○伊藤副委員長 加藤雅之委員の発言を許します。
〔伊藤副委員長退席、上野副委員長着席〕
○加藤委員 初めに、新型コロナウイルス患者の転院調整について質問します。
私の地元墨田区では、地域の医療機関と連携し、医療機関の役割に応じてネットワークを構築した上で転院先の病床を確保し、重症期を脱した患者の転院を進めることで、地域での入院待ちゼロを達成しており、この取り組みは墨田区モデルとして多くのメディアに取り上げられております。
すぐれた区独自の取り組みでありますが、区が七千万円の補正予算を計上しており、財政負担が発生しています。また、国の補助が使えない病院間の搬送経費を初め、費用が負担となっているとの声も聞いており、都の財政支援が必要です。
さらに、さきの我が党の代表質問で、都が広域的な転院調整を行うべきだと求めましたが、今後、第四波への対応に備えるためにも、先行自治体の取り組みをさらに広く他の自治体にも広げられるよう、都が支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は来年度から、地域の医療機関の役割に応じましたネットワークの構築や新型コロナ患者の病態に応じました転院調整の体制整備等の取り組みを行う区市町村に対して、一千万円を上限とする助成を開始することとしており、その事例等について、さまざまな機会を通じて、他の区市町村にも情報提供してまいります。
また、病院間の転院にかかわります民間救急車での搬送経費等への支援も行うことで、医療提供体制の強化を図ってまいります。
○加藤委員 墨田区の取り組みの特徴は、区が中心となって病床を確保し、コントロールしていることです。ぜひ情報提供していただいて、各区市町村に合った取り組みが進み、都内全体で転院が進むよう要望します。
次に、墨田区保健所が都に先駆けてコロナ後遺症の相談窓口を開設しました。区内の二十以上の医療機関と連携して相談、診療に当たります。
さきの我が党の代表質問で、後遺症の実態調査を都に求め、都は東京iCDCの専門家ボードでの調査とリーフレットの作成、医療機関と連携しての実態把握のさらなる調査を行うと答えました。
そこで、こうした先駆的な取り組みを行う自治体や医療機関と情報共有して対策を進め、後遺症に悩む方を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態は、現段階では明確になっておらず、まずはその現状を把握するため、東京iCDCの専門家ボードにおいて調査に取り組んでまいりました。
また、今月からは医療機関と連携し、さらに詳細な調査を実施いたします。あわせて、都立、公社病院では、今月を目途に新たにコロナ後遺症相談窓口などを設置する予定でございます。
今後、こうした取り組みにより、後遺症に関する知見を蓄積していきますとともに、後遺症対策として先駆的な取り組みを行っております区市町村とも情報共有等を行いながら、実態把握を進め、後遺症に悩む方に寄り添い、対策を検討してまいります。
○加藤委員 連携による相乗効果が上がることを期待しております。
次に、大規模水害時の避難対策について質問します。
まず、広域避難です。
都と内閣府は、先月行われた首都圏における大規模水害広域避難検討会において、これまで多摩地域や隣県などへの避難を主体としていた広域避難の方向性を見直し、自主避難や垂直避難なども含めた分散避難を検討していくといった新たな方向性を示しました。
広範囲にわたる豪雨被害や鉄道の計画運休など、現実問題として二百五十五万人にも及ぶ住民を広域避難させるというのは非常に困難であることから、都は江東五区を中心とした関係区市によるワーキングを立ち上げ、広域避難の課題と方向性を検証した上で、国や地元自治体などと検討を進め、その結果をもとに、先月の検討会において、広域避難だけでなく、早期の自主避難や建物上層階への垂直避難などの現実的な複数の避難行動を組み合わせた分散避難を今後の検討の方向性とすることを確認したとのことです。
今回示された試算によりますと、約百五十四万人もの自主避難や約二十三万人の垂直避難を期待していますが、それでは、自主避難や垂直避難の実効性を確保して、適切に住民を誘導していく対策が必要と考えます。都の見解を求めます。
○山手総務局長 大規模風水害が発生する前の適切なタイミングで、住民みずからが避難行動をとれるようにすることが重要でございます。
このため、分散避難の重要性への理解促進に向けまして、国や地元自治体などと連携し、住民周知を進めてまいります。
また、いざというときに備え、ハザードマップ等による自宅の危険性や、避難に要する時間などを踏まえた自主避難や垂直避難などの具体的な避難行動について、東京マイ・タイムラインの配布や作成セミナーなどの普及啓発を通じまして、あらかじめ住民自身に考えていただくこととしております。
こうした取り組みにより、水害時における分散避難の実効性の確保に努めてまいります。
○加藤委員 検討会の資料によると、広域避難先としては災害リスクが想定されておらず、荒川下流域から比較的近距離に位置している公共施設及び民間施設のうち、収容人数がある程度見込める施設等を想定するとしていますが、想定している具体的な施設をお尋ねします。
○山手総務局長 大規模風水害時には、実際に移動することが可能で、安全な避難先を確保する必要がございます。
このため、施設の選定に当たりましては、鉄道の計画運休による移動時間の制約や、避難先の円滑な開設、運営なども考慮いたしまして、区部東部から比較的近距離で浸水などの被害のおそれがない場所に立地する、多くの避難者を収容できる堅牢な施設であることなどを要件としてございます。
具体的には、スポーツやイベントが行われる屋内施設や体育館、ホール等を有する学校などの大規模な施設を想定してございます。
今後とも、国や地元自治体、関係機関と緊密に連携をいたしまして、大規模風水害時の避難について検討を進めてまいります。
○加藤委員 広域避難先を今後具体的に探していくということは大きな前進につながると考えており、大変期待をしております。
その一方で、今回見直された方向性では、早期の自主避難を推奨しており、その実現があって初めて広域避難される人数が減ってくるわけですから、ぜひそのための方策を進めていただきたいと考えます。
都は、住民周知や普及啓発を行っていくとのことですが、例えば、江戸川区では自主避難を促す取り組みとして、事前に区外の宿泊施設へ自主避難する区民に対して、一人当たり一泊三千円で最大三泊九千円の補助を行うことを公表しております。
画期的な取り組みだと思いますが、このような積極的な地元自治体の取り組みに対して、都や国が補填をしていくといった支援を行う必要があると考えます。そうすれば、早期の自主避難が促進されますので、検討を行うことを要望いたします。
次に、大規模水害対策においては、何といっても避難先の確保が重要です。都は、国との実務者による会議を立ち上げ、昨年末にはその取りまとめを公表しました。
その中で道路高架部等の活用を検討するとありますが、我が会派のさきの代表質問で、知事から、首都高速を初めとする道路高架部等の活用を図り、都民の安全・安心をしっかり守っていくと答弁がありました。
これまで都は、道路高架部等の検討としていますが、具体的には、どのような施設を対象に検討を進めるのでしょうか。例えば、幹線道路の交差部の立体交差も道路高架ですが、こうした施設では長時間の浸水には対応できませんし、避難者数も限りがあります。
そこで、公明党ではこれまでも、首都高の活用を検討すべきと求めてきましたが、都の見解を求めます。
○上野東京都技監 都は、災害に強い首都東京の形成に向け、国とともに設置いたしました連絡会議におきまして、昨年十二月に東部低地帯の水害対策などを盛り込んだビジョンを取りまとめ公表いたしました。
この中で高規格堤防による高台づくりを進めるとともに、大規模水害時に民間建築物や公共施設等での避難スペースを確保していくことに加え、道路の高架部などの避難先等としての活用について検討していくことといたしました。
現在、地域の避難計画を担う地元自治体とともに、国などとも連携し、道路の高架部への具体的な避難の方策につきまして検討を進めております。
引き続き、首都高を初めとする道路高架部等の早期の活用に向け、取り組んでまいります。
○加藤委員 首都高の活用は、東部低地帯の住民からすると、水害時に避難しやすい施設の一つですが、これまで検討の俎上には上がってきませんでした。車両専用道路であることから、常に車が高速で走っているため、人が入ることは想定もされておりませんが、万一、大規模な浸水が発生した場合に、人命を優先すべきであり、車が走っていない前提であれば、避難先としても活用できると考えられます。
今からちょっとパネルをごらんいただきたいと思います。これは首都高速の環状線平井大橋の入り口の写真です。車を運転する人はご存じだと思いますけれども、この首都高の出入り口は急勾配ではありませんので、足が不自由でなければ上っていくことができます。また、道路上には非常用電話が五百メートル置きにありまして、一部パーキングエリアもあります。待避スペースもところどころにあります。
もう一枚パネルをお示しします。こちらの図は、浸水被害の大きい江東五区にかかる首都高の出入り口の地図です。エリア内に二十六カ所、大変多くあることがわかります。
そこで、首都高を避難施設として活用を図る場合の課題と、都の取り組み状況について伺います。
○上野東京都技監 災害時の首都高につきましては、人命救助や消火活動などに必要な緊急自動車などの円滑な通行を確保する緊急自動車専用路としての役割がございます。
一方で、東部低地帯に位置いたします首都高の構造は、大部分が高架構造となっており、大規模水害時の人命救助を最優先とする緊急的な避難先としての活用が考えられます。
現在、地域の実情を踏まえながら、対象地区を想定し、首都高の緊急自動車専用路としての機能確保との関係や、首都高への安全な避難誘導とそのタイミングなど、具体的な場所や活用方法について検討を進めております。
○加藤委員 避難誘導など解決すべき課題があることはわかりますが、人命にまさるものはありません。こうした課題を一つずつ速やかに解決し、首都高の活用を実現すべきであります。
避難の選択肢がふえることは大変有効であります。このため、検討に当たっては、都は、国と連携するとともに、首都高を活用することを前提とした具体的な避難計画を策定し、発災時には住民を誘導していく地元区とも連携を図ることが必要です。
そこで、こうした関係機関と調整を図る組織を立ち上げるべきと考えますが、都の見解を求めます。
○上野東京都技監 首都高への具体的な避難の方策につきましては、地元自治体や高速道路会社などの意見を聞きながら具体化していく必要がございます。
今後、国とともに設置いたしました連絡会議のもと、関係機関の参画を得ながら、ワーキンググループを設置いたしまして、地元区が策定する避難計画も踏まえ検討を進めてまいります。
○加藤委員 昨年の十二月に開催された災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議では、小池知事より、道路の高架部等の避難施設の活用についても、いざというときに都民の命を守れる場を確保するために、速やかに検討を進めていただきたいとの発言がありました。これには、知事が都民の命を守ろうとする強い意思を感じました。
緊急避難先としての首都高など、道路高架部の活用に向けて、スピード感を持って検討を進めていただくよう要望します。
次に、火葬についてです。
コロナ患者のご遺族から、ご遺体が直葬されたのに、葬儀事業者から高額な料金が請求されて納得がいかないとの声をいただきました。消毒作業などで通常よりも費用がかかっている実態があります。
そこで確認ですが、ご遺体が納体袋で火葬されるに当たり、過度な消毒等は必要なのかどうか。事業者や都民に正確な情報を周知するべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 国が昨年七月に作成しました新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方などの遺体の取り扱いに関するガイドラインによりますと、遺体を非透過性の納体袋に収容、密閉して、その外側を消毒し、納体袋が破損等しないよう適切に取り扱うことで、その後の納棺や火葬等に際し、特別な感染対策は不要とされております。
国は、このガイドラインに基づきまして、遺族や事業者等が適切に葬儀や火葬を行えるよう、葬儀業団体に通知いたしますとともに、ホームページに掲載し、広く周知しております。
都におきましても、火葬場の許可権限を有する市町村を通じまして、都内火葬場へ周知するほか、火葬場等との連絡会で遺体の搬送、火葬作業従事者に、遺体の取り扱いに関する注意事項や、お見送りや納体袋の上から遺体に触れる際の留意事項等をご遺族に周知するよう依頼しております。
○加藤委員 昨年の第三回定例会一般質問で公明党の大松都議から、葬儀トラブルについて質問した際、生活文化局長は、事業者が行う広告や表示に対する監視強化を進め、法令に違反する場合には、表示の差しとめや再発防止を求める措置命令を行うなど厳正に対処と答弁しました。
この虚偽や過大広告を景品表示法で取り締まることはできても、残念ながら葬儀業は許可や認可、届け出などの法的規制がなく、誰もが参入できる事業です。中にはインターネットのみで運営するなど、顔の見えない事業者も多く存在しています。
都も業界団体に対して通知はできても、組合に加盟していなければ届きません。葬儀は公的な火葬に付随するだけに、消費者トラブルが起こらないよう、法制化やガイドラインなどが必要です。ぜひ、都から国へ要望するよう求めておきます。
次に、今回のコロナ感染の拡大においては、病床の逼迫だけでなく、火葬も逼迫した状態となりました。ご遺体の場合は、少しの間であれば火葬を待つことはできても、数が多くなれば、ご安置する場所の問題も出てきます。
そこで、今後に備え火葬体制を確保すべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は昨年四月、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、都内火葬場等との連絡会を開催し、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方のご遺体を取り扱う際の感染防止策に関する情報提供や、火葬場での遺体の受け入れ状況について意見交換等を行うとともに、公営火葬場に対しまして受け入れ人数をふやすよう依頼をいたしました。
本年一月には、新型コロナによる死亡者数の増加に対応するため、民間施設も含めました都内火葬場に対し、受け入れ数を増加するよう依頼をいたしました。
今後も、感染者数や火葬の実施能力を踏まえ、遺体の一時安置も含めた火葬体制の確保に取り組んでまいります。
○加藤委員 我が党の要望に応じて火葬体制を拡大したことは評価しますが、今後も適切な対応をお願いいたします。
次に、二十三区において公営火葬場は二つしかなく、民間火葬場の方が多いといった、全国的に見れば特異なエリアとなっております。
このたび、コロナ禍において民間火葬場の火葬料金が大幅に値上がりしたことで、公営火葬場の役割はますます重要となりました。
そこで、瑞江葬儀所の改築計画の状況について伺います。
○中島建設局長 瑞江葬儀所の現在の施設は昭和五十年から使用しており、設備の老朽化が進んでおります。火葬炉は旧式で手動による操作が必要であり、施設はバリアフリー化の観点からも課題がございます。
このため、都は、最新の火葬炉を備えた施設として新築することとし、今年度設計に着手をいたしました。
新たな施設におきましては、利用者のプライバシーに、より配慮した構造とするなど、利便性の向上を図りますとともに、環境負荷の軽減や火葬作業環境の改善を図ります。
さらに、二階建てとすることで、水害時に垂直避難が可能となる施設とすることを予定しております。
地元の理解と協力を得ながら、令和四年度には工事に着手いたしまして、令和五年度中の完成に向け、着実に取り組んでまいります。
○加藤委員 今後もパンデミックや自然災害に備えて、公営火葬場として十分な受け入れができるような整備をお願いいたします。
次に、児相の体制強化について伺います。
警察庁の発表では、警察が昨年一年間に児童相談所に虐待の疑いがあるとして通告した件数が、二〇〇四年に統計をとり始めて以来初めて十万人を超え、過去五年間で約二倍になったと報道がありました。
都内でも、児童相談所の虐待対応件数は近年急激な増加傾向にあり、令和元年度については二万件を超えており、驚きの数字であります。
児童虐待の相談は深刻で困難なケースも多く、こうした児童虐待に対応するためには、児童相談所の体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村福祉保健局長 都は、ふえ続ける児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、来年度、児童福祉司及び児童心理司を五十九名増員するとともに、人材育成等を行う専門課長を増員いたします。
また、職員が効果的かつ効率的に業務を進められるよう、都と区市町村が共通で虐待リスクを評価できるアプリを導入するほか、オンラインを活用した保護者との面接や、所内の会議資料の電子化、スマートフォンやテレビ会議システムの活用など、さまざまな業務のデジタル化を図ることとしており、こうした取り組みにより児童相談所の体制を一層強化してまいります。
○加藤委員 児童相談所の業務には高度な専門性が求められるとともに、相談業務の質の向上が求められます。中には、虐待疑いのある親御さんから、児相から丁寧な説明もなく、施設入所に同意させられたとの相談も受けることもありました。真偽は別として、より一層丁寧なケースワークにつながるよう、第三者による児童相談所の評価の仕組みを構築すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○吉村福祉保健局長 昨年四月に施行されました改正児童福祉法で、都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行うこと等により、業務の質の向上に努めなければならないことが明記されました。
国は昨年度末、児童相談所における第三者評価ガイドラインの案を作成し、今年度、都を含む複数の児童相談所でモデル事業を実施いたしました。
都は先月、国のガイドライン案をもとに、相談業務に関する都独自の評価項目や評価方法、評価者等について検討するための検討会を立ち上げ、来年度は二カ所の児童相談所で試行する予定でございます。その結果を検証し、全ての児童相談所での本格実施を目指してまいります。
○加藤委員 次に、高齢化の進展で介護ニーズの増大が見込まれる中、高齢者を支える介護人材の不足が大きな課題となっています。
厚労省によると、介護サービス職の有効求人倍率は、令和二年十一月で三・八八倍と、全職業の平均一・〇六倍を大きく上回っています。
私は、地元の介護施設で働く外国籍介護職従事者に対し、介護福祉士資格を取得するための日本語教育を支援しているボランティア団体とともに、昨年、厚生労働大臣に対して、試験時間延長を求める要望書を提出いたしました。
その結果、この一月からEPAに基づく候補者と同様に、試験時間の延長が認められたことは大きな成果であります。
国では、EPAや技能実習生による外国人材の活用策を実施しており、それも必要な取り組みではありますが、日本人と結婚した外国人配偶者や永住者の活用も重要な取り組みと考えます。特にコロナ禍で外国からの来日が難しい状況であれば、なお一層であります。
国の調査では、施設が外国人介護職員を受け入れるに当たり、利用者や家族とのコミュニケーション、他の職員とのコミュニケーション、文化、風習への配慮などに不安や抵抗感を感じているという結果が出ています。
そこで、日本人の配偶者等も含め、外国人介護従事者が介護人材として活躍できるよう支援することが必要であると考えますが、見解を伺います。
○吉村福祉保健局長 都は、介護施設等が経済連携協定や技能実習制度に基づき外国人介護従事者を受け入れる場合に、受け入れが円滑に進むよう、日本語や介護技能の学習に必要な経費を補助するほか、施設の責任者等を対象に受け入れ制度の紹介などを行うセミナーや指導のポイント、生活面で配慮すべき事項等に関する研修を実施しております。
来年度は、日本人の配偶者や永住者等の在留資格を有する外国人を介護人材として受け入れる施設等での同僚の施設職員や利用者等との円滑なコミュニケーションを支援するため、多言語翻訳機の導入や異文化理解に関する研修等の経費を新たに補助いたします。
今後とも、外国人介護従事者が日本語や介護技能を学びながら、介護施設等で安心して働けるよう支援してまいります。
○加藤委員 次に、納税手段の拡大です。
都議会公明党はこれまでに、委員会や本会議質疑等を通じ、オンライン申請の推進を訴えてきました。
高齢の方や障害のある方にとって、銀行や都税事務所の窓口に出向き、現金で納付することは想像以上に大変です。新型コロナに伴う感染リスクを低減するためにも、こうした方々が自宅で安全かつ手軽に納付できる納税手段が求められています。
都は、都議会公明党の要請に応え、昨年六月に、非対面、非接触で納付できるスマートフォン決済アプリを活用した納税サービスを開始しました。こうしたキャッシュレス納税環境の整備は、納税者のQOL向上に資する取り組みです。
そこで、スマートフォン決済アプリを活用した納税手段のさらなる拡充などにより、キャッシュレス納税を一層推進すべきと考えますが、都の今後の取り組みについて伺います。
○砥出主税局長 納税のキャッシュレス化は、納税者の利便性向上の観点からも重要であり、現在、都では、約四〇%のキャッシュレス納税比率を二〇三〇年までに七〇%に引き上げる目標を掲げ、取り組みを進めております。
昨年六月に導入したスマートフォン決済アプリによる納税サービスは、一月末までに約二十万件、六十二億円のご利用をいただくなど、広く好評を得ております。
今後、二百万件を超える五月の自動車税の定期課税に間に合うよう、利用可能なアプリを追加することで納税者の選択肢を広げ、さらなる納税のキャッシュレス化を図ってまいります。
あわせて、ユーチューブやバナー広告など幅広い媒体を活用して利便性をPRするなど、戦略的な広報を実施し、利用の普及促進を図ってまいります。
○加藤委員 次に、東京ベイeSGプロジェクトについて質問します。
今回、都は、ベイエリアを日本の未来をつくり出す拠点とすべく、世界最先端を取り戻すためのプロジェクトを展開していくという大胆な構想を立ち上げました。
東京、そして日本が、デジタル化における世界からのおくれを乗り越え、再び世界最先端を取り戻すためには、民間ならではの発想や最先端の技術を余すことなく活用し、次々とイノベーションが生まれる環境を提供していくことが必要です。
知事のリーダーシップで規制の枠を取り払い、大規模な実証実験が可能となるフィールドを創設するなど、未来の東京を切り開く取り組みを強力に推し進めていくべきと考えます。知事の見解を伺います。
○小池知事 東京が持続可能な成長を生み出し、世界から選ばれる都市として飛躍するためには、スタートアップなどの民間企業が持っている独創的なアイデアや機動力を追い風にしていく、そのような必要がございます。
官民が総力を結集しまして、こうしたアイデアを社会実装につなげることで、テクノロジーの世界最先端を取り戻し、東京湾から日本の未来をつくり出すべく立ち上げましたのが、ご指摘の東京ベイeSGプロジェクトでございます。
既にドラフトでお示しをしておりますように、大胆な規制の緩和によって、広大な東京湾の埋立地などをテクノロジーの巨大実装エリアといたしまして開放していくことや、グリーンファイナンスの活用によって世界中のグリーンテック企業の集積を図ることなど、これまでの枠にとらわれない柔軟な発想でプロジェクトを展開してまいります。
○加藤委員 次に、コロナ禍の芸術文化振興に移ります。
感染拡大の影響により、都民が文化芸術に触れる機会が失われています。
芸術文化の灯を絶やさないためにも、都民が芸術文化とつながりを持てる環境づくりが必要と考えますが、これまでの都の取り組みについて伺います。
○野間生活文化局長 コロナ禍で、文化施設の利用やイベントの開催が制限されている状況を踏まえまして、都立文化施設を運営いたします公益財団法人東京都歴史文化財団では、都民が在宅でも芸術文化に気軽に触れられる機会の提供に取り組んでまいりました。
具体的には、各文化施設のオンラインコンテンツを目的別に効率よく楽しめるおうちでカルチャーの特設サイトを作成したほか、ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」の中で楽しんでいただける江戸東京博物館の収蔵作品のデザインを公開してございます。
○加藤委員 芸術文化の多様な楽しみ方の方の一つとして、オンラインによる芸術文化の発信は今後も重要なものになります。
より多くの都民にオンラインの環境で芸術文化を楽しんでもらうためにも、魅力的なオンラインコンテンツの発信が必要だと考えますが、今後の都の取り組みについて伺います。
○野間生活文化局長 都は来年度から、東京都歴史文化財団と連携いたしまして、オンラインでも芸術文化に触れることができますTOKYOスマート・カルチャー・プロジェクトを実施いたします。
本プロジェクトでは、都立文化施設が保有いたします美術作品や公演などの芸術活動のデジタル化を推進いたしまして、オンラインでの公開内容をより充実させます。
順次デジタル化をした作品の一部を幅広い活用が見込まれる3Dデータで提供するほか、江戸東京博物館をインターネット上で疑似体験できるバーチャルミュージアムを構築するなど、新たな芸術文化体験の提供に向けたコンテンツ公開の準備を進めてございます。
こうした取り組みによりまして、最先端技術を活用し、誰もが、いつでも、どこでも芸術文化を楽しめる環境の実現を目指してまいります。
○加藤委員 実は二、三年前になるんですけれども、オンラインとかバーチャルミュージアムの提案を担当者にしたんですが、そのときは全く相手にされませんでした。本当にこのコロナの影響で環境が大きく変わったことを実感しております。ぜひ進めていただければというふうに思います。
次に、舟運の活性化についてお尋ねします。
東京には、川や海、運河などすばらしい水辺空間があります。我が墨田区も、隅田川、荒川に挟まれ、縦横に内部河川が流れています。その資源を生かして、多くの人々でにぎわう水の都を再生していくためには、舟運を活性化することが重要です。
しかし、新型コロナの影響により、緊急事態宣言において舟運を利用する人は低迷しており、大手、中小の舟運事業者ともに経営が厳しいという声も聞こえてきます。
先日、新たにオープンした両国リバーセンターに立ち寄ったところ、クルーズ船には乗客がおらず、緊急事態宣言下とはいえ、とても寂しい状況でありました。
都においては、平成二十八年度から、舟運活性化の取り組みの一環として、舟運を、観光や通勤を目的とした社会実験を実施するなど、積極的な取り組みを進めています。
そこで、これまでの舟運活性化に関する取り組みについて伺います。
○上野東京都技監 都は平成二十八年度から、舟運活性化に向け、新規航路の開拓、認知度や魅力、利便性の向上などの取り組みを展開しております。
例えば、新規航路の開拓につきましては、平成二十八年度から二カ年、観光等を目的とした八航路の社会実験を実施し、それも踏まえ、平成三十年度から、三航路で舟運事業者による運航が開始されております。
また、昨年度は、日本橋から朝潮運河の間で、朝の通勤等の交通手段として、全席予約制のらくらく舟旅通勤を実施し、検証したところ、船の通勤等への活用可能性が一定程度認められました。
認知度の向上の取り組みにつきましては、東京舟旅のホームページの開設、パンフレットの作成、配布などを行い、利便性の向上の取り組みにつきましては、浅草などで、船着き場に係る案内サインの表記ルールの統一などの改善を進めております。
○加藤委員 来年度は東京二〇二〇大会が開催され、東京の舟運を内外にPRしていくチャンスだと思いますし、将来的には、舟運が人々の間に定着することを期待しております。
そこで、今後、舟運活性化をどう取り組むのかについて伺います。
○上野東京都技監 東京には、川、海、運河などの水辺があり、その資源を生かして多くの人々でにぎわう水の都を再生していけるよう、舟運を活性化することが重要でございます。
これまでも、都心や臨海部等で社会実験を実施してまいりましたが、こうした取り組みを踏まえまして、今後も、新規航路の開拓など、舟運活性化に関する取り組みを行ってまいります。
来年度、東京二〇二〇大会期間中の代替交通手段の提供などを含め、複数の航路で通勤等を目的とした社会実験を実施し、さらなる利用者の拡大や、水の都東京の発信を図ってまいります。
東京二〇二〇大会、さらにその先を見据え、舟運が、身近な観光、交通手段として定着するよう、関係局と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。
○加藤委員 ぜひ、大会を見据えて、舟運の活性化を引き続き進めていってほしいと思います。また、こうした厳しい状況だからこそ、その先の将来を見据えて、舟運をより活性化していくことが大切ですし、対策を積極的に進めていくことをお願いしたいと思います。
次に、観光分野のデジタル活用でありますが、デジタル技術は日々進歩しております。スマートフォンが世界的に普及したことでデータの取得が容易となり、それを用いてさまざまなサービスが展開されています。
特にコロナ禍においては、オンライン化、顔認証等による非接触型サービスや混雑情報表示等の技術も導入されつつあります。
観光分野において、こうした新たな技術を活用することは、旅行者の利便性の向上や、安全・安心なサービスの提供に加え、観光事業者のサービス展開の幅を広げることにつながります。
都は、こうした観点から、今後、観光分野におけるデジタル技術の活用を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○村松産業労働局長 都はこれまで、旅行者の受け入れ環境整備に向け、多言語翻訳機や決済端末等を導入する個々の事業者の取り組みを支援してまいりました。
来年度は、一定のエリア内における宿泊施設や商業施設等のグループなど二団体に対しまして、スタートアップ等の先端技術を活用しながら、施設の情報や混雑状況を確認できる旅行者向けアプリを導入するなどの取り組みを支援いたします。
また、新宿地区において、観光に役立つ情報を掲載したデジタルマップを作成し、これを利用する旅行者の行動の特徴などを把握し公開することで、観光事業者のマーケティングへの活用を後押ししてまいります。
こうした取り組みにより、デジタル技術を活用した観光振興を着実に進めてまいります。
○加藤委員 都営住宅の建てかえに関してなんですけれども、今回、第一回定例会で議決された契約案件で、堤通一丁目第二アパートの予定地には、都営住宅と区立さくら児童遊園という名称の区立公園があります。
比較的最近、区が整備した公園のトイレを除き、住棟と遊具等の除却が完了し、現在更地となっており、住棟の建てかえに続いて、この公園も再整備されると聞いておりますが、今後、健康器具を設置するなどして、高齢者も利用できる公園として整備すべきと考えますが、都の見解を伺って、質問を終わります。
○榎本住宅政策本部長 都はこれまで、都営住宅の建てかえに合わせて整備する公園や広場につきまして、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインを基本とした整備を行ってまいりました。
近年では、公園利用者の状況を踏まえまして、高齢者の使用も想定した、軽いストレッチなどができる健康器具を設置する事例も増加しております。
堤通一丁目第二アパートの建てかえ事業で行う公園の整備に当たりましても、管理者である墨田区の意向等を確認しながら、このような健康器具の設置も含め、高齢者を初め、地域における多世代の人々にとって快適で利用しやすい施設となるよう取り組んでまいります。
○上野副委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後七時二十分休憩
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