予算特別委員会速記録第四号

   午後五時十六分開議

○木村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 滝田やすひこ委員の発言を許します。

○滝田委員 私の大学時代の専攻は都市計画、まちづくりでありました。
 これまで四年間、本会議や委員会で一貫して、これまでの都市化の中で犠牲にされてきた水辺、緑、空、道を都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ているということを申し上げてまいりました。
 具体的には、例えば水辺を生かす河川空間や舟運の利用、緑を生かす公園や緑の多面的な活用、空を生かす無電柱化や高速道路の地下化、道を生かすテラス営業や歩きやすい空間づくりなどが挙げられます。
 いずれも分野横断的でありまして、未来の東京戦略の策定を機に、各局連携して、次世代の都市空間、都市インフラを形成していくことを改めて求めます。
 さて、二〇一九年に国土交通省の有識者会議の提言、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生が取りまとめられました。ウオーカブル、歩きたくなる、人中心の空間をつくる。アイレベル、歩行者目線の一階部分に店舗やラボがあり、中が見える。ダイバーシティー、空間の多様な用途、使い方の共存から多様な交流が生まれる。オープン、歩道や公園に、芝生、カフェ、椅子があると、そこにいたくなるという四つの形成イメージが提案されています。
 今般、未来の東京戦略案がまとめられ、都も、人中心の歩きやすいまちづくりを明確に掲げました。
 懇談会の提言にもあるように、こうした居心地がよく、歩きたくなるまちづくりは、民間施設や各都市施設間など垣根なく、空間的にも、用途や機能的にも、シームレスに融合したまちへ転換していくことであり、そうしたまちづくりを推進する支援策とともに、具体的な地区でプロジェクト型の取り組みを展開していく必要がありますが、今後、既存の道路も含め、人中心の歩きやすいまちづくりをどのように進めていくのか、都技監に意気込みとあわせて伺います。

○上野東京都技監 都は、都市の機能をさらに高めながら、人が集い、憩う、便利で快適なまちづくりに取り組んでおります。
 具体的には、ターミナル駅の駅前広場等を歩行者中心に再編するとともに、駅まち一体のまちづくりによるバリアフリーにも対応した歩行者ネットワークの強化、容積緩和による都市開発を通じた公開空地と道路との一体的な整備、緑あふれた空間の創出などを進めてまいります。
 さらに、道路空間を活用し、人が歩いて楽しむまちを創出する意欲ある地域の活動を後押しするため、パーク・ストリート東京事業といたしまして、各地区の先進的な取り組みを公式サイト等で情報発信するとともに、区市町村等への助言等を積極的に行ってまいります。
 車から人へ力点を移し、民間の創意工夫を生かし、人中心の歩きやすいまちづくりに取り組んでまいります。

○滝田委員 車から人へということで力強い答弁をいただきました。
 各自治体で、一つはそうしたプロジェクトが生まれていくように取り組みの拡大を求めたいというふうに思います。また、今後、容積率や都市計画税等の減免など、インセンティブによる民間事業者等への支援策も講じていくべきと求めておきます。
 コロナ禍の中で、密にならない屋外飲食を推進するために、国の暫定措置に合わせて、都も、都道の占用許可基準の緩和と占用料の免除を行いました。
 加えて、我が会派の要望を受けて、テラス営業支援として経費補助を実施したことを高く評価をしています。
 狭い歩道しかない場所ではもちろん実施すべきではありませんけれども、適地と思える空間も都内においても少なくありません。今回、都内でテラス営業を試みた事例がさまざまに生まれたことを高く評価されるべきであります。
 暫定措置は今月末までとなっておりますが、コロナ対策としても、また、今後、人中心の歩きやすいまちづくりを推進していく上でも、国にも要望し、期限を延長するべきです。特に、飲食店や商店街などが計画的に準備ができるよう、少なくともこの冬まで期限を大幅に延長するように求めます。
 これまでの道路占用特例について、実施事例、利用者からの声や問題の有無などを確認するとともに、来年度、都道の道路占用特例の期限の延長を行うべきですが、見解を伺います。

○中島建設局長 都道におきましては、昨年六月より、テラス営業などのために道路占用許可基準を時限的に緩和しておりまして、これまでに十二件の許可事例がございます。国道や区市町村道を含めますと、都内での許可事例は七十件以上となります。
 テラス営業を実施した店舗からは、感染予防の観点からテラス席を希望するお客様もいる、店を知ってもらうよい機会になったなどの声もあり、今回の許可基準の緩和が、三密の回避など、感染拡大防止及び飲食店等の支援に寄与してきたと認識しております。また、テラス営業等に関しまして、事故やトラブルの報告は受けておりません。
 引き続き、国の動向を見つつ、感染の拡大防止や飲食店等の支援のため、地元自治体や関係機関とも連携し、四月以降の延長について前向きに検討してまいります。

○滝田委員 前向きに検討していただくということで非常に力強い言葉をいただきましたが、七十件以上事例も生まれているということで、産業労働局の所管をしますテラス営業支援の延長や拡充も求めるとともに、ぜひとも、都内全ての区市で事例が生まれるよう取り組みを求めておきたいというふうに思います。
 さて、銀座の上空を走る自動車専用道のKK線に関して、昨年、有識者等による検討会で、既存の高架道路の形態を生かして、路面を緑化し、歩行者中心の公共的空間として再生する方向性の提言がなされました。
 また、KK線に加え、中央区では、都心環状線築地川区間の上部に、大規模改修に合わせて人工地盤を整備し、緑道化する計画を検討しており、それらがつながれば、銀座外周部にリング状の緑地帯、緑のプロムナードが実現をいたします。
 京橋、八重洲、有楽町など複数の再開発が周辺で計画されており、さらには、築地川区間に隣接する中央区役所は、新庁舎建設を検討しておりまして、仮に移転となれば、その跡地活用も大きなテーマとなります。
 新たな時代の東京のまちづくりを考えるに当たっては、こうした周辺のまちづくりも含め、密接な関係にあるそれぞれのプロジェクトを、点から線、そして面につなげていく、令和の時代にふさわしい連鎖型大型プロジェクトと捉えることが重要であります。
 このように、KK線の再生に当たって、地元区や周辺まちづくりと連携して、銀座エリア全体を俯瞰しながら進めていくことが重要ですが、今後、具体的にどのように再整備に取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 滝田やすひこ委員のご質問にお答えいたします。
 ご指摘の東京高速道路、いわゆるKK線でありますけれども、これを再生する未来の東京戦略に掲げた人中心の歩きやすいまちづくりプロジェクトの一つでございます。
 KK線は、ご承知のように、銀座を中心としまして、京橋、有楽町、新橋などに囲まれた位置にありまして、まさに都会のど真ん中、そして、道路が緑豊かな人中心の空間にかわるという、そのことはもう本当に夢があると思います。そして、人々に安らぎを与えることになると思います。
 ニューヨークにハイラインという、廃線になった鉄道を使ったこのような地がありますけれども、ぜひ東京の新たなシンボルにしていきたいと考えております。
 民間活力を生かした整備に当たりまして、KK線の沿線には、連携が想定されます京橋三丁目東地区など、複数のまちづくりの動きがあるのはご指摘のとおりです。
 年度内にも再生方針を策定いたしました後、首都高の大規模更新事業の進捗等も勘案しながら、事業主体、そして、誰もが無料で利用できる管理運営など、事業スキームや整備の内容などについて検討を深めてまいります。
 さらに、歩行者中心の公共的空間といたしまして、都市計画を新たに決定をいたしました上で、事業化を進めてまいります。
 銀座エリアを俯瞰しながら、誰もが歩いて、見て、楽しめる東京スカイコリドーの実現に向けて取り組んでまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。新たなまちづくりのまさに象徴的な場所となるように取り組みを進めていただけるということでお話をいただきました。
 私自身も、一昨年、ニューヨークのハイラインを見てきましたけれども、非常に参考になる取り組みでありましたし、こうした道路から緑地空間、まさに車から人へという流れ、世界的な流れでもございます。ぜひとも、東京でも進めていけるように、皆様の、ぜひともご尽力いただけるようにご協力をお願い申し上げます。
 さて、中央自動車道、中央道の代表的な混雑区間としまして、三鷹付近の上下線が挙げられます。
 私自身もたびたび渋滞に巻き込まれておりますが、下り方面については、料金所によるもので、ETC一〇〇%化に合わせて料金所が廃止されれば、混雑解消が進みます。未来の東京戦略案では、二〇二五年にはETC一〇〇%化としておりまして、進展を期待いたします。
 一方で、上り方面は道路の構造上の問題があります。調布インターチェンジから三鷹バス停まで、路側帯を利用して片側三車線化を実施しています。これが二車線に車線減少する際の合流が渋滞要因となっております。加えて、その先のバス停や下り料金所の脇を通る際に、いずれも蛇行があることが渋滞要因となっております。
 今後、開通が予定されている外環道の中央ジャンクションに三車線のまま接続できるようにするとともに、蛇行箇所を解消することで、これらの渋滞要因を早期に解消していくべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 首都圏における高速道路網の機能を最大限に発揮させるためには、三環状道路等の整備とともに、既存路線の慢性的な渋滞箇所の対策にも取り組んでいく必要がございます。
 中央道の渋滞解消につきましては、高速道路会社におきまして、調布から三鷹バス停手前までの区間で事業を進めていたところ、昨年一月、都は、三鷹バス停付近につきましても、検討と速やかな事業実施を国に対して要望いたしました。
 これを受け、国は、昨年三月、線形改良と付加車線を延伸する渋滞対策を決定いたしまして、事業化されました。
 現在、事業者は、線形改良に向けました準備工事を行っており、付加車線と外環との接続につきましては、今後検討の上、関係機関と協議を進めていくと聞いております。
 引き続き、中央道の交通の円滑化を図るため、渋滞対策の実施につきまして、国などに働きかけてまいります。

○滝田委員 外環道工事に関しては、引き続き丁寧な対応を求めますが、今回答弁いただいた中央道との接続の改善など、整備効果を最大化する取り組みを求めておきます。
 次に、南大沢に関連して質問をいたします。
 オンライン傍聴しましたが、先月、第三回南大沢まちづくり方針検討委員会が開催されまして、まちづくり方針の素案本文が示されました。
 大きな方向性として、スマートシティーが柱の一つとなったことは、私も、昨年の予算特別委員会を初めとして、後押しをしておりまして、評価をするものです。関係者の皆様の取りまとめのご苦労に感謝を申し上げます。
 その一方で、素案本文を拝読して、果たして新しいものを実現できるのか、雰囲気を感じ切れないというのもまた率直な感想として、懸念を抱いております。
 解決すべき地域課題の肉づけ、全体のコンセプトの打ち出しや、資料そのもののビジュアルの向上、並走しているスマートシティ協議会や都立大学の取り組みとの関係性の整理など、ブラッシュアップを求めます。
 何より、先端技術を活用した新しいまちづくりへと方向性が発展してきた中で、有識者やコンサルタントの選定、戦略政策情報推進本部や外部からのアイデアの取り込みなど、たてつけに課題があるというふうに思われます。
 今後の都有地活用の公募に向けた検討やスマートシティ協議会の進展において、新しいまちづくりに適した、よりよいたてつけへと進化させていくことを要望します。
 南大沢まちづくりにおいて、スマートシティーが柱の一つとなっている中で、先端技術を活用したまちづくりについての専門家にアイデアを出していただくなど、今後、新たな考えを取り込むことができる工夫をすべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 南大沢駅周辺地区のまちづくりにつきましては、昨年度、学識経験者などから成るまちづくり方針検討委員会を設置いたしまして、将来像の一つとして、スマートなまちの実現に向けた検討を進め、このたび素案を公表いたしました。
 この間、都は、昨年十月に、地元市や都立大学、通信事業者などと南大沢スマートシティ協議会を設立以降、同協議会と連携しながら、5G等の先端技術やパーソナルモビリティーの活用による移動円滑化などの具体策につきまして検討を進めてまいりました。
 今後、協議会がスマートシティ実施計画を年度末に策定後、その内容をまちづくり方針に反映するとともに、さらなる先端技術の社会実装に向けた取り組みをまちづくり方針に位置づけられるよう、協議会の情報分野の学識経験者等との情報交換も密に行ってまいります。

○滝田委員 新たな技術を活用したスマートシティーを築いていく中で、まちづくりの合意形成のプロセスにおいても、新たな技術を活用し、市民との双方向のインタラクティブなまちづくりを目指すべきです。
 海外でも、市民参加型のスマートシティー化にさまざまな挑戦が行われています。例えば、都においても、構築中のデジタルツインを活用して、シンガポールのように、現状や未来像を可視化し、都市計画の専門家でなくとも議論に参加できるようにする取り組みや、バルセロナのような市民参加型のオンラインプラットフォームの構築、あるいは最近でいえば、Clubhouseなどライブで意見交換することも簡易な工夫として考えられます。
 スマートシティーを目指している今後の南大沢まちづくりにおいてこそ、デジタル技術を活用した市民参画による新たな開かれたまちづくりに向けて、新設するデジタルサービス局と都市整備局が連携して挑戦していくべきと考えますが、宮坂副知事に見解を伺います。

○宮坂副知事 スマートシティー化を円滑に推進していくためには、行政、民間企業、住民の皆さんなどが、目指す姿、解決すべき課題を見据えて、ともに取り組んでいくことが重要です。
 南大沢においても、目指す姿を検討する上で、地域の課題を踏まえた幅広い地元ニーズを把握する必要があり、デジタル技術を活用することで、さまざまな住民の意見をタイムリーに聞き、その声を行政サービスや制度づくりに生かすことが可能となります。
 今年度は、南大沢スマートシティ協議会において、地元住民や団体、企業、来街者等へのウエブアンケート調査等を実施しており、来年度には、ウエブ会議方式などを通じて、地元の住民の方や団体の皆様が参画するワークショップ、協議会ホームページやSNSなどによる幅広い多様な意見収集を図ってまいります。
 さらに、海外のデジタル技術を取り入れた先進事例を参考に、3Dマップによる可視化など、伝わりやすく、わかりやすい技術を活用した新たな情報共有の手法などについても検討してまいります。
 本年四月に設置されるデジタルサービス局と都市整備局の両局の連携により、この地域で暮らす方々等の理解と共感を得ながら、スマートシティーの南大沢モデルの早期構築を目指してまいります。

○滝田委員 先般の都立大学のシンポジウムで、宮坂副知事ご自身が、まさに先端技術がより開かれたまちづくりを実現できるといったような可能性に言及をされていたということを私聞いておりますが、ぜひとも、両局と連携して取り組んでいただきたいということを求めておきます。
 さて、今後のまちづくりにおけるエリアマネジメントでありますが、単純な清掃活動や美観などの活動にとどまるのではなく、まちづくりのプロジェクトや地域経営まで行えるような形を目指すべきであります。従来型の組織ではなく、産学官プラス市民の協同での本格的なまちづくり組織を構想していくべきです。
 つくばエクスプレス柏の葉エリアでは、二〇〇六年に、キャンパスのある東京大学や三井不動産等が核となりまして、行政や地域とともにUDC、柏の葉アーバンデザインセンターを立ち上げました。このUDCが、まちの未来を描きながら、まちづくりのさまざまなプロジェクトを担う主体として活動をしています。このUDCの取り組みは、今や全国二十一の拠点に広がっておりまして、南大沢においてもモデルになり得るものです。
 南大沢スマートシティーにおいても、地元市、都立大学、関係する民間企業等が核となり、市民を巻き込んで、産学官民が協同したUDCのようなまちづくりの実行組織の設立に向けた仕掛けが極めて重要です。
 こうしたまちづくり組織が将来的に立ち上げられ、持続性が確保できるよう、現段階から取り組んでいくべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 まちのゆとりとにぎわいを両立するとともに、活力を維持し、地区内外に対して魅力を発信し続けるためには、民間事業者、地元企業、大学、市民、行政等が連携したエリアマネジメント組織による活動が有効でございます。
 南大沢駅周辺地区まちづくり方針の素案におきましては、こうした関係各主体が連携し、エリアマネジメント組織の活性化を検討することとしております。
 また、南大沢スマートシティ協議会では、先端技術を活用したまちづくりに加え、全国のUDCの取り組み事例等も参考にしながら、将来の先端技術活用に係る運営体制などにつきまして検討を進めております。
 今後、この検討状況を見ながら、南大沢にふさわしいエリアマネジメントに必要な組織のあり方や仕組みづくりなどについて検討してまいります。

○滝田委員 非常に前向きに検討していただける答弁がございました。必ずしも、UDCという枠組みに限るものではございませんけれど、UDC南大沢、UDC八王子のようなまちづくり組織ができるよう検討を深め、関係者間での議論を進めていただくことを強く要望しておきます。
 まちづくり方針の素案には、都立大学の留学生の受け入れ拡大や多文化共生が盛り込まれています。国際化を警戒する声もあるようですけれども、私が大学生等の若い世代に聞いたところ、むしろしっかりと進めて、日本人の学生も磨かれる形にしてほしいといった声もありました。
 いずれの声にしましても、どのような形で国際化を進めるのかイメージが見えないために、単に外国人がどんどん入ってくる住宅をつくるだけではないかといった不安につながっているものと思います。
 海外に目を向けますが、コペンハーゲンのティットゲンというコミュニティ形成を促す大学寮の取り組みを先日紹介を受けました。学生たちが日常的に多国籍で多様性のある交流ができる環境、そして、クリエーティビティーを促す環境を住と学と遊、遊は遊びの遊ですけれども、の融合により実践しているとのことであります。どのようにコミュニティに貢献していくのか意思表示することも入居の条件とされているようです。
 先行している海外事例も参考にした上で、こうした世界水準の多様性、創造性を促す環境づくりが地域コミュニティ等にもプラスに働くというビジョンを明確に示して、南大沢まちづくりを進めていくべきですが、見解を伺います。

○上野東京都技監 南大沢駅周辺地区では、周辺に多数の大学が立地し、留学生も増加傾向でございまして、特に、東京都立大学におきましては、今後、積極的に海外の研究者や留学生を受け入れる方針であることから、生活環境の整備や地域住民等との交流活動の活発化による多様性、創造性の増進が求められております。
 まちづくり方針素案では、多様性のあるまちを将来像の一つとして掲げまして、留学生が交流できるコミュニティスペースなど、緩やかにつながる居場所づくり、エリアマネジメント組織による多様な人々の交流、活動の促進、都有地活用による産学公連携の取り組み、研究者、学生の起業の促進などを進めることとしております。
 これらによりまして、人々が出会い、交流するとともに、新たな技術活用により、多様な住まい方、働き方、憩い方が融合し進化する、活力と魅力に満ちたまちにしてまいります。

○滝田委員 実学である都市計画の先生方にとりまして、論文を書くだけではなく、実際のフィールドで新しいまちづくりを実践できることはまさに本意であり、情熱をかけたいというふうに思ってくれるものであります。
 しかしながら、多くの場合、研究室の研究費や人員の配分に課題がありまして、また、さまざまな学内外の業務で多忙をきわめる中で、どこまで本気で取り組めるのかは、環境に左右されてしまうのが実態であります。
 協議会の取り組みを機能させるとともに、先ほど提案したような将来的な産学官民連携のまちづくり組織への発展も想定し、都立大学の先生方や研究者の皆様が責任と情熱を持って中心的に関与していただけるよう、大学のサポートが必要です。
 南大沢のスマートシティー化を進めていく上で、都立大学の役割は非常に大きなものがあり、都立大学の先生方の研究成果を南大沢のまちづくりに還元していくことが重要と考えますが、そうした観点から必要な環境を、研究費や事務方のサポート体制等整えるべきですが、見解をお伺いいたします。

○山手総務局長 都立大学では、今年度、南大沢と日野キャンパスに日本最大級のローカル5G環境を整備し、民間が手を出しにくい基礎研究に加えまして、都民生活の質の向上をもたらすなど、社会実装につながる研究を本年一月から開始をいたしました。
 来年度からは、コロナ禍を契機とした環境変化に対応すべく、短期間で社会実装化を目指す課題解決型の研究も新たにスタートいたします。
 今後は、こうした取り組みを強力に推進していくため、都立大学に設置した5G及び南大沢のまちづくりを所管する専管組織におきまして、各研究のプロジェクトマネジメントを行うなど、研究者を側面支援してまいります。
 都といたしましては、最先端技術を活用した住民生活の向上やまちづくりへの還元が期待できる都立大学の取り組みを、これからも積極的に支援してまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。
 今後、学内に、地域まちづくりにかかわる研究センターを設けることや専任の特任研究員等を雇えるような予算、人員の裏づけなどもぜひとも検討いただきたいと要望しておきます。
 先日の日経新聞に、首都圏各地に実証タウンとの記事がありましたが、南大沢の記載はなく、残念な思いをいたしました。スマートシティーとしてのプレゼンス、存在感を上げ、人材、情報、投資を引きつけることは非常に重要であります。
 実証実験の開始は緊急事態宣言により延期となってしまいましたが、この際、既存事業の延長線での小さな実証実験ではなく、注目度を高める形でキックオフするべきではないかというふうに考えます。
 今後、協議会の部会で案として挙がっている自動運転、パーソナルモビリティー、電動キックボードなど、先端技術の導入に向けたショーケースとなるような企画を実施するとともに、スタートアップも含めた民間事業者等の注目を集める取り組みとすべきですが、協議会の取り組み状況と機運醸成について見解を伺います。

○上野東京都技監 南大沢スマートシティ協議会におきましては、その下に、モビリティー、商業にぎわい、情報その他の三つの部会を設置いたしまして、テーマごとの将来像、今後実施すべき施策、その実現可能性などにつきまして検討してまいりました。
 今年度末には、現段階の検討結果を踏まえ、先端技術の社会実装に向けた実施計画を取りまとめることとしております。
 地域の機運醸成につきましては、来年度、多くの住民や来街者の方々が先端技術を体験し、スマートシティーを体感できる実証実験や、地元市等と連携したホームページやSNS等による積極的で幅広い広報活動を行ってまいります。
 さらに、社会実装の担い手となるスタートアップ企業等の参画を促すような取り組みにつきましても、協議会で議論をしてまいります。
 これらの取り組みにより、スマートシティーとしての認知度も高めながら、さらなる魅力の向上を図ってまいります。

○滝田委員 機運醸成の観点からも、非公開となっている協議会は今後オープンにしていくべきです。また、大学生など若い世代がほとんどかかわっていないということも課題でありまして、対応を求めます。
 この協議会の役割は、実際のまちにおいて、先端技術の実装まで行うものであります。関係者を巻き込み、具体的なプロジェクトを立ち上げ、運営していくことが求められ、ディレクター役を誰が担うのか、具体的な事業を担う人員や資金はどこから得るのか、仕組みづくりを求めます。
 一方、ゼロエミッション東京の実現へ、再生可能エネルギーの発電量の拡大に加えて、電力需給の調整が重要な課題となってまいります。都では、そうした観点からも、蓄電池や水素、そして、ZEV、ゼロエミッションビークルの大幅な普及促進に取り組んでいます。
 さらに、こうした多数の発電、蓄電のエネルギーリソースを制御し、地域内で最適な需給調整を実現していく考え方が、VPP、バーチャルパワープラントであります。
 今後、再生可能エネルギーの発電容量がふえ、需給調整が課題となっていく中で、具体的な地域でVPPの仕組みを活用したエネルギーシェアリングの実証を都が実施することは重要ですが、見解を伺います。あわせて、地域を巻き込んで再エネシェアリングが行われていくよう促すべきですが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 電力の大消費地である東京の特性を踏まえ、再生可能エネルギーの大量導入時代を見据えた送配電網への負荷軽減や防災力の向上、さらには、将来的な地域RE一〇〇の実現といった観点から、エネルギーシェアリングのモデルを都が示していくことは重要だと認識してございます。
 このため、来年度から、南大沢地区の都立大学や商業施設等におきまして、太陽光パネルや再エネ由来水素設備、EVなどを新たに導入し、再エネシェアリングを行うモデル事業を実施してまいります。
 こうした取り組みをさらに拡大するため、地元市や住宅事業者等に事業の参画を働きかけてまいります。
 また、地域住民や学生等に向け、本事業の紹介や災害時等を想定したEVによる電力供給のデモンストレーションを行うなど、普及啓発の取り組みも推進してまいります。

○滝田委員 単に技術的な実証実験とするのではなくて、南大沢におけるゼロエミッションの取り組み全体に発展していくよう、きっかけとなるように、市民や地域の多様な主体の巻き込みを求めておきたいと思います。
 都市の3D化、デジタルツインの構築について、シンガポールでの事例をもとに、取り組みを、昨年の予算特別委員会でも求めてまいりました。今年度、都において初めて事業化されたことを評価いたします。まずは都市整備局でマップの作成に向けた検討、戦略政策情報推進本部でユースケースや活用方法等の検討を行ってきたと聞いております。
 今年度の検討を踏まえ、まずは南大沢などの5G先行エリアにおいてマップを作成し、デジタルツインの実装を進め、シミュレーションやビジュアル化の機能を生かし、まちづくりや環境分野における市民も巻き込んだ検討等での活用に展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○上野東京都技監 都は、都市のデジタルツインの実現の基礎となる3Dデジタルマップの構築に向けまして、今年度は有識者との検討会におきまして、西新宿などのパイロットマップの整備とともに、情報基盤として備えるべき性能、条件、その運用手法等について取りまとめを行いました。
 この成果をもとに、来年度は、西新宿や南大沢など四地区のモデルエリアで3Dデジタルマップを先行整備いたしまして、関係局とも連携しながら、地域や民間企業が参画したまちづくり等での活用も視野に入れまして、ユースケースの実証を進めてまいります。
 例えば、環境や人流等に関するビッグデータをスマートポールなどセンサーにより取得した上で活用いたしまして、各種シミュレーションを行うほか、モビリティーなど先端技術の実証、まちの課題の可視化、分析などを行いまして、デジタルツインの実装へつなげてまいります。

○滝田委員 南大沢のまちづくりにおける活用や再エネシェアリングにおける発電、蓄電の設置検討などにも活用できるというふうに見込めます。こうしたリアルな事業と連携をすることで、より効果的な展開を求めておきます。
 さて、南大沢のまちづくりを例に、先端技術の社会実装に関して、課題も含めて質疑をしてまいりました。
 最近、我が会派の若手議員で「未来を実装する テクノロジーで社会を変革する四つの原則」という書籍がはやりました。国内外のさまざまな事例をもとに、どのようにして新たなテクノロジーの実装を果たしていくか、フレームワークを分析している本であります。
 さまざま学びのある本でありましたが、特に、日本に足りないのは、テクノロジーのイノベーションではなく、むしろ社会の変え方のイノベーションであるという表現は腹落ちをするものでありました。
 この本は変え方にフォーカスしたものでありますが、それに加えて、多くの人々が新しい技術、サービス、考え方に触れることで、既存のやり方以外の方法があるということがあらかじめ共有されている、テクノロジーを受け入れる土壌があることは極めて重要ではないでしょうか。
 今後、テクノロジーの社会実装など、社会と行政の構造改革を進めていく上で、都職員が最新の知識を身につけ、新たな技術の受け入れができる都庁の組織風土を形成していくことは重要と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 コロナ禍によって、行政のデジタル化が喫緊の課題となるその中で、都政のQOSを向上させるため、デジタルトランスフォーメーション、DXに関する職員の育成を強化していくことは、ご指摘のとおり急務でございます。
 そこで、来年度から新たに採用いたしまして、都政の高度なDX推進の中核となるデジタル系の職員とその他の職員それぞれ合わせました研修を大幅に充実をしてまいります。
 具体的には、まずデジタル系の職員に対しまして、常に最新のデジタルスキルにアップデートできるように、体系的な研修を実施いたしますほか、全ての職員を対象とした研修として、DX推進の視点や考え方を醸成して、意識改革を図ってまいります。
 さらに、みずからの知識やスキルをより向上させる意欲のある職員に、最新の知見を学ぶことができますオンライン学習コンテンツの受講支援を新たに実施をするなど、職員がみずからを磨き続ける環境を充実させてまいります。
 これらの取り組みを通じまして、デジタル系の職員を初めとした全ての職員がそれぞれの強みを発揮いたしまして、協働しながら、全体のレベルアップを図って、ご指摘の政策イノベーションを次々に生み出す、そのような都庁組織をつくってまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。非常に重要な取り組みだというふうに思いますので、全庁を挙げて取り組んでいただけるということで、大変期待をしたいというふうに思います。
 さて、話は変わりまして、防災対策に移りたいと思います。
 おととしの台風十九号では、多摩川上流域の河川が溢水をいたしまして、私の地元八王子市内も大きな被害を受けました。その後、早期復旧をしたことを大変評価いたしますけれども、対策の強化は急務でございます。
 また、被災直後の環境・建設委員会において、私から、八王子市内を初め、府中以西の多摩川水系において一台も都の河川監視カメラが設置されていないことを指摘しまして、新たな対策として、都民の避難判断に資する河川の監視カメラの設置拡大を求めました。
 昨年、八王子市内では、浅川と南浅川に一カ所ずつ、早速新設されまして、私も現地を視察いたしました。設置拡大に加えて、都民目線で利用しやすい情報発信やデータのオープン化を今後進めていくべきというふうに申し上げておきます。
 一昨年の台風十九号の被害を踏まえ、八王子市内の河川における護岸の強化などのハード対策と、河川監視カメラの設置などソフト対策の加速を求めますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○中島建設局長 八王子市内におきましては、ハード対策といたしまして、一昨年の台風を受け、これまで実施してきた護岸の点検などを踏まえ、令和三年度は、浅川において、道路等に近接する四カ所で護岸強化の工事に着手いたします。また、台風で溢水被害のあった南浅川の白山橋付近におきまして、取水堰の改良など、ボトルネック解消に向けた基本設計を実施いたします。
 ソフト対策といたしましては、河川監視カメラにつきまして、川口川や湯殿川など七河川八カ所に新たに設置し、九月までに映像を公開いたします。また、雨量や水位などの情報の発信ルートを強化するため、報道機関や民間の情報サービス事業者への提供を検討いたしますとともに、利用者にとって、より使いやすい水防災総合情報システムへ改善してまいります。水害に強いセーフシティーの実現に向け、こうした取り組みを推進してまいります。

○滝田委員 続けて、浅川と南浅川の合流部の整備についてですが、一昨年、請願が採択されました。この合流部は八王子市役所や住宅街に隣接しておりまして、地元市民の憩いの場となっている桜並木や河川敷のグラウンドがあります。人が集まる場所であるとともに、市道の橋梁整備も予定されておりまして、さまざまな配慮も必要でございます。
 浅川、南浅川の合流部における堤防整備の早期着手とともに、親水空間を整える対応を求めてまいりましたが、整備に当たっては、八王子市や地元市民と連携し、他地域の事例も参考に、幅広くアイデアを検討し、魅力的で多面的な利用もできるよう取り組むべきですが、見解を伺います。

○中島建設局長 河川は都市に残された貴重な水辺空間でございまして、水害対策に万全を期した上で、親水性などにも配慮した河川環境の保全や創出を図ることが重要でございます。
 都は現在、浅川と南浅川の合流点における堤防などの整備に向けまして、川沿いの桜への影響も考慮しつつ、下流を管理する国と調整しながら基本検討を進めております。
 その結果を踏まえ、令和三年度は、堤防線形や構造などを比較検討する基本設計に着手いたしますとともに、八王子市や地元住民などで構成される浅川流域連絡会等の場を活用し、親水空間の整備などの検討を進める予定でございます。
 安全で魅力的な水辺空間の創出に向けまして、地元住民などと意見交換を重ねながら、河川整備を推進してまいります。

○滝田委員 また、さきの代表質問では、新たに策定をしました無電柱化加速化戦略について、都道における年間の整備規模を倍増させることや、区市町村道の整備やまちづくりにおける無電柱化を標準仕様とするよう、あらゆる支援メニューを拡充して、面的な無電柱化を実現すると知事から力強い答弁がございました。
 一方、私はかねてより、多摩地域における無電柱化についておくれを指摘しておりまして、防災上必要な路線など、多摩地域でも優先順位をつけて、無電柱化されたネットワークを形成していくべきと提案してまいりました。
 今後、重点整備エリア等、多摩地域においても具体的な整備対象や目標を定めて、多摩地域の無電柱化を加速させるべきですが、私の地元八王子市における具体的な内容を例に見解を伺います。

○中島建設局長 先月策定した無電柱化加速化戦略では、さらなる無電柱化を推進するため、整備目標を前倒しするなど、多摩地域においても取り組みを加速させることとしております。
 例えば、第一次緊急輸送道路や利用者の多い五十駅周辺の都道につきましては、二〇三五年度の完了を目指し、無電柱化を推進いたします。
 八王子市内では、来年度、多摩ニュータウン通りや八王子駅周辺の野猿街道などで整備を進めますとともに、秋川街道で設計を予定してございます。
 また、市町村の事業に対しましても、防災に寄与する路線の補助対象に設計費等を新たに加えるなど、支援メニューを拡充し、無電柱化を促進いたします。
 本戦略に基づきまして、多摩地域の無電柱化を加速させ、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現してまいります。

○滝田委員 来年開業予定の多摩産業交流センター、昨年開業したTOKYO創業ステーションTAMAや都立大学などを核とした仮称多摩イノベーション構想の具体化が課題です。多摩地域は事業所の集積に加えて、大学の立地数も全国有数であり、大きな強みとなり得ます。
 多摩地域におけるイノベーションを促進するため、拠点性やテーマ性を高めるとともに、大学研究者や若者も含めて、起業しやすい環境を整えるなど、多摩地域でのイノベーションエコシステムの形成に取り組むべきですが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 多摩地域には、大手企業や大学研究機関、高い技術力を持つ中小企業等が多く集積しております。こうした多摩地域のポテンシャルを産業の活性化につなげるため、都は今月、多摩地域の経済団体や都の関係機関等を集めた実行委員会を設立いたしまして、多様な主体が連携するエコシステムの形成に向け、検討を開始いたします。来年度は、地域の産業特性を生かした新技術開発に向けた連携のあり方や具体的な事業案の検討を行いまして、基本指針として取りまとめてまいります。
 その後、多くの企業等の参画を促すため、健康や安全・安心、環境等をテーマといたしますリーディングプロジェクトを組成し、イノベーション創出の先駆的な事例を生み出してまいります。
 イノベーション創出に向けた基盤づくりを着実に進め、多摩地域の産業活性化につなげてまいります。

○木村委員長 滝田やすひこ委員の発言は終わりました。(拍手)