○吉原副委員長 小磯善彦委員の発言を許します。
〔吉原副委員長退席、上野副委員長着席〕
○小磯委員 まず初めに、新型コロナ対策についてお伺いをいたします。
緊急事態宣言が延長になりました。感染を減少させていくための延長であります。都民の皆様に多大なご協力をお願いしなければなりません。
特に、これから本格的にワクチン接種が始まってまいります。医療従事者の皆様に大変なご協力をいただくことになるわけであります。
もし再び感染拡大の状況になれば、接種する病院でのクラスター発生や、医療に専念するためにワクチン業務ができないなど、ワクチンの接種も円滑に行われなくなる、そういうおそれも出てきますので、この感染は何としても抑えていかなければならないと思います。
そこで、改めて、知事から、感染拡大阻止へ向けて、都民の皆様へ力強い決意を伝えていただきたいと思います。
○小池知事 小磯善彦委員のご質問にお答えいたします。
まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けました、これまで都民の皆様、そして事業者の皆様方、大変なご協力をいただいております。感謝申し上げます。
そして、都民の命を守るため、最前線で昼夜を問わず今もご尽力いただいております医療従事者、保健所の職員の皆さん、お礼を申し上げます。
そして、四月十二日の週からは、高齢者を対象といたしまして、ご指摘ありましたように住民向けのワクチン接種がいよいよ始まります。接種に従事する医療従事者の負担を軽減するためにも、都は、新型コロナ患者の受け入れに必要な病床を確保しながら、感染を徹底して抑え込まなければなりません。
皆様のご協力のおかげで新規陽性者数、抑えつつはありますけれども、従来のウイルスよりも感染力が強いとされる変異株による感染の拡大リスクも懸念されております。リバウンドを防ぐためのより徹底した感染対策が必要となっております。
このため、リバウンドのきっかけとなるクラスターの芽を早期に摘み取るとともに、変異株の発生状況を把握するため、健康安全研究センターに加えまして、民間検査も活用し、スクリーニング検査の拡充、そしてこれを国とも連携しながら、監視の体制を強化してまいります。
今後も、都民、事業者の皆様のご協力を得ながら、集中した対策を徹底的にやり抜いて、感染拡大の回避に全力で取り組んでまいります。
○小磯委員 ただいま都知事からも、従来のウイルスよりも感染力が強いとされる変異株による感染拡大リスクが懸念される、また、変異株の発生状況を把握するために、スクリーニング検査を拡充し、監視体制を強化するとありました。
また、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が昨日の衆院厚生労働委員会で、早晩、変異株が主流になる、このように警戒感を示したということであります。
現在、都は国の方針に従って、陽性者の五%から一〇%の検査をしているようでありますが、この情勢を鑑み、後になってから、もっとしっかり検査すべきであったと後悔しないためにも、PCRで陽性になった全ての人の検査に着手すべきと考えます。都の見解を求めます。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 東京iCDCでは、ゲノム解析検討チームを立ち上げまして、昨年十二月から健康安全研究センターで、本年二月からは民間検査機関でも変異株の有無を確認いたしますスクリーニング検査を開始いたしまして、現在まで合わせて二千七百件を超える検査を行っております。
変異株の発生事例につきましては、これまで国立感染症研究所での確定検査に基づき公表しておりましたが、国が新たな公表方針を示したことから、都は昨日、健康安全研究センターのスクリーニング検査でこれまでに判明した陽性例十二件を公表いたしました。
今後、変異株の急速な拡大が懸念されるため、健康安全研究センターでの検査数の上乗せに加えまして、スクリーニング検査を実施していない民間検査機関への個別の働きかけを推進し、四月までに累計四千件を目指して、規模拡大を図ってまいります。
○小磯委員 四千とはいわずに、民間検査機関へさらなる働きかけを行い、しっかり拡大をしていっていただきたい、このように要望します。
続きまして、都のワクチン開発です。
国による医療従事者の優先接種が始まっておりますが、今後のワクチンの安定供給を考えると、国内での開発はとても重要であります。ワクチンの供給を考えた場合に、今般のEUの状況等々、ワクチンが取り合いになると、その地域でつくっているワクチンを日本国内に輸入しようというときに、いろいろな制約、条件が課される可能性がないとはいえません。
東京都特別研究として、公益財団法人東京都医学総合研究所において、今年度から新型コロナウイルス等予防ワクチン開発研究を実施していると聞いております。都として力を入れて、早期に実用化できるよう取り組むべきであります。
研究の概要、今年度の研究成果と今後の取り組みについて伺います。
○吉村福祉保健局長 東京都医学総合研究所では、これまでに確立したワクチン開発技術を用いて、今年度から国立感染症研究所や製薬企業などとの共同研究により、新型コロナウイルスだけでなく、今後、新たなコロナウイルスが発生した場合にも対応できるワクチンの開発を行っております。
この研究では、新型コロナウイルスの遺伝子を導入した組みかえワクチンを作製し、マウスやカニクイザルなどの動物モデルに投与して、免疫誘導効果及びウイルスに対する発症予防効果を検証した結果、人に近い反応を示しますカニクイザルにおいて効果が確認できました。
人を対象とした臨床試験の早期開始に向け、試験を実施する製薬企業とともに、国立研究開発法人日本医療研究開発機構等への補助金の申請準備を行っており、実用化を目指してワクチンの開発を進めてまいります。
○小磯委員 人に近い反応をするカニクイザルで効果が確認できたということ、そしてまた、臨床試験のために補助金の申請準備を行っているということでございますので、しっかりお願いしたいというふうに思います。
コロナワクチンの接種について、国が示している医療従事者等の範囲には、医師や看護師だけでなく、感染症患者を搬送する救急隊員や自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務に従事する者など、感染症患者に頻繁に接する業務を行う者が含まれております。
特に自治体が実施する感染症対策は、患者移送を行う民間救急などの民間の方々にご協力いただいており、こうした方々についても優先接種の対象となる医療従事者等として適切に把握すべきであります。
都議会公明党は二月五日、都知事宛てに新型コロナワクチン接種に対する緊急要望を行い、救急隊員や民間救急車の隊員も含めるよう申し入れをしております。都の見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 優先接種の対象となります医療従事者等の範囲につきまして、国は、医師や看護師のほか、患者と接する業務を行います保健所職員、宿泊療養施設で患者に頻繁に接する者、自宅や宿泊療養施設、医療機関の間の移送を行う者なども含むとしております。
都は、患者の移送業務を担います民間救急事業者の接種対象者を把握するため、事業者が加盟いたします業界団体に接種予定者の取りまとめを依頼したほか、団体非加盟の事業者には、都が独自に開発したシステムに対象者を登録するよう依頼してございます。
また、保健所に対しましても、独自に実施いたします患者移送業務の状況を調査したほか、宿泊療養施設の患者移送業務で使用する陰圧車の運転業務を行っているタクシー事業者につきましても調査し、適切に接種対象者を把握してございます。
○小磯委員 今ありましたように、民間救急事業者、そしてタクシー事業者が入っているということを確認いたしました。
次に、接種券の発送時期について伺います。
これからいよいよワクチン接種が始まっていきますが、ぜひ市区町村との連携を密にお願いしたいと思います。
市区町村は、接種券を送るこの機会に必要な情報をしっかりと届けたい、単に接種券だけじゃなく、さまざまな案内、注意事項、また、このファイザー社のワクチンの効果、それから予診票も入れようとしております。
町田市では、高齢者向けの接種券発送は四月予定と公表しておりますが、実際には四月十二日の週に千名分のワクチンしか見えておらず、どの時期に接種券を発送できるかはいまだ確定をしておりません。
接種券の発送について、できるだけ正確な情報を入れるためにも、接種券については本格的な接種が始まる前に、すなわち五月前までに送ればいいのではないかとの声もあると聞いております。
接種券の発送時期についての都の認識を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 ワクチンの接種券につきましては、接種の実施主体でございます区市町村が、地域の実情を勘案し、適切な時期に発送する必要がございます。
接種券の発送時期は、ワクチンの配分量や配分日程とも密接に関係いたしますことから、都は、国からワクチンの供給予定が示され次第、区市町村ごとの配分数や配分のスケジュールに関して調整を行ってまいります。
○小磯委員 速やかな調整を要望したいと思います。
実は、予診票の中に、接種希望します、接種を希望しませんにチェックを入れる、そして被接種者、保護者が自署するというのがあります。
しかし、それでは認知症の方はどうするのか。都としても丁寧に対応すべきであると考えます。見解を求めます。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 ワクチンの接種に当たりましては、被接種者本人の文書による同意を得る必要がございますことから、予診票には被接種者または保護者名を自署する欄がございまして、自署できない場合は、代筆者が署名をし、被接種者との関係を記載することとなってございます。
認知症により本人の意思確認が難しい場合には、成年後見人の自署による同意が必要となります。
成年後見人がいない方につきましては、現時点で国は、家族やかかりつけ医などの協力を得て、本人の意思確認を行っていただくことが考えられるとしております。
都は、区市町村が円滑にワクチン接種を実施できますよう、引き続き国の動向を注視し、必要な情報を提供してまいります。
○小磯委員 おひとり暮らしで身寄りのない高齢者の方もいらっしゃいます。漏れがないように取り組んでいかなければなりません。都が国に対して、速やかに、しっかり検討するよう要望をしていただきたいと思います。ともかく現場である市区町村が混乱しないということが大事でありますので、都の取り組みを強く求めておきたいと思います。
次に、雇用対策について伺います。
就職氷河期世代の方の中には、不本意ながら非正規雇用で働くことを余儀なくされている方、また、就業経験が少なく自信が持てないなどのさまざまな理由から職につけていない方も多くいらっしゃいます。
昨年の予算特別委員会で、都議会公明党がこうした方々の正規雇用化に向けた支援について質問し、都はそれを受け、就職氷河期世代向けの専門相談窓口の設置に加えて、トライアル派遣就労の実施など、新たな就労支援策を講じてきました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、就職氷河期世代の非正規雇用の方々の雇いどめも数多く発生するなど、雇用環境は一層厳しさを増しています。
コロナ禍での困難な状況に直面している就職氷河期世代の方々に対して、都の支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 感染症の影響が長期にわたっております。これまで非正規雇用などで不安定な就労を余儀なくされてきた就職氷河期世代の方は、解雇、そして雇いどめにより職を失うなど、厳しい雇用環境に直面しております。
こうした状況にある就職氷河期世代の方に対しまして、都が安定した就労に向けた支援を行う、そして希望に応じて活躍できる舞台を整える、そのことは、今後の東京の持続的な成長を図る上で重要な取り組みでございます。
このため、都は来年度、ITなどの成長産業や、介護など人手不足が継続している分野の求人を重点的に開拓をしまして、トライアル就労を経て正社員就職を進める事業を三百人から千人を超える規模へと大幅に拡充をいたします。
また、この事業によりまして就職氷河期世代の方を正社員として雇い入れた企業に対しましては、助成金を支給しまして、採用へのインセンティブを付与してまいります。
さらに、就労経験の少ない方が職場の実習などを通じまして就職を目指すプログラムを拡充するなど、就職氷河期世代の方のさまざまなニーズを踏まえた支援を強化いたします。
これらの取り組みによって、就職氷河期世代の方の就労を強力に後押ししてまいります。
○小磯委員 正社員就職を進める事業を三百人から千人を超える規模へと大幅に拡充するとの力強い答弁でございました。
都議会公明党は、就職氷河期世代を対象にした高校卒業程度と大学卒業程度の採用枠も設けた都職員試験を提案するとともに、正規雇用での就労に向けた支援策として、非常勤職員の採用も行うべきであると訴えてきました。
これを受けて実施された都職員採用試験では、三千名を超える申し込みがあり、社会的ニーズの高まりが裏打ちされる結果となりました。
引き続き、都庁における就職氷河期世代の安定的な就労を支援する取り組みを行うべきであります。見解を求めます。
○山手総務局長 今年度実施いたしました就職氷河期世代を対象とした常勤職員の採用試験では、大学卒業程度の区分で十二名、高校卒業程度の区分で十一名、計二十三名が合格をいたしました。来年度も、それぞれの試験区分で採用予定者数を十名とすることを今月公表いたしました。
また、都庁において就労経験を積むとともに、資格取得などを通じて民間企業等への正規雇用での就労を目指す取り組みとして、非常勤職員の採用選考を実施しており、今年度、十名が合格をいたしました。来年度も十名程度を合格予定として募集を行いまして、現在、選考手続を進めてございます。
常勤職員と非常勤職員との二つの採用を実施し、公務職場を活用することを通じて、就職氷河期世代の方の安定的な就労に取り組んでまいります。
○小磯委員 コロナ禍の中、新たな就職氷河期世代を生まないように、都が全力で取り組んでいただきたいと思います。
感染症の影響が長期にわたり、経済へのダメージが広がる中、雇用情勢の回復の兆しが見えておりません。解雇や雇いどめにより離職を余儀なくされた方々への支援の強化が必要であります。
とりわけ、障害者やひとり親の方、生活困窮者の方などに対して、一人一人の事情に寄り添った支援が求められております。
昨年、都議会公明党は、こうした就労に困難を抱える方々に対する支援を行うに当たっては、就労に限らないワンストップの窓口を設置すべきと提案いたしました。
この提案を受け、都は今年度、しごとセンターにおいて専門相談窓口を開設し、実情に応じた就労支援を開始しております。
そこで、この専門相談窓口における支援の実施状況を明らかにするとともに、コロナ禍による雇用環境の悪化を踏まえ、就労困難者の支援を充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○村松産業労働局長 しごとセンターに設置しました専門サポートコーナーでは、さまざまな事情により就労に困難を抱える方に対して、キャリアカウンセラーや臨床心理士等の専門スタッフがチームを組み、連携して就労支援を実施しているところでございます。
このコーナーには、発達障害者の方やひとり親の方など、これまでに八十九名の方々が利用の登録を行い、就職活動に向けたメンタル面でのケアや採用面接への同行など、きめ細かな個別支援サービスを受け、既に十名の方々が就職を実現しております。
来年度は、本コーナーでの支援規模を百二十名に拡充するほか、この窓口を利用して就職された方々に対して、スタッフが勤務先を定期的に訪問し、職場の定着に向けた支援を実施するなど、サポート体制を強化してまいります。
○小磯委員 百二十名に拡充するということ、そしてまた、職場の定着に向けた支援を実施するなど、ぜひともこのサポートの強化をお願いしたいと思います。
続きまして、環境施策についてお伺いいたします。
自動車の脱炭素化に向けた取り組みについて伺います。
都は、運輸部門の脱炭素化に向けて、ZEVの普及拡大に力を入れていくこととしています。ZEVには、電気で走るEV、そして、水素を燃料とするFCVなどがあります。
車両のZEV化を進めていくだけでなく、都内全体のCO2排出量を削減するという観点からは、そのエネルギー源についても脱炭素化していくことが必要であります。
そこで、まず、エネルギー源のうち、電力の脱炭素化を図るために、都民、事業者の再エネ利用を拡大していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 二〇五〇年ゼロエミッション東京、この実現に向けましては、ZEVのエネルギー源ともなります電力等の脱炭素化が必要となってまいります。特に、二〇三〇年までの今後十年間に、実効性ある行動をさらに加速していくことは重要であります。
このため、例えば家庭の太陽光発電設備の設置に対する支援を引き続き行ってまいるとともに、来年度から、ZEVの導入とあわせまして再生可能エネルギー一〇〇%電力を利用する場合は、環境省補助と連携しまして、車両への補助を増額いたしてまいります。
また、事業者の再エネ設備導入への支援を拡充いたしますほか、キャップ・アンド・トレードの制度などによって、建築物等において再エネ利用を促す取り組みを着実に進めてまいります。
あわせまして、従来は小売電気事業者ごとの再エネ利用率等を公表していたところ、来年度からは、都民、事業者が再エネ割合の高い電力を選択しやすくするために、電力販売メニューごとの再エネ利用率等の公表も予定をいたしております。
こうした取り組みを通じまして、都民や事業者の再エネの設備導入、そして利用の拡大を進めていくことによりまして、二〇三〇年の再エネ電力の利用割合を五〇%へと高めてまいります。
○小磯委員 次に、燃料電池自動車、FCVのエネルギー源である水素について伺います。
現状、水素の多くは化石燃料由来であります。FCVにおいても、将来的にはCO2フリー水素を活用していくことが重要であります。
私はかつて環境局に対して、福島県に設立された国の産総研の福島再生可能エネルギー研究所、そして福島県と連携して、水素並びに再生可能エネルギーを通して福島の復興に貢献すべきだと提案し、都は、これに応えて、協定を結び、取り組んでまいりました。
CO2フリー水素が広く普及するには、コストや技術面など、まだ多くの課題がありますが、普及を加速させるため、都内でのCO2フリー水素の活用事例をふやしていくべきと考えますが、今後の都の取り組みについてお伺いします。
○栗岡環境局長 CO2フリー水素につきましては、活用の機会を広げることで技術開発を促進し、コスト低減につなげていくことが重要でございます。
都はこれまで、今お話がございました福島県、国の産業技術総合研究所、東京都環境公社との四者協定に基づき、イベント等で福島県産CO2フリー水素を活用したほか、水素蓄電の共同研究の成果を活用した実証研究を実施してございます。
来年度は、地域における再エネシェアリングのモデル事業で再エネ由来水素を活用するほか、再エネ由来水素設備への補助を実施し、活用事例を積み上げてまいります。
また、CO2フリー水素の活用促進策の調査を実施し、普及を後押しする施策を検討してまいります。
こうした取り組みによりましてCO2フリー水素の普及を促進し、エネルギー源の脱炭素化を進めてまいります。
○小磯委員 脱炭素化、脱炭素社会の実現にはCO2フリー水素の普及は欠かせません。ぜひ積極的に取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、アスベスト対策について伺います。
アスベストは、断熱材などの建材に広く使用されてきましたが、重い肺の病気になることがわかり、平成十八年以降はその使用が禁止をされております。
しかし、古い建物の解体現場等ではアスベストを含む建材が確認されており、国の調査によりますと、元請業者による工事前の調査でアスベストが見落とされ、作業員の方が知らない間にアスベストにさらされたおそれのある事例が全国で確認をされております。
国は、大気汚染防止法を改正し、来年から、元請業者によるアスベスト調査の結果を行政に報告する制度を開始します。元請業者から報告を受けた都や区市の職員が適切に指導を行い、安全・安心なアスベスト処理を徹底させる必要があります。
そこで、まず、都は法改正による新たなアスベスト事務の実施に向け、区市と連携しての取り組みについて見解を求めます。
○栗岡環境局長 大気汚染防止法の改正を受けまして、令和四年四月以降、都や区市に報告される調査結果の件数は年間約二十五万五千件と見込んでございまして、適正なアスベスト処理に向け、報告に基づく業者への事前指導や立入調査において、これまで以上に効率的かつ効果的な監視指導が求められてございます。
このため、都は、都と区市で検討会を立ち上げまして、アスベスト事務の円滑な実施に向けた検討を開始します。検討会では、アスベストに関する過去の不適切事例や、最新の技術動向を盛り込んだ職員向けの立入検査マニュアルを作成し、監視指導のノウハウの共有を図ってまいります。
また、都区市合同の職員向け研修会の充実に向け、検討会では研修内容についても協議を行ってまいりたいと考えてございます。
こうした取り組みを通じまして、都と区市職員による監視指導のレベルアップを一層進めてまいります。
○小磯委員 阪神・淡路大震災では、建物等の倒壊によりアスベストが飛散し、一カ月程度復旧作業に携わった方が、アスベスト関連疾患である中皮腫を発症して労災認定を受けました。短い期間であっても、大量にアスベストを吸引すると健康被害が発生をしているわけであります。
本日は東日本大震災からちょうど十年目でありますが、地震災害が頻発する中、災害復旧の作業員、ボランティア、そして地域住民の皆様にアスベストによる健康被害があってはなりません。
また、災害時のアスベスト対策を実効性のあるものとするためには、災害の発生から復興に至るまでの各段階において、きめ細やかな対策も必要であります。
そこで、災害時におけるアスベスト対策について、都の取り組みについて見解を求めます。
○栗岡環境局長 災害発生時には、地域住民や作業員等の健康被害を防止するため、被災地でのアスベストの飛散状況を把握することや、都と地元自治体との明確な役割分担のもと、体系的に災害対応に取り組む必要がございます。
都は昨年九月に、東京都環境計量協議会と協定を締結いたしまして、災害発生時に同協議会の会員事業者と連携して、迅速にアスベストのモニタリングを行う体制を整えたところでございます。
また、来年度は、区市等と連携して、災害時の役割分担や対応事項を体系的に整理した災害時におけるアスベスト対策マニュアルを策定し、都内の実情に即した具体的な対応をまとめてまいります。
あわせて、協議会、区市等と災害発生時を想定したアスベスト対応訓練についても協議し、今後、被災現場において実効性のあるアスベスト対策を実行できるよう取り組んでまいります。
○小磯委員 この災害時マニュアルを策定するということと実効性あるように訓練をするということで、しっかりお願いしたいと思います。
そして、被災現場では、やはり何といってもマスクをしっかり着用して、アスベストの吸引を防ぐことが大事であります。我々が今している、こういう感染用のマスクではなく、密着性や防御性能の高い専門のマスクが必要であります。
災害時のアスベストの飛散に備えるため、都は、マスクを備蓄し、被災地の活動に携わる方々の健康を守るべきであります。見解を求めます。
○栗岡環境局長 被災地において、アスベストの飛散またはそのおそれが確認された場合、人への健康被害を防止するためには、専用マスクの着用や応急の飛散防止措置が必要でございます。
そこで、都は来年度から、こうした作業に従事する行政職員が着用する専用マスクの備蓄を開始いたします。加えて、アスベストに散布する飛散防止剤や、周囲と隔離するビニールシートなど、応急の飛散防止措置に使用する資材も備蓄いたします。
今後、これらの備蓄品の活用方法等を、来年度作成する災害時のアスベスト対策マニュアルに盛り込みまして、アスベストの飛散リスクに対する現場の対策に万全を期してまいります。
○小磯委員 災害時のアスベスト対策を進めていく第一歩であると受けとめました。このマスクは職員だけでなく、復旧に携わる作業員、ボランティア、そして地域住民の皆様にも配布できるということが求められているというふうに思います。それを強く要望して、次の質問に移ります。
次、多摩都市モノレールについてお伺いします。
四百万人もの人口を抱える多摩地域の活力の維持向上を図るためには、交通ネットワークを充実させ、広域的に人や物の流れを創出していくことが重要であり、多摩都市モノレールは、こうした多摩地域の発展に大きな役割を果たしております。
多摩都市モノレールの多摩センターから町田方面への延伸は、市内の交通利便性を向上させるとともに、多摩地域における交通ネットワークの充実に資する、極めて重要な路線であります。
町田市では、モノレールの延伸を見据えて、UR小山田桜台や山崎団地等においてストック再生の取り組みを進めるとともに、小田急電鉄とも連携し、小田急線町田駅周辺まちづくりにかかわる検討を進めております。
市民が勝手連で(パネルを示す)これが、町田駅にモノレールが入ってくるイメージ画をつくっております。町田市民から熱望されているところでございます。
都は昨年度より、学識経験者等で構成するルート検討委員会において、地形など地域の状況を考慮するとともに、駅位置などの前提条件も想定しながらルートの検討を進めており、こうしたまちづくりの動向も踏まえて、一刻も早く結論を出すべきでありますが、現在の進捗状況と今後の進め方について、都の見解を求めます。
○上野東京都技監 多摩都市モノレールの町田方面への延伸によりまして、開業区間と一体となり、南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
事業化に向けては、収支採算性の確保等に加え、導入空間となり得る道路整備の課題もあるため、学識経験者等で構成するルート検討委員会を設置し、検討を進めております。
現在、道路の混雑や路線バスの遅延など、ルート周辺の交通状況やまちづくりの動向等を踏まえるとともに、最新の東京都市圏パーソントリップ調査のデータも活用し、将来の需要予測や費用対効果の検証等を行っております。
こうした検討を加速し、早期にルートを選定しまして、地元市によるまちづくりの具体化につなげてまいります。
引き続き、関係者との協議、調整を加速し、多摩地域における交通インフラの充実強化に取り組んでまいります。
○小磯委員 続きまして、IT活用の助け合いサービスについて伺います。
デジタルを活用し、移動時に困ったときに手助けしてほしい市民と、助けたいと思っているボランティアをマッチングする民間アプリが開発されています。自治体の中にはそうしたアプリを活用して、心のバリアフリーのムーブメント醸成に向けて取り組んでいるところであります。
都においても、かつて、高齢や障害のある方と、手助けする方をマッチングするために、民間のアプリを活用した実証実験を行っておりますが、具体的な実施内容とその成果について伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 都が行いましたマッチングに関する実証実験では、二種類のアプリを活用し、サービスの有用性等を検証いたしました。
一つは、駅周辺において、階段の移動等でお困りの高齢者や障害者などを、位置情報を使って、近くに居合わせたサポーターが介助するものであり、もう一つは、店舗内の移動等でお困りの方々が、販売員にサポートを依頼するものでございます。利用者からは、抵抗感なく支援をお願いできるようになったなどの高い評価をいただいたところでございます。
これらの取り組みにつきましては、駅周辺でのサービスは既に二十三区全域で実用化され、店舗型につきましても来月から新たにサービスが開始される予定でございます。
実証実験の成果を踏まえた取り組みが着実に進展していると認識しております。
○小磯委員 都の実証実験を踏まえ実用化された民間アプリについて、開発した大日本印刷株式会社に話を聞きました。
これは、そのアプリを簡単にフローチャートで示したものであります。(パネルを示す)利用者がサポートの依頼内容を、例えば利用者が車椅子でちょっとの段差で困っていて、サポートの内容を選択して、スマホのアプリで依頼をする。近くにいるサポーターが依頼を受けて、サポーターに利用者の情報を知らせ、やりますよと立候補するということであります。そして、アプリで場所とか、また、その人の、お互いの服装など詳しい情報をお知らせして、利用者とサポーターをマッチングして、利用者に手を差し伸べるというものであります。
少しお手伝いをして、ちょっとボランティアするちょいボラで、役に立ちたい人の気持ちを後押しするMay iiというアプリであります。
都の実証実験により、こうしたアプリが実用化され、普及が進むことで、都民の心のバリアフリーが進むことが大いに期待できます。
そこで、生活文化局長にお伺いします。
このようなアプリを活用することで個人が気軽に活動に参加することができ、二〇二〇大会に向けたボランティア機運も高まるのではないでしょうか。
そこで、シティキャストや外国人おもてなし語学ボランティアなどの大会関連ボランティアはもとより、多くの都民がこのアプリのような取り組みを知って、まち中や地域でボランティア活動にかかわってもらうことが必要だと思いますが、局長の見解を伺います。
○野間生活文化局長 都はこれまで、ポータルサイトやSNSにおいて、家にいても、集まらなくてもできる、どこでも共助や、バリアフリー情報を簡単に提供し合えるアプリなど、ボランティア活動へのハードルを下げ、コロナ禍での活動継続にもつながる情報を発信してまいりました。
ボランティア活動を希望しながら、一歩踏み出すことができないでいる人々にとっては、さまざまなツールを使うことで、活動のきっかけとなる効果が期待できます。
今後、こうした取り組みを、約三万人のシティキャストや約五万人の外国人おもてなし語学ボランティアの方を初め、多くの都民にメールマガジンやポータルサイトにより情報提供するとともに、ボランティア関連団体等にも周知を図り、大会やその後を見据え、機運の醸成を図ってまいります。
○小磯委員 同じくIT関係で、公社住宅における集会所のWi-Fi環境整備について伺います。
公社住宅において、コロナ禍を契機とした新たな日常に向けて、居住者の利便性を高めるため、現在、建てかえした新築住宅では、集会所にWi-Fiルーターを設置しているところがあります。
集会所は居住者の共有スペースとして、さまざまな目的での活用が期待されていることから、既存住宅の集会所においてもWi-Fi環境の整備を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
○榎本住宅政策本部長 東京都住宅供給公社では、昨年九月から集会所をコミュニティサロンに改称するとともに、使用料を無償化し、居住者のさまざまなニーズに応えられるよう取り組んでおります。
その取り組みの一つとして、コロナ禍においてコミュニティサロンでのテレワーク利用にも対応するため、建てかえ住宅におけるWi-Fi環境の整備に加えまして、既存住宅におきましても、今年度から試行的に区部二カ所、市部二カ所で導入しております。
今後、これらの住宅におけるWi-Fiの利用状況や利用者に対するアンケートの結果を踏まえまして、テレワーク需要や入居促進効果等も考慮しながら、引き続き、Wi-Fi環境の整備を推進していくこととしております。
○小磯委員 東京都教育委員会は、子供のいじめ、友人関係、学校生活、不登校、また保護者の子育ての悩みなどなど、相談を受ける教育相談一般・東京都いじめ相談ホットラインの事業を行っています。
電話、メール、SNSなどで相談を受け、場合によっては来所相談、そして継続的な面接も行っています。
そこで、オンラインでの教育相談が必要と考えますが、都教育委員会の考えを伺って、終わります。
○藤田教育長 現在、都教育委員会は、子供の不安や悩みを早期に受けとめ解消し、一人一人の健やかな成長を支えるため、子供やその保護者などが相談しやすい、多様な相談窓口を設けているところでございます。
具体的には、都教育相談センターにおいて、心理職等が、来所した子供や保護者と直接対面しての相談を行っていますほか、休日等も含めた二十四時間体制で、電話やメール、SNSでの相談も受け付けております。
今後、来所相談を進める中で、相談者が希望した場合、ビデオ通話などオンラインを活用した対面による相談もできるよう、通信環境等を整備し、相談者に寄り添った相談体制を強化してまいります。
○上野副委員長 小磯善彦委員の発言は終わりました。(拍手)
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