予算特別委員会速記録第三号

○木村副委員長 池川友一理事の発言を許します。
   〔木村副委員長退席、委員長着席〕

○池川委員 子供の権利を尊重する立場から、子供の権利と都立高校の校則について質問したいと思います。
 当事者の高校生、試行錯誤しながら子供の権利の視点から改善を進めている事例について、この間、関係者からお話をお伺いしてまいりました。
 きょうは残念ながら傍聴に来られませんでしたが、高校生がインターネット中継でこの質問を見ています。知事にもぜひいろいろとお伺いしたいと思いますので、率直な答弁をよろしくお願いいたします。
 私は、昨年六月の本会議の一般質問で、生まれつきの髪の色を染めるか、切るかしないと授業を受けさせないという事例を紹介し、こうした人権侵害をなくすべきだと求めました。
 その後、東京都教育委員会は、昨年九月、人権尊重の理念に立った生活指導のあり方についてという通知を出しました。
 そこには、問題行動に対する指導を含め、全ての教育活動は、生徒の人権の尊重を基本として行うこと、生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わないことなど、明文化された重要な内容となっています。
 この通知を出して以降、どのような対応をされてきたのか、また、これからどのような対応を行うのかについてお伺いをいたします。

○藤田教育長 校則に係る指導は、生徒一人一人の状況を踏まえ、学校が生徒及び保護者と信頼関係を構築し、丁寧に行うべきものでございます。
 そのため、都教育委員会は、昨年九月に都立高校等に対し、人権尊重の理念に立った生活指導のあり方についてを改めて通知したところでございます。
 本通知の発出後、校長及び副校長を対象とした連絡会や、指導主事等が学校を定期訪問した際に、生活指導担当の教員等に対して本通知の趣旨等を説明したところでございます。
 引き続き、各学校に人権尊重の理念に立った生活指導の徹底を図ってまいります。

○池川委員 人権尊重が基本だということを改めて確認をいたしました。
 私たち日本共産党都議団は、都立高校、都立中高一貫校後期課程の校則等を情報公開請求で入手し、全百九十一校中、提出のあった百八十四校について、特に子供の権利、人権という視点から調査分析を行い、その内容を三月五日の記者会見で発表いたしました。
 例えば、頭髪についてです。
 頭髪について、全日制では八割を超える学校で規定がありました。頭髪というのは人権と深く結びついています。
 私は、高校生や大学生からお話を聞いてきましたが、髪型は、アイデンティティーにかかわるもの、自分らしくいられることが校則で禁止されている人にとっては毎日が我慢の日々になる、終わりの見えない三年間になってしまう、そういうところを理解してほしいと。そういう意見がありました。こうした意見を真剣に考慮すべきです。
 具体的に聞きたいと思います。こちらのパネルをごらんください。お手元では資料の一ページ目になります。高校生の写真を使うことがちょっと難しかったために、便宜上この写真を使っていますが、頭髪ということでぜひご理解をいただきたいというふうに思います。
 知事、率直に伺いたいと思うんです。A、B、Cと三つの髪型がここには示してあります。この中で、校則で禁止されている髪型はどれだと思われますか。また、認められていないとすればどのような理由だというふうに思われますか。知事の率直な認識を伺いたいと思います。

○藤田教育長 今、外見でお示しされたものでございますと、一概にはどれということでは申し上げられないというふうに思います。

○池川委員 知事はどうですか。これをごらんになって、都立高校の校則で、これは禁止されているなと思われるものはありますか。いかがですか。

○藤田教育長 校則は、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくことができるよう、必要かつ合理的な範囲で遵守すべき学習上、生活上の規律として、校長の権限と責任において定められているものでございます。
 また、校則は、生徒の実態や卒業後の進路、地域や保護者からの要望なども踏まえて学校ごとに定めておりますことから、全校一律ではございません。
 したがいまして、ただいまのご質問には、なかなか率直にお答えすることができないと思っております。

○池川委員 お示しした髪型は、都立高校の中で禁止をされている学校がある。もちろん一律に全部ということではありません。しかし、禁止をされている都立高校があるものを並べたということです。明確になぜだめなのか説明できないことに、この問題の大きな問題があると思います。
 実際に、なぜこの髪型はだめなのかという生徒からの質問に対して、教師の側からは、ルールで決まっているから、校則で決まっているからの一点張りであったという話が幾つも寄せられております。先生の側も、なぜこの髪型はだめなのか、そういう答えに窮しているというのが実態だと思います。
 先ほど示した資料のAになっているところは、いわゆるツーブロックというものです。校則を見ていると、ツーブロック禁止という校則は一定数あります。ツーブロックは、かなり広い定義の髪型として今、定着していると考えます。それを全体として禁止していることについて、何で禁止をされているのかという声がたくさん寄せられています。実際に、そのことによって指導を受けている生徒もいらっしゃいます。
 なぜ、ツーブロックはだめなんでしょうか。

○藤田教育長 先ほども申し上げましたが、校則は、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくことができるよう、必要かつ合理的な範囲で定められた学習上、生活上の規律でございます。
 お尋ねの髪型につきましては、それを示している学校もございますけれども、きちんと類型を示しまして生徒に伝えているところでございまして、その理由といたしましては、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます。

○池川委員 つまり、今の話は、ツーブロックにすると事件や事故に遭う可能性があると。率直にいって意味不明ですよ。驚きの答弁だと思います。ツーブロックだと事件や事故に遭うという、トラブルに遭いやすいという、そんなデータが一体あるんですか。
 しかも、トラブルに遭ったのは、あなたの髪型に問題があるというメッセージとして伝わりかねません。
 ツーブロックは、社会全体で広く受け入れられている髪型であり、中高生のみならず、一般的に、若い世代でも、働いている方々の中にも、清潔感ある髪型として実際に受け入れられているのが今、実態だと思います。
 ツーブロックを校則で禁止するということは、率直にいって、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものとはいえないというふうに思います。まさに学校の中の独自のルールになっていると考えます。
 学校が生徒の意見を聞くことなく、高校生というのはこういうものだと、うちの学校では校則でこう厳しく指導するなど、さまざまいっていることがありましたが、それを守らせることに重きが置かれた生徒指導になれば、生徒との信頼関係は築くことができないと思います。
 とても人権尊重の理念が大切にされているとはいいがたいと思います。少なくとも、頭髪を初めとする規定について、生徒の意見を聞くことは不可欠です。生徒の意見を含め、本当に必要で合理的な決まりなのか、議論し、見直すべきだということを求めておきます。
 頭髪について……(藤田教育長発言を求む)質問していないです。頭髪について、さらに課題があります。
 それは、生まれつき髪の色が明るかったり、癖がある場合に、あらかじめ地毛証明書、地毛届を出さなければならないという課題です。
 私たちの調査では、ある学校では、新入生説明会中、教師が茶色い頭髪をチェックし、説明会後に呼び出しをして別室に移動してもらい、改善をする指導が行われている等もありました。
 また、地毛の色が茶系の場合は地毛申請(指定用紙あり)が必要とか、頭髪について、生まれつきの癖毛や髪の色の薄い者は入学時に届け出を出すとか、地毛がもともと変色している者は地毛届を生活指導部に提出することなど、とても任意だと思えない学校がありました。
 都教委は地毛証明書は任意だと説明をされていますが、校則等で提出させる、とても任意だと思えないようなものがありますが、この点についてはどう対応されるんでしょうか。

○藤田教育長 お答えの前に、先ほどツーブロックの件は、各学校におきましては、きちっと、過度な髪型でないということでいっておりますので、社会の方のこちらに示されているものとは若干違っておりますので、そのことだけ申し上げておきます。(池川委員「過度なと書いてあるところもありますけどね」と呼ぶ)はい。
 それから、ただいまの頭髪に係る届け出についてお答えいたします。
 都立学校等は、各校の生徒の実態に応じて校則を定めておりまして、頭髪につきましては、生来の髪の毛を大切にする観点から、校則で染色やパーマ等の加工を行わないことを定めている学校がございます。
 この頭髪に係る届け出は、この趣旨は、学校側が生徒の生来の頭髪の色に対して誤った事実認識によって指導を行わないようにすることを目的として、必要に応じて提出を求めているものでございまして、提出は任意でございますし、提出の際は、生徒、保護者に事前に説明をして理解を得て、提出していただいているものと考えております。

○池川委員 とても任意ではないと思える規定があるということを私は紹介して、どうするんですかと聞いたのに対して、任意ですという答弁はとても不誠実だと思います。
 現実として何が起こるのか。黒髪ストレートの生徒の場合は、もともと地毛証明書を出す必要はありません。一方、色が明るかったり、癖毛のある生徒は、任意であっても地毛証明書を出すことになってしまうわけです。しかも、それが、間違って指導しない、誤って指導しないということになれば、それを拒否することはなかなか難しいというのが実態だと思います。
 つまり、学校の決めた標準から外れている、あなたは標準ではなく異端であるということを示すものに実際なっているということは受けとめていただきたいというふうに思います。
 実際に異端とみなされてしまう、本来は一人一人違うことなどが当たり前なのに、学校が求める普通とは違うというふうにみなされてしまうことは、私は、人権尊重の理念に立った生徒指導とはとてもいえないというふうに思います。
 実際にお話をお伺いしてまいりました。聞いてきた話です。よく聞いていただきたいと思うんです。軽度のアルビノ、先天性白皮症で、生まれつき栗色の髪だった方からお話を伺いました。知事もぜひ聞いていただきたいと思うんです。
 通っていた公立中学校は、制服はもちろん、髪型にも細かな指定がありましたし、髪どめのゴムの色にも指定がありました。もちろん髪を茶色く染めるなどの染髪も禁止です。それでも、両親が事前に私のこと、事情を伝えていたため、髪を黒く染めるようになどといわれたことはありませんでした。髪のことや校則のことを考え始めたのは高校生に入ってからです。入学した都立高校では、すごく自由な校風で、学校で髪型、髪の色などは自由だった。義務づけられた制服もなく、ふだんの服装は自由だったということです。
 先輩は、茶色、金髪、赤もピンクも緑もいる、ある先輩はレインボーカラーに染めていたと、そういう話もありました。そういう中にいると、すごく居心地がよかった、今までは特例として浮いた存在だったけれど、それが高校では、いわゆる普通の子にも多様性が許されているために、私が当たり前の存在に変わったんだというふうにお話をしてくださいました。
 知事、どうですか。学校を含め、東京の子供たちの過ごす場所で一人一人が尊重されること、違いを認め合うことがとても重要だと思いますが、知事、いかがですか。

○藤田教育長 先ほど来、るるご質問等をされておりますけれども、都立高校等が行う頭髪に関する指導につきましては、生来の頭髪を一律に黒染めする指導は行わないこと、保護者から生徒の髪が生来のものであることを書面により届け出をいただいている、そういったところで、一人一人の人権を尊重しながら、個別に解決しているところでございます。
 先ほど来申し上げておりますが、校則というのは一定の目的がありまして、集団生活を営む上で、これはなくてはならないものでございます。
 校則も、先ほどおっしゃられましたように、都立高校でも、ほとんど、校則が全くないとか、学校内では上履きを履くことぐらいしか書いていないところもたくさんございます。ですから、そういうところは頭髪も一定の自由があるところもあると思います。
 そのことは生徒一人一人の責任も伴うものでございますので、先ほど来申し上げていますように、外見で事件や事故に巻き込まれる可能性等も地域によってはございますので、そういったところで校則を定めているものでございますので、ぜひともご理解を賜りたいと思います。

○池川委員 質問は、こういう多様な社会において地毛証明書を出すことは異端ではないですかと。そういうことについて、きちんと認識を持った方がいいと思います。
 岐阜県に伺ってまいりました。岐阜県では今、校則の見直しを進めています。
 必要性、合理性の乏しいルールを維持することは、生徒にとっても、確認する先生にとっても不幸でしかなく、教職員の無駄な仕事を減らす働き方改革の観点からも、積極的な見直しをお願いしたいと。これは、県教委が校長会の場で依頼をした文書の一部です。重要な視点だと思いますし、実際、都教委の皆さんも、こういう視点は持たれていると思うんです。
 校則は、先ほど来お話がありました文部科学省の生徒指導提要、その中で必要かつ合理的な範囲内で定めるものとされており、私の昨年の質問に対しても、生徒の意見や保護者の意識、社会状況等を踏まえ、適宜、校則の見直しを行うことが必要だと答弁をされています。
 生徒指導提要でも、話し合いの機会を設けること、また、アンケートをとること、校則の見直しは、校則に対する理解を深め、校則を自分たちのものとして守っていこうという態度を養うことにつながり、児童生徒の主体性を培う機会にもなると書かれています。
 どうやったら校則を変えることができるのかについて、明確にしていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○藤田教育長 校則は、生徒の状況に応じまして、必要かつ合理的な範囲で、遵守すべき学習上、生活上の規律として、校長の権限と責任において定めるものでございまして、その中には生徒の安全を守ることを目的としているものもございます。
 先ほどの文部科学省の提要の件でございますが、それは、一つの、生徒の意見、それから保護者のアンケート等を聞く方法があるという事例の紹介で、確かに記述がございます。
 私どもも、校則に関しましても、絶えず見直しを行うべきだと思っておりまして、今後とも、生徒一人一人の状況を踏まえ、学校と生徒及び保護者との信頼関係に基づいた生活指導が一層行われるようにやってまいりますし、こうして定められた校則につきましては、絶えず見直しを行いまして、生徒の意見や保護者の意識、社会の状況等を踏まえ、適宜見直しを行うことが必要だと考えておりまして、そのように学校側も指導しているところでございます。

○池川委員 見直しのためには、子供の意見を聞くこと、保護者の声を聞くこと、そして校則等を学校の中だけのルールとせず、社会からも見えるようにすることがとても重要です。その意味では、校則のホームページ公開がこの間、幾つかの自治体で広がっていますが、都としてもやることを求めておきたいと思います。
 同時に、国際的には、日本の状態は極めておくれたところにあることを指摘せざるを得ません。
 国連からは、意見の形成をすることのできるいかなる子供に対しても、年齢制限を設けることなく、その子供に影響を与える全ての事柄について自由に意見を表明する権利を保障し、かつ、子供の意見が正当に重視されることを確保するよう促すと勧告があります。
 主権者教育が進んでいるスウェーデンの小学校の社会科の教科書には、今と昔の学校では似ているところもあります、例えば、読み、書き、計算が大切であることは今も昔も変わりません、ただ、今の学校では、生徒の意見を聞き、彼らと話し合い、彼らにかかわる決定に影響を与えるのが先生や職員の仕事となっています、この点は昔と違う大切なことです、このような聞いてもらう権利は学習指導要領に定められています、つまり、全ての生徒は生活に関する規則について話し合い、決定することなどができるのです、学校における決定に影響を与えることができるというのは大切なことです、そこで生徒たちは民主制の機能の仕方を理解するのですと、こういう記述が小学校の教科書に載っているわけですね。
 こういうことを小学生のうちから学ぶ、こういうことこそ、まさに主権者教育なのではないかと思います。
 知事、施策の当事者である子供の意見を聞き、尊重することは重要だと思いますが、知事、いかがでしょうか。

○小池知事 お答えいたします。
 子供は、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在でございます。そして、あらゆる場面で権利の主体として尊重される必要があると考えます。
 また、子供の年齢とか発達の程度に応じまして、その意見を尊重するとともに、子供の最善の利益が、最善、最もよい利益が最優先されなければならない、このように考えております。

○池川委員 すごい重要な認識だと思うんです。学校を含めて、東京で育つ子供が権利の主体として尊重され、その意見が正当に重視をされる、ぜひそのためのイニシアチブを知事にも発揮していただきたいと思います。
 今、高校生や若者が校則をよくしよう、変えていこうと動き出しています。こうした子供たちの意見が真剣に考慮され、正当に重視されることが必要です。
 同時に、こうした取り組みは学校だけではできません。保護者や地域など、社会の問題として捉える必要があります。子供が権利の主体として尊重されるため、私たち一人一人が問われていると思います。東京都が子供の権利を重視し、子供の権利条例の制定を含め、先駆的な取り組みを行うことを強く求めておきたいと思います。
 次に、シルバーパスの問題について伺います。都県境を越える路線についてです。
 いかに実態が切実なのか、資料では二枚目、そしてこちらのパネルをごらんいただきたいと思います。
 私の地元町田市は、神奈川県横浜市、川崎市、相模原市の三つの政令市に囲まれています。JR横浜線、小田急線、京王線などが市内を走っていますが、どれも都県境のぎりぎりを走っています。
 都内全域で都県境を越えるバス路線は約百八十ありますが、三分の一の約六十路線が町田市内にあります。都県境の問題は本当に切実な課題になっています。
 例えば、横浜線と京王線が交差する橋本駅には、町田市内から十八系統のバスが乗り入れています。町田市内の医療機関から紹介されて病院にかかったり、買い物に行くなど生活圏として利用されているわけです。しかし、この橋本駅に行こうと思うと、二つ手前のバス停が神奈川県になってしまうためにシルバーパスが使えず、初乗り料金百八十円を払うことになってしまうと。
 また、横浜線の古淵駅、二つの大型スーパーがあり、買い物に行く方がとても多い駅になっています。しかし、ここもあと一つというところのバス停で都県境を越えてしまうために、料金が発生する。実際には、そこでおりられて、料金が発生しないところから歩いて駅まで行かれる方もいらっしゃいます。
 さらに、次のパネル、資料では3をごらんいただきたいと思います。
 これは、小田急線鶴川駅から稲城市にある京王線若葉台駅に向かうバス路線です。終点手前の三つのバス停は神奈川県川崎市になります。そこでおりるとシルバーパスが使えず、実際には駅の構造上、京王線若葉台駅に一番近い下黒川というバス停で、シルバーパスの方はおりることができません。そういう実態になっています。しかも、長く乗った若葉台駅、終点まで行くと、逆にシルバーパスが使えるようになるということになっているんですね。
 都県境を越えて利用できないということは大きな課題だとは思いませんか。また、このように長く乗った方がシルバーパスが適用され、無料になるというのは、明らかに制度の矛盾だと考えますが、知事、いかがでしょうか。

○内藤福祉保健局長 ただいま委員からパネルでるるご説明いただきました。
 それを矛盾と見るかどうかというのは、今のルール、制度の中ではそういう形で運用させていただいていると、こういったものでございます。

○池川委員 それでは、局長に伺いたいと思うんですけど、都県境を越える路線について、条例上です、条例上、シルバーパスを利用できないという規定はありますか。条例上、あるかないかでお答えいただきたいと思います。

○内藤福祉保健局長 シルバーパスの運用につきましては、一般社団法人東京バス協会が主体となって行っている事業でございまして、都は、その事業に必要な費用を補助しております。(発言する者あり)東京都シルバーパス条例及び……

○本橋委員長 静かにしてください。

○内藤福祉保健局長 同条例施行規則では、このシルバーパスの利用交通機関は都営交通及び路線バスとなっておりまして、また、民間の路線バスの通用区間は東京都の区域内とされております。

○池川委員 つまり、条例上、できないという規定はないんです、ないんですよ。これははっきりさせておきたいと思うわけです。
 交通局長に伺いたいと思います。
 都営交通で都県境を越える路線はどのぐらいあるでしょうか。あわせて、その都県境を越えた都営交通の場合、都県境を越えた路線でもシルバーパスが利用できるかどうかについても伺いたいと思います。

○土渕交通局長 都営地下鉄では、新宿線の本八幡駅が千葉県市川市に所在するため、篠崎駅から本八幡駅の区間で都県境を越えます。
 また、都営バスでは、青梅市内を運行する梅74系統につきまして、都県境を越え、埼玉県飯能市内を走行する区間が一部、これは二つの停留所ですが、ございます。
 なお、都営地下鉄、都営バスとも、都内外にかかわらず全路線で利用可能となっております。

○池川委員 つまり、都営交通の場合は、都営新宿線の本八幡駅での乗降や青梅市内の梅74系統、ここは上畑、下畑という二つのバス停があり、また、区間は全てフリー乗降区間ですから、どこでおりても、県でおりた場合にシルバーパスが利用できるということです。一方で、民間バスは利用できないということに、これは条例上ではなく施行規則でなっているわけです。
 少なくとも都県境の課題についてどのようなニーズがあるのか、この実態把握が必要だと思います。
 来年度、シルバーパスに関するさまざまな調査を行うというふうにいわれているわけですから、少なくともこの都県境についても、住む方等の利用実態についてきちんと調査をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○内藤福祉保健局長 都が幅広い年代の都民とパスの利用者を対象に行いましたシルバーパス制度に関する二つの調査では、制度に対する都民の考え方等や利用状況について、その概要を把握することができました。
 その一方で、今回の調査への回答の背景にある高齢者を取り巻く環境や地域の状況などにつきまして、さらに把握する必要があることも明らかになったことから、今後、区市町村における高齢者の社会参加促進のための取り組みや課題、将来の利用者となる世代の意識や意向などについて、その把握を進めてまいります。

○池川委員 その調査項目の中に、ぜひこうした実情も踏まえて調査を行っていただきたいということは重ねてお願いをしておきたいと思います。
 シルバーパスは、きょう質問した都県境を越える路線への適用以外にも、料金段階が千円と二万五百十円という二十倍の差がある問題、また、多摩都市モノレールや「ゆりかもめ」への適用など、改善が求められている課題が幾つもあります。
 党派の違いを超え、この現行の制度で課題となっていることを解決するため、各党の皆さんにもぜひ呼びかけたいと思うんですけど、ぜひ一緒にこの制度を改善していきたいと、そのことを皆さんにも呼びかけまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)

○本橋委員長 池川友一理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

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