツ事業に取り組んでいくということは、とても効果的であると思います。都としても、区市町村における様々な分野間の連携を促しながら、積極的に支援を続けていただきたいと思います。
 ここまでの質疑で、大会を契機に整備をされた施設の活用、パラスポーツの進展に向けて今後様々な取組を行っていくということを確認させていただきました。
 我が会派では、大会のレガシーとして、国際大会の招致を求めてまいりましたが、その際にも、こうした新規恒久施設の活用やパラスポーツの振興といった視点が重要であります。加えて、東京大会が無観客開催となってしまったことを考えますと、東京で開催される国際大会をより多くの都民に実際に見ていただくことが必要です。
 これらの視点も踏まえて、国際大会の支援を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、東京二〇二〇大会を契機に、東京で数多くの国際スポーツ大会が開催され、東京のスポーツ振興や都市のプレゼンスの一層の向上が図られるよう、令和二年度から、国際大会の誘致、開催を支援する事業を開始いたしました。
 具体的には、大会の計画策定費など誘致活動に係る経費や、競技会場の借り上げ、設営など大会開催に係る経費を支援するほか、PRなどに協力しております。
 支援大会の選定に当たりましては、参加国数や観客数といった大会の規模などに加え、今後は、新規恒久施設をはじめとした都有施設の活用や、健常者スポーツとパラスポーツの連携、子供を含めた都民の観戦機会の確保などの取組も重視してまいります。
 こうした観点も踏まえ、国際大会の誘致、開催を推進し、東京二〇二〇大会のレガシーを継承、発展させてまいります。

○松田委員 コロナ後には、再び多くの国際大会が開催されることが期待をされます。その際は、東京二〇二〇大会の競技施設を有効に活用するとともに、多くの都民が、オリンピック、そしてパラリンピック含めて、トップアスリートの活躍に触れられる場をつくっていただきたいと思います。
 次に、選手の競技力向上について伺いたいと思います。
 様々な国際大会の先には、次のオリンピック・パラリンピック、パリの二〇二四年大会が待っております。東京大会は今終わったばかりでありますが、選手の方々は、既に二〇二四年に向けて準備を進められております。
 東京大会のレガシーとして、東京ゆかりのアスリートの競技力向上にも力を入れるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○延與オリンピック・パラリンピック準備局長 アスリートの活躍は、子供たちに夢を与え、都民のスポーツへの興味や関心を高めることから、競技力向上に取り組むことは重要でございます。
 都はこれまで、競技団体等と協力し、ジュニア層の発掘、育成や、強化選手の合同練習会への支援など、東京のアスリートの強化を実施してまいりました。
 今後は、大会に向けて構築してきた取組をレガシーとして生かしながら、競技団体がニーズに応じて支援内容を選択できるようにするなど、より戦略的に東京のアスリートの競技力向上を図ってまいります。
 あわせて、競技人口の拡大にも取り組み、スポーツの裾野拡大を図ってまいります。
 これらを通じて、ジュニアからトップまで総合的に施策を推進し、東京のアスリートの競技力を高めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 オリンピック・パラリンピックは、終わったからといって規模を縮小していくのではなくて、競技人口の拡大、スポーツの裾野拡大、こんなことに努めていくというご答弁でありました。ぜひ引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 アスリートが国際大会で活躍をして、その先のパリの二〇二四年大会を目指していくためには、そこにつながる国内の選考大会も重要であります。ぜひこちらへの支援も、今後ご検討をお願いいたします。国際大会の誘致と併せて、積極的に国内大会、全国大会の開催を進めることで、アスリートの競技力向上や都民のスポーツ振興を一層進めていただきたいとお願いを申し上げます。
 さて、東京二〇二〇大会では、日本人選手が金メダルを獲得して、君が代が流れる中、日の丸が上がるシーンに我々は感動をいたしました。また、先月行われた冬季五輪において、スピードスケートで金メダルを獲得した高木美帆選手は、君が代を聴けるっていうのは感慨深いもの、込み上げてくるものがあったと語り、目に涙を浮かべながら君が代を口ずさんでいる姿は印象的でありました。
 子供たちにとって最大のスポーツイベントである運動会、体育祭、近年コロナ禍で今中止となっているところが多いですが、ここで、近年国旗掲揚を行っている学校が、私は少ないように感じております。我々が子供の頃は、運動会の冒頭で、国歌とともに国旗が掲揚されておりました。早くコロナが明けて、まず、運動会を普通の形でできることが一番でありますが、コロナ禍前でも、国旗掲揚を省略している学校が多く見受けられました。
 国旗掲揚に、運動会に関しては、学習指導要領では、各学校が実施することの意義を踏まえて判断するのが適当であるとされておりますが、このオリンピック・パラリンピックの感動も踏まえ、知事は、運動会において、国歌とともに国旗を掲揚することの意義についてどうお考えでしょうか。

○小池知事 今、運動会について、国旗掲揚、国歌の斉唱、お尋ねがございました。
 ご質問の中にもございましたけれども、これらの取扱いというのは、各学校で判断されるということにはなっております。
 児童生徒の皆さん、いろんな機会を通じて、国旗・国歌に対する理解を深めていただきたいと、このように私は考えております。

○松田委員 以前、五年前、ここでも国旗・国歌については、少し質問をさせていただいて、そのとき、都立大学や都立看護学校では、学習指導要領外であるが、望んでいきたいとご答弁をいただきましたが、今回は学校ごとの判断というのは知事のお考えでございますね。知事としての、私はお考えをちょっとお伺いしたんですが。

○小池知事 お答えさせていただいたのは、都立としてどれぐらい進められるかということで、それらについては、今、国旗・国歌、それぞれが行われているというように理解しております。

○松田委員 ありがとうございます。
 次に、工業高校への技術支援についてお伺いをいたします。
 昨年十二月、東京ビッグサイトにおいて、技能五輪大会と障害者技能競技大会が、これ、通称アビリンピックといいますが、同時に開催をされました。様々な種目において、高度な技で競う姿はすばらしいものでありました。
 技能五輪は、原則二十三歳以下の若手技能者がその技能レベルを競う大会でありますが、全国有数の大企業の社員の中で一緒に参加をしている各都道府県からの高校生の活躍が随所に見受けられ、特に、現職の工業高校の生徒が上位入賞を果たされました。
 こうした生徒たちの活躍は、多くの若者に新たな意欲、モチベーションとともに好影響を与え、工業高校の魅力向上にもつながるものと考えます。
 まず、教育長にお伺いしますが、高度IT社会において、東京の成長を支えるために、都立工業高校の生徒のものづくりの意欲、技術を一層向上していくべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 技術革新が急速に進む中、次代を担う高度なものづくり技術者の育成が求められております。
 都教育委員会は、都立工業高校生が、最先端技術に関する理解を深めるため、顔認証システムに用いられるAIの仕組み等を学習する取組を行っております。
 また、生徒がものづくりの奥深さを実感し、意欲を喚起するため、技能五輪全国大会出場者や木材加工の熟練技術者等との交流の機会を設けているところでございます。
 今後、社会の変化に対応できる技術人材を育成していくため、全ての工業高校における課題研究の授業等において、民間企業による協力を得て、次世代自動車の開発プロジェクトに携わるなど、生徒が実社会との結びつきを実感しながら、より意欲や探求心を高める活動の充実を図ってまいります。

○松田委員 工業高校における人材育成の強化とともに、現在も深刻な人手不足となっている中小ものづくり企業における人材の確保も非常に重要であります。
 東京は、城東地区や城南地区を中心に、生活雑貨や工業部品などを製造する中小のものづくり企業が数多く存在しており、これらの企業では、長年にわたって人材の確保が経営上の大きな課題となっております。
 都はこれまでも、ものづくり企業の人材確保に向けて、機械や電気などの職業訓練の充実を図り、技能人材を育成するとともに、業界団体と連携した取組を行うなど、様々な支援策を講じてまいりました。しかしながら、人材不足の状況はいまだ改善せず、厳しさを増しています。
 一方で、東京には、工業高校などを卒業した若者はもとより、ものづくりに興味を持ちながらも、職場のイメージがつかめない、そして就職に踏み出せない、そういった方もいらっしゃいます。
 そこで、東京都がものづくり企業に対して、こうした若者などの必要な人材を幅広く確保できるよう支援をしていくべきでありますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、ものづくり企業が集積する城東と城南のエリアの経済団体やハローワーク、工業高校などと連携し、次世代の人材確保をサポートする新たな取組を開始いたします。
 具体的には、工業高校等を卒業し、技能を有する人材やものづくりに関心を持つ若者など百名に対して、派遣就労により製造業等の現場を約一か月間体験できる機会を提供いたします。派遣期間中の賃金を都が負担することによりまして、多くのものづくり企業の受入れを後押しいたします。
 また、そうした受入先の企業が、若者などを正社員として採用した後、技能の向上を図る研修等を実施した場合には、最大六十万円の助成を行います。
 これらの支援によりまして、ものづくり企業の人材確保に向けた取組を促進してまいります。

○松田委員 一方、アビリンピックでありますが、全国障害者技能競技大会、こちらにおいては、障害の程度が比較的重い生徒が通う都立知的障害特別支援学校高等部普通科の生徒が、ビルクリーニング種目で金賞を受賞するなど、各学校の職業教育の成果が着実に上がってきていると思います。
 障害のある生徒の可能性を引き出し、卒業後の就労につなげていくためには、普通科における職業教育のさらなる充実が不可欠であると思いますが、都教委の取組について伺います。

○藤田教育長 知的障害特別支援学校の高等部普通科においてはこれまで、就労先となる業界団体等の協力により、校内での実習や企業でのインターンシップを実施し、実践的な知識や技能などの習得を図ってまいりました。また、都教育委員会は、清掃技能などの検定を独自に実施し、学習意欲や技能の向上を支援してまいりました。
 今後は、生徒の様々な進路希望の実現を図るため、インターンシップ先となる新たな職域の開拓を進めるとともに、各学校において、こうした様々な就労先で求められる力を習得できるよう、実習内容を充実してまいります。

○松田委員 特別支援学校における職業教育のさらなる充実、本当にお願いをいたします。
 それと同時に、今度は雇う側、企業における雇用機会の拡大も進めていかなければなりません。
 都内の障害者の就職件数は、近年順調に増加をしてきているところではありますが、昨年度は、コロナ禍の影響で、就職面接会などの多くの支援が中止になったことによって、平成二十一年度以来、十一年ぶりの減少となっております。
 このまま障害者雇用が停滞することがないよう、来年度は、感染症の終息も見据えつつ、支援に一層力を入れていく必要があります。
 このために、障害者一人一人の希望や実情に寄り添った就職支援を行うとともに、雇用機会の拡大に向けた取組を強化して、障害者雇用を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 障害者が、その能力を発揮して働き続けられるよう、都は来年度、相談体制の充実や企業とのマッチングの強化に取り組んでまいります。
 具体的には、障害者の雇用に詳しい相談員や精神保健福祉士等の専門家を配置したサポート窓口を新たに開設し、きめ細かな対応を行います。また、マッチング機会の充実を図るため、ハローワークと連携し、約二百社の企業が参加する大規模な就職面接会を新たに開催いたします。面接会の会場では、特別支援学校の生徒が職業教育で習得した技能の実演や優れた職場環境づくりのモデル事例の紹介を行うことにより、障害者就労に対する企業の理解を促し、雇用の拡大と職場定着につなげてまいります。
 こうした取組を通じまして、障害者雇用を着実に後押しをしてまいります。

○松田委員 来年度は二百社の、これはハローワークと連携して大規模な就職面接会を開催ということで、本当に、これは日本最大級ということでありますので、ぜひよろしくお願いします。
 ただ一方で、先日も報道にありましたが、東京都の障害者雇用率が十七年連続全国最下位。これは東京の特性もあると思います。大企業が多い、そして特例子会社という制度を利用して軽度の障害者の方を雇っていくことによって、中小企業としては、なかなかその雇用率を達成するのが難しいというところがあります。
 冒頭も、九九%が東京都は中小企業と申し上げましたが、その特性を考えた支援も、また今後検討していっていただければと思います。
 次に、子供たちの通学路の安全についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 昨年の六月、千葉県の八街市において、下校中の児童にトラックが衝突をして五人が死傷する痛ましい事故が発生をいたしました。国からの通知を受けて、実施対象とされた区市町村立小学校において、学校、道路管理者、警察、この三者が合同点検を実施して、三月四日にその結果が公表をされたところであります。
 そこで、都における合同点検の結果とそれを踏まえた都教育委員会の取組について伺います。

○藤田教育長 日々学校で学ぶ子供たちのため、通学路における安全・安心の確保に万全を期する必要がございます。
 今回の合同点検により、都内四千四百九十七か所で事故防止対策が必要とされたところでございます。そのうち、区市町村教育委員会及び学校が対応する千九百三十六か所につきましては、通学路の変更や安全な登下校を学ぶ授業の実施、ボランティアによる見守り活動の強化等を進めております。
 都教育委員会は、こうした取組をさらに推進するため、各学校における交通安全等の指導教員を対象とした研修を行うとともに、地域の人々による子供の見守り活動に係る経費の補助を行っているところでございます。
 今後も関係機関と連携し、より一層の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

○松田委員 都教委としては、東京都全体で四千四百九十七か所中、市区町村及び学校が対策をするのが千九百三十六か所、主に対策としては、通学路の変更などといったソフト面の対応ですということでありました。
 では、次に、道路管理者として対応が必要な箇所数、そして具体的な対策について、建設局長に伺います。

○中島建設局長 合同点検の結果、道路管理者として対策が必要な箇所は、国道や区市町村道も含め千九百七十八か所、このうち都道では百十か所となっております。
 都道につきましては、点検後、順次路側帯のカラー舗装化等の対策を進めているところでございまして、今年度中に約九十か所を完了させ、残る箇所も来年度速やかに対策を実施してまいります。
 区市町村道においても対策が進められておりまして、都として技術的助言や市町村土木補助などを通じて支援してまいります。
 今後とも、関係機関と連携し、通学路等の安全・安心の確保に積極的に取り組んでまいります。

○松田委員 建設局では、百十か所中九十か所カラー舗装化を進めていますと。で、今年度中に八割強が終わるというようなご答弁をいただきました。
 今、教育庁、そして建設局、ご答弁いただいたんですが、残る警視庁に関しては、本日、警視総監が出席をされておりませんので、事前に資料をいただきました。警視庁が対応する箇所は、四千四百九十七か所中で千九十二か所ということで、昨年末までに、このうち四百八十二か所、約半分で横断歩道の新設、また、道路標示の整備などを行ったと伺っております。
 ここで近隣県のデータを見ますと、埼玉県の対応必要箇所が四千五百八十一、神奈川県が五千百四十一、千葉県が四千四十四、人口比でいうと、この東京の四千四百九十七というのは、対策が進んでいたともいえることができます。
 しかし、子供たちの安心・安全、今、キックボードとかいろんな対策が新たに必要になっているところもあります。今後も、教育庁、建設局、そして警視庁、連携をして、もちろん保護者と一緒になって子供の通学路の安全対策に取り組んでいただければと思います。
 子供たちが活動する場所は、通学路だけではありません。そして、小学生、中学生だけでもありません。未就学児の安全も大切なことであります。
 次に、通学路以外のところの取組について伺っていきたいと思います。
 交通事故に限らず、子供たちが被害者となる犯罪というのは、後を絶っていません。これまで都は、区市町村と連携をして、地域の防犯活動の推進、防犯カメラ、こういった設置をはじめとした防犯環境の整備を進めてきました。安心・安全なまちをつくってまいりました。
 この結果として、都内の犯罪認知件数は毎年減少し続けるなど、大きな成果を上げているものの、子供たちが被害者となる強制わいせつなど、犯罪認知件数は横ばい傾向にあります。社会的弱者である子供の安全・安心の確保に、より一層重点的に取り組む必要があります。
 地域において、子供が学校以外の場所でも、安全に、そして安心して暮らしていくために、今後どのような防犯対策を取っていくのか、見解を伺います。

○小西都民安全推進本部長 都内の刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、小学生以下が被害者となる犯罪の件数はおおむね横ばいであり、子供の安全・安心に重点的に取り組む必要がございます。
 都はこれまで、区市町村による通学路等への防犯カメラの設置を促進するとともに、町会、自治会、事業者等、地域の様々な主体による防犯活動を支援してまいりました。
 来年度は、子供に対する犯罪が特に放課後時間帯に多い状況を踏まえ、新たに、塾や公園に向かう経路等に区市町村が設置する防犯カメラへの補助制度を創設いたします。
 また、保護者の方の防犯意識をより一層高めるため、新たに商業施設等の事業者と連携し、店舗等において、子供の防犯対策に関する普及啓発事業を開始いたします。
 今後も、区市町村や事業者等と連携し、社会全体で子供の安全・安心を守る取組を一層推進してまいります。

○松田委員 今、新たに区市町村に補助をして、防犯カメラ、今度、通学路以外、塾や公園、子供たちは活動するのはいろんなところがありますので、そういったところも力を入れていくというご答弁でありました。
 今、三局、警視庁を入れると四局になりますが、各局が連携をしてやっていくことが、子供たちの安心・安全につながります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、オリンピック・パラリンピックレガシーを踏まえて、文化振興という点から、アート市場の活性化についてお伺いをいたします。
 日本のアーティストは世界からの評価も高く、東京から優れた作品を創造する、このことは、東京の都市の魅力を高めることにもつながってまいります。
 一方、美術品市場に目を向けると、日本は、世界全体の約三%、非常に小規模であるために、拡大の余地があると考えます。
 東京都は文化戦略を示されましたが、この中でも、アート市場の拡大について触れられております。アーティストが、作品の収益で新たな作品を生み出せるようなサイクルを回し、アート市場を活性化させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 日本では昔から、床の間に掛け軸をかけたり、世界的にも有名な盆栽という芸術文化があります。それを日常の暮らしの中に取り込んできて楽しんできたという歴史があります。
 こうした歴史を踏まえまして、今回策定する文化戦略の中において、新たに「アートのある生活」プロジェクトを掲げておりまして、今も東京で生み出されているアート作品を身近に置いて親しむと、飾って親しむということができるように、誰もが気軽に手に入れられる機会の創出に取り組んでまいるというものです。
 豊かな感性を持つアーティストがつくり出す作品を所有するということは、日常の生活に新鮮な喜びをもたらすだけではありません。アーティストにとりましても、その創作活動の支えになったり、また、次の作品制作へのモチベーションにつながっていって、これがまさに最大の支援ともなるわけであります。
 魅力ある作品が、多くの人々に購入されて、親しまれるということで、新たな創造につながる好循環をつくっていく。東京の芸術文化の振興や、また、ひいては市場の拡大につながっていくということが、それがすなわち都市の成長に寄与することにもなるという、そういう考えであります。

○松田委員 今、コロナ禍で、外国からなかなか人が来られない、今、知事から盆栽のお話あったんですけれども、私も日本盆栽協会の国風展ですとか、あと、日本皐月協会の錦秋展などに伺うと、上野公園、また、東京都美術館で行われているんですが、外国の方、コロナ禍前は、来られると、ビューティフル、ワンダフル、本当にその一言に尽きるということをおっしゃっていました。日本の本当の文化をこれから発信するためにも、取組、ぜひ強化をしていただきたいと思います。
 アート市場拡大、この取組を文化戦略で実行していくということを今確認しましたが、都民にとっては、アート作品の購入というのは、いまだ敷居が高いと思われがちであります。東京都現代美術館では、作品を書籍の形で手頃な値段で販売をするアートブックフェアという取組が始まっております。
 今後、さらに、アーティストの作品を気軽に購入できるような環境を拡大していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○武市生活文化局長 都民が気軽に作品を購入する場として、東京都現代美術館で開催したアートブックフェアは、コロナ禍前には、四日間で、若手アーティスト中心に約三百組が参加し、三万五千人以上が来場するなど、多くの方々に作品をアピールする機会となりました。
 今年度は、アーティストがアトリエで制作した作品をその場で購入できるイベントなど、作品購入のきっかけとなる民間事業への助成も開始したところでございます。
 さらに、来年度は、ふだん敷居の高い都内のギャラリーをバスで周遊し、ギャラリストとの交流や作品の選び方を学びながら体験できるアートイベントを実施いたします。
 こうした多様な取組を積み重ねながら、若い層や初めてアート作品を購入する層など、購入者の裾野を広げまして、アーティストの作品流通を活性化してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 今ご答弁いただいたようなイベントを通じて、アート作品の購入の裾野が広がる、ひいてはアート市場が活性化されることが重要であります。
 アーティストにとって、作品購入は収益が強化されるだけではなくて、作品の価値向上をもたらすという側面もあります。
 東京都現代美術館では、新進気鋭の作家を含めて多くの現代アートの作品を収蔵しております。アート作品を美術館が収蔵するということは、アーティストの評価にもつながり、それが積み重なることで、日本の現代アートの底上げにもつながってまいります。
 今後も、海外で活躍できる可能性を秘めているアーティストを発掘し、良質なコレクションを形成していってもらいたいと思います。
 海外で活躍できるアーティストの発掘も重要でありますが、一方で、地域に目を向けると、都内には、数多くの魅力的な芸術文化団体があります。このような団体の活動を支援していくことも、東京の芸術文化を振興していく観点から重要であります。
 先日の第一回定例会代表質問において、我が党の質問に対して、都は、新たな助成を開始し、まち中を舞台として展開をされる事業や、伝統芸能や祭りなどの地域の文化資源を活用した事業などを重点的に支援する、こういう答弁がありましたが、新たな助成では、具体的にはどのような文化事業への支援を想定しているのか伺います。

○武市生活文化局長 新たな助成では、より多くの芸術文化団体等の活動が後押しできますよう、複数の団体が企画、実施に関わることを要件といたしまして、波及効果の高い比較的大規模なイベント等への支援を行う予定でございます。
 具体的には、おはやしや神楽などの無形文化財の保存会が地元の町会等と協力して開催する地域の文化イベントですとか、複数の芸術文化団体が実行委員会を組織してまち中で開催するフェスティバルやアートプロジェクトなどを想定しております。

○松田委員 コロナによって、いろんな地域活動、芸術活動、文化活動が止まってしまっています。このコロナ後、ウイズコロナになるのかもしれませんが、それを見据えて、ぜひ積極的に支援をしていっていただきたいと思います。
 地域の伝統文化というのは、本当に大切なものであります。そういったところも、今ほとんど、多分皆様方も行かれると、役員だけで催事を行うところもあれば、なかなか地域に開放できない。ぜひ、このコロナ後を見据えて取り組んでいただきたいと思っております。
 このお祭りや文化、イベントというのは、多くの人を地域に呼び込むことができます。そして、宿泊や飲食、買物などの消費も生まれてきます。このために、観光振興という、こういった観点からも、東京の多様な文化を効果的に生かして、旅行者誘致につなげていくこと、このことは重要であります。
 こうした観点から、都は今年度から、日本文化を活用した観光振興について取り組んでいただいておりますが、観光施策での文化活用について、来年度どのように取り組んでいくのか伺います。

○坂本産業労働局長 東京の観光振興に向け、地域の身近な文化を活用し、旅行者誘致に結びつけることは重要でございます。
 このため、都は、各地の観光協会などが文化芸術団体と連携し、伝統芸能や現代アートなどを活用した観光イベントを行う場合に、その経費の二分の一を最大一千万円まで助成をしております。
 来年度は、新たに小中高生が地域の文化などを学ぶモニターツアーを実施いたします。区部、多摩及び島しょ地域から、それぞれ一つのエリアを選び、地元と連携し、文化体験等のツアーを最大九件行います。さらに、これらにより得られた成果を基にマニュアルを作成し、各地域での取組につなげてまいります。
 こうした施策によりまして、文化を生かした観光振興を着実に進めてまいります。

○松田委員 今、コロナ後の文化活動、そして観光に向けて、この地域活動を活性化するという観点で、生活文化局、そして産業労働局にそれぞれお伺いをしました。
 コロナ禍前は、いろんな助成金を利用して、町会、自治会が実施をする盆踊りや餅つき大会、地域の子供の絵画や書道などの展覧会、作品展、行われたり、おはやしなどの無形文化財の保存会が主催をする公演など、様々な地域で多様な活動が行われてまいりました。
 しかし、残念ながら、コロナ禍で、多くの地域の文化イベントが中止、延期を余儀なくされています。毎年のお祭りが行われないことで、楽しみにしている子供たちやお年寄りなどが本当に残念な思いで、直前に中止になっちゃったよという光景を何度も目の当たりにしております。
 都は、文化や観光など、コロナ後を見据えて、また、ウイズコロナの中で、それぞれの目的や特性に応じて効果的な支援を行って、人々を元気づけ、地域を盛り上げていくべきであります。
 そこで、東京都各局で行っている地域振興の取組をさらに拡充をしていくべきと考えますが、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 都内各地を舞台に展開されております伝統芸能、そしてお祭りなどの行事、イベントというのは、これまでも歴史の中で育まれた貴重な文化といえます。そして、それを次の世代へ継承するという役割を果たすだけではありません。地域に観光客を呼び込む、お祭りでおみこしを担いでいる人、時々外国人を見かけたりするわけですけれども、参加する住民同士の絆も深めるのは当然ですけれども、様々な面で地域振興に大きく貢献もいたしております。
 都ではこれまで、文化振興、観光振興、そして地域コミュニティの活性化など、様々な観点から、多様な人々や団体による地域での取組を後押ししてきたのはご存じのとおりであります。
 今後も、都民に身近な区市町村と緊密に連携を図って、地域の実情やニーズを踏まえ、目的や対象に合わせたきめの細やかな助成などで、地域振興につながる多様な取組を支援していきたい、このように考えております。

○松田委員 ありがとうございます。
 今、おみこしのお話もありました。このおみこしも担げなくなってから、もう二年たとうとしております。盆踊りも本当に地域、地域で行われておりました。そういった行事、知事も参加をされていたと思いますが、ぜひ復活をして、そして、地域振興に東京都としてより一層の支援をしていただくことを心よりお願いをいたします。
 続いて、高校生の医療費助成についてお伺いいたします。
 再来年の令和五年度から、都が実施をするとする高校生の医療費助成について、来年度予算案には、区市町村のシステム改修費として七億円が急遽計上をされておりました。これについて、本来、区市町村が実施主体であるにもかかわらず、区市町村との事前の調整が全くなかったことから、各区市町村からは、苦情や今後の制度、財源についての問合せが相次いでおりました。
 都議会自民党としては、そうした状況を受け、都として制度や財源に責任を持つべきと、過日の代表質問で訴えたところ、都は、義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、今後、区市町村と意見交換して整理すると答弁をされましたが、区においては、一〇〇%区の財源で行っている義務教育就学児の制度を参考にするとなると、明らかに区の予算や財源に関わってまいります。
 来年度予算案に計上されているシステム改修経費七億円を審議するためには、高校生医療費助成の制度やこの財源をどうするのか、都の責任の下ではっきりと示すことが大前提と考えます。見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は、令和五年四月に高校生相当年齢を対象とする高校生等医療費助成制度を開始することを目指し、来年度予算案に計上している区市町村のシステム改修経費を十分の十で補助することとしており、先週、制度についての基本的な枠組みを示しました。
 具体的には、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考に、都と区市町村の負担は二分の一とし、所得制限や一部自己負担の仕組みを導入する考えであります。
 ただし、全ての区市町村で早期に実施されるよう、令和五年度からの三年間、都の負担を十分の十として区市町村を支援することとしております。
 今後、事業の実施主体である区市町村との意見交換等で、区市町村のシステム改修経費の内容など、実施に当たっての具体的な課題も含め、丁寧に調整を進めてまいります。

○松田委員 次に、中央卸売市場について質問します。
 これまで都は、十次にわたり、卸売市場法に基づく整備計画を策定し、順次市場の整備を進めてまいりましたが、その後、流通環境の変化等を踏まえて、平成三十年の卸売市場法の改正によって、法律に基づく整備計画という仕組みは廃止をされました。
 しかし、都民生活を支える中央卸売市場が、将来にわたってしっかりとその役割を果たしていくためには、都が長期的な視点から計画的に市場運営に取り組み、着実に実行して改善を図っていくことが不可欠だと考えます。
 豊洲市場移転の際は、知事とこの場でいろいろ議論をさせていただきましたが、都内十一か所に整備をされてきた市場は、それぞれ規模や立地が異なるなどの特色を持っており、今後、都が市場運営の土台になる市場施設の整備を進めていく際には、こうした特色を生かして整備を行っていくことが重要であります。
 今般、都は、中央卸売市場の経営計画案を策定しました。その中で、市場施設の計画的な維持更新を掲げておられます。それぞれの市場が特色を生かして、老朽化した施設の維持更新はもとより、各施設の機能強化につながる、この整備を進めることが重要と考えますが、見解を伺います。

○河内中央卸売市場長 中央卸売市場は、都民の消費生活を支える基本的なインフラであり、その機能を将来にわたって維持し、強化していくことが重要でございます。
 このため、経営計画案では、まず、施設規模や築年数等に応じて、各市場を類型化した上で、施設の劣化度等を踏まえ、計画的な維持更新を行っていくことといたしました。
 加えて、流通環境の変化に対応するため、各市場の立地や品ぞろえなどの特徴を生かして、相互に補完することにより、都内における生鮮品等の供給体制を最適化できるよう、各市場の機能強化に向けた整備を行うこととしております。
 こうした取組を通じまして、中央卸売市場が、今後も都民に対する円滑で安定的な生鮮品等の供給を確保する役割を着実に果たしてまいります。

○松田委員 今ご答弁いただきました経営計画案の実行に当たっては、それぞれの強みを生かして、施設整備をしっかりと進めていただくようお願いをいたします。
 先月の末、二月二十八日、ちょうど一週間前、板橋市場は、開場から五十周年を迎えました。板橋市場は、道路交通の利便性の高い流通業務団地に立地をしております。区部北西部の生鮮品の流通の拠点としてポテンシャルを多く秘めております。
 一方で、施設の老朽化が進んでおり、施設の建て替えを含めて着実に進めていく必要があります。経営計画案では、板橋市場について、施設の再整備を視野に入れて、物流拠点として機能強化を図る、こう書かれておりますが、板橋市場の機能強化に向けた今後の具体的な取組について伺います。

○河内中央卸売市場長 板橋市場は、首都高や外環道などへのアクセスに恵まれ、区部北西部における道路ネットワークの要衝に位置しており、その立地の優位性等を生かし、産地からの集荷や他市場との連携など、広域的な物流拠点としての機能を発揮することが重要でございます。
 このため、こうした機能の強化に向けて、今月中に業界と都による検討会を立ち上げ、板橋市場の稼ぐ力の強化に資するビジネスモデルとそれを支える施設整備の方向性について、具体的な検討に着手いたします。
 今後、産地や実需者からのより一層の支持が得られる市場となるよう、板橋市場の機能強化に向けて取り組んでまいります。

○松田委員 今月中に、業界と都による検討会を立ち上げるとのご答弁でありました。まずは、当事者間同士、そして、市場当局さんと、将来を見据えて検討して、ある段階からは、ぜひ、地元の町会の方や、すぐ近くに新河岸の工業団地がありますので、こういった方々も一緒になって、高島平の方にも愛される地域の拠点として整備をされるように取り組んでいただきたいと思います。
 このコロナ禍によって消費が落ち込む中にあっても、板橋市場、業界の皆さんは、感染防止対策を徹底して、市場流通を止めないように、懸命に事業継続に当たってきていただいております。こうした真摯な努力を続けている板橋市場の業界の皆さんが、未来に向けて希望を持ちながら、日々の業務を安心して続けていかれるようなしっかりとした将来像を取りまとめていただくようお願いをいたします。
 次に、東京港の物流機能強化についてお伺いします。
 東京港は、日本一のコンテナ貨物取扱数を誇る国際貿易拠点であります。海と陸をつなぐ物流の結節点としての重要な役割を担っていますが、季節や時間帯によって、ふ頭周辺で交通混雑が発生していることが長年の課題となっております。昨年、我が会派でも視察をさせていただきました。
 都は、一部の港湾でも導入が進みつつあるデジタル技術などを東京都においても積極的に活用して、コンテナターミナルの運営をより一層効率化させることで、スムーズな港湾物流を実現させるべきと考えます。今後の取組について伺います。

○古谷港湾局長 取扱貨物量が今後も増加することが予想されております東京港において、円滑な港湾物流を実現させるためには、デジタル技術を積極的に活用して、コンテナターミナルでの貨物の搬出入作業を効率化させることも重要でございます。
 このため、都は来年度より、荷主やトラック事業者等が利用する物流の情報プラットフォームとターミナルの運営システムとをデータ連携させる取組を公募により選定して進め、トラックへの貨物引渡し等に関する手続の簡素化や時間短縮を図ってまいります。
 また、ターミナルの荷役機械の遠隔操作化を進め、貨物の搬出入作業の効率化、短時間化につなげてまいります。
 今後とも、都は、港湾物流に関係する事業者と緊密に連携しつつ、ふ頭への最先端技術等の導入を進めることで、交通混雑を緩和し、港湾物流の一層の円滑化を推進してまいります。

○松田委員 首都圏四千万人を支える東京港の役割、これからさらに重要になってまいります。さらなる効率化、また、簡素化、このことによって、物流の円滑化に努めていただくよう、お願いを申し上げます。
 次に、再生可能エネルギー導入に向けた支援策についてお伺いをいたします。
 先日の本会議において、環境施策に関して様々な議論がされました。今回、知事が環境とデジタルに力を入れているということもありまして、非常に環境に多く予算を配分されております。
 私は、再生可能エネルギー導入拡大に向けた事業者支援という立場から質問をさせていただきます。
 近年の気候危機の一層の深刻化によって、環境に対する民間事業者の意識は非常に高まっております。事業活動で使用する電力の一〇〇%再エネ化を目指すRE一〇〇宣言企業は年々増加をしております。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、東京都は、こうした機運の高まりを捉えて、事業者に再生可能エネルギーの導入を積極的に支援していくことが重要であります。
 都は、事業者の再エネ設備設置に対する取組意欲などを踏まえながら、支援策を展開すべきと考えますが、令和四年度はどのような取組をするのかお伺いいたします。

○栗岡環境局長 都は、事業者の再生可能エネルギーの自家消費を促すため、令和二年度から開始した地産地消型再エネ増強プロジェクトにつきまして、今年度は、年度途中に予算額に達したことから、十二月に三億円の補正予算を編成いたしました。
 今年度開始した都外に再エネ設備を新設し、再エネ電力の大量導入を進める事業者向け支援につきましては、事業者から多数の問合せとともに、導入地域への貢献策等に関する調整も進めていると聞いてございまして、取組意欲の高さがうかがえるところでございます。
 こうした事業者のニーズの高まりを受け、来年度はこれらの事業につきまして、太陽光発電設備の規模に換算して、今年度の約六千キロワットから約一万六千キロワット相当、予算額約二十二億円まで支援を拡充し、事業者の取組を加速させ、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。

○松田委員 今ご答弁いただきました今年度のお取組、途中で予算がなくなったので、今年は積み増しして、来年度はさらに拡充していく、一般的な家庭の設置をされている太陽光発電、一世帯を五キロワットと仮定すると、今年度が千二百世帯、来年度は三千二百世帯という拡充になるということであります。
 これまでも都内の再エネ設置支援、同時に導入する蓄電池も補助対象としております。このレジリエンスの向上に資するものであります。また、都外への再エネ設備の導入支援については、導入する地域への貢献策を補助条件とする、このことは、昨年の予算特別委員会で、我が会派からの要望を踏まえ、実現をされたものであります。
 都には、事業者が地元自治体と緊密なコミュニケーションを図りながら進めていくことを、引き続き誘導していただきたいと思います。
 来年度の民間事業者への支援も、こうした点を踏まえながら、積極的に展開するように要望して、次の質問に移ります。
 続いて、障害者支援でありますが、障害者が住宅で長く暮らしていく中で、いずれ直面すると考えられるのが、障害の重度化、そして、自身や介護者の高齢化であります。自身の障害の状態が急に変化した場合、また、介護者が急に病気になった場合、いざというときに相談に乗ってくれる場所、緊急の受入れを行ってくれる場所、いわば最後のとりでとして身近な地域に存在をするということは、障害者及びその家族にとって大変心強いものであります。
 地域で生活をする障害者やその家族の状況の変化や緊急事態にも対応し、障害者が地域で生活を継続できるよう、地域生活を支える拠点機能が身近な地域に整備をされることが重要と考えます。
 都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は、障害者が地域での生活を継続できるよう、相談や緊急時の受入れ、一人暮らし体験などの機能を備えた地域生活支援拠点を令和五年度末までに、各区市町村に少なくとも一つ以上整備することを目標としております。
 拠点を整備いたしました区市町村は、令和元年度末の十一から、令和二年度末には二十一となっております。さらに取組を進めるため、来年度からは緊急時受入れ等の機能を担う待機入所施設に有資格の支援員を配置するなど、体制の整備に取り組む区市町村を支援してまいります。

○松田委員 今ご答弁いただきましたが、障害者が地域で安心して過ごせるよう、我が会派では、二年前、地域生活支援拠点の整備の重要性を指摘させていただきましたが、このたびその整備促進に向けて、都として、さらに力を入れるということ、ぜひよろしくお願いいたします。しっかり進めていただきたいと思います。
 本定例会には、令和四年七月の都立、公社病院の独法化に向けて、中長期の目標のほか、関連議案が提出をされております。我が党は、民間病院との差別化を図りつつ、各病院が提供する医療の特徴を際立たせて機能強化すること、地域医療の充実に貢献していくことが都民の期待する都立病院の独法化と主張してまいりました。
 独法化後、行政的医療をはじめとした都立病院の医療がどうなっていくのか、都民の一番の関心があるところだと思いますので、改めて確認をしてまいりたいと思います。
 この機能強化ということは非常に重要なことで、行政的医療の充実は欠かせません。独法化すると経営効率が優先となって行政的医療が縮小するというような主張もありますが、これまでの議会での議論で、知事は、行政的医療の充実強化とそのための経費は確実に措置すると何度も答弁をされてきました。
 独法化後は、機動的、安定的な人材確保など、柔軟な運営ができるメリットを生かして、行政的医療をはじめとして、都民の求める医療を充実強化できるものだと思っております。今までの医療強化の継続だけではなく、各病院の特徴を明確にしながら、しっかりと充実をして、都民の期待に応えていただきたいと思います。
 こうした中、島しょ地域では医療資源が少ないことから、島民の方々は、独法化によって島しょ医療が充実することに期待をしているという声が我が党に届いております。特に、広尾病院で治療を受ける島民は、がん患者が多いと聞いております。退院後の療養生活を安心して送れるということは、島民の大きな関心事となっております。
 独法化のメリットを生かして、島しょ地域に対する支援の強化充実を図っていくべきでありますが、都の見解を伺います。

○西山病院経営本部長 都民の誰もが、住み慣れた地域で安心して療養生活を送ることができる環境整備に都立病院が貢献していくことは重要でございます。このため、独法化後は、そのメリットを生かし、民間とも柔軟に人事交流できる制度の構築やDXの活用により、島しょ地域に対する技術支援を行ってまいります。
 具体的には、島しょの診療所や訪問看護ステーションに看護師を一定期間派遣し、同行訪問等により、在宅療養等に必要なケア技術に関する指導助言を行うこと、また、ICTを活用して、退院した患者の診療情報を診療所等との間で共有し、ウェブカンファレンスを通じてリハビリや投薬に関する助言を行うなど、退院後の安全・安心な療養生活を支援してまいります。さらに、島しょ医療機関との間で5Gを活用した遠隔医療を推進するなど、島しょ医療の一層の充実に貢献をしてまいります。

○松田委員 広尾病院の機能充実だけではなくて、島しょ地域における地域包括ケアシステムの構築に向けても、ぜひ率先して貢献していっていただきたいと思います。
 また、高齢化の進展に伴って、都内でも脳血管疾患や心疾患患者の増加が見込まれております。退院後の療養生活を見据えると、治療後の継続的な急性期リハビリテーションの提供が重要とされています。
 そこで、こうした課題に対しても、独法化のメリットを生かして着実に対応すべきですが、都の見解を伺います。

○西山病院経営本部長 脳血管疾患や心疾患については、患者のADLの維持や後遺症を軽減するため、発症初期から退院まで切れ目のない治療が重要で、早期退院を求める患者のニーズも高まってございます。
 このため、独法化のメリットを生かし、柔軟な勤務制度等を構築することにより、人員体制を強化し、急性期リハビリテーションの一層の充実を図ってまいります。
 具体的には、豊島病院では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を増員し、急性期における集中的かつ専門的なリハビリテーションを休日にも切れ目なく実施することとしており、患者の早期の機能回復やQOLの向上を図ってまいります。

○松田委員 私の地元の板橋にある豊島病院でも、独法化によって人員を増強して、急性期リハビリの充実を図っていくというご答弁をいただきました。
 各病院の強みをさらに伸ばして、医療を充実強化させることができるのが独法化であり、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、都立、公社病院の担う医療の中でも、行政的医療の最たるものとして感染症医療があります。
 独法化後も、都立病院は独法化のメリットを生かして、現下のコロナ禍のような緊急事態に率先して取り組む必要があり、今回の中期目標において、災害時の緊急事態への対応が明記されたことを評価いたします。
 今回のコロナ対応では、どの病院でも、対応できる人材の確保など体制整備には苦労していると聞いております。コロナのような有事の際に機動的に対応するためには、平時からの人材育成が重要であります。
 独法化後はそのメリットを生かして、職員のモチベーションを向上させながら、緊急時に備えていくべきと考えますが、見解を伺います。

○西山病院経営本部長 今回のコロナ対応を踏まえますと、全ての都立病院で、日頃から感染症の専門的知識を有し、即戦力となる看護師等を多数確保していくことが重要でございます。
 このため、独法化後は、法人全体の取組として、感染症対応力向上のプログラムを策定し、訓練を受けた看護師等を計画的に確保してまいります。プログラムを修了した看護師等に対しては、独法化のメリットを生かした新たな手当を継続的に支給することを検討しており、職員のモチベーションを維持向上しながら、新たな都立病院の感染症対応力をさらに強化してまいります。
 また、緊急時には、育成した人材を十四病院のスケールメリットを生かしながら、機動的に集約し、戦略的に配置することで、効果的な医療を展開してまいります。

○松田委員 コロナへのさらなる対応ですとか、いつ起こるか分からないこの新たな感染症に備えるためにも、独法化のメリットを生かして、対応力を強化していってもらいたいと思います。
 次に、水道局に伺います。
 東京水道の歴史は、徳川家康が小石川の水を引いたところから始まります。
 都は、明治三十一年の近代水道創設以来、百二十年間、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、水道施設の整備、拡張を繰り返してまいりました。
 大正十三年に整備をされた境浄水場や、高度経済成長期、昭和三十五年に給水を開始した東村山浄水場は、今でも現役の浄水場として都の水道の一翼を担っています。
 将来にわたって安定給水を保つためには、こうした施設の維持管理が必要であります。特に、水道施設の根幹をなす浄水場で、一たび大規模事故が発生すれば、都民生活への影響は甚大であります。高度成長期に多く造られた浄水場の更新、これから始まってまいりますが、今までにない大規模な事業になります。給水に影響を与えることのないよう、着実かつ計画的に進めていくことが必要であります。
 そこで、どのように浄水場を更新していくのか、また、令和四年度の取組について伺います。

○浜水道局長 浄水場の更新は、工事期間中においても安定給水を確保するため、浄水場の機能の大幅な低下を避けながら進めていくことが必要でございます。
 このため、更新に着手する前に、大規模浄水場の更新時に低下する施設能力相当の代替浄水場を整備いたします。
 水道局では、二〇三〇年代から東村山浄水場の更新に着手する予定でありまして、代替浄水場として境浄水場を再構築するとともに、青梅市内に新たに浄水場を整備することとしております。
 令和四年度は、境浄水場においては、一部施設の運用を継続しながら、既存施設の撤去工事を実施いたします。
 また、新たな浄水場の整備に向けては、水処理実験により、最適な浄水処理方法を検討いたします。
 こうした取組を着実に進め、強靱で持続可能な水道システムを構築し、将来にわたり安定給水を確保してまいります。

○松田委員 ありがとうございました。質問を終わります。(拍手)

○三宅委員長 松田康将委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

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