予算特別委員会速記録第四号

   午後五時三十五分開議

○中山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 古城まさお委員の発言を許します。

○古城委員 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
 休校中の家庭学習を支援するために、LINE上で補助教材動画を閲覧できるサービスなど、パソコンやスマートフォンを活用したオンライン教育が本格化しています。
 そこで、子供たちが学習支援サービスを利用しやすいように、先般開設された対策サイト等も活用し、積極的に情報発信していくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を求めます。

○宮坂副知事 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、都内公立学校が臨時休業となる中、多くの児童生徒が家庭で学習に取り組める環境の充実は急務の課題であります。
 私は、未来を担う児童の学びの機会をとめることのないよう、情報技術の活用により、このようなときでも最良の学習環境を提供することが重要であると考えております。
 中国では、授業はとめるが学びはとめないというスローガンを掲げて、オンライン教育を一気に展開し、ある大手企業では、一社で三百都市、五千万人の生徒にオンライン教育を提供しているというような事例も生まれております。
 都といたしましても、ご家庭にいる児童生徒の皆さんに学びを届けるべく、積極的にオンライン教育を展開していきたいと考えております。
 今回の臨時休業に当たっては、都の教育委員会で、ホームページ上に児童生徒の学びを支援する新たなサイトを開設したと聞いております。
 新型コロナウイルス感染症対策の特設サイトにおきましても、教育委員会と連携し、学習支援アプリなど、児童生徒や保護者の方へ積極的な情報提供を進めてまいります。
 未来をつくる子供たちに未来の学び方を届けるのは、今を生きる我々大人の責任でございます。私は、その鍵を握るのは情報技術だと信じております。
 今回の取り組みも一つの糧とし、今後、世界水準の情報技術を活用した教育を届けることができるよう、技術面からしっかりとサポートをしていく決意でございます。

○古城委員 未来の宝、社会の希望である子供たちへの宮坂副知事の励ましを受けとめさせていただきました。
 ソサエティー五・〇、スマート東京には、これまでの情報社会が抱える課題、例えば障害の有無や年齢などによって得られるメリットに格差が生じる点など、これらを克服し、誰ひとり取り残さない都市東京を実現する使命があると考えます。これからもしっかりと取り組んでいただくよう要望いたします。
 続いて、就職氷河期世代支援について質問します。
 就職氷河期世代が直面する悩みは、就労、社会保障、健康、医療、住宅、家族、親の介護、福祉、人間関係、心の悩み、金銭、暮らしなど多岐にわたっています。
 他方、一人一人にとっては、あすにでも解決しなければならない危機的な状況から、将来の漠然とした不安まで千差万別です。
 さらに、四十代に入ると若年支援の枠組みから外れてしまうことが多くなります。私はこの世代の一人として、同世代から相談を伺い、そして、その思いを訴え、声を届けてまいりました。これからもそのように努めてまいりたいと決意をしております。
 就職氷河期世代が長期間、厳しい現実に直面しながら奮闘してきたことを重く受けとめ、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、社会を挙げて応援していくべきであります。
 そこで、就職氷河期世代を初め、誰もが活躍できる社会の実現についての小池知事の所見と、あわせて令和二年度予算案に込めた思いについて答弁を求めます。

○小池知事 都市の活力の源泉は人でございます。東京が将来にわたって持続的な発展を遂げるためには、時代を切り開く、人が輝く社会を実現していくことこそが重要でございます。
 こうした思いから令和二年度の予算案におきましては、誰もが輝き、活躍できる社会の実現を施策の柱の一つに据えまして、就職氷河期世代への支援、女性の活躍推進など、総額三百二億円を計上いたしております。
 就職氷河期世代には、非正規雇用が長期間続いたことなどによりまして、スキルアップの機会に恵まれないことに加えて、経済的な困難に直面している方が数多いというわけでございます。
 こうした状況を踏まえまして、企業の現場でスキルを磨いて正規雇用として就職するための後押しや、採用後の職場定着に取り組む企業に対する支援を新たに予算案に盛り込んでおります。
 こうした取り組みを初めとして、人に寄り添った施策を積極果敢に展開をしていくことで、誰もが自分らしく生き生きと活躍して、未来へと発展し続ける都市東京をつくり上げてまいります。

○古城委員 就職氷河期世代が四十代から五十代に差しかかろうとする今この時期にこそ、就労支援の取り組みを強化すべきです。
 都はこれまでも、東京しごとセンターにおいて、正規雇用を目指した支援プログラムを実施してきましたが、就職氷河期世代の就労を後押しする来年度の展開について見解を求めます。

○村松産業労働局長 都は、就職氷河期世代の安定した就労を支援していくため、しごとセンターにおいて、セミナーや職務実習等により実践的な職務スキルを身につけ、正規雇用を目指す就労支援プログラムを、職務経験やスキルに応じた三つのコースに分けて実施いたしまして、昨年度は四百八十一名の方の正規雇用を実現いたしました。
 来年度はこのうち、受講希望が多い短期の支援コースの事業規模を百二十名拡充いたしまして、就職氷河期世代の方の正規雇用化を一層促進してまいります。

○古城委員 都議会公明党の代表質問を受けて、都は来年度、新たに就職氷河期世代が派遣社員としてスキルを磨き、派遣先企業での正規雇用を支援する事業を開始するとしています。
 そこで、この事業の具体的なスキームを明らかにするとともに、知事答弁で示された派遣期間中の賃金と交通費の支給について、具体的にどの程度支給されるのか、あわせて見解を求めます。

○村松産業労働局長 都が来年度から開始いたします新たな支援事業は、就職氷河期世代の方がさまざまな業種の中から最大三社まで企業を選択し、派遣社員としてそれぞれ約一カ月間、実践的な職務スキルを磨きながら派遣先企業で正規雇用を目指す仕組みとなってございます。
 本事業では、派遣先企業での円滑なスキルの習得を支援するため、eラーニングにより、業界に関する知識やコミュニケーション技法などの学習も可能となっております。
 また、派遣期間中に支給する賃金は勤務先の派遣社員と同等の額といたしまして、交通費につきましては、勤務先までの通勤に必要な費用を支給してまいります。

○古城委員 一方で、働くことへの自信や具体的な方向性を定めるための機会もつくっていかなければ、働きたいけれど働けない、このような状態にある方々を支えていくことはできません。
 さらに、自分には受けられる支援はないと思い、望まぬ非正規就労を続けている方、そもそも行政による正規就労に向けた支援事業の提供を知らない方など、現在のプログラムではカバーし切れていない方々もいます。
 来年度の支援プログラムの実施に当たっては、就職氷河期世代に情報が届くよう周知すべきです。
 そのため、支援事業を幅広く広報するとともに、他のプログラムに埋もれることなく、就職氷河期世代に向けた支援であることがしっかりとわかるよう、東京しごとセンターの区部と多摩のそれぞれに就職氷河期世代向けの専用窓口を設置し、掲げるなど、PRの面でも工夫が必要と考えますが、都の見解を求めます。

○村松産業労働局長 就職氷河期世代の方の中には、不安定な雇用、スキルアップの機会の喪失など、非正規での就労に伴って生じる問題につきまして十分に認識されていない方々や、しごとセンターで実施している支援プログラムなど、都が提供する就労支援サービスに関する情報が届いていない方もおられます。
 このため、都は来年度、氷河期世代の非正規雇用の方などを対象といたしまして、正規雇用での安定した就労を考えるきっかけを提供するため、将来の生活設計やキャリアアップ等をテーマといたしました新たなセミナーを開催いたします。
 また、しごとセンターが行う就労支援の情報を幅広く届け、この世代の方々が支援サービスにアクセスしやすくなるよう、ハローワーク等と連携した周知やSNSを活用したPRを実施するとともに、氷河期世代向けの就労支援の専用窓口を区部と多摩に設置してまいります。

○古城委員 私はこれまで、就職氷河期世代を対象とする都職員採用について、都との意見交換に加えて、昨年八月には都議会公明党の同僚議員とともに愛知県庁を視察し、既に導入されている就職氷河期世代を対象とする採用試験について、つぶさに実情を調査してまいりました。
 愛知県では、現在の職業や勤務形態等にかかわりなく、年齢要件さえ満たしていれば誰でも受験でき、平成二十九年度から今年度までの三年間の最終合格者数はいずれも八人で、競争倍率は毎年三十倍を超えています。
 都職員の年齢構成は、三十代から四十代が少ない特徴がありますが、就職氷河期世代には数多くの人材が埋もれています。
 こうしたことも踏まえて、就職氷河期世代を対象とする都職員採用においては、募集人員は十名を超える規模とし、高校卒業程度に加えて、大学卒業程度の採用枠も設け、就職氷河期世代の人材を幅広く求めるべきと考えますが、見解を求めます。

○遠藤総務局長 来年度に実施を予定しております就職氷河期世代を主な対象とする採用試験は、事務職を対象に実施することとし、受験資格については、四十歳前後が少ないという都職員の年齢構成なども踏まえまして、三十五歳から五十歳までを年齢要件とする方向で検討しております。
 また、受験対象とする方々の学歴、経歴などがさまざまであることから、高校卒業程度に加えまして、大学卒業程度の試験区分においても実施をしてまいります。
 その上で採用予定者数については、職員の退職動向や職員定数の状況等を勘案し、適切な水準を確保してまいります。
 就職氷河期世代の方々が都政の幅広いフィールドで安定的に働くことができるよう、人事委員会等とも連携して採用試験を実施してまいります。

○古城委員 現在就労されていない方や非正規雇用で働いている方などを対象に、正規就労につなげていく支援策も重要です。
 そこで、都庁においても、期間内に正規雇用として働くための基礎を培いながら、就職に必要な力を高めることができる形態の採用も実施するべきと考えますが、見解を求めます。

○遠藤総務局長 就職氷河期世代の方々は、不安定な就労が続いたり、長期にわたって職につけていなかったりするなどにより、正規雇用に必要なスキルを身につける経験を得られなかった方も多いと考えております。
 このため、こうした方々を対象に都庁の職場を活用してスキルを磨き、就労経験を積む機会を提供し、民間企業等への就職につなげてまいりたいと考えております。
 具体的には、正規雇用での就労に向けた支援としての観点から、就職氷河期世代を主な対象とした非常勤職員の採用を来年度実施してまいります。
 常勤職員と非常勤職員の二つの採用を実施いたしまして、公務職場を活用することを通じて、就職氷河期世代の安定的な就労に取り組んでまいります。

○古城委員 バブル崩壊後の就職氷河期だけでなく、二〇〇八年秋のリーマンショック以降には、より厳しい超氷河期の様相を呈しました。再びこうした世代を生むことは許されません。
 若者、青年世代の生活が安定し、希望が持てる社会をつくらなければ、日本の活力が失われてしまいます。
 都議会公明党は、先ほど午前中に、小池知事に対して、新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望を行いました。その際、感染拡大により、企業にも影響が広がる中、学生の内定取り消しが出てきており、都として適切な対応をとることを求めました。活力を生み出す成長戦略を示すなど、知事のさらなる取り組みを求めます。
 続いて、自殺対策について質問します。
 現代は、生きる道が閉ざされてしまう状況に、いつ、誰が、何をきっかけにはまり込むのかわからない社会であるとの指摘があります。
 近年の東京では、一家の大黒柱、社会の屋台骨である年代層の自殺や、将来ある若者の自殺など、極めて憂慮すべき状況が続いています。
 私の地元新宿区では、自殺死亡率が全国や都に比べて高い状況が続き、年齢別でも男女ともに三十九歳以下が約四割を占めています。
 現下の社会情勢も鑑みれば、地域の実情に応じ、対策の有効性や優先順位などを検討し、誰もが生きる道を選択できるよう、きめ細かく支援することが喫緊の課題です。
 誰ひとり取り残さない都市東京を目指して、区市町村や関係機関と連携して速やかに対策を進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。

○小池知事 自殺の背景には、健康問題や経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っております。
 自殺対策は、社会的取り組みとして実施することが重要でございます。
 このため、都といたしまして、福祉、医療、経済、教育等の関係団体や民間団体、有識者から成る自殺総合対策東京会議を設けまして、多様な分野が幅広く連携しながら、さまざまな施策を推進しているところでございます。
 また、地域での実践的な取り組みを推進するために、東京都地域自殺対策推進センターを設置いたしまして、対策を支える人材の育成や区市町村の計画策定を支援いたしております。
 さらに、毎年三月と九月の自殺対策強化月間におきましては、区市町村や民間団体等と連携をいたしました普及啓発活動を展開するとともに、電話相談、LINEによる相談などの相談体制を強化いたしております。
 今後も、区市町村、関係団体や民間団体と連携をいたしまして、支援を必要とする方々の心と命のサポートに取り組んでまいります。

○古城委員 私は、二〇一八年三月の一般質問で、都の相談窓口においても、多くの若者が利用するSNSの活用を訴えるとともに、わかりやすく相談しやすい体制を提案しました。
 昨年六月の一般質問では、相談者の状況を正しく把握しにくい点や相談時間の延長などの検討課題も指摘しました。
 今年度までの実施を踏まえ、SNS相談の体制充実と質の向上を図り、都民にとって相談してよかったと思えるものにしていく必要があると考えますが、福祉保健局及び都教育委員会の見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都は、若年層の自殺対策を強化するため、今年度からLINEを活用したSNS自殺相談を本格実施し、年中無休で、一日平均約二十人の方からの不安感、学校進路、家族問題などについて相談員が対応してございます。
 この相談員向けのマニュアルにつきまして、平成二十九年度から実施した試行相談も含めて、これまで蓄積した対応事例を活用して充実させるとともに、研修や事例検討を行うなど、相談の質の向上を図っております。
 来年度は、利用者の相談理由や心の変化等を相談直後に尋ねるアンケートシステムを導入し、その回答を分析した上で相談員のスキルアップに活用いたします。
 今後とも、若い世代がよりアクセスしやすくなるよう、LINEを活用した自殺相談を一層わかりやすく相談しやすいものとし、相談事業のさらなる充実を図ってまいります。

○藤田教育長 SNS教育相談は、文字のみで行いますため、相談員は、送られてきた文言から子供の不安や悩みを敏感に感じ取って適切に返信できるよう、対応力を向上させることが求められております。
 そのため、都教育委員会は、本年度から通年で実施しておりますSNS教育相談におきまして、子供の心情に寄り添った対応ができるよう、必要に応じて、経験豊富な教育相談センターの心理職等が返信内容等について検証、助言する体制を構築いたしました。
 また、同センターが蓄積してきた相談の手法を相談員の研修に活用するなど工夫をしてまいりました。
 今後、相談終了時にアンケートを配信し、子供がその場で回答する機能を新たに加えることにより、相談員とのやりとりに対する子供の満足度を把握し、SNS相談の質の向上を図ってまいります。

○古城委員 教育相談について、電話や面接による相談とSNS相談が相互の連携を強化して、全体の質を一層高めるべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。

○藤田教育長 SNS相談は匿名性が高いため、気軽に相談できる一方、SNSのやりとりだけでは解決が難しい重篤な相談が寄せられることがございます。
 このような場合、相談員は丁寧なやりとりを繰り返した上で、教育相談センターなどの関係機関に電話で直接相談するよう促しております。
 来年度はこうした対応がより効果的に行えるよう、相談センターに高度な専門性を有するSNS教育相談支援員を配置をいたします。
 支援員は、困難な事例に対する支援策をSNS相談員に示すとともに、中高生特有のコミュニケーションのあり方など、SNS相談から得られた知見を電話相談員や面接相談員と共有し、相談に生かしてまいります。
 これらの取り組みにより、SNS、電話、面接などの教育相談窓口の一体的な運用を図り、悩みや不安を抱える子供たちを適切な支援につないでまいります。

○古城委員 私は、若ナビαでのSNSによる相談を繰り返し訴えてまいりました。
 さきの第四回定例会では、都議会公明党の代表質問に対して、検討を進めていくとの答弁がありましたが、一日も早く実施すべきと考えます。見解を求めます。

○國枝都民安全推進本部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、自分自身のことや仕事関係、対人関係など、若者のさまざまな悩みや不安を社会福祉士などの専門家が受けとめ、若者の状況に応じて、就労や保健、医療など適切な支援機関につなぐ努力を重ねてまいりました。
 相談に当たっての心理的なハードルを下げ、若者が気軽に若ナビαを利用できるようにするためには、ご指摘のとおり、これまでの電話やメール、来所による相談に加え、若者になじみのあるコミュニケーションツールを活用していくことが有効であると認識しております。
 このため、本年六月より、月曜日から土曜日の午前十一時から午後八時まで、若ナビαにおけるLINE相談を開始いたします。
 相談方法を充実することで、より多くの若者の相談を受けとめ、適切な支援につないでまいる所存であります。

○古城委員 次に、未来の東京戦略ビジョンに関連して質問いたします。
 来月四月に名称を変更される東京都立大学は、世界の課題解決に貢献する最高峰の大学に進化させると位置づけられました。
 昨年の一般質問で提案しましたが、改めて、東京都立大学は、国連アカデミック・インパクト、UNAIに加盟し、SDGsの達成に向けた取り組みをさらに推進するとともに、その取り組みを都民にアピールすべきと考えますが、見解を求めます。

○遠藤総務局長 都立大学は、都が設立した高等教育機関として、大都市が抱える課題の解決と持続的発展に貢献するため、多彩な研究や人材育成に取り組んでおります。
 これらの多くは、国連が採択した持続可能な開発目標であるSDGsの達成にもつながるものであり、今年度は二十を超える国と地域から学生を招き、気候変動や多様性について議論する国際シンポジウムを開催するとともに、大学コンソーシアムを立ち上げ、日本全体の子供の貧困状況の調査研究に着手したところでございます。
 今後、大学のこうした取り組みをさらに推進するとともに、対外的な発信を強化してまいります。
 このため、来年度の早い時期に国連アカデミック・インパクトに加盟し、広く都民や受験生に周知していくことで、新生都立大学のプレゼンスの向上を図ってまいります。

○古城委員 次に、新宿グランドターミナルについて質問します。
 私の地元新宿駅周辺について、昨年、土地区画整理事業や東西の駅前広場の都市計画決定がなされましたが、人に優しいまちづくりの第一歩と考えます。
 この実現に向けた今後の取り組みについて見解を求めます。

○佐藤東京都技監 都は、地元区や鉄道事業者と連携し、更新期を迎えた新宿駅を駅ビルや駅前広場と一体的に再編することといたしまして、新たなまちづくりの視点として、歩行者中心で交流やにぎわいを生む空間への転換を掲げております。
 このため、線路上空にデッキを新設し、東西のまちをつなぐとともに、駅前広場を人中心に再構成し、また、バリアフリー化を推進し、人の円滑な移動を図ってまいります。
 こうした整備を着実に進めるために、駅の改良や駅ビルの機能更新と連携しながら、土地区画整理事業を実施することといたしました。
 昨年十二月に都市計画を決定したところでございまして、早期の事業化を目指し、来年度は事業計画の策定などを行ってまいります。
 引き続き関係者と連携し、誰もが利用しやすい機能的な新宿グランドターミナルへの再編に取り組んでまいります。

○古城委員 次に、外堀の水質改善について質問します。
 都議会公明党は、水の都東京の再生に向けて、皇居の内堀や外堀、日本橋川など都市部の河川に、かつて通水していた玉川上水を再び活用する水と緑の回廊の創出を訴え、さまざまな提言を行ってまいりました。
 これらの提案を受け、外堀の水質改善が未来の東京戦略ビジョンに明記されたことに加えて、さきの我が党の代表質問に対し、知事から力強い答弁があったことも踏まえて、新宿選出の東京都議会議員として、地元の視点から関係各局に質問をいたします。
 外堀の水質改善には、現在、都が着手している事業を着実に進めていくことも重要です。
 そこで、外堀に流入している雨の降り始めの特に汚れた下水を貯留するための施設整備の取り組み状況と貯留の開始見込みについて、あわせて見解を求めます。

○和賀井下水道局長 下水道局では、令和六年度から強化されます下水道法施行令の雨天時放流水質基準を達成するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めております。
 お話の外堀の流域では、合計で一万六千六百立方メートルの貯留施設を整備することとしておりまして、既に一千八百立方メートルの貯留管を稼働させております。
 現在は、残る貯留施設として、地下約五十メートルの大深度に、直径三メートル、延長約二・三キロメートルに及ぶ大規模な貯留管や取水管の整備を進めておりまして、令和五年度末の貯留開始を予定しております。

○古城委員 厳しい施工条件のもと、大規模な貯留施設の整備が着々と進んでおり、外堀に放流される汚濁負荷量の削減効果に大いに期待をいたしますので、今後も着実に施工管理を行い、確実に完了させるよう要望いたします。
 一方で、この貯留施設が完成すると、外堀に流れ込む水の量がより少なくなってしまうともいえます。その結果、外堀の水が滞留し、夏場を中心にアオコ発生のリスクが高まることから、抜本的な対策を急ぐ必要があります。
 まず、外堀のしゅんせつ工事の水質改善効果と進捗状況について見解を求めます。

○三浦建設局長 都は、東京二〇二〇大会の開催に向けまして、外堀の水質を改善するため、牛込濠などの四つの堀において、たまっているヘドロを除去するしゅんせつを行っており、平成二十九年十月から着手をし、令和元年十二月に完了いたしました。
 外堀は閉鎖性水域であることから、湖や沼などの水質汚濁の程度を示す化学的酸素要求量、CODの数値が指標とされておりまして、地元区が毎年、年四回調査を実施しております。
 その結果、しゅんせつ実施の前後を比較すると、年平均値が一リットル当たり約十六ミリグラムから約九ミリグラムに減少しており、一定の水質改善が確認をされております。

○古城委員 こちらのパネルをごらんください。上の写真が二〇一七年八月、市ヶ谷濠の状況であります。CODの値が改善されたということは、堆積物を相当撤去できたのだと思います。下が、市ヶ谷濠のしゅんせつ、こちらがしゅんせつ船でございます。八月の状況であります。
 しかしながら、次のパネルをごらんください。しゅんせつ後の堀の一つである新見附濠、昨年の八月にもアオコがこのように発生をし、したがって、この夏にもアオコの発生が懸念をされます。
 東京二〇二〇大会を控えて、東京のシンボルである外堀の状況をこれ以上放置しないよう、また、しゅんせつ工事の効果を促進するために速やかに追加対策を講じるべきと考えますが、見解を求めます。

○三浦建設局長 外堀につきましては、東京二〇二〇大会に向けまして、国指定史跡にふさわしい良好な環境となるよう、水質の改善に努めてまいりました。
 お話のしゅんせつに加えたさらなるアオコ対策といたしましては、即効性のある水質改善処理剤の散布など、外堀に適応可能な対策を、他の水域での実績を考慮し、検討してまいります。

○古城委員 都議会公明党は、導水方法について、玉川上水や、今後廃止となる工業用水道施設の管路を活用すべきと提言してきました。
 このうち、玉川上水の下流部に当たる区部、この区間はほとんどが暗渠であり、通常は使用されていませんが、この区間を活用するに当たってどのような課題があるのか、見解を求めます。

○中嶋水道局長 水道局が所管いたします玉川上水の下流部は、杉並区内の浅間橋から四谷大木戸までの約十三キロメートルであり、代田橋駅や笹塚駅付近の約〇・五キロメートルが開渠、残りの約十二・五キロメートルは暗渠となっております。
 この玉川上水の下流部を導水路として活用する場合、開渠部につきましては国の史跡であることから、景観に配慮した工法で通水に耐えられるように、のり面を保護することが課題となります。
 また、暗渠部につきましては、新宿駅付近で複数の鉄道を下越ししていることから、水路に起伏があり、土砂などが堆積しやすいことや、新宿駅西側付近から下流側では下水道として利用しており、維持管理などの面で課題がございます。
 さらに、暗渠部の構造物自体も老朽化が進行していることから、その対策も課題となっております。

○古城委員 外堀への水源が確保され、その区間に導水することが決まっても、調査の結果により大規模な補修が必要となれば、導水可能となる時期は遅くなる一方であります。
 こうしたことを防ぐ観点からも、導水路として活用する上で課題がある旨の答弁があった玉川上水の下流区間について、速やかに調査、検証を行うべきと考えますが、見解を求めます。

○中嶋水道局長 外堀の水質改善につきましては、未来の東京戦略ビジョンに位置づけられました都の重要な政策テーマでございます。
 このため、現在、外堀の水質改善に向けましては、関係五局による庁内検討会におきまして、連携して検討を進めております。
 ご指摘の玉川上水の下流部の活用につきましては、現在、庁内検討会におきまして、事業スキームや施設の調査等の検討に当たっての役割分担などを関係各局で整理しており、その上で導水路としての活用について検討してまいります。

○古城委員 外堀浄化プロジェクトの事業化の成功の鍵は、関係各局が協力して進めていくことであると考えております。今後とも、事業の進捗について関係各局に対して確認させていただくことを申し添え、次の質問に移ります。
 順番を入れかえまして、キャッシュレスと商店街について質問いたします。
 私の地元新宿区のある商店街では、店舗に一台のデジタル端末を設置し、QRコード決済を導入するだけでなく、翻訳サービスによる外国人観光客の買い物支援など、商店街の付加価値を高める取り組みをあわせて行うことでキャッシュレス化を推進しています。
 商店街のキャッシュレス化は、工夫次第でさまざまな可能性が広がる取り組みであり、商店街での導入モデルを広く公募し、具体的な事例を創出するとともに、広く発信していくべきと考えますが、見解を求めます。

○村松産業労働局長 都はこれまで、商店街のキャッシュレス化を推進するため、決済用端末機器の導入に対する助成を行うとともに、消費税導入に伴う国の支援内容を掲載したリーフレットを広く事業者へ配布するなど、その普及に努めてきたところでございます。
 来年度は、キャッシュレス導入のモデルとなるような商店街の事業計画を公募により選定し、効果的な導入手法の検討から導入後の課題解決まで一貫したサポートを行ってまいります。
 具体的には、ハンズオンで支援を行うコーディネーターの派遣や機器導入に加え、地域にキャッシュレス決済を浸透させるセミナーなど、商店街独自の取り組みに要する経費について、十分の九を、一千万円を上限に補助いたします。
 さらに、モデル事例の検討プロセスや成果などを掲載した事例集を作成するとともに、メディア等を活用し、広く情報発信し、商店街の意欲的な取り組みを促してまいります。

○古城委員 東京二〇二〇大会について質問いたします。
 オリンピック・パラリンピックの両聖火リレーや、パラリンピックマラソンを初め、ロードレース競技は、沿道から多くの声援が期待されます。
 観客が安全・安心に大会を楽しめるよう、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するとともに、正確な情報を発信していくべきと考えますが、見解を求めます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 国内外から大会を訪れる多くの観客が安心して競技を観戦できる環境を整えることは重要でございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症に対応するため、速やかに対策本部を立ち上げまして、現在、集中的な取り組みを実施しております。
 また、わかりやすく正確な情報の多言語での発信に加え、特別広報チームの設置によりまして、広報体制の一層の強化を図っているところでございます。
 組織委員会におきましても、聖火リレーの実施に当たりまして、ランナーや観客等に感染が拡大しないよう、対策の基本的な考え方をまとめております。
 都としては、引き続き集中的に対策を講じるとともに、関係機関と連携して、国内外に向け、正確な情報発信を積極的に行いまして、誰もが安心して楽しめる大会の実現に向け、万全を期してまいります。

○古城委員 さて、パラリンピック聖火の炎は、実際の炎に限らず、SNS等を活用したデジタルの炎も認められているそうであります。
 そこで、このようなデジタルの炎など最新技術も活用して、多くの都民がパラリンピック聖火リレーの採火に参画し、間近で感じることができる機会にすべきと考えますが、見解を求めます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 パラリンピックの聖火リレーは、パラリンピックを応援する全ての人の熱意が一つに集まった聖火が東京のまちを駆け抜けるものであり、聖火ランナーを初め、多くの方々が大会に参画できる貴重な機会でございます。
 パラリンピックでは、ギリシャで採火されるオリンピックと異なり、全国の自治体で採火ができますことから、都も各区市町村に採火の実施を呼びかけているところでございます。
 全国の自治体では、木をこすり合わせた摩擦熱や太陽光、最新の技術を活用した火起こしなどさまざまな手法を検討しておりまして、都は区市町村に対しまして、これらの情報を提供するとともに、区市町村それぞれの取り組みを支援してまいります。
 今後とも、ランナーや沿道での応援に加え、採火への参加を通しまして、多くの都民がパラリンピック聖火リレーに参画し、長く記憶に残るものとなるよう取り組んでまいります。

○古城委員 私は、昨年十一月八日、都議会特別委員会において、東京二〇二〇大会の掉尾を飾る九月六日のパラリンピックマラソンを、東京が一丸となって全力で応援しようと訴えました。
 その質疑で、コースのコンセプト、見どころ、IAAFやWPAの評価、コース沿道の自治体や地域の取り組み、実施される三クラス五レースの魅力、パラアスリートからの期待を確認、紹介をいたしました。
 アスリートが新国立競技場、オリンピックスタジアムから割れんばかりの拍手で送り出され、沿道から、選手の名前とともに頑張れ、頑張れという熱い応援を受け、東京を駆け抜けていく、このような最高のおもてなしを実現し、広く後世に語り継がれるようにしたいと強く願っております。
 このコースの沿道であり、私の地元新宿区の商店会、町会は、おそろいのTシャツを作製し、レース本番時には皆でこれを着て、沿道から各選手に声援を送りたいと心待ちにしております。
 そこで、誰もが手軽に、競技情報に加えてコースやその沿道の魅力などの情報を得たり、手元のスマートフォンやカメラを活用して思い出に残したりできる取り組みが重要です。
 オリンピック・パラリンピックの大会成功を期して、パラリンピックマラソンコース沿道の自治体や地域等と連携し、観戦促進に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 東京二〇二〇大会の最終日を飾るパラリンピックマラソンを多くの観客の記憶に残るものとして盛り上げていくためには、地域等と連携しまして観戦促進を図っていくことが重要でございます。
 都はこれまで、競技やコースを解説するリーフレットを広く配布するほか、競技体験やトークイベントを開催するなど、観戦促進に向けた取り組みを鋭意進めてまいりました。
 今後は、これらに加えまして、コース沿道の区と緊密に連携をしまして、地域のサイネージや地元の広報紙等を活用しまして、きめ細かい情報発信を行うとともに、大会当日に選手の応援にも役立つグッズの検討を進めてまいります。
 加えまして、例えばフォトフレームの作成やフォトスポットの設置等、観戦した方が当日の思い出を記念に残せるような取り組みを行いまして、さらなる観戦促進につなげてまいります。

○中山副委員長 古城まさお委員の発言は終わりました。(拍手)

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