予算特別委員会速記録第五号

   午後三時二十二分開議

○中山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 まつば多美子委員の発言を許します。

○まつば委員 都議会公明党を代表し、締めくくり総括質疑を行います。
 けさのニュースを見ておりますと、オリンピック・パラリンピック大会の延期にかかわる報道が相次いでいます。どうなるかはIOCの決定を待たなければなりませんが、いずれにせよ、新型コロナウイルス感染拡大が都民生活に大きな影響を与えている中で、オリ・パラ大会の開催か、延期かという事態に対しても、影響を最小限に抑える取り組みが必要と考えます。現在の知事の見解についてお伺いいたします。

○小池知事 都内におきましては、現時点で新型コロナウイルスの感染者が急増する状況には至っておりませんが、爆発的な患者の急増を示すオーバーシュートが発生するか否かの重要な分かれ道でございます。
 都といたしまして、感染拡大を食いとめて、そして都民生活への影響をできる限り緩和するために、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。こうした都と都民の一丸となった取り組みにつきましては、IOC、IPC、組織委員会、国、WHO等と大会開催に向けました情報交換の場がございますので、ここを通じまして情報を共有しているところでございます。
 また、一方で、海外での感染が急速に深刻化しているのはご存じのとおりでございます。安全で安心な大会の実現という開催都市としての責務を果たすために、さまざまな案を検討することが求められております。
 このため、都は、現行のスケジュールで大会を開催する場合の条件や必要となる対応、大会を延期する場合の課題やコストなどにつきまして、都民生活の影響も含めて具体的に検討いたしまして、国、組織委員会など関係機関と十分調整を行ってまいります。その上で、組織委員会とともにIOCと協議を行うところでございます。
 新型コロナウイルスの感染状況が世界規模で日々刻々と変化する中で、大会の成功に向けまして、全力を尽くしてまいります。

○まつば委員 どのような事態になりましても、財政運営が極めて重要でございます。
 そこで、財政運営について質問いたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界中で人の動きが滞る中、輸出入の停滞、観光産業への打撃、イベント中止などにより、東京の経済の活力低下が懸念をされております。一千三百万都民の暮らしに責任を持つ都は、今後の都財政について長期的展望をしっかりと持った上で、直近の税収減のリスクにもしっかりと目を光らせ、万全の対策を講じる必要があります。
 そこで、仮に現在の税財政制度のもとで、リーマンショック級の景気下振れ局面に入った場合、都財政への影響はどうなるのか、答弁を求めます。

○武市財務局長 東京都の歳入の根幹をなす都税収入は、法人二税の占める割合が高く、景気の動向に大きく左右されることから、今後、仮にリーマンショック級の景気後退が発生した場合、都財政は相当程度の税収減に直面することが想定されます。
 また、昨年末に発表した財政収支の長期推計では、中長期的に見た都財政は決して楽観視できるものではないとの結果を示させていただいております。
 こうした状況を踏まえますと、事業評価の取り組みのさらなる深化を初めとする施策の不断の見直しなどにより、都財政の足場をしっかりと固め、筋肉質な体質としていくことが重要であると認識をしております。

○まつば委員 相当な減収が生じるということでございますが、都の財政構造は、元来、歳入に占める法人関連税収の割合が高く、景気変動に大きく影響を受ける宿命にあります。
 こうした都の財政運営の重要な鍵となるのが、我が党がこれまで何度も指摘してきたように、基金の戦略的な活用であります。現状の基金の状況について、リーマンショック前後と比較してみると、くしくも平成二十年度末残高が一兆七千七百億円、令和二年度末残高見込みが一兆七千三百億円とほぼ同額となっております。
 しかし、その内訳には大きな差異があります。パネルをごらんいただきたいと思います。この棒グラフは、リーマンショック前から現在に至る基金残高の推移をあらわしています。緑色の部分がオリンピック・パラリンピック開催準備基金、青色の部分がそれ以外の三つのシティー実現に向けた基金、そして、オレンジ色の部分が財政調整基金であります。パネル上段の左の囲みをごらんいただければと思いますが、税収減などに備えるための財政調整基金残高は、平成二十年度の時点で五千五百億円、その後、リーマンショックによる景気後退局面に対して、平成二十年度から二十三年度にかけて、一千九百億円を取り崩して活用しております。
 一方、令和二年度予算では、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算の財源として三百億円を取り崩した上でなお、八千九百億円の残高を確保しております。
 単純な金額の比較だけで財政基盤の全容がわかるわけではありませんが、財政調整基金の残高は、リーマンショック時よりも一・六倍まで積み増しが図られているということであります。
 こうした備えが可能となったのは、我が党がこれまで積極的な活用を求めてきた新たな公会計制度も活用し、事業評価の取り組みを常に深化させてきた結果であるともいえます。
 地方法人課税の偏在是正措置の影響や新型コロナウイルス感染症に伴う景気の先行き不安、さらにはオリンピック・パラリンピック大会の開催の延期を含めた課題など、都財政を取り巻く環境は予断を許しません。
 税収減という大きなリスクも視野に入れた財政運営が必要になりますが、今後の対応について知事の所見を求めます。

○小池知事 本格的な少子高齢、人口減少社会の到来、不透明さを増す世界経済の動向、都財政を取り巻く状況は、これら大きく変化をしているところでございます。
 こうした中で、新型コロナウイルスの感染症が起こっております。東京二〇二〇大会への影響を注視していく、そして、都内経済に深刻な影響をもたらしている、そのことを踏まえまして、今後の税収減のリスクを十分に想定しておくことは必要でございます。
 都におきましては、この見えない敵の脅威から都民を守り、都内経済への影響を最小限のものとするための喫緊のさらなる対策が求められているところでございます。
 さらに、未来の東京戦略ビジョンに描きました理想の姿の実現に向けまして、東京の稼ぐ力をさらに強化をする、将来にわたって成長を生み続ける成熟都市といたしまして進化をさせていくための戦略的な施策の展開も必要でございます。
 そのため、財政の健全性にも配慮をしながら、委員の今お話もございましたように、財政調整基金を初めとする基金や都債の発行余力など、これまで培ってまいりました都財政の対応力を最大限に活用して、直面する課題に十分な手だてを講じつつ、戦略的な財政運営を行ってまいります。

○まつば委員 現状は決して予断を許す状況にはありません。さまざまな事態を想定し、しっかりとした財政運営をお願いいたします。
 都議会公明党は、これまで都に対し、数度にわたり新型コロナウイルス感染対策について要望、提言を行ってまいりました。それに対し、都の緊急対策に盛り込まれたものもありますが、まだ課題もあります。
 最初にPCR検査についてであります。
 日本のPCR検査の対応について、我が党のさきの代表総括質疑でも、医師からの求めによる検査が実施されていない現状に苦言を呈し、改善を求めたところであります。
 三月六日から新型コロナウイルス感染症のPCR検査が保険適用となり、検査の受託可能な十六社の民間検査機関において、一日当たり実施可能な件数は全国で約二千四百件と聞いております。
 問題は、都内で対応可能な検体数であります。個々の民間検査機関では、人員不足が課題となっているようであります。専門人材ですので、その養成や手当は簡単ではないかもしれませんが、打つ手があるかどうかの検討は続けていただきたいと思います。
 その上で、各検査機関は、幾つもの病院と契約を結び、さまざまな種類の検体の検査を続けています。それらの多種多様な検体の検査を続けながら、とりわけ慎重な検査手順を要する新型コロナウイルスの検査に取り組むことは確かに非効率的です。平時ではないのですから、この間だけでも民間検査機関同士の中で調整し、個々の検査機関が取り扱う対象検体の種類数を減らして、新型コロナウイルスに特化して検査できる検査機関をふやすべきと考えます。
 PCR検査について、今後、民間検査機関とも連携し、都内で患者がふえた際にも、必要とする方が速やかに検査を受けられるように、都が積極的に調整を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 新型コロナウイルスの検査に民間の検査機関が活用可能となったことを受けまして、都は、感染症指定医療機関、新型コロナ外来を設置する医療機関、医師会、保健所、日本衛生検査所協会等で構成する新型コロナウイルス検査体制部会を新たに設置し、三月十九日に第一回会議を開催いたしました。
 今後、各検査機関の検査実施体制や検査可能件数などの情報共有、検査に係る調整方法等についての協議を進め、検査能力の効率的な活用を図り、必要な方に確実に検査を実施する体制を確保してまいります。
 また、さらに検査需要が増大した場合に備え、衛生検査所協会を通じて、各検査機関に対しまして、都内の医療機関の検査需要に可能な限り応えていただけるよう働きかけてまいります。

○まつば委員 衛生検査所協会を通じて、新型コロナウイルス検体を検査する民間機関をふやしていただくよう要望いたします。
 検査数は、いまだ諸外国に比べて少ない状況ではありますが、国内での感染経路が明らかでない方が相当数おられることから、感染経路が不明の方と接触をし、潜在的に感染をしている方は多くいると一部専門家は指摘をしております。これらの潜在的な感染者が顕在化した場合、爆発的な感染拡大、オーバーシュートの状況にならないとも限りません。そうなった場合、大事なことは、重体化した新型コロナウイルスに感染された方の命を救う医療体制を構築しておくことであります。
 そこで、首都東京において数千人規模で入院が必要となる新型コロナウイルスの感染者が発生した場合、病院の陰圧室や呼吸機器、そして医師、看護師などの医療従事者の確保など、十分な医療体制がとられているのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 都内におきましては、現時点で感染者が急増する状況には至っておりませんが、ご指摘のように爆発的な感染の拡大を防ぐための重要な局面にございまして、感染者の増加を可能な限り抑制するための取り組みを、引き続き継続することといたしております。
 一方で、患者数が増加する事態に備えましては、民間医療機関のご協力もいただきながら、都としてできる限りの医療提供体制を整えていくことは必要と考えております。
 入院医療体制につきましては、既存の感染症指定病床に加えまして、感染症指定医療機関、公的病院、大学病院等が中心となりまして重症の方向けの病床を、また、中等症の方向けには、民間病院の一般病床を活用して病床を確保する考えでございまして、今後、通常診療や救急医療体制を維持しながら、重篤や重症の方向けには最大七百床程度、中等症の方向けには三千三百床程度の病床を段階的に確保してまいります。
 また、多くの患者さんが発生した場合でございますが、受け入れ、搬送が円滑に進みますように、各医療機関の病床や人工呼吸器等の稼働状況などを把握した上で、受け入れ医療機関の調整を行うことが必要となってまいります。そのため、集中治療、救急医療、感染症医療の専門家や災害医療コーディネーターなどから成ります調整本部を新たに設置をいたします。
 今後の感染状況も踏まえまして、医療関係者から一層の協力を得ながら、必要な医療を適切に提供するための体制整備に全力を尽くしてまいります。

○まつば委員 体制整備、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 医療機関の方からは、マスクや消毒液が足りないとのお声も届いております。
 都議会公明党は、マスク不足が深刻化する中、医療用マスクについて、医療機関に安定供給を図ることや不織布マスクなどを高齢者施設、障害者施設、子供関連施設などに供給できるよう、区市町村と連携を図るよう求めてまいりました。都は、三月十二日の緊急対応、第三弾でマスクの提供について盛り込みましたが、施設の現場や区市町村からは、不足しているとの切実な声や、都からどのような形でどれだけの量が送られてくるのかわからないといった声も届いています。
 都として、早急にマスクを調達した上で、医療機関や区市町村などに対して、迅速に提供していくことはもちろん、きめ細かく情報提供を行っていくべきと考えますが、答弁を求めます。

○遠藤総務局長 都はこれまで、子供関連施設等住民に身近な行政を担っている区市町村に対しまして、緊急対応として、都職員の業務用に備蓄しているマスクのうち二十万枚を提供してまいりました。
 また、先般公表した緊急対応策第三弾に、新たにマスクを約三百五十万枚調達することを盛り込み、医療機関や社会福祉施設等に順次配布しており、さらに、国内外から都に対し寄附されたマスク等も活用してまいります。
 現在、都においても、マスクの確実な調達が困難な状況にはございますが、今後、区市町村と必要となる枚数や用途等について情報交換をきめ細かく行うとともに、各局の使用分と合わせて、総務局で一括して購入するなどの工夫を凝らすことにより、マスクの迅速な確保に取り組み、現場を抱える区市町村等への提供に努めてまいります。

○まつば委員 総務局長からご答弁いただきました。
 福祉保健局としっかり連携をとっていただきながらも、総務局が責任を持って、特に区市町村と連携を密に取り組んでいただきたいと、このように申し上げておきます。
 次に、九都県市との連携についてであります。
 東京都と近隣県は、通勤通学など人の往来が多く、今後感染者への爆発的な増加の発生を回避するためには、近隣自治体との連携した取り組みが重要であります。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言では、今後、都道府県を超えた広域調整本部の設置準備など、広域連携が必要との見解を示しています。
 今後、都は、新型コロナウイルス感染症対策において、近隣自治体との広域連携を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都はこれまで、広域的な行政課題に積極的に対応するために、環境問題や防災対策など、近隣の自治体の皆さんと連携を図りながら、効果的な対策を講じてきたところでございます。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応でございますが、これはまさに見えない敵との闘いでございます。各地域に感染が広がりを見せている状況を踏まえますと、東京だけではなく、近隣自治体の住民や企業等の協力なくしては、この難局を乗り切ることは難しゅうございます。
 昨日発表いたしました都としての新たな対応方針でございますが、感染の発生しやすい三条件が重なる場所を避ける行動や大規模イベント等の自粛、テレワーク、時差勤務などの実施など、都民や企業に協力を呼びかけたところでございます。
 そして、今後は、例えば、隣接する県の知事とともに、住民や企業の方に対しまして協力を呼びかける共同メッセージを発するなど、実効性ある対策を講じていきたいと考えております。
 こうした取り組みにとどまらず、九都県市首脳会議などの場も活用いたしまして、近隣自治体間の広域連携を強力に推進をいたしまして、都民の安全・安心を確保してまいります。

○まつば委員 東京都が中心となって、しっかりと九都県市、力を合わせて行っていただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症の拡大に関し、フリーランスで働く方の仕事と生活への支援についてお伺いいたします。
 今回の感染症の拡大によるイベントやコンサートの中止に伴い、演奏家などフリーランスの形態で働く人は、仕事もなくなり、収入が途絶え、生活不安に直面するという非常に切実な問題が起こっています。
 フリーランスの場合、企業に雇用されている従業員ではないため、雇用保険の対象にならず、仕事がなくなっても休業手当や失業給付は受けられません。今回、学校休業に伴い休業する保護者への国の賃金助成の単価も、企業の従業員は、日額八千三百三十円以内であるのに対して、フリーランスには、日額四千百円と、極めて低水準でございます。また、都が緊急対応策で打ち出した百万円を上限に中央労働金庫を通じて行う無利子融資も、中小企業の従業員でないために対象外です。
 フリーランスを事業者という観点から見ても、開業届を提出していない場合、個人事業主として扱われず、都が補正予算や緊急対応策で創設した緊急融資等のさまざまな金融支援策を活用することもできません。
 このように、フリーランスの方々に対する支援が、さまざまな行政的支援の制度のはざまにあって行き届いていない現実を今こそ直視しなければいけないと考えております。イベント等の相次ぐ中止で、収入の糧となる仕事が減り、生活が立ち行かなくなるおそれがある中、行政として事業活動をいかに支えるのか、さらに、生活困窮に陥ることがないようにするか、そうしたセーフティーネット機能を発揮する、この二点の観点で対策を打つ必要があると考えます。
 そこで、まず、三月十二日に公表した都の緊急対応策では、フリーランスの事業活動を支える観点から、新たな支援策を打ち出しましたが、その具体的な取り組みについて所見を求めます。

○村松産業労働局長 都では、事業基盤が弱いフリーランスの方々を含む事業主の事業活動を支えるため、三月十七日に特別相談窓口を設置し、支援を強化いたしました。
 相談窓口では、個人事業主としての開業の届け出の有無にかかわらず、資金繰りや経営面での課題に対して、国の制度や都の支援策を紹介するなど、個別に相談に対応してまいります。さらに、発注者との契約上のトラブルなど専門家の支援が必要なケースについては、弁護士等の専門の相談員が解決に向けてサポートを行ってまいります。

○まつば委員 フリーランスの事業活動で生じる課題の解決に向け、事業者向け支援の枠組みを工夫して、できる限りの支援を開始したと、これは評価するものであります。
 しかし、生活支援の面では、先ほど指摘しましたように、フリーランス向けの行政の支援は乏しいのが実情であります。
 我が党は、三月十日、知事宛てに、生活福祉資金貸付制度に特例を設け、収入が減ったフリーランス世帯を対象に、国の取り組みに上乗せを行うよう既に要望してあります。
 国は、新型コロナウイルス感染症の影響により収入減少があった方への対応として、生活福祉資金貸付制度の特例を設け、緊急の貸し付けを実施することになりました。この制度は、全国一律の制度であり、東京の生活実態を踏まえれば、支援のあり方が求められています。フリーランスの方などに対して、全国一律ではなく、東京の実態を踏まえた独自の支援策を積極的に講じていかなければならないと考えます。そのことを強く申し上げておきます。
 その上で、国の特例制度の具体的内容について答弁を求めますとともに、収入減少で困られている方々が、この制度を活用できるよう十分に周知を図り、丁寧に対応すべきと考えますが、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 国は、新型コロナウイルス感染症の影響で、休業等により収入の減少があった世帯を対象に、個人向けの緊急小口資金の貸し付けにつきまして、上限を二十万円とし、据置期間や償還期限を延長する特例措置を設けることといたしました。
 また、収入の減少や失業等により生活に困窮した場合には、個人向けの総合支援資金を、単身で月十五万円、二人以上の世帯で月二十万円を上限に、三カ月の範囲内で貸し付け、据置期間を延長する等の措置を講ずることとしております。
 明日三月二十五日の受け付け開始に向け、実施主体の東京都社会福祉協議会等と連携し、先週からホームページでの広報を始めておりまして、今後、区市町村の窓口、特別相談窓口を設置する産業労働局やハローワークなどを通じまして、制度をわかりやすく説明したリーフレットを配布し、必要な方に情報が行き届くよう積極的に周知してまいります。

○まつば委員 丁寧な対応をお願いしたいと思います。繰り返しになりますが、東京の実態を踏まえた独自の支援策を積極的に講じていただきたいと強く要望させていただきます。
 第三回定例会の代表質問におきまして、我が党は、就労に困難を抱える方への相談体制の構築を求めました。それに対し、都は、さまざまな就労相談に対応できるよう、しごとセンターの相談窓口の充実を図ると答弁をしております。
 今般の感染症の影響から、就労に困難を抱える方は、より深刻な状況に置かれることも予想されます。都は、今の厳しい時期にこそ支援体制を充実し、寄り添った支援をすべきと考えますが、答弁を求めます。

○村松産業労働局長 都は来年度、しごとセンターの相談窓口等の機能を拡充し、就労に困難を抱え、きめ細かな対応が必要とされる方々に、その実情に応じた支援を行ってまいります。
 具体的には、専門のスタッフによりカウンセリングを実施し、一人一人の状況や希望を踏まえて、支援計画を策定いたします。この計画に基づき、セミナーや職場体験等によりスキルアップを図ってまいります。
 企業とのマッチングにおきましては、希望や事情に合った働き方ができるよう、求人企業の掘り起こしや企業との採用条件の調整を行ってまいります。さらに、職場定着に向けて、職員が企業を訪問し、企業と本人双方に助言するなど丁寧にフォローしていくこととしております。
 生活面や医療面のサポートを行う他の機関とも連携し、一層の支援の充実を図ってまいります。

○まつば委員 次に、都主催のイベント中止に伴う対応についてであります。
 さきの代表総括での質問に対しまして、都の答弁はこうでありました。都主催イベントの中止等に伴い、都がイベント事業者等と締結している委託契約を解除する場合の対応については、個別の実態に即して協議の上、適切に対応していく、こういうことでございました。
 それでは、都のイベントとして、都が事業者等へ助成金を払っている場合にはどのように対応されるのか。特に収入が大幅に減少するフリーランスの方に対して対応していくべきと考えますが、所見を求めます。

○山手政策企画局長 都がイベント事業者等へ助成金を支払っている都主催イベントが中止になった場合、都は、原則として助成対象経費について、準備に要した経費などを含め、出来高等を踏まえ、内容を精査した上で、一定割合をイベント事業者等へ支払うこととしております。
 その際、フリーランスは、事業基盤が弱く、収入の減少が生活の悪化に直結しやすいことから、都としては、先ほど述べた原則にのっとりまして、イベント事業者等に助成金を支払うとともに、イベント事業者等がフリーランスに対して必要な費用負担をするよう、イベント事業者等に要請してまいります。

○まつば委員 しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 次に、医療的ケア児のご家庭への支援についてであります。
 一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会では、新型コロナウイルス感染予防の一斉休校に際し、医療的ケア児の保護者を対象に緊急アンケートを実施されました。それによりますと、臨時休校の影響として困っていること、心配なことという質問に対し、回答者百五十一人のうち、六二・三%に当たる九十四人が、家事や育児の負担がふえることと回答しています。
 重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業は、訪問看護師が、一回四時間まで自宅に出向いてケアを代替して家族の休養を図るという、大変ご家庭に寄り添ったよい事業であります。しかし、利用上限があり、年間二十四回までしか使うことができません。利用者からも、利用回数をふやしてほしいと、こういうお声をいただいております。
 重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業について、現在の年間一日四時間で二十四回までという利用上限を、年間で何時間までというふうに変えていただくだけでも、大分それは違うわけでございますので、柔軟な対応を図ることが望まれます。ぜひ検討していただきたいと思いますが、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 お話の重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業は、重症心身障害児者や医療的ケア児の家族の休養を目的に、看護師が自宅を訪問し、家族にかわって一定時間のケアを行うもので、都は、区市町村を包括補助で支援しておりまして、現在二十一区六市が医療的ケア児を対象に事業を実施しております。
 本事業は、お話にあったとおり、一回当たり二時間から四時間まで、三十分単位での利用が可能で、利用回数の上限は、一カ月当たりでは四回、一年間では二十四回としておりますが、今般の学校の臨時休業など新型コロナウイルス感染症対策の動向やケアを行う訪問看護ステーションの状況、区市町村の意向等も踏まえ、柔軟な対応を検討してまいります。

○まつば委員 また、医療的ケア児のご家庭とともに、ご家庭を訪問される訪問看護師の方のマスクや消毒液など、こうした確保も必要性が高いものであると、こういう認識に立っていただくようにお願いをいたします。
 次に、修学旅行の中止に伴うキャンセル料の取り扱いについてであります。
 ことし三月に修学旅行を予定していた学校では、今回の感染症対策により、中止や延期となった学校があると聞いています。修学旅行費の費用は、保護者から徴収し、積み立てていますが、キャンセルにより、その分が差し引かれるため、保護者負担がふえることになります。
 そこで、公立小中高、特別支援学校や私立学校が実施する修学旅行において、キャンセル料が生じた場合、何らかの支援策を講じるべきと考えますが、答弁を求めます。

○藤田教育長 国は、公立学校や私立学校が実施をいたします修学旅行につきまして、中止ではなく延期することや、既に中止とした場合におきましても、新型コロナウイルスの終息後に改めて実施することを検討するなどの配慮をお願いしたいとの考えを示しているところでございます。
 都といたしましては、新型コロナウイルス感染症緊急対応策(第三弾)の中で、修学旅行の中止に伴う保護者の負担への財政支援策を確実に講じるよう国へ要望をいたしたところでございます。
 現在、国は、修学旅行の対応状況等の全国調査を実施中でございまして、その結果を踏まえ、キャンセル料等の対応を検討していくとしており、その動向を注視してまいります。

○まつば委員 次に、学校での感染症対策についてであります。
 新型コロナウイルス感染症への対策強化を講じる中で、学校の一斉休校など児童生徒の皆さんが影響を受け、さまざまな状況の中、ご家庭も含めご努力をしていただいております。
 そうした中で、学校においての感染症対策としてのうがいや手洗いの励行など適切な指導に加えて、私は、非接触で衛生的な自動水栓を学校にも整備することで、より効果的な感染症対策が可能になると考えております。知事の手洗いの動画も多くの方が見られていると伺っており、私も拝見をさせていただいて、大変にわかりやすい動画でございました。
 その上で、学校においては、洗面器の水栓は、蛇口をひねるハンドル式も多く残っていますことから、手洗いをした後、最後に蛇口をひねらなければいけないという行為が加わるわけであります。自動水栓とは、センサー方式により、手を差し出すと、さっと水が出て、手を遠ざけると水がとまると、こういうものでありますけれども、こうした自動水栓、これは大事だと思っております。
 今後、公立学校における洗面設備への自動水栓導入の必要性について検討するとともに、学校における感染症対策を徹底すべきと考えますが、見解を求めます。

○藤田教育長 都立学校におきましては、改築や大規模改修等を行った際に、学校の要望を踏まえ、トイレや保健室等の洗面器に自動水栓を整備してきているところでございます。
 今後とも、施設改修に当たりましては、障害のある児童生徒への配慮や学習活動上の使い勝手などの視点から検討を行い、自動水栓の設置を進めてまいります。
 また、小中学校につきましては、安全で衛生的な学習環境づくりに係る学校の実践例を区市町村教育委員会に提供してまいります。
 現在、都教育委員会では、新型コロナウイルス感染症対策の中で、手洗いの励行などの予防策を徹底しているところでございまして、引き続き子供たちの安全・安心を守ってまいります。

○まつば委員 新型コロナウイルス感染症対策については、医療面、生活面、経済面など対策が多岐にわたっております。都民の安全で安心な生活を維持するため、都庁一丸となっての取り組みをお願いいたします。
 次に、児童相談所の一時保護の課題について質問をいたします。
 東京都の児童相談所の一時保護所の平均入所率は、平成二十六年度から平成三十年度まで一〇〇%を超えており、平成三十年度は一一四・九%になっています。
 一時保護所の定員超過が常態化する中、平成三十年度は、この表のとおり掲げさせていただいておりますが、別の施設等に委託をされております。合計で千百七十名、最も多いのが、児童養護施設で三百六十三名、次いで里親で二百六十一名になっています。
 一時保護された子供たちは、さまざまな状況で保護されているため、例えば児童養護施設などで預かった場合に、今まで入所していた子供たちとの間でさまざまなあつれきが生じております。そのため、施設の職員は、相当苦労をされて対応されているとお伺いをいたしました。
 児童相談所の一時保護は年々ふえてきておりますが、まずその要因について見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都の児童相談所における児童虐待対応件数は、近年増加しておりまして、平成二十八年度は一万二千四百九十四件、平成三十年度は一万六千九百六十七件となってございます。
 その通告の経路を見ますと、特に警察からのものが多く、平成二十八年度は四千七百十三件、平成三十年度は六千九百七十五件となっており、全体の四一・一%を占めてございます。
 こうした中、一時保護所への新規入所も年々増加しており、平成二十八年度は二千六十七件、平成三十年度は二千百四十一件となってございます。そのうち、警察からの通告による入所は、平成三十年度の全体の六一・二%、千三百十一件であり、その主な内訳は、虐待が五五・五%、非行、虞犯が三六・六%となってございます。

○まつば委員 今、答弁の中で、警察等からの通告が、平成三十年度は全体の四一・一%を占めており、その数も、平成二十八年度は四千七百十三名であったのが、平成三十年度は六千九百七十五名になったとありました。また、警察からの通告には虐待が多く、加えて、非行や犯罪行為のおそれがある虞犯に絡む案件もあるというお話がありました。
 非行、虞犯に絡むような案件は、本来、警察署の少年センター等でほぼ対応することが妥当だと考えております。また、警察が関与する案件のうち、重篤でなければ、区市町村が対応することも考えられますが、なぜ児童相談所に通告され、一時保護所に預けられるのでしょうか、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 児童福祉法では、要保護児童の通告は、発見者が市町村、福祉事務所及び児童相談所のいずれかの機関に行うこととされておりますが、警察からの通告は、少年警察活動規則により、児童相談所に限定されております。
 そのため、全国児童相談所長会は、平成二十五年から毎年国に対しまして、警察の通告先に子供家庭相談の第一義的窓口である区市町村を加えるよう規則改正を要望しているところでございます。
 都は今年度、児童相談所と子供家庭支援センターの虐待対応における連絡調整に係るルールを改正し、児童相談所が通告を受けたもののうち、重篤度が高くないと考えられる事案や地域の支援の活用が効果的な事案は、区市町村に送致することとしております。

○まつば委員 現在、国に対して規則改正が求められていることはわかりました。その上で、やはり一時保護所をふやしていくことは必要であります。令和二年度以降の取り組みについて見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の入所定員を拡大しており、今年度は、八王子児童相談所及び足立児童相談所の定員を合わせまして二十四名拡大し、総定員を二百三十七名といたしました。
 来年度は、世田谷区、江戸川区及び荒川区が児童相談所を設置いたしますが、その一時保護所の定員は合わせて七十一名でございます。都と区の児童相談所では、定員超過により適切な支援の確保が困難な場合や非行児童を分散して保護する必要がある場合等に、それぞれの一時保護所を相互に利用することとしております。
 また、令和三年度には、児童相談センターにおきまして、十六名の定員拡大を予定しており、今後、一時保護需要や特別区の児童相談所の状況等を踏まえまして、必要な定員を確保してまいります。

○まつば委員 答弁で、令和二年度は、世田谷、江戸川、荒川区の児童相談所で合わせて七十一名分の定員がふえること、令和三年度には、都の児童相談センターの保護所拡張で十六名ふえるということでございました。
 しかし、現在の定員超過の状況を考えれば、まだまだ足りません。子供を虐待から守るためには、一時保護所の定員を一層拡充するとともに、都として、児童相談所の体制強化にさらに積極的に取り組むべきと考えますが、知事の決意をお伺いいたします。

○小池知事 都はこれまで、深刻化する児童虐待に対しまして、迅速、そして的確に対応するために、児童福祉司、児童心理司の増員を図り、また、人材育成等を担います専門課長の配置をいたしました。さらに、虐待対策班の設置、一時保護所の定員拡充など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいったところでございます。
 来年度につきましては、児童福祉司や児童心理司等をさらに増員をいたしますほか、一時保護所の職員を増員、夜間の見守り体制の強化と児童の心理ケアの充実を図ってまいります。
 また、児童相談に係る情報を迅速に共有するために、テレビ会議システムを都の全ての児童相談所に整備をいたします。さらに、大学研究者と連携いたしまして、虐待のリスクを予測する情報システムの構築、これに向けました取り組みも開始いたします。
 一時保護所の拡充につきましては、先ほど局長からご答弁を申し上げたとおり、児童相談センターの定員の拡大、特別区が設置する一時保護所との連携、そのほか新宿区からのご提案に応じて、今後、区が設置する施設を借り上げまして、都の一時保護所として活用することも検討いたしております。
 こうした取り組みを推進いたしまして、ハードとソフトの両面から、児童相談所の体制を一層強化してまいります。

○まつば委員 一時保護所の定員の拡充について、知事より具体的な方向性について答弁がありました。ぜひ早期の取り組みをお願いいたします。
 次に、多胎児家庭支援について質問いたします。
 双子を育てる家庭を初めとした多胎児家庭支援について、都議会公明党は、多胎育児のサポートを考える会のアンケート調査などから見えた課題について、支援策を提案してきました。
 その結果、来年度予算において、とうきょうママパパ応援事業として位置づけ、支援制度を打ち出したことを評価するものです。その運用に当たっては、多胎児家庭に寄り添い、利用しやすい仕組みとすることを要望するものです。
 そこでまず、多胎児家庭サポーター事業については、家事、育児支援に加え、お子さんと部屋を離れて睡眠をとることも可能とするよう、親の睡眠確保、一時的休息にも利用できるようにすべきと考えます。移動経費補助とあわせて、事業の具体的内容とともに見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都が来年度から実施する多胎児家庭サポーター事業は、三歳未満の多胎児を育てる家庭を対象に、家事や育児、外出時の補助を行うサポーターを派遣する区市町村を支援するものでございます。
 サポーターの年間利用時間は、多胎児の年齢に応じまして、一歳未満は二百四十時間、一歳以上二歳未満は百八十時間、二歳以上三歳未満は百二十時間までとしており、お話のように、母親の休息のための利用についても、本事業の対象としていく考えでございます。
 また、移動経費補助は、三歳未満の多胎児を育てる家庭が、予防接種や乳幼児健診などの母子保健事業を利用する際のタクシー代等を補助する区市町村を支援するものでございまして、一世帯当たり年間二万四千円を上限としております。実施に当たりましては、多胎児家庭が外出せずに補助申請できるよう、区市町村に申請方法の工夫についても求めてまいります。

○まつば委員 多胎ピアサポート事業につきましては、経験者により多胎児家庭を支援することであります。それは大事なことであります。該当者がいない場合などや専門家や支援団体などがサポートすることも、その上で有効であると考えます。また、産前からサポートを受けられるようにすべきであります。事業内容とともに所見を求めます。

○内藤福祉保健局長 多胎児を産み育てる方の中には、不安感や孤立感を感じ、同じような経験のある他の保護者との情報交換や交流を求める声も多く、妊娠中や子育て中に仲間づくりの機会を設けることは重要な支援の一つであると考えております。
 また、多胎児特有の授乳方法や二人以上に同時に進めることとなる離乳食等に関する助言、多胎児の発達や育児に関する相談など、専門職による対応も必要となります。
 都は来年度、妊娠中も含めた多胎児家庭を対象に、多胎ならではの悩みを抱える保護者同士の交流会や、保健師、助産師、栄養士等の専門職や子育て支援団体と連携し、カウンセリングなどの相談支援及び訪問相談等を行う区市町村への支援を開始いたします。

○まつば委員 今ご答弁ございましたけれども、一カ月当たりの補助上限額は各区市町村とも二十一万五千円と定額、定まった額であるというふうになっているかと思います。多胎児家庭の世帯数も各区市町村で違うことから、今後の実施状況も踏まえて今後対応を検討していただくように要望いたします。
 また、都バスへの双子ベビーカーの乗車について、交通局におかれましては引き続き検討を進めていただきたいと改めて要望させていただきます。
 次に、学校トイレの洋式化について質問いたします。
 都議会公明党は、学校トイレの洋式化について、繰り返しその推進を要請してまいりました。都教育委員会は、我が党の提案を受け、令和二年度までに洋式化率八〇%を目指すという目標を掲げ、洋式化を進めています。
 都立学校及び区市町村立小中学校について、トイレの洋式化率八〇%の目標を掲げた平成二十九年度当初と比べ、洋式化率の伸びはどのような状況であるのか、また、計画の最終年度である令和二年度の取り組み状況について所見を求めます。

○藤田教育長 平成三十一年四月一日時点のトイレの洋式化率は、都立学校におきましては六九・三%でございまして、二年前から一三・九ポイント上昇をいたしております。また、区市町村立小中学校におきましては六五・五%でございまして、二年前からは八・三ポイントの上昇でございます。
 都立学校につきましては、令和二年度予算におきまして、今年度の工事予定件数を八十九件上回る三百五十六件の工事を予定してございまして、さらにスピード感を持ってトイレの洋式化を推進してまいります。
 小中学校につきましては、説明会等を活用して、引き続き区市町村の取り組みを促し、トイレの洋式化に向けた財政的支援を行ってまいります。

○まつば委員 平成二十九年度より洋式化が着実に進んできたということが、今の数字を伺いまして理解をいたしました。
 八〇%の目標達成が来年度でできるかどうかということでございますけれども、万が一、区市町村、八〇%の目標が達成できないというような場合があったときには、それ以降、来年度、再来年度以降も、しっかりと支援をしていただくように要望をさせていただきます。
 次に、保育と就学前教育の充実について質問をいたします。
 昨年の第四回定例会代表質問で、新宿せいが子ども園園長の藤森平司氏が主導する見守る保育を紹介しながら、AI時代に必要とされる非認知能力、自己の感情をコントロールし、他者と共感し、協力的な人間関係を築いて問題解決を図れる力を育む取り組みの重要性を指摘し、長期戦略が描く二〇四〇年の東京では、保護者の就労の有無や長短にかかわらず、望めば全てのご家庭で一日に数時間程度の集団保育の効果が享受できる社会としていくべきだと、こう訴えさせていただきました。
 先日、知事は、この新宿せいが子ども園を視察されたと伺っております。そこで、まず、その際のご感想をお伺いいたします。

○小池知事 先日私は、乳幼児からの集団保育で子供同士が自然に交わる、そのことで健全な発育に導く取り組みを行っておられる認定こども園を見学させていただきました。
 この園では、年齢ごとに部屋を区切らないで、子供たちが自分の興味や関心、個々の発達段階に応じまして遊びを選択ができる、そして一緒になって生き生きと過ごしているさまを拝見してきたところでございます。
 また、保育者は、子供たち一人一人の成長を把握して、時には見守って、援助が必要なときは手を差し伸べるということで、子供の主体性を育む、そのような保育を実践しているなどの話も伺いました。大変有意義な視察となりました。
 今後も、幼児教育、保育を実践されている皆様のさまざまなご意見を伺いながら、子供がそれぞれの個性や能力を存分に生かして、みずから伸び、育つ東京の実現を目指してまいります。

○まつば委員 ありがとうございました。知事のご答弁の内容は、中心的に取り組んでまいりました中山信行議員を通じてお伝えをさせていただきたいと思います。
 未来の東京戦略ビジョンでは、少子化からの脱却を目指していますが、そのための戦略として、子供の笑顔を生み出すことや子供の目線に立ってチルドレンファーストの社会をつくっていくという姿勢が打ち出されております。十五年前にチルドレンファースト社会実現を掲げ初当選して以来、取り組んできた私にとっても大変共感するものでございます。
 未来の東京戦略ビジョンにおける目指す姿の実現に向けて、先ほどの集団保育の件も含め、福祉的な視点、そして教育の視点といった行政の枠組みや施策を超えた、踏み込んだ議論を始める時期ではないかと考えております。新たな会議体のもとで、子供の目線に立って、子供の笑顔をどのように育んでいくのか、幅広く議論を進めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 私は、東京が持続的な発展を続けていく上で最も重要なのは、時代を切り開く人を育てることだと確信している。こちらでは何度も申し上げさせていただいております。
 未来を担う子供への投資に本気で取り組むこと、そして世界に通用する人を育成して、子供や子育てを社会全体で支える。このため、未来の東京戦略ビジョンにおきましては、戦略の核の一つに、子供、チルドレンを据えまして、子供を大切にすることを最優先としたチルドレンファーストの社会の構築、安心して子育てができる環境の整備、一人一人の個性や能力に応じた最適な学びの提供などに取り組んでまいります。
 その際、子供の笑顔のために真に求められるものは何かについてでございますが、保育や教育などの垣根を超えた議論を進めること、子供の意見を聞いて、それを施策に反映していくといった新たなアプローチが重要でございます。
 そのために、外部の有識者の皆さんや保育、教育の現場に携わられるNPOの方々、幅広い方々に参画していただいて、子供の未来についての議論をするための新たな会議体を来年度でございますが、立ち上げてまいります。
 お話の集団保育のような二〇四〇年代を見据えた内容も取り上げまして、子供が笑顔で生き生きと活躍できる東京の実現に向けまして、議論を進めてまいります。

○まつば委員 新たな会議体を立ち上げていただくということでございますので、期待をしたいと思います。ぜひ、国連子どもの権利条約、こういった理念も踏まえて議論を進めていただくように要望をさせていただきます。
 次に、動物との共生社会について質問をいたします。
 都議会公明党は、高倉議員を座長に、動物との共生社会推進プロジェクトチームを立ち上げまして、これまでもさまざまな政策提案をしてまいりました。
 昨年の第三回定例会の栗林議員の一般質問に対し、地域における動物の相談支援に取り組むボランティアへの支援を実施すると答弁がありました。この答弁に基づく来年度の取り組みについて所見を求めます。

○内藤福祉保健局長 動物の譲渡機会の拡大や飼い主のいない猫対策などにおいて、これまでも、ボランティア団体には大きな役割を果たしていただいております。
 都では、今後の超高齢化を見据え、ペットを飼う高齢者の増加にも対応するため、来年度から、動物の飼養等に関し、身近な地域で相談ができ、支援を受けられる体制の整備に取り組む区市町村を支援することといたしました。
 取り組みに当たりましては、区市町村が動物愛護活動のノウハウを持つボランティア団体の協力を得て、飼い主等への相談支援や動物の一時保護、譲渡等を行えることとしており、都といたしましては、これに係る経費を補助し、区市町村とボランティア団体とが連携した相談支援体制の整備を促進してまいります。

○まつば委員 高齢社会においてもペットを飼い続けたいというご家庭は多く、動物との触れ合いが介護予防にもつながり、健康寿命を延伸することにも影響が大きいといわれております。
 今回、大学と自治体、企業、NPOの協働による高齢者の福祉向上を目指した動物との共生社会実現と拠点形成が予算案に盛り込まれております。我が党も取り組みを求めてきた施策であり、評価するものです。具体的な事業内容と今後の展開について答弁を求めます。

○内藤福祉保健局長 来年度から実施する大学提案事業では、高齢者施設等における動物との触れ合いなど動物介在活動の実施に向け、安全で従順な動物の確保や関係者のプラットホームの形成を目指しております。
 実施主体となる大学では、活動に用いる動物について、人に対し攻撃性を示すなどの問題行動の修正訓練や治療、動物由来感染症の病原体保有調査を行うほか、都民に問題行動の修正等の知識を広く普及するための公開講座の開催、ボランティアやNPOとの連携の場の設置等に取り組むこととしておりまして、都は、来年度から三年間にわたり支援する予定でございます。
 事業を通じて得られた成果や大学の専門的知見につきましては、動物愛護相談センターでの飼養管理等にも適宜取り入れるなど、動物愛護施策の充実に生かしてまいります。

○まつば委員 次に、災害時のペットの同行避難についてであります。
 避難所における運営計画は、それぞれの避難所運営委員会で体制を構築し、受け入れできる環境を検討することになっていますが、昨年の台風十九号の際も、ペットと一緒に避難所に同行できないケースが数多くあったと聞いております。
 どの地域におきましても、家族の一員であるペットが一緒に避難所に同行避難が可能となるよう、都としてマニュアルを作成すべきであると考えますが、取り組みについて所見を求めます。

○内藤福祉保健局長 都は、昨年の台風第十九号の際に、区市町村が設置した避難所における動物との同行避難の受け入れ状況等について、昨年十二月に調査を実施いたしました。
 調査では、屋内に動物の飼養場所を確保していなかったこと、避難所の運営者など関係者間で情報共有や相互理解が十分でなかったこと、動物の受け入れに関する住民への情報提供が不足していたことなどが明らかとなりました。
 そのため、都は、災害時における動物愛護管理対応マニュアルに、飼養場所を設定する際の留意点や関係者間で共有すべき情報、住民に知らせるべき情報やその周知方法などを具体的に盛り込み、今月中に、調査結果とあわせまして全区市町村に提供いたします。
 今後、区市町村の担当者との会議等でマニュアルをさらに周知いたしまして、災害時の同行避難の受け入れ体制整備を働きかけてまいります。

○まつば委員 動物との共生社会において、都立公園のドッグランの要望があります。
 平成二十九年五月に、東京都の公園審議会より、都立公園の多面的な活用推進方策について、都は答申を受けております。この答申を受け、木場公園や赤塚公園などにおいて、飲食店などの便益施設を設置することで、公園利用者の利便性を高める多面的活用プロジェクトが進められていると聞いております。
 また、民間事業者のノウハウやアイデアを活用して都立公園の魅力や価値を高めるため、マーケットサウンディング調査を実施したとのことであります。こうした新たな取り組みについては、引き続き積極的に進めていただきたいと思います。
 さて、このマーケットサウンディング調査では、民間からの多くの事業提案の中に、ドッグランもあったと聞いております。都立公園のドッグランは、現在十二公園に設置されています。都は、設置目標の十二公園に達したため、新設の設置はできないとしております。
 しかし、犬を人生のパートナーとする生き方も広がり、ドッグラン設置への要望がございます。また、設置されたドッグランの中では既に十五年ほど経過したところもあり、地面やフェンスの老朽化も問題となっています。また、管理運営もボランティア団体が担っているところも多いわけですが、近ごろ利用者とのトラブルなども増加傾向にあり、ボランティアの負担も限界に来ている状況があります。
 都立公園において、ドッグランを新設してほしいとの要望や管理運営を担うボランティア団体の負担などの状況を考え、新しい展開を検討すべきと考えますが、所見を求めます。

○三浦建設局長 都立公園のドッグランは、平成十五年に八公園で設置を計画し、その後、都内全域をカバーするため四公園を追加いたしまして、平成二十六年、桜ヶ丘公園での設置により、十二公園全てが完了いたしました。
 ドッグランの設置に当たりましては、設置可能な場所の確保、駐車場の確保、ボランティア団体等の協力、近隣住民の理解の四つを全て満たすことを条件としております。
 管理運営につきましては、利用登録手続や簡易な維持補修を公園管理者が行い、利用指導はボランティアの協力を得て行っておりますが、現在、老朽化やボランティアの高齢化などの課題があると認識をしてございます。
 今後、安定的な管理運営を持続し、新たなニーズに対応するため、民間活用や区市との連携なども含め、ドッグランのあり方について検討してまいります。

○まつば委員 私の地元杉並区でも和田堀公園にドッグランをつくってほしいとの要望を長年受けております。しかし、新規の設置はできないといわれ続けてまいりました。ただいま新しい前向きな答弁を得ました。新たな手法でドッグラン設置ができるよう、強く要望をさせていただきます。
 次に、住宅施策について質問いたします。
 都内には、空き家が共同住宅を含め約八十一万戸、そのうち朽ちていたり破損のない賃貸用の空き家は約五十一万戸あります。これまでも空きシェアハウスの活用を提唱してきましたように、積極的に活用していくことが求められています。また、子育て世帯等の住宅確保要配慮者は多数存在しております。空き家活用の一環として、セーフティーネット住宅の供給をふやしていくことが重要と考えます。
 こうした状況のもと、都が区市町村と連携をして、空き家対策やセーフティーネット住宅の供給を強力に支援してきていることは承知をしておりますし、評価もしております。
 一方、空き家を改修して供給されるセーフティーネット住宅については、その重要性から、空き家利活用の先導モデルとして、都が民間事業者へ直接支援していくべきと考えますが、見解を求めます。

○榎本住宅政策本部長 お話にございましたように、空き家活用の一環といたしましても、セーフティーネット住宅の登録を促進するということは重要でございます。
 そこで、都は来年度から、地域の実情を把握している区市町村等と連携したこれまでの取り組みに加えまして、民間事業者等が行う空き家対策の取り組みに対し、直接財政支援を行うモデル事業を新たに開始する予定でございます。
 その中で、空き家を改修して、子育て世帯、ひとり親世帯や外国人就労者向けのセーフティーネット住宅として登録する場合に、バリアフリー改修、間取り変更等の費用の一部を都が貸し主等の民間事業者に直接補助し、支援することとしております。
 今後、このモデル事業を展開していくことによりまして、セーフティーネット住宅、東京ささエール住宅の登録、供給促進と空き家の積極的な利活用につなげてまいります。

○まつば委員 ぜひとも積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、審議会等への女性委員の任用促進について質問をいたします。
 平成三十年三月の予算特別委員会におきまして、私は、東京都防災会議の女性委員の登用の件、また、各局別の審議会等への女性委員の任用率について質問をいたしました。その際、小池知事からは大変力強いご答弁をいただきました。
 このグラフをごらんいただきたいと思いますけれども、この任用率が大変伸びてきております。上の点線は三五%という目標でございます。防災はもとより、あらゆる場における企画、方針、意思決定の段階に女性の参画を拡大していくこと、これは大変重要でございます。とりわけ、都の政策形成の場である審議会等への女性委員の参画は極めて重要であります。審議会等への女性委員の任用率三五%を早期に達成する、こういう目標に向けた取り組み、そして今後の展開につきまして、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 東京の未来を切り開く原動力となりますのは人だと先ほども申し上げました。これは女性も男性もあらゆる人が輝くことで、東京の未来がまた輝くということでございます。
 しかし、残念ながら、今の社会、女性の力が十分に生かされているとは申せません。
 政治、経済、地域などあらゆる場におけます意思決定に、女性の参画が広がっていくことによって、さまざまな分野で男女双方の視点が反映される、社会全体の生産性が高まって、誰にとりましても住みやすい社会が実現すると考えております。
 このため、都は、審議会等の女性委員の任用率の向上に向けまして、庁内の意識改革を一層進めるとともに、審議会ごとに現状の把握と要因の分析を行いまして、関係団体に対しましての協力要請などの取り組みを進め、令和三年度には目標の三五%を達成できる見通しでございます。先ほどお示しいただいたグラフは、たしか現時点では三一・八%という数字かと存じます。
 さらに、未来の東京戦略ビジョンにおきましては、二〇三〇年に向けた政策目標といたしまして、都が設置する審議会等におけます任用率を男女それぞれが構成員の四〇%以上とすることを掲げております。
 この新たな目標の達成に向けましては、各局におけます主体的な取り組みを促進するとともに、関係団体の協力も得ながら、全庁挙げて女性委員の任用率向上を加速させてまいります。

○まつば委員 知事のリーダーシップのもと、生活文化局を中心に各局ともご努力をしていただいていることが、この数字を見て明らかになりました。女性も男性も活躍できる社会を目指し、取り組みをさらに進めていただきたいと思います。
 次に、環境政策について伺います。
 防災備蓄食品の有効活用についてであります。
 大きな災害がなく、幸いにも利用されなかった防災備蓄食品を有効活用することを私は提案し、環境局が中心となって、賞味期限が迫った備蓄食品のマッチングシステム構築を進めてきました。
 今年度、都は、防災備蓄食品の有効活用に向け、発生量の調査や需要側であるフードバンクへのヒアリングを行ったと聞いております。ヒアリングの中で、フードバンクでは、輸送コストの負担が困難であることなどの意見があったと聞いております。
 都が今年度行った調査で得られた区市町村やフードバンクからの貴重な意見を生かし、防災備蓄食品の有効活用に向けた仕組みを構築していく必要があると考えますが、所見を求めます。

○吉村環境局長 都は、今年度の調査で明らかになった課題の解決に向け、防災備蓄食品の効率的な保管、輸送、受け取り方法等について、区市町村との連携のもと、効果的な活用の仕組みを構築してまいります。
 また、防災備蓄食品の品目の多様化や保管期間の分散化などのフードバンクのニーズを区市町村へ情報提供してまいります。あわせて、フードバンクが必要なときに情報を得られるよう、各自治体が保有する防災備蓄食品の種類、量、賞味期限等の情報がウエブ上で一覧で把握できるとともに、在庫情報を定期的にメール等で配信するなど、プッシュ型できめ細かな情報発信が可能なシステムの構築を進めてまいります。
 今後、需要側と供給側の双方のニーズに合った仕組みの構築に向け、関係者と協議を進めてまいります。

○まつば委員 社会的養護について一点質問させていただきます。
 里親等の委託を推進するに当たっては、安心して養育ができるよう、里親に対する支援も重要であります。我が党は、このコーディネート役となるフォスタリング機関の設置を以前より求めてきたところであります。里親への支援については、経験豊かな専門性を持つ外部機関に委託することも有効であると考えます。
 コーディネート役となるフォスタリング機関を全ての児童相談所で実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 里親等への委託を推進し、質の高い里親養育を実現するためには、里親と長期にわたって信頼関係を築きながら、個々の里親の強みや課題を理解した上で支援を行うことが重要でございます。
 都は来年度から、里親のリクルート及びアセスメント、里親への研修、児童と里親のマッチング、養育の支援といった一連の業務を包括的に民間機関に委託するフォスタリング機関事業のモデル実施を多摩児童相談所の所管地域で行います。
 今後、民間機関と児童相談所が連携しながら里親を支援できるよう、令和六年度までに都の全ての児童相談所での実施を目指す考えでございまして、モデル実施の状況を踏まえながら、一貫性、継続性のある里親支援体制を構築してまいります。

○まつば委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、先ほども知事から、子供の未来を考える新しい会議体をつくると、こういうお話もございました。子供たちの未来が明るいものになりますように、取り組みを東京都一丸となって進めていただくことを要望し、質問を終わります。(拍手)

○中山副委員長 まつば多美子委員の発言は終わりました。

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