○木村委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
これより付託議案の審査を行います。
第一号議案から第二十八号議案まで、第百一号議案及び第百二号議案を一括して議題といたします。
九日に引き続き総括質疑を行います。
おじま紘平理事の発言を許します。
○おじま委員 二〇一一年三月十一日、東日本大震災が発生をしてから、本日で十年がたちました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
まずは、大きな節目に当たり、改めて被災地や被災者の方々に向けた知事の思いを伺いたいと思います。
○小池知事 おじま紘平理事にお答えいたします。
まさに今、震災から十年を迎えようといたしております。犠牲になられた方々に対しまして、改めて哀悼の意を表したいと存じます。
東日本大震災におきましては、津波で全てが流されていく、その光景を目の当たりにいたしまして、大きな衝撃を受けるとともに、この地の復興を最後まで支えることが我々に課せられた使命であるとの思いを強くしたものでございます。
そして、今日に至るまで被災地の復興は確実に進展はいたしております。ひとえに復興に取り組んできた被災地の皆様の努力のたまものであり、改めて敬意を表します。
都といたしましても、震災直後に現地事務所を立ち上げて、被災地のニーズをお聞きしながら、これまで三万人を超える職員の派遣、復興の応援や風化防止のためのイベント開催や情報発信など、被災地の支援に積極的に取り組んでまいりました。
しかしながら、被災地の復興、なお途上でございます。根強く残る風評被害、そして震災の記憶の風化との闘いなど、多くの課題が残されております。
今後とも、被災地に寄り添って、被災地の声、よく伺いながら、その復興に向けてしっかりと支援をしてまいります。
○おじま委員 知事の力強いご答弁をいただきました。新型コロナが感染拡大するさなかにあっても、首都直下型地震などの災害は起こり得ます。都民の生命と財産を守るためには、平常時から関係機関と連携をした備えが重要であります。
東日本大震災の発災時、混乱をきわめる災害現場において救援活動に当たったのは、全国から派遣された警察、消防、そして自衛隊でした。救助、救命だけでなく、物資輸送、生活支援、インフラの復旧などを通じ、多くの人の命と心を救ったその活躍は十年たった今も人々の記憶に刻まれています。
私の地元練馬区には、陸上自衛隊練馬駐屯地の第一師団、そして第一普通科連隊がありますが、知事の要請による災害派遣要請にもたびたび応えております。地震や台風など自然災害だけでなく、今般のコロナ対応における療養ホテルの生活支援などでもお世話になりました。
自衛隊の最大の特性であり長所は、即応部隊としての機動性と自己完結型で任務を遂行できる独立性であります。首都直下型地震のリスクも高まる今こそ、警視庁、東京消防庁とともに、自衛隊の力も生かした災害対応力を強化することが求められております。
東日本大震災から十年を機に、首都東京の防災力を高めるため、都と自衛隊との連携をさらに強化すべきと考えますが、元防衛大臣でもある知事の見解を伺います。
○小池知事 新潟中越沖地震が発生いたしました際、ちょうど私、防衛大臣でございました。そして、自衛隊の責任者として災害対応を指揮したことがございます。
大規模災害の被害を最小限に抑えていく、そのためには地元の自治体と自衛隊との強固な連携が極めて重要であると、そのことを実感いたしました。そのためにも、いつ起こるかわからない災害の発生に備えまして、平時から自衛隊との緊密な関係、これを構築していくことは欠かせません。
都はこれまで、自衛隊が都庁に参集をして、実際の災害対応を模擬的に行う訓練や災害現場での救助訓練を共同で実施するなど、自衛隊との緊密な連携を深めてまいりました。
また、一昨年の台風第十九号におきましては、陸上自衛隊第一師団の練馬駐屯地から派遣された部隊とともに、孤立地域への物資の支援などを行うなど、連携して多くの救援活動を行ったところでございます。
おじま理事は予備自衛官補でもいらっしゃいます。この陸上自衛隊第一師団、その地におきましても訓練を重ねられたと、このように承知をしております。
来年度におきましては、都と自衛隊などが共同いたしまして、首都直下地震を想定しました大規模な訓練を実施するなど、自衛隊との連携をより一層強化いたしまして、都民の生命、そして財産を守るために万全を期してまいります。
○おじま委員 ありがとうございました。
次に、コロナ対策について伺いたいと思います。
まずは積極的疫学調査についてであります。
ここ最近は、都のモニタリング会議等でも積極的疫学調査についてたびたび言及がありました。五日には国の基本的対処方針が改定をされまして、クラスター対策の強化としての積極的疫学調査の強化というのが新たに追加をされました。特に、変異株への対応といった観点も踏まえつつ、感染源の推定のための調査を含めた強化を図っていくとあります。
積極的疫学調査には、感染源の推定のための検査、いわゆる後ろ向き検査と、接触者の探索のための検査、いわゆる前向き検査があります。クラスター潰しのためには、どちらも不可欠ですけれども、市中感染が広がって、経路不明者が大勢を占めている状況になってしまうと、これが有効でなくなってしまうということであります。
ことしの年明け一月に、都の積極的疫学調査が縮小されるのではないかというニュースが流れました。これは臨時対応ということでしたけれども、厚労省あるいは都からも、その旨の事務連絡、通知が行ったところであります。
確かに、一月上旬には一日千人、二千人という新規感染者が出ているような状況でありました。これが二月に入って新規感染者数が減ってきて、臨時対応の解除目安としていた三百人から五百人というレンジにようやく入ってまいりました。ここで保健所業務にも一定の余裕が出てきたわけでありまして、先月末に臨時対応を解除するという旨の通知を出したところであります。
このこと自体はよかったんですけれども、この間、都民の間で、積極的疫学調査が縮小、都はこれは重点化と呼んでいますけれども、されたことによって、本来捕捉されるべき感染者が捕捉できていないのではないかという疑念を持つこともありました。
市中感染状況となった時点での積極的疫学調査、あるいは爆発的な感染拡大がある程度おさまった時点での積極的疫学調査、また、変異株対策としての積極的疫学調査など、都の積極的疫学調査に対する基本的な考え方を伺いたいと思います。
〔委員長退席、吉原副委員長着席〕
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は本年一月に、都内の新規陽性者数が大幅に増加した状況を鑑み、積極的疫学調査について、国の通知を踏まえ、重症化リスクにかかわります状況把握に重点を置き、適切な医療提供につなげることを優先する考え方を保健所に示しました。
保健所はこれに基づき、地域の実情に合わせ必要な調査を実施し、陽性者の重症化リスクの把握を優先するなどの対応を行ってまいりました。
その後、二月二十六日のモニタリング会議で、新規陽性者数が減少し、クラスターの感染経路が特定し得る段階におきましては、保健所の調査機能を最大限発揮することで再拡大を予防する考え方が示され、都はこの考え方を踏まえ、適切に対処するよう周知いたしました。
各保健所ではこれを踏まえ、感染が生じやすい状況の把握を強化し、感染拡大防止に取り組んでおります。
○おじま委員 積極的疫学調査の強化をこれからどのようにしていくかというのも、東京iCDCで議論をされているところだと思います。変異株の対策としても、間違いなくこれが鍵になってくると思うので、抜かりなく保健所と連携して進めていただきたいと思います。
この積極的疫学調査を行う保健所では、マンパワーが慢性的に不足をしております。我が会派の提案で実現をしました都庁職員の応援派遣を含め、この後、保健所支援が増強されるとも聞いておりますけれども、そもそも業務そのものがアナログ過ぎるんじゃないかと、例えば発生届が手書きのファクスだったとか、そういった話もありました。
積極的疫学調査を強化していくためには、人員面での支援に加え、都保健所におけるデジタル化の取り組みをさらに推進するなど、二十三区、あるいは八王子、町田の保健所に対する体制支援を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都はこれまで、保健所の業務を支援するため、職員を派遣するほか、発熱等の症状のある方の相談窓口や保健所支援拠点の設置などに取り組んでまいりました。
また、積極的疫学調査等の業務を担います保健師等をトレーサーとして採用し、都保健所等に配置いたしますとともに、保健所設置区市に対しましては、看護師等の雇い上げ経費や業務委託経費等を支援してございます。
さらに、本年一月には、自宅療養者フォローアップセンターによります支援を保健所設置区市に拡大いたしますとともに、夜間に保健所にかわって入院先の調整を行う窓口の運営を開始いたしました。
来年度は、都の保健所で取り組んでおります未来型オフィス実現プロジェクトを保健所設置区市にも紹介しながら、業務のデジタル化に向けた支援を推進し、保健所のさらなる体制強化に取り組んでまいります。
○おじま委員 検査と調査と、またこういう体制の強化というのは全てセットで進めていかなければならないと思いますので、ぜひよろしくお願いできればと思います。
続いて、ワクチンに関する取り組みについて伺いたいと思います。
先日の伊藤副委員長の質疑でも触れたとおりでありますが、国内への供給は大幅におくれているところであります。そのような中で、気が早いといわれるかもしれないんですけれども、この住民フェーズを始めるに当たっての期待も込めて、ワクチンの接種率を上げる取り組みについて伺っておきたいと思います。
そもそも、もちろん接種は強制をされるべきものではないし、あるいは、しない、できない人への差別というのもあってはならないものであります。そのことも踏まえた上ではありますけれども、そもそもなぜ国策としてワクチンを進めているのかといえば、接種をした人自身が感染しないようにするだけではなくて、感染しない人がふえることによって、感染症を終息に導く可能性があるからであります。
人口の一定数以上、六割から七割といわれていますけれども、ウイルスに対する免疫を持たなければ集団免疫が成立をしない。つまり、多くの人にワクチンを打ってもらう必要があるわけであります。
例えば、埼玉県の宮代町では、接種一回につき、町内の飲食店あるいは小売店で使用できる商品券千円分を支給することを決めて、六千万円の予算を計上しています。ほかにも、山梨県あるいは神奈川県横須賀市でも割引サービス、ポイントの付与などを検討しています。
我が会派の樋口元都議がこの間、千代田区長選、当選をいたしまして、就任しましたけれども、ここでも接種した高齢者に入浴剤、あるいは栄養補助食品などを無料配布することを決めています。
また、静岡県静岡市は接種会場にアクセス、行きやすくするために、タクシークーポンを渡す方針となっています。
接種率の向上に向けて、都としてはどのような取り組みを考えているのか伺いたいと思います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 より多くの都民にワクチンを接種いただくためには、その有効性や安全性についての正確な情報をわかりやすく伝えるとともに、今般の予防接種の社会的意義につきましても周知することが必要でございます。
都は、先月二十六日にワクチン接種に関するポータルサイトを立ち上げまして、今月から、都内での接種の開始や実施状況を簡潔に伝える動画を東京動画やウエブCMで配信しており、来週からはテレビCMも開始いたします。
今後もさまざまな広報ツールを活用し、ワクチンに関します情報をわかりやすく提供するとともに、ワクチン相談センターやLINEのチャットボット等を通じ、都民からの問い合わせにもきめ細かく対応し、都民への正しい知識の普及と理解の浸透に取り組んでまいります。
〔吉原副委員長退席、委員長着席〕
○おじま委員 この後の接種の高齢者フェーズからは、区市町村によって行われることになっておりまして、都としてはこのサポートをしていくと先日も答弁がありましたが、接種計画については、二十三区を見渡しただけでもかなりまちまちであります。
私の地元練馬区では、前川区長が練馬区モデルというのを打ち出して話題となりました。これは集団接種ではなくて、個別接種をメーンとするものであります。
この高齢者フェーズの予行も兼ねて、今行っている医療従事者フェーズにおいても、練馬区としては行っていきたいというふうに聞いています。これがうまくいけば、他自治体に先んじたモデルケースともなり得るものであります。
こうした地域によって異なる接種計画というのを都としてどのように支援をしていくのか、これについても伺いたいと思います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 住民向けワクチン接種につきましては、実施主体であります区市町村が、それぞれの地域の実情に応じた計画を策定しており、都は、区市町村や医師会等と先月立ち上げましたワクチンチームで意見交換などを重ねまして、現場の実情や地域ごとの課題などを共有してございます。
お話の練馬区モデルは、短期間での接種完了を目指し、区内約二百五十カ所の診療所が中心となりまして接種を行う計画でございますが、基本型接種施設からワクチンを小分けにして移送することが課題と考えられ、現在行っている練馬区の医療従事者等への優先接種における試行的な取り組みの状況も踏まえ、円滑な実施方法について関係者で検討を進めております。
都は、引き続き区市町村等と情報を共有しながら、必要に応じて国に現場の声を届け、今後本格化いたします住民接種に向け、区市町村を積極的に支援してまいります。
○おじま委員 ぜひしっかりとフォローをしていただきたいと思っております。
医療提供体制についてなんですけれども、特に病床を逼迫させないためには、退院と転院というのをスムーズにしていく必要があります。
第三波においても、高齢者が入院治療によるいわゆるADL、日常生活動作の低下によって退院ができなくなってしまっているというケースがふえておりました。
さきの代表質問においても、いわゆるリハ病院を初めとする後方支援病院への転院支援に取り組むという答弁もいただいたところでありまして、既に百八十カ所ほどの医療機関に手を挙げていただいたということでありました。大変ありがたいことですけれども、この後の第四波も見据えれば、地域それぞれの医療機関同士でそれぞれの役割に応じたネットワークを構築してもらうということも重要であります。
既に一部の区市町村では取り組みが始まっているようで、こうしたところへの財政的支援も強化をしていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、新型コロナからの回復後も引き続き入院が必要な方の転院が進むよう、転院患者の受け入れ病院を募集し、受け入れに対する助成を行いますとともに、転院支援システムを活用して、病院間の転院の調整を支援しております。
来年度からは新たに、医療機関に対し、病院間の転院に係ります民間救急車での搬送経費等を支援いたします。また、区市町村が地域の医療機関と連携し、各医療機関の役割に応じたネットワークの構築や、新型コロナ患者の病態に応じました転院調整体制の整備等に取り組む場合、一千万円を上限として助成することとしており、今後とも、地域の実情に応じました医療提供体制の強化を図ってまいります。
○おじま委員 東京都医師会からは、医療機関から在宅、介護施設等への橋渡しをする中間施設として老健を活用すべきという提案も出ておりまして、これはこの後、介護報酬などでも手当てをしていくというふうに聞いています。都としてフォローできるところはフォローしていってほしいということを要望しておきたいと思います。
また、コロナ対策のゲームチェンジャーとしてワクチンとともに期待をされているのが治療薬であります。仮に有効な治療薬ができれば、ワクチンとの両輪でもって対応していくことができるということでありました。
例えば、ノーベル生理学・医学賞の受賞者で名誉都民でもある北里大学の大村智博士が開発をしました抗寄生虫薬イベルメクチンなどがあります。これは東京都医師会の尾崎会長もたびたび触れているところで、私、個人的にもこれは期待をしているところなんですが、あくまで治験の段階なので、まだ効くとも効かないともいえない。だからこそ、研究機関においては、臨床データを蓄積していく必要があって、都としてもできる後押しをしてほしいということもあわせて要望していきたいと思います。
変異株についてであります。
この変異株の国内流行というのが今大きな懸念となっていますが、そもそもこれを国内に入れないということが重要であります。すなわち水際対策であります。そもそも空港などの検疫の段階で食いとめなければならないんですが、検疫をすり抜けてしまったケース、あるいはこの検疫を免除されて入国をした人が数日後に発症して、陽性判明してしまったというケースもありました。
検疫では、入国時の検査のほかに誓約書の提出を求めています。その内容は、入国後十四日間、自宅または宿泊場所で待機をし、他者との接触を行わないこと、公共交通機関を使用しないこと、あるいは、入国時にスマートフォンにLINEアプリをインストールの上、同アプリを通して、入国後十四日間毎日、自宅または宿泊場所を管轄する保健所等に健康状態の報告を行うことなど書いてあります。
この十四日間の毎日の健康観察に関しては、保健所で行うことになっているようですが、実務的にはどのように対応するようになっているのか伺いたいと思います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 検疫所は、新型コロナウイルス感染症に感染したおそれのある者を特定し、十四日間の健康フォローアップの対象とする者の名簿を作成し、入国後の居所を管轄する保健所へ依頼をしております。依頼を受けました保健所は、名簿に基づき対象者に連絡をし、原則として毎日、健康状態を確認いたします。
健康フォローアップ中に発熱等、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状を把握した場合には、感染症指定医療機関等で適切な医療が提供されるよう調整しております。
○おじま委員 私は昨年、実際に羽田空港の国際線ターミナルに視察に行ったんですが、さっきの誓約書には、公共交通機関、具体的には不特定多数が利用する電車、バス、タクシー、国内線の飛行機等を使用しないこととあるんですが、実際には、大きな荷物を転がしながら、モノレールとか、京急線に乗って帰っていく外国人の方を多く見かけました。何でなのかと空港スタッフに聞いたところ、強制力がないから、あくまでお願いベースだから、とめられないということでありました。
この誓約書に違反した場合に、検疫法の規定に基づく停留の対象となり得ることや、自治体等から関係当局に当該行為に関する情報の提供がされ得ることとされておりますが、都内においてこれが適用された事例があるのかどうか伺いたいと思います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 お話の誓約書は、検疫所が全ての入国者に対し、入国時に十四日間の公共交通機関の不使用や自宅または宿泊施設での待機等の誓約を求めているものでございます。
今般、国内での変異株対策の強化を踏まえ、本年三月八日に発出された国の通知により、本年二月二十四日以降に入国した者について、入国後十四日以内に誓約に違反する行為を把握した場合は、国に報告することとされました。
都は、この通知に基づき適切に対応されるよう保健所に周知しており、現時点で国に報告された事例はございません。
○おじま委員 現時点ではゼロということなんですけれども、実際にこの十四日間を守らなかったことによる感染事例というのも既に報じられていると思います。入国規制そのものを厳しくしている今ですらこの状況なんですが、この後、オリンピック・パラリンピックが控えていて、水際対策の議論というのは避けては通れないものだと思っています。
こういう誓約書一枚というだけでやっている感を出すのではなくて、入国後も一定期間は確実に入国者を追跡、そして把握をできるような法整備を国に強く求めていくべきと、これは都からもたびたび国に申し入れをしているようですけれども、今後さらに変異株リスクが高まっていくという状況ですので、改めて、これも要望しておきたいと思います。
コロナ禍は、子育て環境にも暗い影を落としております。
ある調査によれば、母親が産後鬱を発症する確率は、従来一〇%程度とされてきましたが、コロナ禍の影響で、人と触れ合う機会や外出機会が極端に減少したこと、また、経済的不安もあって、これが二四%になっているということであります。
最悪の場合、みずから命を絶ってしまうこともある産後鬱が倍増しているという状況で、子育てを社会で支える仕組み、環境づくりが不可欠であることはいうまでもありません。中でも、一番近くで母親を支え、子供を守ることができるのは父親であります。
私は、昨年の予特でも男性育休に触れたと思います。例えば、男性国家公務員でも育休を取得するのはまだ一六・四%、都内で働く男性という調査でも一二%にとどまっています。そのような中、東京都は、企業における育休環境の整備に向けた、働くパパママ育休取得応援事業を展開しています。
コロナ禍で孤立を深め、深刻さを増す母親の育児環境を踏まえたとき、男性の育休取得や育児参加に関する環境整備をさらに強化をしていくということが重要と考えますが、誰もが産み育てやすい東京の実現にどう取り組んでいくのか、知事の見解を伺いたいと思います。
○小池知事 男性の育児休業取得についてのお尋ねでございます。
これは自身のライフワークバランスの実現に加えて、女性の活躍を進めるという上でも重要でございます。法の整備に伴って、社内制度の導入は進んでおりますけれども、その取得状況はいまだ十分とはいえないと、このような状況であります。
また、コロナ禍におきましては、ご指摘のように、人と触れ合う機会が減少していること、孤立感を深めて、不安やストレスを抱える育児中の女性もふえております。
こうした状況を踏まえまして、男性が育児に参加しやすい職場環境の整備、また、社会全体の意識変革を一層進めていく必要がございます。
そこで、都といたしまして、来年度、男性従業員に育児休業を一定の期間取得させた企業に対しまして奨励金を支給いたしておりますが、その支給規模をこれまでの百社から四百社に大幅に拡充をしてまいります。
加えまして、産後鬱のリスクも高いとされます出産直後の女性をサポートするため、産後八週間、この期間内における男性の育児休業に対しまして奨励金を加算するなど、支援を強化してまいります。
さらに、男性の育児休業の取得の促進でございますが、普及啓発イベントを開催したり、また、家庭と仕事の両立支援ウエブサイトにおきまして、先進的、モデル的な事例など発信をしてまいります。そして、男性の働き方の改革に向けた社会的機運の醸成を図ってまいります。
こうした取り組みで、男性が当たり前に育児休業を取得できる、そんな社会の実現を目指してまいります。
○おじま委員 昨年の予特でも、この男性育休というのは、社会問題を、社会課題を解決するボウリングの一番ピンであるという話をさせていただきました。ぜひ、この推進を引き続き頑張っていただければと思っております。
都内経済の閉塞感を打破し、東京を再び成長に導くためにも、革新的なビジネスモデルを生み出していく必要があります。そのためには、ベンチャー企業のすぐれた技術と斬新な発想を最大限に活用していくということだと考えています。ベンチャー企業にとってネックとなる資金面、あるいは人材面などをしっかり行政がサポートして、東京の経済全体の底上げをしていくべきであります。
ベンチャー企業を核としたオープンイノベーションの取り組みをさらに強化をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○村松産業労働局長 都は現在、すぐれた技術や発想を持つベンチャー企業による革新的な製品やサービスの開発に向け、大企業等と連携したオープンイノベーションを支援しておりまして、開発経費の二分の一について、五億円を上限に助成しているところでございます。
来年度は、ZEVやプラスチック削減などゼロエミッション東京の実現に寄与するプロジェクトへの支援についても新たに開始いたします。具体的には、ベンチャー企業に対し、資金や人材、販路等の経営資源を提供する大企業とのマッチングを支援いたします。
また、市場調査や専門家による技術的アドバイス等のハンズオン支援のほか、開発経費の三分の二について、六億円を上限に助成を行ってまいります。オープンイノベーションの促進により、ベンチャー企業の技術開発を加速化させ、新たな産業創出を図ってまいります。
○おじま委員 ただいま答弁にありましたゼロエミッションに関連をして伺いたいと思います。
知事は、国に先駆けて、二〇三五年までに二輪車非ガソリン化一〇〇%という目標を掲げて、ゼロエミッションへの積極的転換を明確にしました。実際、テレビ東京の「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」では、知事みずから、EVバイクに乗って運転をされて、奥多摩を走られておりました。
国内二輪業界においても、ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハなどのこの四社がコンソーシアムを設立して、共通バッテリーの標準化を進めるなど、業界を挙げた取り組みが活発化をしているところであります。世界市場に目を移しても、各国の環境政策が普及を後押しして、大きなビジネスチャンスともなっています。
都としても、こうした二輪業界の動きと足並みをそろえ、集中的、重点的な取り組みを行うことが不可欠であります。二〇三五年までの二輪車非ガソリン化一〇〇%の実現に向け、今後、具体的にどのような手だてを講じていくのか、知事の見解を伺いたいと思います。
○小池知事 ご指摘ございましたように、今、中国、そしてまた東南アジアを初め、国際的にEVのバイク市場、急拡大をいたしております。バイクの世界シェアの約半分を占める日本のメーカーでありますが、この流れにおくれをとることなく、技術力を生かして、世界を牽引していくことは重要であります。
EVバイクですが、環境性にすぐれている一方で、現状は、ガソリン車と比べまして割高となっております。そしてまた、バッテリーによる走行距離が短いこと、認知度も十分でないこと、これが普及を進める上での課題となっております。
そこで、都といたしまして、来年度、EVバイクの補助額を引き上げまして、国補助との併用で、ガソリン車と同等の価格で購入できるように支援策を強化してまいります。
また、EVバイクのバッテリーを複数のステーションで貸し出し、返却することができる実証事業を新たに実施しまして、バッテリーシェアに関する効果検証を行ってまいります。
さらには、EVバイクの認知度の向上に向けまして、バイクの愛好者だけではなく、広く都民が親しめるようなイベントを企画、実施をしてまいります。
都は、二輪業界とも連携いたしまして、これらの取り組みを通じてEVバイクの普及を強力に後押しをし、二輪車の非ガソリン化、実現をしてまいります。
○おじま委員 続きまして、水道、下水道事業について伺いたいと思います。
水道事業は装置産業でもありまして、施設のあり方と同時に、設備投資のための資金をどう確保していくのかといった中長期的な視点を持つ必要があります。この施設整備だけではなく、デジタル化の推進など、大きな資金需要が今後も見込まれるところでありまして、これらの主要財源は都民の家計に直結をしている水道料金であります。
事業の着実な推進と適正な都民負担との両立のためには、綿密な事業計画と財政計画の策定が不可欠であります。令和三年度予算においては、コロナ禍の影響で三%、約百億円の減収を見込んでいるところで、感染終息と経済回復の見通しもまだまだ不透明であります。
このような状況下において、今後五年間の水道経営プランが策定をされたわけでありますが、その財政運営の考え方を伺いたいと思います。
○浜水道局長 水道事業は、利用者の料金で事業費を賄う独立採算制でありますとともに、料金を負担する世代間の公平性への配慮も求められております。
今後、人口減少等に伴って料金収入の減少が見込まれる中、大規模浄水場などの施設を計画的に更新し、将来にわたり安定給水を確保するためには、中長期的な視点を持って財政運営を行う必要がございます。
そのため、東京水道経営プラン二〇二一では、計画期間の五年間のみならず、十年間の財政収支を見通しました。具体的には、計画的な施設の更新により、支出の平準化を図るとともに、経営努力により経費を縮減し、さらには企業債を適切に活用することで、計画期間における収支の均衡を図り、料金水準を維持した財政運営を行ってまいります。
○おじま委員 続いて、水道局のお客様サービスについて伺いたいと思います。
これまでもICTを活用した都民サービスの向上などに取り組んできたと認識をしています。特に、水道スマートメーターに関しては、二〇一八年のIWA世界水会議において発表したトライアルプロジェクトを通じまして、都内全戸導入に向けた効果検証を行っているところであります。令和四年度から六年度にかけては、十三万個を先行導入する予定と聞いています。
一方で、従来の電話、あるいは郵送、また、来庁いただいての各種申し込みや手続、現金による料金支払い、紙による情報閲覧など、まだまだアナログが残っているところであります。オンラインサービスに関しても、従来のパソコン型からスマホ対応にシフトしていかなくてはなりません。
DXは全庁的な課題でありまして、これまでも水道局には業務効率化に向けたAIの活用、キャッシュレス決済の拡大、検針業務の効率化、ペーパーレス化などを求めてきたところであります。
デジタル技術を最大限活用し、お客様サービスの向上をさらに図るべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○浜水道局長 水道局では、インターネットによる申し込み受け付けやキャッシュレス決済の導入など、デジタル化の推進によるお客様サービスの向上を図ってまいりました。
今回策定した東京水道経営プラン二〇二一では、デジタルトランスフォーメーションの推進により、お客様に信頼される水道を実現していくこととしております。
具体的には、令和四年度から六年度までに約十三万個のスマートメーターを先行導入して、効果の検証等を実施し、二〇三〇年代までの全戸導入につなげてまいります。また、各種申し込みの手続や水道料金のお支払い、位置情報を活用した災害時給水ステーションの案内など、さまざまな機能を有するスマートフォンアプリを導入いたします。
これらの導入により、お客様サービスのデジタル化をより一層推進してまいります。
○おじま委員 次に、下水道について伺いたいと思います。
将来的な人口減少に直面をする中、都の下水道事業は、下水道管や水再生センターの老朽化に伴う再構築、震災対策及び激甚化する豪雨に対する浸水対策、エネルギー、地球温暖化対策など、主要施策を着実に進めていくことが求められています。特に、下水道管の更新や豪雨対策は、二〇五〇年までに二兆円近い費用がかかる見通しでありまして、不断の経営効率化を進め、持続可能な財政運営に取り組まなければなりません。
都は、建設、維持管理コストの縮減とあわせて、下水道施設の上部空間を活用して、土地建物の貸し付けなど資産や資源の有効活用を進めることで、年間百億円を超える企業努力を行っていますが、一層の取り組みが必要不可欠であります。
都としては、下水道事業の生産性向上を目的として、二〇一八年から三年間、包括的な民間委託、コンセッション方式などの新たな運営手法について調査検討を行っております。
今後は、AIを含むデジタル技術を活用した新たな技術の開発、導入による事業の効率化を一層図るとともに、持続可能な下水道システムを構築すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○木村委員長 おじま紘平理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後一時四十二分休憩
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