予算特別委員会速記録第三号

   午後四時四十分開議
○伊藤副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 藤井あきら委員の発言を許します。

○藤井(あ)委員 まず最初に、本日は東日本大震災から十年、そして昨日は東京大空襲から七十六年でございました。謹んで哀悼の意を表します。
 本日は、これまで四年間、私がデジタル都議として全力で進めてまいりました、東京のDX、デジタルトランスフォーメーションをさらに前へ進め、都民の生活の質、QOLを向上する観点で質疑を行います。
 本年の都立高校入試では、従来の直接来校が必要な出願と合格発表から、コロナ対策として、郵送による出願とウエブサイトによる合格発表が行われました。生徒や保護者からは、サイトで合格を確認してから、手続のために高校に行けるのでとても助かるというお話や、中学校も生徒の受検結果を事前にインターネットで確認できる等、大変好評でありました。ぜひ出願もインターネットでしたかったとの声も届いています。
 受検者や保護者の利便性などを考えて、来年度以降もインターネットでの合格発表を継続するとともに、都立入試においてオンライン出願を全校で実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会では、来年度の都立高校入学者選抜において、ウエブサイトにおける合格発表を継続していく予定でございます。
 あわせまして、今年度、立川高校の全日制課程及び定時制課程で行いましたオンライン出願の試行につきまして、来年度は、実施校を二十校に拡大をしまして、生徒や保護者のご意見などもお伺いしながら、全校実施に向けた運用上の課題について検証を行ってまいります。

○藤井(あ)委員 都立高校は約二百校ありまして、その規模感から、全国的にもなかなかない規模感でありまして、一斉の実施は難しい面もあると理解するところでありますが、早期の全校でのオンライン出願の実現を要望いたします。
 次に、GIGAスクールについて質問いたします。
 コロナの影響もあり、小学校、中学校での児童生徒への一人一台端末を整備するGIGAスクール構想が、前倒しで一気に進みました。
 一方で、契約や調達の関係で、四月まで端末をさわることができず、ネットワークの事前テストができない学校もあるということであります。整備状況に、自治体や学校によってかなりの差が出てしまわないかと心配をしているところであります。
 小中学校の一人一台端末を担保するためのネットワーク整備について、定期的、継続的に導入状況やふぐあいなどを調査し、改善すべきと考えますが、見解を伺います。

○藤田教育長 今年度、区市町村教育委員会は、文部科学省の標準仕様に基づきまして、子供たちがストレスなく端末を利用できる校内LAN環境を整備しているところでございます。多くの自治体では、三月末に工事が完了し、端末が使用できる状態にはなります。実際の通信速度は、学校外のネットワーク回線の混雑状況の影響を受けることが想定されますため、校内の通信状況を把握する必要がございます。
 都教育委員会は、四月以降、通信環境を含めたデジタル活用状況を定期的に調査し、課題の把握を行い、国に対し必要となる対応を求めるなど、一人一台体制の教育活動の充実に努めてまいります。

○藤井(あ)委員 特に都内では都内の小中学校約五〇%がクロームブックを採用しているとのことです。インターネット環境がないと何もできない状況であります。最初のつまずきが、一人一台端末の活用の障害とならないように、積極的な備え、支援をお願いいたします。
 一人一台端末が整備された後は、文房具と同様にその端末を使いこなし、子供たちの学びがよりよくなるということがゴールになります。
 しかし、自治体によって、端末の持ち帰りができなかったり、使用できるアプリが極端に制限されていて、例えばアイパッドのカメラも使えないという学校もあると聞いております。子供の学びのために大きな問題であると考えております。
 そのため、活用について質問をしようと思っておりましたが、先ほど他の委員からもご質問ありましたので、質問は割愛をさせていただきます。要望をさせていただきます。
 都内の先行自治体の一つであります渋谷区は三年前から一人一台環境に取り組んでおりまして、当初は使えなかったインターネットでのヤフーやグーグルでの検索というものを、児童の学びにそれでは活用できないということで、緩和をしていったという話があります。現在はそういった検索も使えるように変更したとのことであります。
 こういった先行自治体の検討過程自体が他の自治体の参考になります。先ほどの調査とあわせて、こういった好事例を積極的に把握し、自治体間でしっかりと共有をいただきますようにお願いをいたします。一つの自治体がした失敗を他の自治体で繰り返さないように、ぜひともお願いいたします。
 加えて、保護者への情報発信に自治体間で今、格差があると聞いております。自治体によっては、GIGAスクールの意味、一人一台端末の意味というのをしっかりと公表、発表しているサイトを持っているというところもあるんですが、そういったものがないところもあります。そういったところに対する支援、保護者の理解というのは非常に重要ですので、お願いをいたします。
 あわせて、先ほどのネットワークや端末の活用、これに関しまして、都で一括した相談の窓口をつくるなど、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
 そして、先の話になりますが、今、端末が一人一台そろいました。しかし、この更新というものも来ます。そうすると、その費用をどうやって負担していくのかということが大きな問題になりますので、国への要望も含めて、ご対応をお願いいたします。
 対応すべきことは尽きませんが、子供たちの学びの環境をよりよいものにしていくというためのご対応をお願いいたします。
 続いて、これから十年の東京の方向性を示しました未来の東京戦略案と同時に発表された、都政の構造改革、シン・トセイについてお伺いいたします。
 シン・トセイには、私たちの昨年の第四回定例会での指摘を受けて、都民の生活の質、QOLを高めるということが明記されまして、さらには、女性活躍や障害者雇用の促進などDXに限らない組織、人材マネジメント変革が追加をされたところであります。
 未来の東京戦略案やシン・トセイ実現のためには、それぞれの事業、施策にオーナーシップを持って取り組む、職員一人一人が力を発揮することが必要と考えますが、どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 藤井あきら委員のご質問、都政の構造改革の実行戦略でありますシン・トセイについてでございます。
 まず、片仮名でシン・トセイ、この名称については、東京のさらなる進化に向けて、都民ニーズに真摯に向き合う、誰からも信頼される、そして新たな都政を築き上げていきたい、そのような思いを込めているところでございます。
 そして、改革を先導する七つのコアプロジェクトにおいて、未来型オフィスの導入であるとか、五つのレスの徹底、スタートアップ、シビックテックとの協働など、これまでの仕事の進め方を抜本的に変える、そのような取り組みを盛り込んだところでございます。
 そして、固定のデスクと紙を前提とするこれまでの働き方を転換しまして、プロジェクトに合わせた柔軟なチーム編成、それを可能にするフリーアドレスの導入であるとかクラウドサービス利用の推進をしてまいります。
 そしてまた、職員同士や民間とのコミュニケーションの活性化により新しい発想を生み出し、職員の能力の発揮や生産性の向上につなげていくということであります。
 こうした新しい働き方への変革を実践する中で、課題を見出していく、柔軟な発想とアプローチで制度や仕組みの抜本的な見直しにつなげていく。
 また、民間企業などとの活発な交流や、多様な主体との協働によって、新しい発想での社会課題の解決を図っていくというものであります。
 改革を進めるのは職員であります。スピードやオープン、デザイン思考、アジャイル、見える化、これら五つ、キーワードを抽出しておりますけれども、都政の新しいスタンダードとして定着をさせまして、職員一人一人の現場での実践で大きな変革を生み出す、そのことによって、新たな都政であるシン・トセイをつくり上げてまいります。

○藤井(あ)委員 ご答弁にありましたとおり、職員一人一人がみずから課題を見出して、みずから新しい発想で社会問題の解決を進めていくということで、しっかりとオーナーシップを発揮して、それぞれの施策を強力に進めていただきたいと思います。
 我が会派のデジタル推進プロジェクトチームは、都政のDX推進のため、積極的な提言を行っております。私もメンバーで、先日、小池知事にも要望書を提出させていただきました。
 デジタルを活用、これが進まないことで、取り残されてしまっている人たちが今、現におります。誰ひとり取り残さないといいながら、現状維持をすることで既に取り残してしまっている人がいるということは忘れてはなりません。
 例えば、視覚障害のある方、紙幣よりもキャッシュレスの決済の方が使いやすいというお話をお伺いいたします。これは、他人にお金を一つ一つ確認してもらうということは、やはり気が引けてしまうというお話でございました。
 さらに、スマートフォン等の読み上げ機能を活用して視覚障害のある方々も積極的に情報を得ておりますが、都のサイトに多く利用されておりますPDFは、読み上げ機能では内容を確認することが難しいとのことであります。そういった方々へ、しっかりと情報アクセスなど、その恩恵を届けることは、全ての都民、皆様にとっても利便性の向上につながるものであります。
 デジタルサービス局の設置を起点として、例えば、都のウエブサイトやアプリの見え方や使い勝手を意味するUI、UXや、全ての人に情報を届けるためのアクセシビリティーの考え方などを局横断的に見直すなど、都民目線に立ったデジタルサービスの向上を進めるべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 行政サービスへの情報技術の活用において、サービスの質、QOSの向上を左右するのはUI、UXです。
 先日都が行った、デジタル化された行政サービスについての調査では、おおむね五割から七割の方に満足をいただいておりましたが、ニューヨークなど海外三都市の平均と比べると、調査を行った全ての行政手続で満足度が下回る結果となってしまいました。
 新設されるデジタルサービス局では、各局が行うデジタル化の取り組みについて、開発から実行段階までを、技術面からサポートしていきます。その際、UI、UX等の専門的知識を持つDXフェローや、アクセシビリティーに関する有識者などの意見を施策に取り入れるとともに、サービスを開始した後も都民のニーズに応えて改善を繰り返すアジャイルな取り組みや、ユーザー目線で政策、サービスをつくり上げるデザイン思考を基本に、行政サービスのデジタル化を推進してまいります。
 こうした取り組みを通じて、都民の皆さんの満足度向上へつなげていくとともに、デジタルサービス局が改革の牽引役となり、都政のQOSを高めてまいります。

○藤井(あ)委員 都の情報は膨大にありますので、民間からアクセシビリティーの専門家を雇用する、参画いただくということも含めて検討をお願いいたします。
 次は、福祉保健局における各事業者の申請業務効率化についてお伺いいたします。ここでは、児童発達支援や放課後等デイサービスの指定申請について伺います。
 これらの事業は福祉保健局が指定をしていますが、このコロナ禍においても、紙による面談形式、対面での申請手続が必須となっているということで、大変驚きました。
 ふだんから、百ページ以上の紙を印刷して、附箋で修正、何度も都庁に来庁する必要があるということも伺っております。
 放課後等デイサービスは、障害のある児童生徒らの放課後の場所としてとても貴重でありまして、安定的な利用が保護者から望まれております。しかし、都心部では数が足りておりません。ニーズに対して事業所がふえにくい背景には、申請手続などのハードルの高さも課題があると考えます。
 児童発達支援や放課後等デイサービスの申請手続を抜本的に見直していくべきです。
 まず、申請手続をわかりやすく提示し、メールやオンライン説明会、ウエブ会議などを活用して対面回数を減らすなど、事業者への過重な負担を減らすべきですが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 放課後等デイサービスなどの事業者の指定に当たりましては、サービスの質を担保する観点から、指定要件の確認に加え、事業者に当該事業に関する基準や制度などの正しい理解を深めていただく必要がございます。
 このため、都は、説明会を開催し、資料などをホームページで公表するとともに、手続が円滑に進むよう、指定申請書類が全て整うまで、対面により丁寧な助言を行っております。
 今後、事業者の負担を軽減するために、希望する場合には、メールによる申請書類の事前送付を受け付けることとし、あわせて相談の際、書類のかわりにタブレット等の活用が可能であることを周知徹底いたします。
 また、説明会をオンラインで開催するなど、デジタル技術の活用等についても、引き続き検討を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 率直に申し上げます。私やほかの複数の議員が聞いた限りでは、対面による丁寧な助言と受け取っている事業者はおりませんでした。説明会や面談のオンライン化は必ず対応してください。都庁では、ズームを初めとしたオンライン会議の積極的な活用が進められており、福祉保健局長の責任において、同様の対応を必ずするべきです。
 適正なサービスを提供する事業者かどうかの判断のための面談と、手続のための書類作成は分けて考えるべきです。むしろ、書類作業の負担軽減が、職員の作業時間を減らし、事業者と向き合う時間をふやすことにつながります。システム化も含めて考えるべきです。
 福祉保健局では、ペーパーレスの取り組みも他局と比べると進んでいません。国の事業の関係もあり難しい面もあるのかもしれませんが、国の押印の見直しも急速に進んでおります。抜本的な業務の見直しを期待します。
 シン・トセイに関しましては、会派、そして私が個人的にも、この四年間取り組んできたことの集大成でありまして、実現を強く期待しています。
 一方で、今の福祉保健局の例も含めて、都庁の職員に、目的や意義、目指しているものが伝わっていないのではないかという懸念があります。
 シン・トセイ戦略には、都政の構造改革が目指す姿や、改革実践のキーワード、各プロジェクトの目的や具体的な進め方などを、体系的に盛り込んでいますが、施策の一つ一つの目的や意義について、さまざまな方法でわかりやすく発信して、職員への定着を徹底すべきと考えますが、見解を伺います。

○中嶋政策企画局長 都政の現場で改革を実践する職員一人一人に、シン・トセイ戦略の内容が十分伝わりますよう、イラストやグラフを多く用いますとともに、誰もが閲覧できるデジタルブックにより配信をすることとしております。加えて、戦略のコンセプトを伝える一斉メールを配信し、職員への周知を図っております。
 今後、さらに、SNSのnoteによる取り組みの解説記事や、ポータルサイトによる一元的な情報発信など、さまざまなツールを活用し、職員に改革の意義や目的が共有されるよう工夫を凝らしてまいります。

○藤井(あ)委員 意義を繰り返し何度も何度もさまざまな方法で、例えば動画なんかも使って伝えまして、シン・トセイ構造改革の都庁への浸透をしっかりとお願いいたします。
 次に、デジタルデバイドについて伺います。
 デジタルデバイドは、高齢者に限らず、家庭の年収や障害のあるなし等、さまざまな要因で生じているという調査結果があります。
 我が会派の龍円あいり都議が先日の一般質問で、児童養護施設の子供たちのインターネット環境について質問をいたしました。私も、音声のSNSでありますClubhouseというアプリを通じまして、全国の児童養護施設の子供たちからさまざま話を伺いました。施設によってはインターネット環境がないという話には、ただただ驚きました。都内では、施設のインターネットは整備されていますが、Wi-Fiやタブレット環境がないところがあるなど、十分ではありません。
 児童養護施設におけるネットワーク環境やタブレット等の端末活用について実態を把握し、つながる環境の整備や、ネットリテラシーの向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村福祉保健局長 都は今年度、児童養護施設に対しまして、オンライン学習に必要なタブレット端末等の購入やWi-Fi環境の整備を支援しており、現在、四十四の施設から補助の申請を受けております。
 また、児童の自立を支援するため、民間団体と連携して、インターネットリテラシーの啓発にも取り組んでおり、SNSなどのリスクや安全な使い方に関するセミナーを、昨年度は十七施設、今年度は六施設で実施いたしました。
 今後、児童養護施設のネットワーク環境や、端末の活用状況などの実態を把握し、児童がより適切にインターネットを利用できるよう支援してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 今やインターネットは、学習に限らず、大学進学や就職先だったり、さまざまな情報の収集など、電気やガス、水道のように生活に欠かせないものとなっています。インフラであります。今後、定期的な実態調査を通じて、児童養護施設の子供たちの生活の質の向上に努めていただきますようによろしくお願いいたします。改めてお願いいたします。
 我が会派のデジタル推進プロジェクトチームから小池知事に要望しましたが、TOKYO Data Highway、つながる東京の実現には5Gの整備に限らず、都内の図書館や公民館でもインターネット整備を徹底すべきです。見解を伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 本年一月、デジタル化の現状を把握するため、都内のインターネット通信環境などについて調査を行いました。
 その結果、無線LAN整備状況については、例えば、都内の防災拠点の整備状況は九四%となっている一方で、都立図書館ホームページによれば、公立図書館における整備状況は五三%であり、これは、各自治体が優先順位などを総合的に勘案して、整備をしたものであるというふうに考えております。
 今後、区市町村との継続的な意見交換の場を設け、各自治体の整備方針等を把握いたしますとともに、必要に応じて、各施設のインターネット接続環境の整備を技術的に支援をしてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 病院の病室等における無線LAN環境の整備のための活動をしている方々からお話を聞く機会もございました。都立病院でも病室のWi-Fi整備が必要だと考えております。今後も、私たちからもさまざま提案をしますが、あらゆる場面でのインターネットへの接続、これをしっかりと確保して、真につながる東京の実現をお願いいたします。
 続いて、人材採用についてお伺いいたします。
 民間でのデジタルトランスフォーメーションの必要性の高まりや、国のデジタル庁の設置もありまして、デジタル人材の獲得競争が激化しています。我が会派が要望してきました週一回から働ける非常勤のデジタルシフト推進専門員を始めるなど、都はデジタル人材の採用を強力に進めています。
 今後さらにデジタル人材を確保するため、新たな取り組みを進めるべきですが、見解を伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 デジタルシフト推進専門員は、常勤は難しいが、週一日、二日であれば都のDX推進に携わることができるという方を、即戦力として採用したもので、今回初めて行った取り組みでございます。
 本年一月から学生、社会人四名が、ウエブデザインやデータベース分析などのスキルを生かし、テレワークも活用しながら効率的に業務に従事をしているところでございます。
 今後は、こうした手法に加えまして、あらかじめ必要な事業に人材を登録する非常勤人材バンクや、民間企業の身分を保有した人材の柔軟な登用、また、アジャイル開発にも資するよう、契約によりあらかじめ一定規模のエンジニアを確保するなど、さまざまな人材確保策を検討してまいります。

○藤井(あ)委員 高校生、大学生も活躍していると聞いております。都がさまざまな人材確保を試すことは、他自治体の参考事例にもなります。今後、民間の会社では当たり前になっている大学生の長期インターンを実施するということもご検討いただきたいと思います。先ほどの教育庁の学校における端末活用にも、大学生のインターンの知見は生きてくるのではないでしょうか。
 デジタルに限らず、都は、大学生の長期インターンを実施すべきと、これも要望させていただきます。台湾のオードリー・タンIT大臣が、若者から学ぶリバースメンターという仕組みを取り入れているとのことであります。若い人が近くにいることから学ぶことは、都政においても非常に多いのではないかと思います。
 そして、DX人材の確保には給与の問題などありますが、都は、都内区市町村の支援を進める必要もありまして、海外事例等も参考に、外郭団体の設立も含めて検討すべきと考えております。
 話は変わりまして、東京がグローバル拠点都市としてその地位を確立するために、世界的に影響力のあるイベントを東京で開催することが必要であると考えますが、見解を伺います。

○寺崎戦略政策情報推進本部長 都では現在、世界中から魅力的なプレーヤーが幅広く集うグローバルイベント等の開催に向けた検討を行っております。
 具体的には、国と連携のもと、令和四年の開催を目指し、世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウエブサミットの東京誘致に向け、開催時期や会場などの最終的な調整を進めており、来年度は、その準備に向けた経費として一億円を予算計上したところでございます。
 このようなイベントを通じ、グローバル企業、国内外スタートアップ等とのマッチングを促進し、イノベーション創出につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウエブサミット、この東京での開催、大変期待をしております。
 続いて、障害者手帳のスマートフォンでの活用について伺います。
 障害者の社会参画を促進するため、さまざまな事業者が障害者割引を導入しています。本人確認に障害者手帳が使われていますが、紙製で劣化しやすい、そして紛失しやすい、カードになっても、これは情報量が限られてしまっているという課題があります。また、当事者からは、そのカードや手帳を提示することに対して心理的な負担を感じるというお話も聞くところであります。
 さらに、発行自治体によって形式がさまざま異なっていることもありまして、確認する事業者にも大きな負担となっています。
 そこで、スマートフォンに障害者手帳の情報を取り込んで画面上に表示するミライロIDというものがあります。
 令和二年十月十九日、国交省は、マイナンバーとの連携が可能なこのミライロIDについて、身体障害者手帳にかわるものとして運用することは差し支えない旨認めるとした上で、身体障害者手帳と同様に取り扱うよう、理解と協力を求める通知を発出しております。
 都営交通において、ミライロIDを活用できるようにしていくべきですが、見解を伺います。

○内藤交通局長 交通局では、障害のある方から障害者手帳の提示を受けた場合、障害の種別に応じまして、同行する介護者も含めまして運賃を割り引く制度を設けてございます。
 お話の障害者手帳アプリにつきましては、マイナンバーカードと連携することで、障害者の本人確認が確実にできるようになったことから、手帳にかわるものとして運用して差し支えないとの見解が、先般、国から示されたところでございます。
 これを受けまして、地下鉄やバスなどの都営交通におきましては今月十三日から、マイナンバーカードと連携したアプリの画面を提示していただくことによりまして、これまでと同様に運賃の割引を適用いたします。

○藤井(あ)委員 都バスも含めて都営地下鉄、都営交通で今月十三日から、ミライロIDが利用可能になるとのことでありまして、期待をするところであります。
 このミライロIDについては、大阪府や東村山市などの自治体での活用も進んでいます。
 デジタルファースト条例を持つ都も積極的にミライロIDを活用できるようにしていくべきですが、知事の見解を伺います。

○小池知事 障害の有無にかかわらず、都民一人一人が自分らしく輝くことができる共生社会、ともに生きる社会ですね、これは私の目指す東京の姿でございます。
 その実現のためには、障害のある方の移動や施設等の利用上の利便性を向上させて、社会参加を促していくことは、ご指摘のように必要です。
 お話のミライロIDでございますが、障害者手帳の情報を画像データとして取り込んで手帳がわりに使えるほか、必要なサポート、また、車椅子のサイズを登録することによって、窓口での伝達をスムーズにすることなどができると、このように聞いております。
 デジタル技術は、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフを向上させる鍵であります。
 障害のある方にとりましても、こうしたアプリを利用することによって日常生活の利便性を高めるなど、生活の質の向上が期待できます。それによって、東京におけるデジタルトランスフォーメーションを推進していくことができると考えております。

○藤井(あ)委員 障害者手帳が必要な都関連施設でも、ぜひ積極的なミライロIDの活用を進めるように要望させていただきます。
 続いて、テレワークについてです。
 テレワークは、子育て中や介護だけでなく、私も妹を看病しながらテレワークで仕事を続けた経験から、全ての人にとって必要になるものと確信をしております。これまで進めてまいりました。
 緊急事態宣言下で、私が現在活動をしております町田市を初め多摩地域では、宿泊施設を活用したサテライトオフィスの提供が始まりました。町田では二つのホテルが協力してくださり、一日一室五百円という価格もあり、利用者に大変好評です。
 町田市を初めとしました多摩地域での宿泊施設を活用したサテライトオフィスの実績と、今後の展開を伺います。

○村松産業労働局長 都は、本年一月の緊急事態宣言の発令を受け、都心への人流を抑制するため、多摩地域の宿泊施設をサテライトオフィスとして確保し、提供を開始いたしました。
 当初は五カ所で一日当たり百室を確保しておりましたが、宣言の延長や利用状況を踏まえまして、十カ所、二百室に拡充しております。現在平日の稼働率は約九割であり、静かな環境で落ちついて仕事ができるといった声が寄せられているところでございます。
 来年度は、宿泊施設を改めて公募した上で引き続き実施し、テレワークの促進につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 テレワークを含めて、宿泊施設、新しい日常においてのビジネスモデルの構築の支援にもなると思いますので、しっかりと進めていただきますようにお願いをいたします。
 都は行政課題を解決するために、スタートアップのピッチイベントを行うとともに、ことし一月には西新宿エリアにスタートアップと行政職員等の交流拠点を開設しております。
 都が行うさまざまなスタートアップ関連のこの事業に関して、私もいろんなスタートアップの方とお話をしますが、やはり都政の課題解決に自分たちの知見を生かしたいという声を、ご相談をたくさんいただくところであります。
 今後は、この西新宿のTOKYO UPGRADE SQUAREを核に、行政がスタートアップを理解し、スタートアップ企業との協働を効果的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 都は、西新宿エリアに開設いたしました交流拠点において、都政課題の解決に資する最先端技術や独創的なアイデアを持つスタートアップによるピッチイベントを実施しております。
 今後、この拠点を活用して、都とスタートアップの連携プロジェクトの組成を進めてまいります。
 また、官民による取り組み事例を紹介するセミナーやイベントを開催し、都の職員とスタートアップが相互理解を深めることで新たな協働につなげてまいります。
 さらに、SNS等を活用し、これらの成果を行政機関や民間企業に広く発信していくことにより、機運の醸成を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、スタートアップを活用した新たな官民連携モデルを確立してまいります。

○藤井(あ)委員 しっかりとこの連携をお願いいたします。
 続きまして、オープンソースについて伺います。
 先ほど、小池知事の答弁にもありましたが、東京都新型コロナウイルス対策サイトでも使われましたのが、世界中の人々がプログラムコードやデザインデータを保存、公開できるソースコードの管理サービスでありますGitHubというものであります。
 都としてこのGitHubなどを活用して、オープンソースソフトウエア、OSSといいますが、その取り組みをさらに進めるべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 システム開発に当たってソフトウエアの内容を一般に公開するオープンソース化は、都の政策への理解や発展を促すとともに、市民の開発力を結集して、ソフトウエアを進化の循環へと導き、またライセンスがフリーになることによって、社会的な知的資本の蓄積を進めることができると考えています。
 さらには、同様の行政システムをほかの自治体が個別につくらなくてもよいというメリットもあります。
 一方で、信頼性の高い生きたオープンソースプログラムとして提供していくためには、匿名のケースも多い改善提案に対して、その有効性も見きわめつつ、プログラムを適宜修正し、バージョンアップしていくことが重要です。
 また、そのためのルールや契約制度を含めた都庁内における仕組みの構築も不可欠です。
 今後、国の動向も注視しながらモデル的にオープンソース化を実施した上で課題を整理し、そのメリットも最大限活用できるよう、公開のあり方についても検討してまいります。

○藤井(あ)委員 GitHub等を活用しまして、モデル的にオープンソースの取り組みを進めるということでありまして、非常に期待をしているところであります。
 次に、データ活用について伺います。
 東京都では、都営交通がリアルタイムの位置情報を公開しまして、グーグルマップで動いている都バスの位置を確認できるようになるなど、都民生活の向上につながるオープンデータの公開というものを進めております。この交通局の例のように、オープンデータが社会に実装されていくということが非常に重要であると考えております。
 オープンデータの活用に、台湾のオードリー・タンIT大臣もかかわっています台湾総統杯のように、行政がしっかりとサポートし、生み出されたアイデアやアプリを社会実装につなげるべきですが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 現在、情報流通量は加速度的に増加しておりますが、都では、行政が保有するデータを積極的にオープンデータとして公開することにより、シビックテック等がそれらを活用し新たなサービスを創出していく環境を構築するため、データのカタログ化に取り組んでおります。
 あわせて、先般、データ利活用を希望する企業等と、データを保有する各局とのマッチングに向けた意見交換会を開催しました。
 今後はさらに、政策分野ごとのコミュニティ形成につなげてまいります。
 来年度は、行政課題の解決に向け、シビックテック等がオープンデータなどを活用してアプリ等のサービス開発の提案を行う大会を、都知事杯ハッカソンとして開催します。
 ハッカソンは、単なるアイデア出しにとどまらず、開発したアプリやサービスの社会実装に向けて、優秀な市民からの提案を都の政策に取り入れるなど、民間との協働を実践してまいります。

○藤井(あ)委員 都知事杯ハッカソンを通じて、そのオープンデータを使って行政課題、都政課題の解決につなげていくということでありまして、大変期待をしております。
 さて、ここまでデジタル化が進まないことで取り残されてきてしまった人たちを、デジタルの力を使ってしっかりと支えるという視点で質疑を行わせていただきました。
 DX、デジタルトランスフォーメーションやデジタル化、これはあくまで手段でありまして、一人一人の全ての都民、そして都にかかわる人々の生活の向上というものが目的であります。
 誰ひとり取り残さない社会のためには、デジタルの力というのが必須であります。
 データなどを活用して、一人一人に最適化した、つまり一人一人に寄り添った支援がテクノロジーの力で可能になります。最初に質問したTOKYOスマート・スクール、GIGAスクール等もそういった考えに基づいていると思います。
 全ての人々の可能性を最大化して選択肢をつくっていくこと、これこそがデジタルテクノロジーが最も得意とするところであります。分身ロボットを使った重症心身障害者の就労であったり、事例というものは枚挙にいとまがないかと思います。
 そして、東京のデジタルトランスフォーメーション、この成功のためには、都民に明るい未来を示して、都民と信頼関係を構築していくということが非常に重要であると考えております。
 最後の質問になりますが、未来の東京戦略案やシン・トセイなどを構想するに当たって、東京のポテンシャルを生かした都民がわくわくとするような未来とは具体的にどのようなものであるのか、そして、都民生活を豊かなものにしていくために、都が根底に流れる哲学や方針を示して、都民と議論の上、その未来を共有していくことが重要と考えますが、宮坂副知事の考えを伺います。

○宮坂副知事 これまでのデジタルサービスの基盤は、ブラウザやアプリストア等がその役割を担ってきましたが、現在はこれらにとどまらず、都市全体がいろんなシステムやIoTセンサーを超高速でつなぎ合わせるプラットフォームとなりつつあり、スマートシティーという概念の具体化に向けて世界の都市間競争が熾烈化しています。
 東京は、人材や研究機関が集積する高度な都市機能に加え、豊かな自然や歴史、文化など、多様な魅力を有しております。
 こうした優位性を生かして、将来、東京がビジネスプラットフォームとなることで、MaaSやドローンのように現場とデジタルの融合による新たなイノベーションが幾つも創出され、都民の皆さんがQOLの高さを実感できる都市を実現できると考えています。
 シン・トセイ戦略では、デジタルトランスフォーメーションをてこに、都政の構造改革を強力に推進していくと明記していますが、この取り組みを都庁のみならず区市町村、国、民間と連携して、オール東京で進め、実効性を確保していくことが重要です。
 そこで、私は、デジタルトランスフォーメーションの指針として、新たにグランドデザインを策定することとしました。
 策定に当たっては、区市町村との連携をより深化させるために、継続的に意見交換等を行う場を設け、また、都民等との対話型によるユーザーニーズを反映するスキームを取り入れていきます。
 こうした既存の枠組みにとらわれない新たなプロセスにより、区市町村や民間等の多様な意見を取り入れながら、東京の未来をともに築く皆さんとのコンセンサスの形成を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 スマートシティー、スマート東京が実現して、ビジネスのプラットフォームとなり、さまざまな人が集い、さまざまなイノベーションがこの東京で生まれて、都民の暮らし、都にかかわる人々全ての生活の質が向上するということに、心より期待をするものであります。
 そして、さまざまな人の可能性や選択肢を広げる、これはデジタルの力でできるものだと私は確信をしております。
 そういった社会の実現、そのために全力を尽くすことをお約束いたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○伊藤副委員長 藤井あきら委員の発言は終わりました。