予算特別委員会速記録第三号

○木村委員長 入江のぶこ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、伊藤副委員長着席〕

○入江委員 困窮する業界の支援について伺います。
 まず、東京の食を盛り上げる取り組みについてです。
 食に関連する産業は、飲食店はもとより、農林水産などの一次産業から、流通、加工という食産業、さらには観光における食の提供など、関連する分野の裾野は極めて広く、その市場規模は百五十兆円、GDPの約三割にもなるといわれている巨大産業です。
 一年以上の新型コロナウイルス感染拡大により、都内の飲食店は、営業時間短縮や休業、外出自粛要請による来店客の減少など、多大な影響を受けています。
 ある日本を代表するシェフは、八方塞がりで長期消耗持久戦だと表現されました。そして、未来を見ないと次の打ち手がわからない、対策、支援と将来のビジョン、その両方が必要とおっしゃいました。
 食は関連産業の裾野が広いため、その影響も多岐にわたっています。この危機を乗り越え、東京、日本の競争力の大きな源泉である食の関連産業全体をしっかりと盛り上げていくことが重要であり、成長産業としてどう発展させていくか、その戦略が問われております。
 私たち都民ファーストの会は、さまざまな方のご意見を伺い、昨年の第三回定例都議会において、新たに策定する長期戦略の中で、食を東京の都市の競争力の一つと明確に位置づけるべきとの提案をいたしました。
 そして、我が会派の提案を受け、都が二月に公表した未来の東京戦略案には、世界一の美食都市実現プロジェクトが盛り込まれました。このことを高く評価いたします。
 新型コロナウイルス感染症を契機として、未来を見据え、食の関連産業をさらに強化し、世界に誇る東京の食を守り、進化させ、食文化都市東京を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 入江のぶこ委員のご質問にお答えいたします。
 ご指摘のように、最新のミシュランガイドでも、星つきの飲食店は、東京で二百を超えております。そして、和食から洋食、伝統料理から革新的な創作料理まで、東京が持つこの多彩な食は、世界の他の都市にはない大きな強みとなっております。
 新型コロナという未曽有の危機の中で、食にかかわる皆様方には大変なご苦労をおかけいたしておりますが、何としても乗り越え、そして豊かで洗練された食を未来へとつないでいくことは私たちの責務でございます。
 危機にある今だからこそ、議員のご指摘のように、大きなポテンシャルを秘めました食を成長産業へと位置づけて、戦略を持って取り組んでいかなければならない。そのため、未来の東京戦略におきまして、未来の東京の創出をリードする主要プロジェクトに、世界一の美食都市実現プロジェクト、これを新たに立ち上げております。
 具体的には、東京を訪れた方が多彩な食をさまざまな形で楽しむことができるような、そのような大規模なフェスティバルを、春、そして秋に開催をする。また、新鮮で高品質な東京産食材の生産流通の拡大に取り組む。さらに、新しい日常に適応したさまざまな形でのサービス提供への支援など、生産から流通、消費に至る関連産業の復興とさらなる成長を後押しして、幅広い政策を戦略的に展開いたしてまいります。
 東京にとりまして、かけがえのない財産であります食、これを守り育てることによって、世界の台所として持続的な成長を続け、国内外の人々を魅了する世界に冠たる美食都市を実現してまいる、このように考えております。

○入江委員 知事より、東京の食に対する思いと、その食を成長産業と捉え、戦略的に取り組むという力強いお言葉をいただきました。
 コロナ禍で日々大変な思いをされながら、前を向いて必死に頑張っていらっしゃる生産者や流通業、シェフ、料理人の方など、食にかかわる多くの方々に希望を与えるものです。
 ただいまのご答弁にもありましたが、未来の東京戦略案において、世界一の美食都市を実現するための具体的な取り組みとして、TOKYO GOURMET FESTIVALが盛り込まれたところです。
 日本の食は、新鮮で高品質な日本中の食材が集まり、世界中の多彩な食のメニューが用意され、また、洗練されたサービスを受けることができるなど、観光コンテンツとしても大きな強みがございます。
 このTOKYO GOURMET FESTIVALという食のイベントにおいて、世界一の美食都市東京を支える食の魅力を国内外に向けて積極的に発信することが重要であり、また、コロナ禍の中、日々努力されている飲食店などのさまざまな取り組みの促進を図ることも重要であると考えます。
 この事業の内容について伺います。

○村松産業労働局長 都では、東京が誇る食の魅力をさらに向上させるため、新たな取り組みを展開していくこととしております。
 具体的には、令和四年の春の食フェスティバルの実施に向けて、国内外の旅行者が東京の食を堪能することができるよう、食の体験など多彩な企画を検討してまいります。
 また、これまで丸の内などで開催してきた秋の東京味わいフェスタでは、令和三年度、新たなエリアでも実施いたします。これとあわせて、地域の飲食店に東京産食材を使用したメニューを提供していただく取り組みを実施してまいります。
 さらに、こうしたイベントの機会を捉え、飲食店等がコロナ禍で創意工夫を凝らし実施している新たな取り組みをPRするなど、その事業展開を後押ししてまいります。
 春、秋の二大イベントにより、東京の食の魅力を効果的に発信し、世界に冠たるグルメ都市東京を実現してまいります。

○入江委員 ぜひ多くの飲食店などに参加していただき、東京の多彩な食の魅力とパワーを十分に国内外に発信していただきたいです。
 また、このイベントを通じて、例えば、ロボットなどを使うフードテック、キッチンのみでデリバリーに特化するゴーストレストラン、VR店舗など、コロナ禍による社会の変化に対応した、新たな取り組みを行う飲食店や食関連事業者のPRの機会としていただきたいです。
 こうした取り組みを飲食業界に広く普及させていく契機としていただくことを要望いたします。
 さて、長期戦略の中でも、生産から流通、飲食事業者まで、東京の食関連産業の経営力を強化すると言及されています。
 コロナ禍で業務の再構築やイノベーションが求められている食関連産業全体に、新しい時代に即した経営強化支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○村松産業労働局長 都は、コロナ禍における食関連事業者に対して、商品開発から製造、販売に至るまで一貫した支援を提供いたします。
 商品開発の面では、試験研究機関による食品の成分分析や加工等の技術支援のほか、製造過程で必要となる生産設備の導入経費に対する助成も行ってまいります。
 また、商品流通の面では、都内産の農林水産物等を活用した特産品について、バイヤーとのマッチング商談会の開催とともに、小売店や物産展等で特設販売を実施するなど、新たな販路開拓につなげてまいります。
 これらに加え、飲食店などにおける非対面型サービスの創出などを支援するため、専門家によるサポートと事業開発資金などの助成を行うモデル事業を新たに開始いたします。
 こうした総合的な施策の展開によりまして、東京の食関連産業の発展を図ってまいります。

○入江委員 新たな経営強化支援策をご答弁いただきました。ぜひ、これを使っていただける飲食関係事業者へ丁寧な周知もお願いしたいと思います。
 続いて、飲食店などに寄り添う取り組みとして、感染防止徹底宣言ステッカーの業界団体点検事業について伺います。
 都では昨年六月に、感染防止徹底宣言ステッカー、通称虹のステッカーの発行を開始しました。店舗の感染防止対策について、それまで何も目安がなかったところから、事業主や店主がみずから業界別ガイドライン等に基づく感染防止策を一つ一つチェックできたことは大変有効でした。そして、都民が安心して利用できる店舗であることをわかりやすく示すために、虹のステッカーの普及拡大に努めております。
 まず、ステッカーが都民にどの程度浸透しているのか、また、都民が実際の店舗選びに活用しているのか伺います。

○山手総務局長 本年一月に実施した都政モニターアンケートでは、ステッカーを見たことがある方が九割でございました。また、店舗等が自主的に感染防止対策を行っていることを示しているというステッカーの意味を知っていた方も約九割おられまして、多くの都民にステッカーを認知していただいているところでございます。
 さらに、同調査において、店舗等を選ぶ際にステッカーの掲示を確認しているかを聞いたところ、必ず確認しているとできるだけ確認しているを合わせて六七・一%でございました。
 今後とも、都民が安心して店舗を利用するための目印としてステッカーを活用いただけるよう、さまざまな機会を捉えて普及啓発に取り組んでまいります。

○入江委員 さて、虹のステッカーを張り出していただきましたが、継続してそのお店で感染防止策が行われているのかなど虹のステッカーの実効性を担保するために、都が直接店舗を確認することに加え、昨年の第三回定例会の都民ファーストの会の代表質問では、業界団体と連携した取り組みを強化すべきと提案いたしました。
 これを受け、都では、十月から団体向け新型コロナウイルス感染防止対策自主点検等支援事業の募集を開始し、業界団体による自主点検等の取り組みをスタートさせたところです。
 そこで、改めてこの自主点検等支援事業の意義を伺うとともに、今年度の交付決定の状況や点検指導の対象店舗数など、その取り組み状況について伺います。

○山手総務局長 自主点検等支援事業は、業界団体が自主的に行う会員事業者等への点検指導及び普及啓発の取り組みに要する経費の補助を行うものでございます。
 これにより、業界団体が事業者に対し、自主的に感染防止対策を維持、継続することを促し、ステッカーの実効性を向上させることは、対策の徹底と都民の安心を確保することにつながるものと考えてございます。
 今年度の補助金の交付決定団体数は、点検指導が十団体、普及啓発が十六団体でございます。
 点検指導の対象となる店舗等の件数は、十団体の事業計画ベースで約一万八千九百件を見込んでございます。

○入江委員 感染拡大を終息させ、ウイズコロナでの営業を支えるためには、虹のステッカーの取り組みを通じた、事業者と都民の皆さんの双方の協力による持続的な対策が必要となります。
 そのためには、各事業者の自主的な取り組みに任せるだけではなく、自主点検等支援事業のように、第三者によるチェックを実施するといった形で、適切な対策を担保することが重要です。
 私も、自主点検を実施する団体の店舗への点検指導に同行させていただきました。お店の方からは、虹のステッカーは自己申告であるため、適切な対策ができているのか不安であったけれども、このように外部の方々がしっかりチェックしていただいて安心だし、ご相談もできるとの声が多数聞かれました。
 感染防止対策の知見やノウハウは日進月歩であるため、業界団体などを活用して、その時々の適切な対策が行われていることを点検すれば、事業者の皆さんの安心感にもつながります。
 ぜひとも、来年度も自主点検等支援事業を継続し、感染防止対策の徹底に向けて、そしてウイズコロナでもきっちりと営業していただけるように、広く業界団体に自主点検に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、今後、業界団体による自主点検をどのように普及定着させていくのか、都の見解を伺います。

○山手総務局長 事業者が最新の感染動向や知見等を踏まえ、効果的な対策を講じるためには、業界団体によるステッカー掲示店への自主的な点検指導の取り組みを一過性のものに終わらせることなく、定着を図っていくことが重要でございます。
 このため、来年度も自主点検等支援事業を継続的に展開し、業界団体による点検指導の取り組みを支援してまいります。
 事業の実施に当たっては、都民に点検指導を行った時期をわかりやすく示していくため、点検済みシールの色を今年度の青色から変更いたします。
 こうした工夫に加えまして、本事業の活用を業界団体に引き続き強く働きかけることで、自主点検の取り組みを普及させ、ステッカーの実効性を確保してまいります。

○入江委員 私が同行させていただいた団体は一般社団法人日本環境衛生安全機構ですが、こちらは、飲食業を中心に、東京には多いとされる業界団体に属していない店舗などを対象に、精力的に点検指導されていました。
 この団体の代表は有名なオーナーシェフの方で、飲食店を守るために、シェフがみずから感染防止の見回りを行っているということで、NHKを初めとしたテレビニュースにも扱われたところでございます。(パネルを示す)そして、この点検指導を行っている検査員の方は、ひとり親の方、コロナ禍で仕事を失った方など、経済的弱者の方々が多くいらっしゃいました。私が同行させていただいたこの団体では、そういった方々に研修を行い、検査員として働く場を提供し、この事業の本来の目的を超えた経済的支援にも取り組まれていました。
 このような、従来、行政とつながりのなかった団体ともしっかりと連携を図りながら、その活動を後押しし、感染防止対策の徹底を図っていただくことを強く要望します。
 続いて、困窮する業界の支援について、東京の芸術文化、ライブエンターテインメントを盛り上げる取り組みについて伺います。
 東京の魅力の源泉の一つに、芸術文化活動が挙げられます。伝統芸能やクラシックばかりではなく、ライブエンターテインメントもまた、世界に誇る東京の魅力であるアートシーンを支えています。
 DJやミュージシャンやダンサーといったアーティストや、クリエーター、エンジニアの方々、そして、ライブハウスやクラブ、ミュージックバー、ダンスフロア、DJブースといった文化的施設も、このコロナ禍で活動が制約されています。エンターテインメント文化を発信してきたライブハウスの店舗閉鎖が続くなど、大変苦しい状況が続いております。
 ライブエンターテインメント関係者の応援や支援を求めるこちらの#SaveTheDance(パネルを示す)の署名活動は、五万二千人以上の署名を集め、ビッグアーティストなども賛同され、大変話題となっております。
 都は、コロナ禍で打撃を受けたアーティストへの支援として、アートにエールを!東京プロジェクトを実施しましたが、こうしたいわゆるライブエンターテインメントへの支援状況について伺います。

○野間生活文化局長 東京の魅力でありますアートシーンは、多様な分野のアーティストによる多彩な活動で支えられております。
 今年度実施しておりますアートにエールを!東京プロジェクトでは、ライブエンターテインメントを支える方々を含む幅広い分野で支援を行いました。
 動画作品を制作していただいたアーティストやスタッフを支援する個人型では、ライブハウス等でも活動されているミュージシャン、ダンサー、DJ、技術スタッフ等の方々も、個人やユニットで参加しております。
 また、都内での公演を支援するステージ型においては、ライブハウス等を会場とする企画も対象といたしたところでございます。

○入江委員 アートにエールを!東京プロジェクトでは、ライブエンターテインメントで活躍されている方々も含めて支援しております。
 あるロックシンガーは、この支援によってライブ配信用のカメラの台数をふやすことができ、充実した新曲発表を行いました。
 コロナ禍の対策として普及したライブ生配信については、レコード原盤権の集中管理による権利処理が必要ではないかという問題等もございまして、私も日本を代表するDJの皆さんと日本レコード協会のお話し合いをつないだところでもございます。
 このアートにエールをの支援を受けて制作された動画作品には、ステージでの演奏と最新の映像技術を融合させるものがあり、こうした支援は、アーティストの活動の幅や可能性を新たに切り開くものだと感じております。
 さて、ライブエンターテインメントも対象となる次年度における芸術文化支援のメニューについて伺います。

○野間生活文化局長 緊急事態宣言等によりまして現在も厳しい状況にある芸術文化団体等に対しまして、来年度、アートにエールを!東京プロジェクトのステージ型を追加募集いたします。
 さらに、来年度は、本プロジェクトのレガシーとして、実行委員会など複数の主体がコラボレーションするプロジェクトやフェスティバル等、支援の波及効果の高い大型プロジェクトへの助成を行います。その対象には、ライブイベントなども想定してございます。
 引き続き、東京の魅力を構成するさまざまな分野で活動する人々を支えてまいります。

○入江委員 都は、未来の東京戦略案において、二〇三〇年に向けた文化、エンターテインメント都市戦略として、人々の日常に楽しみや喜び、感動を再び取り戻す戦略を展開するとしております。
 ポストコロナを見据えれば、ライブエンターテインメントは、ナイトタイムエコノミーの回復後のインバウンドによる経済、文化の交流を創造するものと大変期待されます。
 アート、音楽、演劇、伝統芸能、ライブエンターテインメントといった東京の持つソフトパワーの強みを最大限に生かし、人々が新しいスタイルで、再び集まり、熱狂し、楽しめる東京を実現するために、都としてライブエンターテインメント分野もしっかりと支援していただくことを強く要望いたします。
 また、アーツカウンシル東京が窓口になるTokyo Arts Fundの対象にライブエンターテインメント分野も含んでいただくことを要望いたします。
 続いて、環境と金融について伺います。
 先日、日本のメガバンク、三井住友銀行が日本として初めてグリーン預金、つまり、環境預金の取り扱いを開始すると報道され話題になりました。
 企業や機関投資家から資金を募り、再生可能エネルギー発電や環境に最大限配慮した建築物など、二酸化炭素、CO2の排出削減につながる事業に絞った融資に充てるとのことです。
 持続可能な開発目標であるSDGsの実現に向けたESG投資、つまり、環境、社会、企業統治への投資はグローバルな潮流となっています。
 特に、気候危機や新型コロナウイルス感染症という危機を乗り越え、カーボンニュートラルや持続可能な経済、社会に向けて進んでいく上では、サステーナブルリカバリーの推進が不可欠です。
 そこで、サステーナブルリカバリーを推進する上で、環境と金融を組み合わせたグリーンファイナンスに取り組んでいく意義を知事に伺います。

○小池知事 環境問題についてお答えいたします。
 気候変動への対応とともに、ポストコロナを見据え、脱炭素社会の構築など持続可能な経済をつくり上げていくのがサステーナブルリカバリーでございます。これはもう既に世界の潮流となっております。
 従来のCO2の排出を前提としていた経済や社会をグリーンなものにつくりかえる、そのためには多額の資金が必要でございまして、それは金融の力によって取り組みを変え、支えていくグリーンファイナンスが大きな役割を果たすことになります。
 そのため、都はこのたび、仮称でございますが、Tokyo Green Finance Marketの創設に向けた検討を開始したところであります。国内外から、再生可能エネルギーの普及など環境を中心とするESG投資など、これに係る資金を東京に呼び込む、そのような仕組みを構築してまいります。
 また、東京金融賞におきましては、グリーンファイナンスの取り組みで顕著な貢献があった事業者を新たに知事特別賞として顕彰いたします。環境と金融を組み合わせた事業に取り組む意義を国内外に広くアピールすることといたしております。
 こうした一連の取り組みを通じまして、経済、社会のグリーンシフトを金融面から支える、そのような仕組みをつくり上げて、東京が環境先進都市として、また、国際金融都市としてグリーンファイナンスの分野でリーダーシップを発揮してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。
 東京都は、以前より国民の安定的な資産形成や成長産業への資金供給を担う資産運用業、そして、ブロックチェーンなどを活用して、都民や都内企業に新たな金融サービスを提供するフィンテック企業の誘致を進めております。平成二十九年度から四年間で五十社の企業誘致を達成する見込みとのことです。
 アプリなどを利用した少額投資は若い世代にも広がっております。国においても、これまでの都の要望が実を結び、金融系企業の税負担軽減につながる来年度税制改革を発表しました。
 今回のグリーンファイナンス推進に当たっても、プレーヤー企業の集積を早期に実現するために、国の動きも踏まえ、この分野の金融系外国企業の誘致に重点的に取り組むことが必要だと考えます。
 私の地元港区には、虎ノ門や六本木など外国企業誘致を強化する地区がありますが、オフィス家賃やスタッフ人件費など初期費用が高額であることがネックになるという声がございました。この点について、来年度、東京都はグリーンファイナンスに取り組む外国企業を支援する補助金を新たに創設いたします。
 こうした取り組みと同時に、グリーンウオッシュと呼ばれる環境に配慮をしているように装う企業を、その対象としないように適切に選定を行っていく必要がございます。
 この新たな補助金の狙いと内容、その特色について伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 来年度新たに創設いたします金融系外国企業重点分野支援補助金は、東京市場におけるグリーンファイナンスの担い手の誘致を加速するため、この分野に取り組む外国企業に対し、都内進出から定着までの一定期間、重点的、集中的に支援をするものでございます。
 具体的には、企業から提出された事業計画書に基づきまして、外部有識者を含む審査委員会において公益性、実現可能性、収益性などの観点から審査を行い、支援対象を五社選定し、人件費、人材採用経費、オフィス賃料、器具設備購入費などについて最長四年間補助することとしております。
 特に、初年度には五千万円を限度に対象経費の全額を支援するなど、手厚い支援が必要となる進出初期に集中的な支援を実施することで、東京における事業基盤の早期確立と定着を後押ししてまいります。

○入江委員 グリーンファイナンスの分野の外国企業を重点的に、集中的に誘致し定着させることは、プレーヤーの集積のため、ひいては国際金融都市をめぐる都市間競争を勝ち抜くために必要なことです。
 グリーンファイナンスの分野では、ヨーロッパが他地域に比べて先行しているといわれますが、東京も、まだ投資には回っていないといわれる個人資産約一千九百兆円を有しております。都が民間事業者とともにさまざまな施策を進め、十分にキャッチアップするべきだと考えます。
 ウイズコロナ、ポストコロナの東京が、国際金融都市、環境先進都市として今後も発展し続けるために、スピード感を持ってグリーンファイナンスの推進に取り組んでいただくことを要望いたします。
 子育て家庭、そして、働くママ、パパの支援について伺います。
 妊娠、出産、育児という大きなライフイベントがあっても女性が仕事を続けられるように、キャリアをアップデートできるように、育児支援や家事支援など環境を整えることが重要です。そして、そのことが少子化対策にもつながります。
 子育て中の女性議員が多い都民ファーストの会は、これまでベビーシッターの活用やスマート家電の導入を推進してまいりました。そして、今回、コロナ禍の厳しい状況の中で出産に臨まれるご家庭に寄り添うべきと提言し、新たな事業が成立することになりました。
 来年度予算案に計上された新規事業、東京都出産応援事業−コロナに負けない!−では、各家庭が十万円分の育児用品を選ぶことができます。
 ぜひ、この育児用品の対象に、家事を補助するお掃除ロボットや育児負担軽減につながるベビーモニターなども加えていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 東京都出産応援事業では、対象家庭が一定期間、十万円の範囲内で複数の品物を選択できる仕組みといたします。
 選択できるものは、ミルクや離乳食などの食料品、肌着などの衣料品、ベビーカーなどの育児用品など二百点以上を取りそろえる予定であり、そのうち、お話のベビーモニターやお掃除ロボットなどの家事や育児の負担軽減につながる品物も含め、育児生活支援品として三十点以上用意する予定でございます。
 また、事業開始後は、対象家庭のニーズにきめ細かく対応できるよう、季節ごとの入れかえや申し込み状況を踏まえた品ぞろえを検討してまいります。

○入江委員 この事業は、都が直接都民にサービスやメッセージを届けることができる貴重な機会です。ニーズや季節を踏まえながら、家庭に喜ばれる商品をそろえることも応援として重要ですので、しっかり取り組んでいただくことを要望します。
 ベビーシッター利用支援事業について伺います。
 私も働きながら二人の子供を育てましたので、ベビーシッターの皆さんには大変助けていただきました。
 かねて私たちも要望しておりましたが、ベビーシッター利用支援事業の助成金が非課税に税制改革されることになり、活用拡大が期待されます。
 一方で、ベビーシッターの活用拡大には、保育の質に関する保護者の不安の解消が必要であり、保育の質の向上も求められています。
 保護者の安心、子供の安全のために、本事業において保育の質の確保が重要であると考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は、ベビーシッター利用支援事業に参画する事業者を独自の基準で審査、認定するとともに、全てのベビーシッターに対して、都が実施する研修の受講を義務づけるなど、保育の質の確保に努めてまいりました。
 来年度からは、認定事業者で保育の質を管理する監督職等を対象に、事故対応などの危機管理やベビーシッターの育成等をテーマとする研修を新たに実施いたします。
 また、この職員がベビーシッターの実際の保育内容を確認し、必要な指導や助言を行えるよう、保護者宅への巡回訪問やウエブカメラの活用への支援を開始し、保育の質の向上を図ってまいります。
 このカメラは、ベビーシッターが訪問時に持ち込み、保護者もリアルタイムで子供の様子を確認できるようにすることで、保護者の不安の解消にもつなげてまいります。

○入江委員 続いて、都民提案について伺います。
 都民提案制度は、小池知事の就任後に導入された制度であり、都民一人一人を都政に近づける制度でございます。
 コロナ禍で都民の働き方や暮らし方は大きく変化し、行政への関心も高まっています。こうしたときだからこそ、一人でも多くの都民からさまざまな意見やアイデアをいただき、施策に反映していくことが必要です。
 都民ファーストの会は、昨年の予算特別委員会でも、より多くの方からの提案につながる手法を検討すべきと申し上げてきました。また、これまでに事業化したものの中には、十分に執行されていない事業も幾らか見受けられます。提案者の意欲向上につなげるためにも、着実な事業の実施に結びつけることが重要です。
 令和三年度予算では、新型コロナウイルスを克服し、東京の未来をつくるアイデア募集を行い、新しい日常における介護予防・フレイル予防活動支援事業など、五件の新規事業の構築につなげています。
 都として、さまざまな課題を抱える中にあっても、都民参加を一層促すために、実施方法を工夫しつつ、都民提案制度を継続していくことが必要です。
 そこで、来年度の都民提案制度の実施に当たっては、事務手続の改善を図るほか、提案数や投票数をふやす取り組みなど、都民ファーストの視点に立って、さらに制度を深化させるべきと考えますが、見解を伺います。

○潮田財務局長 都民提案制度は、社会が日々大きく変化する中、従来の枠にとらわれない発想を都政に取り入れる重要な取り組みとなっております。
 制度開始以来三年が経過しておりますが、その中で、提案を具体化する検討期間の制約や、多様な提案や投票につなげる参加機運の醸成、そして、業務の効率化など幾つかの課題が明らかになってまいりました。
 そのため、来年度は、実施スケジュールを前倒しいたしまして、各局が事業の詳細検討や関係機関等との調整を行う期間を十分に確保するほか、提案や投票の参加要件を現行の十八歳以上から十五歳以上へと拡大するなど、幅広い参加を後押ししてまいります。
 あわせて、調査集計用のデジタルツールを活用することで、提案審査の効率化も図ってまいります。

○入江委員 最後に、リーダー人材の育成について伺います。
 小池都知事は、施政方針表明で、新型コロナウイルス感染症と気候危機という大きな二つの危機を乗り越えながら、年齢も性別も国籍も障害のありなしも関係なく、誰もが輝ける多様性あふれるサステーナブルな東京をつくるとおっしゃってくださいました。
 多様な人々が働く機会を得られて、手にするお金の量をふやせる、そして、安心して幸せに暮らせるという社会を構築するためには、リーダーとなる人材の育成が重要です。
 新たなビジネススキームを構築して実行するリーダー、雇用を生み出すリーダー、社会の課題を解決するリーダー、そうしたことができる才能を育てなければなりません。
 まず、都立高校の取り組みについて伺います。
 社会のさまざまな分野でリーダーとして活躍できる人材を育成するため、生徒の多様な興味、関心を喚起し、都立高校在学中に高いレベルの活動を行うことが必要だと考えます。東京都教育委員会の取り組みを伺います。

○藤田教育長 社会における各分野の発展に寄与できる人材を育成するためには、高校段階から地球規模の課題などを考える機会を設け、生徒の主体性や社会貢献への意欲を育むことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、今年度から大学と連携し、生徒が最先端の研究や専門性の高い学問に触れられるよう支援しているところでございます。来年度からは、農業高校が大学と連携し、高い専門性を有する農業人材の育成に取り組んでまいります。
 また、創造的な学習機会を国内外の機関と連携して提供いたしますダイバース・リンク・トウキョウ・エデュでは、科学技術研究を英語で学び発表する特別講座や高校生国際会議等を実施してまいります。
 さらに、DXを担う素養や新たな社会の創造に必要な力を育む理数教育重点校を三校指定し、先端企業との共同研究等を推進してまいります。
 こうした取り組みを通じて、未来を担う人材を育成してまいります。

○入江委員 コロナ禍であっても、オンラインで世界がつながるなど、グローバリゼーションの進展により、経済のみならず、あらゆるものがボーダーレスになってきております。
 一方、二〇二〇年の世界競争力ランキングを見ると、日本は過去最低の三十四位と国際社会からおくれをとっております。
 このような状況の中、東京が日本をリードし、世界との都市間競争に打ち勝ち、プレゼンスを一層高めていくために、グローバルな舞台に積極的に挑戦し、世界で活躍できるグローバルリーダーをいかに輩出していくかが重要です。
 特に、大学や大学院では、国際的に通用する高度な専門性と、異文化に対する理解を有し、世界的な視点で物事を考え行動できる能力を積極的に育成していくことが、これからの大きな役割と考えます。
 そこで、都立大学の取り組みについて知事に伺います。
 都が設立した都立大学が、率先してグローバル社会のリーダーとなり得る学生を育成、輩出していくことが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○小池知事 このコロナ禍を契機にしまして、日本、そして東京が、世界の潮流からおくれをとっているということ、残念ながら浮き彫りになっております。
 その克服する鍵は何かというと、競争力の源泉である、人でございます。そこで、その人に焦点を当てて豊かな国際感覚や強いリーダーシップを発揮できる人材を育成、輩出していくことであります。
 例えば、国際機関でのトップに日本人がいかに少ないか、これは大きな問題なんですよね。
 そのため、例えば、都として、都立大学において、来年度から文系、理系を問いません、全学生を対象にグローバルな視点を養うことを目的とした、春、そして秋に、特別講義を新たに実施することといたします。
 春の講義には、国際情勢や経済、環境など、多様な、多彩な分野で活躍する第一人者、そして、ノーベル賞クラスの研究を推進する世界的な研究者を講師に招きまして、オムニバス方式でオンラインで実施をいたします。
 また、秋の講義につきましては、正規の授業として単位の取得も可能とするようにいたします。
 学生が講師の豊富な知見や世界の最新動向をじかに学んで感じ取る、それによって将来のグローバルリーダーに求められる幅広い教養を身につけ、国際社会で活躍する気概を醸成してまいります。
 世界と伍して戦える人材の育成、輩出に向けました都立大学の取り組みを、都としても積極的に支援をしてまいります。

○伊藤副委員長 入江のぶこ委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十六分休憩