予算特別委員会速記録第三号

○木村副委員長 加藤雅之委員の発言を許します。
   〔木村副委員長退席、中山副委員長着席〕

○加藤委員 それでは、質問をさせていただきます。
 初めに、新型コロナウイルス対策について質問します。
 一昨日、都議会公明党は、知事に対し、新型コロナウイルスに関する影響に対しての緊急提言を行いました。その中で、都発注案件の契約相手方へのサポートも重要と指摘しました。
 新型コロナの影響により、都発注工事が延伸する場合の費用や期限までに履行が完了しない場合の遅延違約金、また、都主催のイベントが中止された場合の契約解除に伴う準備費用等の補償について、都はどのように対応するのか伺います。

○武市財務局長 東京都発注工事につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響に伴いまして、受注者などに一時中止等に関する意向の確認を進めておりまして、既に一時中止を行っている案件もございます。
 そうした案件につきましては、今後、契約変更の手続を行うこととしておりますが、一時中止による履行期限の延伸の場合におきましても、契約約款に基づき、遅延違約金は徴収しないこととしております。
 また、イベントの中止などの場合につきましては、受注者が負担した費用等につきまして、個別の案件の実態に即しまして協議の上、適切に対応してまいります。

○加藤委員 新型コロナウイルス感染症の拡大防止や都発注案件の入札参加機会の確保のためには、入札手続に関して柔軟な対応も必要です。
 都は、感染拡大防止のために、電子入札を全面的に活用することはもちろんのこと、電子入札ができない事業者には、紙による入札を郵送で受け付けるなどの対応を図るべきと考えますが、都はどのように取り組むのか伺います。

○武市財務局長 入札手続におけます感染拡大の防止や入札参加機会の確保につきましては、各案件の事情に応じまして、通常の運用に比べて事業者が入札できる期間を一定期間長く設定することでございますとか、電子入札ができない事業者向けに紙での入札も可能とすることなど、庁内に対応を求めてまいります。
 今後も、公平性や透明性を確保した上で、できる限り入札手続について柔軟な対応を図ってまいります。

○加藤委員 特に中小零細企業にとっては死活問題ですので、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 次に、防災対策についてでございます。
 都はこれまでも、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の改善に取り組んできましたが、ひとたび形成された木密地域は、その改善を図ることはなかなか容易ではありません。
 権利関係の複雑化で用地交渉が難航、特に高齢世帯も多く、新しく建てかえるお金もなければ体力もないとの声を多く聞きます。既成の補助制度は限界があるのではないかと思わざるを得ません。
 今回、都は、防災都市づくり推進計画の基本方針改定案で、木密対策の新たな工夫として、都市開発諸制度等を活用して木密地域における基盤整備などの取り組みを新たに評価し、容積を緩和することなど、民間活力を生かした整備を促進していく考えを示しています。これまでの行政による取り組みの限界を超えて、民間活力により効果的に改善を進めていくことができる意欲的な取り組みであると評価をいたします。
 そこで、今後、こうした民間活力を生かした新たな木密対策の取り組みを一層推進していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○佐藤東京都技監 木密地域の改善に当たっては、都民、事業者、行政などさまざまな主体が連携して取り組むことが重要でございます。
 一月に公表した防災都市づくり推進計画の基本方針案では、昨年二月の都市計画審議会答申を踏まえ、木密地域外の民間開発が容積緩和を可能とする都市開発諸制度などを活用し、木密地域内での基盤整備などの改善に貢献する取り組みを新たに位置づけました。
 木密地域が抱える課題は、道路基盤の脆弱さ、受け皿住宅の不足、防災拠点となる空地の不足など、地域によってさまざまでございます。
 このため、地元区とも綿密に連携しながら、こうした民間活力を生かした新たな取り組みも活用して、各地区が抱える課題への対応を効果的に展開し、木密地域の改善を一層推進してまいります。

○加藤委員 次に、東京都防災会議の首都直下地震等による、揺れ、液状化などによる建物倒壊の東京の被害は十一万六千二百二十四棟と想定されております。大変な数値でございます。
 ここにパネルを示させていただきましたけれども、この赤のところが液状化のおそれが大変多い地域、黄色は液状化の可能性がある地域ということで、そしてこの斜線のところは、いわゆる重点整備地域ですね、それを重ね合わせたのがこの地図でございます。
 今示しておりますように、二十八の整備地域のうち、何と半数以上の地域に液状化が発生しやすいという場所が入っているわけでございます。
 防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案には、燃えない、倒れない、震災に強い安全・安心な都市の実現を目指してとあるのですから、当然に倒れないための液状化対策についても記載があるべきです。
 そこで、同改定案において、倒れない都市づくりとして、液状化について考慮するとともに、整備地域において不燃化の取り組みとあわせた宅地の液状化対策や、国の補助制度を活用した宅地周辺の区道との一体的な液状化対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤東京都技監 防災都市づくり推進計画では、緊急輸送道路や整備地域内の道路の閉塞による災害時の活動阻害を防止するため、沿道建築物の耐震化の取り組みを示しております。
 建築敷地における液状化について、都は、液状化予測図や対策工法等に関する情報をポータルサイトなどで提供しております。また、都や区などの相談窓口でリーフレットを配布しており、区に対し、整備地域の住民へも、これらの情報提供を行うよう働きかけております。
 国の補助を活用して行う公共施設と宅地の一体的な液状化対策につきましては、木密地域の場合、道路が狭隘であるため、街区の再編等の機会にあわせて行うことが考えられます。
 引き続き、区に対し国のガイダンスを周知するとともに、必要に応じて技術的支援を行ってまいります。

○加藤委員 区では、国の宅地と一体的に行われる道路等の公共施設の液状化対策事業への補助制度のことが余り知られておりません。ぜひとも同改定案にこの国の補助制度の内容も含め、液状化対策を推進するよう記載すべきであります。また、国とあわせ東京都も補助制度を構築すべきと要望をしておきます。
 この液状化の地域で民間が家を建てようとする場合は、建築確認のときに地盤改良等の対策が求められます。しかし、民地が対策しても、公共の道路が対策しなければ全く意味がありません。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、液状化対策を推進する上で、液状化予測図は重要なベースとなります。
 来年度、予測図に関して予算が計上されていますが、具体的な内容について伺います。

○三浦建設局長 液状化予測図は、道路や河川などの公共工事の際に得られた地盤データに基づき、液状化の発生のしやすさを地図化して示したものであり、最近では平成二十四年度に更新をしております。
 令和二年度は、その後の公共工事の地盤データに加えまして、情報提供に合意の得られた民間開発等のデータも活用することで、予測図の精度向上を図ってまいります。
 あわせて、今後取得していく地盤データが予測図に随時反映されるプログラムを開発することで、最新の液状化予測図を都民に提供してまいります。

○加藤委員 先ほど示したパネルは現時点のものでありますが、より精度が向上した予測図が発表されれば、一層綿密に液状化の対策を進める必要があります。都は縦割りを排し、都民の安全・安心に向けて取り組むよう求めて、次に移ります。
 順番を変えまして、福祉関係に行きたいと思います。
 ことしは介護保険制度がスタートして二十年を迎えます。現場では、要介護者の増加によりまして、高齢者を支える人材不足が大きな課題となっています。
 国では、EPAや技能実習生による外国人材の活用策を展開しています。それも大切な取り組みですが、日本人と結婚した外国人配偶者の活用も大切な取り組みです。日本に永住する貴重な存在です。
 介護現場で働く上で、日本語の会話に問題はありませんが、介護福祉士の資格を取る上では難解な日本語の文章記述や読解がネックとなっております。また、資格取得を手助けする適切な日本語指導ができる教師の派遣と教師の養成も重要であります。
 そこで、外国人介護従事者が介護人材として活躍できるよう支援すべきと考えますが、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都は、介護施設等が経済連携協定や技能実習制度に基づき外国人介護従事者を受け入れる場合に、日本語や介護技能の学習に必要な経費を補助しております。
 また、お尋ねの日本人の配偶者も含め、介護施設で就労する外国人等に対し、介護に必要な日本語の習得を目的とした研修を実施する区市町村を包括補助で支援してございます。
 今年度からは、施設の責任者等が必要な知識やノウハウを学び、円滑に外国人介護従事者を受け入れられるよう、受け入れ制度の紹介等を行うセミナーや指導のポイント、生活面で配慮すべき事項等に関する研修を新たに実施してございます。
 今後とも、外国人介護従事者が日本語や介護技能を学びながら介護施設等で働けるよう支援してまいります。

○加藤委員 次に、オリ・パラ大会では、多くの人が通行するラストマイルの安全確保は重要であります。昨年、テストイベントを通じ、猛暑の中、ラストマイルのルートを実際に歩いたところ、日陰もなく、大勢の人で混み合う中の移動は厳しいと感じました。
 また、ラグビーのワールドカップの会場でも人が多くてなかなか前に進まず、入退場にすごい時間がかかりまして、これに暑さが重なると、健常者でさえ体調を崩してもおかしくないと感じました。高齢の方や障害のある方などはなおさらで、疲れたときに休めるベンチが必要だと感じました。
 アクセシビリティ・ガイドラインには、アクセシブルルートの五十メートルごとに一台のベンチを設置するのが望ましいと記載されております。また、二〇二〇大会のラストマイルでは、配慮が必要な方だけでなく、多くの人が通行するところもあり、混み合う中ではなおさら配慮が必要でございます。
 そこで、アクセシブルルートにできる限りベンチを設置すべきと考えますが、見解を求めます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、大会時に障害者や高齢者などが観客利用想定駅から競技会場に安心して移動できますよう、アクセシビリティ・ガイドラインに沿って休憩のためのベンチを設置することとしております。
 今お話がございましたとおり、ガイドラインでは、五十メートル程度の間隔でベンチを設置することに加えまして、車椅子の方や補助犬を連れた方が利用しやすいよう、ベンチの隣に水平なスペースを確保することとされております。
 一方、設置に当たりましては、段差や勾配がないこと、歩行者の安全確保のために必要な幅員が確保できることといった条件もございます。現在、既存ベンチの設置状況などを踏まえまして、条件に合った場所を、大会期間中、最大限確保できますよう、道路管理者等と具体的な調整を進めております。
 誰もが安心して移動できるアクセシブルルートの整備に引き続き取り組んでまいります。

○加藤委員 次に、二回目のオリ・パラ大会を経験する都は、バリアフリーのまちづくりが進んでいくことが大切です。オリ・パラ大会のアクセシブルルート上のベンチ設置は、仮設も含めてということでありますが、高齢社会の進展やダイバーシティーの東京ということを考えると、ふだんから高齢者や障害者が移動の際に休憩する場所として、歩道上にベンチを多く整備していくべきと考えます。
 また、国では、今国会に都市再生特別措置法等の一部改正案を提出し、居心地がよく、歩きたくなるまち中の空間創出を目指しております。
 今、このパネルを出しましたけれども、狭い歩道であっても、普通は道路と垂直ですので、足が出てしまうと思うんですけれども、これ道路と並行に仮に置けば、非常に狭いところでも置きやすい、また対話をできると、こういうふうなことがありまして、これは一つの例として、こうした地域のコミュニケーションが活性化するような、会話が弾むような地域の特性に合った仕様のベンチを、多摩産材も利用しながら、東京二〇二〇大会を契機に設置していくべきと考えますが、あわせて見解を求めます。

○三浦建設局長 歩道上にベンチを設置する場合には、歩行者や車椅子使用者等の通行に支障とならないよう、車椅子使用者同士がすれ違うことのできる幅二メートル以上の有効幅員の確保、またごみが捨てられることがないなど、適切な管理が必要でございます。
 これらを踏まえました上で、ベンチの設置箇所や仕様等につきましては、高齢者、また障害者等の通行状況、地元団体等による維持管理の協力など、地域の実情、また特性を考慮いたしまして、必要に応じて検討いたします。
 引き続き、誰もが安全・安心に利用できる道路空間の整備に取り組んでまいります。

○加藤委員 次に、都有施設の空き活用についてであります。
 都内全体の駐輪場台数は、自転車の乗り入れ需要に対して収容能力は足りているものの、地域によっては不足しているところもあり、私の地元の都営地下鉄浅草線本所吾妻橋駅周辺もその一つということであります。
 法律によりますと、鉄道事業者は地方公共団体から自転車等駐車場設置の協力を求められたときは、鉄道用地の譲渡や貸し付けなど、協力することが求められています。また、都の自転車条例でも、自転車の駐車需要を生じさせる事業者は、駐車場所の確保などに努めることとなっております。
 こうしたことから、私は先日委員会で、地元区が駐輪場用地の確保が困難な中、鉄道事業者である交通局に区の駐輪場整備への協力を要望することに言及いたしました。
 この本所吾妻橋駅A2出入り口付近には、現在利用されていない交通局の庁舎があり、今後、解体する予定と聞いております。私もこの庁舎を視察いたしましたが、それほど敷地は広くありませんけれども、駅の間近、直近でありまして、駐輪場の場所としては適地であると考えております。
 そこで、庁舎解体後、局は跡地を有効活用していくとしておりますが、利活用に当たっては、区の駐輪場整備への協力も含め検討する必要があると考えます。今後どう取り組んでいくのか伺います。

○土渕交通局長 交通局ではこれまでも、関係法令に基づきまして、地元区が行う駐輪場整備のために駅出入り口周辺の局有地を貸し付けるなど、放置自転車対策に協力してまいりました。
 お話の浅草線本所吾妻橋駅出入り口付近にある建物につきましては、老朽化が進んでいることから、解体に向けた調査費を来年度予算案に計上しております。
 跡地につきましては、地元区から駐輪場整備の要望も寄せられておりまして、今後、適切な活用方法を検討してまいります。

○加藤委員 さまざまな活用法があると思いますけれども、地元の意向を踏まえながら、よりよい活用法を検討してもらいたいと思います。
 次に、私は四年前の予算特別委員会で、都バスの広告つき上屋の設置推進を訴えました。その結果、今まではバス停総数三千八百十四のうち、上屋があるのが千五百六十六、そのうち広告つきの上屋は局施行分が百三十四、民間施行分が百三十三で、合計二百六十七となりまして、上屋全体の五分の一程度まで広がりました。
 今月から、この広告部分がデジタル化したものが登場しました。これですね。(パネルを示す)これは何秒かに一回、公共広告、これはマタニティーマークですけれども、こういうものが商業広告と同時に流れるということも新たに始まりました。オペラシティ前でございます。聞きましたら、都バスの方は渋谷の車庫前にあるということでございます。
 都民から、雨がしのげて助かったとか、まちが明るくなったというお声を多くいただいております。この後発の民間施行分が、四年弱で先行する局施行分と同じ数になったことを見ても、このPPPという官民連携で進めてきたことが、設置のスピードを早めたと思っております。
 しかも、都に設置費用を確認したところ、交通局みずからが建てた広告つき上屋は、設置年度や設置箇所によっても異なりますが、平均して一基六百万円程度ということでありますので、単純計算しますと、この民間が建てた百三十三基に六百万円をかけて七億九千八百万円分の費用を都は支出せずに済んだということになりまして、負担なしに都民サービスを向上させたということになります。
 しかし、着実に上屋を設置してきたものの、今後は地中埋設物などの障害などで新たに設置できる箇所は減ってくると予想され、設置箇所をどうふやしていくかが課題となります。
 広告つき上屋を設置するには、バス事業者で構成する協議会が定めたガイドラインに沿う必要があると聞いておりますが、現行のガイドラインの仕様では、こうした地中埋設物などの物理的障害に対処できません。この課題を解決するには、構造上、必要のない補助柱の削除やベンチの後づけ、屋根を支える柱の位置の変更や屋根の小型化などの工夫をして進めることが必要であります。
 そこで、都はガイドラインに新たな仕様の上屋の規格を追加するよう協議会に働きかけるべきだと考えますが、見解を求めます。

○土渕交通局長 広告つき上屋につきましては、都内のバス事業者から成る協議会が屋外広告物条例等を踏まえたガイドラインにおきまして、デザインや設置要件を定めております。
 お話のような新たなタイプの広告つき上屋を導入するためには、上屋として必要な機能や強度のほか、都市景観の向上に資する統一感のあるデザインを有する規格をガイドラインに追加する必要がございます。
 交通局では現在、新たな上屋の規格につきまして、ガイドラインに追加されるよう東京バス協会等の関係機関に意見を求めているところであり、協議会でのコンセンサスが得られるよう、引き続き調整を進めてまいります。

○加藤委員 次に、都庁は仕事改革として三つのレス、いわゆるペーパーレス、判こレス、キャッシュレスを推進しております。新たな都政改革ビジョンでは、デジタル都庁を目指して、企業や都民の行政手続、サービスの改革を進めるとしております。
 聞いたところによりますと、先ほどのバス停上屋に掲出する広告につきましては、二週間ごとに内容を変更しているようです。都から各区市に事務委任しているため、変更申請のたびに各地の担当窓口に行って、同じ内容の手続を行うとのことであります。その結果、何と年間七・三万枚以上のペーパー、約四千回の判こ、約二千回の現金払いが発生しているということでございます。
 他都市では、変更内容だけをメール添付して簡略申請が可能であり、また、三年に一度や二年に一度の申請で可という自治体もあるようです。確かに、区市に事務委任したから都の責任ではないかもしれませんけれども、やはり三つのレスを進める観点から、都が簡略化のモデルを示すべきではないかと考えます。
 都の認識と、今後の対応について見解を求めます。

○佐藤東京都技監 都においては、良好な景観の形成の観点から、屋外広告物の表示内容の変更に当たっても、許可権者である区市町村において審査の上、許可を受けるということになっております。
 バス停上屋広告につきましては、お話のように、二週間ごとに表示内容を変更したいというニーズがございますことから、今後、都は、行政サービスの向上等の観点から、電子申請化など事務手続の簡略化について、関係区等とも協議しながら検討してまいります。

○加藤委員 次に、同様に三つのレスを進める観点から、区市町村と関連するものも含めて、行政手続の簡素化に向けた今後の取り組みについて、都の見解を求めます。

○遠藤総務局長 都の行政手続につきましてはこれまでも、都民の利便性向上のため、電子申請の推進等に取り組んでまいりました。今年度は先行的に手続の一部を抽出いたしまして、オンライン化に向けた課題とその解決策の検討を行ったところでございます。
 これを踏まえ、本人確認手段や支払い方法の多様化、チャットボット等を活用した申請様式への記入支援など、各局の取り組みを推進する手引を年度内に作成をいたします。
 今後、来年度早期に策定する新たな都政改革ビジョンの実行方針に基づきまして、都全体では九八%を占める年間申請件数が千件以上の手続を中心にいたしまして、各局が手引を活用して行政手続の改革を進めてまいります。
 また、こうした取り組みを進めるとともに、申請の受け付け等を行う区市町村とも連携をいたしまして、より広範に住民サービスの向上を図ってまいります。

○加藤委員 次に、今回新たに策定されたスマート東京実施戦略には、スマート東京の先行実施エリアとして西新宿地区が指定されております。将来は、5Gのアンテナ設置に加え、Wi-FiやLED灯などを搭載したスマートポールの試行設置も検討されております。
 スマートポールは、数年前、我が会派も既に設置されている先行自治体を視察し、官民連携のもと、広告も活用して、財政負担のかからない整備がなされていました。これ、国内と海外の先行事例でございます。(パネルを示す)いろいろ、防犯カメラであったりとかWi-Fi、緊急放送とかUSB、そうしたものもついておりまして、海外でもいろいろなスマートポールがもう既に始まっております。残念ながら、東京はまだ一台もないということでございます。
 そして、都でも西新宿において広告などを利用した官民連携によるスマートポールの整備を進めていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を求めます。

○宮坂副知事 ご指摘のとおり、西新宿エリアでは、スマート東京先行実施エリアの一つとして、重点的にさまざまな取り組みを進めようとしております。
 来年度は、都保有アセットを活用した5Gアンテナ基地局等の整備を促進するに加えて、5GアンテナとWi-Fiを搭載したスマートポールの先行、試行設置に取り組みます。
 スマートポールの設置は、日本では限定的な取り組みにとどまっておりますが、ご指摘のとおり、既に海外の諸都市では、新しい電波の道としての実装が始まっております。
 例えば、先ほども出ておりましたが、ニューヨークのリンクNYCというサービスでございますが、百メガのWi-Fiが吹かれ、高速の通信環境が無料でセキュアな環境で提供されております。一般的に日本のWi-Fiの通信速度、パブリックWi-Fiだと二十メガぐらいというふうにいわれていますので、いかに大きな隔たりがあるかということがよくわかるかと思います。
 さらに、サイネージや災害時の緊急情報、電話機能、そしてスマートフォンなどの充電機能など、複数の機能を搭載しており、市民に加えて観光客など約六百万人の方々に活用されているというふうに聞いております。
 昨年秋の時点で、リンクNYCは千七百八十カ所に設置されておりまして、今後一万カ所まで設置を拡大するという事業計画があり、設置、運営に当たっては、サイネージ広告からの収益を充当するビジネスモデルであると聞いております。
 今後、都としてもスマートポールの設置を推進してまいりますが、まずはこうした先行事例等をしっかり参考にしながら、官民が連携して試行的に設置し、初めの一歩ではございますが、しっかりと踏み出していきたいと考えております。
 こうした取り組みを通じて得られたノウハウや知見等を取りまとめ、一つの先行モデルとして、ほかの地域への展開を図り、都内全域に電波の道を整備して、いつでも、どこでも、誰でも、何があってもつながる東京を実現いたします。

○加藤委員 さすが、民間の先端分野を担ってこられただけありまして、強い意気込みを感じました。大いに期待をしております。
 ところで、実は、この先行実施エリアの西新宿地区は、屋外広告物条例で広告禁止地区に設定されておりまして、公共交通たるバス停の広告つき上屋も設置できない状況です。ここの黄色いところが(パネルを示す)これ青は都バスがついているんですけれども、この郵便局前も屋根がないように、ちょっと広告はつくれない、いわゆる商業広告はだめというふうになっているようなんですね。
 ただ、行政広告は適用除外ということになっておりまして、都議会の議事堂前にデジタルサイネージがあると思うんですけれども、あれも行政広告ということで認められているということでございます。
 問題点だけきょうは指摘させていただいて、現行は制約がありますが、さまざま調整して、今後の整備に当たっては、都民に財政負担がかからないように、持続可能な官民連携の整備手法を検討するよう要望しておきます。
 ここまで都民サービス向上に向けまして、規制緩和や行政手続について確認をしてきましたが、これからの都政運営は、常に都民の側に立ち、社会状況や都民ニーズの変化を捉えながら対応していくことが最も重要だと考えます。
 そこで、知事に、新たな都政改革においては、明るい東京の未来を支える都庁に向けて、その変革を促すためにどういった視点で取り組むのか伺います。

○小池知事 新たな都政改革ビジョンでございますが、都庁の永遠のミッションといたしまして、都民の幸せの実現、これを掲げております。そのために、CSを追求していくことを改革の基本といたしました。
 そして、都民の満足を高めていくためには、都民ニーズをいち早く捉えまして、価値ある政策を発信する、そして機動性を持って課題を解決する都庁へと変貌を遂げることが必要でございます。
 そのため、改革ビジョンの柱の一つに行政サービスの向上を位置づけております。都民の視点に立った政策やサービスを展開するためのデザイン思考を徹底するとともに、日々刻々と変化する都民ニーズにも対応するために、アジャイルの発想を取り入れていくことといたしました。
 こうした視点を持ちまして、伝える広報から伝わる広報への転換であるとか、先ほどもご質問がありました申請のペーパーレス化、そして決済手段のキャッシュレス化、本人認証のデジタル化など、行政手続の改革を推進するなど、都民と都庁との接点を改革してまいります。
 現在の制度や枠組みを原点からもう一度見直し、そして抜本的な改革、かねてより東京大改革と申し上げておりますが、これに取り組むことで誰もが生き生きと輝く改革を実現してまいります。

○加藤委員 新たな都政改革に大いに期待をし、私もしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
 次に、東日本大震災から九年が経過をいたしました。この間、都は、被災地支援の一環として、一千キロ縦断リレーや被災地の子供たちを都内に招待してスポーツ交流を行う事業を継続して行い、公明党も全力で応援をしてまいりました。スポーツを通じて、都と被災地の人々の心のきずなが強まる取り組みを評価いたします。
 そこで、東京二〇二〇大会を契機に都民が被災地に出かけていくなど、今後も被災地復興を後押しするよう、スポーツを通じた交流事業をリニューアルして継続していくべきと考えます。今後の取り組みについて伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、東日本大震災後、継続的にスポーツを通じて被災地の復興を後押ししてまいりました。また、東京二〇二〇大会の開催決定後は、被災地の復興なくして大会の成功はないことを念頭に、より一層の取り組みを推進してまいりました。
 来年度は、被災地と東京の子供たちによりますスポーツ交流事業の集大成として、これまでの参加者の中から、都内や東北で開催されます東京二〇二〇大会の観戦にご招待をし、それぞれ現地での観戦とともに交流会を実施いたします。
 今後につきましては、これまでの取り組みの成果や被災県等の意向を踏まえながら、そのあり方について検討してまいります。

○加藤委員 次に、工業用水廃止後の対応についてでございます。
 工業用水道は、平成三十年の第三回定例会において廃止条例を可決し、令和四年度末での廃止が決定しています。昨年四月に都が策定した支援計画では、工業用水を利用する事業者に対しては、井戸の設置など節水対策に資する設備の設置を支援するとなっております。
 企業の多くが経営体力の弱い中小企業であることから、事業の廃止につながらないよう、経営への影響も最小限にとどめられるよう、利用者に丁寧に対応することを我が会派は強く要望してまいりました。
 これを受け、都では、全庁的な体制を組んで支援をしていくことが必要であり、社会状況の変化や技術革新などを考慮しながら、支援の内容について見直すべき点があれば見直していくとしております。
 特に私の地元では、皮革関連事業者が工業用水を多く利用しており、工業用水廃止による料金負担の上昇が経営を圧迫するため、十分な支援策を講じるよう、都に経営支援などの要望が出されております。激変する環境変化に全力で立ち向かっておりますが、小規模零細な事業者も多い皮革関連事業者にとっては、さまざまな対応を行っていくにも、経営資源の制約などから限界があります。
 そこで、都として工業用水廃止による影響をできるだけ少なくして、東京の地場産業である皮革関連産業が引き続き持続発展していけるよう支援をしていくべきと考えますが、見解を求めます。

○村松産業労働局長 都では、工業用水道の廃止に当たり、皮革関連事業者の経営や技術に関するさまざまな課題に対応できますよう、昨年四月、相談窓口を開設いたしました。窓口におきましては、事業者からの相談内容に応じ、関係機関と連携して、経営面、技術面の両面からきめ細かなサポートを行っております。
 具体的には、中小企業診断士の派遣による経営支援や、皮革技術センターによる上水道を利用した場合の製造過程の影響調査などの技術支援を行っております。また、上水道への切りかえに伴いまして、塩素を取り除く設備の導入が必要となる場合は、専門家によるアドバイスや設置費用の補助などを実施しているところでございます。
 こうした取り組みを着実に進めることで、皮革関連事業者の事業継続を支援してまいります。

○加藤委員 私のもとには、皮革関連事業者から、事業者間で都有地を活用した工場集約化による協力体制を構築し、すぐれた技術を生かしながら、将来にわたって事業を継続するための支援を実施してほしいという声が寄せられております。
 支援計画に沿った支援を実施することは当然のこととして、こうした支援計画で想定されていなかった支援についても、利用者の声によく耳を傾けながら検討することが必要です。
 そこで、支援計画で想定されていない支援の要望に対して、今後どのように対応していくのか見解を求めます。

○中嶋水道局長 支援計画には、上水道への切りかえ工事や料金差額補填のほか、節水対策に資する設備の設置支援などの利用者支援を盛り込んでおります。
 現在、上水道への切りかえ工事を進めるとともに、料金差額補填を実施しており、節水対策につきましては、利用者の意見や要望を把握して個別に対応しております。
 一方、一部の利用者からは、上水道切りかえに伴い、工業用水道を使用した製品の認定書の再取得経費への支援など、支援計画に盛り込まれていない要望も寄せられていることから、庁内検討会で関係各局と共有し、個別に対応策を検討しております。
 今後とも、利用者の要望につきましては個別の事情を踏まえつつ、利用者全体の公平性や負担のバランスに留意しながら、庁内検討会で検討してまいります。

○加藤委員 上水道への切りかえ期間に現行支援策の設備対策を講ずるよりも、移転をしてから設備を更新した方が経費の縮減にもなるという声もあります。利用者から要望があれば、事業者と関係局との話し合いの場を設けるなど、庁内検討会の座長である水道局が責任を持って丁寧に対応するよう求めておきます。
 最後に、使用済み紙おむつのリサイクルについて質問をいたします。
 近年、紙おむつは、高齢化の進展等に伴い需要増大の傾向にあり、それに伴い、家庭や高齢者施設等から排出される使用済み紙おむつも増加をしております。
 環境省によりますと、二〇一五年度の推計で、全国では二百二十万トンから二百四十万トンが廃棄され、二〇三〇年には約三百万トンまで増加すると見込んでおります。
 こうした中、都議会公明党は、使用済み紙おむつの民間リサイクル施設やリサイクルに取り組む自治体等の現場に足を運び、先進事例やリサイクルの現状等について調査するとともに、代表質問等を初め、議会でリサイクルの必要性について訴えてまいりました。また、国や区市町村議員とも連携して、強くリサイクルを働きかけてきました。
 その結果、国においては、使用済み紙おむつのリサイクル実施に向けた検討を進める区市町村の参考となるよう、リサイクルの取り組み事例、関連技術等を整理したガイドラインを三月中に策定する予定と聞いております。
 そこで、都においても、使用済み紙おむつのリサイクルに向けた施策を推進していく必要があると考えますが、見解を求めます。

○吉村環境局長 使用済み紙おむつのリサイクルは、資源の循環的利用の高度化に向けて取り組むべき課題でございます。
 現在、区部の清掃工場では、可燃ごみの約四%を使用済み紙おむつが占めていると推計されておりまして、今後、高齢化の進展などに伴い増加することが見込まれます。
 水分を多量に含む使用済み紙おむつの処理を焼却からリサイクルへ転換することは、炉への負担軽減や最終処分量の削減等の観点から重要である一方、実施に向けては多くの課題もございます。
 そこで、来年度、使用済み紙おむつのリサイクルに向けた実証事業を実施し、効率的な収集運搬や事業採算性などを確認するとともに、実証事業で得られた成果を区市町村等とも情報共有するなど、リサイクルに向けた取り組みを推進してまいります。

○中山副委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。(拍手)

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