予算特別委員会速記録第五号

○伊藤副委員長 森澤恭子委員の発言を許します。
   〔伊藤副委員長退席、委員長着席〕

○森澤委員 まず、少子化対策について、昨年の予算特別委員会において、知事は、全国で最も出生率が低い東京が先頭に立って少子化に立ち向かうと答弁し、チーム二・〇七プロジェクトをその重要な仕掛けと位置づけています。
 少子化に関する私たちの独自調査では、子育てが楽しい、幸せよりも不安、不自由という負の感情が強いことが出産のハードルになっていることがうかがい知れました。
 育てる自信がないといった不安や、子供によりよい教育をといった重圧、母親はこうあるべきといった価値観による制約を取り除くとともに、子育てを社会全体で支える仕組みをつくっていくことが必要です。
 チーム二・〇七プロジェクトでは、子供スマイルムーブメントを展開していくとのことですが、子供の笑顔のためには、経済的にも、心理的にも、子育ての負担や不安、不自由さが実際に解消されていくことが重要だと考えます。知事の見解を伺います。

○小池知事 子育てに対する経済的、精神的な負担感、将来への不安、社会からの孤独感など、さまざまな要因を背景といたしまして、少子化は我が国の大きな課題であり続けております。子育て家庭が不安や孤独を感じることなく育児ができるよう、負担を取り除くとともに、周囲の人々が子育てを温かく見守り、サポートし、そして応援してくれる社会をつくっていく必要がございます。
 そのため、未来の東京戦略におきまして、子供の笑顔のための戦略を第一に掲げました。妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の充実など、子育て世帯に寄り添ったきめ細かな政策と、チルドレンファーストの視点から、社会のマインドチェンジを促すムーブメントを、いわば車の両輪として進めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会を築き、少子化からの脱却へとつなげてまいります。

○森澤委員 ユニセフが示す子供の幸福度一位であるオランダについては、ワークライフバランス、福祉の充実などにより、大人が幸せであることがその大きな要因とする見方があります。子供の笑顔のためにも、大人が笑顔でいられる取り組みも進めていただくようお願いいたします。
 次に、性教育について質問します。
 予期せぬ妊娠や生活困窮などにより支援が必要とされる特定妊婦は、十年前の約七倍に増加し、また、昨年、都内で発生した出産間もない乳児を遺棄し逮捕されたのは若い女性でした。妊娠は一人でできるものではないにもかかわらず、女性だけが家庭や社会から孤立してしまうことは看過できません。
 日本での避妊は、男性主体であることが一般的であり、女性が主体の経口避妊薬、ピルの普及率は三%にも満たず、世界最低レベルです。また、日本産婦人科医会の調査によると、十代の人工妊娠中絶の理由は、男性が避妊をしなかったが最多であり、望まない妊娠を防ぐには、男女ともに性に関する正しい知識を身につけることが、その入り口になると考えます。
 女性が主体的に自分の体を守ることができるようになるためにも、早い段階から適切な性教育が行われる必要があります。コロナ禍にあっても、都として着実に性教育の授業を支援し、また、行く行くは区市町村が独自に取り組むことができるよう、教員の指導力向上を目指していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 学校における性教育は、学習指導要領に示された内容を全ての児童生徒に確実に指導するとともに、保護者の理解を得ながら、児童生徒の実態に応じて、今日的な課題にも対応できるよう取り組んでいくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は平成三十年度から、産婦人科医を活用した中学校における性教育の授業の実施を支援しており、今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、産婦人科医の講話を収録した映像資料による授業を十九校で実施をいたしました。
 また、教員の指導力向上を図るため、都教育委員会作成の性教育の手引に掲載しております性教育の目的や指導法等に関する研修動画を作成し、全ての教員を対象に配信したところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会の担当者連絡会等において、効果的な実践事例を紹介するとともに、研修動画の活用を促進するなど、性教育の適切な実施を支援してまいります。

○森澤委員 児童生徒のみならず、教員や保護者も含め、性に関する正しい知識が広がるよう、今後の取り組みに期待します。
 さて、女性には、生理や妊娠、出産、更年期に至るまで特有の健康課題があります。民間調査では、そうした課題について、全体の六五%が、上司が男性だといいにくいと回答しています。さらに、その半数以上が我慢してつらい思いをしていることや、感情の揺らぎがあることを男性上司に理解してほしい、また、会社に対して、女性特有の健康課題についての関心を高めてほしいとしています。
 日本では、女性の社会進出が進んできた一方で、職場や社会全体では、働く男性に最適化された旧来の制度や仕組み、価値観が残ったままであることも多いのが現状です。
 そのような意味で、真にジェンダー平等な社会を目指すに当たっては、女性特有の健康課題等について、男性も含め、社会全体、とりわけ職場における理解が進むよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 国の調査では、働く女性の約半数が、月経痛など女性特有の健康課題や女性に多くあらわれる症状によって職場で困った経験をするなど、女性が安心して働くことができる職場環境の整備が課題とされております。
 都は、東京商工会議所の健康経営アドバイザーを通じ、女性の健康課題に関する職場の理解を深めるための研修の実施や、保健師等による相談窓口の設置などを企業経営層に働きかけております。
 また、女性の健康や女性特有の病気に関する情報を集約したポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部を紹介したリーフレットを企業や医療保険者などに広く配布し、普及啓発を行っております。
 今後とも、年代、性別を問わず、幅広い層に女性の健康課題の理解促進を図ってまいります。

○森澤委員 最後に、新型コロナ対策について、都では、検査や医療、経済や雇用などに計二兆九千億円を超える予算を計上してきましたが、都内のコロナ解雇が二万人を超える中にあっては、事業者のみならず個人への支援が、より重要になると考えます。
 都では、都民生活を支えるセーフティーネットとして、約二千九百八十億円を計上していますが、うち約二千五百億円は、国の制度である生活福祉資金貸付事業補助です。都は全国と比べて消費支出が高いという特徴があり、その中で最も多い食料については、令和元年度、月額八万七千九百二十一円とのことで、全国と比べて約一万二千七百円高い状況です。
 先般、政府が発表した緊急支援策でも、フードバンクに対する補助率を十分の十にするなど、困窮世帯に対する食の支援が強化されようとしていますが、都独自の生活支援が求められます。
 また、ユニセフの報告書によると、先進国における子供の貧困は少なくとも今後五年間は、コロナ前を上回る水準となる可能性があるとしています。都における子供の貧困対策についても、コロナ禍の影響も含め、その実態を的確に把握し、さらなる対策を講じていく必要があると考えます。
 そこで、コロナ禍における子供の貧困対策についての都の認識を伺うとともに、食という側面からの支援について見解を伺い、無所属東京みらいを代表しての締めくくり総括質疑を終わります。

○吉村福祉保健局長 都は、子供・子育て支援総合計画に基づき、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の四つを柱に、福祉、教育、就労など、さまざまな分野の関係機関と連携しながら、子供の貧困対策を総合的に進めております。
 お話の食の支援につきましても、子供食堂に対する運営費の助成や、生活困窮者等に食料を提供する地域の拠点となるフードパントリーの設置に取り組む区市町村への支援などを行っております。
 コロナ禍においても、支援が必要な家庭を早期に把握し、適切なサービスにつなげられるよう、区市町村とも連携しながら、子供の貧困対策に取り組んでまいります。

○木村委員長 森澤恭子委員の発言は終わりました。(拍手)
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十八号議案まで、第百一号議案及び第百二号議案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○木村委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、あすは午前十一時から理事会を議会運営委員会室で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十一分散会