予算特別委員会速記録第五号

○木村委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 この間の予算特別委員会の運営について申し上げます。
 まず初めに、令和三年三月十一日の開会に当たりまして、私と伊藤副委員長の間におきまして意思疎通が十分でなく、会派間連絡において誤解を生じさせたことで都議会自民党の皆様の着席時間におくれが生じましたことを、改めて都議会自民党の皆様におわびを申し上げます。(発言する者あり)ご静粛に願います。
 次に、東日本大震災でお亡くなりになられました方々や被災されました皆様に哀悼の意を表し、黙祷をささげるに際し、本来、私が委員長として、開会宣言の後も委員長席にとどまり、黙祷を宣言するべきところでした。しかしながら、私の認識に誤りがあり、結果的に副委員長に職務を代行させてしまった形となりました。
 以上申し上げ、今後改めて円滑な議事運営に努めてまいりますことをお約束し、議事に入らせていただきます。

○木村委員長 次に、委員外議員の発言の申し出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席して発言したい旨の申し出がありました。
 本件については、理事会において協議の結果、必要なしとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○木村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで、第百一号議案及び第百二号議案を一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十二日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 森村隆行理事の発言を許します。

○森村委員 都民ファーストの会東京都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 まずは、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 二カ月半にわたる緊急事態宣言が、おとといをもって解除されました。昨年秋からの感染第三波は、一月七日に都内二千五百二十人の新規感染者数を記録。重症者用の病床も逼迫いたしましたが、新規陽性者数の直近七日間移動平均は、緊急事態宣言最終日となった三月二十一日時点で三百一・一人と、ある程度は下落したものの、対前週比で一〇七・九%と、緊急事態宣言下であったにもかかわらず、上昇基調の中での解除となりました。
 また、英国株を中心に、感染力の強い複数種の変異株が水面下で感染拡大していることは、今後の感染状況と医療提供体制のあり方を考えるに当たって極めて重要です。
 そこで、緊急事態宣言の解除に当たり、リバウンド対策をしっかりと行いながら、次なる感染の波に備えるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 森村隆行理事のご質問にお答えをいたします。
 都の感染状況は、依然として厳しいものがございます。今後は、リバウンドを防止する期間として、気を引き締めて対策を進めていく必要がございます。
 このため、都民に対しましては、不要不急の外出の自粛や基本的感染対策の徹底、卒業旅行、花見での宴会などの自粛の呼びかけ、事業者に対しては、二十一時までの営業時間の短縮の要請やガイドラインの遵守、テレワークの強化の働きかけなどによって、徹底的に感染を抑え込んでいく所存でございます。
 また、特別養護老人ホームなどを対象に集中的なPCR検査を実施するほか、今月から有料老人ホームなどでの検査を支援対象としまして、今後、さらに通所サービスなどにも支援を拡大してまいります。
 さらに、保健所と連携いたしまして、医療機関の職員や特定エリアの飲食店を対象とした検査を行いますほか、国と協力して、交通要所でのモニタリング検査を実施するなど、戦略的な検査を進めてまいります。
 変異株につきましては、これまで三千件を超える検査を実施してまいりましたが、今後、早期に探知するため、健康安全研究センターでの検査数を増加させるとともに、民間検査機関への働きかけを強めて、変異株検査の実施割合を現在の新規陽性者の約一〇%から、四月上旬には約二五%、さらに四〇%を目指しまして、早期に拡大をしてまいります。
 緊急事態宣言の解除というのは、リバウンド対策の徹底に向けた新たなスタートでございます。都民、事業者の皆様のご協力も得まして、感染の抑え込みに全力で取り組んでまいります。

○森村委員 ご答弁いただいたとおり、都は、今月三月三十一日まで飲食店等への二十一時までの営業時間の短縮や不要不急の外出の自粛等を引き続きお願いしていますが、現下の感染状況を踏まえれば、四月以降、一気に解除というわけにはいかないと考えられます。一方で、外出自粛要請や営業時間の短縮要請が続くことは、都民や事業者にとって非常に影響が大きなことです。
 こうした状況を踏まえつつ、都においては、現在、十分な感染症対策を講じるべく、足元の感染状況や医療提供体制の状況などを見きわめているところであると推察します。
 一方で、三月三十一日までは、もう残り十日を切っています。四月以降の見通しを早く知りたいという都民の声も大きくなっていることから、我が会派としても、四月一日以降についての方向感について、できる限り早期に知事にご判断いただきたいと考えますが、見解を伺います。

○小池知事 今月二十一日までの緊急事態宣言の間、都民、そして事業者の皆様には、多大なご協力をいただいたことに改めて深く感謝を申し上げます。
 ただ、都内の現状は依然として厳しく、感染はまだおさまってはおりません。今ここで感染を徹底的に抑え込んで、感染の再拡大を招かないように全力で取り組むことが何よりも重要でございます。
 都は感染を抑え、都民、家族、自分自身の命、そして健康を守るため、リバウンドを防止する期間として、当面三月三十一日までの間は時短要請を初めといたしました感染防止対策を実施してまいります。
 四月一日以降の取り組みでございますが、感染状況、医療提供体制を踏まえまして、国や一都三県と調整の上で、早急に都民、事業者にお示しできるように速やかに決定をしてまいります。
 今後とも、早期の感染終息に向けましては、都民、事業者、行政、総力を結集して、感染拡大防止に万全を期してまいります。

○森村委員 厚生労働省が求める病床確保計画の見直しについては、地域の医療機関の役割分担を明確にすることとされており、大学病院などが重症者を受け入れ、公的な医療機関など、地域の中核的な病院が中等症の患者を担当するなど、医療機関の役割を明確にすべきであるという通知も出ています。
 都は、第三波において病床の逼迫を迫られましたが、今後予想される第四波への備えとして、都内医療機関と連携して十分な体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都はこれまで、感染症指定医療機関を初め都立、公社病院、そして公立、公的医療機関、そして高度医療を担う大学病院などの役割や状況に応じまして、病床の確保を要請し、医療提供体制の整備を進めてまいりました。
 また、新たな入院患者を円滑に受け入れるため、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の転院を受け入れる病院への支援も行うなど、病床の効率的な利用も図っております。
 これに加えまして、さらなる患者を受け入れられますように、感染の再拡大時に通常の医療を抑制いたしまして、新型コロナ患者を受け入れるために転用する病床の確保を進めておりまして、これら病床を含めますと、最大確保病床は現在五千四百七十四床となっております。
 これまでの努力を水泡に帰さないためにも、次への備えが必要でございます。私自身、医療現場の声を直接伺うなど、医療機関としっかり連携をしながら、都民の命を守るための医療提供体制の構築に万全を期してまいります。

○森村委員 医療体制の構築に万全を期していただくというご答弁でしたが、感染第四波に備えるためには、病床の確保に加えて、保健所や医療機関における感染症に対応可能な専門人材の確保と育成が極めて重要な課題です。
 短期的な人材確保の観点から、保健所、医療機関における専門人材を確保するための待遇等の改善や、感染症対応に関する研修等の強化、そして中長期的な育成の観点からも、保健所、医療機関において感染症に対応できる専門人材の育成を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 専門的な能力を備えた人材を安定的に確保、育成していくことは、効果的な感染症対策を実施していく上で重要でございます。
 都はこれまで、大幅に不足しております公衆衛生医師の確保に向け、給与の改善を図るほか、都内医科大学での公衆衛生医師の業務に関する講義や募集パンフレット等の配布、保健所での現場実習の受け入れ、保健所業務説明会の開催など、さまざまな対策を講じてまいりました。
 これに加えまして、今年度、東京iCDCに人材育成チームを設置し、感染症対策を担う人材の育成プログラムの検討に着手し、来年度からは、国立感染症研究所や都立、公社病院などでの専門研修を経て、感染症医療の臨床現場や、保健所などで勤務する専門医の育成に向けた取り組みを開始するなど、専門人材の確保、育成を進めてまいります。

○森村委員 iCDCのご活用、ぜひよろしくお願いします。
 英国で九月に発見された変異株は、十二月の時点では、既に英国の感染の主流を占めている状況でした。WHOは、変異株がこの三月には世界の感染の主流になるであろうと予測しておりましたが、我が国でも、尾身会長から同様の見解が発せられました。今後はどの変異株が主流になっていくのかなど、注視する必要があります。
 我が会派は、本定例会において、これまで以上に感染力が強いとされる変異ウイルスの対応をさらに強化すべき旨を指摘しており、都からは、スクリーニング検査を実施していない民間検査機関に働きかけ、四月までに累計四千件を目指し、規模の拡大を図っていく旨の答弁がありました。
 改めて申し上げます。民間検査機関に対しては、働きかけを行うのにとどまらず、さまざまな支援を実施することにより、変異株の検査体制を強化すべきと考えます。また、民間と連携してゲノム解析を進め、新たな変異株のモニタリングを強化していくべきと考えますが、あわせて見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 変異株につきましては、これまで三千件を超えます検査を実施してまいりましたが、早期探知に向けまして、監視体制をさらに強化するため、保健所との連携強化を図り、変異株と疑われる検体の健康安全研究センターへの搬入をふやしてまいります。
 また、スクリーニング検査を実施していない民間検査機関に対しまして、検査のノウハウを有します健康安全研究センターが技術支援を行うなど働きかけを強めまして、新規陽性者に対しますスクリーニング検査の割合を現在の約一〇%から、まずは四月上旬を目途に約二五%まで引き上げまして、その後四〇%を目指して、早期に拡大してまいります。
 さらに、健康安全研究センターで引き続きゲノム解析を実施いたしますとともに、東京iCDCで、大学や研究機関等と連携して、変異株の特徴や新たな変異の有無などの実態把握を進めてまいります。

○森村委員 できれば、全件の解析ができる体制がとれるのがやはり望ましいと思いますが、現在の検査のキャパシティーでは、まだそれができないということだと思います。
 ぜひ民間検査機関の体制を強化して、今後も何があるかわかりませんので、しっかりと検査体制を拡充して備えられるように努めていただければと思います。
 次に、新型コロナウイルスへの対応について、いまだ科学的エビデンスが少ないなどの批判もありますが、この一年で次第に知見が蓄積されてきております。
 新しい感染症であり、手探りで試行錯誤しながら行っていくことが余儀なくされる部分もありますが、今後、より科学的なアプローチで感染状況や都民の人流の変化、そして政策効果の測定などを行っていく必要があると考えます。
 iCDCにおいて、AIやビッグデータなどの専門家が持つ最先端のテクノロジーや知見を十分に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 東京iCDCの専門家によります科学的なアプローチに向けた体制を強化していくため、都は、最新のデータを活用いたしました高度な分析と、それに基づく迅速な政策提言を可能とする情報基盤の整備を進めていく考えです。
 また、東京iCDCの専門家ボードでは、空間情報科学の専門家やAIベンチャー企業と連携して、人の移動にかかわりますビッグデータを活用した都内主要繁華街での滞留人口のモニタリングを行っており、引き続きこうした技術の活用を図ってまいります。
 東京iCDCを中心に、各分野のさまざまな専門家との連携を進め、最先端のテクノロジーを活用いたしました効果的な感染症対策を推進してまいります。

○森村委員 ぜひ最先端の技術、この東京には、さまざまな分野の専門家、そして秀でた能力をお持ちの方々がたくさんいらっしゃいますので、そういった方々の知見もぜひ活用できるような体制もご検討いただきたいと思います。
 ワクチンの安全、迅速な接種に対する期待が高まっています。しかし、現時点で国から都に示されたワクチンの供給量は到底十分なものではなく、残念ながら、現状では都民の期待に応えることは困難な状況です。
 国際的なワクチンの獲得競争の中で、自国での開発のみならず、調達においても大きくおくれをとっているといわざるを得ません。
 さらに、今後、国内で感染の主流になっていく可能性の高い変異ウイルスに対し、現在のワクチンが果たしてどの程度効果があるのかに関し疑問の声も上がっています。
 都内、国内で蔓延している可能性がある変異ウイルスに対し、現在のワクチンへの有効性を早期に検証するよう、国に対して早急に求めるべきと考えます。
 あわせて、今後の変異ウイルスを見据え、東京都医学総合研究所での研究を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 国の新型コロナウイルスワクチンに関しますQアンドAでは、ファイザー社製のワクチンについて、変異株の新型コロナウイルスにも作用する抗体がつくられたという実験結果が発表されているとの記載がございます。
 また、承認申請がなされましたワクチンの審査に当たっては、変異株に関する情報も含め、引き続きさまざまな情報を収集しつつ、適切に有効性、安全性等を確認していくこととしております。
 都は、国の動きを注視しながら、今後とも、ワクチンの安全性や変異株に対します有効性について、国民に対して適切に情報発信することなどを国に求めてまいります。
 また、東京都医学総合研究所では、新型コロナウイルスのワクチン研究を行っており、動物を対象とした試験では、一定の効果を確認いたしました。変異株への効果も期待できるものであり、実用化を目指して開発を進めてまいります。

○森村委員 ご答弁では、厚生労働省のQアンドAに言及されていますが、海外では、変異株の種類によってはワクチンの効果が低下するという結果も報告されています。
 厚労省によるQアンドAでは、効果の持続期間については明らかになっていない、ワクチンを受けた方から他人への感染をどの程度予防できるかはまだわかっていないなどの記述もあります。
 重要な点がいまだ明らかになっていない状況の中、ワクチンを打てば全てが解決するかのような論調は、都民の理解をミスリードします。
 この局面を打開するゲームチェンジャーたり得るワクチンの接種を確実に進めながらも、最新の感染実態や得られた知見を踏まえながら、都民を守るため、常に最適な対策を講じていかなければなりません。
 知事も先日、記者会見で言及されておられたとおり、国産ワクチン開発への期待は大きく、ご答弁にありました、ワクチン開発への都による後押しもさらに強化いただきたいと考えます。
 さて、我が国で特認申請中のアストラゼネカ製のワクチン接種後に血栓の症状が確認された問題で、ヨーロッパ各国で接種が中断され、その後、ヨーロッパ医薬品庁は、安全で効果的、リスクよりもメリットが上回ると発表、WHOも、接種による血栓の増加は示さなかったという見解のもと、安全宣言を行いました。
 厚労省が行った調査によると、大変多くの方がワクチンの安全性に対して不安を持っているとの結果が出ていると聞いています。
 ワクチンの安全性についての丁寧な情報発信や、副反応があった接種者への誠意ある対応をしっかり行うことができる体制を構築すべきと考えますが、都の見解と取り組みを伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、国から提供されるワクチンの有効性や安全性、副反応に関します注意事項等につきまして、ワクチンに関するポータルサイトのほか、東京動画やテレビCMなど、多様な媒体を通じて発信しております。
 また、今月一日に東京都新型コロナウイルスワクチン相談センターを開設し、副反応に関する問い合わせに対応するほか、二次保健医療圏ごとに一カ所ずつ専門的な医療機関の確保を進めてございます。
 今後も、ワクチンの安全性等の正確な情報を都民にわかりやすく発信するとともに、副反応等への適切な対応に努めてまいります。

○森村委員 副反応への情報発信、しっかりお願いしたいと思います。
 先日、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方のご親族が火葬を行い、葬祭料金の請求額を見ると、通常より高額な料金が請求されていたことがわかりました。
 明細を見ると、消毒や防護服等の代金であることがわかりましたが、国のガイドラインに照らす限りにおいて、本当にそのような費用をかける必要があるのか疑問であり、都として、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになったご遺体への対応等について明示する必要があると考えます。
 そこでまず、業者や都民が適切な感染対策を理解し、葬儀ができるよう取り組むべきですが、都の見解を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 昨年七月に国が作成しました新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方などの遺体の取り扱いに関するガイドラインでは、医療機関等において、遺体を非透過性納体袋に収容、密閉して、その外側を消毒し、破損等しないよう取り扱うことで、その後の納棺や火葬等に際し、特別な対策は不要とされております。
 国は、このガイドラインを葬儀業の団体に周知いたしますとともに、ホームページに掲載をしております。
 都は、火葬場に対し、許可権限を有します自治体を通じて周知するほか、火葬場等との連絡会で、お見送りや納体袋の上から遺体に触れる際の留意事項などをご遺族に知らせるよう依頼をしております。
 引き続き、ご遺族や事業者等が必要な感染防止対策について理解した上で、葬儀や火葬を行えるよう対応してまいります。

○森村委員 葬儀社との契約は時間的な余裕がないため、契約内容を十分確認できないこともあり、消費者トラブルになることもあると聞いています。
 消費者保護の観点から、都として適正に対応すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○野間生活文化局長 都は、ホームページや都民向け情報誌、東京くらしねっとに、葬儀サービスに係る相談事例や留意点等を掲載し、注意喚起を実施しております。
 東京都消費生活総合センターにおいては、専門知識を持った相談員が消費者からの相談を丁寧に聞き取って内容を整理しております。
 また、例えば想定よりも高額な請求があった場合には、請求書の内訳と実際に提供されたサービスとの違いを明らかにして、事業者との交渉に役立つ助言をするなど、トラブル解決に向けた支援を実施しております。
 さらに、事業者が法令に違反する広告表示等を行った場合には、改善指導や措置命令を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じ、消費者被害の防止を図ってまいります。

○森村委員 ぜひしっかりよろしくお願いします。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行がおさまる気配がなく、このたびの五者協議により、海外からの観客受け入れを行わない方針が決定されました。二〇二〇大会の開催に当たっては、あくまでも安全性が優先されるため、やむを得ない措置ではありますが、インバウンドに期待した都内各所での取り組みや、先行投資などがこうむる被害への速やかな影響の調査や確認が必要です。
 今後は、国内観客数の上限について、四月中をめどに協議されるようですが、大会の開催がどのような形であろうとも、大会を単なる一過性のイベントとして捉えるのではなく、大会を通じて、東京をあらゆる面で進化させ、未来の東京の発展につなげていく必要があります。
 議員提案条例による組織委員会の文書管理の強化等の大会の透明性の向上、都独自の受動喫煙防止条例によるスモークフリーの推進、バリアフリーの進展、スポーツを通じた健康増進、オリンピック憲章の理念に基づく人権尊重条例、障害者差別解消条例等による取り組みの強化や文化振興、ボランティア文化の定着、水素社会の実現、デジタルなど最先端技術の導入など、これまでに都政で実現してきた幅広い政策が社会に定着し、東京が世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市としてさらに進化するためには、時間をかけながら一つ一つの取り組みを進めていかなければなりません。
 そこで、こうした取り組みについては、東京大会を契機としてまず形成され、その後、進化、醸成されていくべきものと考えますが、東京大会のレガシーがどのように今後の東京のあり方につながっていくのか、まずは未来の東京におけるレガシーの位置づけについて知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会の成功に向けましたハード、ソフト両面にわたる多面的な取り組みを、大会後には都市のレガシーとして発展させる、そして都民の豊かな生活につなげていく必要がございます。
 こうした考えのもとで、未来の東京戦略におきまして、オリンピック・パラリンピックレガシー戦略を掲げて、大会を契機といたしまして、より高度な成熟都市へと飛躍を遂げるためのさまざまな取り組みを盛り込んでいるところでございます。
 スポーツを通じました都民のQOLの向上はもとより、ボランティアマインドの定着、再生可能エネルギーや水素の活用、5Gやロボットなど最先端テクノロジーの実装、芸術文化や食の魅力発信などのさまざまな取り組みを大会後、社会全体に広く浸透させることで、未来の東京の実現につなげてまいります。
 とりわけ、二度目の夏季パラリンピック開催都市といたしまして、パラスポーツの魅力を広く伝えるとともに、さまざまなバリアを取り除いて、多様性と包摂性にあふれる都市を目指してまいります。

○森村委員 次に、コロナ禍の中でのパラリンピックの開催に当たっては、選手たちの健康に対する一層の配慮が必要となります。
 万全の対策を講じてパラリンピック大会を成功させていただきたいと思いますが、まず、パラリンピックの成功を今後のパラスポーツの振興や国際大会の開催などにつなげることで、東京を真にインクルーシブな社会としていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 パラリンピックの成功は、私が目指しますダイバーシティーの実現に向けた一つの通過点であります。大会の成功を通じまして、その後の社会に障害者スポーツを根づかせ、障害のある人もない人も互いを尊重し、支え合い、多様性と人権が尊重される社会を目指してまいりたい。
 都はこれまで、障害者スポーツの魅力発信や身近な地域における場の確保、支える人材の育成などを柱といたしまして、大会後につながるさまざまな施策を積極的に展開をしてまいりました。
 今後は、障害者スポーツへの興味、関心をさらに高めて、誰もがともに楽しめるスポーツとして普及を図るとともに、障害のある方がそれぞれのニーズに応じまして、スポーツに親しめる環境の整備を一層推進してまいります。
 また、幅広い障害者スポーツ大会の開催支援や、国際的な障害者スポーツ大会の調査を進めまして、競技スポーツの振興や都民の観戦機会の創出を図ってまいります。
 引き続きまして、障害者スポーツの一層の振興に取り組んで、スポーツを通じて誰もが生き生きと活躍できる、そんな共生社会を目指して、実現してまいります。

○森村委員 平成二十九年第四回定例会の私たちの代表質問に対し、策定の方針が答弁された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の制定から二年が経過しました。
 性的マイノリティーの方々への差別禁止を盛り込んだこの条例に基づき、基本計画が策定され、知事のリーダーシップのもと、具体的な取り組みも進展しています。
 しかし、まだまだ多くの課題もあり、当事者から同性パートナーシップ制度の創設や、都営住宅への入居要件見直しなどを求める声が寄せられており、これからも一層、当事者に寄り添った取り組みを進めていかなければなりません。
 先日の一般質問では、我が会派の龍円議員からの質問に対して、性的マイノリティーの方々の多くが一人で悩みを抱えていて、周囲の無関心、無理解、偏見等の中で、さまざまな場面で困難に直面していることへの理解を知事自身の言葉でご答弁いただきました。
 また、きのう我が会派の議員らとともに、性的マイノリティー当事者が知事と面会し、直接意見交換をさせていただきました。コロナ禍で、大切な場面でパートナーと家族として扱われなかったらどうしようという不安が、なお一層深まっているなどの切実な声が届けられました。知事からは、皆さんの声をしっかり受けとめましたという力強いお返事がありまして、みんなが勇気づけられたことと思います。
 また、都は、国際金融都市構想の実現を掲げ、私たちの先日の代表質問に対しても、知事から、条例の制定に向けた検討を行う旨の重要な答弁をいただきました。
 金融やテクノロジーなど、海外の有望企業や高度外国人材を招致しようという中において、多様性の尊重、ダイバーシティーは重要な指標であり、都から国に対しても、同性パートナーの在留資格を認めるように要望しており、性的マイノリティーの方々に寄り添う取り組みは、東京の魅力、国際競争力を高めるという点でも重要です。
 都は来年度、性的マイノリティーの方々への差別等に関して、大規模な実態調査を進めるとのことです。国内外の状況に目を向けてみると、同性パートナーシップ制度、苦情申し立て制度、就労支援制度などの先進的な取り組みがあります。
 実態調査とあわせて、このような国内外の先進的な動向なども把握し、必要な施策展開につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念を広く浸透させていく上で、性的マイノリティーの方々を初めとする全ての都民が、個人として尊重されることが重要であると認識をいたしております。
 都におきましては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの解消のために、令和元年十二月、基本計画を策定いたしました。性的マイノリティーの方々に対しまして、都庁の各局でどのような配慮が必要なのか個別具体的に検討いたしまして、必要な取り組みを推進しているところであります。
 令和三年度には、広く都民や当事者の意見を把握するために実態調査を実施するとともに、海外、そして国内の同性パートナーシップ制度の仕組みや、性的マイノリティーの方々の居住、就労などに関するさまざまな支援制度などについて幅広く調査を行いまして、都に必要な施策を検討してまいります。
 こうした調査や検討を踏まえて、次期基本計画の中で当事者の方々に寄り添う取り組みを強化することで、誰もが生き生きと生活ができるダイバーシティー東京を実現してまいります。

○森村委員 ありがとうございます。力強いご答弁をいただきました。
 国際金融都市東京の実現に向けて、海外の有望企業や高度外国人材を招致しようという中において、性的マイノリティーの方々の受け入れに対する都の認識、対応について、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 現在、国際金融センターや私が身を置いてきたIT業界に限らず、あらゆる分野で世界的な人材獲得競争が激しさを増しています。
 このような中、東京が国内、国外のさまざまな人たちから選んでいただき、世界に冠たる国際金融都市として発展していくためには、性的マイノリティーの方々も活躍できる環境の整備などが不可欠です。
 その具体的な取り組みの一つとして、都では、国家戦略特別区域諮問会議において、外国人同性パートナーの在留資格に係る特例の創設を提案し、その実現に向けて、国との協議を続けてきたところであります。
 さまざまな価値観を持つ人が、それぞれの違いを認め合いながら、誰ひとり取り残さずにそれぞれの才能を生かして暮らせる社会を実現する、これは先般の未来の東京戦略の中でも示されている東京の未来像です。
 私は、インターネットの世界で長年生きてまいりました。そこでは非対面が前提であるため、相手の性別や年齢、障害の有無、国籍、ライフスタイル、価値観などに一切とらわれることなく、皆がフラットにつながり、自分たちの才能を持ち寄って、価値ある何かをつくり上げる文化がありました。
 今後、このようなダイバーシティーやインクルージョンを実現した世界が、ネットでも、そしてリアルでも、あらゆる領域で広がっていくことを期待しています。

○森村委員 昨年の第四回定例会の代表質問からこの間、自転車活用推進計画関連質疑の中で、自転車は環境に優しく、コロナ禍の中でも楽しみやすく、健康増進に役立ち、また、人中心のまちづくりや観光振興にもつながることが論じられてきました。自転車が今後の社会の中で果たす広範な役割への期待は、間違いなく高まっています。
 思い起こせば、東京マラソンの開催は、全国的なランニングブームを巻き起こし、その後大きな経済効果や運動習慣の増進という成果につながったことは、記憶に新しい取り組みです。
 東京二〇二〇大会において、海外からの観客を受け入れない方針が示されたことを受けて、インバウンド需要を改めて喚起するためにも、コロナ禍で沈んだ空気感を刷新するためにも、この機会を逃すべきではありません。
 例えば、ゼロエミッションの象徴的な取り組みとしての自転車レースなどの開催をすべきと考えます。大会のレガシーコースとして路上競技のコースを活用することについて、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会後、そのレガシーを東京の魅力向上に最大限活用していくことは、ご指摘のように重要であります。
 自転車のロードレースなどの路上競技でございますが、沿道の多くの都民の方々が熱戦を間近に体感して、感動を共有するということで、スポーツへの興味や関心を高めることが期待をされております。また、長距離のレースにおきましては、都内の各地をめぐることから、東京の魅力発信にもつながっていきましょう。
 このような競技の特性を生かしまして、大会のレガシーコースを都民利用、そして大会開催などに活用することは、東京の魅力に新たな一ページを加えるものといたしまして、大いに意義がございます。
 そのため、来年度は、自転車のロードレースを初めとするさまざまな路上競技の現況や国内外の事例などを調査しまして、その活用について幅広く検討をいたします。
 都民にとりまして、身近な路上コースがレガシーとなることで、大会の感動が長く都民の心に刻まれる、そしてまた、東京の新たな魅力の創出につながるように取り組んでまいります。

○森村委員 コロナを乗り越えたその後に、東京の経済を、都民の活力を復興させる政策の一つとして、大きく期待いたします。
 そして、アフターコロナの観光について伺います。
 都は、PRIME観光都市・東京を策定し、東京二〇二〇大会の開催に照準を合わせ、観光振興策を進めてきました。とりわけ、インバウンド需要の喚起や、それに伴う受け入れ環境の整備は、大きな目玉政策の一つでした。
 しかし、海外からの観客の受け入れを行わない方向性での開催方針が示されたことで、これまでの方向性は一旦修正を余儀なくされることとなりました。
 一方で、都県境をまたぐ移動の自粛要請によって、都民が都内で行う旅行に一躍光が当たることとなり、例えば自然豊かな西多摩地区を例に挙げれば、密が生じにくい開放的な野外空間を求めて、多くの観光客でにぎわう姿が見られました。
 感染拡大により、運用が中断しているところではありますが、都民が都内旅行を楽しむことを進めるもっとTokyo事業は、我が会派の求めで実現した施策であり、都民が都内に目を向ける機会をつくったことへの評価は高く、こうした効果を継続させる取り組みについては、今後も期待されています。
 観光産業は大きな困難に直面しておりますが、成長産業としてのポテンシャルが損なわれたわけではありません。アフターコロナの観光はどうあるべきか、戦略を立て直して当たるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、観光は、日々の生活から離れて、その土地ならではの文化や食に触れたり、地元の人と交流するなど、非日常の体験が多くの人々を引きつけてまいりました。
 百年に一度の危機ともいわれます、このコロナ禍でございます。現地を訪れることができなくなり、インバウンドも激減をしているという状況であります。
 一方、都民による都内観光を契機としまして、身近な観光資源の価値が再認識をされ、非接触サービスやオンラインツアーなど、新たな観光のあり方の可能性も生まれているところであります。
 こうした変化を捉えまして、ポストコロナの観光施策を推進する必要がございます。その第一歩として、来年度は、感染状況などを見きわめつつ、都内の観光資源をさらに磨き上げまして、自然豊かな多摩・島しょ地域におけるワーケーションを促進するほか、近隣県と連携した観光を推進するなど、国内の旅行需要も喚起してまいります。
 また、最先端のデジタル技術によって、オンラインとリアルを効果的に融合させながら、安心、快適に観光を楽しめる新しいサービスを創出してまいります。
 ポストコロナを見据えた観光施策を積極的に展開することによりまして、誰もが憧れる世界一の観光都市東京を実現してまいります。

○森村委員 続きまして、防災政策についてお伺いします。
 関東大震災からもうすぐ百年を迎えますが、政府の地震調査委員会が示した今後三十年に七〇%の確率で発生するとされている首都直下地震への備えについて、令和三年度予算でも着実に進めていかなければなりません。
 そして、東日本大震災から十年、先月も福島沖で発生した地震は、この東日本大震災の余震であると発表されましたが、地震予知の専門家によれば、日本列島は今、活動期にあるそうです。
 この間、各地で大きな地震や火山の噴火が相次ぎましたが、亡くなられた方々のご冥福をこの場をおかりして改めてお祈りするとともに、大切な方々を失われた皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。
 都議就任前、私が直接的に政治や行政とかかわったのは、東日本大震災の後、ボランティアで携わった復興支援活動でした。津波で大きな被害を受けた宮城県の沿岸部に、五年にわたり毎月通いながら活動を続けましたが、そこでお会いした県や市の職員さん、また地域の方々から何度となくいわれてきたのが、次は東京だからという言葉でした。
 ここで見たこと、経験したことを東京で生かしてほしい、そのためには何でも伝えるし、そのときが来れば、今度は自分たちが助けに行くからと、つながりができた多くの人たちからいわれました。
 備えあれば憂いなしといいますが、どこまで備えても備え過ぎということがないのが、強大な自然の力を目にした私たち全ての認識ではないでしょうか。
 都が公表している首都直下地震の被害想定を見ると、二百万人を超える方が家を失い、避難所で避難生活を余儀なくされることになっています。
 また、コロナ禍において、感染症対策に配慮した避難所運営が求められていますが、辛うじて被災を免れた方の中には、避難所での感染を恐れ、在宅避難や、親戚、知人などのお宅に身を寄せる人も多くなると思われます。その場合、自宅での備蓄が十分でなかったり、断水や停電等で不便な生活を送る可能性が高く、そうした方々へ必要な支援が行き届くようにすることも必要です。
 そこで、都は、こうしたコロナへの対応や在宅避難者の増加等を踏まえ、避難生活を支える取り組みをさらに充実させるべきと考えますが、見解を伺います。

○山手総務局長 コロナ禍における災害時には、避難所等での感染症対策と在宅避難者等への支援を確実に進める必要がございます。
 このため、都は、避難所が過密にならないよう、ホテル等を活用した新たな避難先確保や、区市町村に対する避難所運営に関する感染症対策ガイドラインの提示、在宅避難に必要な日常備蓄の普及啓発などに取り組んでまいりました。
 来年度からは、避難所の感染症対策を強化するため、避難所で活用するマスクや消毒液、屋内テント等の感染症対策物資を購入する区市町村に対する補助制度を新たに開始をいたします。
 また、在宅避難者など、避難所以外で生活する被災者への支援のあり方等について、区市町村と連携して検討を行い、指針として取りまとめてまいります。
 こうした取り組みによりまして、コロナ禍を踏まえた避難対策の充実を図り、東京の防災力の強化につなげてまいります。

○森村委員 続きまして、避難所の整備について伺います。
 来年度予算案に、私立学校の体育館の空調新設を支援する施策があります。これまでは、私学における空調施設新設に対しては、公費を投入する対象にはなりませんでしたが、頻発する自然災害と、コロナ禍における避難所数の確保を求める地域からの要請に基づき支援制度が新設されることは、地域住民の安全と安心につながるもので、さらに一歩、災害への備えが進むものと評価します。
 一方で、空調整備には多額の公費を投入することになる以上、避難所としての整備や運用について、しっかりと行っていくことが必要です。
 そこで、私立学校における児童生徒の安全な教育環境を早急に整備するために、私立学校の体育館への空調設備の新設に対して、地元自治体の防災の取り組みに十分な協力を行っていることを厳格に要件づけることで支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘の学校の体育館でありますが、体育の授業、そして学校行事、部活動など、子供たちがさまざまな活動を行う場でございまして、何よりも安全性の確保は重要であります。
 そして、近年の猛暑でありますが、人命にもかかわる深刻なものとなっており、学校施設の暑さ対策、これは早急に取り組むべき課題となっております。
 一方で、災害時に必要となる避難所などにつきましては、風水害や地震など、近年多発する災害への対応や感染症対策などの観点から、避難所内に十分な空間を確保するために、より多く開設することが求められております。そして、体育館も避難所等としての活用が期待をされております。
 こういった状況を踏まえますと、児童生徒の安全な教育環境を速やかに確保するとともに、いざというとき、緊急時には、より多くの避難所などが開設できますよう、来年度から私立学校の体育館への空調設備の新設に対しての補助を行います。
 実施に当たりましては、地元自治体と協議の上で協定を締結するとともに、災害の発生時におきまして避難所等として有効に機能するように、地域住民と学校の教職員、児童生徒も含めた防災訓練を実施するなど、厳格に補助要件として定めまして、その実効性を担保してまいります。

○森村委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 一方、公立学校に目を転じれば、我が会派の提案で実現した体育館空調設置支援補助による整備が進みつつありますが、令和二年九月一日現在の設置状況を見ると、整備が進んでいない市町村が数多くあり、中には私の地元青梅市のように、一校も設置が進んでいない市さえあるのが実情です。
 本事業は、令和三年度末までの時限事業となっておりますが、こうしたことからも、事業最終年度における市町村の整備状況を子細に把握の上、さらに整備が進むよう、取り組みを進めることを求めます。
 児童生徒にとって安全・安心な環境を確保するとともに、災害発生時に地域住民の避難先としての機能を向上させるため、公立学校のトイレ整備を実施する区市町村に対して、都がその費用の一部を補助する防災機能強化のための東京都公立学校施設トイレ整備支援事業が、我が会派の求めにより平成二十九年度に設けられ、着実なトイレの洋式化が進んでいます。
 しかし、進捗状況については、これも自治体によって大きな差があり、とりわけ多摩地域におけるおくれが目を引きます。トイレの洋式化は、新型コロナウイルス感染症対策においても有効だと考えるものです。
 当該制度については、令和二年度で事業期間を終えることとなりますが、来年度以降も積極的に推進すべきと考えます。都の見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会はこれまで、区市町村立小中学校のトイレの洋式化率を、本年度末までに八〇%以上とすることを目指して事業を推進してまいりました。区市町村は、地域の実情を踏まえ、トイレ改修工事を含む教育環境整備を計画的に実施しているところでございます。
 本年度は、特に新型コロナウイルス感染症の影響による夏季休業期間の短縮によりまして、予定していたトイレ改修工事を見送る事例が生じるなど、目標を達成することが困難な状況となってございます。
 都教育委員会は、こうした状況から、東京都公立学校施設トイレ整備支援事業の期間を令和四年度まで延長することとし、今後、新型コロナウイルス感染症対策の観点も踏まえ、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○森村委員 ぜひよろしくお願いします。
 近年、気候変動による温暖化によって頻発化、大型化する台風による被害が全国各地で発生しています。令和元年東日本台風において、都内各地で発生した土砂災害や水害の復旧工事は、今なお続いています。災害に強いまちづくりを平時から行うことで、有事における被害を最小限にとどめておくことが求められます。
 おととしの台風十九号、区部では多摩川沿いなどが床上浸水し、多摩地域でも分流式下水道の汚水管に雨水が流入する雨天時浸入水により溢水するなど、都内各地で大きな被害が発生しました。
 また、台風でなくても、ゲリラ豪雨によって、局地的に信じられないような床上浸水被害が都内のあちこちで発生しています。特に近年、豪雨が激甚化しており、都民の命を守るため、ハード、ソフト両面からの備えが必要です。
 私たちは、この間、幹線や貯留施設整備などの下水道施設整備や護岸整備、調節池整備の加速などの河川整備といった集中的な豪雨対策を都に求めてきました。
 この四年間の取り組み状況と、今後の対策について、まず下水道局にお伺いいたします。

○和賀井下水道局長 下水道局では、早期に浸水被害の軽減を図るため、区部の五十四地区を重点化し、幹線や貯留施設等の整備を進めてまいりました。
 平成二十九年度から令和二年度までの四年間で、渋谷駅東口地区など九地区の整備を完了させるなど、累計で二十五地区の整備を完了させてまいりました。
 今後は、新たに策定いたします経営計画に基づき、目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区など、三地区を新たに重点化した地区に追加し、浸水対策を強化いたします。
 また、多摩地域におけます雨天時浸入水による溢水被害の防止に向け、下水道管内の水位情報をリアルタイムに測定する多機能型マンホールぶたを活用して、市町村による効率的な対策を促進いたします。
 これらの取り組みにより、豪雨対策を強力に推進してまいります。

○森村委員 次に、建設局にお伺いします。
 中小河川対策について、私たちは護岸整備に加えて、調節池整備の加速などの河川整備といった集中的な豪雨対策を求めてまいりました。
 この四年間の取り組み状況と、今後の整備についてお伺いいたします。

○中島建設局長 激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、都は、神田川や空堀川などにおける護岸の着実な整備に加えまして、城北中央公園調節池など七つの調節池について整備を進めております。
 さらに、平成三十年の防災事業の緊急総点検等を踏まえまして、目黒川や仙川などで新たな調節池の事業化に向けた検討を実施してきております。
 未来の東京戦略案では、二〇三〇年度までに約百五十万立方メートルの新たな調節池の事業化を目標として掲げておりまして、今年度の境川などに加え、来年度は石神井川と善福寺川で基本設計に着手し、これにより、合わせて四調節池で総容量約八十万立方メートル分を事業化することとなります。
 こうした取り組みにより、豪雨に対する安全性を高めてまいります。

○森村委員 豪雨災害にも強いセーフシティーを実現するためには、ご答弁いただいた護岸や調節池の整備などのハード対策に加え、河川監視カメラの設置などのソフト対策を進めることも重要です。
 令和元年東日本台風では、六百ミリを超える記録的な雨が降り、主に多摩地域を流れる河川で大きな被害があり、私たちは台風被害を踏まえた対策をこれまで繰り返し要望してまいりました。
 また、予算特別委員会においても、これまで各地域、河川での来年度の対策内容について質問してきたところでございますが、締めくくりに際して、改めて多摩地域の取り組みについて確認したいと思います。
 令和元年東日本台風の被害を踏まえて、多摩地域を流れる河川において、ハード、ソフト両面から対応力を強化していく必要があると考えますが、今後の取り組みについて伺います。

○中島建設局長 多摩地域を流れる河川におきましては、令和元年東日本台風の被害を踏まえまして、成木川など七河川で護岸や河道などの詳細な点検や、ハード対策の検討を実施してまいりました。
 その結果を受け、令和三年度は、ボトルネック解消に向けまして、取水堰の改良などの基本設計を南浅川と秋川の二カ所で実施いたします。
 また、既設護岸の補強工事や根固めブロックの設置等を浅川、秋川、平井川の三河川九カ所で進めてまいります。
 一方、ソフト対策といたしましては、河川の状況をわかりやすく伝える河川監視カメラにつきまして、霞川や残堀川など、二十四河川三十六カ所で今後新たに設置し、本年九月までに順次映像を公開してまいります。
 多摩地域を流れる河川の特性を踏まえまして、豪雨に対する安全性を高める取り組みを推進してまいります。

○森村委員 ぜひ取り組みを着実に進めていただきたいと思います。
 大型化、頻発化する台風や豪雨災害を前に、気候変動対策に今まで以上に力を入れていかなければなりません。都は、二〇五〇年にCO2排出を実質ゼロとするゼロエミッション東京の実現を目指し、その重要なマイルストーンとなる二〇三〇年に温室効果ガスを五〇%削減、再生可能エネルギーの電力利用割合を五〇%程度に高めるという目標を表明しています。
 CO2の半減に至る道筋は、決して容易なものではなく、都民、事業者、区市町村など、あらゆる主体の共感と協働を得ていくことが必要不可欠です。
 そこでまず、都庁みずからが率先垂範して脱炭素行動を加速し、都民、事業者等の取り組みを牽引していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 二〇三〇年のCO2半減、カーボンハーフを実現していくためには、一事業者として多大なエネルギー、資源を消費する都自身が、隗より始めよの意識のもとで、みずからの事務事業に伴います温室効果ガス削減などの取り組みを一層強化していくことは重要であります。
 都は、今月末にゼロエミッション都庁行動計画を策定いたしております。都庁の率先行動を加速してまいります。
 計画では、知事部局などにおけます再生可能エネルギー電力の利用割合を二〇三〇年の目標より六年前倒しをいたしまして、二〇二四年度末までに五〇%まで高める、そのことを目指して、とちょう電力プラン等によります再エネ電力の利用拡大を推進してまいります。
 また、ZEVの拡大に向けて、庁有車は原則、更新時にZEV化を徹底して、二〇二四年度末までに全ての乗用車の非ガソリン化を目指してまいります。
 さらに、公共用充電器についてでございますが、木場公園などの都有施設で来年度に百二十基、二〇二四年度末までに三百基以上設置することを目標としております。
 都庁自身も、今こそ行動を加速するときであります。タイム・ツー・アクト、これを捉えまして、全庁を挙げまして、迅速かつ大胆な脱炭素行動を進めて、都民、事業者の取り組みを牽引してまいります。

○森村委員 力強いご答弁ありがとうございます。
 先日の本会議の一般質問で我が会派からプラスチック削減に向けた普及啓発について質疑を行い、リデュース、リユースを基調とした生活様式への変革を促すとのご答弁がありました。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、これまで続いてきた使い捨ての時代からの脱却は待ったなしの状況です。多くの都民の理解とあわせて、民間企業による先進的な製品の開発を後押しすることが重要です。
 都は、私たちの要望を受けて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている飲食店に対し、テークアウトやデリバリーに取り組む際の費用を助成してきましたが、その結果、消費量のふえたプラスチック製の容器の削減にも取り組む必要があります。
 そこで、都は、プラスチック削減に寄与する製品や技術の開発から、飲食店による具体的な行動の後押しに至るまで、一貫して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 プラスチック削減に寄与する製品等を普及させるためには、開発や流通、利用までの幅広い取り組みが必要でございます。
 都は現在、都立産業技術研究センターにおいて、ことし秋の製品化に向けて、プラスチック代替素材による食器、容器の開発に中小企業と共同で取り組んでいるところでございます。
 また、中小企業のすぐれた脱プラ製品等の販路開拓を後押しするため、幅広いネットワークを持つ大企業OB等を活用し、商談機会を創出しております。
 今後は、飲食店での利用拡大を図るため、都の業態転換支援事業の利用店舗に対し、ポータルサイト等を通じて、脱プラやリユース容器等の情報を提供して積極的な導入を促してまいります。
 さらに、実際に導入を検討する飲食店に、購入経費への助成に加え、環境配慮の取り組みに精通した専門家を無料で派遣し、サポートを行ってまいります。
 これらによりまして、脱プラ製品等の利用の浸透を図ってまいります。

○森村委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 東京都住宅マスタープランの改定に向けて、住宅政策審議会で議論が始まっております。コロナ禍を経た社会構造の変化や、未来の東京戦略を踏まえた今回の改定は重要であり、特に、ゼロエミッション、デジタル化、財政悪化への対応など、これまでの延長ではない対応が求められます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、民間部門の中でも住宅の省エネ化、再エネ化は改善余地が大きく、建築物は耐用年数が長いことから、CO2排出実質ゼロを目指す上では、今後新築されるあらゆる建築物について、省エネ化、再エネ化、ゼロエミッション化を進めることは不可欠です。
 ゼロエミッション東京やスマート東京の実現において、中長期的な影響を及ぼす住宅部門の役割は大きく、今後の住宅政策の羅針盤である住宅マスタープランの改定に当たっては、既存の延長ではなく、社会の構造変革を十分に反映した内容とすべきですが、知事の見解を伺います。

○小池知事 未来の東京戦略で掲げておりますゼロエミッション東京やスマート東京を実現するためには、ご指摘のように、住宅部門の持つ役割も非常に大きいものと認識しております。
 また、このコロナ禍におきましては、テレワークの普及など都民の働き方が変化をし、住宅に求めるニーズも大きく変容しております。
 こうした認識のもとで、昨年の七月に、東京都住宅政策審議会に、未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について諮問を行っております。
 ことし二月の第一次の報告におきましては、今後の住宅政策に必要な取り組みとして、コロナ禍を踏まえた住宅セーフティーネットの強化や、テレワークの普及に伴います都民の生活や働き方の変化に応じた施策などに加えて、東京ゼロエミ住宅の普及、既存住宅への高断熱窓などの導入促進といった環境面からも貴重なご意見をいただいております。
 ことしの秋には答申をいただいて、令和三年度末を目途に、ゼロエミッション東京の実現や、デジタルトランスフォーメーションの推進などにも資する新たな住宅マスタープランを策定いたしてまいります。
 この住宅マスタープランを羅針盤といたしまして、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい住宅政策を展開してまいります。

○森村委員 ゼロエミッション東京の実現に当たっては、都民が納得感を持ってそれぞれの立場でできることを探し、そして一丸となって行動する機運の醸成が必要ですが、この間、さまざまな調査を通じて、自然環境を守るには自然を大切に考える価値観がそもそも必要であり、そうした価値観を醸成するためには、自然に関する情報を戦略的に発信していかなければならないと、私自身考え至るようになりました。
 我が会派はこれまで、こうした機能を担い得る情報の収集、分析、蓄積、発信のための拠点としての自然史博物館の設置について継続的に要望してまいりましたが、私たちの提言に基づき、都は、国内の自然史博物館の調査を進めると同時に、都内に残る貴重な標本や文献などの保護を進めてくださっております。
 温暖化が進み、日々刻々と変化する東京の自然環境を踏まえ、改めて、東京に自然史博物館を設置することも含めて、都民の自然に対する愛着、親しみが涵養されるよう、都民一人一人の気候変動に対する問題意識を喚起していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京には、多様で豊かな自然環境が広がっております。里山のような東京の原風景を形づくっている、それだけではありません。今に続く地域の個性や豊かな文化が育まれてまいりました。
 それらの自然環境は、植物や鳥、昆虫など、さまざまな生き物によって支えられております。こうした生き物の生きたあかしであります標本などの自然環境情報は、東京の自然に関する貴重な記録でもあります。
 都はこの間、多岐にわたります自然環境情報の保管状況などについて実態の把握に努めておりまして、今は見られなくなった高山植物など、過去の東京の姿をほうふつとさせるような貴重な記録が存在することも判明いたしております。
 今後は、専門家の意見も聞きながら、自然環境情報の保管の判断基準を作成するとともに、ノウハウを持つ大学などの専門機関等と連携した情報の収集や分析、保管や発信、施設のあり方につきまして、最新の技術の駆使も含めて幅広に検討してまいります。
 こうした取り組みを通じて、都民が東京の豊かな自然環境に触れ、身近なものと感じることによりまして、気候変動による影響からも自然を守る気持ちを育んでまいります。

○森村委員 施設のあり方についての検討に当たっては、都民の問題意識を喚起できるような取り組みであることに加えて、百年後の東京に何を残すべきかという観点で行っていただきますよう強くお求めいたします。
 次に、保育、幼児教育の質の向上に係る自然の利活用について伺います。
 都はこれまで、二年にわたり、自然を活用した保育、幼児教育について都版モデルをつくるための事業を行ってきました。
 全国に目を移せば、長野や広島などで、森や自然を活用した保育園などへの認証制度が定着し、また、国においても、幼児教育無償化の流れの中で要望の多かった無認可の保育、幼児教育施設に対する無償化を図る予算が来年度の予算案に盛り込まれ審議されています。
 我が会派は、子供たちの非認知能力の向上を進めるための取り組みを公約に掲げ、この四年間、具体的な方法論を提案しながら、保育、幼児教育の質の向上に取り組んでまいりました。
 そこでまず、自然を活用する保育、幼児教育に関するモデル事業の成果を生かして、保育、幼児教育の質の向上を図っていくべきものと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 未来の東京を担う子供たちは、無限の可能性を秘めたかけがえのない存在でございます。みずからの人生をみずからの意思で切り開く力を育んでほしいと、こう思っております。
 こうした生涯にわたる生きる力ともいうべき能力の基礎は、親子のかかわりや友達との遊び、さらには自然体験などを通じまして身につくものであり、幼児期から培っていくことは非常に重要であります。
 都は昨年度から、自然を活用した東京都版保育モデルの作成に取り組んでおりまして、周辺環境が異なる保育所をモデル園として実践活動を行っております。
 モデル園からの報告では、子供たちが、公園の地面のくぼみを見つけ、そこで魚釣りごっこをしたり、拾った落ち葉を舞い上げてその中に入るなど、独自の遊び方を生み出す等、遊び方の変化の兆しや、以前より没頭して遊ぶ様子が見られているとのことであります。そして、主体性や想像力などを育むことにつながる活動ができたとの声がございます。
 今後ですが、保育所などが自然を活用した保育を実践する上で必要な知見を取りまとめをいたしまして、都内の保育所等に広く周知、そして、幼児教育、保育の質の向上につなげてまいります。

○森村委員 世界的にも、幼児教育、保育、ここに注力することは本当に注目をされている取り組みでございますので、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
 さらに、自然を活用した保育の中で、子供たちや保育士などにどのような効果があったのかなどを、国内外で取り組みを行う園などと共有しつつ、毎年シンポジウムなどを行って発信し、ムーブメントを醸成していくべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は来年度、保育関係者や都民を対象に、自然を活用した保育モデルの取り組み成果を広く発表し、それをもとに、学識経験者や保育の実践者がパネルディスカッション等を行うシンポジウムを開催いたします。
 また、保育者向けに、子供へのかかわり方や適切な安全管理など、保育を実践するためのポイントを学ぶセミナー等を実施いたします。
 さらに、多くの保育所等で自然環境を活用した保育が進むよう、区市町村が実施する保育者向けの研修を補助率十分の十で支援することとしておりまして、保育の質の向上に向け、子供の主体性等を伸ばす保育の普及に取り組んでまいります。

○森村委員 ぜひ当該制度の周知に努めていただければと思います。
 今後は、森や自然を活用した保育、幼児教育に取り組む都内の園に対する、例えば認証制度をつくっていくなどして、こうした園の取り組みをさらに後押ししていくことを要望いたします。
 また、広域自治体として区市町村に継続的に働きかけを行いながら、非認知能力の向上の重要性や、それに対する自然の活用が有効なアプローチであることを、これまでに培った知見に基づいてしっかりと伝えていただくことを求めます。
 次に、都政改革について伺ってまいります。
 平成三十年度に都が政策連携団体と締結した特命随意契約は、合計四百七十二件、約千三百十五億円、令和元年度は五百四件、約千三百六十億円とのことであり、件数、金額ともに増加している状況にあります。
 また、都からの受託契約が全て特命随意契約となっている政策連携団体は、令和元年度時点で三十四団体中十七団体に上ります。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けての対応や、新型コロナウイルス感染症への対応など、都の施策との連動性や緊急性の観点から、一概に特命随意契約そのものを否定するわけではありませんが、特命随意契約の中には団体に限定する必要のないものもあり、今後、そうした契約については契約手法を見直していくべきだと考えます。都の見解を伺います。

○山手総務局長 都はこれまでも、事業評価等の機会を捉えまして、政策連携団体に対する特命随意契約について見直しを進めてまいりました。また、昨年度策定いたしました東京都政策連携団体活用戦略を踏まえまして、団体における官、団、民の役割分担を再整理いたしまして、契約の妥当性について検証してまいりました。
 コロナ禍を契機として、団体を取り巻く事業環境も大きく変化しておりまして、来年度から団体に対する特命随意契約の総点検に取り組んでまいります。
 点検に当たりましては、外部有識者の意見も踏まえまして、競争性や専門性の視点から、民間移譲を推進するもの、団体を継続して活用するもの等に分類するなどして、団体に対する契約の見直しを行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、都庁グループとしての機能強化と政策推進力の向上を図ってまいります。

○森村委員 ぜひ丁寧な総点検をお願いいたしたいと思います。
 さて、私は就任以来、都政のデジタル化を提案してまいりました。都議に就任して、何よりもまず驚いたことが、都政でデジタル化が余りに進んでいないということでした。
 都政のデジタル化は東京大改革の取り組みに不可欠なものと考え、ITに幅広い知見を持つ同僚の議員たちとの勉強会を行い、また私自身、国内外の有識者との意見交換を重ねまして、国際競争力の維持向上に資する取り組みは何であるのかと、これまで調査を進めてまいりました。
 そのような中で、東京の強みは何かと考えれば、比類なき安定性を持った都市インフラではないかと考えるに至るようになりました。道路、公共交通、上下水道など、都内に張りめぐらされた都市インフラからもたらされる膨大なデータは、くめど尽きぬ都市としての資源です。これらを一元化して吸い上げ、統合し、供給する仕組みを整備することで得られる都民のQOSの向上は、莫大なものではないかと考えます。
 例えば、海外では、防犯カメラの画像から交通事故の発生を検出し、救急車の経路を自動で検索した上で、救急車の進路の信号を全て青信号に変えるといった演算を行っています。こうした演算は、データプラットフォームではなく、オペレーションシステム、すなわちOSがなければできないことです。
 都市OSとは、データに基づく未来の都市運営のために、都市が持つあらゆるデータを統合し、分析やシミュレーションを実施した上で最適なモデルを導くことのできるオペレーションシステムのことですが、ヨーロッパで最もイノベーションが進んでいると評価されるバルセロナでは、既に都市OSを構築し、世界中の都市から注目を集めています。
 また、国内でも会津若松市や高松市が検討を進めており、昨年三月には、政府が都市OSの要件をまとめたスマートシティリファレンスアーキテクチャを発表しました。
 今後、政府が公表した要件も踏まえ、東京都において、あるべき都市OSの姿を具体的に描き、その構築に向けた検討を加速すべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 海外の諸都市では、都市の活力向上や社会課題の解決に向けて都市OSを構築する動きが本格化しており、都としても、サービスやデータの連携、流通を可能とし、効率的な都市活動を支える都市OSの社会実装の検討を進めていかなければなりません。
 都が実現すべき都市OSの社会実装に向けては、まずは地域レベルで人流、交通、気象など、さまざまなデータの利活用を促し、防災、モビリティー、ウエルネスなどの幅広い分野に横串を刺していくことが重要です。
 都では、地域レベルの取り組みとして、大・丸・有、竹芝、豊洲の三エリアの支援を今年度から開始し、都市OSに実装する人流などのリアルタイムデータを活用したシミュレーションや、見える化をするための3Dマップが構築されております。
 また、発災時に、都市OS上に集積された人流や交通などの災害対応に資するデータを地元区と連携、共有していく検討が開始されるなど、民間、行政の垣根を超えたデータ利活用に向けた取り組みも進んでいます。
 こうした取り組みは、都が目指す多種多様な分野、主体を超えた都市OS像に通ずるものです。
 今後、デジタルサービス局が発足し、これまで以上に関係者の連携、情報共有が進むことも踏まえ、民間レベルの取り組みや都が進めているデータ利活用に関する実証実験等から得られる知見を積極的に取り込みながら、都が目指す都市OSのあり方や社会実装について検討を進めてまいります。

○森村委員 データは宝だと思っております。ぜひ検討を前向きに進めていただければというふうに思います。
 学校図書館のあり方についてお伺いいたします。
 現在、都立高校百九十校のうち、百二十八校の学校図書館では業務委託により運営していると聞いております。
 一方で、令和四年度から、高等学校において新しい学習指導要領の実施が始まり、今回の改訂では、学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、生徒の主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすことが求められています。
 高等学校の新学習指導要領が改訂され、学校図書館の役割が大きく変わろうとしている今、令和二年第三回都議会定例会における私たちの質問に対し、教育長から、今後、学校図書館の活用のあり方について検討していく必要があるという旨の答弁がありました。
 自主性、主体性、問題解決力を伸ばす教育などで重要な役割を担う学校図書館の機能を最大限活用するため、学校図書館の運営方法を見直し、より一層の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の検討状況を伺います。

○藤田教育長 高等学校の新学習指導要領が令和四年度から年次進行で全面実施されることに伴い、各学校において、学校図書館の機能をより一層活用し、それぞれ特色ある教育活動に生かしていく必要がございます。
 そのため、令和三年度は、都立高校十校に、司書の資格を有する会計年度任用職員を図書館専門員として新たに配置をいたします。その中で、各教科の日々の授業において、主体的、対話的な学びを深めるための教員との効果的な連携方法や、具体的な運営方法などについての検証も行ってまいります。
 この検証の結果なども取り入れながら、新学習指導要領の趣旨を実現するための図書館運営の新たな体制整備に取り組んでまいります。

○森村委員 ただいま教育長から、来年度検証し、図書館運営の体制整備に取り組んでいくとの答弁がありましたが、新学習指導要領の実施は令和四年度からであり、早急に対策を講じていかなければなりません。
 現在、業務が委託されている百二十八校は三年間の長期継続契約になっており、契約終期が今年度末、三年度末、四年度末と分かれていると聞いております。
 具体的にどのように取り組んでいくのか、都教委の見解をお伺いします。

○藤田教育長 今年度末に長期継続契約が終了いたします五十五校につきましては、図書館専門員を活用した新たな運営体制への早期移行に向けまして、来年度の契約を単年度の契約としてまいります。
 また、契約期間中でございます、そのほかの高校につきましても、契約期間が終了し次第、令和四年度及び令和五年度からの新たな運営体制の本格実施を目指してまいります。あわせまして、図書館専門員の活用に関する令和三年度の検証を踏まえ、図書館運営の充実を図るガイドラインを作成してまいります。
 こうした取り組みによりまして、各学校が図書館の機能をより一層発揮できるよう支援してまいります。

○森村委員 ご答弁いただいた取り組みによって大きな変化が生まれると思います。
 各学校が図書館の機能をより一層発揮できるよう、図書館専門員の配置に加え、関係する職員の資質向上を図る研修の実施、各学校図書館の運営を支援するコーディネーターの配置など、さらなる支援策を求めます。
 都政改革について引き続き伺います。
 シン・トセイについてですが、私が注目しているのは、スピード、オープン、デザイン思考、アジャイル、見える化の五つのキーワードです。こうしたキーワードも、一人一人の中で十分に理解され、ミッション達成のために主体性、オーナーシップを持って取り組むよう、そして実際の行動変容につながっていかなければならないと考えます。
 一例を挙げれば、アジャイルという考え方。これは、これまでシステム業界で使われてきた用語で、全体の設計図を完成させてから開発を始めていくというのではなく、開発をしながら柔軟かつ迅速に修正を重ねて、そして全体をつくっていくという手法を意味しています。
 こうした仕事の進め方が行政の現場で進められていくということ、これはポテンシャルは非常に大きいのではないかと考えています。
 予算の策定から事業執行段階にわたる業務プロセスにおいて、アジャイルとはいかに実現されていくのか、一人一人の職員が受け持つ仕事の中で、どのようなあり方が考えられるのか、未来の東京戦略やシン・トセイ戦略実現のためには、こうした問題意識を職員同士で共有しながら、アジャイルとは一体どのようなものなのかが組織レベルに定着するまで、試行が繰り返されるべきとさえ考えています。
 オープンとは、デザイン思考とは、この先にあるのがシン・トセイの中で明記された都民の生活の質、QOLの向上です。
 シン・トセイ戦略に掲げた五つのキーワードを職員一人一人に浸透させ、都政全体を高めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、社会変化のスピードは速く、これまでの旧態依然とした仕組みや制度の延長では、新たな危機や課題に対応できない事態が生まれております。
 今、都政に何を求められているかを的確に捉えまして、都民の期待に応える質の高いサービスを提供し得る組織へと、都庁が変貌を遂げる必要がございます。
 そのために、シン・トセイ戦略で掲げました五つのキーワード、スピード、オープン、デザイン思考、アジャイル、見える化でございますが、この五つのキーワードを職員一人一人に、そして組織全体へと浸透させていかなければなりません。
 職員の働く環境を大きく転換しまして、フリーアドレスやSaaS、SaaSというのはソフトウエア・アズ・ア・サービスの略ですが、最先端のデジタルツールを活用することによって新しい発想を生み出し、生産性を高めてまいります。
 また、新たなデジタルサービスを提供する際には、リリース前のユーザーレビューを徹底しまして、都民の声を改善につなげるプロセスを確立いたします。
 さらには、都が保有するデータを積極的にオープンにしまして、民間企業やシビックテックとの協働につなげて、新たなサービスをともにつくり上げてまいります。
 改革の進捗状況をダッシュボードにあらわしたり、また、SNSのnoteで発信をするとともに、都民から寄せられました意見をさらなる取り組みや改善に反映することで、組織全体での改革のムーブメントを巻き起こして、都民生活の質、すなわちQOLの向上を実現してまいります。

○森村委員 やはり新しい行動様式でありますので、丁寧に浸透を図っていく必要があると思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、中小事業者支援について伺います。
 まず、建設労働者の職業能力評価制度を通じた処遇改善についてですが、建設労働従事者の処遇改善を進めるためには、積み上げてきた技能者としてのキャリアを適切に処遇へと結びつけることが重要です。
 このため、国においては、建設労働者の施工現場での就業履歴や技能士などの資格の取得状況を登録、蓄積して、賃金水準の向上につなげていく建設キャリアアップシステムの普及を進めているところです。
 技能検定に合格して得られる技能士や、公共職業訓練などを通じて取得できる電気工事士といった資格が評価されるこうした制度は、技能者の処遇改善だけではなく、その能力向上への意欲を高める上でも効果的であると考えます。
 技能者の人手不足や継承の担い手不足が深刻化する中、建設キャリアアップシステムなどの職業能力評価制度の一層の活用に向けて、具体的な取り組みを行うべきと考えますが、所見をお伺いします。

○村松産業労働局長 都は、労働者の技能習得レベルを判定する技能検定や資格取得につながる職業訓練の実施等を通じて、中小企業における人材育成を支援しているところでございます。
 こうして育成した人材の能力を賃金等の処遇に適切に反映させるためには、技能検定や建設キャリアアップシステムなどの職業能力評価制度の活用が有効であり、都は来年度、こうした評価制度を広く普及する取り組みを行ってまいります。
 具体的には、制度の活用メリットや導入事例、普及に向けた課題などについて、国や業界団体、有識者等の関係者と意見交換会を新たに実施いたします。また、その内容を業界紙のほか、さまざまなメディアを活用し幅広く発信するなど、職業能力評価制度の活用を促進してまいります。

○森村委員 現場で働く労働者の方にとって非常に寄り添った取り組みになっていくことを期待しております。よろしくお願いいたします。
 次に、水道工事事業者への支援についてお伺いします。
 水道事業は、多くの水道工事事業者に支えられて事業を進めており、配水管工事や給水装置工事などに五千社以上が携わっています。
 水道局のアンケートによれば、事業者の多くは社員数五十人未満の中小事業者で、社員の高齢化等の課題を抱え、今後の経営に不安を抱えているところが多いことが明らかになりました。
 また、事業者からは、水道工事を継続的に受注できるように、技術的な支援を初め水道局からのさまざまな支援、これを望む声が寄せられております。
 私たちは、水道局がこれまで一部の事業者のみを対象として施策を展開していたことをこれまでに強く指摘し、事業者全般に目を向けた事業展開を強く求めてまいりました。
 水道局は、今こそ、水道工事事業者の状況を真摯に踏まえ、多くの事業者が継続的に水道工事を担うことができるよう支援する取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○浜水道局長 水道工事に従事している事業者の多くは中小規模の事業者であり、安定給水の確保にはこうした工事事業者による着実な施工が不可欠でございます。
 このため、これまでも工事事業者に対して、適正施工に係る講習会やデジタル技術の導入促進に向けたアドバイスなど、さまざまな技術的支援を行ってまいりました。
 しかし、労働力人口の減少等による担い手不足など、工事事業者の事業環境はこれまで以上に厳しくなることが見込まれております。
 こうした状況や工事事業者のニーズ等を踏まえ、今後、中小企業診断士や水道に精通する専門家による相談窓口の設置、相談員派遣など、工事事業者に対する経営支援策について検討してまいります。

○森村委員 ソーシャルファームについて伺います。
 ソーシャルファームは、小池知事のリーダーシップのもと、我が会派もさきの都議選の公約として、この間検討を進めてきた取り組みです。
 我が国では初めての制度となることから、調査に当たっては、豊富な経験を持つ伊藤議員を座長に、長年地域で就労に困難のある方々に寄り添ってきたもり議員や、事業経験があり、女性と若者の立場から政策提言を行ってきたあかねがくぼ議員を初め、弁護士の岡本議員、精神科医のつじの議員、そして、研究者として民間で卓越した実績を残してきた福島議員などがアサインされ、幅広い観点から検討を行うプロジェクトチームが組成されました。私も中小企業の経営に携わる中で、これまで、障害のある方や複雑な家庭事情のある方々とともに事業を育ててきた経験があることから、事務局長の任につかせていただきました。
 二〇一八年の十一月の就労支援のあり方を考える有識者会議の発足に合わせて、会派内に立ち上がったこのプロジェクトチーム、少し横道にそれますが、チーム運営を行う中で私が感じてきたのは、都民ファーストの会らしい政策検討プロセスだなということでした。
 会派所属の一期生は、議員経験こそないものの、民間でのさまざまな実績や経験を積んできた者が多く、メンバー構成は実に多彩です。こうしたメンバーの中から取り組むべき課題に応じたチームが組成され、幅広い観点から議論しながら調査検討を進めていく。
 後述するeスポーツにかかわる政策の検討体制もそうだなというふうに思っていたんですが、政策を早期にしっかりと検討するに当たっての一つの形ではないかと考えまして、よりよい制度設計につなげていくことができるよう、私自身、プロジェクト管理に努めてまいりました。
 改めて、私たちがプロジェクトチームを組成してから二年と三カ月、今般、予備認証を含めて二十八社に初めての認証が付与されることとなりました。ここが新たなスタートです。
 今後、認証の対象となる事業者がソーシャルファームとしての事業を新たに立ち上げ、就労に困難のある方々とともに、その事業を育てていくことになりますが、その過程でさまざまな課題、成功体験や失敗事例に直面するものと思います。全国に例のないソーシャルファーム制度だからこそ、こうした産みの苦しみや、また喜びなどについても光を当て、相互に情報を共有しつつ、後に続く事業者や就労を希望する方々に対してもその知見を残すことで、同制度の普及発展につなげていくべきだと考えます。
 そこで、今後、都のソーシャルファームの取り組みについて積極的な情報発信などを行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小池知事 今回、認証いたしましたソーシャルファームでは、障害者のほか、ひとり親、ひきこもりを経験された方々など、多数雇用する見込みとなっております。規模や事業内容も多岐にわたっておりまして、多様なモデルが誕生したことで普及に弾みがつくものと期待をいたしております。
 今後、ソーシャルファームの創設の促進に向けましては、こうした先駆的な事例を発信しまして、事業者の設立意欲を喚起するとともに、都民にソーシャルファームの活動を広くPRするなど、社会的なムーブメントを起こす取り組みを展開してまいります。
 新たな立ち上げを検討しております事業者に対しましては、ソーシャルファーム支援センターにおきまして、設立準備に関するセミナーや、認証事業所の見学会を実施いたしまして、就労に困難を抱える方の雇用ノウハウなどを提供するなど、検討段階から事業の立ち上げまで伴走型の支援を行ってまいります。
 また、認証ソーシャルファームや経営者団体、就労困難者の支援団体などが一堂に会する新たな普及イベントを開催するなど、ソーシャルファームの設立に向けました社会的な機運も醸成をしてまいります。
 これらの取り組みによって、ダイバーシティーの象徴的な存在となるように、ソーシャルファームの創設を促進してまいります。

○森村委員 ありがとうございます。ぜひ、先ほども申し上げましたが、これがスタートだと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、事業承継についてお伺いします。
 東京の産業活力を将来にわたって維持発展させていく上で、技術力やサプライチェーンの喪失を防ぐことは重要であり、中小企業の事業承継の問題は避けて通れません。
 私自身、事業会社の売却や役員への承継、また、相続対策などにも携わってきた経験から感じるのは、事業承継には多大なエネルギーが必要だということ、また、その過程も含めて中小企業の競争力を強化し、さらなる成長を促し得るものであり、事業承継への支援は東京が成長を続けていく上で極めて重要だということです。
 とりわけ、新型コロナの影響により倒産、廃業に至った都内企業は昨年末時点で二百件に達しており、先行きが不透明な中小企業が多い中で、危機打開の選択肢の一つとしても、事業承継はその重要性を増しております。
 我が会派では、昨年五月には、東京版ニューディール政策のご提案とあわせまして、事業再生機能とMアンドAによる事業承継推進機能をあわせ持ったファンドの創設を緊急要望させていただきました。
 また、令和元年第四回定例会の代表質問において、発展的な事業承継に向けてMアンドAに対する支援強化を求めてまいりましたが、都は、これに応じて民間事業者による複数年にわたる能動的な事業承継ファンドの創設に向けた新たな支援や、譲り受け企業の掘り起こしと円滑なマッチングを支援するための体制強化等を進めてきました。
 MアンドAによる事業承継支援の強化として、事業譲渡を検討している企業に加え、事業譲り受けを検討している企業に対しても支援を行っていくとともに、中小企業の廃業の増加が地域経済の活力喪失に直結するとりわけ多摩・島しょ地域において、地域に根差した支援策についても強化を図るべきですが、見解をお伺いいたします。

○村松産業労働局長 感染症により中小企業の経営環境が厳しさを増す中、都内産業の基盤を維持する上で事業承継の取り組みが一層重要となることから、都は来年度から、支援の充実を図ることとしております。
 まず、MアンドAによる事業承継をさらに促進させるため、新たに譲り受け側の企業に対しても、必要経費について最大二百万円を助成いたします。
 また、本年度設立いたしましたファンドが出資する複数の民間ファンドを通じて、MアンドAによる事業承継を資金面などから支援いたします。
 加えて、多摩・島しょ地域において商工団体とも連携して、小規模事業者が顧客や設備、雇用等の経営資源を地域内の同業者に引き継ぐ取り組み等を新たに支援してまいります。
 こうした多面的な支援策を展開することにより、中小企業の事業承継を着実に後押ししてまいります。

○森村委員 続きまして、島しょ政策について伺います。
 昨年、我が会派の島しょ振興政策研究会が式根島を視察した際、地元関係者から、式根島野伏漁港船客待合所の早期整備に関する要望をいただきました。
 船舶は、島しょ地域の重要交通手段であり、船客待合所は、待合所機能以外に、物産販売、食堂や観光の拠点としての役割も果たしています。
 そこで早速、我が会派では式根島野伏漁港船客待合所の早期整備を都に求めたところ、本定例会に新築工事の契約案件となり、建てかえ工事に向けた準備が進められています。
 一方、三宅島の三池港の船客待合所は、建築後三十年が経過し老朽化が進んでいます。三宅島三池港の船客待合所の建てかえに当たっては、三宅島の特性を最大限考慮しながら、島の玄関口にふさわしい施設として確実に整備を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○古谷港湾局長 島しょ地域における船客待合所の整備に当たりましては、自然条件などそれぞれの島の特性を踏まえ、乗降客の利便性のみならず、にぎわいの創出に資する施設としていくことが重要でございます。
 三宅島の三池港船客待合所については、現在地での建てかえ整備を予定しておりまして、島の景観に調和した施設とするとともに、地元の要望を踏まえ、島の情報紹介スペースや子供連れに配慮した授乳室なども設置してまいります。また、火山噴火時の臨時避難施設としても活用できるものとしてまいります。
 来年度は、現在地での建てかえに向けて、利用者に必要な機能を維持するため、隣地に仮の船客待合所の整備を行う予定でございます。
 今後、さらに各島の特性や利用者のニーズを踏まえ、着実に船客待合所の整備を進めてまいります。

○森村委員 続きまして、eスポーツについてお伺いします。
 平成三十一年の予算特別委員会締めくくり総括質疑で私たちが提案した、都主催の東京eスポーツフェスタが始まりました。昨年の一回目とは異なり、今回は新型コロナウイルス感染症の影響によって、オンラインでの開催となりました。
 都民ファーストの会東京都議団では、eスポーツ政策研究会が中心となって、eスポーツ関係者のみならず、例えばサッカーを初めとするようなスポーツ関係者とも繰り返しこれまで意見交換を行うなど、前回の反省や教訓を生かすべく、業界の内外から丁寧に意見を聞き、そして今回の開催を迎えるに至りました。
 今後は、大会を一時の盛り上がりで終わらせないためにも、ユーチューブなどを活用した発信を強化することで、eスポーツの魅力を継続的に普及させていくべきだと考えております。
 そこで、今年度開催したeスポーツ大会の成果と今後の発信強化の取り組みについて都の見解を伺います。

○村松産業労働局長 今年度の東京eスポーツフェスタは、感染症の影響を踏まえて、オンライン形式により、二月十二日から十四日までの三日間開催いたしました。
 競技大会のほか、関連産業の展示会、関連技術のセミナーや学習企画などを実施し、複数の発信力ある動画配信プラットフォームでその模様をライブ配信した結果、開催期間中における総視聴数は約十四万回に達し、多くの人々の関心を引き寄せたところでございます。
 現在、ライブ配信を視聴できなかった方でも、eスポーツの臨場感や魅力を体感できますよう、競技種目やセミナー、展示会をアーカイブとして配信しております。
 昨年度開催したフェスタも同様にウエブサイトから閲覧できるようにしておりまして、今後開催するフェスタについても広く配信し、eスポーツのさらなる認知度向上を図ってまいります。

○森村委員 私たちは、都がeスポーツ大会を開催する意義は、eスポーツの振興にとどまらず、関連産業の振興やゲームで使われている最先端技術の応用を促進することにあると考えております。
 eスポーツには、VRやARなど最先端のオンライン技術が活用されておりまして、そこから新しいコンテンツやサービスも生み出されております。
 我が会派のeスポーツ政策研究会が都内でこうした技術開発を行う企業との意見交換を通じてわかったのは、開発に携わっているのはベンチャー企業が多く、認知度の向上や販路開拓の課題に加え、開発コストの大部分を占める人件費に苦労していることなどでした。
 我が会派は、将来性と実情に鑑み、オンラインコンテンツの普及促進に向けて、すぐれた技術や製品等を有する中小企業を都が率先して支援するべきと提案してきました。
 そこで、都は、今後の発展が期待されるオンラインコンテンツに取り組む中小企業に対して、表彰のみならず賞金も出して、技術や製品等の開発支援、PRや販路開拓を強力に後押しするべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 時間や場所を選ばず活用できるオンラインコンテンツは、感染症による影響などさまざまな社会課題の解決にも有効でございます。関連する製品やサービスの普及が期待されております。
 そのため、都は来年度、お話のオンラインコンテンツの活用促進に向けた取り組みを新たに開始いたします。
 具体的には、VRやAR等を活用した中小企業の製品等を募集し、産業交流展でプレゼンの場を設定してPRを実施いたします。その後、優秀な成績をおさめた中小企業を表彰して賞金を授与し、都のウエブサイトで広く発信いたします。
 また、受賞者へのインセンティブといたしまして、展示会への無料招待や、専門家のマッチング支援等により、新たな販路開拓を着実に後押ししてまいります。
 これらの取り組みによりまして、オンラインコンテンツの一層の活用を促進し、東京の産業力の強化につなげてまいります。

○森村委員 私自身の知り合いでeスポーツの愛好家がいるんですけれども、この方は普通のサッカーとか野球とかのスポーツをやる方じゃなくて、本当にeスポーツの世界で自分の能力とか存在とか、あるいは居場所について非常に発揮ができて認められたという、自己肯定感を得られたというふうな体験、これを語ってくれました。
 今、都政でこのeスポーツに一つ光を当ててくれていることに対して、こうした都民がやはり注目をしてくれているというふうに思っております。
 ぜひ、まだまだこのeスポーツに関する関心がそこまで広がっている状況ではないかもしれませんが、引き続き、こうした取り組みについて継続をいただけるようにお願いしたいと思っております。
 次に、コロナ禍で多くの都民からご心配をいただいております都財政についてお伺いしていきたいと思います。
 私たちはこの一年、あらゆる機会を通じて、感染防止、医療提供体制、経済対策やセーフティーネットに対する十分な予算措置を求めつつ、一方で、将来にわたって持続可能な財政運営を行うための提案や、財源確保するための取り組みについて提案を行ってまいりました。
 今定例会中、財政委員会で行われた質疑の中で、議会審議を通じて成立した予算は、目的を追求するために使うことが重要であると、こういう見解が示されましたが、もちろんそうであることを前提としつつも、変化する社会情勢の中で、予算要求時と異なる事業執行が求められるような局面などがあれば、それを硬直的に運用していくのではなく、状況に応じて、それこそアジャイルに執行していくことが求められます。最少の予算で最大の政策効果を生むべきことを改めて指摘したいと思います。
 そこでまず、コロナ禍にあって厳しい財政状況が続くことが予想される今日、予算編成段階のみならず、予算執行段階におけるワイズスペンディングの考え方をより深化させ、より効率的、効果的な予算執行を促すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都財政でございますが、ご承知のように景気の荒波に翻弄されやすいという構造的な宿命を有しております。持続可能な財政運営を実現するためには、まず、みずからを律する取り組みを不断に行うこと、そして、その基盤を堅持していかなければならないわけであります。
 こうした考えのもとで、予算に掲げた施策の効果の早期の発現に向けまして、迅速かつ着実な執行を図ることはもとより、予算編成時に限らず執行段階におきましても、絶え間なく無駄をなくして、施策の効率性の向上に取り組む必要がございます。
 そのために、予算の執行に当たりましては、デジタルを活用したオンライン手続の実施などによる経費の節減など、これまで以上に効率的、効果的な執行を図るように、全ての職員が賢い支出に積極的に取り組むことを改めて徹底してまいります。
 また、今後、厳しい財政環境が続くことが想定される中にありましても、都政を取り巻く情勢の変化に、より的確に対応できますように、ワイズスペンディングの意識を職員一人一人にさらに根づかせて、都庁の組織風土としてしっかりと定着させるべく、全力で取り組んでまいります。

○森村委員 この間、さまざまな意見交換を都の職員の方々とさせていただいておりますけれども、予算要求は、執行される当該年度に入る前に、半年前ぐらいに行われています。
 その間、例えば昨年度でいうと、予期せぬコロナ禍というものが急激に都政において始まってしまったわけです。予算要求時には全く予想すらできない状況にありまして、それこそ大きな変化、予想していなかった変化というのが生まれた一つの事例だと思います。
 こうした事例において、実際のところ、今年度、予算執行をしっかり行ってきていただいたと思うんですけれども、都庁の職員の中に、ワイズスペンディングを執行段階でもしっかりと行っていくんだという習慣とか、あるいはそれに対する非常に肯定的な価値観とか、こういうものがやっぱり必要じゃないかなというふうに思っております。
 この間、さまざまな、代表質問から通じて、これまで中途議決、それから財政委員会、それからこの予特の場において、ワイズスペンディングの考え方について、一貫して皆様方に質疑をさせていただいてまいりましたのは、やはりこうした問題意識から発したものでございます。
 他の自治体では、執行段階での予算をしっかり見直したり削減したりすることそのものが、制度として人事の評価などに組み込まれているような自治体すらあるというふうに聞いております。
 今後、コロナ禍において学んだこと、また、シン・トセイで一つうたわれたアジャイルという考え方をぜひ浸透させ、そして適切なワイズスペンディングのあり方というものを引き続き追求していっていただきたいというふうに考えております。
 次に、事業評価、政策評価について伺っていきたいと思います。
 東京大改革の取り組みの中で進んできた事業評価と政策評価の統合的な実施について伺ってまいります。
 それぞれの評価方式については、これまで各所で論じてきたとおりですが、政策評価の財務局への移管に際しては、単に二つの仕組みを並立させるのではなく、それぞれの仕組みの強みを生かし、一体的な実施を行うべきであると改めて求めます。
 加えて、先月公表されました未来の東京戦略で描かれたビジョンを実現するためには、効率性、実効性の高い施策、事業の構築を絶えず行っていくことが不可欠です。
 そこで、政策評価と事業評価の一体的な実施に際しては、単に二つの仕組みを並立させるのではなく、アウトカムの重視、予算編成の一環としての実施など、両者の強みを生かした仕組みとするとともに、デジタルツールも積極的に活用していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

○小池知事 コロナとの闘い、少子高齢化、自然災害への備えなど、課題が山積をする中で、将来にわたって成長し続ける都市東京を実現するためには、これまで以上に、社会経済状況の変化や多様化、高度化する都民ニーズを的確に捉えて、限られた財源を最大限有効に活用することは重要であります。
 そのため、施策単位で評価を行う政策評価と、個別事業単位での評価を行う事業評価の両者の強みを生かしまして、ワイズスペンディングの取り組みを一層強化してまいります。
 具体的には、ご指摘ございましたように、政策のアウトカムに着目した評価と、その政策を実現するための個別事業の評価を予算編成過程の中で一体的に実施をすることによって、より成果を重視した見直しを行い、その結果を翌年度の予算に反映させてまいります。
 また、外部有識者の知見を生かすとともに、デジタルツールを積極的に活用することで、評価の見える化の取り組みも一層強化してまいります。
 こうした取り組みで、より効率性、実効性の高い施策を構築していくことで、未来の東京戦略で掲げております二〇三〇年に向けた政策目標の達成にもつなげてまいります。

○森村委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 これまで予算特別委員会の質疑では、都民の皆様や事業者の方々からいただいた声を踏まえ、都政、そして令和三年度予算に関して真摯に議論を積み重ねてまいりました。
 かつてドラッカーは、未来を予測する最良の方法は、未来を自分でつくり出すことだと、このようにおっしゃっております。未来は予測できないからこそ、みずからビジョンを描き、そしてみずから未来をつくり出していく、これが非常に重要だという話です。
 コロナ禍で閉塞感が漂う中、我々には未来への責任があると考えております。小池知事には、この令和三年度予算案を通じて、現下の課題を乗り越え、東京の未来をしっかりと切り開いていってもらいたいと考えております。
 そのためにも、都民ファーストの都政によりコロナ禍を乗り越え、未来の東京を実現していくために、今後の財政運営にどのように取り組んでいくのか、知事の決意をお伺いいたします。

○小池知事 この一年、何よりも大切な都民の命を守り、都内経済を下支えしていくため、二十一回にわたりまして補正予算を編成してまいりました。そして、コロナ対策に全力で取り組んできたところでございます。
 今は、何としてもリバウンドを回避していくために、引き続き強い危機感を持って対策に取り組んでいく必要がございます。
 一方、将来を見ますと、迫りくる人口減少社会、熾烈な世界の都市間競争、深刻化する気候危機など、内外におきましては、厳しい情勢の中にあって課題が山積をしているところでございます。
 こうした中で、コロナ禍を乗り越え、サステーナブルリカバリーを実現し、持続的に発展する東京を築く、そのために、今、我々は、その歩みをとめるわけにはいかないのであります。
 そのため、刻一刻と変化する情勢に対しましては、これまで培ってきた財政対応力を最大限活用して、迅速かつ的確に必要な手だてを講じてまいります。
 また、その上で、未来の東京の実現に向けまして、新たに政策評価と事業評価を一体的に実施するなど、自己改革の取り組みを進めることで新陳代謝を促して、積極的な施策展開へとつなげてまいります。
 この危機を乗り越えて、都民ファーストの視点に立って、成長、そして成熟が両立した明るい未来の東京を切り開いていく、こうした決意のもとで、都議会の皆様のご理解もいただきながら、戦略的な財政運営を行ってまいる所存でございます。

○森村委員 力強い決意、本当にありがとうございます。
 締めくくり総括質疑の中で、冒頭、コロナ対策、そしてオリ・パラに係る重要な決定を受けての今後の方針、そして関東大震災から百年、そして東北、東日本震災から十年、この機会を受けての防災対策の重要性、こうした取り組みについて質疑をさせていただいてまいりました。
 令和三年度予算、これから議決に進んでいくわけですけれども、眼下のコロナ対応、また、オリ・パラに向けた、ここから非常に重要な局面を迎える、そのための予算、こうしたものをしっかりと執行していきながら、未来の東京、そこに向けた戦略、これが力強く描かれているわけですから、ここに向けても着実な歩みを進めていただけるよう要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○木村委員長 森村隆行理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

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