予算特別委員会速記録第三号

○吉原副委員長 のがみ純子委員の発言を許します。
   〔吉原副委員長退席、上野副委員長着席〕

○のがみ委員 最初に、環境について質問させていただきます。
 世界は、新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機に直面していますが、同時に、人類を脅かす気候変動の危機も忘れてはなりません。
 IPCCは、世界の平均気温の上昇を気候変動のリスクがより低くなる一・五度C未満に抑えるためには、二〇五〇年までにCO2実質ゼロ、そして、二〇三〇年までには約半減としています。
 気候危機を回避するため、世界が脱炭素化に向けて大きく動き出しております。二〇五〇年に実質ゼロを表明した国は、百二十四カ国に上るということでございます。都も、こうした流れにおくれることなく、二〇一九年に、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を宣言し、本年一月には、知事が二〇三〇年までに温室効果ガス五〇%削減を目指すと表明しております。ゼロエミッション東京の実現に向け、世界をリードする新たな一歩を踏み出したことを高く評価いたします。
 未来に向けた大きな飛躍のための取り組みについて、知事の決意をお伺いいたします。

○小池知事 のがみ委員のご質問にお答えいたします。
 ゼロエミッション東京の実現についてのお尋ねでございました。
 コロナ禍、そして気候危機という、今二つの危機に直面をし、その克服は真にサステーナブルな都市をつくり上げるため、私たちに突きつけられている命題でございます。そして、サステーナブルリカバリーに向けまして、未来への行動を加速していかなければなりません。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現には、今後十年間の取り組みは極めて重要であります。二〇三〇年に温室効果ガスを五〇%削減する、このカーボンハーフが実現した社会の水準が将来の脱炭素社会を実質的に規定することになると存じます。
 都といたしまして、CO2を半分、ハーフにするため、人々の生活、そして行動様式を変えていく、カーボンハーフスタイルを提起いたしまして、ビジネス、市民生活、都市づくりなど、社会経済活動のあらゆる側面で脱炭素型に移行する社会構造の変化を図ってまいります。
 今後、全庁を挙げまして、あらゆる施策を総動員するとともに、ゼロエミッション東京戦略のアップデート、そして環境審議会での議論などを通じまして、多様な観点からの変革のビジョン、取り組みの強化、この方策を練り上げて、全ての主体を巻き込みながら、持続可能な未来の東京をつくり上げてまいります。

○のがみ委員 このゼロエミッション東京の実現に向けて、知事は、都内の乗用車、新車販売台数の二〇三〇年非ガソリン化一〇〇%という方針を打ち出しています。この意欲的な目標を達成するには、充電インフラの整備促進が不可欠です。
 特に、東京はマンションが多く、マンションへの充電設備の導入がZEV普及において重要と考えます。新築マンションの場合、導入を進みやすくするためには、設計段階で充電設備の設置を計画することができます。
 また、既存のマンションの場合は、設置スペースの確保や管理組合の合意形成など、導入に当たって多くの課題があります。
 新築、既存、それぞれの特色に応じた取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 都はこれまで、充電設備の導入補助を実施し、マンション等の集合住宅では合計百六十九基が設置されてございます。また、一定規模以上の都市開発や新築等に適用される各種制度について、設計段階での計画義務づけなど、充電設備の設置を促す仕組みを本年度より新たに導入しまして、既に二十件の新築マンションで合計七十基の充電設備が設置予定でございます。
 既存マンションにつきましては、管理組合等への助言を行うアドバイザーの派遣をこれまで三十五件実施しており、今後、この取り組みのさらなる活用を図るため、区市町村やマンション関係団体とも連携しながら、セミナーなど多様な機会を捉えまして、周知に努めてまいります。
 これらの取り組みを通じまして、マンション等集合住宅における充電設備の普及を着実に進め、自動車のZEV化を加速してまいります。

○のがみ委員 マンションにおける充電設備の普及については、アドバイザーの派遣やセミナーの開催などを実施されていることがわかりました。
 車を買いかえるときに少しでも環境によい車をとの思いで、私は、燃料電池自動車、ミライを購入しました。近くに水素ステーションがなく、松戸や千住まで出かけて水素ガスを入れておりました。身近にあれば便利だろうなと、つくづく思いました。
 そこで、現在、水素ステーションが整備されていない地域にも積極的に広げていくべきと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○栗岡環境局長 都内ではこれまで、比較的広い未利用地が多い臨海地域を中心に水素ステーションの整備が進められてまいりました。今後、ステーションが未設置のエリアでは、スペースがあっても、大きな段差があったり傾斜があるなど整備が進まない土地の造成費用を新たに補助対象とすることで整備を促進してまいります。
 さらに、ガソリンスタンドなどのスペースが狭い土地でも、ステーションの整備が可能となりますよう、屋根上に水素供給設備を設置できる次世代型キャノピー整備への支援等を新たに導入してまいります。
 こうした取り組みによりまして、燃料電池自動車ユーザーの利便性にも資するよう、水素ステーションのさらなる整備拡大を図ってまいります。

○のがみ委員 私の地元葛飾区内でも、ぜひ水素ステーションが整備されることを期待しております。整備用地の確保や地元の調整なども大変だと思いますけれども、都においては、電気自動車の充電インフラの整備とあわせて、これまで以上に水素ステーションの整備に力を入れて取り組んでいただき、自動車のZEV化を進めてもらいたいと思います。
 次に、防災対策について質問します。
 三月十一日十四時四十六分、十年前のこのとき、東日本大震災が発生しました。改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、いまだ避難生活を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 都議会公明党は、東日本大震災の際、チームに分かれて被災各地を調査し、避難所生活における課題について学ばせていただきました。その一つが、女性視点での防災対策の必要性です。
 避難所生活では、生理用品の不足や授乳の問題、さまざまな課題が生じていました。これを受け、平成二十九年第一回定例会代表質問における都議会公明党の提案により、女性視点の防災ブック「東京くらし防災」は発刊されました。
 記載内容の中に、乳児用液体ミルクがあります。「東京くらし防災」でその存在を知った方も多く、大きな反響がありました。
 いつ、どこで起こるかわからない災害に備え、「東京くらし防災」等を活用し、防災対策の理解を一層深めるよう取り組みを進めていくことが重要であります。都の見解をお伺いいたします。

○山手総務局長 災害時に、適切な行動をとるためには、多くの都民が防災についての理解を深めることが重要でございます。
 「東京くらし防災」は、これまで約百九十五万部を配布しており、乳児用液体ミルクの有用性を追記するなど、内容の充実を図りますとともに、防災アプリによるオンライン配信も行ってございます。また、避難所運営などの防災活動に女性の視点が反映されるよう、ウーマンセミナーを実施するなどして、女性防災人材を育成してまいりました。
 さらに、今年度は、都民が気軽に参加でき、防災知識を学べる東京都防災模試を実施し、約七万七千人が参加をしていただきました。
 来年度は、「東京くらし防災」と東京都防災模試の連携をより強化し、防災対策への都民の理解を一層深め、災害対応力の向上を図ってまいります。

○のがみ委員 防災、減災対策は喫緊の課題です。地域課題について三点質問いたします。
 まず一点目は、京成本線荒川橋梁についてです。
 荒川が決壊すると、その水が大手町まで流れていき、東京の半分が壊滅状態になるとのデータがあります。近年の激甚化、頻発化する豪雨により、毎年のように、全国各地で災害が発生しており、東京においても、一昨年の台風第十九号では、多摩地域を中心に大きな被害がありました。荒川が流れる東部低地帯は、高潮、洪水、大地震などの自然災害に極めて脆弱な地域となっており、この地域の治水上の最大の弱点が京成本線荒川橋梁部であります。
 公明党は先月、国会議員、都議会議員、区議会議員を含めた江東五区大規模水害対策検討プロジェクトチームで、国土交通大臣とともに現地視察を行うなど、本橋梁部の対策の強化に対して取り組んできました。
 パネルをごらんください。地盤沈下によって、本来この高さでなければいけないのに、三・七メートルもこれが沈み込んでおります。先日の台風十九号のときも、水かさがぎりぎりのところまで上がり、大変危険な状況でございました。これを何とかしていかないといけないと思っています。
 都は、国とより一層連携し、早期の安全性の向上に向け取り組んでいくべきです。荒川橋梁かけかえに向けた現在の取り組み状況について答弁を求めます。

○中島建設局長 東部低地帯に住む都民の命と暮らしを守るため、京成本線荒川橋梁のかけかえによりまして、荒川水系河川整備計画に位置づけられた堤防高さを確保することは重要でございます。
 都は、昨年十一月の政府提案要求におきまして、本橋梁のかけかえに加え、新たに安全性の早期向上に資する応急対策の検討を要望するなど、国に継続して働きかけております。
 国は、令和四年度の工事着手に向け、詳細設計や用地取得を進めますとともに、令和三年度には、かけかえ完了までの応急対策といたしまして、緊急時に堤防機能を速やかに確保できるよう、ただいまお話のありました現在堤防が低くなっている箇所に、線路のすぐ脇までパラペットを設置する予定でございます。
 昨年、新たに設置された本橋梁に関する協議会なども活用いたしまして、事業の着実な推進を引き続き国に求めてまいります。

○のがみ委員 令和四年の工事着手を目標にしているとのことでございます。完成までの安全性向上に向け、令和三年には、パラペットの施工を検討していただけるということなので評価いたします。地元の関心が非常に高い事業なので、丁寧な説明と着実な事業推進を要望いたします。
 二点目は、何度も質問をしてきました七曲がりともいわれている中川の耐震補強の状況についてです。
 地盤面が海水面より低いゼロメートル地帯が広がるのが東部低地帯です。地震によって堤防が壊れてしまった場合、津波により浸水する可能性があります。
 このため、都では、東部低地帯河川において、平成二十三年の東日本大震災後に策定した東部低地帯の河川施設整備計画に基づき、計画延長八十六キロメートルの堤防及び水門二十二施設の耐震対策が進められています。
 私の地元葛飾区を流れる中川では、都が大変力を入れて着々と耐震工事を進めており、地震に対する安全性を高めていることに感謝しております。
 そこで、改めて、中川の堤防及び上平井水門における耐震対策の令和三年度の取り組みについてお伺いいたします。

○中島建設局長 大地震による水害から東部低地帯に住む三百万人の都民の命と暮らしを守るためには、堤防や水門等の耐震、耐水対策を推進することが重要でございます。
 都は、東日本大震災を受け策定した整備計画に基づきまして、中川では、延長七・六キロメートルの堤防と津波の遡上等を防ぐ上平井水門を対象といたしまして、耐震補強工事を進めております。
 堤防につきましては、現在約一・五キロメートルで工事を実施しておりまして、令和三年度には青砥橋上流右岸など、四区間、約三百メートルで新たに着手いたします。年度末までには計画延長の約九割の整備が完了する見込みでございます。
 また、上平井水門につきましては、現在、大型門扉の交換などを実施しておりまして、令和四年度の完成に向けまして、引き続き、電気設備の工事などを進めてまいります。

○のがみ委員 中川は、耐震化対策に合わせて、東立石や奥戸においてスーパー堤防が整備されて、地域の安全性が高まり、川沿いの散策を楽しむ憩いの場として、地元の方々に愛され、利用されています。今、約九割完成ということですので、全て完成するまで見届けていきたいと思っております。
 三点目は、緩傾斜型堤防です。
 新小岩公園は、昭和六十年に開園され、フードフェスタや地域のイベントにも利用され、子供から高齢の方々にも利用されています。この付近に緩傾斜型堤防が整備されれば、地域の安全はもちろん、地元の方々にとって、水辺に親しめる空間になります。
 そこで、パネルをごらんください。今、この都道四五〇号線と、この蔵前橋通りがこのようには交差していないんです。実はこの下を通っております。これが完成したときのイメージなんですけれども、ここにずっと緩傾斜型の土を入れて、ここが避難所になるという、これを約十年ぐらいかかると思うんですけれども、計画をしていただいております。
 ぜひ、これが完成したときには、皆様が本当に安心して楽しめるのではないかと思っております。そうした意味で、中川、新小岩公園付近の緩傾斜型堤防の整備に向けた令和三年度の取り組みについてお伺いいたします。

○中島建設局長 中川などにおきまして、地震に対する安全性と河川環境の向上を図るために、沿川の開発等と一体的にスーパー堤防や緩傾斜型堤防の整備を推進することは重要でございます。
 西新小岩地区におけます緩傾斜型堤防につきましては、川沿いに並行する都道の線形を変える、高さを上げる必要があることから、これまで堤防整備後の交通処理の協議などを実施してまいりました。令和三年度は、工事中の迂回路の検討などを進めてまいります。
 また、隣接する新小岩公園におきまして、区が高台化を含めた再整備を計画しておりますことから、公園の基本計画の検討に合わせまして、堤防整備との整合を図ってまいります。
 引き続き、東部低地帯における都民の安全・安心の確保に向けまして、国や区などと連携し、必要な対策を着実に進めてまいります。

○のがみ委員 東部低地帯に暮らす人々が安心して生活できるように、水害対策に万全を期していくことを望みます。この取り組みは、完成するまでにまだまだ時間がかかりますが、いざというときに避難するためには、上野都議が提案したように、葛飾区においては、首都高速道路の四つ木インターや平井大橋インターなどの高台にある高速に一旦避難し、命を守ることも提案しておきます。
 次に、教育について質問させていただきます。
 教育は、次の時代を担う人材を育てる大事な事業です。
 都は、先駆的に小学校二年生、中学校一年生の三十五人学級を進めております。三十五人学級を進めるに当たっては、これまで以上に多くの教員の確保に努める必要があります。都では、大量退職が継続しており、受験倍率も低い中、引き続き、多くの教員志望者を集め、優秀な教員を確保しなければなりません。
 これまで大学推薦の上限を撤廃して受験しやすい仕組みをつくったり、コロナ禍においてもオンラインで相談会を開催するなど、さまざまな取り組みをしてきたと聞いております。
 教職の魅力を多くの方に知っていただくためには、さらなる取り組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○藤田教育長 東京の未来を担う子供たちの学びの充実のためには、高い意欲と資質を持った教員の確保が重要でございます。今後、東京における児童数の増加への対応や、小学校の三十五人学級の実施に向け、ますますその重要性は高まってきております。
 これまで、都教育委員会は、社会人経験者に対する特例選考の実施など受験者層の拡充を図るとともに、高校生も含め、幅広い層に教職の魅力を発信するため、学校の様子や現職教員の声等を伝えるパンフレットやメールマガジン、動画など、広報媒体の充実に努めてまいりました。
 今後は、デジタル技術を活用し、一人一人の興味、関心に応じたプッシュ型広報を新たに開始するとともに、応募から採用までの手続をワンストップ化し、利便性を高めてまいります。
 こうした取り組みを通して、より一層の受験者確保に努めてまいります。

○のがみ委員 やっぱりデジタル技術って大事なんですね。志望者の興味、関心に応じた広報を新たに開始するとのことでございます。受験倍率の向上に努めてほしいと思っております。
 次に、小学校の教科担任制について質問します。
 小学校の教員免許は、音楽、体育、理科など全ての教科を教えることが前提です。しかし、教員にも得手不得手があります。図工や音楽、家庭科など専科教諭が配置されているところもございます。
 中学校のように、教科担任制を小学校に導入することによって、専門性の高い教科指導ができるし、複数の教師で児童にかかわることができ、より深く児童を理解することができます。
 生活面での指導も、チームで一層の充実を図ることができます。小学校においては、担任一人だけではなく、より多くの教職員がチームとなって指導を行うことが重要と考えます。
 その一つとして、小学校教科担任制を導入すべきと考えます。都の見解を伺います。

○藤田教育長 子供たちの学びに対する興味、関心を高め、一人一人のよさを伸ばしていくためには、専門性の高い教科指導や複数教員による多面的な児童理解の充実に資する教科担任制を導入することが効果的でございます。
 そのため、都教育委員会は、既に専科教員を配置している音楽、図工などに加え、来年度、教科担任制の推進校を十校指定し、児童の発達段階や中学校との円滑な接続を踏まえ、高学年の理科または体育に中学校教員を専科教員として配置をいたします。
 あわせて、学級担任がそのほかの教科を分担して指導することとし、教材研究や授業の質の向上、教員の指導体制の強化、児童の学力面や生活面における変容等について検証を行ってまいります。
 こうした実践及び検証を踏まえ、小学校における指導体制の充実に向けた取り組みを一層推進してまいります。

○のがみ委員 より多くの目で児童を支える仕組みを導入し、担任一人が抱え込んでしまわないように、メンタルヘルス防止にもなるのではないかと思っております。
 次に、子供や教師もコロナ禍で今まで経験したことのない教育活動を経験しています。それがICTの活用です。国のGIGAスクール構想に基づき、区市町村は、一人一台端末を従来の計画より前倒しし、今年度末までに整備しております。四月からは、一人一台の端末が整備されているので、教師がしっかりと活用でき、自信を持って子供に教えていける技量が大事です。
 そのためには、ICT支援員の配置を学校ごとに行い、全教員が授業でICTを活用できるスキルを身につける必要があります。見解を伺います。

○藤田教育長 区市町村立学校の一人一台端末体制が今年度末に整います予定でございますことから、今後は、教員がデジタルの特性や強みを生かした授業を実践できるようにしていく必要がございます。
 このため、都教育委員会は、各校を対象に、機器活用のサポートや教員向け校内研修等を行う支援員を、端末導入から一年間配置するための補助を行います。
 また、各校のデジタル活用の推進体制を構築し、全教員のデジタル活用能力を高めるため、校内の取り組みを牽引するリーダーとなる教員を育成する研修を実施してまいります。
 具体的には、デジタルの効果的な活用手法やこれらを活用した授業を組み立てる力など、総合的な能力を身につけさせてまいります。
 こうした取り組みによりまして、各学校でのデジタル機器を活用した指導の充実を図ってまいります。

○のがみ委員 機器活用のサポートをしてくれる支援員を一年間配置していただく、これは先生方もすごく心強いと思っております。先生方も、自分がデジタルに強く、真剣に子供を教えることができる、教員も子供も自信が持てることが大事だと思っております。
 情報モラルについて質問します。
 今後、子供たちが一人一人に一台ずつ配備されたタブレット端末を存分に活用して、いつでも、どこでも、誰でも、安心して学びを進めることができるよう、都教育委員会が作成した、教師が変わる、学校が変わる、子供が変わると題する冊子を効果的に活用することにより、教員の指導力を向上させるべきであります。都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 子供が学校や家庭で一人一台端末を活用し、主体的に学べるようにするためには、まずは教員が、学校の中でデジタルを駆使した学習機会を充実させるとともに、ネットへの適切なかかわり方を子供たちに理解させることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、端末の効果的な活用事例を写真等でわかりやすく紹介した冊子形式の資料を作成し、学校に配布するとともに、ウエブ上に公開をしたところでございます。
 この資料には、子供が電子ペンで入力した解答を教員が即時に確認をし助言する事例や、子供たちが電子ファイル上でアイデアを共有する事例等に加え、自主的なルールづくりにより、ネットトラブル等を回避する指導例も掲載しているところでございます。
 今後、この資料の内容を詳しく解説をした研修用の動画を作成し配信することにより、端末活用に向けた教員の指導力の向上を図り、子供たちの学びを支援してまいります。

○のがみ委員 この冊子の内容を解説した研修用の動画を作成するということでございます。この冊子も非常にすばらしく、よくできております。ホームページからでもとれますので、ぜひ活用していただければと思います。
 一人一台端末ということで、これはとてもいい政策だとは思うんですけれども、ネットトラブルとか犯罪等、いろんなことが起こってくるのではないかと思っております。そういったことに、余りにも恐れる余り、使用を控えるというのではなく、積極的に子供たちには活用していただいて、その中で何か課題があれば対応するという、そういう方式をとっていただければと思っております。
 昨年一年間に自殺した全国の児童生徒数は、一年前に比べて一・四倍にふえて、四百七十九人です。小学生が十四人、中学生が百三十六人、高校生が三百二十九人。
 GIGAスクール構想で、児童生徒がそれぞれ一台ずつの情報端末を使えることから、端末を使った個人面接や個別学習支援に生かすことが大事だと思っております。文科省も、SOSの出し方に関する教育と自殺予防教育の関係性などと審議も開始されております。
 都教育委員会は、さきの古城都議の一般質問で、都立高校生が日常生活の中で、心身の状況をデジタル機器に入力して、学校がその変化を把握できる仕組みの検討に着手するとの答弁をいただきましたが、その具体的な規模、内容、スケジュールについてお伺いいたします。

○藤田教育長 都教育委員会は、来年度、都立高校五校をモデル校に指定し、デジタルを活用して、生徒の心の不調を適切に把握できるようにするためのメンタルヘルスに関するシステム開発に向けた実証研究を行う予定でございます。
 この研究では、生徒所有のスマートフォン等を活用して、毎日の心身の状況を簡単なアンケート方式で入力してもらい、データ化をいたします。
 学校では、このデータを用いて、生徒の心の不調を早期に把握して、適切な対応につなげてまいります。この取り組みにより、生徒の心の変化を把握するための仕組みの構築、生徒への質問の設定の仕方、学校が活用するデータの分析方法などを検証してまいります。
 この結果を、システム開発に生かし、これまでの生徒の見守りや相談体制に新たにデジタルの活用も加え、心のケアに取り組んでまいります。

○のがみ委員 児童生徒のメンタルヘルスもそうですけれども、東京都では、メンタルヘルスで学校を休職している教員が六百三十一名を超えているという状況を考えると、これは大事な取り組みになるのではないかと思っております。
 英語教育について質問します。
 世界を舞台に活躍する人材の育成は大事です。DXに対応した英語教育の推進で二億円の予算が計上されております。以前、中井教育長の時代に、小学校に教科英語が導入されるときに、教師のための英語教材のコンテンツを早急に整備すべきと指摘し、実施してきた経緯がございます。
 東京イングリッシュチャンネルでは、児童生徒が興味、関心に応じて学習ができるコンテンツを提供すべきと思いますけれども、具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○藤田教育長 来年度、都教育委員会がオンライン上に創設をいたします東京イングリッシュチャンネルでは、小学校から高校段階まで、日常生活の場面を通して英語に親しむものから、アートや最先端研究を学ぶものまで多様な動画教材を提供いたします。
 また、都内と海外の生徒がオンライン上の東京イングリッシュチャンネルに集い、大学の講義を受けるほか、スポーツ、文化、SDGs等さまざまなテーマについてディスカッションをするなど、多様な場を設定いたします。
 コンテンツの制作に当たりましては、都教育委員会が連携する海外の教育行政機関や国内外の大学等、多様な関係機関の協力を得るほか、民間事業者のアイデアやノウハウを活用してまいります。
 こうした工夫により、子供たちの発達段階や習熟の程度、興味、関心に応じたさまざまなコンテンツを制作し、提供してまいります。

○のがみ委員 東京イングリッシュチャンネルは、児童生徒がどこでも視聴でき、最適な英語教育ができるような仕組みにすべきです。
 具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○藤田教育長 東京イングリッシュチャンネルは、デジタル英語学習空間としてオンライン上に公開するものであり、学校でも、家庭でも、自由にアクセスすることが可能でございます。また、子供たちがみずからの興味、関心や英語力に応じて主体的に選んで学べるよう、多様なコンテンツを学年別、習熟の程度別、分野別などに整理し、ウエブサイト上で一元的に提供してまいります。
 さらに、新たな動画教材の公開やオンラインイベントの開催等に当たりましては、ウエブサイト等を通じて、広く効果的に情報発信をしてまいります。
 こうした取り組みを通じて、いつでも、どこでも、英語を学べる機会を創出し、世界に通用する英語力を備えたグローバル人材を育成してまいります。

○のがみ委員 英語教材、買うと結構お金かかるんですね。これが無料で、いつでも、どこでも、誰でも、このような多様な、いろいろな動画教材を体系的に掲載するとのすばらしい取り組みです。東京都の子供たちがこの教材を使用して英語に親しんでもらえることを期待いたします。
 健康についてお伺いいたします。
 人生で男性の二人に一人はがんになる。私ごとで恐縮ですが、今まで健康診断でオールAの成績で安心していた連れ合いに膵臓がんと肝臓がんがステージ4Bの段階で発見され、五カ月後にこの世を去りました。定期健康診断の内容には、膵臓がんの検査項目は含まれておらず、全く痛みがないので、発見がおくれてしまったのです。
 先日「コロナとがん」という中川恵一准教授の書かれた本を読みました。一つのがんの細胞が、検診で発見できる一センチ大になるまでに要する時間は、十年から三十年といわれ、その一センチの病巣が二センチになるには、二年弱しかかからないそうです。
 がんの早期発見、早期治療が大事なのに、コロナで受診控えが続くようであれば、例年なら早期がんとして見つかったものがそのまま放置されて進行がんになってしまいます。
 今まで公明党は、がん教育、AYA世代のがん患者支援、がん登録、コール・リコール等さまざまなことに取り組んでまいりました。三月一日から三月八日は、女性の健康週間でもありました。このようなコロナ禍においても、受診者数の増加に向けた取り組みを強化するべきと考えます。
 特に、女性のがん検診の受診者をふやしていく都の取り組みについてお伺いいたします。

○吉村福祉保健局長 都は、子宮頸がんや乳がんに対する正しい知識や検診のメリット、デメリットなどを漫画やイラストでわかりやすく解説するなど、女性の健康な生活や女性特有の病気に関する情報を集約したポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部を先月五日に開設いたしました。
 今月一日から八日の女性の健康週間では、企業などと連携した検診の受診啓発キャンペーンに加え、若い女性に影響力のあるインフルエンサーを起用し、このサイトの紹介やコロナ禍でもがん検診を定期的に受診する重要性についてSNSで発信するなど、積極的な広報を行っております。
 サイトには、開設から一カ月の間に十四万件を超えるアクセスがございました。来年度は、がんのうち、女性の死亡者数が最も多い大腸がんの情報を加えるなど内容の充実を図り、受診率の向上に向けて取り組んでまいります。

○のがみ委員 女性の死亡者が最も多いのが大腸がんだそうです。その情報をしっかりと取り入れていただけることを期待しております。
 受動喫煙対策です、最後に。
 私のライフワークとして、禁煙教育や受動喫煙防止について、都議会一期生の時代から取り上げてきました。
 昨年四月に改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が全面施行いたしました。今、私どものところに、都立公園を禁煙にしてほしいとの声があります。子供の利用する動物園、水族園、庭園は既に禁煙です。多くの方が快適に公園を利用する上で、受動喫煙対策を積極的に進めていく必要がございます。
 そこで、都立公園における受動喫煙対策についてお伺いいたします。

○中島建設局長 公園は、都民の憩いの場であり、子供も多く利用する施設であるため、受動喫煙対策の取り組みを進めることが重要でございます。
 都立公園では、喫煙に関するルールを定めまして、歩きながらの喫煙や妊娠中の女性、子供の周囲では喫煙しないよう、園内掲示板等で周知いたしますとともに、巡回時に注意を促すなどマナー向上に取り組んでおります。
 また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去し、受動喫煙の防止に努めております。
 今後とも、公園内での喫煙マナーの向上を図りますとともに、それぞれの公園の利用状況に応じまして、関係機関とも連携を図りながら、受動喫煙対策を行ってまいります。

○のがみ委員 受動喫煙防止の取り組みとともに大事なのは、本当は禁煙したいんだけど、どうしても禁煙できない人に対して、しっかりと支援をすべきだと考えます。
 都の取り組みについて伺って、私の質疑は終わります。

○吉村福祉保健局長 都はこれまで、ポスターやリーフレットを作成し、都民や事業者に向け、改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例の内容を繰り返し啓発するとともに、効果的な啓発、指導等に向けて、保健所と意見交換などを重ねております。屋内外での受動喫煙を防ぐため、公衆喫煙所を整備する区市町村や喫煙室を設置する事業者を支援しており、来年度も実施いたします。
 禁煙を希望する方に対しては、禁煙外来の医療費等を助成する区市町村を財政的に支援しております。また、喫煙率の高い三十歳代から四十歳代で、今後、子供を持つ父親などをターゲットに、喫煙、受動喫煙の悪影響等を解説するリーフレットを今年度中に新たに作成し、区市町村等を通じて、両親学級等で配布いたします。
 引き続き、喫煙率の低下に向けて取り組んでまいります。

○上野副委員長 のがみ純子委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時二十四分休憩