予算特別委員会速記録第四号

○木村副委員長 平慶翔委員の発言を許します。
   〔木村副委員長退席、委員長着席〕

○平委員 東京二〇二〇大会を契機とし、都市整備や安全なまちづくり、江戸東京野菜のブランド確立が進んでおり、また、人材の育成など、大会の開催とその後の対応は、都政運営の重要な課題です。
 東京二〇二〇大会を受けて、板橋区のスポーツ力、競技力も向上しております。
 まず、公園施設の整備について伺います。
 板橋区には都立城北中央公園があり、公園内に陸上競技場があります。その場所で昨年開催されたイベント、オリンピックデーランには知事も出席をされておられます。
 陸上競技場にはランクがあり、第一種は日本選手権や国民体育大会など、日本陸連が主催する全国規模の大会や国際的な大会ができ、第二種は加盟団体陸上競技選手権大会及び地方における主要な大会ができ、第三種は加盟団体等の対抗競技会等を行うことができます。
 第三種の陸上競技場とするためには、トラックとフィールドは全天候型舗装で、一周四百メートルが八レーンなければなりません。
 しかし、城北中央公園の陸上競技場は、これらの規格を満たしていないため、城北地区の中高生や選手は、地元での練習、対抗競技を行うことができず、江東区の夢の島競技場まで大会に行っていると伺います。
 城北中央公園にある陸上競技場については、都においても議論が行われてきました。
 そこで、城北中央公園の陸上競技場第三種公認化について、これまでの経緯を伺います。

○三浦建設局長 城北中央公園にある陸上競技場でございますが、第三種公認化につきましては、平成二十三年度に城北四区に陸上競技場を造る会から請願書が提出をされ、環境・建設委員会で審査されました。
 その際、本競技場は、貴重な広い平たんな場所であり、子供から大人まで、いつでも自由に利用できる空間が公認化された場合、早朝、夜間は閉鎖となり、自由な利用はできなくなること、区域の拡張に伴う再整備が必要なこと等を説明し、継続審査となりました。

○平委員 城北中央公園の陸上競技場、第三種公認化の実現に向けて、都にも協力をいただきたいと考えていますが、第三種公認化に関する都の検討状況について伺います。

○三浦建設局長 都立公園には、代々木公園の織田フィールドなど三つの第三種公認の競技場がございます。これらは、新たに公園を整備する際、十分な広さで整備をしたものでございます。
 城北中央公園の陸上競技場を第三種公認化するためには、現在の競技場を拡張し、周辺の樹木の伐採や管理施設等の再配置のほか、競技場の再整備が必要となります。
 また、競技場の広域的な利用を実現していくためには、公園へのアクセス性の向上や近隣運動施設との連携など、まちづくり上の課題もございます。
 現在、公園の整備状況や競技場の第三種公認化に関する課題などにつきまして、関係区と意見交換を行っております。
 今後、こうした課題の共有化や実現性を含めた検討を行うため、情報交換をさらに進めてまいります。

○平委員 城北地区の各区、体協、陸連、各団体においても検討、調整を進めているので、情報交換を密にして、これらの課題を解決して、第三種公認化を実現していただくよう要望いたします。
 次に、都政を担う都庁職員の人材育成について伺います。
 東京二〇二〇大会が終われば、多くの職員が都庁に復帰します。
 都は、受動喫煙防止条例の施行など、小池知事の強いリーダーシップのもとで、新たな行政課題に果敢に取り組み、また、第四次産業革命の到来、気候変動など持続可能性の危機、人口減少や超高齢化など、大きな歴史の転換点を迎える中で、都政が直面する課題は、これまでになく困難かつ複雑なものとなっています。
 また、知事が掲げた政策を推し進めるのは各局です。例えば、都が掲げた公園大改革、所管は建設局ですが、スピード感が全く見えません。部署内に必要な人材は配置されているのでしょうか。
 さまざまな行政課題の解決を図る上で、第一線で取り組む都職員が、みずからの専門性を磨き、高めていくことが極めて重要です。
 都職員の専門性向上に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

○遠藤総務局長 都はこれまでも、高度化、複雑化する行政課題に対応するため、人材育成を主要な柱として位置づけ、人事管理を行ってまいりました。
 都政を取り巻く状況が大きく変化し続ける中、都政課題の解決を図る上で、より高い専門性を持つ人材の必要性が増してきております。
 こうした観点から、都では、特定の政策分野、行政分野に強みを持つ人材を育成するため、採用から管理職に至るまで複線型の任用体系を整備しており、多くの職員が意欲的に自身の専門性を磨くことで、組織の課題解決力を強化しております。

○平委員 組織として職員の専門性と総合性、専門職と総合職との組み合わせをどう調整していくか、また、特にソサエティー五・〇や5Gなど、民間では高い報酬を得ている職種の採用は、民間企業との競争が避けられません。
 昨年末公表の未来の東京戦略ビジョンや新たな都政改革ビジョンで触れられているように、社会構造が大きく変化する中、さまざまな行政課題を解決していくためには、都庁の中だけで専門性を身につけるのでなく、都職員が外に飛び出し、民間企業と協働することが今後ますます必要となってきます。
 そこで、民間企業への派遣など、さまざまな形で交流を効果的に実施して、都政の課題の解決を図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 幅広い行政分野、職務分野に強みを持つ人材を育成する、そのためには、民間企業や国、ほかの自治体等との人事交流や海外研修等を推進することは重要であります。
 これまで、人事交流によります人材育成を効果的に行っていくために、派遣期間の長期化であったり、派遣後の配置も見据えました計画的な派遣を実施いたしているほか、今年度からは、世界の先進事例を職員みずからが現地に赴いて調査するために、海外研修について大規模に実施をしているところであります。
 さらに、今後は、行政の枠にとらわれない幅広い視野で民間企業等の知見を集めまして、都政課題の解決を図るコーディネーターとしてのスキルを身につけていくために、短期の異業種交流研修を拡充するなど、さまざまな機会を捉えまして、都庁組織外との交流を活発化していきます。
 こうした取り組みを通じまして、多様な専門性やコミュニケーションスキルを身につけた人材を育成いたしまして、高度化、複雑化する課題への対応力を向上させてまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 公園について先ほど申し上げました。公園というのは人が歩くようになってから初めて行く場所といっても過言ではないと思います。皆さんも公園に子供時代に行かれたかと思います。都立公園、大きな規模、大きな土地がございますが、その中に、民間導入のカフェ等があって、子育て世代のお父さんやお母さんが子供を遊ばせながら、自分たちはお茶をする。または、高齢者の皆さんが、公園の中、散歩する中で、休憩の場としてカフェを利用するということを大変いいことだというふうに私は思っております。
 建設局は、公園大改革、都立公園の官民連携、民間導入についてもスピード感を持って実現に取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 次に、東京二〇二〇大会に向けた都営地下鉄のテロ対策について伺います。
 大会成功のため、そして、セーフシティー東京を国内外にアピールするためにも、都営地下鉄において万全のテロ対策を講じることは極めて重要です。実際に、過去にオリンピックがテロのターゲットとなりました。
 最近では、パリやブリュッセルで発生したテロのように、多くの人々が集まるイベント会場や公共交通機関など、いわゆるソフトターゲットを標的としたテロが発生しております。
 とりわけ、オリンピックスタジアムの最寄り駅である大江戸線国立競技場を擁する都営地下鉄は、ハード、ソフトの両面で、より一層積極的にテロ対策に取り組む必要があります。
 我が会派はこれまでも、生物化学兵器を使ったテロやサイバーテロも含めた、あらゆる攻撃を想定したテロ対策の重要性を訴えてまいりました。大会開催まで半年を切った今、改めてテロ対策には全庁を挙げて全力で取り組むべきと考えます。
 都営交通、特に都営地下鉄におけるテロ対策に万全を期すべきですが、都の見解を伺います。

○土渕交通局長 交通局では、駅員や警備員による巡回警備に加えまして、大会に向け、駅構内に防犯カメラを増設するなど、ハード、ソフト両面からテロの未然防止に取り組んでまいりましたが、さらなる対策の強化を図る必要があると考えております。
 このため、異常事態を想定した訓練を実施するとともに、大会時には警備員を増強するなど、職員等の対応力の強化を図ってまいります。また、会場最寄り駅等におきまして、AIを活用したカメラ映像の解析によりまして、不審物の置き去りを検知するシステムを新たに導入いたします。さらに、改札において危険物の持ち込みを検知する旅客スクリーニング装置や危険物探知犬などの活用についても検討を進めます。
 大会時の輸送の安全確保に向けて、こうした取り組みにより、テロ対策に万全を期してまいります。

○平委員 ありがとうございます。東京二〇二〇大会の成功のために、交通局や多くの方々が努力していただいていることに感謝いたします。
 大会の開催は、都の重点政策であり、IOC、国、組織委員会、東京都がワンチームとなって最善の方法を追求することが大切です。引き続き、組織委員会と東京都の連携、協力のもと、我が会派も一丸となって大会成功に取り組んでまいります。
 東京二〇二〇大会の開催期間中には、国内外から多くの観戦客が訪れ、平常時の東京混雑が特定の路線駅で発生することが予想されます。我が会派は、どのような国籍の人にもわかりやすい親切な案内表示や誘導サイン、SNS等を利用した多言語によるタイムリーな情報発信など、混雑回避のために必要な対応を求めてまいりました。
 東京二〇二〇大会を成功させ、海外からの来訪者たちにも、東京のいい印象を持ってもらえるよう、都営地下鉄において、期間中の混雑分散化に向けた情報発信、そして多言語対応の駅構内案内サインを整備しておくことは極めて重要と考えますが、都の見解を伺います。

○土渕交通局長 東京二〇二〇大会開催時には、国内外から訪れる多くの観客が都営地下鉄を利用することが見込まれるため、特に混雑が予想される会場最寄り駅等につきまして、混雑状況をお知らせするとともに、会場へのアクセスをわかりやすく案内する必要があると考えております。
 このため、競技会場やライブサイトの最寄り駅など約十駅につきましては、それぞれの出入り口や改札口の日ごと、時間帯ごとの混雑予測をホームページであらかじめ公表いたします。加えまして、大会期間中には、混雑状況をツイッター等も活用いたしまして、外国人にもわかりやすいよう、随時発信してまいります。
 また、駅構内に大会の統一的なデザインによる案内誘導サインを設置し、競技や会場名をピクトグラムや多言語で表記いたしますとともに、競技会場等に向かう階段やエスカレーターにつきましても、同様のデザインで装飾をいたします。

○平委員 現在、新型コロナウイルス感染予防対策として、テレワーク、時差通勤などが行われ、朝夕のラッシュ時の通勤電車の混雑が随分緩和されました。一種の危機対応ですが、この対策が定着するよう、働き方や通勤改革をさらに推進されることを都へ要望いたします。
 続いて、下水道浸水対策について伺います。
 東京では、雨水の多くが下水道管により集められており、内水氾濫を防ぐ下水道の整備は極めて重要です。昨年の台風十九号においても、これまでの取り組み等により整備した約六十万立方メートルの貯留施設で、総容量の六割程度まで貯留するなど、浸水被害の軽減に一定の効果を発揮しました。
 さらに、東京二〇二〇大会を控え、今後も海外から東京への来訪者が大幅に増加していく中で、災害発生時の外国人への情報伝達方法もより重要となります。我が会派は、近年、激しさを増す風水害の状況を受けて、ハード、ソフトの両面から浸水対策の充実強化を求めており、都では、本年一月に豪雨対策アクションプランを策定しました。
 近年の災害の激甚化を踏まえ、浸水対策の一層の加速と強化が不可欠ですが、下水道局の取り組みを伺います。

○和賀井下水道局長 下水道局では、早期に浸水被害を軽減するため、五十四の地区を重点化し、貯留施設等の整備を進めております。これまでに二十三地区で事業が完了したところでございます。
 お話の本年一月に策定いたしました豪雨対策アクションプランの中では、こうした取り組みの加速、強化を図ることといたしております。具体的には、まずハード面では、事業効果の早期発現を図るため、東京二〇二〇大会までに渋谷駅東口地区等、二地区で施設の一部を暫定的に稼働させ、貯留を開始いたします。
 また、最新の流出解析シミュレーション技術を活用し、時間七十五ミリの降雨があった場合の検証を進めており、令和二年度末までに新たな対策地区を追加いたします。
 ソフト面では、東京アメッシュについて、これまでの英語版に加え、中国語、韓国語版のサイトを、先週金曜日、三月六日に開設をいたしました。
 今後とも、ハード、ソフトの備えをさらに高め、安全・安心な東京の実現に貢献をしてまいります。

○平委員 近年まれに見るのではなく、毎年のように起こり得る豪雨災害に備え、対応いただくことを要望いたします。
 次に、水道局の環境施策について伺います。
 水道局は、都内使用電力の一%に相当する電力を消費しています。先般、新しい環境五か年計画案を公表し、二〇四〇年代を見据えた環境に関するあるべき姿や、五年間の具体的な取り組みを掲げています。
 一方、世界の気温上昇の抑制に向けたパリ協定は、本年、本格的に始動し、温室効果ガス排出抑制の取り組みの加速化が一層求められていますし、国連でのSDGsの採択から四年が経過した現在、さまざまな企業がSDGsへの貢献をうたっています。
 都も昨年末、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京戦略を策定し、率先して行動を進めることとしており、水道局としてもさらに積極的に対策を進めなければなりません。
 そこで、水道局の新たな環境計画ではどのようにSDGsの考え方を取り入れたのか、また、CO2排出削減に向けた取り組みについて伺います。

○中嶋水道局長 水道局では、二〇〇四年度から定期的に三年または五年ごとに環境計画を策定しており、今回の新たな計画案におきましては、国連で採択されましたSDGsや都のゼロエミッション東京戦略など、環境をめぐるこの間の大きな動向を特に重視いたしました。
 SDGsに関しましては、その十七の目標のうち、当局が環境施策において考慮すべき十二の目標に対しまして、二〇四〇年代のあるべき姿を掲げ、その実現に向けた今後五年間の基本方針と新規、継続合わせて三十七項目の具体的な取り組みを設定いたしました。
 このうち、CO2排出量の削減策としましては、ポンプなどの設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入など、これまでの取り組みの充実に加え、新たに環境に配慮した電気の調達やゼロエミッションビークルの導入など、社会全体の脱炭素化の促進にもつながる取り組みを盛り込んでおります。

○平委員 都は、戦略の柱にゼロエミッションビークルの普及促進を位置づけています。水道局は、施設の維持管理やお客様宅への営業業務等、現場出動するための車両を数多く保有しており、これらをゼロエミッションビークルへと切りかえていくことは、CO2削減に有効だと考えます。
 また、水道局は、車両だけでなく、小河内貯水池に船舶も保有しています。周囲の水源林など貴重な自然を守り続けていくためには、環境に配慮した船舶の導入なども積極的に検討すべきです。
 そこで、船舶も含めたゼロエミッションビークル等の導入に対する水道局の取り組みの方向性についてお伺いいたします。

○中嶋水道局長 当局では、水道管路や施設の維持管理、お客様対応などにおける現場出動のため、バイクを約百七十台、四輪車を約六百台保有しております。今後は、新たな環境五か年計画に基づき、バイクにつきましては、更新時に原則全て電動バイクに切りかえていくとともに、四輪車につきましても、災害時等における機動力の確保も考慮した上で、ゼロエミッションビークルへの更新を進めてまいります。
 また、小河内貯水池で湖面管理の作業に使用しております船舶につきましても、老朽化による更新に合わせ、電気推進方式など環境配慮型の船舶を導入することとし、来年度から設計に着手をいたします。
 こうした取り組みを率先的に進めることで、都が掲げるゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。

○平委員 車両を多く保有する水道局の率先的な取り組みを確実に進めていただきたいと思います。
 ゼロエミッション東京の実現に向けては、国際的に問題となっているプラスチック削減の取り組みも重要です。東京都も昨年、都庁プラスチック削減方針を策定し、みずから取り組みを強化しています。
 環境五か年計画において、東京水のPRを、ペットボトル「東京水」から、まち中の水飲み栓、いわゆるTokyowater Drinking Stationとマイボトルによる水道水の飲用に転換し、お客様の環境配慮行動を促進していくことを宣言しました。水道水はペットボトル飲料に比べはるかにエコであり、今後の積極的な推進を求めておきます。
 続いて、水素事業について伺います。
 昨年十二月、十三年ぶりに来日したU2のコンサートでは、FCVの動力を利用することにより、電力を供給して演奏が行われました。また、本年一月には、長野県の協力を得て、バスケットボールのBリーグ、B2、信州ブレイブウォリアーズのホームゲームにおいて、FCVの動力を使用したイベントブースが設けられたと伺っています。
 マーケティング戦略として、音楽やスポーツなど、それぞれのコミュニティごとへの直接のアピールは大変効果があります。
 そこで、東京都が保有するFCVやFCバスを積極的にイベントへ提供し、多くの人々に水素社会の理解を広めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都は、ゼロエミッション東京戦略におきまして、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素を二〇五〇年の脱炭素社会実現の柱と位置づけております。大きな将来性を持つ水素エネルギーを都民に広く理解していただくためには、その意義等をわかりやすく発信することが重要でございます。
 都はこれまで、燃料電池自動車を活用したライトアップや燃料電池バスによるイベントでのシャトル運行などを行ってまいりました。来年度は、新たに建造物へのプロジェクションマッピングを水素エネルギーを用いて実施いたします。そのほか、より多くの人に体感していただくために、都などが保有いたします燃料電池自動車を、集客力のある民間イベントにおける野外ライブのステージ電源として提供するなど、水素エネルギーのPRを一層強化してまいります。
 今後、さまざまなイベントの機会を捉えまして、企業とも連携をしながら、都民の五感に訴える取り組みで、水素の有用性をしっかりと発信してまいりたいと考えております。
 一方で、今、油価が大変安くなって、円高ということでございます。こういった経済の流れもよくしっかりと捉まえながら、水素を進めるというこの方針、政策をしっかりと確立していきたいと考えております。

○平委員 大変力強い答弁をいただきました。まことにありがとうございます。
 水素社会の実現は、民間の力だけでは成り立ちません。国や都による政策の後押しが必須です。水素社会の実現に向けて、引き続き、しっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、地場農産物について伺います。
 東京二〇二〇大会を控えて、東京の地場農産物、江戸東京野菜を世界に紹介し、理解していただくためには、まず、都内での安定的な消費を確保することが必要であり、新鮮で安全・安心な農産物を消費者に提供していく上で、地産地消の取り組みを進めていかなければなりません。
 近年、生産者や飲食店など地域の方々が参加し、地場農産物をPRする冊子を作成する事例や、地域でとれた農産物を地元の小中学校の給食に供給する事例など、地域ぐるみの地産地消の取り組みも出てきています。
 こうした地域の取り組みを後押しすることが、東京産農産物の地産地消のさらなる推進につながると考えますが、都の見解を伺います。

○村松産業労働局長 これまで都は、地産地消の推進のため、東京産農産物を使用する飲食店を紹介するホームページ等の作成や、東京の農業に関する情報発信拠点であるJA東京アグリパークでのイベント開催支援などを行ってまいりました。
 来年度からは、これらに加え、区市町村等がそれぞれの地域で行う地産地消のための取り組みを後押しする事業を新たに開始いたします。
 具体的には、地域のJAやNPO等が実施するマルシェなどのイベントや農産物のブランド化に向けたロゴマークの作成、学校給食への供給などに係る経費の一部を三カ年にわたり補助いたします。
 こうした取り組みによりまして、東京の農産物の地産地消を一層推進してまいります。

○平委員 地場農産物である江戸東京野菜のブランドを確立し、定着し、拡大するためには、足元での定着が必要です。さらなる努力を求めておきます。
 都庁の人材活用のほか、都民の能力を活用し、自立を促す障害者の就労支援は重要です。そこで、東京障害者職業能力開発校について伺います。
 都は、小平市にある東京障害者職業能力開発校の運営を国から受託し、障害者に向けたさまざまな職業訓練を実施しています。私も視察をさせていただきましたが、昨年度に新校舎が開設され、ITや調理機器等の設備は最新のものが整っておりました。
 また、都は昨年末に、ソーシャルインクルージョンの考え方に立って就労支援を推進することを定めた新たな条例を制定し、障害者を初め、さまざまな理由により就労に困難を抱える方への支援を強化していくこととしました。
 今後は、この条例の理念に基づいて、さらに障害者の職業的自立が進むよう、障害者校の訓練を充実強化していくことが期待でき、特に、求職者の増加が見込まれる精神障害者や発達障害者に対し、こうした方の実情に応じたきめ細やかな支援を行うことが重要と考えます。
 そこでまず、現在の東京障害者職業能力開発校において、精神障害者や発達障害者に対し、どのような訓練や支援が行われているのか伺います。

○村松産業労働局長 東京障害者職業能力開発校では、昨年の新校舎の開設に合わせて、精神障害者や発達障害者の受け入れを拡大することに加え、訓練内容の充実を図っているところでございます。
 具体的には、病院や介護施設からの増大する求人ニーズに対応できるよう、調理や清掃業務の基本作業を習得する新たな訓練科目を設置いたしました。また、グループワークを通じて社会生活スキルを高める訓練手法などを新たに取り入れたところでございます。
 こうした訓練内容の充実に加えまして、看護師の配置による医療的なサポートのほか、体調を整えるためのリフレッシュ用の個室の設置など、障害者の方が安定的に訓練を受けられるよう支援しているところでございます。
 今後も、こうしたきめ細かな支援によりまして、障害者の職業訓練を効果的に展開してまいります。

○平委員 今後、民間企業における障害者の法定雇用率は、現在の二・二%から二・三%に引き上げられる予定であり、企業においても障害者の雇用が活発化すると予想されます。
 東京障害者職業能力開発校は、一般就労、すなわち民間企業での就労を目指した訓練を実施しており、その役割はますます重要になると考えられます。一方、最近の入校者数は定員を満たしておらず、まだまだこの施設のポテンシャルを生かし切れておりません。
 今後、障害者校では、障害者の特性に合わせた科目の設置や、一人一人の実情に応じた支援をさらに進め、訓練の充実を図ることとあわせて、より多くの障害者に訓練や支援を提供できるよう、障害者校の積極的なPRを進めることが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京障害者職業能力開発校でございますが、さまざまな障害の特性に応じました職業訓練の機会を提供する都内唯一の施設となっております。この施設を有効に活用していくことは、障害者雇用の促進を図る上で極めて重要でございます。
 このため、障害者校におきましては、企業の人材ニーズや障害者の多様な訓練ニーズに的確に対応いたしまして、新たな訓練科目の設置やカリキュラムの改善を行うなど、訓練の内容を不断に見直してまいります。
 あわせまして、専門スタッフが障害者それぞれの実情に応じまして、生活指導や就職支援を行うなど、職業訓練から就職、定着まで一貫したきめ細かな支援に取り組んでまいります。
 また、この施設をより多くの方にご利用いただくためには、SNSを活用した広報やハローワークと連携したPRを行いますほか、施設見学会を特別支援学校や障害者の就労支援機関向けに開催するなど、障害者校のさらなる周知を図ってまいります。
 障害者校におけますこうした取り組みを通じまして、障害者一人一人の個性や適性に応じた就労の実現を目指してまいる所存でございます。

○平委員 東京障害者職業能力開発校を十分に活用していただけるとのことでございます。さらなるPRにも努めていただくことを要望しておきます。
 続いて、結婚支援について伺います。
 都における五十歳時未婚率は、男性が二六・一%、四人に一人、女性が一九・二%、五人に一人と全国的にも高くなっています。一方、都民の結婚等に関する意識調査では、都内の未婚者の八割近くがいずれ結婚するつもりと回答しており、都民のこの希望を後押しする取り組みが重要です。
 結婚の機運醸成に向けて一層取り組みを強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人を後押しするため、結婚に向けました機運の醸成に取り組んでいるところでございます。
 これまで、ポータルサイトによる情報発信やライフプランを考えるセミナーの開催、さまざまな主体との連携によりましての出会いの機会の提供など、幅広く取り組みを展開してまいりました。
 今年度は、結婚や婚活のヒントとなりますように、東京にお暮らしになるご夫婦からさまざまなエピソードを募集いたしました。それとともに、このエピソードをもとに描いたお二人のイラストを用いて、東京都オリジナル婚姻届も作成をいたしております。
 来年度は、さらなる機運の醸成のために、都内の企業や店舗と連携をしまして、婚約、新婚カップルを対象に、結婚準備や新生活に関連する特典が受けられます結婚応援パスポートを交付いたします。パスポートを利用する方をさまざまな分野の協賛企業等が支援をすることによって、社会全体で結婚を応援する機運を醸成してまいります。
 今後とも、個人の価値観や人生観に十分に配慮をしながら、結婚支援に積極的に取り組んでまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 都の調査において、結婚の意向がある都民に現在独身でいる理由について尋ねたところ、男女とも適当な相手にめぐり会わないからと回答した人が最も多く、出会いの機会が求められていることがわかります。
 都としても、出会いの機会の提供に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○浜生活文化局長 都では、結婚支援に資する取り組みを推進するため、庁内連携会議を立ち上げ、各局連携による取り組みを行っております。
 これまで、東京の島々を訪れて出会いの機会に結びつける観光ツアーを企画する旅行事業者への助成や、奥多摩の水道水源林の豊かな自然を体験するバスツアーでの交流機会の提供など、都の施策のさまざまな場面を捉え、気軽に参加できる出会いの機会を創出してまいりました。
 婚活に踏み出せない人へ、出会いのきっかけとなる機会の提供にもつながるよう、今後さらに庁内での連携を強化してまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 私は、高校一年生、十五歳からつき合う同級生と交際を経て、結婚をいたしました。子供二人、妻は一人、結婚してよかったなというふうに思っております。
 幸せな瞬間がふえたなと思いますので、知事の答弁にもありましたが、ぜひとも都においても、個人の価値観や人生観に配慮しながらも、結婚を望む方々がこの東京で出会い、東京で暮らし、家族を築けるよう、結婚支援を加速していただくことを要望いたします。
 さて、都政運営において、都がかかわる団体や会社の不祥事は見過ごすことができません。都が大株主になっているMXテレビについて伺います。
 MXテレビは、一九九三年に東京都が主導して設立、東京都のみを免許エリアとする唯一のテレビ局として、また、東京の情報発信の一翼を担う都民にとって重要なメディアです。
 都は、MXテレビ株保有率で上位三番目の大株主であります。しかし、残念なことに、そのMXテレビで不祥事が続いています。
 二年前には、ニュース女子という番組の沖縄報道をめぐって、BPOから重大な放送倫理違反を勧告されました。また、昨年一月に放送された欲望の塊という番組では、優勝者に高額の自動車を提供するという構成で、識者から賭博罪に該当する可能性まで指摘され、さらに、結局その高額自動車が渡っていないという問題が起こり、ことし一月には、かかわった番組制作会社から自殺者が出る悲惨な事件が起きています。
 どちらも特定のスポンサーに番組を丸投げする、いわゆる番組枠の枠貸しが遠因であり、MX経営陣の経営姿勢が大きく問われています。
 MXテレビの経営陣を見ると、MXテレビの筆頭株主はエフエム東京で、MXテレビの代表権を持つ経営陣二名は、いずれもエフエム東京出身者で占められています。エフエム東京はMXテレビを持ち分、適用会社としていますが、そのエフエム東京では、昨年、粉飾決算による損失隠しを起こし、当時の経営陣は退陣して、新しい経営陣により八十四億円もの赤字となったことが発表されています。
 総務省は行政指導に動き、今も所管省庁の監視下に置かれていますが、いまだに連結中間決算を公表できない状況にあるにもかかわらず、一部報道によれば、MXテレビの経営陣が、あろうことかエフエム東京を吸収合併することを検討しているとも報じられています。
 5Gの時代を迎えるに当たって、MXテレビの大株主として、経営刷新や株主構成の問題にまで踏み込んだ改革が求められる事態だと考えます。
 東京都が出資している団体や大株主である株式会社の不祥事が続いていますが、知事は、MXテレビの現状にどのような問題認識をお持ちでしょうか。また、経営刷新などを含めたMXテレビの改革についてどのようにお考えか知事の見解を伺います。

○小池知事 ただいまご指摘の東京メトロポリタンテレビジョン株式会社でございますが、平成三十年度の事業報告によりますと、経営状況は堅調、そしてインターネットの同時配信サービスの拡充を進めるなど、積極的に次世代メディアの活用にも取り組んでいると聞いております。
 一方で、ご指摘のような事案も含めまして、放送局の番組編集や、また考査などについては、放送法に基づいて、放送事業者が責任を持って適切に実施をされるものだと考えております。
 都は現在、東京メトロポリタンテレビジョン株式会社、MXですね、政策連携団体等には位置づけてはおりませんけれども、発行済み株式総数の三・五一%に当たります一万二千三百株を保有する株主でございます。
 これまでも、資本金の減資の際には、株主の立場から黒字経営の定着化や収益の拡大策について意見を表明、今後とも、都民にとって重要なメディアでもございますので、株主の権限に基づいて健全な経営がなされますように必要な関与を行ってまいりたいと考えております。

○本橋委員長 平慶翔委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時二分休憩

ページ先頭に戻る