予算特別委員会速記録第四号

○木村委員長 あかねがくぼかよ子委員の発言を許します。
   〔委員長退席、伊藤副委員長着席〕

○あかねがくぼ委員 雇用対策について伺います。
 東京は二万人を超える解雇、雇いどめが発生する見込みといわれています。外食産業や観光業では、倒産、閉店が相次いでいます。一方で、介護やIT、運輸などすぐにでも人材が欲しい、そういった業界もございます。
 このような産業構造の変化を捉え、都は離職をされた方に対する緊急の就労支援として、一日で職探しから面接まで完了ができるイベント、1dayトライなど提供をしています。来年度、二万人分の雇用創出を目指す東京版ニューディールを打ち出し、雇用対策を強化していくとしておりますが、まず、この緊急支援事業のこれまでの実施状況について伺います。
 次に、経済回復の立ちおくれによる失業者のさらなる増大も想定していかなければならないと考えますので、より一層規模を拡充して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 都は現在、コロナ禍で離職を余儀なくされた方の早期の再就職を支援するため、キャリアカウンセリングから就職活動のノウハウなどに関するセミナー、就職面接会までを一日で集中的に行う緊急支援事業を実施しております。
 本事業では、これまでにコロナ禍でも採用意欲の高い六十社を超える企業の求人を開拓して、約二百四十名の求職者の方々が参加しております。
 来年度は、事業規模を三百名から千二百名へ大幅に拡充するとともに、若者、中高年、女性求職者のそれぞれのニーズを踏まえまして、プログラム内容を充実させるなど、マッチングの効果を高め、離職された方々の再就職を強力に後押ししてまいります。

○あかねがくぼ委員 接客業、飲食業で働いていらっしゃる女性たち三千人の組織の方に、この1dayトライを紹介いたしまして、実際参加をいただいた方おられまして、大変よい評価をされておりました。
 一方で、参加をするまでが非常にハードルが高かったと、そういった点も指摘されておりますので、体験者の声ですとか、好事例、こういったものをよりPRをして、参加しやすいように工夫をお願いしたいと思います。
 コロナ禍は、今までは経済的に自立をされていた方が、今、非常に苦しくなって、自立できなくなってしまっている、そういった特徴がございます。ですので、従来と異なる視点での行政の支援、これが大事だと思いますので、引き続きお願いをして、次の質問に移ります。
 医療機関への財政支援について伺います。
 私の地元の杉並区では、コロナの発生当初より、発熱外来や陽性患者の入院を率先して受け入れていただいていた民間病院、四つございます。そのうち、複数の病院から財政的に非常に苦しい、何とか支援してほしい、そういったお話を、もう昨年からいただいておりました。
 そこで、知事へ要望を上げましたところ、迅速に中小企業向けの制度融資において、利子、保証料の優遇、これを医療機関にも拡充をしていただきました。しかしながら、中小企業向けの制度融資でありましたので、従業員数が三百人を超える規模の病院がこの融資の対象外となってしまっておりました。
 そこで、地域の医療を中核的に支えるような規模の大きな病院の経営を支援するために、我が会派としては、利子、保証料の優遇などを含めた第四十七回目の要望を再度提出をいたしまして、その会派の要望を受けまして、都が新たに開始をしました従業員数三百人を超える法人向けの利子補給事業、こちらの概要について伺います。

○吉村福祉保健局長 お尋ねの医療機関への利子補給事業は、法人の従業員数が三百人を超えるなど、中小企業制度融資の対象とならない医療機関が、新型コロナの影響により、一〇%以上減収となり、今年度中に融資を申し込む場合、十億円までの融資額に対して、来年度から三年間にわたり最大二%分の利子を補給するものでございます。
 この取り組みにより、国制度の無利子融資を上限額まで活用している場合の資金調達や緊急的な資金需要への対応など、医療機関の多様なニーズを支え、安定的な運営資金の確保につなげてまいります。
 今後、医療機関において積極的に活用されるよう、東京都医師会等を通じて、本事業の周知に取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 我が会派の要望を迅速に実現をしていただけましたこと、感謝申し上げます。引き続き病院の支援、要望しておきます。
 続きまして、次に、安全な分娩体制について伺います。
 出産は命がけの行為であります。母親は自分の命だけではなくて、新たな命を守っていく、そういった責任を負っているわけです。コロナ禍でも、安心して出産、そして育児ができるよう、医療や産前産後の支援体制を整備していくことは極めて重要であります。
 東京都は里帰り出産が多いのが特徴です。しかし、コロナ禍では里帰り出産はできにくく、減っております。その分、都内近郊で出産は増加をすると思われます。里帰りをしなくても出産できる体制が必要でありますが、都内で出産できる体制は確保されているのか伺います。

○吉村福祉保健局長 都における分娩件数は近年減少傾向にございまして、令和元年の件数は十万二千九百八十九件で、前年と比べ約五千二百件減少しております。
 取扱分娩数の約七割を占めます病院と病院の常勤医師の数は、近年ほとんど変動はございません。診療所の数についても、変動はごくわずかでございまして、受け入れ体制の数は確保されているというふうに考えてございます。
 今後、都内周産期医療施設等の診療体制や新型コロナウイルス感染症の影響などを調査し、東京都周産期医療協議会において評価、分析することとしておりまして、引き続き、限られた医療資源を有効に生かしながら、地域で安心して子供を産み育てることのできる周産期医療体制の充実に努めてまいります。

○あかねがくぼ委員 コロナ禍で、ご存じのとおり、出生数、今非常に少なくなっております。もともと少子化が進んで、下降していたんですが、拍車がかかっています。その傾向が続いているということで、問題なく産めるだろうというところもあろうかと思います。
 都としては、都内で分娩できる施設の数などの管理、キャパシティーという意味では、特に、はかっているわけではないということなので、これは通常分娩というのは医療ではないと、そういうくくりになっているためなんですけれども、都内で産める病院がなかなか見つからないという課題は、実はコロナ以前から存在をしておりまして、我が会派のもり愛議員は四年前にご出産されましたけれども、妊娠直後に、もう病院を探して、お電話していたんですが、三カ所、もう満員というか、だめですといわれて、断られてしまったということで、都内では産めなかったと。
 こういったこともございますので、ちょっと私も杉並区の直近の出産の環境を調べましたが、幸い、杉並区は近郊の病院と合わせますと、大体おさまるだろうというような数でございましたので、周産期医療についての調査、今後していただけるということで、大変前向きにご答弁いただきましたので、今後、出生率が上がっていったけれども、都内では産める場所がなかったということにならないように、環境の整備をしていただくように切にお願いを申し上げ、次の質問に移ります。
 妊婦さんが万一コロナに感染をしてしまった場合の対応について伺います。(吉村福祉保健局長発言を求む)あ、まだです。済みません。
 妊婦がコロナに罹患をしてしまった場合、妊娠の週数ですとか、コロナの症状、これによって対応が異なってくると思われますが、受け入れ体制はどのようになっていますでしょうか。

○吉村福祉保健局長 妊婦の方が新型コロナウイルスに感染した場合には、そのリスクに応じて周産期医療体制の中で受け入れることとしております。都は現在、総合的かつ高度な周産期医療が提供できます周産期母子医療センター及びミドルリスクの妊産婦の方に対応する周産期連携病院を中心として、対応可能な病院を約三十施設確保しており、妊娠の週数であるとか、合併症の有無、分娩の有無、新型コロナウイルス感染症の重症度などの状況に応じまして、対応可能な受け入れ先を調整していくこととしております。

○あかねがくぼ委員 周産期医療体制の中でしっかりご対応いただけるということで安心をいたしました。引き続き、妊婦への手厚いサポートをお願いをしまして、次に行きます。
 昨年の全死亡数は、コロナ禍にもかかわらず、十一年ぶりに減少に転じております。こういった人的被害を最小限にするべく、懸命に取り組んでいただいたご関係者のご尽力のたまものであると感謝を申し上げます。
 一方で、保健所体制やコロナ患者に対応できる医療資源、このキャパシティーというところが限界となりまして、東京の都市としての機能は、大ブレーキを踏むことになったわけです。
 未知のウイルスとの闘いは科学的に基づくデータもまだない、そんな中で、極めて難しい判断が求められる場面の連続であると思います。コロナとの闘いで見えてきた都の課題のうち、最も足かせとなったと思われるのは、看護師などの医療従事者の不足と、保健所や医療機関のデジタル化の著しいおくれ、こういったことではないかと考えております。
 このように、コロナ禍で浮き彫りとなった課題と真摯に向き合い、未来の東京をつくる糧としていくことが大切と考えます。
 ポストコロナにおいて、東京が力強く復活し、コロナ以前から潜在化していた課題も合わせて解決していけるように、DXの視点も取り入れ、未来の東京戦略、シン・トセイの中で実行計画として具体化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、少子高齢化などの社会構造の変化、そして、さらにそこに気候危機が加わって、また、デジタル化のおくれも顕著になりました。新型コロナとの闘いの中で、我が国の社会が、日本社会が抱える構造的な課題が改めて浮き彫りになった形です。
 そこで、私たちはこうした危機を乗り越えて、明るい未来を次の世代に引き継いでいく責務がございます。
 そこで、その鍵となりますのが、ご指摘のデジタルトランスフォーメーション、DXであります。これを徹底して、課題の根源までさかのぼった構造改革の強力な推進だと、このように私は確信をいたしております。
 今般策定いたしました未来の東京戦略でございますが、感染症に打ちかつ戦略を新たに設けるとともに、幅広い政策について、二〇三〇年に向けた戦略、そしてその推進プロジェクトと具体的な三カ年のアクションプランを盛り込んでおります。
 医療分野におけるDXの推進を初め、人生百年時代を支える質の高い医療の提供、そしてスマート東京の実現に向けた取り組みなど、ポストコロナを見据えまして、デジタルの力で都民のQOLを高める幅広い取り組みを強力に展開をしてまいります。
 そのためには、都庁みずからが大きく変貌を遂げていく必要がございまして、シン・トセイ戦略に基づいて新型コロナ対策の最前線に立つ保健所のデジタル化、そして五つのレスの徹底、シビックテックとの協働などに短期集中で取り組んでまいりまして、都政のQOSを飛躍的に向上させてまいります。
 未来の東京戦略とシン・トセイ戦略、この二つを車の両輪といたしまして、コロナを乗り越え、東京大改革二・〇を実現してまいります。

○あかねがくぼ委員 力強いご答弁をいただけたと思います。保健所のデジタル化は本当にこれは大事なことで、今後、感染症に強い都市に生まれ変わっていくために、学びを生かしていっていただきたいと思います。
 次に、出産、子育て支援について伺います。
 従来の社会保障制度がもう維持できないというほど、危機的に少子化が進行しています。重要なことは、子育ての責任をその保護者だけに背負わせるのではなく、社会全体で子供を育てやすい環境をつくっていくことと思います。子育てには大変お金がかかります。我が会派の強い要望を受け、出産応援事業として、十万円相当の育児関連物品やサービスに使える事業をつくっていただけましたことを高く評価をいたします。
 メディアでも大きく取り上げられましたが、これは大変インパクトのある政策だと思います。出産適齢期の世代が出産や育児に対して前向きになれるように、機運を盛り上げていきたいと思います。
 さて、乳幼児のいるご家庭というのはもう壮絶な戦場のような形です。育児と家事と仕事と、これを全て上手にこなすような人はもうごくごく一部だと思います。
 そこで、ママパパ応援事業において、精神的、肉体的負担が大きい産後の支援、これを一層充実すべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して継続した支援を行う区市町村を支援しており、今年度から、産後の支援を大幅に充実したとうきょうママパパ応援事業を実施しております。
 来年度からは、産後の母親の身体的、心理的負担をより軽減するため、家事、育児を支援するサポーターの派遣を拡充いたします。
 具体的には、生まれた子供が第一子の場合は対象を一歳未満としている現在の要件を三歳未満へ拡大するとともに、第二子以降の場合は兄弟が三歳未満である場合に限定している現在の要件を撤廃いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、区市町村と連携し、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援の充実に努めてまいります。

○あかねがくぼ委員 対象の条件を緩和していただきまして、産後支援が拡大したということを評価いたします。
 次に、子育て世帯の住宅支援について伺います。
 都内で子供を育てる上で、教育費に加えまして、適切な住宅確保には多額の費用がかかることが挙げられます。都内に家を買うにせよ、借りるにせよ、子供がふえればふえるだけ、住宅にかかる費用も増加をするので、出生率を上げようという政策目標を達成する上で、住宅の支援はよく検討いただくことが必要です。
 都営住宅は、低廉な価格で住宅を供給するセーフティーネットとして役割を担っておりまして、間取りの多くは三DKなどのファミリータイプであります。杉並の物件であれば、三DKで三万円から七万円程度で借りられ、一カ月ですね、できます。相場は十万円から十五万円ぐらいだと思われますので、約半額ぐらいで住めるということです。
 二十代の若い夫婦ですとか、まだ所得が少ない、しかし、出産の適齢期である、そういった夫婦にはうってつけの住宅支援制度であるはずですが、入居の実態を見てみますと、六十五歳以上の方の世帯が全体の六六%以上を占めておりまして、かつ、そのうちの半分の方が単身で暮らしておられるということです。
 都は、若年ファミリーの方に都営住宅に積極的に入居をしていただけるような取り組みをもう既に行ってはいますが、直近の実績を見ますと、募集のうち、二割以下でありますので、より一層、少子化対策としても推進をしていってほしいと思います。
 また、都営住宅の収入基準を超えるような方、例えば、四人家族でありましたら、お子様が二人いるような家庭だと、世帯年収、収入が五百三十二万円以上になると、もう超えてしまいますので、そういった若い方、ファミリー層、都内での住宅に困っておられる方が多いと思います。
 そこで、若年夫婦の子育てを一層応援するため、収入の多寡にかかわらず、子供の健やかな成長に適した住宅で暮らせるよう、都として取り組むべきと考えるが、見解を伺います。

○榎本住宅政策本部長 子育て世帯への住宅支援として、都営住宅では、当せん確率を一般より高くする優遇抽せんや住宅困窮度が高い方から順に入居できるポイント方式の募集の対象としております。
 また、期限つき入居制度におきましても、駅から徒歩圏内の利便性の高い住宅を提供するとともに、対象世帯の拡大や入居期限の延長など制度の拡充に取り組んでおります。
 民間賃貸住宅では、子育て世帯を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない東京ささエール住宅につきまして、登録時に貸し主等に報奨金を交付する制度などにより登録を促進するとともに、区市町村が実施いたします家賃低廉化補助に対して財政支援をしております。
 今後も、こうした取り組みによりまして、子育て世帯の居住支援を重層的に展開してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。都営住宅は、とはいいましてももうキャパシティーの限界があろうかと思いますので、民間賃貸住宅を活用した取り組み、これはまだ始まって日が浅いと思いますので、今後、しっかりと自治体と連携をして、少子化対策として住宅の政策を推進していただきたいと思います。
 次に、子供の健やかな成長のための取り組みを伺います。
 子供の権利を守るということは、社会として、大人として当然の責務でありますけれども、子供の置かれている家庭環境によっては、その当然である権利が脅かされている、そういった実態があります。
 先日、我が会派として、虐待のサバイバーと呼ばれている、もう成人をされている方からの実体験、幼少期からの本当に生々しい虐待の実体験を直接お会いして伺う機会がございました。当事者として乗り越えてきた体験、それと、今は、同じように苦しんでおられる被害者の方に対しての支援を行っておられるような方々でありまして、そういったお話を聞くにつれ、本当に、非常に衝撃を受けましたし、行政としての支援の内容について、改めて、この現場の課題というものをしっかりと理解して、施策を進めなければいけないと痛感をしたところでございます。
 虐待の防止には、発生してからそれが発覚をするまで、これに時間がかかっていることが多いです。周囲がそれをいかに早く察知をして支援につなげるか、未然防止の視点、これは当然必要であります。
 子育て中の親の悩みや困り事に寄り添うだけではなくて、出産前から、これから親になる人に向けて、虐待が子供に与える影響や子供に向き合うポイントなどを周知していただくということも必要かと思います。
 また、社会全体で子育て家庭を支援するため、虐待を受けてきた当事者や支援組織などの協力も得るなど、効果的な普及啓発を実施していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、体罰等によらない子育てを推進するため、昨年度、保護者向けに、体罰が子供に及ぼす影響や子供への接し方のポイントなどを伝えるハンドブック等を作成しており、子育て中の家庭に加え、出産前の家庭にも、区市町村や産科医療機関が行う両親学級などの機会を通じて啓発を行っております。
 今年度は、育児に関するヒントやアドバイスをわかりやすく紹介するウエブコンテンツを公開するとともに、虐待防止などに取り組む民間団体等の協力を得ながら、子育て支援者向けに、保護者に寄り添った声かけや説明の方法、虐待を受けた経験のある方の声などを掲載したハンドブックなどを作成しております。
 今後とも、虐待の未然防止に向け、効果的な普及啓発を行ってまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。当事者、虐待サバイバーの視点を入れていただけているという、普及啓発をするということを評価したいと思います。被害を受ける子供を一人でも減らせるように、早期発見、支援につながるように、内容についても改善を続けていただきたいと思います。
 家庭内という閉鎖空間で子供が危険な状態に置かれているということは、第三者から発見するということは極めて困難でもあります。実際、そのサバイバーの方のお話を聞いても、もうかなり小さいころから、ひどい、本当にひどい虐待を受けてきているんだけれども、何とか生活をしておられて、中学生になって、高校生になってと、そこまで発見されていないわけです。
 その点で、子供と日々接している学校の教員が虐待の早期発見には大変重要な役割を果たしていると思います。
 そこで、都内の公立小中学校及び都立高校ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

○藤田教育長 都教育委員会は、学校において、児童虐待への対応が適切に行われるよう、都内公立学校の全教員に毎年配布している虐待の早期発見に向けたチェックリストや、虐待に対応するために開発した教員研修セットを活用し、学校の対応力の向上を図ってまいりました。
 また、学校が子供のSOSを早期に受けとめ、適切な支援につなげられるよう、全ての小中高等学校にスクールカウンセラーを配置するとともに、子供を対象として定期的に実施するアンケートの様式を示すなど、学校の相談体制の充実も図ってまいりました。
 こうした取り組みにより、学校が子供の小さな変化も見逃さず、少しでも虐待の疑いがあると考えられる場合には迅速に児童相談所や警察などの関係機関と連携して対応ができるよう、徹底をしているところでございます。

○あかねがくぼ委員 学校の中では、教員向けのプログラムということで、いろいろなチェックポイントはどういうところでということを先生向けに情報提供、教育をしておられるということでありました。これは小学校だろうと高校だろうと同じコンテンツで、プログラムでやっておられるということでございます。
 いずれにしろ、子供たちの変化、様子をしっかりと見ていただいて、疑いがある場合はすぐに警察や児相に通報するといった流れ、これはもう大分できてきているということでございます。
 先ほどからご紹介していますけれども、中高生などで、もう思春期を迎えたような年ごろのお子様、お子さん、子供でも、ずっと虐待を受けているという方がいらっしゃいました。そういったお話を伺いました。そういった場合は、もう長年受け続けているので、もうその状態が、変化がないわけですね、ずっと受けていますので、その状態にある意味なれている。何とかできるとは思っていなくて、諦めて、もう環境に適応してしまっている状態でございます。本当はつらいとか嫌だというのは感情としてはあるはずなんですが、そういった感情は全部もう押し殺して、何も感じない状態で生活をしている、学校にも行っているということであります。
 ですので、発見という意味では、変化がないかもしれませんけれども、本当に様子を注意深く見て、そこを先生方が救っていただくように、実際にそうやって救われた方のお話を聞きましたので、ぜひお願いしたいと思います。
 それで、保護されても、その後、心理的にそういった状態が長く続いてきたようなお子様、子供たちですので、心理的に健康な状態に回復するというのは、もう物すごく大変であります。実際に本当に、一度施設に入ってもそこから抜け出してしまって、やっぱり犯罪に手を染めてしまってとか、もうそういう何度も繰り返したということを、お話を聞きました。
 やっぱりそれだけ本当に回復していくというのは大変な道のりでありまして、さらに社会に出られるようになるまでには、本当に専門家の根気強いケアがもう必要不可欠であるということがわかりました。
 保護者から離れて、そのようなひどい虐待を受けているような方は、やはりもう親というか、保護者に親権があるのがちょっとおかしいというような状況です。ですので、一刻も早く保護者から引き離して、子供を守らないといけない、そういうケースも残念ながらございますので、そういう場合は、保護者から離して、児童養護施設に入所をしていただくわけですが、入所したらこれで解決、問題解決だねということではなくて、そこがようやくスタート地点、そこから始まるというような形だと思います。
 虐待のサバイバーの方に対して、心身の健康を取り戻していただいて、施設を退所した後も自分らしく自立して生きていけるように、入所中から継続した支援が必要であると考えますが、児童養護施設に入所をした子供たちの自立に向けた支援について、都の取り組みを伺います。

○吉村福祉保健局長 都はこれまで、虐待などを受けた児童への専門的なケアを行う精神科医や心理職員を配置する施設や、児童が退所後、社会で自立し安定した生活を送ることができるよう、入所中から継続的な相談援助を行う自立支援コーディネーターを配置する施設を独自に支援してまいりました。今年度、国制度により、自立支援を担当する職員を一名配置した場合に、運営費を増額して支援いたします。
 また、NPO等と連携し、施設を退所した児童が気軽に集まって交流でき、専任のスタッフが生活や就労上の悩みや相談に応える取り組みや、施設退所者にとって働きやすい職場の開拓、就職後の職場訪問等を行う就業支援も実施しております。
 今後とも、社会的養護のもとで育つ児童の自立を支援してまいります。

○あかねがくぼ委員 自立支援コーディネーターという方がちゃんといらっしゃってということで、また、国の予算もさらに増加されてきたということですので、支援の体制という意味では充実してきていると、制度としてはしっかり仕組みがあるということがわかりました。これで、いかに内容をよくしていくか、その運用の部分が目的を達成するには大事であろうと思います。
 本来家庭の中で培われるはずだった自己肯定感、こういったものが、もう非常にずたずたにされているわけです。そこをまず取り戻して、そして社会の一員として生き抜く力を養っていく、そういったところを支援していただけるように、日々改善、ご尽力をお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 都庁のDX、働き方改革について伺います。
 都の職員の働き方改革を進めていく上で、議会事務というのも例外ではないと思います。今は書類を議員、私たち一人一人に渡していただいたり、一文字間違っていましたということで、一人一人にまた紙を持ってきて配布を、手渡しをされるという、そういった事務が実は習慣になっていまして、これはちょっと非効率だなというふうに感じております。まあ、かなり感じております。あと、電話とかメールでもう済むような要件もたくさんあります。
 そういうときは、対面を、わざわざ来ていただく必要はないというふうに考えるような議員もふえておりますし、職員の皆様の働き方改革を進めて、仕事の質を上げていただく上で、我々議員もより効率的な方法はということを選択していくべきと考えます。
 職員の皆様はウエブ会議、これが外部ともできるようになった、環境ができたというふうに聞いております。
 議員とのやりとりにおいても、議員側が従来の対面打ち合わせではなく、オンライン会議ツールを活用したウエブ会議などを実施したいという場合、都の職員側としては、議員を含めた外部とのウエブ会議ができる環境の準備はできているということでよろしいでしょうか。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 都政運営に当たりましては、都庁のデジタルトランスフォーメーションを強力に進め、新しい働き方を実現しますとともに、都の職員間はもとより、国、区市町村、民間など多様なプレーヤーとの協働、連携が重要でございますことから、こうした外部の方々とも参加可能なウエブ会議システムの導入について検討し、整備を進めてきたところでございます。
 本年一月より、職員が日常的に使用する東京都高度情報化推進システム、いわゆるTAIMSで、外部の方々とのウエブ会議の実施が可能となってございます。

○あかねがくぼ委員 ウエブミーティングに切りかえていくことは、もう全く問題ないということが確認できました。
 我が会派では、コロナをきっかけにズームなどを使ったオンライン会議をより一層やり始めまして、職員の方とも実際やりとりをやっているということを確認しております。
 デジタル都庁を目指すということにふさわしく、より効果的、そして効率的な方法に働き方を変えていくべきと考えます。
 ただ、議会の事務、我々とのやりとり、議会、議員とのやりとりについては、なかなか職員側から議員に対して変えましょうというのを提案していただくのは難しいと思いますので、我々議員が率先して改革をしていくべきであるというふうに考えております。
 続きまして、最後に財政運営について伺います。
 私は都議就任をいたしまして一年目の決算委員会のときから、政策評価、事業評価、一層強化をするべきと訴えてまいりました。
 コロナ禍で財政の需要というのはふえる中で、より一層めり張りのきいた事業運営というのは必要でありまして、その最初のステップが見える化であります。
 小池知事のご就任から、財政の見える化というのは劇的に進んできまして、事業の公開件数は二・五倍となってきております。
 一方で、都の全事業というのは五千以上ございますので、そのうち公表されているというのは実はまだ三割以下であります。残りの七割以上の事業についてはどんな内容なのか、幾ら予算がかけられているのか、都民からはよくわからない、見えない状態になっています。
 また、東京都というのはもう巨大な事業体でございますので、そのPDCAサイクルをしっかり回してよくしていくためには、適切な管理指標、この設定も必要不可欠であります。
 そこで、事業の費用や内容、また進捗、成果といった情報を見えるように工夫をしていくべきと考えます。
 こうした業務を進める上では、従来のようなアナログで作業する、人海戦術でやる、こういったことではできませんので、業務改革、DXを活用することで、膨大な情報を速く正確に集計、分析をするということが重要な視点であります。
 そこで、DXの力を最大限に活用しながら、効率的、効果的に都の事業や都財政の見える化に一層取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都の事業や財政状況につきまして、デジタルの力を活用しながら、より具体的かつわかりやすく発信するということは、都民の皆様から都政に対する理解と共感をいただくためにも極めて重要だと考えております。
 そのために、今般、令和三年度予算案、今ご審議いただいているこの発表に合わせまして、都のホームページ上にTOKYO予算見える化ボードというのを新たに開設しております。検索してください。TOKYO予算見える化ボード。これ、結構すぐれものでありますので、本当に見える化ができているかと思います。
 このサイトでは、予算案の全体像、そして財政運営上の工夫であるとか主な事業の概要について、グラフなどを用いましてわかりやすくお示しをしております。都民の皆さんが簡単な操作で知りたい情報を検索、閲覧できますので、そのようにまた工夫をいたしております。
 このサイトの作成に当たりましては、全庁で導入しましたデジタルツールを活用して、職員みずからが構築をしたものでございます。随時、それによって内容の充実も図っていくということにつながります。
 今後も、都民への説明責任を果たす観点からも、さらに工夫に工夫を重ねながら、デジタルの力を活用した都の事業、そして財政の状況、この見える化を一層推進してまいりますし、また五つのレスというのも、これも見える化しておりますので、ファクスレスがどこまで行っているのか、ペーパーレスどこまで行っているのか、これも確認をいただけるものと思います。見える化をしっかり進めていきたいと思います。

○伊藤副委員長 あかねがくぼかよ子委員の発言は終わりました。(拍手)