○木村委員長 森口つかさ委員の発言を許します。
〔委員長退席、伊藤副委員長着席〕
○森口委員 新型コロナウイルス感染症は、東京都を含む日本が直面する課題を明らかにしました。
これまでは、フェース・ツー・フェースのつながりを重視し、人が集まってのにぎわいを創出することが、都市の魅力、ビジネスで大切なことでありました。
新型コロナウイルス感染症は、一年以上にわたって非接触の中で社会経済活動を強いてきましたが、二十一世紀に入って、SARS、MERS、そして今回の新型コロナウイルス感染症のように、約十年ごとに世界的な感染症が発生をしており、これは今後も起こると考えなければなりません。
また、一九九三年、クリントン政権の発足とともに、ゴア副大統領が主導した情報スーパーハイウエー構想によってアメリカの情報産業が活性化をし、そしてGAFAの誕生へと、ICT産業が二十一世紀の大きな産業になりました。
デジタル化は、行政手続の電子化、Eコマース、キャッシュレス、再生可能エネルギーの制御など、さまざまな分野で革命を起こしています。
日本では、今回のコロナ禍で給付金の支給や融資実施などに長期間を要すなど、世界のデジタル化の動きに大きく立ちおくれていることが広く認識されました。
日本、そして東京は、コロナ前とコロナ後では、あらゆる分野で変わらなければなりません。今般公表された未来の東京構想は、その姿を明確にあらわしたものと評価します。
そこで、東京の都市再開発について伺います。
今後着手する東京の都市再開発は、二〇三〇年、そして二〇五〇年の東京を規定するものです。二〇五〇年、二〇三〇年の東京から今をバックキャスト的に考えれば、都市再開発に当たっては、未来の東京で掲げられたゼロエミッション東京、デジタルトランスフォーメーションの爆速化、防災都市、無電柱化、国際金融都市づくり、世界一の美食都市、文化芸術都市、人権都市、バリアフリー都市、緑の都市、歩いて楽しめる都市、そういった要素を設計段階から組み込んで行われなければなりません。
私は、二〇二一年の未来の東京は、百年前の一九二三年、後藤新平の帝都復興計画に比すべき、長期にわたる東京改造計画の始まりと考えています。
東京は、国際競争力を備えた魅力的な都市となることができます。
世界の都市づくりを見れば、UAEのドバイ、中国の深セン、そして日本でも始まったトヨタのウーブン・シティなどスマートシティーが現実となっており、東京の大規模開発においては、これらの事例を参考とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 森口つかさ委員のご質問にお答えいたします。
デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができるスマート東京を実現しなければなりません。
都市開発においても、5GネットワークとAIを活用して、IoTで全ての人と物をつなげ、スマートエネルギーマネジメントや次世代モビリティーシステムなどを組み込んで、人間中心の超スマート社会の構築を目指してまいります。
国内におきましては、今、お話がありましたようにウーブン・シティ、こちらでは自動運転社会の実現に向けた実験都市として、コネクテッドシティーの形成に着手をしました。
また、海外の中国、深センでは、AIやIoTの活用によって、リアルタイムの交通制御や無人運転システム、顔認証による決済が導入されるなど、時代のはるか先を行くような取り組みが進められております。
また、ご質問にありましたUAEのドバイでありますが、私が訪れた七〇年代は、真珠とりをする小さな漁村だったんですね。今どうでしょうか。空飛ぶタクシーが既に飛んでいるということであります。
こうした国内外の事例も参考にしまして、東京の都市開発を進めるなど、スマート東京を実現して、都民のQOLを向上させてまいります。
○森口委員 今や都市づくりを設計会社や建設、土木会社だけが仕切っているだけでは、この分野でも世界の後進国となってしまいます。東京都は、早く世界に追いつかなくてはなりません。
世界の先進的な都市づくりでは、IT企業、ランドスケープ設計企業、金融投資会社、エネルギー企業など、さまざまな強みを持った企業が参加をして行っており、都市づくりにおいてランドスケープの観点をどう導入するか、デジタル都市構想をどう導入するか、都市づくりの設計思想をどう導入するか、法改正、法運用も含めて、民間の開発手法をどう導入するかなどが課題です。
東京を国際競争力を備えた魅力的な都市とするため、都市再開発分野において、設計、資金、建設、ICTシステム、エネルギーシステムなどの知恵を広く世界から集めることができるよう、都市再開発の仕様書づくり、参加企業選定方法などの抜本的な改革が必要と考えますが、都の見解を伺います。
○上野東京都技監 都は、国際競争力を備えた魅力的な都市を実現するため、これまで、民間の創意工夫を生かした提案を促し、すぐれたプロジェクトを選定することなどにより、都市開発を進めてまいりました。
例えば、竹芝地区ではAIやIoTなど最先端のテクノロジーを地区全体で活用するスマートシティーを目指しております。田町駅東口北地区では、スマートエネルギーネットワークの導入により、エリア全体でCO2三〇%削減を図っております。
また、都が施行する選手村では、民間事業者のノウハウを活用し、実用段階で全国初となる街区レベルにおける水素供給を行うなど、環境先進都市のモデルの実現を目指しております。
世界のさまざまな先進的な取り組みも踏まえ、先端技術の一層の活用を図るとともに、民間の知恵と工夫も引き出しながら、優良な都市開発を促進してまいります。
○森口委員 次に、具体的なプロジェクトについて質問していきます。
築地再開発については、検討会議での議論を踏まえて築地まちづくりの大きな視点が示されています。しかし、コロナ禍を経て、今や都市の再開発においてもポストコロナを見据えた取り組みが不可欠です。これまで日本では、利益が上がる施設を配置するパターン化された都市の再開発が行われてきました。
築地再開発では、国際競争力を備えた魅力的な拠点の形成のため、利益を上げることができる稼ぐ施設と、利益が上がらなくても都市の魅力を高める特徴ある施設を適正に配置することが肝要であると考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 築地まちづくり方針では、東京と日本の国際競争力をさらに高めていくため、国際的な交流拠点に必要となる機能を導入することといたしております。
国際競争力を高め、都市の魅力を向上させるために、海外の都市の取り組みを踏まえつつ、例えば、公益性は高いけれども収益性が期待できない機能の導入とあわせて、収益性や発信力の高いイベントも行えるような大規模施設などを複合的に開発し、導入機能相互の相乗効果を発揮させることなどを想定しております。
築地地区の将来像の実現に向け、公共性、公益性に留意するとともに、経済合理性を考慮しつつ、民間の力を最大限に活用しながら、東京及び都民にとっての価値の向上を図ってまいります。
○森口委員 築地には、築地本願寺や昭和の風情を残す場外市場、そして、浜離宮などがあります。また、築地の歴史には、大名屋敷、日本で初めての洋風ホテル、海軍の医療施設、築地市場などの歴史があります。
築地再開発用地と浜離宮を一体として捉え直し、周辺の環境や歴史を一体のものとして、築地再開発においてランドスケープの視点からデザインをすることが国際競争力を備えた魅力的な拠点の形成に必要と考えますが、都の見解を伺います。
○上野東京都技監 築地は、都心に近接し、浜離宮恩賜庭園、江戸の名所を多く抱える隅田川に面するなど、またとないロケーションにございます。
築地まちづくり方針では、豊かな水と緑に囲まれた立地を生かすとともに、周辺のさまざまな資源とのつながりを重視し、より価値を高めていくこととしております。
具体的には、特徴ある周辺地域と結びつけ、連携を強化できるよう、歩行者や舟運のネットワークを形成いたします。また、築地川沿いの水辺との一体的な景観形成を図るなど、浜離宮恩賜庭園との一体性や見え方なども考慮しながら、庭園と水辺を生かした機能を導入いたします。
民間の力を最大限に活用し、水の都東京の玄関口にふさわしい、すぐれたデザインによる先進性と国際性を兼ね備えた文化の創造拠点を形成してまいります。
○森口委員 築地再開発に当たっては、ゼロエミッション東京の視点も欠かせません。
東京都は、世界や政府の二〇五〇年CO2実質ゼロに貢献をし、水と緑を一層豊かにする東京を実現するとうたっており、ゼロエミッション東京を実現するZEVの普及促進、水素ステーション整備促進事業、照明のLED化促進など省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入拡大、プラスチック削減、緑あふれる公園緑地等整備事業補助など施策を行っております。
築地再開発に当たって、ゼロエミッション東京の実現へ向けた方策を盛り込んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 築地まちづくり方針では、先進的な技術等による環境配慮を実践しながら、時代の最先端のモデルとなる、より高度で持続可能な都市を実現することといたしております。
具体的には、ICTなどの新技術を活用し、エネルギー、交通、資源循環、自然との共生など、分野横断的に地区の全体最適が図られるようマネジメントを行う。
また、環境に関する新たな技術開発の動向も見据え、先端的な技術を活用しながら、ゼロエミッション東京の実現に寄与するとともに、災害時にもエネルギーの自立性を確保する。生物多様性や生態系、ヒートアイランド対策に配慮した緑化等を推進するなどといたしております。
○森口委員 築地再開発を国際競争力を備えた魅力的な都市づくりの一環としていくには、銀座から東京ベイに続く地域全体の魅力を増すような設計思想が必要と考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 当地区は、東京湾、隅田川、陸からの交通ルートが交差する要所にありまして、周辺の銀座から大・丸・有地区などでは、世界有数のビジネス交流機能の集積が一層充実されます。
また、臨海部には研究開発施設やエンターテインメント施設等が立地するとともに、有明アリーナ等の東京二〇二〇大会のレガシーが未来に引き継がれてまいります。
これらの地域を関連づける舟運ネットワークのかなめを形成するとともに、羽田空港や上野、浅草などの観光スポットとのつながりが強化され、地下鉄構想が具体化されますと、東京都心や臨海部の拠点等との一層の連携強化が期待されます。
築地まちづくり方針では、国際的な交流拠点に必要な機能を効果的に導入するとともに、築地場外市場など周辺のさまざまな資源とのつながりを図りながら、相乗効果を生み出し、魅力と付加価値を高めていくこととしております。
○森口委員 国際競争力を備えた魅力的な拠点の形成のためには、東京版ソサエティー五・〇、5G、AI、IoT、ビッグデータの活用方法、また、十年ごとに起きている感染症の流行にも対応できる集客施設のあり方など、従来の不動産業界、ディベロッパーの業界だけでは対処できない課題があります。
トヨタのウーブン・シティでは、デンマーク出身の著名な建築家で、ビャルケ・インゲルス・グループ、BIGでCEOを務めるビャルケ・インゲルス氏が都市設計を担当しています。
東京都には宮坂副知事がおられますので、ぜひ、築地再開発のスマートシティー化に力をかしていただきたいと考えます。
そこで、スマートシティーづくりには、さまざまな業種が協力をし、デジタル技術を当初から組み込むことが重要と考えますが、都市づくりとICT企業や技術者がまちづくりにかかわることについて、宮坂副知事の見解を伺います。
○宮坂副知事 都は、未来の東京戦略で、東京版ソサエティー五・〇、スマート東京の実現を掲げております。
スマート東京の社会では、電気や水道、道路等の物理的なインフラに加えて、情報ネットワークやデジタルツールなどの目に見えない新しいデジタルのインフラが重要になります。
このため、未来のまちづくりでは、デジタルの分野でも高い専門性を持つ人材や事業者、研究機関等とも連携して課題解決に取り組み、QOSの向上を図っていくことが肝心です。
スマート東京を都全域へ拡大させる第一歩となるスマート東京先行実施エリアでは、5Gや先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装を重点的に推進してまいりますが、実装に当たっては、まちに対するニーズをしっかり把握し、デジタルの力でQOSの向上に資する取り組みを確実に実行していく必要があります。
例えば、南大沢では、南大沢スマートシティ協議会にICT企業を初め地域で活動されている企業や、先端技術の専門性を持っている都立大学、地元の市等が参加し、連携協力体制を構築しました。
この体制の中で把握した丘陵地での高齢者移動の負担軽減等の課題に対応するため、先端技術の活用について検討するとともに、自律走行可能なモビリティー等による新しい移動円滑化の実証実験なども取り組みます。
このような、まちづくりにデジタル技術を取り入れる動きの活発化に伴い、デジタルの専門性を持つ事業者や人材の重要性は、今後、ますます高まってくると考えています。
最先端の研究やデジタル技術の活用を図りながら、東京に住み、働き、訪れる方々の課題解決に向けて、全ての人が快適に暮らし、働くことができる都市東京を築き上げてまいります。
○森口委員 都市の再開発に対しても、今後、デジタルトランスフォーメーションを活用した都民のQOL、生活の質の向上といった視点は必須であり、新たに設置されるデジタルサービス局に積極的にまちづくりにかかわっていただくとともに、宮坂副知事の活躍を大いに期待したいと思います。
築地再開発については、これまで二〇一八年五月の築地再開発検討会議、築地まちづくりの大きな視点、そして二〇一九年三月の築地まちづくり方針などの積み重ねがありますが、その積み重ねを踏まえながらも、コロナ後の大きな転換点であることを鑑み、内外の設計者やIT企業など、不動産やディベロッパー以外の新しい企業の参加などを得ながら、環境に配慮したスマートシティーを実現するための取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 先般公表いたしました未来の東京戦略におきまして、我々が目指します二〇四〇年のビジョンの一つにスマート東京の実現を掲げております。
コロナ禍で浮き彫りとなった課題も解決をし、都民の誰もが快適で質の高い生活を送ることができる、活力に満ちたスマート東京を実現するために、データと最先端技術を駆使しまして、東京のデジタルトランスフォーメーションを加速してまいります。
築地まちづくりにおきましても、技術革新も念頭に置き、ソサエティー五・〇の実現など、時代の最先端であり続ける環境のモデルとなる都市を実現することなどを目標といたしております。
民間のさまざまな知恵やノウハウを最大限に生かして、これを具体化すべく、四月に設置されますデジタルサービス局を初め各局が連携して検討を進め、ICTなど新技術の活用など、さまざまな創意工夫を生かしたすぐれた提案を民間から引き出してまいります。
○森口委員 日本は、先端技術を組み込んで人々の生活の質を向上させる都市づくりでも後進国となっているという現状を踏まえ、人材やノウハウ、資金を広く世界に求めて、東京の開発を世界水準に引き上げる必要があります。
ぜひ、築地再開発がポストコロナを踏まえた新たなまちづくりの象徴となるよう、都市再開発のコンセプト、募集方法など、コロナ以前の考え方にとらわれない世界水準の取り組みを要望いたします。
令和三年度予算には、都市再開発事業に五十八億円が計上されています。これに関連して、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業について質問します。
第二種市街地再開発事業の発端となった大阪市の阿倍野再開発事業においては、二千億円近くもの収支不足が生じています。
都財政が厳しい中で、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業について、大阪市の阿倍野再開発事業のような収支不足が生じるおそれはないのか、また、完了時期は予定どおりか、さらに、東急不動産、京浜急行電鉄、東急建設、京急建設の事業協力者がどのような役割を果たしたのか伺います。
○上野東京都技監 大阪市によりますと、昭和五十一年に事業化いたしました阿倍野地区は、権利者数が多く事業が長期化するとともに、バブル経済期における用地買収や、バブル崩壊後の保留床処分の長期化などが影響し、収支不足になったとしております。
泉岳寺駅地区では、平成三十年に、事業の早い段階から、阿倍野地区では当初採用されなかった事業協力者方式を活用するとともに、都市再開発法に基づく特定建築者制度により、収支不足の回避などを図ることといたしました。事業協力者活用の成果を踏まえ、既に全ての権利者との移転契約を終え、順次解体工事を進めております。さらに、現在、公募手続を進めております特定建築者を決定することで、都としての保留床処分等のリスクの回避が可能となります。
今後、速やかに特定建築者を決定し、令和九年度の事業完了を目指してまいります。
また、泉岳寺駅地区では、事業の早期完成及び権利者の円滑な生活再建を図ることを目的といたしまして、事業協力者方式を導入いたしました。
本事業の事業協力者は、事業の早い段階から民間の豊富な経験とノウハウを活用して、施行者と権利者の双方に対し、市場性の高い魅力ある再開発ビルの企画設計についての協力や、権利者の生活再建に関するさまざまな情報の提供を行うなど、事業の円滑な推進に寄与いたしました。
○森口委員 次に、東京駅前に日本一高いビルを建設する常盤橋プロジェクトが、都市再生特別地区を活用し進められています。
先日、容積率を緩和する都市計画変更手続が行われました。常盤橋地区においては、地下通路の整備や首都高地下化への協力、大規模ホールや国際級ホテルの整備などが行われる提案となっており、これらの取り組みは東京の都市再生に大きく貢献するものであり、重要な取り組みであります。
一方で、都は、これらの公共貢献を評価して容積率を緩和しており、容積率緩和の条件となった都市への貢献が計画どおり行われる必要があります。
そこでまず、この十年間に、都市再生特別地区など、都が都市計画決定により公共貢献施設の整備を評価対象として容積率緩和した地区で、既に建物が竣工した地区はあるのでしょうか。そのうち、評価対象としている公共貢献施設の整備が終わっていない地区は何地区あるのでしょうか。確認のため伺います。
○上野東京都技監 過去十年間に、都が都市計画決定により公共貢献施設の整備を評価対象として容積緩和した地区のうち、全ての建物が竣工した地区は四十三地区ございます。
そのうち、評価対象としている公共貢献施設の整備が終わっていない地区は六地区ございます。
○森口委員 公共貢献施設の整備が一部未完了の六地区の中には、例えばどのような事例があるのでしょうか。また、その地区は現在、事業計画ではいつ整備が完了する予定なのでしょうか、伺います。
○上野東京都技監 事例の一つとして、平成二十七年度に都市計画決定いたしました都市再生特別地区大手町一丁目二地区につきましては、現在の事業スケジュールでは令和四年度に整備が完了する予定でございます。
○森口委員 その大手町一丁目二地区の公共貢献施設を含め、整備完了予定は、当初の都市計画決定時においては何年度であったのでしょうか、伺います。
○上野東京都技監 当初都市計画決定時の事業完了予定は令和二年度となっておりました。
○森口委員 そうすると、当初都市計画決定時の予定から二年程度おくれていることになるわけですけれども、その理由を伺います。
○上野東京都技監 当該地区における公共貢献施設の一つである広場を整備するためには、その予定地の地下に現存する地域冷暖房施設を除却する必要がございますが、別の場所への移設、切りかえなどに時間を要しているためでございます。
○森口委員 その他、公共貢献の事業スケジュールが当初の都市計画決定時から変更となっている事例について調べてみたのですが、確認ができませんでした。
こうした情報は公表されているのでしょうか、伺います。
○上野東京都技監 公表はされておりません。
○森口委員 公共貢献施設の整備を評価対象として容積緩和している地区において、変更後の整備スケジュールなどがわからない状態は問題ではないでしょうか。
改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○上野東京都技監 ご指摘はごもっともでございまして、今後、事業スケジュールの変更情報を都のホームページで公表してまいります。
○森口委員 容積緩和の対象となっている公共貢献施設を、将来的にしっかりと整備させるための担保の仕組みはどうなっているのでしょうか、また、どのようにフォローアップをしていくのでしょうか、伺います。
○上野東京都技監 都は、例えば都市再生特別地区の都市計画決定に当たりましては、都と事業者間で協定を締結しまして、将来的な公共貢献施設の整備を担保するとともに、定期的に事業者から報告を受け、状況の確認をしております。
今後は、その進行管理の中でスケジュール遅延などがある場合、確実な整備に向けて指導を強化するなど、運用の改善を図ってまいります。
また、再開発等促進区を定める地区計画などにつきましても、地区外における公共貢献施設整備を行う場合、都市計画決定に当たりまして、都と事業者間で協定を新たに締結することにつきまして検討してまいります。
○森口委員 公共貢献は都民のために役立つということで容積率の緩和が認められたものであり、それが実現できないのであれば容積率緩和の根拠が消滅します。適切な改善を求めます。
次に、舟運について伺います。
昨年九月、東京の新たな海の玄関口となる東京国際クルーズターミナルが開業しました。我が会派のモビリティー政策研究会では、クルーズ客船の寄港を東京の観光振興に着実につなげていくためには、東京国際クルーズターミナルから舟運を活用し、都内の主な観光地へのスムーズなアクセスを確立していくことを求めてきました。
多くの乗客を渋滞のない川や運河を経由してスムーズに輸送できる舟運は移動手段として有効でありますが、ターミナルに最も近い青海船着き場は老朽化が進んでいるとともに、にぎわいにも乏しいといった課題があります。
そこで、ポストコロナを見据え、東京国際クルーズターミナルの近くに新たな船着き場を設置し、クルーズ客が都内の各地へ舟運で移動する際の出発地としていくべきと考えますが、見解を伺います。
○古谷港湾局長 クルーズ乗船客が都内各地へ移動する際の交通手段として舟運を活用することは、水の都東京の魅力をアピールする観点からも重要でございます。
ご指摘のように、クルーズターミナルに最も近い青海船着き場は開設から二十五年が経過し、老朽化が課題となっております。
このため、都は、現在の青海船着き場を廃止するとともに、乗船客の利便性も考慮いたしまして、ターミナルのより近くに新たな船着き場を設置することとし、来年度、設計に着手いたします。
ターミナル周辺では多くの小型船が航行していることから、船着き場の設置に当たっては、これらの船舶の航行を阻害しないよう、今後、安全な航行ルールを策定するとともに、さまざまな舟運事業者が広くこの船着き場を利用できるよう関係者との協議を積極的に進めてまいります。
○森口委員 コロナ禍の長期化により、舟運関係事業者への影響は甚大です。
都は、我が会派の要望を踏まえ、施設使用料の支払い猶予などを行っているところでありますが、舟運を活性化させるためには、船着き場を舟運事業者にとって、より使いやすいものとすることが重要であります。
都は今年度までに、インターネットにより船着き場の利用申し込みを行える予約システムを、竹芝、有明、日の出、青海の各船着き場に順次導入をするとともに、予約の申し込み期限を、かつての一週間前から利用日の前日へと大幅に改善をするなど、船着き場の利便性向上に向けた取り組みを進めております。
一方、乗客から人気が高いお台場海浜公園の船着き場については、予約システムはいまだ導入がされておりません。さらなる舟運の活性化を図るためには、お台場海浜公園の船着き場においても速やかに予約システムを導入し、船着き場の利便性を向上させていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。
○古谷港湾局長 これまで都は、屋形船や水上タクシー等の小型観光船の利用が多い船着き場に予約システムを導入し、舟運事業者の利用手続の利便性を向上させてまいりました。
お台場海浜公園については、船着き場を利用する全ての小型観光船の事業者を対象にして、来年度より予約システムを導入してまいります。
これにより、現在、小型観光船に開放しております東京港の全ての船着き場の予約手続が、ウエブ上において二十四時間三百六十五日、利用日の前日まで可能となります。
今後、都は、船着き場がより一層使いやすいものとなりますよう、ICT等を活用した船着き場の新たな管理体制の構築も進め、さらなる舟運の活性化につなげてまいります。
○森口委員 次に、芸術文化振興について伺います。
都民ファーストの会東京都議団では、コロナ禍にあっても文化芸術は不要不急のものではなく、人々にエールを送り、勇気づけるものであると考えてきました。
また、文化芸術は、舞台に立っている演者だけでなく、音響や照明などに従事する人々とともにつくり上げられています。
これまで私たちは、フリーランスのアーティストの方々など、何度も意見交換を重ね、ライブハウスや小劇場、文化芸術施設など視察を行い、現場の声を受けて都に政策要望を続けてきました。都はこれに応えて、アートにエールを!東京プロジェクトをつくっていただき、アーティストからは感謝の声が寄せられ、これが引き金にもなり、国でも文化芸術支援が注目をされるようになりました。
また、今回の補正予算では、コロナがおさまらない中、アートにエールをの予算を組んでいただき、大変評価をいたしております。
先日の我が会派の代表質問で、知事は、改めて芸術文化の灯を絶やしてはならないとの思いを一層強くしたと答弁されました。多くの人々に生きる喜びや感動をもたらす芸術文化の役割は、コロナ禍の中、ますます高まっております。
そこで、都が実施したアートにエールを!東京プロジェクトの意義と成果について、知事のお考えを伺います。
○小池知事 都は、コロナ禍におきまして、文化の灯を絶やさないための取り組みとして、ご指摘のように、アートにエールを!東京プロジェクトを実施いたしました。
参加者からは、活動の場をいただいて、オンラインで出会った仲間と新たな分野とのコラボレーションが実現できたなどの声が寄せられまして、困難な状況下でもクリエーティブにかけるアーティストの情熱、そして思いを強く感じたところでございます。
また、このプロジェクトで参加者が生み出した映像作品が映画祭でグランプリを受賞するなど、一過性の支援にとどまらずに、アーティストのさらなる飛躍にもつながっております。
創作と発信の場を提供して活動を継続していただくことこそが重要だと、このように感じております。
芸術文化、人々に感動を与えます。都市東京に活力をもたらすものであります。今後も、アーティストの自由で多様な創作活動を後押しをしてまいります。
○森口委員 芸術文化は、ともすると不要不急と思われがちですが、一人一人の個性や多様性の中から生まれるその創造物を楽しむことができたり、探求することこそ、人としての豊かさであり、都市の魅力の源泉ではないでしょうか。
芸術文化の灯を消さないためにも、コロナ禍で落ち込んだ芸術文化を楽しむマインドを取り戻さなければなりません。
そこで、コロナの状況を見据えながら、東京の魅力の源泉である芸術文化活動を盛り上げていくべきと考えますが、来年度の取り組みについて伺います。
○野間生活文化局長 都は来年度、アートにエールを!東京プロジェクトのレガシーとして、新たな事業を実施いたします。
具体的には、多くの芸術文化団体や幅広い分野のアーティストや技術スタッフが参加する大規模な公演やアートプロジェクトに助成をいたします。
また、資金力に乏しい活動歴三年未満の新人アーティストの創作活動に対しまして、新たに定額での助成を開始いたします。さらに、伝統芸能の裾野拡大のため、都民に体験していただく活動への助成制度を創設いたします。
このように、支援対象や分野特性に応じた多様なメニューをTokyo Arts Fundとして再構築いたします。
こうした取り組みによりまして芸術文化活動を支援し、多くの都民に公演やイベントに参加していただくことで、芸術文化を楽しむマインドを取り戻してまいりたいと考えております。
○森口委員 次に、このコロナ禍においても、都民芸術フェスティバルが本年一月七日から三月の二十八日までの間、感染症対策を行いながら開催されております。
芸術のジャンルは、オーケストラ、室内楽、オペラ、現代演劇、バレエ、邦楽、日本舞踊、能楽、民俗芸能、寄席芸能となっております。
そこで、この都民芸術フェスティバルの予算額、そして、芸術のジャンルはどのような観点から選定をしているのか伺います。また、参加団体の選考はどのように行われているのか、あわせて伺います。
○野間生活文化局長 都民芸術フェスティバルは、すぐれた舞台芸術公演を広く都民の皆様に鑑賞する機会を提供し、都における芸術文化活動の振興を図ることを目的に開催しております。
令和三年度は一億九千四百万円を予算計上しており、そのジャンルといたしましては、音楽、舞踊、伝統芸能、演劇といった舞台芸術公演全般を対象としてございます。
参加団体は、質の高い公演を安定的に提供するため、過去のフェスティバルにおいて実績のある芸術文化団体等を幅広く選考してございます。
○森口委員 都民芸術フェスティバルは、都が主催する芸術祭であり、参加団体については、過去のフェスティバルの参加者だけでなく、高い透明性を確保し、都民が、そして東京の多くのアーティストが自分たちのフェスティバルであると思えるような、開かれたフェスティバルへと改革していただくことを要望いたします。
東京には、都民芸術フェスティバルで選定されているジャンルだけではなく、多くのエンターテイナーがいますが、例えば、ロックやポピュラーミュージックの分野では、東京サウンドといわれるような音楽は生まれていません。
東京の文化芸術を地域に根づいたものとするため、広く都民が参加できる文化芸術の場を、区市町村と協力して、地域で開催することも検討すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○野間生活文化局長 都は、地域で開催される住民参加事業を実施しており、例えば、八王子駅の周辺では、多摩地域の市町村と協力し、伝統芸能の保存会や地元の学生などがまち中で踊りや演奏を行うイベントを開催してございます。
また、商店街を舞台に地域密着型で開催する音楽祭や、地元に伝わる無形文化財を活用したイベントへの支援も実施しております。
こうした地域の文化資源を活用し、その魅力を発信してまいります。
○森口委員 都においては、世界に通用する東京の文化を支援し、ICTを活用したウエブ空間での世界への発信等の一環として、アーティストのパフォーマンス映像を、作成を支援するだけではなく、かつての原宿のような、リアルなパフォーマンスの場を定期的に設ける等の工夫が必要です。ロンドンやニューヨークにはウエストエンドやブロードウエーがあり、韓国では音楽部門を輸出産業として育成をし、成果を上げております。
アートにエールをの成果も踏まえ、世界水準の文化芸術を育成し、世界に発信することを文化戦略として位置づけ、また、都の一定の区域をエンターテインメント区域として指定をし、支援策を講じることも都市戦略として有益と考えますが、見解を伺います。
○野間生活文化局長 都ではこれまでも、東京文化ビジョンにおきまして、多彩な文化拠点の魅力向上により、芸術文化都市東京の発信力を強化することを掲げ、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
例えば、現代アートの発信拠点の六本木や、劇場、ホールが集積する池袋などでは、六本木アートナイトや東京芸術祭などの文化事業を実施してございまして、地元のさまざまな文化資源やイベントと結びついて、地域の魅力向上にも寄与してございます。
来年度は、アートにエールを!東京プロジェクトのレガシーとして、新たに大規模なフェスティバル等への助成事業を開始し、こうした魅力的な地域における民間の発信力の高い取り組みを支援いたしまして、東京の芸術文化の魅力を高めてまいります。
○森口委員 東京には、六本木、池袋のほかに、小劇場が集まる下北沢などがありますが、それらを区域としてアナウンスすることによって、より集積が進み、魅力が増すこととなります。政策的支援についても検討を要望しておきます。
次に、新宿駅周辺のまちづくりについて伺います。
二〇四〇年代を見据えた新宿グランドターミナルの実現に向けて、新宿駅直近地区の土地区画整理事業が動き出すほか、西新宿においては、スマートシティーの先行整備やさまざまな取り組みが進むなど、新宿駅周辺の拠点再整備がいよいよ動き始めたと感じています。
一方で、地区ごとにそれぞれの取り組みをばらばらに進めるのではなく、新宿グランドターミナルを中心に、東西にわたって、二〇四〇年代など将来に向けた、人中心のまちづくりや緑のネットワークの形成、デジタルトランスフォーメーションによるQOLの向上などの視点を広く捉えながら、新宿駅周辺全体での検討を行い、東京の拠点づくりの象徴となるようなまちづくりをしていくべきと考えますが、今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
○上野東京都技監 都と新宿区で平成二十九年に策定しました新宿の新たなまちづくりでは、長期的、広域的な視点から、新宿駅周辺地域のまちづくりの方向性として、新宿の魅力の充実強化、活動しやすい歩行者空間の創出等を示しております。
その実現に向け、新宿駅直近地区では来年度、歩行者優先の駅前広場に再編する土地区画整理事業に着手いたします。西新宿では、DXの視点も踏まえながら、人が憩え、緑が至るところにあり、楽しく歩けるまちづくりを推進してまいります。東口地区では、令和元年に街並み再生方針を策定し、国際集客都市の形成や、歩行者優先で回遊性の高いまちづくりなどに取り組んでおります。
周辺地区の異なる個性を生かした取り組みを進め、新宿グランドターミナルを介して東西をつなぎ、地域全体として質の高い国際交流拠点の形成を目指してまいります。
○森口委員 おのおの取り組んでいる施策やまちづくりを全体として包含する会議体の設置なども要望いたしておきます。
最後に、自転車活用について伺います。
都は、新たな自転車活用の計画案を発表しております。パリに負けない自転車通行空間を確保するためには、面的な通行空間の整備が必要不可欠であります。
ビジネスやにぎわいの中心である、都心のターミナル駅である新宿駅や渋谷駅、池袋駅、上野駅、東京駅などを中心とした地区を設定し、集中的に環境整備を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○上野東京都技監 都は、先般公表いたしました自転車活用推進計画案におきまして、業務・商業地、住宅地、観光地の三つの地域特性を想定しつつ自転車活用推進重点地区を設定し、さまざまな施策を集中的に実施するとともに、他地区への展開を図ることをお示しいたしました。
特に業務・商業地では、コロナ禍における自転車通勤の増加傾向も踏まえ、ターミナル駅のような自転車利用が多い駅前やビジネス街等におきまして、連続した通行空間の整備や駐輪場の増設、自転車シェアリングのサイクルポートの整備、繁華街における駐車対策などをパッケージ化いたしまして、実施することを想定しております。
今後、先行実施地区を選定いたしまして、来年度早期に改定いたします計画に反映した上で、区市町村と連携しながら取り組みを進め、誰もが安心して快適に自転車を利用できる環境の一層の充実に取り組んでまいります。
○伊藤副委員長 森口つかさ委員の発言は終わりました。(拍手)
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