予算特別委員会速記録第三号

   午後五時四十五分開議

○木村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 村松一希君の発言を許します。

○村松委員 では、よろしくお願いいたします。
 まず、新型コロナ感染症対策に関して、先ほど我が会派のひぐち議員から質問させていただきましたけれども、一部ご答弁に不十分と思われる点がございましたので、改めてお伺いをいたします。
 本日、第三弾の緊急対応策が取りまとめられました。今回の緊急対応策のうち、医療提供体制の強化、学校給食の休止への対応を含め学校臨時休業対策、島しょ特有の課題、区市町村への支援に関し、それぞれ支援の詳細を伺います。

○梶原副知事 先ほどは答弁が不十分となり失礼をいたしました。改めて答弁をさせていただきます。
 今回の緊急対応策では、医療提供体制等の強化として、都立、公社病院における感染症指定医療機関等における重症患者の受け入れ体制の整備、医療機関、社会福祉施設等に対するマスク約三百五十万枚の提供、民間病院等を活用した入院医療体制の強化、外来診療体制の強化等を盛り込んでおります。マスクにつきましては、来週配布する予定としてございます。
 また、学校の臨時休業対策として、学童クラブの午前中からの開始への上乗せの補助、臨時休校に伴う放課後等デイサービス対応に係る支援、感染拡大への影響を受けた子供食堂に対して、休止した場合の準備経費、宅配を行う場合の支援、学校給食休止に伴い発生をいたします保護者、学校給食の関連事業者に関する食材費等の負担軽減の支援等を盛り込んでおります。
 次に、区市町村への支援についてでございます。
 各区市町村では、公立小中学校の臨時休校に伴う各種負担の増大や管理する施設の臨時休館、主催するイベントの中止などに伴い、現在だけでなく、今後も多額の財政負担が見込まれるなど、これまでにない厳しい状況に置かれております。
 こうした状況を踏まえまして、都は本日、知事が安倍首相に対し、必要な補助金の創設など、区市町村の財政負担に対する特別の措置を国に要望したところでございます。
 また、都におきましても、市町村の財政需要に応えるため、新たな交付金の創設を検討することといたしました。
 また、特別区における今後の財政需要に対しましても、都区財政調整の特別交付金を活用することで適切に対応してまいります。
 島しょにつきましては、医療体制が脆弱であることなどを踏まえ、一旦患者が発生した場合にはその影響が多いため、必要な対策を講じる必要がございます。
 そのため、来島者への対応として、出発地である港湾や空港施設などでの健康に関する注意喚起を行うとともに、竹芝の客船ターミナルなどでは乗客に検温等をお願いいたします。
 また、到着地である島でも案内チラシや体調不良の申し出には検温を実施いたします。全島の港湾、空港施設において、非接触型検温器や消毒液を配備してまいります。
 患者発生時の対応として、感染症の疑いがある場合には、必要に応じて本土へ患者をヘリ等で搬送し、入院検査を行うこととしております。
 さらに、先日の区市町村の代表の皆様との意見交換の場でも要望がございましたが、区市町村に対して、都からの新型コロナウイルス感染症に関する情報の迅速かつ適切な情報提供について、その強化を図ってまいります。

○村松委員 丁寧にお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 我が会派として、今般のコロナウイルス対策に当たっては、さまざま緊急要望を何度も知事宛てに提出をさせていただきました。その要望を酌んでいただいて、今回の対策、対応策をまとめていただいたものと思っておりますけれども、我々の要望の背景といたしましては、各都民の個人の皆様、それから団体、そして島しょの方々、さまざまなその現場現場で起こっていること一つ一つ吸い上げたものをまとめて要望してまいったところでございます。
 今後もしっかりと対応していただくことを要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 まず、鉄道ネットワークについてお伺いいたします。
 今定例会、我が会派の代表質問において、国の答申で進めるべきと示された六路線など、鉄道ネットワークの実現を早期に図るべきという要望に対し、知事から関係者との協議、調整を加速し、鉄道ネットワークの充実に向けて取り組むと力強い答弁をいただきました。特に多摩都市モノレールの整備については、事業化に向けて大きな一歩を踏み出したものと理解をしております。
 そこで、常々要望してまいりました都営大江戸線の大泉学園町までの延伸について伺います。
 昨年の予算特別委員会では、混雑対策として必要な車両数を算定した上で、車両の留置施設等の整備、伴って、電力設備増設の必要性などについても検討に着手するとのご答弁をいただきました。
 大江戸線延伸の早期実現に向けて、現在の具体的な検討状況と今後の取り組みについて伺います。

○土渕交通局長 大江戸線延伸の事業化に当たりましては、将来的な需要の見通しや事業の収支採算性の確保につきまして、十分な見きわめが必要でございます。
 昨年度に行った将来の需要予測に基づきまして、延伸に伴う朝ラッシュ時の混雑を緩和するために必要な輸送力について検討しましたところ、車両の増備や留置施設の整備に加えまして、電力設備等につきましても増設が必要となることが明らかとなりました。
 これを踏まえまして、トンネルや駅の構造とあわせて、車両の留置施設の規模や機能等につきましても検討を進め、事業費を算定するとともに、延伸開業後の運行経費なども含めて収支採算性を検証してまいります。
 地元区や関係局と調整を進め、大江戸線延伸の事業化につきまして検討を深めてまいります。

○村松委員 より具体的にトンネルや駅の構造、車両の留置施設の規模や機能等について検証されたということで、一歩ずつ着実に前進していると理解をいたしました。
 これで、課題となっている収支採算性について、より具体的に検証することができると思います。事業費、運行経費をなるべく圧縮する検討をされ、収支採算の見通しをつけて、早期事業化、早期延伸を改めて要望いたします。
 次に、地域公共交通の充実について伺います。
 都においても人口減少時代に間もなく突入することが確実であり、同時に急速な高齢化も進展してまいります。公共交通利用の増加が大きく見込めない中で、高齢ドライバーが増加していくことになります。
 現在、都内では四十以上の区市町村においてコミュニティバスが運行されるなど、地元自治体が主体となった取り組みが行われてきておりますが、地域公共交通サービスの確保や維持は、近い将来、一層厳しい状況になることが想定されます。
 そこで、都が来年度実施するとしている地域公共交通の充実強化について、地域公共交通に係るこれまでの取り組みについて伺います。

○佐藤東京都技監 地域の公共交通については、地域ごとのニーズに対してきめ細かく応える必要があることから、区市町村が公共交通事業者などの関係者と緊密な連携を図りながら、主体的に取り組むことが重要でございます。
 これまで都は、区市町村が設置する地元自治体や交通事業者、道路管理者、交通管理者等で構成される地域公共交通活性化協議会等に参加し、広域的、専門的な立場から必要な助言や情報提供を行うなど、地域の取り組みに対して技術的な支援を行ってきております。
 また、高齢者、障害者等の社会参加を促進するため、区市町村が実施するコミュニティバスの導入に対し、財政的な支援を行ってきております。

○村松委員 区市町村が主体的に取り組むこととして、技術的支援をされてきたということで、一部財政的にも支援をされてきたと。コミュニティバスの導入など、区市町村はこれまでも、住民の移動手段の確保に取り組んできております。
 私の地元練馬区においても、みどりバスというコミュニティバスが地域の重要な足として六路線運行されており、さらなる充実が要望されておりますが、経費の面では区の財政負担が大きいところであります。
 練馬区のような密集した住宅街で、かつ公共交通空白地域が存在するような自治体でも収支採算がとれない状況ですから、ほかの地域でも同様であると思います。今後は既存路線を維持するのも難しく、廃止が検討されることも想定されます。
 都も一部補助を実施しているということですが、さらに財政支援を強化するなど、地域公共交通政策を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤東京都技監 誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくには、地域の特性に応じて、路線バスやコミュニティバスに加え、運行ダイヤや発着地などを柔軟に運用するデマンド交通など、さまざまな交通を組み合わせて、効率的な地域公共交通ネットワークの形成を促進する必要がございます。
 このため、来年度新たに学識経験者などから構成する検討組織を立ち上げ、都における地域公共交通のあり方や区市町村に対する支援策などについて検討いたします。
 こうした検討などを踏まえながら、区市町村が主体となった地域公共交通の充実に向けた取り組みに対し、技術面、財政面から支援してまいります。

○村松委員 区市町村が主体となった地域公共交通の充実に向けた取り組みに対しても財政面を支援していただけるということでありますので、評価をいたします。
 都の予測によれば、令和七年から人口は減少に転ずる一方、その後も高齢者はふえ続けます。今後の検討を待たず、区市町村の地域公共交通政策に係る支援を早急に実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤東京都技監 来年度は、地域公共交通のあり方の全体の検討とあわせまして、個別の地域ごとのニーズに応じたデマンド交通導入の促進に向けて、区市町村による導入調査や実証運行などに対する補助を開始することとしております。
 こうした取り組みを通じて、利便性の高い地域公共交通ネットワークの形成を促進してまいります。

○村松委員 デマンド交通導入促進に向けて、区市町村を支援していただけるということで期待をしております。
 代表的なデマンド交通として、乗合タクシーなどが全国さまざまなところで運用が始まっています。検証データが蓄積され始め、導入の検討がしやすくなっていると思います。世界の東京、都市間競争に勝つため、また、ゼロエミッション東京の実現のためには、公共交通の充実は不可欠です。
 また、高齢化が進んでいるという点でも当然、地域公共交通の充実は不可欠です。民間交通事業者と都の交通事業、さらに区市町村が運営する地域交通をミックスさせ、東京全体の交通網の充実を図っていただきたいと思います。
 冒頭お話しした大江戸線を初めとした六路線の早期事業化とともに、六路線では網羅し切れない、これからまだまだまちづくりが進むと思われる臨海地域を含めて、東京都の交通ネットワークを充実強化していただきたいと要望をいたします。
 次に、豪雨対策について伺います。
 昨年、記録的な大雨や暴風により各地に深い爪跡を残した台風十九号は、二十三区西部で総雨量約三百ミリ、多摩地域で約六百ミリの記録的な降雨をもたらしました。
 今回の台風では、これまで整備してきた河川や調節池、下水道等の施設が浸水被害の軽減に一定の効果を発揮いたしました。
 一方、同様の課題を持つニューヨーク市、シカゴ市、シアトル市、ポートランド市など海外の諸都市では、自然の持つ保水力に着目し、緑化技術と浸水対策を組み合わせるなど、グリーンインフラという取り組みが進んでおります。この研究は国内でもされており、都市の価値を上げるとともに、費用対効果の面でも有利であることが検証されつつあります。
 昨年七月には、国土交通省がグリーンインフラ推進戦略を公表していますが、残念ながら都では、現時点で積極的な取り組みがなされておりません。
 これまで我が会派として、機会を捉えて豪雨対策について要望してまいりました。昨年の第四回定例会の代表質問においては調節池の整備を、そして長期戦略への提言や、決算特別委員会ではグリーンインフラに関する検討にも取り組むべきと指摘をしたところです。
 パネルをつくってまいりました。現在やっている東京都の浸水対策ということで、土にしみ込ませるという手法では、こちらが下水道局がつくっていると思われるページをコピーしてまいりました。土に浸透させるという意味では、東京都の取り組みも同じなんですけれども、ニューヨークの場合は、さらに歩道の脇に、こちらが歩道、こちらが車道です。車道からの水がこちらの植樹帯の方に流れて浸透していくというモデルになります。
 もう一枚の方、拡大した写真を持ってまいりました。こちら側が車道ですね。車道側の流れた水がこちらの歩道側にくっついている植樹帯の方に流れて浸水対策につながっている、浸透構造になっているということになります。
 これによって、どういう土を使うかとか、どういう草を植えるかとか、そういうことも浸透に影響があるという研究がされているところであります。それが進むと、こういうまちになったらいいなというイメージを描きながら、ぜひ進めていただきたいなと思っております。
 さて、激甚化する豪雨対策を踏まえて、貯留浸透などの流域対策においても取り組みをより一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤東京都技監 雨水を貯留浸透させる施設は、雨水を地下に浸透させるグリーンインフラとして、また、水害対策の施設としての機能をあわせ持っております。
 先般の台風被害等を踏まえ、おおむね五年間の豪雨対策の行動計画として策定したアクションプランでは、河川や下水道の整備に加えまして、貯留や浸透により雨水の流出を抑制する流域対策について、さらなる促進を図るための取り組みを取りまとめました。
 具体的には、地元自治体における対策の実績や十年後の目標値を今年度内に見える化し、その達成に向けた技術的支援などを行ってまいります。
 また、公共施設への貯留浸透施設の設置を促進するため、来年度から補助対象施設の規模要件を撤廃することといたしました。さらに、モデル事業により、地形的な条件などを踏まえた貯留浸透施設の効果的な設置方法などを検証してまいります。
 今後とも、地元自治体と連携しながら流域対策を加速、強化してまいります。

○村松委員 都の取り組みとしては、流域対策が基本だと思っているんですけれども、さらに一歩進めて、できるところから徐々に、いきなりあのような、イメージのようなまちにはならないと思いますので、一つ一つ取り組みを進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、宅地開発における無電柱化の推進について伺います。
 無電柱化は、災害に強いまちづくりにも必須であります。昨年の第四回定例会の我が会派の代表質問において、無電柱化を推進するに当たり、土地区画整理事業や宅地開発においても無電柱化の取り組みを推進すべきと要望いたしました。
 これを受け、来年度予算にて、宅地開発無電柱化パイロット事業が計上されていることをまず評価いたします。対象となる事業などの詳細を伺います。

○佐藤東京都技監 大規模災害の際に、電柱の倒壊による道路の閉塞や長期間の停電などから都民を守るためには、無電柱化の取り組みを一層推進していく必要がございます。
 開発行為などのまちづくりにおいては、道路の新設と同時に無電柱化を進めることにより、低コストで効率的に整備を行うことができます。
 宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発におけるモデル的な事業を支援することにより、無電柱化を推進するために解決すべき技術面、制度面の課題を把握し、普及に向けた施策のあり方の検討を進めることを目的とした事業でございます。
 三千平方メートル未満の戸建て宅地開発において、電線事業者が将来管理する単独地中化方式により無電柱化を行う取り組みに対して、設計費及び工事費合わせて一千万円を限度として助成いたします。

○村松委員 平成三十年度、都内での開発許可件数は六百八十件と聞いております。毎年この規模で開発が進み、電柱が新設されていっては、無電柱化の取り組みはなかなか進みません。宅地開発の機会に無電柱化を進めることは、事業費の面でも有用であると考えます。
 対象事業が三千平米未満、一件当たりの限度額が一千万円とのことですが、実態に即した規模、予算にすべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤東京都技監 対象事業の規模につきましては、比較的小規模な開発では無電柱化費用が宅地価格に影響しやすいことから、三千平方メートル未満の開発を対象としております。
 また、限度額につきましては、同規模の開発における無電柱化に要した費用の事例を参考に定めております。
 今回のパイロット事業を活用しながら、電柱が新設されない取り組みを積極的に進めてまいります。

○村松委員 対象事業の規模、それから費用については同規模のものを参考にされたということで、実態に即した設定と理解をいたしました。
 今後も進めていくという技監の心強いご答弁をいただきましたので、ぜひこのパイロット事業を通して得られた知見をもとに、さらなる対策を進めていただきたいなと思っております。
 一方、既成市街地における無電柱化の取り組みもしっかりと進めていく必要があります。
 その中でも木密地域においては、災害時の避難や消防活動を支えていくため、区が実施する防災生活道路の整備とともに、無電柱化の取り組みを支援していくことが必要と考えます。
 建設局では、無電柱化チャレンジ支援事業制度を設けるなど、幅広い支援を行っているということですが、木密地域においても、都市整備局として支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤東京都技監 木密地域では、歩道のない狭隘な道路が多く、震災時の消火、救援活動や避難を円滑にするため、防災生活道路における無電柱化を推進していくことは重要でございます。
 このため、都は、防災都市づくり推進計画におきまして、無電柱化検討路線を位置づけており、各区において、地上機器を公園や民有地などへ設置するなど、道路機能を確保するため、工夫を加えながら無電柱化を進めております。
 その際、区は、無電柱化チャレンジ支援事業制度も活用しながら取り組んでおりますが、道路区域外での整備は対象となっておりません。
 このため、都として来年度から、道路区域外における地上機器の整備などを実施する地元区に対して、新たに補助を行うことといたしました。
 こうした取り組みにより、木密地域における無電柱化を加速させてまいります。

○村松委員 またさらに一歩前進した無電柱化対策を進めていただいていると理解をしております。
 木密地域は特に道が狭く、電柱があるために日々の通行でも危険な箇所が多くなっております。そもそも道路に空き地がありませんから、無電柱化を行いたくても地上機器が設置できません。
 そこで、道路区域外の公園や民地等の確保など、道路区域外における整備についても来年度から支援をするということであります。
 無電柱化の取り組みは、道路事情によってさまざまな課題があると思います。その一つ一つをクリアして、電柱のない東京を目指して取り組むことを改めて要望いたします。
 次に、自転車走行空間について伺います。
 無電柱化は安全な歩行空間の確保としても機能しますが、さらに、自転車の通行空間を整備していくことが重要と考えます。
 自転車は、子供から高齢者まで、日々の通勤通学や買い物など手軽に利用される交通手段であるだけでなく、環境に優しく、健康増進に役立ち、公共交通の補完的な利用も期待できます。
 都は現在、東京二〇二〇大会の競技会場や主要観光地周辺で、自転車推奨ルートの整備を進めています。今後は、国や区市等と連携し、自転車通行空間のネットワーク化をさらに進めていくべきと考えます。
 そこで、自転車通行空間整備における来年度の整備予定と今後の取り組みについて伺います。

○三浦建設局長 自転車は、都市内の有効な交通手段の一つであり、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車通行空間の整備を進めることが重要でございます。
 都は、東京都自転車走行空間整備推進計画等に基づき、自転車通行空間の整備を進めておりまして、令和二年度は永代通りや東八道路など約二十三キロメートルを整備いたします。
 今後は、国道、都道、区市道等を連続させた自転車通行空間の整備をさらに進めていくため、国や区市等の関係機関との調整会議を活用するなど、都内全域でのネットワーク化に取り組んでまいります。
 引き続き、誰もが安全で安心して利用できる自転車通行空間の整備を積極的に推進してまいります。

○村松委員 ありがとうございます。都内では区境を越えたシェアサイクルなどもかなり進んできております。こうしたことからも、自転車通行空間のネットワーク化、非常に重要であります。一層進めていただくことを強く要望いたします。
 次に、屋外広告物条例の一部改正について伺います。
 プロジェクションマッピングは、高度な技術を駆使した演出手法として注目され、近年、活用が拡大してまいりました。
 一方で、屋外でのプロジェクションマッピングは屋外広告物規制の対象となることから、面積の要件や道路またぎでの投影ができないなどの制限があり、にぎわいの創出などにおいて柔軟に活用できないという課題がありました。
 我が会派の本橋議員から、昨年、第四回定例会の一般質問において、屋外広告物条例における取り扱いを改正し、プロジェクションマッピングの活用を推奨しつつ、適切な運用がなされるような新たなルールづくりをするよう求めてまいりました。
 都は、規制緩和に向けて、昨年、実証実験を実施し、景観、周辺環境、安全性への影響などを検証した上で、今般、条例改正を行うということで、評価をいたしております。
 東京二〇二〇大会に向けて、プロジェクションマッピングのような新しい広告技術に対応できるよう、柔軟な環境整備を進め、国際競争の中での首都東京の魅力をさらに高めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京の夜に新たな楽しさとにぎわいをもたらすプロジェクションマッピング、その活用を促進するために、東京二〇二〇大会も見据えまして、今般、条例改正を行うこととしたものでございます。
 この改正によって、交通安全に支障がない場合は、道路をまたぐ投影ができるようになります。公益的なイベントなどにつきましては、簡便な手続で建物の壁面全体への表示もこれで可能となることであります。
 新設されますプロジェクションマッピング活用地区でございますが、まちづくり団体等が地域特性に応じて定めたルールに基づき、柔軟な運用が可能となります。
 都といたしましても、この民間事業者等と連携をいたしまして、プロジェクションマッピングを活用したイベントを開催、その裾野の拡大につなげまして、魅力あふれる東京をつくり上げていきたいと考えております。

○村松委員 今後、実際の運用状況を見ながら、夏場のイベントや観光振興など、プロジェクションマッピングの活用による都内のにぎわいの一層の充実に資する取り組みを期待しております。
 次に、旅券課窓口におけるサービスの向上について伺います。
 この議会棟の地下にあるいわゆるパスポートの窓口ですけれども、長蛇の列ができていることをよく見かけます。ここにいらっしゃる方は皆さん見ておられると思うんですけれども、この列を見るたびに、私はパスポートの更新時期が怖いなと思ってしまうんですが、パスポートの申請件数についてお伺いしたところ、年々増加をしていて、平成三十年度実績では約七十八万件にも及んでいるということです。
 パスポートは、海外においてみずからの身分を証明するもので、成り済ましなどによる不正取得があってはなりませんから、審査は厳格に行うべきであります。しかしながら、IT化が進んでいる世の中で、あの長蛇の列はいかがなものかと思います。
 都民サービス向上の観点から、待ち時間の縮減や待ち時間の環境整備を図る必要があると考えますが、都の取り組みについて伺います。

○浜生活文化局長 都は、旅券の申請に係る待ち時間の縮減に向け、事前確認窓口を増設するとともに、スタッフの増員、混雑状況に応じたスタッフの柔軟な配置、一件当たりの処理時間の短縮などに取り組んでまいりました。
 また、待ち時間に記載漏れなどをみずから確認するためのチェックリストの導入や、都事業のPR動画を放映するためのモニター設置などを行い、待ち時間を有効に活用していただけるようにいたしました。
 来年度は、旅券申請窓口の増設やスタッフのスキルアップなどにより、待ち時間の一層の縮減を図るとともに、新たに、混雑状況のリアルタイム配信やメールによる呼び出し機能を導入いたします。
 これらの取り組みによりまして、旅券の窓口における都民サービスのさらなる向上に努めてまいります。

○村松委員 混雑状況のリアルタイム配信とメールによる呼び出し機能、行政では今までに取り組んだことがないのではないかと思います。しっかりこうしたものを活用して、改善を進めていっていただきたいと思います。
 次に、東京水道長期戦略構想二〇二〇について伺います。
 水道は、都民生活において重要なインフラであります。だからこそ、我々は、水道事業の持続可能性について責任を持って議論しなければならないと考えています。
 今後、水道事業を取り巻く環境は、厳しさが増していくことはいうまでもありません。そうした環境を乗り越えて、水道事業を持続可能なものにするため、東京水道長期戦略構想二〇二〇を打ち出したものと理解をしております。その中では、政策連携団体への業務移転の強化が示されております。
 そこで、政策連携団体に業務を移転することによって、どのような効果を想定しているのか伺います。

○中嶋水道局長 都の水道事業は、広域的な水道システムの構築と料金の統一化を通しまして、区部と多摩地区を一体的に運営しております。
 その上で、これまで、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託するとともに、水道事業の基幹的業務は当局と政策連携団体が担うグループ経営を推進しており、多摩地区の市町が行っておりました業務を団体が担い、区部につきましても団体への業務移転を順次拡大し、公共性と効率性を両立させてまいりました。
 今後も引き続き、当局の責任のもとで、このグループ経営を継続し、団体への業務移転を強化することで、さらなる効率化などの効果が見込まれると考えております。
 こうした経営基盤強化を図ることなどによりまして、今回の長期構想の素案では、安定給水のための施設整備を着実に進めつつ、現行の料金水準を維持し、二〇四〇年代まで健全経営が可能と見込んでおります。

○村松委員 効率化の効果が見込まれるというご答弁をいただいたんですが、この長期構想において、局から、官民連携における削減額、一億円から一億五千万円と聞いております。
 五千億円を超える予算編成を今審議しているわけでありまして、大きな経営改革をなそうとしている中で、業務移転による経費削減が年一億円から一億五千万円というのは、極めて少ない目標であると考えますが、水道局長の見解を伺います。

○中嶋水道局長 長期構想の素案の財政収支見通しで掲げております経費の削減額は、業務移転による当局側の経費削減分として、二〇三〇年度までは年一・五億円、二〇四〇年度までは年一億円、二十年間で合計二十五億円を見込んでおります。
 これに加えまして、団体側の経費の削減額として、二団体の統合当初の効果で、間接部門の人員削減、情報システムの統一化などによりまして、年約二億円を見込んでおります。
 さらに、今後は、新たな性能発注方式や技術系業務と営業系業務を一元的に委託する包括委託の導入などによりまして、スケールメリットを生かした柔軟な人員配置、技術力や経営ノウハウを活用した業務の実施など、団体の創意工夫を促し、一層の経費削減を図ってまいります。
 その具体的な削減額につきましては、今後、契約方式の検討を進めていく中で精査をしてまいります。

○村松委員 大きな経営改革を進めていくわけですから、経費の削減についても、事業の見直しにより、まだまだ可能であると思います。今後、一層の経費削減を図っていくということですから、ぜひご報告をいただきたいと思います。
 水道事業は、都民生活の根本であります。そこで、東京の水道を持続可能なものにするためには、経営基盤の強化を進める必要があります。
 改革を進めるに当たっては、その効果を明確にし、都民の理解を得ながら進めるべきと考えますけれども、局長の見解を伺います。

○中嶋水道局長 今回の長期構想の素案は、現在、議会でご審議いただくとともに、パブリックコメントも実施しておりまして、今後いただきました貴重なご意見を反映させた上で、二〇四〇年代を見据えた東京水道の長期構想として策定をいたします。
 この素案では、安定給水に必要な施設整備を着実に推進しつつ、健全な財政運営を維持していくため、現状分析と将来予測を行った上で、ソフト、ハードにわたる事業目標と、その見込まれる効果を掲げております。
 今後、長期構想として策定の後は、二〇二一年度から五年ごとに策定いたします事業計画及び財政計画を定めた中期経営プランにおきまして、目標管理を徹底し、その効果を明確にすることで説明責任を果たし、都民や議会の理解を得ながら、持続可能な東京水道の実現を目指してまいります。

○村松委員 局長から力強い今後の改革についての思いを語っていただいたと思います。ぜひ我々議会もしっかりと提案をし、一緒に進めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、住宅マスタープランについてお伺いします。
 住宅政策本部は、東京都住宅マスタープランに定める目標の達成に向けて、都の住宅政策を一層加速し、機動的に展開していくため、設置されたと認識をしております。
 その中には、空き家施策、民間住宅の活用、住宅セーフティーネットなど、都民の住宅環境を守り、さらに向上させていく重要な政策が入っております。
 全国的に人口は減少傾向にありますが、都内の人口はいまだ増加傾向にあり、政策企画局の推計によれば、令和七年から都内の人口は減少に転じることとなっています。少子高齢化が進み、都の住宅政策のあり方も変わってきていると思います。
 そこで、住宅マスタープランの策定に向けて、現行計画ではどういった視点で策定され、それに対してどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。

○榎本住宅政策本部長 住宅マスタープランは、住宅政策審議会からの答申を踏まえ、策定しております。
 平成二十九年三月に策定いたしました現行計画は、住宅政策の基本方針を豊かな住生活の実現と持続とし、既存ストックの有効活用、多様な主体・分野との連携、地域特性に応じた施策の展開の三つの点に着目しながら、設定した八つの目標の実現に向け、施策を展開していくとしております。
 取り組みでございますけれども、具体的には、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例の制定、空き家対策事業の充実や都営住宅における若年ファミリー世帯の入居促進など、計画に掲げた施策を着実に推進しております。

○村松委員 住宅セーフティーネットの中心的な役割を果たしているのが都営住宅だと思います。
 予算書を見ますと、住宅政策本部所管歳出予算の中で、一般会計が三百七十三億円に対して、都営住宅等事業会計が千六百八十五億円と、事業規模の大きさの違いは明らかです。
 一昨年の都市整備委員会において、我が会派の両角議員からも指摘させていただいておりますが、都営住宅の役割は時代によって大きく変わっていると思います。都営住宅のあり方を考えるに当たって、民間住宅の状況も勘案しなければなりません。
 パネルを用意してまいりました。まず、青が世帯数ですね。一九八八年の世帯数、四百三十六万に対して、住宅の供給戸数は四百八十一あると。二〇一八年は六百八十五・六万世帯、住宅数が七百六十六とイメージどおりに伸びているわけですけれども、その間の都営住宅の戸数でいうと、三十年前は二十三・七万戸で、二〇一八年が二十五・二万戸と、この割合でいえば横ばいといっていいのではないかと思っています。近年では微減という状況かと思います。
 では、民間の空き家との差はどうかということで、民間の空き家は三十年前は四十一・一だったと。それが三十年たった二〇一八年、平成三十年には八十一万戸と約二倍に伸びています。こうしたことを鑑みると、空き家の活用というのは切っても切り離せない課題だと思っております。
 民間では一棟を借り上げて社宅にするケースがありますけれども、同じように都営住宅としても活用できるのではないかということを提案させていただきます。民間賃貸空き家が多い状況を鑑みると、都営住宅を補完するものとして民間の空き家を活用すべきという点は要望させていただきます。
 住宅のセーフティーネットとして、都営住宅の役割は大きいと先ほど申し上げさせていただきました。都内でも社会経済情勢や地域特性が多様であります。都心部、区部周辺部、多摩地域、各地域の状況を勘案して、都市のありようを踏まえた都営住宅のあり方を検討していく必要があると思います。
 加えて、今後、人口の高齢化、世帯の単身化、将来の人口や世帯数の減少が見込まれる中、次の住宅マスタープラン策定に当たっては、社会経済情勢の変化に呼応し、新たな時代にふさわしい都営住宅のあり方を考えていくべきです。
 さらに、都営住宅は建てかえに時間がかかることや、建設してから五十年以上使うことを考えれば、長期的な視点に立って、五年、十年後の住宅マスタープランを考えるべきと考えますが、見解を伺います。

○榎本住宅政策本部長 今後の住宅政策におきましては、未来の東京戦略ビジョンに基づき、目指すべき二〇四〇年代の東京の姿を実現していくため、公的住宅の建てかえをてこにまちを動かすプロジェクトや、都市型課題であります老朽マンション対策など長期的な取り組みが重要であると認識しております。
 そのため、今後、新たな住宅政策について、住宅政策審議会に諮問し、委員からご指摘がございました人口や世帯数の見通し、民間賃貸住宅、空き家等住宅市場の状況などを的確に把握しながら、長期的な視点も考慮しつつ、審議会でのご議論を経て、来年夏ごろに答申をいただく予定でございます。
 その答申を受けまして、戦略ビジョンや今後策定予定の長期戦略を踏まえ、来年末を目途に新たな住宅マスタープランの策定を目指してまいります。

○木村副委員長 村松一希委員の発言は終わりました。(拍手)

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