午後三時五分開議
○吉原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
三宅正彦委員の発言を許します。
○三宅委員 本年一月の緊急事態宣言発出から二カ月がたちますが、いまだに感染者数は下げどまりしたままです。多くの都民が二カ月以上さまざまな自粛要請に応えてきましたが、さらに二週間延期されたことにより、とことんステイホーム、そういわれても、これ以上何をしたらいいのか、戸惑いと限界を感じているのが実情です。
諮問委員会の尾身会長から四都県知事に対し、リバウンド防止のための七項目の提言がなされました。知事も、この二週間は極めて大事との認識を示されています。
解除に向けて必ず結果を出すという知事の不退転の決意だと受け取りましたが、では、この二週間、具体的に何に取り組むおつもりなのか、知事に伺います。
○小池知事 お答えいたします。
ご質問にもありました、先日示されました政府の基本的対処方針等諮問委員会の尾身会長からの七つの提言、これにつきましては、先日お越しいただきまして、直接一つ一つの内容、また対応方法などについて伺わせていただいたところでございます。
緊急事態宣言の延長及び首都圏における感染再拡大防止策についての見解と、このようにタイトルが打ってありまして、そして、一都三県の知事に対して、緊急事態宣言解除後のリバウンドを防止するための集中的な検査、積極的疫学調査などの体制を強化する、これらのことを書き示したものであります。
その上で、現在、都といたしまして、ポイントを押さえるという意味で、特別養護老人ホームなどを対象に集中的なPCRの検査を実施いたしております。これ、七つの提言の中にも入っている検査の項目でございます。そして、今後、介護療養型医療施設、そして有料老人ホーム、認知症の高齢者グループホームなど、合わせますと、約一千五百カ所になります。対象の人数については約五万人。こちらに対象を拡大をして検査をしてまいる。これが一点。
それから、保健所の調査機能を最大限発揮をするということで、リバウンドのきっかけとなりますクラスターの芽を早期に摘み取るとともに、変異株の発生状況を把握するために、健安研、健康安全研究センターに加えまして、民間の検査機関も活用しスクリーニング検査の拡充、そして、これは国とも連携しながら、監視体制を強化するということも重要でございます。
こうした取り組みに加えまして、現在、東京iCDCで歓楽街などでの感染拡大の予兆を早期に探知する方策を検討しているところでございます。
都民の皆様、事業者の皆様のご協力をさらにお願いをするとともに、都としてなすべき対策を早期に取りまとめまして、集中して徹底的にやり抜く、そしてリバウンドの回避に全力で取り組んでいく。このように考えております。
○三宅委員 世界に冠たる日本が、またこの東京が、すぐに医療が逼迫してしまうような状況というのは、本当に残念なことだと思っています。今、我々がやるべきことは、医療従事者、また保健所等の負担を軽減するような医療体制構築、これは前から、本当はもっと早くからやっているといわれていますが、もっとしっかりとやらなければ、いつまでたってもこれは解除できないんじゃないかという、そういう不安が都民の間にも広がってくると思いますので、ぜひその辺、都としてもしっかりと発信をして、また体制づくりに努めていただきたいと思います。
次に、時短要請について伺いたいと思います。
都ではこれまで、都内繁華街の店舗の時短要請への協力状況の調査を行い、先週末時点で九七%の店舗が協力しているとのことですが、一方で、数%とはいえ、約千四百軒もの店舗が二十時以降も開店しているという状況も明らかになっています。
こうした中、都は、二月二十六日以降、段階的に特措法第四十五条二項による営業時間短縮要請を実施し、これまで計百十三施設に対して要請を行ったと聞いております。
この百十三店舗以外にも、少なくとも約千三百店舗の開店が確認されていることになりますが、これらの店舗に対しどのようにどのような対応を行い、また、既に要請した百十三店舗は、どのような基準で絞り込んだのか、伺いたいと思います。
○山手総務局長 都は、営業時間短縮要請への協力状況の調査を行いまして、開店が確認された店舗に対しては、職員が個別に訪問をさせていただいて、営業時間短縮への協力依頼を行ってございます。
個別訪問を実施した後、電話や文書等で改めて協力依頼を行いまして、その上で職員が現地を確認し、協力が得られなかった店舗を対象に、順次、特措法第四十五条第二項の要請を行っております。
○三宅委員 多くの店舗が要請に協力する中で、中には、照明を消すなど営業の事実を巧みに隠し、協力金まで申請している悪質な店舗も少なくないと聞いております。
今回、都が状況調査を行った店舗数は、約十二万件もあるとされる都内対象店舗数の半数にも満たないことになります。また、特措法第四十五条による時短要請を行った店舗も、要請に従わない店舗のごく一部と考えられますが、公平性や実効性を確保する観点から、都は、どのような認識のもとで状況調査や法第四十五条による要請などを行っているのか、伺いたいと思います。
○山手総務局長 感染防止対策を効果的に進めるためには、営業時間の短縮にできるだけ多くの事業者に協力してもらうとともに、協力いただけない事業者に対しては、適切に対応していくことが重要でございます。
このため、協力状況の確認に当たりましては、職員が直接行うだけではなく、民間委託も活用するとともに、区市町村からのさまざまな情報提供を受けるなどいたしまして広範囲に実施し、可能な限り公平性を確保しております。
開店を確認した店舗に対しては、速やかに職員が個別に訪問し、繰り返し営業時間の短縮をお願いするなど、時短要請の実効性の確保に努めてございます。
○三宅委員 昨日八日より、三月二十一日までの緊急事態宣言の延長が行われています。
緊急事態宣言の延長により、既に法第四十五条による要請を行った店舗には、今後、同条による命令や法第七十九条による罰則の適用を行うことができるようになりますが、都が時短要請への協力状況の把握を行ってから、最短で何日後に命令や罰則の適用を行うことができるのか、伺います。
○山手総務局長 時短要請に応じない店舗に対しまして、特措法第四十五条第二項に基づく要請を行いましても、なお応じていただけない場合には、国の通知に基づきまして、命令等の手続を進めていくこととなります。
具体的には、営業状況の現地確認、専門家からの意見聴取、事業者への弁明の機会の付与などを行う必要がありまして、最初に協力状況の把握を行ってから、命令や罰則の適用を行うまで、状況に応じた一定程度の日数が必要となります。
○三宅委員 今、ご答弁にありました状況に応じた一定程度の日数が必要になるとのことですが、この状況に応じたとは、どのような例があるのか、教えてください。
○山手総務局長 営業時間の短縮要請に応じない店舗に対しましては、複数回の協力依頼を行ってございますが、協力依頼に応じていただける店舗もあれば、全くご協力いただけない店舗もあるなど、各事業者の対応は店舗によりさまざまでございます。
○三宅委員 隠れて営業し、そして協力金を受け取る悪質な店舗が存在する一方で、真に経営に困窮し、開店を続けなければ路頭に迷ってしまうような店舗もあります。
特措法では、正当な理由がないのに要請に従わない場合に、命令を行うことができることにしていますが、要請に従わない店舗にもさまざまな背景や理由がある中で、知事は今後、どのような方針で、新たに知事の権限として定められた命令や罰則などを運用していくのか、見解を伺います。
○小池知事 新規の陽性者、先ほども三時の時点で発表いたしましたが、数字的にも下げどまっております。そして、緊急事態宣言が再度延長され、大変厳しい状況が続いているところでございます。
今、何としても感染の拡大を抑制して、感染再拡大、リバウンドを防がなければなりません。
そのために、都民の皆様方には不要不急の外出の自粛、そしてまた、事業者の皆様方には飲食店等の営業時間の短縮等、ここで感染防止対策を徹底的にやり切ることが、すなわち感染の終息に大きな意味を持つと、この旨、ご協力を引き続きお願いしているところでございます。
ご指摘のように、多くの事業者は営業時間の短縮要請にご協力をいただいております。そしてまた、さまざまな感染防止対策も進めていただいております。一方で、たび重なる要請に応じずに、営業を続ける店舗もございます。これらの店舗につきましては、命令等の実施に向けて必要な手続を進めてまいります。
改めて原点に立ち返りながら、都民、事業者、行政が総力を結集して徹底的に感染を抑え込んでいくということが肝要だと、このように申し上げておきます。
○三宅委員 厳しい状況の中で、多くの事業者が感染防止対策に真摯に取り組んで、そして、都の時短要請にも協力しています。こうした事業者の努力に報いるためにも、少なくとも、正直者がばかを見るというようなことがないよう、公平で実効性のある特措法の運用に努めていただきたいと思っています。
次に、ワクチンの配布について伺いたいと思います。
きのうの質疑で、来月から始まる住民接種が円滑に進むよう先月立ち上げたワクチンチームで、区市町村や医師会などと接種に向けたさまざまな課題の把握や調整を行っているということが明らかになりました。
この高齢者向けワクチンの出荷については、三月一日に国は各都道府県ごとの割り当て数を示し、四月は都に対して、四回に分けて、四十四箱のワクチンが出荷されることとなりました。
一箱当たり九百七十五回分として、四十四箱で四万二千九百回分ですから、このファイザー製のワクチンは二回接種することを考えると、二回で一人分として、全部で二万一千四百五十人分となります。
都内老年人口、約三百十二万人に対して、カバーできるのが全体の〇・七%程度ということになりますが、まずは決められた配布数を、区市町村と連携して確実に接種につながるよう、都は努めなければなりません。この点について、まず見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 ワクチン接種を円滑に進めるためには、予防接種法上の実施主体であります区市町村を初め、接種にかかわります関係団体との緊密な連携が必要でございまして、都は、先月、区市町村や医師会などの関係団体とワクチンチームを立ち上げ、今後、本格化する接種に向けて準備を進めてございます。
来月十二日の週から高齢者を対象として始まります住民向け接種では、区市町村の要望を踏まえ、都有施設を接種会場として提供する予定でございまして、今後とも、ワクチンチーム等を通じて情報共有や意見交換を重ね、地域の実情や要望を把握するなど、円滑なワクチン接種に向け、区市町村を支援してまいります。
○三宅委員 島しょ地域の自治体によっては、一箱九百七十五人分を高齢者だけで使い切ることができないところも出てきます。先週、国は、千人程度未満の離島は高齢者と高齢者以外の接種を同時に進めても差し支えないという通知を出しています。
人口三百人以下の離島、利島や御蔵島、青ヶ島など、ワクチンを有効に使うためには、医療提供体制や輸送体制も含めた調整や支援が必要です。
都として、どう取り組むのか伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、島しょ地域におけますワクチン接種について、町村との意見交換なども通して、交通事情を考慮いたしました輸送体制や都の応援体制、希望する住民が接種を受けた後に余剰となりましたワクチンの取り扱いなどについて検討しております。
現在、町村ごとに、現状や課題などを詳しく把握するための調査を改めて実施してございまして、今後、調査結果なども踏まえながら、島しょ地域固有の事情に応じた調整や支援を行ってまいります。
○三宅委員 その余剰になったワクチンは本当にもったいないですから、相互に連携して、ほかでも使えるような体制づくりをぜひしていただきたいと思います。
次に、BCP策定支援事業について伺いたいと思います。
平成二十三年の東日本大震災は、日本全体が危機管理の重要性を再認識する契機となりました。企業においても災害時にいち早く事業を再開するための事前の対策として、事業継続計画、いわゆるBCPが注目され、都でも計画策定などの支援を開始しました。
現在は、コロナ禍という新たなリスクが発生しており、改めてBCPの重要性が注目されています。しかし、二〇二〇年の中小企業白書によれば、中小企業の約八割がいまだに策定していないとされており、引き続き取り組みを浸透させていく必要があります。
都は、業種や地域特性を十分に踏まえつつ、中小企業に寄り添ったBCP策定支援の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○村松産業労働局長 感染症による事業活動への影響により、BCPの重要性に対する認識が高まっていることから、都は今年度、普及啓発セミナーや策定支援講座の規模を拡充し、感染症にも対応したBCPの策定を促してきたところでございます。
来年度は、中小企業の危機管理に向けたさらなる積極的な取り組みを促すため、これまでの支援に加え、業界や地域の団体の会合に専門家が直接出向き、具体的なサポートを行う出張版のBCP策定支援講座を開始いたします。
実施に当たりましては、各団体との連携により、業界や地域の個々の実情を踏まえた内容とすることにより、実効性のある計画の策定につなげてまいります。
こうした取り組みによりまして、中小企業の事業継続に寄与するBCPの策定を着実に支援してまいります。
○三宅委員 例えば、板橋区の建設業の団体にアウトリーチして成功しているとも聞いておりますので、ぜひ業種や地域特性を踏まえたBCP策定支援を図っていただきたいと思っております。
次に、小規模事業者の事業継続についてお伺いしたいと思います。
都では、小規模事業者の事業継続を支えるため、各地域の商工会や商工会議所と連携し、個々の企業の実態に即したきめの細かい経営指導を実施するため、経営支援拠点七カ所を整備し、事業継続等の課題解決を行っています。
経営支援拠点では、個別相談会や飲食店のテークアウト情報の発信など地域の実情に応じた支援を行っていますが、感染症の影響が長引いていることから、相談員の増員を含め、継続した支援が必要だと思っております。
東京商工リサーチが発表した昨年の都内企業の休廃業、解散件数は一万二千社を超え、過去最多に上っています。新型コロナウイルス感染症の影響下では、国や都も資金繰りを初めさまざまな支援を行ってきたことは理解しますが、事業者が受けているダメージは余りにも甚大です。
地域経済の地盤沈下を防ぐため、小規模事業者の事業継続や承継に必要な支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
○村松産業労働局長 都は来年度、長引く感染症の影響を踏まえ、今年度拡充した支援拠点の相談体制を継続し、小規模事業者のサポートに万全を期していくこととしております。
あわせて、国や商工団体、金融機関と事業承継の支援状況に関して定期的に情報共有を図り、適切な支援機関へ相談企業の取り次ぎを行うなど関係者間の連携を強化いたします。
また、多摩・島しょ地域では、事業承継を契機とした新たな事業展開等に要する費用について、一事業者当たり二百万円までを上限に支援いたします。
さらに、感染症による社会変革への対応等を促すため、区市町村が行う独自の取り組みにつきまして、一団体当たり一億円までを上限に三カ年にわたって支援いたします。
小規模事業者の事業継続支援を充実させることで、産業基盤の維持強化を図り、地域経済を支えてまいります。
○三宅委員 飲食店に関連する事業者の支援について伺いたいと思います。
営業時間短縮の要請を受ける飲食店は厳しい状況にある。これは皆さんご存じのとおりであります。協力金も支給されていますが、一方で、直接または間接的に飲食店と取引関係を有する関連事業者については、売り上げの減少を補填する手だてもなく、苦境にあえいでいるのが現場の実情であります。
このような状況に対し、国では一時支援金が支給されることになり、申請の受け付けが始まりましたが、それだけでは不十分であるということは、我が党の先日の代表質問でも指摘してきました。このままでは、長引く飲食店への時短要請や外出自粛要請により、幅広い業種の多くの事業者が廃業や倒産に追い込まれる可能性もあり、都内産業全体の停滞が懸念されます。
そこで、関連事業者も含め、都としても、都としても支援に踏み出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 このたび、国が緊急事態宣言を延長し、都といたしましても、緊急事態措置を延長いたしたところであります。よって、飲食店等に対する営業時間の短縮要請を引き続き実施することといたしました。
これまでの間、時短営業を要請されました飲食店と取引のある事業者など、多くの関連する事業者にも影響が及んでいることはご指摘のとおりでありまして、国において一時支援金が実施されることとなりました。
これに対しまして、支給額の拡充や、また要件の緩和など、一都三県で歩調を合わせながら、国に対して繰り返し要望いたしております。昨日もこの一都三県で国への要望を行いまして、施策の充実につなげているところでございます。
都といたしましても、今後とも、資金繰りの支援、きめ細かな相談対応など経営の下支えに万全を期すとともに、創意工夫によって感染拡大の防止を図りながら、事業活動を行う中小企業をサポートしてまいります。
引き続き、国や区市町村とも連携をいたしまして、多面的な支援を展開することで、都内の産業活力の維持と発展に努めてまいります。
○三宅委員 もう少し実際に、そういう貸し付けとか相談とか、そういうのじゃなくて、具体的にぜひ支援をしていただきたいというのが現場の声でありますので、それはお伝えしておきたいと思いますし、また、国は緊急的な措置として無利子無担保で納税を猶予する特例措置を講じ、都においても多くの利用者があったと聞いています。
令和三年度の国の税制改正で特例措置は延期されることなく期限を迎えましたが、引き続き、特例制度と同様の要件で運用するなど、コロナに苦しむ都民、事業者に寄り添った対応を強く要望しておきたいと思います。
次に、都立、公社病院について伺いたいと思います。
新型コロナウイルス感染症対応では、都立病院、公社病院は、専用の病床を千七百床確保し、広尾病院など三病院を重点医療機関化して、コロナ最優先で対応しています。
また、大学病院や国立病院を初め、日赤病院や済生会病院等の公的病院においても、コロナ対応に全力で当たっており、まさに、この緊急事態の中、都内のさまざまな形態の医療機関が、それぞれの役割分担のもと、一丸となって新型コロナに対応しています。
都立病院、公社病院は、こうした感染症医療を初め、行政的医療を安定的に提供し続けることが重要な使命の一つであります。
都立病院は都の直営病院、公社病院は都の直営ではなく、政策連携団体としての位置づけでありますが、これが今後、一本化して地方独立行政法人という形態に変わろうとしています。
独法化後は、人材の柔軟な確保などたくさんのメリットがあると思いますので、平時にはこうしたメリットをうまく生かして、今以上に迅速に都民ニーズに応えていくことができると思いますが、現下のような緊急事態においてこそ、その柔軟性や機動性を十分に発揮して、都と連携を強化しながら今以上に役割を果たすことが必要であります。
そのためには、都の直接の組織から離れても、緊急時には、設立団体である都の政策の中で必要な医療を法人が提供していくことが担保されているべきだと思います。
地方独立法人は、地方公共団体とは別の法人を設立し、自律的かつ弾力的な運営を行うことで、より効率的、効果的な行政サービスを提供することが法令上の趣旨であります。
今後、今のような緊急時に、都として法人に直接対応を求める場合、どのような仕組みがあるのか伺います。
○堤病院経営本部長 感染症医療や災害医療など行政的医療の提供は、都立病院が果たすべき重要な役割でございます。特に、今回の新型コロナウイルス感染症のような事態や災害時など緊急時におきましては、独法化後も、都の医療政策を踏まえて、その役割を果たすことが重要でございます。
このため、法人の定款に、感染症医療等の行政的医療を役割として明記することはもちろん、災害時等の緊急時に知事の指示のもと法人に必要な対処を行わせる旨を明記することを検討しておりまして、有事の際に、法人に自発的な取り組みを促すとともに、今回のような重点医療機関化など都の政策に沿った取り組みの確実な実施を担保いたします。
こうしたことによりまして、独法化後も現在と同様、都民に必要な医療を迅速適切に提供してまいります。
○三宅委員 法人を設立するのは都であり、現在と同様、都が必要とする医療を独法後の都立病院が提供していくことは、これ、当然のことであります。今も緊急事態の中、都内の医療機関がその経営形態に関係なく、一丸となってコロナと闘っています。
例えば、定款に明文化することで、今回のような感染症や災害発災時等の緊急事態の際に、現在と同じように、都の医療政策のもとで、法人に必要な対応を指示することを担保することを検討中ということも伺っています。
都は令和四年度中の法人設立を目途に準備を進めていますが、法人の自律性を高め効率的、効果的な運営ができるような検討はもちろん、今回のような緊急の事態も想定してしっかり検討を進めておくことを、これは要望して、質問を終わらせていただきます。
次に、防災対策について何点か伺いたいと思います。
間もなく東日本大震災から十年を迎えます。改めて、死者、行方不明者合わせて一万八千人以上の方々に深甚なる弔意を申し上げたいと思います。
そして、今なお全国で四万一千人以上の方々が避難され、うち都内にはおよそ三千七百人の方々が暮らしていらっしゃいます。こうした現実を私たちは忘れてはなりません。
そして、ことし四月には熊本地震から五年になります。避難者保護という観点を中心に幾つか伺っていきたいと思います。
まず、物流について伺いたいと思います。
首都直下地震などの大規模災害が発生した場合、多くの都民の生活を支える食料や日用品などの物資を速やかに調達し、避難所などに届けることが必要となります。避難所での生活はふだんと違い、身体的にも精神的にも負担を生じることにもなりますので、生活に必要な物資が滞り、避難所に届かないようなことがあってはならず、そうならないよう、あらかじめ物資輸送の方法等を定めておくことが重要であります。
そこで都は、大規模な災害が発生した際に、都内全域に開設される避難所に対し、どのような仕組みで物資を輸送することにしているのか伺います。
○山手総務局長 都の地域防災計画及び災害時受援応援計画では、大規模災害時の避難所への物資の輸送に関し、都や区市町村、事業者の役割等を定めてございます。
具体的には、都は、国からのプッシュ型支援物資や民間事業者から調達する物資につきまして、都内四カ所のトラックターミナルや、多摩広域防災倉庫等の広域輸送基地で受け入れまして、区市町村の地域内輸送拠点を経て、避難所に輸送することになってございます。
輸送に関しては、あらかじめ事業者と災害時における輸送車両の供給契約等を締結し、定期的な訓練等を通じまして、災害時において円滑な物資輸送を行える体制を確保してございます。
○三宅委員 物資輸送については、さきの第一回定例会の我が党の代表質問でも山崎幹事長が取り上げましたが、都は来年度、災害対策本部と輸送車両との間で、道路の被害状況などの情報をリアルタイムに共有できるシステムを導入することとしています。
これは物資輸送の効率化につながる取り組みですが、災害時の実効性を確保するためには、実際にそうしたシステムを使う物流事業者の声を踏まえた、使いやすいものにしていく必要があると思います。
物流の効率化を図るシステムの構築に当たっては、十分に物流事業者の意見を聞くなど、連携を図りながら進めていくことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
○山手総務局長 都が来年度導入する物流効率化システムを効果的に活用し、災害時の物資輸送体制を強化するためには、実際に輸送を担う物流事業者との連携が重要でございます。
このため、システムの構築に当たりましては、物流事業者の業界団体と意見交換を行い、事業者にとって利便性の高いシステムといたします。
具体的には、物流事業者の協力を得て、防災訓練等において実際にシステムを利用した物資輸送を実施し、車両管理の利便性や運転手の操作性、必要な機能などの検証を行います。
今後も、物流事業者と連携を強化し、災害時の物資輸送の実効性を確保してまいります。
○三宅委員 災害時の物資輸送のかなめとなるのは物流事業者ですので、業界団体などの声をしっかりと聞きながら進めるよう要望しておきます。
また、このシステムでは、輸送車両側でスマートフォンを使い、情報を受信するため、災害時に優先的に電波を利用できるようにするなど、事前に通信事業者と調整し、災害時でも確実に情報共有できる環境を整備しておいてもらいたいと思います。
さて、先ほど答弁のありました広域輸送基地ですが、都内避難所に物資を提供する上で欠かせない拠点であります。その中で、多摩広域防災倉庫は、平成二十八年に都が国から旧立川政府倉庫を約五十二億円で取得し、その後、必要な改修を施した上で、昨年四月に本格運用を行っています。
倉庫敷地内には、警視庁の一部機関が二十四時間常駐しているとのことですが、都の職員は常駐しておらず、災害時にこの倉庫が有効に活用できるのか確認しておく必要があります。
そこで、都は、多摩地域の広域輸送基地であるこの倉庫を拠点として、物流事業者などとどのように連携を図り、大規模災害発生時の円滑な物資調達等を行うのか、認識を伺います。
○山手総務局長 多摩広域防災倉庫は、大規模災害時の重要な物資拠点であり、都内区市町村に物資を円滑に提供するためには、施設の効率的な運用を図ることが重要でございます。
このため、都は昨年度、発災時の倉庫の運営につきまして、大手物流事業者及び都トラック協会と協定を締結し、災害時には、物資の搬入、搬出、仕分け、在庫管理、輸送を事業者と連携して実施することで、民間事業者の運営ノウハウを活用した効率的な倉庫運営を行うことといたしました。
また、発災時の円滑な倉庫運営が可能となるよう、業務マニュアルの作成や職員による初動対応訓練、協定事業者と連携した搬入、搬出等の訓練を実施しております。
今後は、倉庫運営に関する定期的な連絡会の開催や実働訓練の充実など、協定事業者との連携を一層強化し、災害時の円滑な物資調達を図ってまいります。
○三宅委員 多摩広域防災倉庫関係でもう一点お聞きしたいと思います。
立川広域防災基地周辺のアクセス道路について伺います。
震災時を振り返ると、立川広域防災基地では、アクセスする都市計画道路の区間にあるJRの踏切が遮断し続ける事態が発生しました。まさに立川広域防災基地周辺のアクセス道路である都市計画道路の整備は喫緊の課題となっています。
しかし、この問題は、今日までの二十五年間、一ミリたりとも進んでいないと聞いています。本路線の整備に当たっては、約十五メートルの高低差がある地形的な条件のほか、鉄道事業者との協議や事業方法の選択など幾つかのハードルが存在するのは承知しています。しかし、どの手法を選択しても、事業主体となる都が方向性を指し示さなければ、本事業はこれまでと同じく、遅々として進みません。
そこで、今こそ都が主体となり、地元市や鉄道事業者と、この際、協議会をつくって検討を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中島建設局長 立川三・一・三四号線の整備に当たりましては、今お話ありましたように、JR青梅線との立体交差が必要でございまして、その箇所を含む立川駅から東中神駅付近の区間は鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられております。
鉄道立体化に向けましては、地元市が主体となり、まちづくり等を検討する必要がございます。また、この区間では、青梅線の本線と短絡線が近接しているため、両線一体での検討を行う必要がございます。
このため、これまでも地元市や鉄道事業者と課題の共有や意見交換を実施してまいりました。
引き続き、道路構造等の検討を重ねた上で、地元市や鉄道事業者と協議会などの場を設けることも含めて調整するなど、立川広域防災基地へのアクセス強化に資する道路整備に取り組んでまいります。
○三宅委員 今の答弁では、設けることも含めてとなっていますので、ぜひ設けるようによろしくお願いしたいと思います。
先ほどの物資輸送について、引き続き聞きたいと思います。
首都直下地震のような大規模災害では、東京港や港までの道路などに大きな被害が生じ、東京港からの物資輸送が困難な場合も予想されます。その場合、島しょ地域では、食料や日用品、燃料など生活に必要な物資が届かなくなり、住民生活に大きな支障が出ることになります。
こうした場合には、住民生活に支障が出ないよう、他の港の活用などにより、迅速に物資を輸送することが求められますが、災害時の混乱している中では、東京港の代替となる港を探すのにも時間がかかることが想定されます。
都は、島しょ地域への物資輸送について、東京港が使えなくなった場合に備えた対応策をあらかじめ定めておくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○山手総務局長 都は、大規模災害時における島しょ地域への物資輸送については、東京港から輸送することを基本としておりまして、大規模災害時にも港湾機能が停止することがないよう、耐震強化岸壁の整備や緊急輸送道路の橋梁耐震補強などの耐震化を進めてございます。
被災により、長期にわたり東京港が利用できなくなる不測の事態が発生した場合には、全国知事会や九都県市等との相互応援協定等を活用しまして、被災状況に応じて利用可能な港から物資を輸送することとしてございます。
今後、関係局や船舶事業者と連携いたしまして、あらかじめ活用可能な港の情報や災害時の要請手順などを整理し、災害時における島しょ地域への円滑な物資輸送を図ってまいります。
○三宅委員 次に、災害時における医薬品等の供給体制についてお聞きしたいと思います。
災害が発生した際には、被災者のニーズに合わせて適切な医療を提供することが求められるため、医師、歯科医師などの医療従事者の求めに応じて必要な医薬品を供給することは極めて重要であります。
災害時において、被災地へ円滑に医薬品等を供給するためには、都、区市町村、医師会、歯科医師会、薬剤師会といった関係者の連携が必要不可欠であると考えますが、どのように取り組むのか見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 災害時には、医療救護所や避難所で活動する医療救護班、歯科医療救護班などのニーズを集約し、状況に応じて適切に医薬品を供給する必要がございます。
そのため、東京都地域防災計画では、区市町村は各地区の薬剤師会から、災害時の医薬品供給全体の調整を担う災害薬事コーディネーターを選任することとしております。
災害薬事コーディネーターは、地域の医師会や歯科医師会等と連携し、救護所などで使用いたします医薬品のニーズの把握や、薬剤師班などと協働いたしました医薬品卸売販売業者への発注、在庫管理などを行います。
また、区市町村内で医薬品の調達ができない場合、コーディネーターは都に要請し、都は災害時の協力協定締結団体を通じて供給するなど、関係者が連携して確実な医薬品供給を行う体制としてございます。
○三宅委員 災害時の医薬品供給において、災害薬事コーディネーターの役割は極めて重要と考えております。
災害薬事コーディネーターが関係者と連携し、円滑に業務を進めることができるようにするためには、都が先頭に立ち、そのための施策を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、東京都薬剤師会と協働し、災害薬事コーディネーターとして必要な知識や資質を備えた人材を確保いたしますとともに、薬局や病院の薬剤師及び卸売販売業者などの医薬品供給を担う関係者間の連携を強化することを目的といたしました図上訓練形式の研修を実施してございます。
今後も、こうした取り組みによりまして、被災地での医療救護班、歯科医療救護班などの活動の基盤となります医薬品供給体制を強化してまいります。
○三宅委員 次に、帰宅困難者対策について伺いたいと思います。
都は、発災時の都内の混雑状況などを迅速に収集、把握するため、来年度から新たに、帰宅困難者対策オペレーションシステムを構築していくとしています。
デジタル技術を活用したシステムを構築することで的確に情報収集を行い、発災時の帰宅困難者の安全確保を図っていくことは重要であります。
この新しいシステムを十分に活用していくためには、いざというときに的確な運用ができるよう、発災時に最前線で対応に当たる地元組織との連携が欠かせません。
都は、地元自治体等と実践的な訓練などを実施していくなどして、DXにより得られた情報を現場で最大限活用できるよう取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
○山手総務局長 大規模地震等の発生時には、帰宅困難者の滞留状況や一時滞在施設の受け入れ状況を把握し、帰宅困難者の誘導等を行う地元自治体等と情報共有するなど、連携していくことが重要でございます。
このため、都では例年、鉄道事業者や駅周辺企業等で構成されます駅前滞留者対策協議会の参加も得て、帰宅困難者の保護や一時滞在施設までの誘導、災害情報の収集等に関する訓練を地元自治体と合同で実施してございます。
新システムに関しましては、完成後、速やかに運用を図ることができるよう、混雑状況等の迅速な共有方法などについて、開発と並行し例年の訓練の中で検証してまいります。
こうした取り組みを通じ、地元自治体等との連携体制を強化し、発災時の帰宅困難者の安全確保を図ってまいります。
○三宅委員 続きまして、避難所となり得る私立学校についてお伺いしたいと思います。
近年、地球温暖化等の影響により猛暑が続き、学校における熱中症による事故も数多く報道されています。昨年の夏には新型コロナウイルス感染症の影響で、本来、夏休み期間中であった真夏の時期に授業を行わざるを得ないような事態も生じました。
空調設備の使用頻度等も高まっており、夏場に空調設備が故障して長期間使用できなくなった場合には、子供たちの命にもかかわる事態となります。熱中症のリスクから児童生徒を守っていかなければなりません。
一方で、新型コロナウイルス感染症への対応として、より多くの災害時の緊急避難所の確保が求められており、私立学校の体育館にもその役割への期待が高まっていますが、空調が未整備の体育館も少なからず残されています。
こうした状況も踏まえ、私立学校の体育館の空調設備の新設について新たに支援するとともに、校舎などの空調設備の更新についても支援の拡充を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○野間生活文化局長 近年の熱中症リスクの高まりは、児童生徒の命にもかかわる事態になっておりますが、約三割の私立学校の体育館で空調設備が整備されてございません。
また、今お話ありましたように、新型コロナウイルス感染症の影響で、私立学校の体育館には、災害発生時における地域の避難所としての期待が高まってございます。
このような状況を踏まえまして、地域の避難所指定を受けるなど、地元自治体の防災業務等への協力を要件に、私立学校の体育館への空調設備の新設に対して補助を行うことといたしました。
また、更新におきましても、補助額を増額するなどの対応をしておるところでございます。
○三宅委員 私立学校においても、ICT教育環境整備の需要が高まっています。同時に、災害時にはネットがつながることは不可欠です。地域の防災業務に協力する私立学校においては、ネット環境についても整備の拡充を検討すべきと要望し、次の質問に移ります。
ペットの同行避難について伺います。
震災等で被災するのは人間だけではなくペットも同じです。今日では、ペットは家族以上の存在だと思う方もまれではありません。
しかし、ペットの同行避難は当然だと思う方がいる一方で、避難所にペットなど連れてきて迷惑だと思う方もいます。また、ペットが大けがをしていたり、病気だったりする場合もあります。
こうしたペットの同行避難に関しては、住民の理解と、けがや病気の場合の対策など多くの課題があると思いますが、都の取り組みを伺います。
○初宿福祉保健局健康危機管理担当局長 避難所での同行避難の受け入れ体制を整備するに当たりましては、事故防止策を講じますとともに、避難された方の中には、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方もいらっしゃることに配慮することが必要でございます。
そのため、都は、避難所を設置する区市町村が同行避難の受け入れに際し的確な行動がとれるよう、対応マニュアルを提供いたしますとともに、飼い主に対しましては、日ごろからの基本的なしつけや避難所での注意点をリーフレット等で啓発してございます。
また、東京都獣医師会と災害時の協定を締結しており、発災時には協定に基づき被災動物の救護及び応急処置を実施することとしております。
○三宅委員 次に、災害時の在宅避難におけるマンション対策について伺います。
例えば、今のようなコロナ禍の状況下で、首都直下地震等の大規模な災害が発生した場合、密になる避難所を避け、在宅避難を選択する被災者も多いと思います。
在宅避難者への支援に関しては、建物の倒壊こそ免れたものの、電気、ガス、水道といったライフラインの途絶や食料不足などの支援などの多くの課題があることは、他の震災からもいわれています。
その在宅避難者が抱える問題として余り知られていないのが、マンション等集合住宅のトイレに関する問題です。
水道管の断水や給水ポンプの停電など、水が使えないことはもちろんですが、知られていないというのは、排水管のトラブルです。
多くのマンションは、トイレの排水管が部屋の床下、もしくは階下の天井裏を通っていて、万一、地震によりトイレの排水管が損傷していた場合、仮に風呂などに水をため置いたとしても、その水を流すことにより、排水管が詰まったり漏水したりして、自分の部屋だけではなく、階下の部屋にご迷惑をおかけすることになります。
したがって、地震直後は排水管の安全が確認されるまで、むやみにトイレを使い、水を流すべきではなく、まずは携帯トイレなどを使用した方がよいといわれています。
東日本大震災当時、岩手県釜石市では、下水道使用自粛のお知らせという広報物を配布しました。しかし、こういった注意喚起は発災前に行ってこそ有益だと思います。
そこで、震災時のマンションのトイレに関する注意喚起について伺いたいと思う。
○山手総務局長 都は、日ごろから取り組んでおくべき防災対策などをまとめました「東京くらし防災」や防災アプリに、マンションでの排水管損傷によるトイレ使用の危険性のほか、簡易トイレの備蓄の必要性や使い方等について掲載をしてございます。
また、マンションの管理組合などを対象といたしました防災対策の専門家による出前講座におきまして、災害時の排水管損傷等への対応を含むトイレ対策の重要性などの普及啓発を図ってまいりました。
今後とも、低層階で汚水があふれるなど、発災時のトイレの使用の危険性について注意喚起を図りますとともに、使用できない場合に備えて、先日公開した防災備蓄ナビも活用して、簡易トイレの備蓄の取り組みを後押しするなど、自助、共助の取り組みを支援してまいります。
○三宅委員 次に、都営地下鉄の浸水対策について伺いたいと思います。
これまで、残念ながら、この浸水対策は進んでいなかったため、三年前の事務事業質疑において、都の対応を明らかにし、当時の局長からは計画的に努めていくとの答弁がありました。
その後、止水板等の整備を進めてきましたが、東京メトロの取り組みと比較すると、浸水対策、避難体制、また、復旧計画等、いずれも都の対策は立ちおくれているのが現状であります。
都としても、都民の生命を守り、お客様の安全性を確保するためには、しっかりと計画を立て、スピード感を持って推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○内藤交通局長 都営地下鉄におきましては、まずは東海豪雨相当の降雨を想定し、氾濫までの時間が短く、避難時間の確保が困難な中小河川の浸水対策に優先して取り組み、平成二十五年度に完了いたしました。
一方、東京メトロは、荒川の氾濫も想定した対策に平成二十二年度からいち早く着手したものと承知しております。
その後、平成二十七年の水防法改正により降雨規模が大きく見直され、浸水が想定される区域や深さが拡大している地域があることなどから、当局では、経営計画に基づきまして、荒川氾濫等大規模水害を含む対策の検討に取り組んでまいりました。現在、東京メトロとも連携しながら、最新の想定を踏まえた被害の全容の把握を進めてございます。
今後、被災後の復旧の優先順位や段階的な運行など復旧に向けた手順を検討するとともに、減災効果が高く、優先して対策を講じるべき駅出入り口や重要施設を選定するなど、来年度策定を予定しております次期経営計画の検討に反映してまいります。
○三宅委員 災害はいつ起こるかわかりません。各計画、これ、項目をつくるだけではなく、ハード対策の計画的な整備と、復旧計画等ソフト対策をできることから、これまで以上に危機感とスピード感を持って具体的に取り組んでいただくことを改めて要望しておきます。
次に、新技術を活用した山岳道路の防災対策についてお伺いします。
首都東京の成長を支えるとともに、災害の脅威から都民を守るためには、インフラの整備を着実に推進し、その効果を最大限に発揮させることが極めて重要です。
とりわけ、平時には医療サービス、産業などの面から暮らしを支え、災害時には避難、救急救命、復旧に不可欠な命の道となる道路は、重要かつ基本的なインフラです。
今週には東日本大震災の発生から十年の節目を迎えますが、この間、復旧、復興の大動脈となる道路の役割、重要性が改めて浮き彫りになりました。
また、先日の福島県沖を震源とする震度六強の地震は、避難路となる幹線道路の整備や橋梁等の耐震化など、災害への備えが急務であることを改めて思い起こさせるものでした。
コロナ禍であっても、物流の増加などにより、道路の重要性はむしろ高まっています。中でも多摩山間部や島しょ地域の道路は、生活に密着した命綱ともいえる道路ですが、数多くの斜面を抱えています。ひとたび斜面が崩壊し、通行どめが発生した場合には、日常生活への影響は甚大であり、迅速な対応が必要になります。
現在、ドローンなど新たな技術開発がなされており、こうした技術を活用し、災害への備えを万全にしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中島建設局長 道路は、都民生活や社会経済活動を支える重要な社会基盤であり、とりわけ多摩山間部や島しょ部の山岳道路は、災害時の避難や救援活動に不可欠な生命線でもございます。
都は、こうした山岳道路の災害を未然に防止するため、定期点検などにより斜面状況を的確に把握いたしまして、緊急度の高い斜面から落石防護柵等を計画的に整備しております。
また、災害が発生した場合に素早い状況把握ができるよう、昨年春にドローンを配備するなど、早期復旧に向けた体制を強化しております。
さらに、より迅速な初動対応を行うため、ウエアラブルカメラやドローンの映像を関係者がリアルタイムで共有する仕組みなどの検討を進めております。
今後とも、新技術を活用した山岳道路の防災対策を推進し、都民のさらなる安全・安心の確保に努めてまいります。
○三宅委員 新たな技術を採用し、そして効果的に活用していくためには、さまざまな制約や課題があると思います。
そうした課題をしっかり解決して、他の防災機関とも有機的に連携し、多摩山間部や島しょ地域の生命線ともなる山岳道路の防災対策に取り組んでいただきたいと思います。
ことしは東日本大震災から十年、熊本地震から五年となり、二年後には関東大震災から百年目の節目となります。
そこで、関東大震災百年に向けて、今こそ、東京の震災対策をどうするかというオール都庁での骨太の方針を打ち出す準備にかかるべきと考えますが、見解を伺います。
○山手総務局長 過去の震災の経験や教訓等を生かし、防災対策を常に強化していくことは重要でございます。
都はこれまで、熊本地震の教訓等を具体化するため、セーフシティ東京防災プランを作成し、プランに基づく自助、共助、公助の取り組みを推進してまいりました。また、平成三十年の防災事業の緊急総点検や、令和元年の大規模風水害の検証など、災害の都度、明らかになる課題や教訓をもとに、速やかに対策を進めてまいりました。
こうした取り組みに加え、防災分野におけるDXや感染症との複合災害などの新たな対策を迅速かつ計画的に推進していくため、本年度末の策定に向けまして、新たな防災プランの素案を先月公表したところでございます。
今後も、ハード、ソフトにわたる防災対策の充実強化に取り組んでまいります。
○三宅委員 私はきょうは、防災対策に、主にソフト面からの質疑をさせていただきましたが、ハード対策もしっかりと進めていく、これが重要だと思っております。
平成二十五年の台風で、私の地元大島では、死者、行方不明者三十九名を超える被害を受けました。
被害が出た渓流とは別の渓流で、国の補助のもと東京都が着実に実施してきた砂防事業がありましたが、それにより、人的被害がそちらの渓流では全く出ませんでした。
当時、視察に来た国交省の砂防部長は、我々の仕事はマイナスをゼロにすることですと胸を張っていわれましたが、そのときの印象が残っているとともに、工事に実際に携わっていた方々が、こんな人目のつかないところでこんな工事をしていて果たして何の役に立つんだろうかと思いながら工事をして、完成をしたわけですが、その後、被害の状況を見て、我々のやっていた仕事はこんなに価値のあるものだということをいっていたのが印象に残っています。
引き続き、計画的にハード整備も進めていただきたいと思います。
次に、国際金融都市東京構想について伺いたいと思います。
アジア情勢など、国際金融センターをめぐる最近の大きな環境変化や、税負担軽減などに係る国の動きを鑑みますと、今まさに東京が再び世界に冠たる国際金融都市としての地位を取り戻す絶好のチャンスが到来しています。我々も、たびたび代表質問等でいろいろ質疑をさせていただいております。
日本には千九百兆円にも及ぶ個人金融資産と巨大市場があるといわれていながら、いまだ貯蓄から投資への流れが根づいていない状況にあります。
こうした現状を克服するには、海外の資産運用業者を東京に呼び込み、投資を活発化させることが必要だと思います。
そのためには、海外の金融関係者が東京に進出するためのビジネスに関する環境と企業に働く方やその家族にとっての住宅、医療機関、学校を初めとする生活環境を整備することが今まで以上に重要になると思います。
そこで、来年度予算において、都は特に海外から東京に進出を予定している金融系企業、人材のビジネス面や生活面の環境について、どのような取り組みを進めるのか伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 都では、ビジネスコンシェルジュ東京において、金融専門家の紹介や外国語対応可能な病院、学校等の情報提供など、ビジネス面から生活面まで幅広く英語で相談対応を実施しておりまして、昨年十月には相談窓口を香港にも新たに設置したところでございます。
さらに、東京進出を具体的に検討する金融系外国企業に対しましては、事前調査等を実施するための一時滞在費用を支援するなど、東京への進出を後押ししてまいります。
また、国家戦略特区を活用し、多言語対応のサービスアパートメントや外国人医師による診療体制、インターナショナルスクールなど生活環境面での整備を促進してまいります。
○三宅委員 今、答弁にありましたとおり、ビジネス面、生活面、こういった環境整備は国際金融都市東京の実現にとって重要ですので、国と連携をしながらしっかりと進めていってほしいと思います。
一方、このような取り組みは国やジェトロでも行っており、例えばことし一月には、金融庁が東京進出を考えている外国の資産運用業者に対するワンストップ相談窓口を設置しました。
東京を世界的な金融拠点とするためには、こうした国の動きとの連携も含めて、都と国が一体的に取り組みを進め、海外に情報発信していくことが重要であります。
そこで、先ほどの答弁にあった取り組みを、都と国が一体的に進めるとともに、都の取り組みを海外へ情報発信していくべきと考えますが、見解を伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 都では、ビジネスコンシェルジュ東京において、金融庁が設置する拠点開設サポートオフィスと情報を共有し、東京への拠点設立を検討する金融系外国企業に対して、金融ライセンス取得に関する手続面などを支援する取り組みを実施しているところでございます。
さらに、国と共同で、法人設立登記や定款認証等の開業にかかわる行政手続を一カ所で行うことができる東京開業ワンストップセンターを運営しております。
また、金融ライセンスの登録手続に係る英語解説書を作成し、ホームページへの掲載や大使館へ配布するなど広く活用しているところでございます。
今後におきましても、金融系外国企業や人材にとって魅力的なビジネス面、生活面の環境整備を、国と密接に連携して推進するとともに、さまざまな媒体を通じて発信してまいります。
○三宅委員 金融の持つ経済波及効果を考えれば、東京が国際金融都市として発展することは、少子高齢化が進む東京のポストコロナにおける成長、ひいては日本の成長にとって重要なポイントになると思いますので、ぜひ、来年度都が進める取り組み、この実効性を高めるために、これまで以上にユーザー目線に立ってやっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、東京ベイeSGプロジェクトについて伺いたいと思います。
このプロジェクトの対象範囲に含まれている、中央防波堤埋立地の中防外側の廃棄物埋立処分場について確認していきます。
現在、東京二十三区清掃一部事務組合がこの処分場の将来見通しを含めた計画を策定しています。
そこで、環境局長にお伺いいたしますが、この廃棄物埋立処分場の現在の状況と、今後どの程度の期間、処分場として使っていく計画なのか伺います。
○栗岡環境局長 東京都廃棄物埋立処分場は二十三区から排出されます廃棄物などを埋め立てる重要なインフラでございまして、廃棄物の発生抑制やリサイクルなどを徹底した上で、可能な限り長期にわたり埋め立てが継続できるよう延命化に努めてございます。
具体的には、二十三区等と連携し、焼却灰のセメント原料化の促進や不燃ごみの埋立量削減の取り組みなどを推進してございまして、現在、処分場の残余年数につきましては五十年以上と見込んでございます。
○三宅委員 今、環境局長から、中央防波堤埋立地は可能な限り長期にわたり継続して使用したい、そして五十年以上との答弁がありました。廃棄物処分の最後のとりでとして使い続けていきたいということが確認できました。
一方、この埋立地は、廃棄物埋立処分場として廃棄物の処理及び清掃に関する法律が適用されている場所でもあるのですが、プロジェクトでは、この場所で実験、実装、建物の建設などを行うとしています。
そこで、この地区を、ごみ処分以外の目的で使用するという計画に妥当性はあるのか、そもそも法律上可能なのか、環境局長、お答えください。
○栗岡環境局長 廃棄物埋立処分場は、法令等によりまして、囲いや擁壁の設置など、技術上の基準があることに加え、地盤がごみであり不安定であることやガスの発生など、その活用には一定の制約がございます。
東京ベイeSGプロジェクトでは、ベイエリアを舞台としてございますけれども、その一部である廃棄物埋立処分場の活用については、こうした条件等を踏まえた上で、具体的なプロジェクトの展開に向け、関係各局と連携しながら検討してまいります。
○三宅委員 じゃあ、そこでは建物は建てられないという形でいいんでしょうか。地盤が不安定ということだと、今答弁がありましたが、ちょっとまた再度質問したいと。
○栗岡環境局長 地盤等が安定しないところは難しいかと思いますが、建物を建てない方法だとか、さまざまな方法でいろんな、企業の誘致等とか、実験場として使っていくことは可能かと考えてございます。
○三宅委員 なかなか企業の誘致は難しいんじゃないかなという答弁ですが、臨海エリアの実態にそぐわないプロジェクトじゃないかなと思っています。
ごみ処分場としての計画、そして、法律の定めとの整合性を図り、実現可能性のあるプロジェクトにぜひしていただきたいと申し上げておきます。
さて、この臨海エリアの開発に関しては、築地まちづくり方針、ベイエリアビジョン、そして、今回発表された東京ベイeSGプロジェクトの三つの計画が同時進行で進められています。
東京都には都市づくりの基礎となる、都市づくりのグランドデザインがありますが、これらの三つの計画はグランドデザインとどのような関係になるのでしょうか。
しかも、この三つの計画は対象地域もばらばらで、想定している計画期間も異なっており、それぞれ勝手に検討が進められているような様相を呈しています。統一性が全く感じられません。
このままでは、関係する自治体や事業者の方々に、臨海エリアに関する都の計画の全体像を正しく理解していただくことができないのではないでしょうか。
そこで、これらの計画を今後どのように調整しながら検討を進め、臨海エリアの開発という大きな目標に向けて、まず、グランドデザインとの関係性について、また、グランドデザインにどう反映していくのか、所管する東京都技監にお伺いします。
○上野東京都技監 都市づくりのグランドデザインは、二〇四〇年代に向けて、目指すべき東京の都市の姿と、その実現に向けた基本的な方針等を示す、都市づくり分野の根幹となる計画でございます。
また、都ではこれまで、二〇四〇年代を見据え、東京、ひいては日本の今後の成長を牽引するベイエリアの将来像を示すため、ベイエリアビジョンの検討を進めてまいりました。
東京ベイeSGプロジェクトは、ベイエリアを舞台に五十年、百年先までを見据えたまちづくりを構想するものでございます。
今後の検討状況を見ながら、必要に応じて、都市づくりのグランドデザインへの反映を検討してまいります。
なお、築地地区のまちづくりにつきましては、グランドデザインにおける地域の将来像の一つとして位置づけております。
○三宅委員 プロジェクトの基本的な部分をお聞きしてきましたが、不透明な部分が多い計画といわざるを得ません。
現時点で、こうした状態にあるのですから、都は、このプロジェクトの実現に向けて、有識者の意見を聞くと伺っています。
いつ、どのようなメンバーで、有識者会議を開催する予定なのか伺います。
○中嶋政策企画局長 東京ベイeSGプロジェクトにつきましては、先般公表したドラフトをベースに、環境やテクノロジーなどの専門的な見地や、五十年、百年先を見据えた長期的なまちづくりの視点などにつきまして、近々、こうした分野の研究者など有識者から幅広く意見を聞き、取りまとめていく予定でございます。
具体的な日程やメンバーにつきましては、現在調整中でございまして、調整が整い次第、公表してまいります。
○三宅委員 五十年、百年先を見据えたまちづくり、これを構想するのは大変結構なことなのですが、スケジュールだけどんどん進めていくことがないように、課題を整理し、そして実態に即した内容になるよう、丁寧に計画を進めていくよう、これは要望しておきます。
これまで、東京ベイeSGプロジェクトに関して、廃棄物処理場の問題などを含め質疑をさせていただきましたが、プロジェクトには本質的な課題が残されているといっても過言ではないと思います。
そういえば知事は、済みません、ちょっと突然になりますが、中央防波堤外側埋立地の見晴らし台に行かれたことはございますでしょうか。この舞台なんですが。
○小池知事 もちろん中央防波堤のあのエリアは、オリ・パラの海の森水上競技場、そして海の森大橋などございますよね、そのたび、機会のあるごとに訪れております。
見晴らし台は場所もよく存じておりますけれども、トラックの合間を縫っていくというよりは、何度も上空から全体を俯瞰する意味で把握をいたしております。
○三宅委員 上空から見るのは結構なんですが、実際に現場に行って、どれぐらいの高さにあるのかとかそういった実際のところもわかりますので、どれぐらい海面から高さがあるとか、ぜひ実際に足を運んでいただきたいと思います。
今回発表された東京ベイeSGプロジェクトでは、既存の計画と対象地域が異なっていたり、法の規制で開発ができないエリアも含まれています。
コロナ禍にあって、将来見通しが混沌とする中、真に求められるのは、現場の実態を踏まえた、実現可能性のある具体的な計画と着実な取り組みです。
そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
デジタル関係について伺いたいと思います。
国は、デジタル庁の設置を契機に、地方公共団体における業務プロセス、情報システムの標準化を進め、さらには、二〇二五年度を目標に、仮称ですが、ガブクラウドという、クラウド型のシステムを構築し、地方公共団体も利用することを目指しています。
他方、自治体のサービスはいっときもとめることはできず、それを支える現行の業務システムには、安定稼働が求められており、数少ない職員も、日常的にその対応に追われています。
特に私が選出されています島しょ町村におきましては、この問題はより深刻になっています。
このような中で、国が示すガブクラウドへのシステム移行に対し、技術的な面や人材不足という課題から対応が難しいという自治体も発生する可能性があります。
都としても何らかの支援が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 現在、国では、自治体の住民記録、地方税等の基幹業務の仕様の標準化を進めておりまして、今後、この標準仕様に準拠し、民間がシステムやアプリなどを、いわゆるガバメントクラウド上に構築し、これらを自治体が活用していくことが想定されております。
国によれば、このクラウドを活用することで、サーバーなどの共同化によるコスト削減や最新技術への対応などメリットがあるとされておりまして、このメリットを享受するためにも、令和七年の段階で現行の基幹業務システム等をガバメントクラウドに円滑に切れ目なく移行していくことが極めて重要でございます。
このため、都としてはさまざまなチャンネルを活用し、国の動向を見定めつつ、各区市町村と情報を共有し、適宜、ヒアリングを実施の上、技術的課題を抱えている団体に対しましては、都のICT人材の活用などにより、積極的に支援をしてまいります。
○三宅委員 今般の新型コロナウイルス感染症拡大への対応を通じて明らかになった行政のデジタル化の課題に対して、政府は、マイナンバー制度や国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善という明確な方針を打ち出し、スピード感を持って対応していこうとしています。
このように、政府が大きな一歩を踏み出し、今後、より一層、この分野における動きが激しくなる中で、都も、この動きをしっかりとキャッチアップした上で、区市町村とも密接に連携し、東京のデジタルシフトを押し進めていく必要があると思います。
そこで伺いますが、来年度、新たに設置されるデジタルサービス局は、東京のデジタル化をどのような方向に導こうとしているのか、また、どのような機能を担い、どの程度の規模でスタートするのか、宮坂副知事に伺います。
○宮坂副知事 日本は、二十年近くの間、IT立国を目指してデジタル化を推進してきましたが、従来の戦略ではIT利活用を強調しつつも、利用者ニーズの十分な把握や組織を超えた業務改革が行われなかった結果、デジタル敗戦とまでいわれる状態になってしまいました。
その反省に立ち、今後は、情報技術活用が前提の仕事の進め方や環境構築、仕組みや制度の確立に取り組みます。
具体的には、ウエブ会議やクラウドの利用など令和時代の新しい働き方を定着させ、同時に職員のデジタルリテラシーの向上にも取り組みます。
また、都庁のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、各局の開発から実行段階まで技術面からサポートしていくとともに、区市町村が実施するデジタルトランスフォーメーションへの推進への取り組みも支援してまいります。
さらに、5G基地局やWi-Fiの整備促進、データプラットフォームの構築など、東京のデジタルトランスフォーメーションに資する事業を展開していきます。
これらの推進には、海外主要都市と比べて貧弱な情報技術体制の強化も待ったなしで、デジタル人材の確保にも努めてまいります。
デジタルサービス局では、国と連携を図りながら、こうした取り組みをスピード感を持って対応し、東京のデジタルトランスフォーメーションの先導役としての役割を果たしてまいります。
○三宅委員 次に、東京二〇二〇大会について伺いたいと思います。
大会への不安を払拭し、準備の総仕上げに取りかかるためには、観客への対応が重要です。
海外の観客の取り扱いは三月中に、会場の上限者数は四月中に決定するということですが、安全・安心を最優先に、専門家の意見も十分踏まえた上で判断されるよう求めます。
競技会場と同じく、試合観戦の機会となるライブサイトについてですが、チケットのない方も気軽に入場し、大会を楽しめる場所であり、その特性を踏まえたコロナ対策が必要です。
安全にライブサイトを楽しんでもらうため、来場者数の取り扱いを含め、どのような対策を講じるのか伺います。
○中村オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇ライブサイト等の感染症対策については、現在、国や組織委員会等のガイドラインを踏まえ、検討を進めております。
具体的には、飛沫、接触感染防止や消毒の徹底等を、会場のエリアごと、入退場等の場面ごとにきめ細かく実施できるよう検討しております。
また、十分なフィジカルディスタンスを確保し、混雑、密集が回避できるよう、来場者の事前申し込み制を検討しているところでございます。
来場者想定におきましては、会場の特性に応じ、座席数や競技体験の参加者数などの規模を精査し、国内の他のイベントの状況等も参考にしながら設定いたします。
来場者に安全・安心な会場で大会を楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。
○三宅委員 ライブサイトは、観客席での試合観戦だけでなく、競技体験などさまざまなコンテンツを楽しめる場所ですので、来場者の取り扱いを含め、各会場の特性を踏まえたコロナ対策を徹底し、安全に実施できるよう取り組んでいただきたいと思います。
聖火リレーのスタートまで、あと十七日です。福島県Jヴィレッジから始まる聖火リレーは、復興五輪の象徴であり、日本を一つにつなぐきずなとなります。
開会式に向けて聖火をつなげていくため、聖火リレーにおいても、万全のコロナ対策が求められます。
ランナーの中には、一部に有名人も含まれており、沿道が混雑する可能性がありますが、区市町村と連携し、どのように対策を講じるのか伺います。
○中村オリンピック・パラリンピック準備局長 コロナ禍におきまして感染防止を図りながら聖火リレーを実施するためには、沿道の観覧客の密集を回避することが重要であります。
このため、組織委員会が公表いたしました新型コロナ対策ガイドラインを踏まえまして、インターネットのライブ中継により視聴できることを周知いたします。
また、混雑が予想される沿道の安全対策の徹底を図ってまいります。
ランナーの中には、芸能人やオリンピアンなど、著名な方々も含まれておりますことから、公園など観覧者を管理しやすい場所での走行や、運営スタッフの重点的な配置など、適切な密集対策を検討してまいります。
今後とも、組織委員会や区市町村等と連携いたしまして、安全・安心な聖火リレーの実施に向けて準備を進めてまいります。
○三宅委員 局長のご答弁もありましたとおり、万全な対策を講じて、開会式へとつながる聖火リレーを成功させていただきたいと思います。
次に、農地関係についてお伺いいたしたいと思います。
東京の農地は、生産基盤のみならず、地域防災を初め、多面的な機能を発揮しています。しかし、相続税などの税制が大きなネックとなり、都内だけでも年間約百ヘクタールの農地が宅地化されてきました。
舛添都政時代には、都市農業特区が検討されるなど、積極的に対峙してきました。しかし、小池都政でも継続して農地保全を目標に掲げてはおりますが、農地の減少には歯どめがかからない状況が続いています。
本気で取り組むのであれば、より戦略的かつ多面的にアプローチをしていく必要があると考えます。
例えば、特区の活用や、国と東京都の実務者協議会に協議レベルを上げるなど、当協議会の活用も一案です。
都の代表である武市副知事の見解を伺います。
○武市副知事 都市農地は、防災等の機能を有する緑の空間であるとともに、大消費地に近接する付加価値の高い農業生産の場として重要でございます。
一方、お話の国と東京都の実務者協議会では、東京の活力増進と日本の発展を目指し、国と連携が必要な重要施策について、具体の取り組みを協議しております。
これまで、首都圏空港、港湾機能の強化、道路ネットワークの早期完成、首都圏鉄道網の拡充など八項目二十施策を協議事項とし、さらに、国との協議を経て、低地部における高規格堤防整備などの浸水対策を新たに盛り込むなど、時機を捉えた見直しも行ってまいりました。
実務者協議会の協議事項につきましては、農地保全の必要性など社会情勢等の変化も踏まえ、取り組みの達成状況の検証や将来の方向性の整理を行うなど、重要施策の実現に向けて引き続き努力してまいります。
○三宅委員 東京の農業が継続的に発展し、農地の維持につなげていくためには、その担い手である農業者の役割も重要です。
しかし、都内の状況を見ると、農家数はこの十年でおよそ二割減少するなど、担い手の不足は深刻であり、さらに、農業者の半数以上が六十五歳を超えるなど、高齢化も進展しています。
都は、担い手の確保や総合的な育成を図るため、今年度より東京農業アカデミーをスタートして、新規就農者の確保や、農業者それぞれの経営の段階に応じた育成に取り組んでいます。
こうした知識と技術の習得に向けた支援は重要な取り組みですが、一方で、長年農業を続けてこられた高齢の農業者の中には、日々の農作業が負担となっているため、農業の継続が困難と考えている方もいるという話も聞いています。
現在農業を営まれている方々が、今後少しでも長く、みずからの農地を耕作して営農を続けていけるよう、農作業の負担を軽減するような技術開発に取り組んでいくことが必要と考えますが、都の取り組みを伺います。
○村松産業労働局長 都は今年度、民間企業や大学、農業者などが参加する研究開発プラットフォームを立ち上げ、現在参加している約百四十団体が、それぞれが持つ技術やノウハウを活用し、農業者が抱えるさまざまな課題の解決に取り組んでいるところでございます。
来年度は、このプラットフォームに参加する企業等がチームを編成し、温度調節のため、手作業で行っている農業用ハウス側面のビニールの開閉や、ハウス内の水やりを自動化する小規模で安価な装置などについて研究開発を進め、農作業の負担軽減につなげてまいります。
こうした取り組みにより、高齢の農業者にとって営農しやすい環境を整備し、長期間にわたり安心して農業を継続できるよう支援してまいります。
○三宅委員 しっかりと農業者の支援につながるような施策をやっていただきたいと思います。
続きまして、全く話題は変わりますが、女性職員の活躍推進について伺いたいと思います。
都の職員は、現在、警察や消防を除く行政職員ですが、四万七千人余りで、男女の比率は六対四程度となっているそうです。
四万七千人のうち、課長級や部長、局長級といった管理職は三千四百四十七人いて、男女比率は八対二です。
管理職に占める女性の比率は二割で、鳥取県に次いで全国で二位という上位にありますが、都は、この割合を二〇二五年までに二五%にすることを、女性活躍推進を図る目標に掲げています。
まずは、その実現のためにどのような取り組みを行っているのか伺います。
○山手総務局長 女性職員が管理職への昇任をためらう理由といたしまして、家庭との両立等の不安の声が上げられておりまして、個々の事情へのきめ細かな対応が必要でございます。
このため、先輩管理職等をキャリアメンターとして選任し、職員がキャリア形成等の悩みを相談できる取り組みを平成三十年度から試行し、今年度、全庁へ展開をいたしました。
具体的には、SNSを活用した気軽なコミュニケーションを可能とするとともに、メンターとの座談会であるトークカフェをオンラインにより三回実施し、育児休業中の職員も含め五十名が参加をいたしました。
管理職の魅力や育児との両立など、さまざまな相談を通じまして、今後のキャリア形成への意欲を高めております。
今後とも、こうした取り組みを拡充し、意欲と能力のある女性職員の一層の活躍推進に努めてまいります。
○三宅委員 現在、相談に応じるメンター、これは二十二名程度にまで拡大してきたとのことですが、技術系職員もメンターとして配置するなど、女性職員の要望に配慮しながら、充実した支援策につなげてほしいと思います。
管理職になると、その後の人事は試験ではなく評価制度となる中で、もちろん、男性も女性もその働きぶり、これが、より正しく評価されるものと思いますが、女性管理職の数をふやすだけではなく、それぞれの部署やチームをリードする立場となる部長や局長級についても女性の割合を高めて、都政の充実につなげるべく、目標を持って臨むべきだと思います。
女性の管理職をふやす取り組みだけではなく、管理職となった女性職員がその先のキャリアをさらに高めていく視点も女性の活躍推進には重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 お尋ねの女性活躍についてであります。
私が目指しております人が輝く東京でございますが、その一つの柱は女性の活躍にあります。都の職員の約四〇%を占めるのが女性、その力を最大限に活用しまして、生かしまして、政策の形成過程に女性の参画をより一層広げていくことが重要でございます。
都におきましては、能力、そして業績に基づく、公平、そして平等な選考によって、幹部職員を選抜いたしております。職員の声を踏まえて、育児休業中の受験を可能とする見直しも行いました。実力本位の任用管理を実施しているところでございます。
こうした結果、行政系の女性管理職の割合については、今年度、二〇・二%となっておりまして、国、そして民間、他の道府県の平均を大きく上回っているところでございます。
また、私自身が知事に就任して任命権者になって以降、女性管理職の登用を進めております。現在、女性の局長級職員十一名、これは過去最多でございます。
さらに、テレワークなどによる働き方改革や、内部管理事務の抜本見直しなどを通じまして、家庭と仕事が両立できますよう仕事の進め方を変革し、女性職員のさらなるキャリア形成を支える環境づくりにも努めているところであります。
今後も、都庁みずからが率先して女性活躍に向けた取り組みを実施する。そして、男性、女性問わず、誰もが自分らしく輝くことができるよう、積極的に取り組んでまいります。
○三宅委員 先ほど、局長級となれば十一人というお答えがございましたが、実際、本会議場で見ると、あのひな壇には三名の方しか座っておりません。また、副知事は全員男性です。
ぜひ、これ、女性の顔となるポジションに女性副知事とか、ぜひそうしていただきたいと思うんですが、この時点での知事の見解はどうでしょうか。
○小池知事 女性が意思決定過程に参画するというのは、極めて、多様性の確保、そして社会の調和を進める、さらには成長戦略につながるなど、多々好ましいこともございます。というよりも、我が国はその点が重要視されていなかったことは、極めて残念なことだと思っております。
そういった意味も含めまして、女性の活用を、女性の力を生かしてしていくということは、都政を高めるという意味にもつながってまいり、そして、それにふさわしい適切な地位を占めていけるよう、男性も女性も頑張っていただきたいと、このように考えているところであります。
○三宅委員 済みません、今の件については、事前に質問に入っていなかったもので、済みません、その場で答えていただきまして。(「何で謝るんだよ」と呼ぶ者あり)いや、謝っているわけじゃないんです。
次に、多摩振興について伺いたいと思います。
明治二十六年、一八九三年に、西多摩、南多摩、北多摩の三郡が神奈川県から東京府に移管されて、間もなく百三十年になります。
この間、首都東京は、関東大震災や東京大空襲などの幾多の困難を経て、奇跡的な復興と成長を遂げてきましたが、こうした東京の発展に、多摩地域は大きな貢献をしてきたといえます。
我々都議会自民党は、四百万都民が暮らす多摩の発展を目指し、長きにわたり、一貫して多摩地域の皆様の声に真摯に耳を傾け、多摩振興の推進を訴えてきました。
しかし、人口減少や少子高齢化、道路インフラのさらなる整備など、多摩地域には、いまださまざまな課題が山積しています。
そこで、これまで以上に多摩振興の取り組みを推進する観点で、何点か伺います。
初めに、骨格道路整備について伺います。
四百万人を超える都民が生活する多摩地域では、魅力と活力あふれ、安全・安心なまちを目指すため、多様な特性を生かし、さらなる発展を促す取り組みが必要です。
しかし、多摩地区の都市計画道路の整備状況がようやく六割と、いまだ道半ばです。多摩地域の持続的な発展に向けて、多摩南北主要五路線等の幹線道路を早期に整備し、その効果を最大限発揮することが重要です。
そこで、多摩地域での骨格幹線道路の今後の取り組みについて伺います。
○中島建設局長 多摩南北主要五路線の一つであります調布保谷線では、西東京区間の約一キロメートルを四車線で、本年五月に交通開放する予定でございます。
また、都市間連携を強化する南多摩尾根幹線では、全線四車線化整備に向けまして、多摩東公園交差点の西側区間に引き続き、来年度から東側区間で工事に着手いたします。
今後とも、多摩地域の発展に寄与し、都民の安全を守る骨格幹線道路の整備に着実に取り組んでまいります。
○三宅委員 関連して、用地取得について伺います。
道路整備には多くの方々のご協力が不可欠であり、開通まで一定の時間がかかることは理解できますが、ほとんどの路線で、当初住民に説明した期間の二倍以上の時間がかかっている実態があります。
その最大の問題は用地買収の長期化であり、道路整備のスピードアップを図るために、用地取得を早期に終わらせることが不可欠です。
そこで、用地取得を早期に完了させるためにはどのように取り組んでいくのか伺います。
○中島建設局長 道路整備に当たりまして、多くの路線で開通までに長い期間を要していることから、限られた人員を有効に活用しながら、さまざまな課題に取り組み、用地取得のスピードアップを今まで以上に図っていくことが重要でございます。
そこで、事業効果の早期発現が可能な箇所につきましては、ロードマップを作成することで課題解決に向けた方策を明確にするなど、工程管理をより的確に行ってまいります。
さらに、事業反対や相続問題などにより解決が困難な案件につきましては、事務所から本庁の専門チームへ積極的に引き継ぐことで、用地取得の集中的かつ効率的な取り組みを強化いたします。加えて、任意での契約が困難な場合は、土地収用制度を一層機動的に活用してまいります。
今後も、用地の早期取得に向けた取り組みを強化し、道路整備を積極的に推進してまいります。
○三宅委員 次に、多摩地域における産業振興についても伺います。
多摩地域には、付加価値の高いものづくり技術を有する多くの中小企業が立地しており、そのポテンシャルを生かし、多摩地域全体の産業活性化につなげていく必要があります。
そのためには、同じく多摩地域に立地する大手企業や大学、研究機関との結びつきを強め、さらに付加価値の高い技術や製品の開発をサポートしていくことが求められます。
多摩地域の産業振興に向け、中小企業を初めとする関係機関の相互連携を促すため、都はどのように取り組んでいるのか見解を伺います。
○村松産業労働局長 都は現在、多摩地域のものづくり企業が持つすぐれた技術と大企業等のニーズを結びつけるため、交流会やセミナー、研究会等を通じたマッチングを行っております。
このマッチングにより、共同研究や相互取引の活性化を促進するとともに、共同研究により立ち上がったプロジェクトに対しまして、試作品の開発から実用化まで、ハンズオン支援を一貫して提供しているところでございます。
さらに、より一層の製品開発力の強化を図るため、コーディネーターを活用して中小企業のコミュニティを組成し、共同開発した製品を大企業等への販路開拓につなげる支援も実施しているところでございます。
これらの取り組みに加え、今後は、多摩地域に集積する大学や研究機関、ハイテク企業等のさらなる連携強化に向けた仕組みづくりを検討してまいります。
○三宅委員 多摩地域の中小企業がさまざまな事業展開を図る上で、都の支援機関によるサポートは欠かせない要素となっています。
技術面、経営面、資金面など、中小企業の経営課題は多岐にわたり、これらに対して適切なサポートを継続して提供し、着実に成長に導くことが重要であり、特に現在のコロナ禍においては、支援の重要性、緊急性が高まっている状況にあります。
そこで、都は、多摩地域にある支援機関を通じ、どのように産業振興を図っていくのか見解を伺います。
○村松産業労働局長 都は、産業サポートスクエア・TAMAにおいて、経営改善や販路拡大のサポートのほか、製品、技術開発への支援などを通じ、多摩地域の中小企業の成長を後押ししているところでございます。
また、立川に開設した創業支援拠点では、子育て世代の主婦やシニア層、学生による起業など地域特性を踏まえた支援を提供し、多摩地域における創業の活性化に取り組んでおります。
さらに、来年秋に開設を予定しております都立多摩産業交流センターでは、中小企業のすぐれた技術や製品を広く発信するとともに、産学交流の促進により、新たなビジネスの創出を図ることとしております。
技術開発や創業支援、産学交流の拠点である各支援機関が連携し、それぞれの中小企業の状況に応じた的確な支援を行うことで、多摩地域の産業のさらなる発展につなげてまいります。
○三宅委員 多摩振興の最後に、多摩の住民の都心へのアクセスの拠点となる新宿駅の新宿グランドターミナルの再編について伺います。
新宿駅は、中央線、京王線、小田急線などを利用し、駅でおりる人もいれば乗りかえに利用する人もいる多摩地域四百万人の窓となる駅であります。
新宿駅は、駅構造が複雑であるため、多摩地域から初めて来る人やなれない人にとってはわかりにくい駅となっています。新宿駅の利用者にとってわかりやすく利用しやすい魅力的な駅にするとともに、駅から周辺の地区への大きな人の流れをつくっていくことが重要となります。
新宿グランドターミナルをどのように再編していくのか伺います。
○上野東京都技監 新宿駅は、多摩地域から鉄道四路線が乗り入れ、多摩地域の多くの方々が利用されている一方、駅の構造が複雑で、駅の出入り口がわかりにくいものとなっております。
こうした課題に対応し、人中心のまちの実現に向け、新宿駅とその周辺におきまして、駅前広場と駅や駅ビルなどが有機的に一体化した新宿グランドターミナルに再編いたします。
再編に当たりましては、ユニバーサルデザインなどに配慮しながら、駅の改札につながる交通広場と駅前広場やデッキを連続させるとともに、駅の改札からまち側への見通しを確保するなど、駅からまちへとつながる、わかりやすく快適な歩行者ネットワークを構築してまいります。
都は、来年度に土地区画整理事業に着手し、二〇三五年度の駅前広場とデッキの概成を目指し、多摩地域からの利用者の方々を初め、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組んでまいります。
○三宅委員 ハンディキャップを持っている方、また、高齢者、外国人、誰もが利用しやすいターミナルの着実な完成を目指していただきたいと思います。
次に、特別支援学校高等部における一人一台端末整備について伺いたいと思います。
GIGAスクール構想では、多様な子供たちを誰ひとり取り残すことなく、それぞれの子の資質、能力をこれまで以上に育成できる環境整備が求められています。
特に特別支援学校では、生徒それぞれの障害や程度によって端末の機能や仕様などを配慮する必要があり、利用をサポートする保護者や現場の声、有識者の声を十分に反映した検討と導入が必要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○藤田教育長 特別支援学校高等部における整備に当たりましては、障害の種類や程度に応じた端末が必要でございます。
このため、仕様の検討に当たり、特別支援教育を専門とする有識者や現場の教員等から、端末に求められる形態や性能等についてヒアリングを行っております。
これによりますと、学校が、複数の仕様の中から、子供たちの障害の特性に応じて適切な端末を選択できることが望ましいとの意見がございます。具体的には、タブレット型やキーボードつきノート型パソコンといった複数の形態を用意することや、性能につきましては、学習上の困難を軽減するためのアプリケーションを動かすことにも配慮が必要であることなどが挙げられております。
現在、検討委員会を設けて、具体的な仕様につきまして議論しており、年度内を目途に案を取りまとめてまいります。
○三宅委員 障害種別に合わせた端末の整備とともに、さらに必要になるのは、端末導入後の活用の仕方です。
生徒一人一人の特性に合わせて使い勝手をよくするため、アプリケーションを工夫したり、トラブル対応などにデジタルサポーターの活用をすること、また、特別支援学校での端末活用の好事例を他の特別支援学校と共有していく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
○藤田教育長 来年度から、全ての特別支援学校にデジタルサポーターを常駐で配置し、教員と協力して、各学校に既に整備されているデジタル機器のより積極的な活用を図り、令和四年度からの高等部における一人一台端末の効果的な活用に向けた準備を進めてまいります。
各学校では、障害による学習上の困難さを軽減する授業実践を積み重ねながら、デジタル機器活用上の課題を解決し、授業改善につなげてまいります。それらの中から、障害の種類ごとの活用の好事例等を発信し、全ての特別支援学校で共有してまいります。
こうした取り組みにより、都教育委員会は、生徒所有による一人一台端末が校内で円滑に導入、活用されるよう取り組んでまいります。
○三宅委員 端末整備とアプリ活用の柔軟な対応をいただけるとのご答弁でしたが、あわせて、高等部はCYOD方式で、費用は保護者負担です。障害種別による特別仕様の端末は費用も高くなることから、購入の負担も十分にご協議いただき、軽減を求めておきます。
次に、環境エネルギー開発関係について質問いたします。
地球温暖化防止のために、今、世界中が強力なCO2削減対策を打ち出しています。また、再生可能エネルギーなど、新しいエネルギー源や利用方法の開発が日々報告されています。
そのような中、都は、二〇三〇年に乗用車の新車販売における非ガソリン車の割合を一〇〇%にする目標を打ち出しました。
対象の車種の中では、現状、燃料電池自動車の普及が進みません。しかし、航続距離など水素エネルギーの特性からも、非ガソリン化において、燃料電池車が一定の役割を果たすべきです。普及への壁は、購入に対するコストの問題もありますが、水素の充填施設の不足が大きな原因だと考えます。
そのような中、都は、整備費を補助するとともに、ステーションの規模などに応じて設備運営費の補助を行うなどの支援を実施しています。また、水素ステーション整備の妨げになる規制の解消に向け、国に対して提案要求を行ってきました。
そこで、都は来年度、二十一億円の予算を計上していますが、何基のステーションを設置するつもりなのか、また、今後どのように取り組んでいくのかについて伺います。
○栗岡環境局長 都は、事業者などへのヒアリングや過去の整備実績等に基づきまして、令和三年度予算におきましては五カ所分の水素ステーション整備費を計上してございます。
整備を着実に進めるために、既存のガソリンスタンドが水素ステーションの併設を図る際の工事期間中の営業損失や、ステーションが未設置のエリアで整備する際の土地造成費用を補助対象とするなど、支援メニューを大幅に拡充してまいります。
こうした支援策を最大限活用しまして、ガソリンスタンド経営者を初めとする関係事業者や庁内各局、区市等とも綿密に連携しながら、新たなステーション整備に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○三宅委員 都は、一〇〇%達成に向け、水素ステーションを二〇三〇年までに百五十基設置するとしています。現在の二十一基に、年間五基増設しても到底百五十基には到達できません。
都は、二〇三〇年、百五十基までのロードマップを早急に示すべきです。打ち上げた花火が落ちないように、一〇〇%への道筋をしっかり示すことを強く求めます。
今、水素の普及拡大について伺いましたが、将来の水素社会の実現には、再エネ電力による水素製造が不可欠です。そのためにも、再エネ電力の一層の拡大を図る必要があります。
昨年の第四回都議会定例会及び本定例会の代表質問での再エネ拡大に関する質疑に対し、来年度では、都内での再エネ電力利用のために、都外で新規再エネ電源を設置する取り組みへの支援を検討しているとの答弁がありました。
これまで都は、都内での再エネ設備導入支援を進めてきましたが、新たに都外で再エネ設備の導入に支援する目的を伺います。
○栗岡環境局長 RE一〇〇宣言企業の増加など、民間事業者においても、再エネ電力の大量調達のニーズは拡大してございます。一方、東京は土地が狭小なことから、大規模な再エネ設備の設置が困難などの地域特性がございます。
こうしたニーズや特性を踏まえまして、都は来年度から、都内需要家による都外での再エネ設備の新設などに対する支援をスタートしてまいります。
実施に当たっては、環境に係る規制の遵守などについて地元自治体等と綿密な調整を行いまして、地域の環境に十分配慮した取り組み等となることを要件としてまいりたいと考えてございます。
本事業により、都外において新規再エネ設備の設置を進めることで、長期にわたる再エネ電力の安定的な確保を可能としてまいります。
○三宅委員 都外で生産された都内の再エネ電力の利用をふやすことはいいことですが、一方で、環境に係る規制を遵守し、設備が設置される地元自治体等との十分な調整を行い、地元に貢献できる取り組みになることを要望して、質問を終わらせていただきます。
○吉原副委員長 三宅正彦委員の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時三分休憩
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