予算特別委員会速記録第四号

○伊藤副委員長 森澤恭子委員の発言を許します。
   〔伊藤副委員長退席、委員長着席〕

○森澤委員 無所属東京みらいを代表して、質問を行わせていただきます。
 私は、性別や障害の有無、家庭の状況などにより、みずからの選択を阻まれることなく、自分の望むように生き、幸せを感じられる、そんな社会を目指し活動しています。そのような社会を望むとき、幼少期の大半を過ごす学校が私たちの価値観に与える影響は非常に大きいと考え、幾つか質問をします。
 まず、ジェンダー平等について、民間企業の管理職や審議会等に女性がふえるのと同様かそれ以上に、学校現場において、女性が校長、副校長といったリーダー層にふえる意味は大きいと考えます。
 今般、都庁の管理職に占める女性割合について、令和七年に二五%へ向上させることが示されたところですが、学校現場における女性管理職についても、同じように目標を引き上げるとともに、目標達成に向けた取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、教育管理職に占める女性の割合について、平成三十年四月から令和三年三月までを計画期間とする東京都教職員ライフ・ワーク・バランス推進プランの中で、数値目標を二二%と設定をしたところでございます。
 これまで、女性管理職の積極的な任用に向けて、教育管理職のロールモデル集を作成し、周知するとともに、中堅教員向けの管理職選考につきまして、主幹教諭等としていた受験資格に、女性教員が多い主任教諭層の区分を新たに加える制度改正などを行ったところでございます。
 こうした取り組みにより、令和二年四月時点の女性管理職の割合は二二・七%となっているところでございます。
 引き続き、学校現場における女性教員の一層の活躍を推進するため、知事部局等の目標値も踏まえた新たな数値目標や目標達成に向けた方策を検討してまいります。

○森澤委員 より一層の目標の引き上げに期待をするとともに、児童生徒の発達や成長に伴い、小中高では校長、副校長に求められる能力や経験も異なるものと思いますので、それぞれの特性も考慮した具体的な取り組みを求めます。
 次に、特別な支援が必要な人も合理的な配慮のもとでともに暮らすソーシャルインクルージョンについて、幼少期から同じ場で遊び、学ぶ中で初めて実現するものだと考えており、特別支援学校が培った専門性を地域の小中学校においても活用すべきと訴えてきました。
 そのような意味で、地域の各学校における特別支援教育コーディネーターの果たす役割は重要ですが、まだまだその役割が十分に機能していないとも聞き及びます。
 来年度は、その補助人材について、都内全小中学校を対象に配置を支援する予算が計上されていることに注目しています。
 この取り組みにより、小中学校での特別支援教育がさらに推進されることを期待しますが、その狙いについてお伺いいたします。

○藤田教育長 特別支援教育コーディネーターは、校長が指名する教員が担っており、授業などの通常業務に加え、子供の支援方法等に関する校内検討会議の企画運営、特別支援学校や療育機関等との連携協力、保護者の相談対応及び会議資料や記録の作成など、校内の特別支援教育の充実に向けた中心的な役割を果たしております。
 こうしたことから、都教育委員会は、特別支援教育コーディネーターが学校内外の関係者との連携調整に一層注力できるよう、その事務作業の一部を担う人材の配置支援事業を来年度から開始いたします。
 これによりまして、障害のある子供の教育的ニーズに適時適切に応える環境を整え、小中学校における特別支援教育をさらに推進してまいります。

○森澤委員 障害のある子供の教育的ニーズに適時適切に応えるとのことですが、そのためには、特別な支援が必要な児童にとって、また、その保護者にとって、どのような環境で学んでいくのが最良の選択か、就学前から入念に意見交換した上で意思決定していくことが重要です。
 一方、特別な支援が必要なお子さんを持つ保護者からは、就学先の選択肢について早い段階から情報が欲しかった、就学相談において特別支援学校を所管する都と区市町村が十分に連携をして統一的な情報提供等を行ってほしいといった声もお伺いしています。
 そこで、都として、保護者への情報提供を早期に行うとともに、就学相談などにおいて区市町村と連携をさらに強化していくべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 障害のある子供が最適な学びの場に就学するためには、子供とその保護者が就学から卒業後までの見通しを持てるよう、教育内容や支援などの情報を十分に提供していく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、ホームページにおいて情報発信を行うとともに、区市町村教育委員会とも連携し、就学前の子供の保護者を対象に、特別支援学校等の教育内容を紹介するパンフレットの配布や、学校見学の機会の提供などを行っております。
 また、毎年度、区市町村の就学相談担当者説明会におきまして、特別支援学校の教育内容や支援体制、進学、就労等についての情報交換を重ね、保護者への周知を依頼しているところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携をしまして、保護者への早期からの情報提供に努めてまいります。

○森澤委員 保護者へ早期からの情報提供に努めていただくこと、さらに、保護者と子供の目線を大切にした、区市町村との連携強化をお願いします。
 さて、特別な支援が必要な児童生徒にとって、放課後も貴重な成長の時間であり、来年度は、区市町村を通じて重症心身障害児や医療的ケア児に対する放課後等の支援を行うことは重要です。
 一方、放課後の過ごし方の一つである学童への移動について、たとえ数十メートルの距離でも、あるいは横断歩道がある場合など、特別な支援が必要な児童にとっては移動サポートが必要な場合があります。しかし、保護者の就労などの理由で学童に子供を預けているにもかかわらず、保護者に対して送迎やその手配を求めるような実態があると伺います。
 そこで、学童の職員やスタッフが短い距離でも学校に迎えに行くなど、移動を支援できるよう区市町村を支援していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、学童クラブの利用児童が、放課後に学校から敷地外のクラブへ安全に移動できるよう、地域の高齢者等による付き添いやバス等で送迎を行う学童クラブを区市町村を通じて支援しており、今年度は四自治体に補助を行っております。
 今後とも、学童クラブによる送迎支援の取り組みが進むよう、区市町村に参考となる取り組み事例を情報提供して、積極的に働きかけてまいります。

○森澤委員 積極的な働きかけをしていくということですので、学校から学童への送迎支援、安全な移動については、学童を所管する福祉部門が責任を持って取り組むよう、区市町村にしっかりとご説明いただきたいと申し述べておきます。
 続いて、学校を地域に開かれた場所にしていくことは、多様な人材が学校にかかわり、さまざまな大人と接していくという意味でも、あるいは教職員の負担軽減や刺激になるという意味でも重要な取り組みです。
 都では、一人一台端末の実現に向けて取り組んでいますが、ICT活用に不安を覚える教職員は半数を超えるという調査もあり、例えば、品川区では、ICTに関する専門性を持つ方々がつくる団体が、主体的に学校のICT化に協力しています。学校みずからの力だけでなく、外部人材等を活用して児童生徒の学習環境を整えていく意義を強く感じています。
 そうした学校と地域をつなぐ役割を持つ東京学校支援機構、TEPROの人材バンク登録者が七千人を超えたということで、いよいよ本格的な活用が期待されます。
 そこで、学校が地域を初めとする社会全体の力をより一層取り入れるために、どのように後押ししていくのか伺います。

○藤田教育長 教員とは異なる専門性や経験を有する地域や企業の方々などの外部人材を、デジタル分野など学校からの要望が増加している業務等に生かすことにより、効果的な教育活動を展開することが期待できます。
 このため、東京学校支援機構、TEPROは、学校の管理職等が外部人材活用について討論などを行うオンラインシンポジウムの開催や、好事例の周知などにより、学校に対し、外部の力を効果的に活用した学校運営を行うよう促しているところでございます。
 今後とも、都教育委員会はTEPROに対し、学校におけるニーズの掘り起こしや外部人材の新たな開拓なども求め、学校への支援の充実を図ってまいります。

○森澤委員 学校側のニーズの掘り起こし、つまり学校だけで抱え込まない教育環境整備のあり方と外部人材の発掘との両面からアプローチするという大事な考えが示されました。
 一方で、外部人材を本格的に活用していく段階になったからこそ、その質が問われていくものと考えます。登録された方々の資質の担保、指導力向上などにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○藤田教育長 TEPROでは、人材バンク登録者が学校で活動するに当たっての基本的な心構えや、教育活動上の留意点などに関する事前研修を実施しております。
 さらに、スキルアップを図るための研修も設けており、本年度は、児童生徒への対応のノウハウ等をテーマとして実施いたしました。
 これらの取り組みに加え、来年度は、登録者同士が実際の業務に当たって実践した工夫などを情報共有する場を設けるとともに、人材バンクを活用した学校からのアンケート内容のフィードバックなどを行い、登録者の意欲を高め、やりがいを持って活動できるようにしてまいります。
 都教育委員会は、こうしたTEPROの取り組みを支援し、多様な人材の活躍による教育の質の向上に取り組んでまいります。

○森澤委員 外部人材の意欲や指導力を高めつつも、適切な評価方法や相談体制、あるいは不適切な事案が生じた場合の対応などをしっかりと進めていただきたいと思います。
 また、特別な支援の必要なお子さんの支援を希望する登録者も、昨年十二月末時点で七百十三名もいらっしゃるということで、まさに地域の力が児童生徒を社会的に包摂していくソーシャルインクルージョンな社会へとつながることも期待しています。
 とはいえ、学校運営、児童生徒の教育環境をよりよいものにする核となるのは教員です。教員が誇りとやりがいを持って職務に従事できる学校運営体制は、全ての基盤になります。
 文部科学省の調査によると、心の病で休職した教員は、二〇一九年度は過去最高の五千四百七十八人だったそうですが、東京都においても六百三十一人と過去最高を記録しています。
 教員の休職は、子供たちの心にも強く影響するものでもあり、教員の心のケアは喫緊の課題です。一保護者の立場から見ても、一生懸命に働く先生がそのような状態に陥ってしまう状況が残念でなりません。
 休職に至る要因を探ると、多忙や学級運営の困難、保護者との関係に加えて、学校内の人間関係が挙げられるとの調査もあります。学校は閉鎖的な環境であるがゆえに、ハラスメントを初めとする人間関係の困り事があっても抱え込んでしまい、声を上げにくい環境にあると思われます。
 そこで、教員が相談しやすい環境をつくり、解決に導くことが重要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○藤田教育長 学校における教育活動を充実させるためには、児童生徒に接する教員自身が心身を健康に保ち、生き生きと働けるようにすることが重要でございます。
 現在、都教育委員会は、公立学校の教育管理職を対象に、メンタルヘルスの基礎知識や職場での対応事例などを学ぶ研修を行いますほか、民間の事業者を活用して、公立学校の全教員を対象に、土日でも利用できる臨床心理士等によるメンタルヘルスに関する相談窓口を設置しております。
 また、ハラスメントにつきましては、都立学校向けの相談窓口を設けますとともに、区市町村教育委員会に対しては、具体的な解決に向けた相談者への丁寧な聞き取りや職場における方策等についての助言などを行っております。
 今後とも、これらの取り組みを通して、悩みを持つ教員が相談しやすい環境づくりに努めてまいります。

○森澤委員 解決に向けては、学校内の関係性の近さも一つの課題となってしまう側面もあると認識しています。第三者が介入して解決に当たる仕組みなど、具体的な方策の検討を今後お願いしたいと思います。
 さて、ここからテーマを変えて、困難を抱える女性の問題について取り上げます。
 若い女性がトイレなどで赤ちゃんを産み落とす事件が相次ぎ、大変なショックを受けました。そういったことになる前に、相談や支援につながることができなかったのかと悔やまれます。
 都では、妊娠相談ほっとラインで相談を行っていますが、そういった困難を抱える女性に対して、行政からの支援情報がまだまだ届いていないのが実情であると考えます。
 そこで、妊娠相談ほっとラインなどの相談窓口については、平易な言葉を用いるなどしながら、SNSなどもさらに活用し、周知を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、妊娠や出産に関する相談に、看護師等の専門職が電話やメールで対応する妊娠相談ほっとラインを実施しており、インターネット広告などにより、相談窓口を周知しております。
 昨年十一月からは、LINEを活用し、チャットボットで妊娠や避妊に関する問い合わせに対応する、妊娠したかも相談@東京を開始いたしました。
 このLINE相談を広く周知するため、PR用のカードを作成し、保健所、保健センターや福祉事務所のほか、高等学校、大学、ネットカフェ等に配布しており、来年度は、SNSを活用した広告なども行う予定でございます。

○森澤委員 高校や大学で配布を行ったこと、来年度、SNSを活用した広告等を行うことは重要です。さらに、相談やサポートの先に、実際に困り事を解決できる道筋があるということ、それを知っていただくことが大切だと思います。その周知もあわせてお願いいたします。
 妊娠葛藤のある方の中には、家族や親族にも相談できない、住む場所も仕事も安定せず、出産後に子供を育てていく自信がないという方もおられます。婦人保護や若年被害女性の支援に取り組む方々からお話を伺うと、妊婦が安心して寝泊まりできる場所が必要とのご意見も、たびたび伺うところです。そういった意味で、心身の状態、家族や周辺との関係などを見きわめながら、妊婦自身の意思を尊重しつつも、まずは出産を支えていける体制が必要です。
 そこで、妊娠相談ほっとライン等につながった妊婦が、みずからの力で養育していくことが困難な場合や、さまざまな事情で家族等への連絡を避ける場合などにおいて、出産、育児における適切な支援へと着実につなげていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、妊娠相談ほっとラインの相談で、経済的困窮や社会的孤立、DVなどさまざまな事情から産科受診等が困難な方を把握した場合には、民間団体を活用し、産科等の医療機関などへの同行支援を行っております。
 来年度からは、居所が不安定である場合に、次の支援につながるまでの緊急一時的な居場所の確保や、福祉事務所や児童相談所など関係機関とのコーディネートも行うこととしており、今後とも、若年妊婦等に寄り添った支援を行ってまいります。

○森澤委員 しっかりと支援へつないでいくという見解が示されました。東京は、人が集まるという魅力がある反面、人と人とのつながりが薄くなるという側面もあります。困難を抱える女性に積極的に介入、支援し、母子の命を守っていくよう、よろしくお願いいたします。
 次に、東京の魅力を高め、世界から選ばれる都市をつくる視点から幾つか質問します。
 未来の東京戦略案では、東京を世界一のビジネス都市へと進化させるため、国と連携し、特区制度等を活用した規制改革を実行するとされています。
 規制を変えることで生まれる将来の便益は目に見えにくく、変えることのリスクや便益を奪われる人の意見は見えやすいことから、少数の大きな声により、改革が進まないというのはよくあることです。全体のバランスを重視しがちな日本では、規制改革のスピードが世界より遅く、それが新たな産業創出や技術革新に歯どめをかけているとの指摘もあります。
 都では、国家戦略特区の仕組みを活用して規制改革を進めようとしていますが、国との調整における説得力を高め、また、都民の理解を得るためにも、規制改革の定量的な分析、評価を積極的に行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 国家戦略特区では、例えば都市計画手続のスピードアップを図る都市再生プロジェクトにおいて、これまでに提案した案件の合計で約十八兆円の経済波及効果が見込まれると試算し、公表するなど定量的な分析に努めております。
 さらに、今年度からは、専門的な知見に基づき、規制改革ニーズの掘り起こしや特区提案内容のコンサルティング等を行う規制改革コーディネーターを活用し、規制改革により見込まれる経済的な効果の数値化にも取り組んでいるところでございます。
 このような取り組みを通じて、定量的な分析結果を活用していくことで、規制改革の必要性について多くの都民の理解を得ながら、国家戦略特区を推進してまいります。

○森澤委員 定量的な分析を進めていくとのことですが、アメリカで導入された、一つの規制をつくるのであれば二つの規制をなくす二対一ルールや、欧州で見られる規制コストを総量で見ていく仕組みの構築により、職員自身の規制改革への意欲も高めていくことが必要であると申し述べておきます。
 次に、社会の構造改革を推進していくという目的で示された東京ベイeSGプロジェクトについて、これまで官民で検討を進めてきたベイエリアビジョンとの関係性について質問します。
 完成度の高い東京という都市にあって、ベイエリアは、今後の飛躍的な成長の可能性を秘めた場所であることはいうまでもありません。その魅力的なまちづくりを進める検討に当たっては、民間事業者からはまちづくりのプロフェッショナルなどが、都庁からは将来を担う若手が集った官民連携チームにおいて、官民の枠を超えた自由な発想で検討が行われた後に、イレブンカラーズ、未来創造域のデザインが提出されました。
 一昨年の一般質問においても、この官民連携チームの提案については、十分に参考にしていく旨の答弁もいただいています。
 この取り組みについては、提案書の意欲的な内容はさることながら、その計画段階から官民がフラットなパートナー関係で進めてきたものであり、これからのまちづくりのモデルにすべきと考えます。
 そこで、東京ベイeSGプロジェクトとベイエリアビジョンを今後整理していくに当たっても、引き続き、これまで進めてきた官民連携チームの提案及び計画段階から官民がともに考えていく仕組みを生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中嶋政策企画局長 都はこれまで、おおむね四半世紀先である二〇四〇年代を見据えまして、東京、日本の成長を牽引するベイエリアの将来像を示す、ベイエリアビジョンの検討を進めてまいりました。その中で、若手の研究者や職員などが自由な発想で取りまとめた官民連携チームの提案につきましても、十分参考にしてきたところでございます。
 一方、東京ベイeSGプロジェクトは、新型コロナで浮き彫りとなりました社会の構造的な課題を克服し、持続可能な都市を実現するため、ベイエリアを舞台に、五十年、百年先を見据えたまちづくりを構想するものでございます。
 今後、これまでのベイエリアビジョンの検討成果を踏まえながら、本プロジェクトを取りまとめ、民間とも連携をしながら展開してまいります。

○森澤委員 有識者の提言等で終わることなく、民間事業者等のアイデアやノウハウが社会実装される連携となることを求めておきます。
 さて、緊急事態宣言が長引く中、ライブハウスやクラブ、劇場やホールなどの音楽、文化、芸術関係施設やアーティスト、イベント関係事業者やスタッフからは、悲鳴にも似た声が多数届いています。先ほど来、多数指摘がありました。観客数を半数以下にして採算がとれるはずもなく、さらに、感染防止対策などに追加費用がかかるとなれば、活動自体を見送るしかないというのが本音とのことです。
 一方で、宣言下の現在も、アーティストや文化関係者の皆さんは、どうすれば安全・安心を確保した上で文化芸術活動を継続していけるのか試行錯誤しています。そういった意味で、来年度のアートにエールを!フォローアップ事業、大規模イベント、公演助成について、感染症対策予算が別途計上されていることは歓迎するものです。
 私たちは、文化芸術活動が生きるためのエネルギーを与えてくれるエッセンシャルな存在であると改めて強く主張したいと思いますが、アートにエールを!東京プロジェクト(ステージ型)が補正予算に計上され、来年度早々に募集が行われることは重要です。
 そこで行われる公演等については、観客を入れた形で実施できるよう後押しをしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○野間生活文化局長 アートにエールを!東京プロジェクトは、コロナ禍において、公演、イベント等が延期、中止になる中、アーティストやスタッフの創作、発信の場を設ける趣旨で実施いたしました。
 来年度行います今回の追加募集では、国の通知やガイドラインなどを踏まえた十分な感染症対策を前提とした観客を入れた公演を想定してございます。

○森澤委員 観客を入れた公演を想定しているとのことで、都としてのメッセージとしても重要だと思います。
 ただ、何より公演等が気兼ねなく再開できるようになるには、まずは一日でも早く宣言を解除できる状態を迎えることです。医療提供体制の強化や積極的疫学調査の徹底などにより、感染の抑え込みに引き続きしっかりと取り組んでいただくようお願いします。
 環境への配慮や持続可能性も、都市の魅力を左右する大きな要素です。
 知事は、二〇三〇年までに温室効果ガスを五〇%削減するカーボンハーフを宣言し、あわせて再エネ電力の利用割合を五〇%まで高めていくとしました。
 一昨年策定されたゼロエミッション東京戦略では、二〇三〇年までの再エネ目標を三〇%としており、これに対し、二〇一八年度は一五・三%となっています。
 また、国では、二〇二〇年の再エネ比率が二三%と高まったとしていますが、新型コロナの影響で経済活動が縮小した影響も大きいと見られ、その数値どおりに受け取ってはならないと考えます。
 目標の達成には、今後十年で、技術面でも、産業構造面でも、また人々の暮らしの面でも、大幅な転換が起きる必要があります。例えば、二〇一九年の再エネ比率が四〇%のドイツでは、電気料金の抑制に税金を投入し、また、アメリカのカリフォルニア州では、二〇二〇年一月から新築住宅に太陽光パネル設置を義務化しています。
 都においては、卒FIT後の電力高値買い取りや太陽光パネルの設置補助などさまざまな取り組みをしていますが、今後必要なのは、再エネ電力の市場競争力を高め、産業として成長させていくことであると考えます。
 そこで、太陽光を初めとした民間の再エネ電力事業を育てる取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 再生可能エネルギーの普及につきましては、民間主体のさまざまな事業がございます。
 例えば、導入時の費用負担なく家庭の太陽光発電設備を設置するため、事業者が住宅所有者とリースや電力販売等の契約を結び、パネルの設置、メンテナンス等を実施しながら、売電等による収入を得ていく事業が進められてございます。
 また、家庭等における再エネ電力の購入希望者を募り、一括して契約を切りかえることで価格低減を図るグループ購入事業が行われてございます。
 都は、これらの事業の認知度を高め、一層普及させるため、昨年度から支援等を行ってございまして、再エネ電力のグループ購入につきましては、今年度、九都県市と連携した取り組みも展開してございます。
 今後とも、再エネの利用拡大に向けまして、民間の再エネ電力事業の後押しを図ってまいります。

○森澤委員 民間の再エネ電力事業を後押ししていくとの答弁、期待しています。これには、国の規制緩和等の必要な施策もあると思いますので、ぜひ積極的な国への働きかけもお願いします。
 もう一つの大きな要素である技術革新については、来年度から産業労働局において環境分野のベンチャー支援が始まるとのことですが、重複しましたので、質問を割愛します。産業労働局と環境局でしっかりと連携して、環境分野のイノベーションを後押しし、カーボンハーフの実現に邁進いただくよう求めるものです。
 最後に、持続可能性という観点から災害対策について質問します。これも、選ばれる都市になるために重要な要素だと考えます。
 公助のみならず、災害が発生した際にまず重要なのは、自助と共助であり、特に災害弱者支援という視点から、日ごろの地域のつながりを基盤にした地域防災力の強化は必須です。特に多様な人々が集まり、多様な暮らし方が共存する東京にあっては、地域コミュニティに多様性を確保することは重要です。
 そのような意味で、都の実施する女性防災人材を育成する防災コーディネーター研修は非常に重要な取り組みです。一方、実際に受講した方からは、みずから地域に入っていくのはなかなか難しく、都の認定資格とするなど地域とつないでいただきたいという声もあります。
 そこで、女性防災人材を養成するにとどまらず、災害時等において実際に地域で活躍していただけるよう都として支援すべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。

○山手総務局長 都は平成三十年度から、発災時に地域や職場でリーダー的役割を果たせる女性防災人材を育成するため、行政機関等との連携や、避難所におけるコミュニケーションの手法を習得する防災コーディネーター研修を実施してございます。
 この研修をホームページに掲載することや、区市町村の防災担当者の会議等を通じて周知するほか、修了者の知識等向上のためのフォローアップ研修を今年度から既に開始しておりまして、新年度も継続する予定でございます。

○木村委員長 森澤恭子委員の発言は終わりました。(拍手)
 以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○木村委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってかえるものとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 この際、各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月十八日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月二十三日については、午後一時から委員会を本委員会室で開会し、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十四日に予定しております討論等の委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時三十九分散会