予算特別委員会速記録第四号

○吉原副委員長 栗林のり子委員の発言を許します。
   〔吉原副委員長退席、上野副委員長着席〕

○栗林委員 それでは、質疑に入らせていただきます。
 初めに、結婚支援からお尋ねさせていただきます。
 二月二十二日に、厚労省から、人口動態統計速報値が発表されました。コロナの影響もあり、二〇二〇年出生数は前年度比二万五千九百十七人減少で、八十七万二千六百八十三人と過去最少となりました。婚姻も前年比七万八千六十九組の減少で、五十三万七千五百八十三組と、戦後二番目に高い減少率となっております。一年以上続く感染拡大防止を徹底した日常生活、今までの当たり前に戻ることは難しく、新しい日常を、そして文化をつくり上げながら課題を乗り越えていく必要がございます。
 今後、出産数減少を改善していくためには、先日、我が党のまつば委員の代表質疑でも明らかになりました。出産応援事業は、コロナ禍で不安を抱える妊娠、出産をする方たちに大変期待をされております。また、高い減少率となった婚姻数も深刻な課題であり、さらなる支援が必要と考えます。
 こうした背景からも、都として、結婚を希望する方々へのさらなる支援策が必要と考えますが、来年度の取り組みを伺います。

○野間生活文化局長 都は、結婚応援アンバサダーによるメッセージ動画を初め、結婚等に関する情報を専用ポータルサイトにおいて発信してございます。
 現在、婚約、新婚カップルが結婚準備や新生活関連など、さまざまなサービスを受けられる結婚応援パスポート事業を開始いたしまして、約三百店の協賛を得ております。来年度は、利用者や協賛店の一層の拡大を図るとともに、都の取り組みを幅広く周知するキャンペーンを新たに実施いたします。さらに、結婚に関心のある多くの都民が気兼ねなく参加できる応援イベントも開催いたします。
 今後とも、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない都民を後押しするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでまいります。

○栗林委員 知事も積極的に政策を進めてきていただいたことを評価させていただきます。
 国の方も、AIを活用した結婚支援に補助金を出すという、そういった補助制度も今回創設したと聞いておりますので、こういった補助制度も活用しながら、充実をしていくことを求めさせていただきます。
 次に、未来の東京戦略の中で、多様性を圧倒的に押し上げるとの力強いビジョンが示されました。知事の本定例会での施政方針表明からも、本気度を感じたところでございます。
 コロナ禍で重要性を実感した一つに、家族や支え合うコミュニティの存在、必要性でございます。東京には多様な価値観のもと、さまざまな生き方や人生の選択を可能にするエネルギーがあります。しかし、現実の生活現場においては、無理解や偏見から生きづらさを感じる場面がいまだに存在します。家族に対しても、多様性を圧倒的に押し上げる必要があります。
 そこで、ひとり親や未婚のひとり親、ステップファミリー、里親、特別養子縁組、ファミリーホーム、同性パートナーなど、多様な家族が生き生きと、この東京で暮らすことを可能とするダイバーシティーファミリーサポートとして、全庁的に取り組むべきと考えます。多様な家族が輝く社会の構築について、知事の所見を伺います。

○小池知事 栗林のり子委員のご質問にお答えいたします。
 東京の活力の源泉、何度も申し上げています。人です。そして私、知事に就任して以来、誰もが生き生きと活躍できる都市東京の実現に向けて、ダイバーシティーの推進を重要な柱の一つとして、さまざまな施策を展開してまいりました。
 今般、策定いたしました未来の東京戦略でありますが、ポストコロナを見据えました有識者からの提言も踏まえまして、多様性を圧倒的に高めて、選択肢の多い社会の創出を目指すという大きな方向性をお示ししておりますとともに、ダイバーシティー共生社会戦略を掲げるなど、人に着目いたしましたプロジェクトを盛り込んでいるところでございます。
 家族のありようにつきましては、さまざまな考え方がございます。今ご指摘ありましたように、ひとり親やステップファミリー、里親、同性のパートナーなど含めまして、さまざまな背景や価値観を持つ人が互いを理解しながら認め合う、そんな社会を築いてこそ真のダイバーシティーといえると考えております。
 多様性、それは都市の成長の原動力でございます。人が輝く持続可能な都市東京の実現に向けて、東京で働き暮らす誰もがともに交流をして支え合う環境をつくり上げるなど、人々に寄り添った幅広い政策を全庁を挙げて推進をしてまいります。

○栗林委員 ご答弁ありがとうございます。
 多様性は可能性だといわれた方がいらっしゃいます。自分らしくありのままで、そのままで輝ける社会、家族をぜひ応援していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、具体的な支援策について何点か伺います。
 初めに、ひとり親支援です。
 先日の本会議の我が党の代表質問で、シングルマザー等の就労機会の拡大を求めました。産業労働局からは、来年度、OA技能等を習得するセミナーやテレワーク導入企業と直接面接会を託児サービスの提供をして行うとの答弁があり、自立に向けての重要な支援と考えます。
 一方で、経済状況の変化から、養育費の支払いが途中でとまり窮地に立たされる場合があります。ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取ることができるようにするためには、養育費について取り組みを行う段階から支援することが重要であると考えますが、都の取り組みを伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取れるよう、現在、ひとり親家庭支援センターにおいて、家事事件に精通した弁護士等による相談対応を行うほか、ひとり親家庭向けのポータルサイトや講習会で、養育費の取り決めの重要性や方法等について啓発しております。
 また、今年度から、元配偶者等からの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、養育費の立てかえ保証等を行う区市町村を支援しております。
 来年度は、この事業を拡充し、養育費の取り決めを行うに当たっての公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手段でございますADRの利用等についても、新たに支援の対象に加える予定でございます。

○栗林委員 三月十日の衆議院の法務委員会で、我が党の質問で、国も養育費の重要性、取り決めの方法などを説明する動画を作成して、法務省の動画サイトにアップするという発表がございました。こういった状況も皆様にぜひお伝えをしていただいて、充実した支援策としていただきたいと思います。
 次に、新生児委託推進事業について伺います。
 我が党は、制度導入まで繰り返し議会質問で取り上げ、私も平成二十九年の予算特別委員会で取り上げ、昨年は、まつば議員が取り上げさせていただいたところでございます。
 女性の社会進出とともに、妊娠や出産を諦めたとしても子供を育てたいと思う人や、予期しない妊娠で出産後は育てることができない場合などのケースを特別養子縁組につなげられる取り組みは、選択肢として大変重要でございます。
 都は今年度から、新生児委託推進事業を本格実施していますが、実施状況を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は平成二十九年度から、乳児院と児童相談所に専任の職員を配置し、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託につなげるモデル事業を開始し、昨年度末までの三年間に十二名の乳児を里親に委託しております。
 今年度からは、モデル実施した区部の一カ所に加え、多摩地域にも一カ所を確保し、合計二カ所の乳児院で本格実施しており、昨年四月から現在までに十一名を里親に委託しております。

○栗林委員 救える小さな命を大切に育ててくださる方につないでいく、そして、新しい家族のもとで成長する、こういった環境を一つ一つ丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、養子縁組民間あっせん機関助成事業について伺います。
 児童相談所が直接特別養子縁組里親につなげる制度と、許可された団体があっせんする制度があります。
 行政の制度を活用する場合は、申し込み費用はかからないのですが、民間のあっせん団体から子供を迎える養親は、手数料負担が発生します。
 こうした養親やあっせん団体への支援を積極的に行うべきと考えますが、所見を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は平成三十年度から、養子縁組希望者等に対して効果的な支援を行うため、定期的な連絡会議の開催など、児童相談所や産科医療機関等関係機関との連携体制の構築や、縁組成立後の養親子への継続的な相談対応等を行う民間あっせん事業者を支援しております。
 また、昨年度からは、養親希望者の負担軽減を図るため、民間あっせん事業者に支払った手数料を補助しており、今後とも民間あっせん事業者による特別養子縁組が円滑に行われるよう支援してまいります。

○栗林委員 まだまだ養子後進国といわれている日本ですけれども、最近は少しずつ養子縁組がふえてきているといわれております。
 司法統計によると、二〇〇八年は三百九組だったのに対し、二〇一八年は七百十一組とふえてきております。でも、世界的に比べると、アメリカは五万人、イギリスは四千五百人以上と、まだまだ日本では、この制度が定着をしていないと感じます。身近なものとして選択肢として広がるよう、情報提供に力を入れていただきたいと思います。
 続きまして、フォスタリング機関事業について伺います。
 社会的養護をより家庭的な養育環境へと、都も里親やファミリーホームをふやす取り組みに力を入れています。
 我が党は、里親等への委託を推進していくに当たり、里親がより安心して子供に向き合い、養育できる環境を整備するため、里親への継続性ある支援体制の構築、フォスタリング機関事業の実施を求めてまいりました。
 令和二年三月に作成した東京都社会的養育推進計画において、フォスタリング機関事業を実施するとしておりますが、進捗状況を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、里親のリクルート及びアセスメント、里親への研修、子供と里親のマッチング、養育の支援といった一連の業務を包括的に民間事業者に委託するフォスタリング機関事業のモデル実施を、昨年十月、多摩児童相談所の所管地域で開始いたしました。
 フォスタリング機関は、児童相談所と連携しながら、里親家庭への訪問や面談などにより、里親や子供に寄り添った支援を行うほか、保有する施設を活用して、子供と実親の定期的な交流を支援しております。
 来年度は、モデル実施を継続して、取り組み状況を検証していくこととしており、その後、検証を踏まえながら地域を拡大し、令和六年度までに全ての児童相談所での実施を目指してまいります。

○栗林委員 多様な家族で特に推進する必要があるのが、パートナーシップ制度とファミリーシップ制度でございます。
 同性パートナーシップ制度は、都内で二〇一五年に渋谷区と世田谷区からスタートし、一月時点で七十四自治体にまで拡大しており、都道府県においても、二〇一九年に茨城県からスタートし、二〇年に大阪府、群馬県が導入、昨日報道されていましたが、三重県もスタートするというニュースが流れておりました。
 また、パートナーシップとあわせてファミリーシップ制度も、ことし一月には全国初となる明石市でスタートし、来月四月からは足立区でもスタートするようで、これは都内初でございます。
 ファミリーシップ制度は、パートナーシップ宣誓者の双方または一方と生計を同一とする未成年の子供がいる場合は、あわせて宣誓可能となり、保育や教育機関にも配慮されるようになります。
 都議会公明党はかねてより、定例会や委員会での質疑で、繰り返し制度導入を求めてまいりました。特に、一昨年、昨年の二年連続で予算特別委員会において、高倉良生都議が質問をさせていただいたところでございます。
 その際、知事からは、婚姻関係のあり方にかかわるものなので、国民的議論も必要、また、制度導入については、各自治体の判断が尊重されるべきという内容の答弁がありました。
 また、昨年十二月の四定での公明党の代表質問の答弁は、婚姻関係のあり方そのものにかかわるもの、広く国民の理解を得ていくべき課題、各局でどのような対応が必要か検討している、実態調査の実施を検討し、当事者のニーズに即した施策を実施するというご答弁でございました。
 そこで、この答弁にあった実態調査ですが、来年度予算に約二千三百万円の調査費の予算が計上をされております。そこで、調査内容と目的を伺います。

○山手総務局長 性自認及び性的指向に関する基本計画は、国内外の動向や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて施策の見直しを行うこととしており、見直しに当たっては、当事者のニーズを含めた、広く都民の意見を把握していくことが重要でございます。
 そのため、来年度は、次期の基本計画の策定に向けて、性自認及び性的指向に関して悩みを抱える当事者が行政に何を求めているのか、性の多様性に関して都民がどのような理解をしているのかなどについて調査を行うものでございます。

○栗林委員 また、知事の答弁の中で示された三点でございます。婚姻関係のあり方にかかわる、国民的議論、国民の理解が必要、そして三つ目が、各自治体の判断、こういったところをご指摘されました。
 一つ目の婚姻関係のあり方にかかわるというご指摘でございますが、このパートナーシップ制度は、自治体が独自に定めるパートナー同士の関係を公的に認める制度でございます。諸外国の例を見ても、同性婚が認められている国も、パートナーシップ制度と同性婚の併存が多いと聞いております。性的マイノリティーの権利について、まず、同性パートナーシップが制度として規定され、そして、同性婚という形で歴史的な流れはつくられてきているようであります。
 しかし、イギリスでは、同性婚が認められてからパートナーシップは減少しているのに対し、フランスでは、同性婚導入後にパートナーシップ制度の利用者もふえてきているという、そういう実態もございます。
 婚姻と違い、制度自体に法的な効力はないものの、パートナー、家族であることを自治体が証明することで、当事者がさまざまな場面で、地域社会の理解を得やすくすること、条件は自治体ごとに定めています。
 二〇一五年に導入した世田谷区では--私、今月初め、確認しました。五年間で百四十一組が制度を活用しているということでございます。最初は、区営住宅などの申し込みが可能など限られた範囲であったけれども、現在は不動産の契約やマイレージのポイント、携帯電話の家族割、保険なども家族として利用できるようになってきているそうです。
 また、別の自治体では、入院時の面会や医師との治療相談、会社の福利厚生などにも利用できるようになったということでございます。
 二点目の国民的議論、国民の理解が必要、このことは、約五年間で全国七十四自治体において制度が導入されてきたこと自体が、国民的議論、理解の結果ではないかと思います。
 二〇一九年に電通が発表したデータ、六万人から抽出した六千二百二十九人に、同性婚についてのアンケート調査をしています。二十代から五十代までの方を対象にしたアンケートです。何と八割が肯定的という結果です。二十代は約八八%が賛成、三十代は八一%、四十代は七七・五%、五十代は七二・五%という結果でございました。他団体の調査でもほぼ同じ数字が出ております。
 三つ目の各自治体の判断ということでございますが、これは、都がパートナーシップ制度を導入しても、都内全ての区市町村をカバーするものではなく、未導入の自治体は未導入のままでございます。
 都道府県で初めてパートナーシップ制度を導入した茨城県でございますが、私は、この制度導入直後に高速バスに乗って茨城県庁へ行きました。そして、この制度を推進した公明党の県議会議員に担当者を紹介してもらい、県庁でヒアリングをさせていただきました。
 県は、男女共同参画推進条例を改正し、要綱で制度をつくり実施した。茨城県の大井川知事は、初めは制度導入に対して反対意見もあったが、制度があること自体が当事者の自己肯定感につながる、理解がないから制度ができないのではなく、制度をつくることで理解が進むこともあると話されていました。そのとおりだと思いました。
 茨城県は、県内で、県が初めてこの制度を導入したことから、市町村は県に倣ってこの事業を推進しているそうでございます。
 また、二〇年にスタートした群馬県。群馬県は何と一年早く、一九年に大泉町という小さな町がこのパートナーシップ制度を導入しておりまして、その後に県が導入、そして渋川市も同じく導入、来月はもう一市がスタートすると聞いております。群馬県の場合は、県が制定しても個別で市町村でも制定していくというところです。
 ですから、自治体によってさまざまでございます。あくまでも、都の制度は都で決定し、未導入の区市町村の意向に介入するものではないことから、三点目の懸念もクリアされるものと考えます。
 都は、二〇一八年、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定し、第二章では多様な性の理解の推進として、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消を掲げています。
 このように、都条例で不当な差別の解消が盛り込まれていることから、都がパートナーシップ制度を制度化する際は、新たな条例をつくるまでもなく、基本計画に明文化し、実施要綱をつくることで制度を運用できると考えますが、手法としての都の見解を伺います。

○山手総務局長 同性パートナーシップ制度は、性の多様性にかかわる都民の理解を得た上で検討していくべき課題であると認識しておりますが、制度としては、条例に根拠規定を直接定める方法と、執行機関が実施要綱を定める方法がございます。

○栗林委員 局長の認識は聞いておりません。手法としてどうかということを伺ったまででございます。
 さらに、都は、パートナーシップ制度を導入する必要があります。それは、未来の東京戦略で掲げた国際金融都市東京実現プロジェクトの実現に向けては、高度外国人人材の積極的受け入れが不可欠であり、そこには同性パートナーとして来日する外国人も含まれると考えます。
 そこで、これまで同性パートナーの在留資格の創設について、都の取り組み状況を伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 高度金融人材の受け入れ促進に当たりましては、LGBTの方々も活躍できるダイバーシティー実現の観点が重要でございます。
 このため、都では、平成二十九年九月に開催された国家戦略特別区域諮問会議におきまして、外国人同性パートナーの在留に係る特例の創設を提案したところでございます。
 具体的には、高度金融人材等の同性パートナーについて、同性婚の配偶者と同様に、在留資格特定活動による入国、在留を認めることを求めております。
 これまで、その実現に向けまして、国と制度面の課題等に関する意見交換を複数回実施し、昨年七月の政府の成長戦略フォローアップの中で、外国人同性パートナーの在留資格のあり方について継続して検討を行う旨が初めて明記されたところでございます。
 引き続き、本特例の創設を国に対し要望してまいります。

○栗林委員 今ご答弁にありましたように、二〇一七年、外国金融のCEOとの意見交換の際に、国際金融都市東京の実現に向けた懇談会、意見交換があったその席上で、CEOの方から、多様な外国人材を活用するためには、同性パートナーの在留を認めることで、アジアのほかの金融都市にはない強みとして、高度金融人材を呼び込むことができるという、そういう意見があり、特区申請に至ったと聞いております。
 都が約四年前から、こうした要望、働きかけを続けているのに対し、国は、具体的な制度化に向けた動きには至っていません。
 こうした状況を踏まえ、我が党の国会議員からも、法務省へ早期の結論を求めヒアリングをしてもらいました。その際の資料を見ると、都は、昨年六月、国家戦略特区ワーキンググループにおいて、提案内容の説明や諸外国の同性パートナーシップに関する調査結果を報告しております。その会議の議事録を見ました。委員の方から、大変、東京都にとり、役立つ前向きな意見が多く、特にパートナーシップ制度に理解があるということを感じました。ちょっとご紹介します。
 これは、国家戦略特区ワーキンググループ、座長一名と委員四名、学識経験者などで構成されているワーキンググループでございますが、その中に、最初、東京都がプレゼンをします。国ができません、できません、できませんの説明をします。そのことを委員が聞いて意見をいうという、こういう展開での議事録になっておりますが、その中で、ほぼ、ほぼ全員の委員の方が前向きな意見でございました。
 ある委員の方は、この法務省の認識というものを疑うようなことから、同性のパートナーシップは、制度というよりは、同性のパートナーを持つということは世界的に見ても、例えば国家元首レベルとか大臣レベルとか、あるいはアーティストとかトップアスリートの方々で、そういう選択肢をおとりになる方がどんどんふえてきて、それが世界的にも社会的にも受け入れられつつあるという状況の中で、こういう制度の見直しということを法務省はどう考えていらっしゃるんでしょうかという厳しいご意見もあったり、また、一人の方は、法務省のような理屈でお断りになるというような、そういうことにはならないのではないかと私は思いますとか、安定的な環境の中で高度人材で活躍してもらえるようなものになるかどうかというような制度をつくろうとしているわけですから、法務省の不安定な身分だということを理由に、制度を設けないというのは、私は納得できません、こういう意見が委員の方たちから出ておりました。
 そして、最後、座長がまとめていらっしゃいます。外国でこれだけ一般的にパートナーシップが盛んになっているときに、グローバル化をしなければいけない日本では当然やるべきではないか、こういう意見が圧倒的だったと思いますと、座長は結ばれていらっしゃいます。そして、引き続き検討ということになっております。
 私は、この議事録を見て、もう一歩のところに来ているのではないのかなと感じました。
 そして、この皆様が応援しているような、この心にも応えるためにも、この特例が認可され、創設され、優秀な外国人人材がパートナーとともにこの東京で暮らすことが可能になる。しかし、受け入れる肝心の東京都にはパートナーシップ制度が導入をされていない。それでは、誰も活躍する場所として東京都を選ばないのではないかと思います。入り口は通過しても、現実生活の中で生活の不便さは変わりません。そういったことが想像ができます。
 世界中から優秀な人材を集める前に、まずは都のパートナーシップ制度について、具体的な検討に入るべきと考えます。
 パートナーシップ制度は、利用する人が多いとか少ないとかの問題ではなく、多様性をあらわすメッセージであり、エールであります。多様性を圧倒的に押し上げる、小池知事、今回の予算計上に、パートナーシップ制度、ファミリーシップ制度導入も視野に入れた調査とすることを示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 同性パートナーシップ制度について、またファミリーシップ制度についてのお尋ねでございました。
 ご指摘もございましたように、これは婚姻制度のあり方そのものにかかわるもので、広く国民の理解を得ていくべき課題でございます。
 また、都におきましては、性自認、そして性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを解消するために、まず基本計画を策定いたしまして、性的マイノリティーの方々に対しまして、都庁の各局でどのような配慮が必要なのかということを個別具体的に検討して、必要な取り組みを推進しているところでございます。
 また、来年度につきまして、次期の基本計画に向けて、広く都民、そして当事者の意見を把握する、ご指摘のような実態調査を実施いたしまして、その結果を踏まえながら、どのような政策、施策を展開すべきか、その検討をしてまいります。
 今後とも、当事者の方々に寄り添う施策の展開を通じまして、誰もが生き生きと生活できるダイバーシティー東京、実現してまいります。

○栗林委員 知事、一人一人に寄り添う制度がパートナーシップ制度です。ファミリーシップ制度です。
 昨年十月に新宿にオープンしたプライドハウス東京レガシー、LGBTなどに関する情報発信や交流拠点となる施設で、休眠預金や企業からの協賛金などをもとにNPOが運営をしています。
 オープン直後に、我が党も何人かで訪問をいたしました。入り口に、小池知事とバッハ会長からのお祝いのメッセージが飾られており、感動いたしました。来場者は、それを見て、小池知事も応援してくれているんだ、期待感は高まっています。
 先日の定例会で、知事の施政方針表明でも、誰もが輝く多様性こそ、東京の活力と発展の源泉でありますといわれました。時代はどんどん変わっています。古い価値観もアップデートしなければなりません。知事のリーダーシップで、多くの政策が前へ前へと進められ、現実生活の中でも展開をされています。
 このテーマは、政治の対立構造に使ってはならないと思っております。価値観、それぞれの価値観があります。無理解だからといって攻撃をしたり、古い価値観がこれからの人の生き方の邪魔をしてもいけないと思います。
 二〇四〇年、東京の未来、このビジョンを掲げました。二十年はあっという間でございます。若者、子供、そしてこれから生まれてくる子供たちにとって、生きづらさを感じることがあれば、それを取り除く、それが政治家、そして行政の役割ではないかと思っております。オリ・パラ開催都市のレガシーとして、制度導入に向けて踏み出していくべきと考えます。
 私は、もう二度とこの場所には立ちません。立つことはありません。最後に知事に質問をさせていただきます。
 予算計上されている調査に、パートナーシップ、ファミリーシップ制度の導入も視野に入れた検討も調査するという理解でよろしいでしょうか。

○小池知事 来年度における調査でございますけれども、その実態調査の結果を踏まえまして、施策の展開を検討してまいります。

○栗林委員 多様性を圧倒的に高めるといわれた知事でございます。これを、この東京で実現していく多様性のシンボルでもあると思います。引き続き、この取り組みは、私たちも粘り強く推進をさせていただきたいと思います。誰もが輝く東京の実現に向けて、さらに力を入れていく決意でございます。
 次に、順番を変えさせていただきまして、動物との共生社会。
 ペットも大切な家族の一員でございます。家族が感染したときの対応について、当初は情報もなく大変混乱しました。
 都は、我が党の要望を受け、昨年十月に、家族が感染した際、ペットと同伴できる宿泊療養施設を開設いたしました。ペットを飼っている方々からは大変喜ばれています。今後も、動物愛護相談センターの連携も図り、継続することが求められていますが、そこで、これまでのペット同伴の施設利用の状況と、来年度の取り組みについて伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 新型コロナの軽症者等がペット同伴で入所できる宿泊療養施設は、昨年十月九日に開設し、昨日までに、ペット同伴者百二十二人を含む、全体で三百六十二人の方を受け入れてございます。
 受け入れ開始から昨日までに同伴されたペットの数は全体で百三十四匹でございまして、その内訳は、犬六十九匹、猫五十八匹、ウサギ五羽、ハムスター二匹となってございます。
 施設の利用者からは、ペットと一緒だったので安心して療養することができたとの声や、ペットを飼っている人には必要不可欠な施設との声が寄せられております。
 都が運営いたします宿泊療養施設でペットを同伴できる施設はこの施設のみであることから、来年度も引き続き活用させていただきます。

○栗林委員 次に、東京都動物愛護管理推進計画案、ハルスプランについて伺います。
 計画案が示され、先月八日のパブコメ募集期間も終了し、その上で計画が示されることになります。
 本計画の期間は、令和三年度から令和十二年度の十年間という大変な重要な計画ということから期待も大きいところでございます。
 今回の計画改定の背景にある、国の動物愛護管理法及び基本指針の改正で、事業者の飼養管理にかかわる数値基準の導入や、マイクロチップの装着の義務など、都の取り組みが重要といえます。
 特に殺処分ゼロを持続していくために協力していただいているのがボランティアの方たちです。捨てられた犬や猫を保護し譲渡、保護し譲渡、保護し譲渡と。これではいつまでたっても、この保護活動は終わらない、譲渡活動は終わらないといわれています。入り口、この蛇口をしっかり閉めなければ、この繰り返しでございます。販売方法や飼い主責任を厳しくすることの必要性が求められています。
 令和元年に動物愛護管理法が改正され、今後ケージの大きさ等、事業者が遵守すべき数値基準に係る規制やマイクロチップの装着、登録の義務化が始まります。このような新たな規制について、事業者や飼い主が理解することが重要であると考えますが、都の対応を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 令和元年の動物愛護管理法等の改正により、動物取扱業者に対する各種規制の強化やマイクロチップ装着の義務化などが行われたことから、都は、本年度改定いたします動物愛護管理推進計画に、法改正等による事業者への新たな規制の周知や遵守の徹底、マイクロチップ装着制度の定着のための普及啓発等の取り組みを盛り込むこととしております。
 今後、事業者が遵守すべき新たな飼養管理基準等について、リーフレット等で速やかに周知するとともに、きめ細かな指導を行い、遵守の徹底を図ってまいります。
 また、マイクロチップ装着の義務化等につきましては、事業者に対し、リーフレットや研修等で周知していくとともに、飼い主に対して、ポスターやインターネット広告等により広く啓発してまいります。

○栗林委員 コロナ禍で目立ち始めているのが多頭飼育崩壊であります。この多頭飼育崩壊は、ボランティア団体で対応していただいています。臨時の一時保護施設なども検討する必要があると考えます。
 昨年、新しくオープンした神奈川県の動物愛護センターを視察いたしました。建てかえたばかりのすばらしい施設、やはり多頭飼育崩壊の急増で、急遽、ホールに猫用のケージを並べ、一時保護スペースにしていました。こういった緊急性にも対応できるセンターが重要であります。
 都も、殺処分ゼロを持続可能な取り組みとして、動物との共生社会を構築するために、しっかりとした拠点が必要であることを繰り返し求めてまいりました。
 動物愛護相談センターの整備に向け、その機能や候補地について具体的な検討を始めるべきと考えますが、所見を伺います。

○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 本年度改定します動物愛護管理推進計画案では、重点的に取り組むものとして、多頭飼育問題への対応力強化に向けた関係機関との連携強化や、保護した動物の適正な飼養管理、ボランティア等との連携協力による動物の譲渡拡大に向けた仕組みづくり、災害時等の危機管理体制の強化等を掲げてございます。
 動物愛護相談センターは、こうした都の動物愛護管理施策を進める上で中核を担う施設でございまして、その整備に当たりましては、役割を果たすために必要な機能を確保し、都民や関係者が来所しやすい利便性、業務の効率性等を十分に考慮することが必要であり、来年度、より具体的な検討を進めてまいります。

○上野副委員長 栗林のり子委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時一分休憩