予算特別委員会速記録第三号

○山崎副委員長 福島りえこ委員の発言を許します。
   〔山崎副委員長退席、木村副委員長着席〕

○福島委員 日本財団が、日本を含む九カ国の若者を対象に昨年実施した十八歳意識調査のテーマは、国や社会に対する意識でしたが、とても考えさせられる内容でした。
 木村議員の質問でも触れましたけれども、日本の若者が国の将来に、よくなると答えた割合は、トップの中国、九六・二%の約十分の一で最下位。一方、自分で国や社会を変えられる人、これは何と五人に一人と最下位でした。一つ上の順位の国の半分の人しかこれにも手を挙げていません。
 加えて、これからの時代は人工知能、AIやロボットが生活に浸透するなど、暮らしが大きく変わります。私自身、総合電機メーカーの研究開発センターで二十二年間勤めてまいりましたけれども、価値を生む領域がハードウエア領域からソフトウエア領域に移行する様子を研究開発の現場で経験をしてまいりました。
 この、先が見えにくい時代を生き抜く子供たちの教育が今までどおりでいいわけがありません。
 全世界で、主体性の育成をキーワードに、PBL、プロジェクト・ベースド・ラーニングやSTEAM教育など、多種多様な取り組みが始まっています。日本においても、来年度から施行される新学習指導要領において、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、そしてプログラミング教育の必修化などが盛り込まれてまいりました。
 我が会派は以前より、先生方の働き方改革の推進、そしてプログラミング教育を初めとするSTEAM教育の推進、さらには、エビデンスベースの教育改革を推進するために、学校のICT環境整備の充実を訴えてまいりました。
 学校のICT化が進めば、学習ログや理解度の確認と指導への反映という先生の作業が効率化されます。そして、児童生徒はPCを使った入出力になれ親しむだけではなくて、電子教材ならではの、学習のスピードや理解度、障害の有無など、一人一人の個性に合わせた教育を受けることができます。
 先ほどの日本財団の調査結果に関しまして、我が会派は、前述した日本の若者の価値観に影響を与えた要因について、世代、性別に偏りのない回答者合計千人を対象に、独自にアンケートを実施いたしました。
 一位は少子高齢化で、約二分の一の回答者が選択をいたしました。二位以下は、若者の所得低下、貧富の格差拡大、政治への不信が続き、五位が受動的で主体性を育まない公教育で、約四分の一が回答。そして、間を飛ばしますが、九位が個性を尊重しない公教育で、五分の一の回答者が選択しました。
 アンケート結果からは、政治が少子高齢化や若者の所得低下、貧富の格差拡大といった課題に真正面から取り組むこと、そして教育において主体性を育み、個性を尊重することが求められていることがわかります。
 実は、このためにも学校のICT化は有効です。電子教材により、知識の習得にかかる時間を短縮することで、トライ・アンド・エラーや仲間と協力しての作業、そして先ほどのプロジェクト・ベースド・ラーニングの充実など、創造的かつ自分らしさを発露するための活動に時間を充てることができるからです。
 この学校のICT化について、国は昨年末にGIGAスクール構想を公表。児童生徒一人一台の端末を初め、学校のICT環境を来年度から三年間で実施するという決断を下しました。
 東京都においても、未来の東京戦略ビジョンに、学習ログを活用したエビデンスベースの指導、これが明記されるとともに、来年度から、ICTなどの先端技術を活用するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトに着手されます。
 このための来年度予算、これは二十六億円ですけれども、効果的、効率的に学校ICT環境を整備する方針として、国からはクラウド・バイ・デフォルトという考え方が示されています。
 従来、行政ネットワークは、セキュリティーの維持の観点から、独立したネットワーク、オンプレミス型がよいとされてきましたが、それとは一線を画し、通信ネットワークとクラウドコンピューティングを基本にするという内容です。
 エドテックといわれる教育系サービスの多くはクラウドサービスです。また、課題とされていたクラウドサービスのセキュリティー面ですが、ユーザー数の増加に伴い、大きく改善をされています。
 これらを踏まえ、私は、昨年の文教委員会事務事業質疑において、都の教育ネットワークにおいても、クラウド・バイ・デフォルトの方針に従って整備するべきと訴えてまいりました。
 一方、都の区市町村に対する補助事業として、統合型校務支援システム導入支援を初めとするICT環境整備に関する事業は、ことしから既に予算執行をされています。
 そこで、スマート・スクール・プロジェクトの開発方針をクラウド・バイ・デフォルトにするべき、かつ、既に都教育委員会が補助制度を設けて投資し、支援する区市町村の教育委員会のシステム開発との連続性が課題になると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 令和元年十二月に改定をされました国の教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインでは、クラウドサービスの利用を有力な選択肢とする、いわゆる、お話のクラウド・バイ・デフォルトの考え方が示されているところでございます。
 現在、都教育委員会では、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトの一環となる学習系ネットワークシステムの更新に当たりまして、クラウドサービスを前提としたシステム構成を検討しているところでございます。
 今後も、本プロジェクトのさまざまなシステム開発を行う際には、国のガイドラインを参考にいたしまして、セキュリティーの観点を踏まえつつ、クラウドの活用を検討対象としてまいります。
 また、区市町村に対しましては、随時、都の開発方針や整備状況等、最新の情報を提供することで、円滑な開発や導入が進むよう支援してまいります。

○福島委員 TOKYOスマート・スクール・プロジェクトの基盤整備について、クラウド・バイ・デフォルトの方向性を今回初めて名言したことを評価します。
 ちなみに、新型コロナウイルス対策として休校措置がとられる中で、ICTを活用した自宅学習を求める声が、ご存じのように高まっています。これらのサービスも、基本、クラウドベースで提供をされるものです。
 さらには、クラウド・バイ・デフォルトは、本来、行政の情報システム全般における方針といえます。私ごとではありますけれども、先月末ぐらいから、特にIT企業との打ち合わせで、これも新型コロナウイルス対策としてテレワークを実施しているという理由で、ウエブ会議システムを使うことがふえています。
 一方、都職員の皆様は、行政ネットワークが外部と遮断されているために、ウエブ会議の実施は容易でないというふうに聞いております。業務に支障が生じないように、早期の改善を望みます。
 続いて、児童生徒一人一台の端末の仕様に関して質疑を行います。
 都教育委員会は、ICT利活用モデル検証事業を本年度から二カ年で実施していますが、GIGAスクール構想の執行年の影響で、基礎自治体の取り組みが来年度から一気に進むことが予想されます。
 GIGAスクール構想の標準仕様書では、クラウドサービスを前提とした端末の推奨スペック、これが画面サイズからCPUの性能まで詳細に示されています。
 私は、これらの指針を、早期に区市町村に周知する重要性をさきの文教委員会事務事業質疑において訴えまして、前向きな答弁をいただいております。その後の進捗を伺います。

○藤田教育長 都教育委員会では、現在、令和二年度末までを検証期間といたしまして、公立小中学校におけるICT利活用モデル検証事業を実施しております。
 国が昨年十二月にGIGAスクール構想の実現を打ち出しましたことを受け、その後に示されました学習者用コンピューター等の標準仕様書や、学校におけるICT環境整備に係る先行事例などの情報サイトにつきまして、速やかにホームページで周知を行ったところでございます。
 今後、先進的な取り組みを随時情報提供するなど、区市町村教育委員会が着実にICT環境の整備を推進できるよう支援してまいります。

○福島委員 モデル事業の実施と並行して速やかに周知を行っていただいたこと、そして、今後も継続的に情報提供するとのこと、ありがとうございます。
 エビデンスベースの教育改革、ひいてはEBPMのためには、義務教育を担う区市町村との連携は不可欠です。
 現状は、クラウド系民間企業とのパスがあり、情報収集できている自治体もあれば、そうでないところもありまして、このままでは区市町村ごとにICT整備格差、これが発生することが予想されます。税金の無駄遣いや将来の連携の障害にならないよう、都がリーダーシップをとり、情報交換を密に進めていただくことを要望いたします。
 学校のICT化に先行して取り組んでいる学校からは、ICT環境の端末の維持管理に担当の先生が毎日五時間、これほどの時間を割いているというお声もいただいています。
 都内学校のICT環境整備が進むにつれ、この問題が顕在化すると考え、私はさきの文教委員会で、ICT環境整備と同時にICT機器の端末導入支援員についても導入を強化すべきと訴えました。
 さきの本会議における我が会派の代表質問に対して、そのための費用補助を予算化する答弁がなされたことを評価します。
 先ほどの先行している学校や、これから取り組む基礎自治体、加えて国の担当者から高い評価をいただいていることを、まずはお伝えいたします。
 同時に、この端末導入支援員の待遇について心配の声も届いています。端末導入支援員の補助について、その内容を確認いたします。

○藤田教育長 都教育委員会は、区市町村が小中学校に一人一台端末を整備する際、円滑な導入や効果的な活用をサポートできるよう、端末導入のための支援員の配置費用について補助を行うところでございます。
 具体的には、区市町村が一校に一人の支援員を配置するために必要な費用といたしまして、国が四分の一措置をいたしますことから、残りの四分の三について都が補助をすることとしております。
 一人当たりの人件費でございますが、有為な人材の確保のため、年間八百万円を想定しておりまして、その四分の三である六百万円を上限として補助するスキームとなっております。
 この取り組みによりまして、区市町村による小中学校の端末整備を積極的に支援してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。年間幾らの収入になるか、これは非常に優秀な人材を集めるときには重要なポイントです。実効性を高める丁寧な取り組みを高く評価いたします。
 加えて、まず、都立学校のICT整備環境について意見を述べさせていただきます。
 都は、GIGAスクール構想の対象外である都立学校生が使う端末に関しては、基本的にBYOD、自分が学校に持ってくる端末、これを使って行う環境を整備するというふうに聞いていますけれども、既に昨年度より進めているBYOD実証実験で、環境設定に時間がかかってしまう、画面が小さいなどの教育に与えるマイナスの影響も把握されていると聞いています。
 GIGAスクール環境下で育った生徒は、二〇二二年には高等学校に入学をしてきます。それまでに仕様を満たした端末を整備する、それが難しければ、生徒がみずから準備する端末を、きちんとその仕様をそろえられるように、生活保護受給世帯に対する支援策の検討を行う、これを要望いたします。
 次に、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを進める姿勢に関しても、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス対策としての休校措置、これを受けまして、エドテック企業からはさまざまな電子教材が無償提供されていることは、宮坂副知事もツイートされたとおりです。
 私は今回、学校に行けない子供に対する学習保障に、学校ICTが役立つことがより多くの都民の皆様に共有されたというふうに感じています。
 例えば、不登校の出現率は、平成三十年度に小学校で〇・七四%、中学校で四・三三%であり、義務教育における学習の保障は大きな問題になっています。また、我が会派の龍円都議の質疑を通じて実施したモデル事業では、障害が理由で自宅で過ごす生徒が、ICT機器を使うことで学校に通う生徒とともに学べる効果も明らかになりつつあります。
 都教育委員会においては、専門家や民間企業などの多様な主体と連携しながら、このTOKYOスマート・スクール・プロジェクトをひるまず力強く前に進めていただきたいと思います。
 次に、先生方の負担軽減を目的に、業務の一部を外部人材に委ねる取り組みについて伺います。
 さきの本会議における我が会派の代表質問に対し、教育長からはスクールサポートスタッフ等の配置拡充に加え、東京学校支援機構に人材バンク機能を設けるとのご答弁がありました。これらについて掘り下げたいと思います。
 都が平成三十年度より、小中学校において実施してきた、教免を持たなくてもできる作業を外部人材が担うスクールサポートスタッフ配置支援事業は、残業時間の削減に効果があることから、我が会派は一層の拡充を求めてまいりました。
 本年度の実施状況と来年度の計画について伺います。

○藤田教育長 都教育委員会では、小中学校において教員にかわってプリントの印刷や実習の準備などを行います、いわゆるスクールサポートスタッフを配置した場合に、その人件費を補助する事業を実施しております。
 今年度は、四十五区市町村におきまして、九百八十六名の配置を支援しておりまして、配置校では、他の働き方改革の取り組み成果とあわせて、教員一人当たり一週間で四時間三十分の勤務時間短縮が認められているほか、学校からは、子供たちとかかわる時間や教材研究にかける時間がふえたなどの声も聞かれているところでございます。
 令和二年度は、さらなる拡大に向けまして、公立小中学校のおおむね四分の三に配置が可能となる千五百名分の予算を計上しているところでございます。

○福島委員 スクールサポートスタッフ導入校の先生方からは、退勤が早くなり精神的に余裕を持てるようになったや、教材や授業の質を向上することができたとのお話も伺っています。引き続き区市町村教育委員会と連携しながら、活用を進めていただきたいと思います。
 次に、校務が集中する副校長の残業時間削減に関して伺います。
 都は、平成二十九年度から学校マネジメント強化モデル事業を実施、小中、都立学校計百三十四校で検証した結果、副校長の残業時間を削減する効果を確認したと伺っています。これを受けて、我が会派は本事業の拡充も訴えてまいりました。
 これまでの検証成果と今後の展開を伺います。

○藤田教育長 学校マネジメント強化モデル事業では、副校長の長時間勤務を解消するとともに、教育管理職のなり手不足に対応するため、副校長を直接補佐する非常勤職員を学校に配置し、その効果を検証しているところでございます。
 これまでの検証では、副校長の一週間の勤務時間が平均で六時間三十分短縮され、また、人材育成等の本来業務にかける時間がふえることで、副校長のやりがいにつながるとの評価も得ているところでございます。
 令和二年度はモデル事業の規模を小中学校五百六十九校、都立学校四十六校に拡大をいたしまして、非常勤職員をさらに有効に活用するための検証を進め、副校長のさらなる負担軽減と職の魅力向上につなげてまいります。

○福島委員 本事業により、副校長は本来の学校マネジメントに取り組めるだけではなく、モチベーションも上がることが予想されます。管理職が意欲的に取り組む様子を見た若手の教員の昇任意欲の向上にもつながる、そのような好循環の実現を期待いたします。
 ところで、外部人材の確保については、従来、個々の学校が持つ人的ネットワークに頼るしかなく、人材の獲得に苦労しているというお声が多くありました。
 これを受けて、都は、昨年七月に一般財団法人東京学校支援機構を設立、主要な機能に外部人材の確保があるとのことで、大変期待をしています。
 機構では、来年度から外部人材の情報を学校に提供する人材バンク事業を開始するとのことですが、スクールサポートスタッフなどの外部人材を着実に確保し、学校における活用を促進していくための取り組みについて伺います。

○藤田教育長 東京学校支援機構では、来年度からの人材バンク事業の開始に向け、本年一月から人材の募集や登録を開始しているところでございます。
 現在までに民間企業での業務経験があり、ICTのスキルをお持ちの方や、学校の実情をよく知る退職教職員など、教職員の支援が可能な方などからも、登録の申し込みをいただいているところでございます。
 また、登録をいただいた方が令和二年度当初から活動ができるよう、事前研修なども開始しておりまして、二月中旬から各学校とのマッチングを開始したところでございます。
 今後、同機構は外部人材の活用に関する好事例を広報するなどにより、さらなる活用の促進を図る予定でございまして、都教育委員会はこうした取り組みを支援し、多様な人材の活躍による教育の質の向上を推進してまいります。

○福島委員 外部人材活用を前進させる取り組みを評価いたします。
 先生方の働き方改革の別の課題として、保護者の過剰な要求などへの対応があるとも聞いています。従来の仕組みでは、実際に相談できるまで数週間を要し、その間に教師が精神的に追い詰められてしまうケースもあるというふうに伺っています。
 そこで、いつでも相談できる法律相談窓口の設置を機構に設けていただきたい旨、文教委員会の質疑で訴えてまいりましたけれども、来年度には設けられる予定ということで高く評価をいたします。
 この法律相談窓口では、具体的にどのような対応がなされるのかを伺います。

○藤田教育長 東京学校支援機構では、来年度、都立学校を対象に法律問題などについて、弁護士等の専門家から助言を受けることができる相談窓口を新設いたします。
 相談窓口では、来所に限らず電話などでの相談も可能とし、学校が懸案事項の発生当初からちゅうちょなく相談できるよう体制を工夫いたします。
 また、弁護士が学校の実情を踏まえた回答を迅速に行うことで、早期に教員の心理的負担を軽減するとともに、解決に向けて学校が適切に対応できるよう促してまいります。
 相談実績を蓄積いたしました後は、解決へのノウハウを記載した事例集を作成するなど、さらなる支援を行う予定としております。
 都教育委員会は、こうした取り組みを行う機構と連携し、学校をきめ細かく支援していくことで、教員の負担軽減と教育の質の向上を推進してまいります。

○福島委員 迅速な対応ができる体制であることを確認しました。今後も、区市町村と連携し、東京学校支援機構を十分に活用しながら、先生方の負担軽減を確実に進めていただきたく思います。
 加えて、機構に設けていただきたい機能があります。
 先生方の労働時間削減とプログラミング教育の質の向上、さらには、より学びたい子供たちのためのクラブ活動、部活動を充実させるためには、専門家や民間企業との連携が不可欠です。そして、幸いなことに、東京都内にはIT企業やエドテック企業、大学が集積しています。
 しかしながら、これら民間企業、そして情報に強い大学等と実際に連携できている学校は一部にとどまり、多くの企業がその少ない学校に集中をしている状況です。
 とはいえ、それが難しいことも承知をしています。なぜなら、学校からすれば専門家や民間企業と連携する機会はそう多くはないからです。
 一方、機構は、これまで説明してきたように、学校単体では経験値が積みにくいものについて、都内学校の情報を集積し、質を上げる役割を担っています。
 そこで、学校のICT環境を考慮しつつ、民間企業と結びつける役目を機構に集約し、そこにITリテラシーの高い人材を配置することを提案いたします。マッチングだけではなくて、学校ICT環境整備の指針をきちんと説明したり、また、基礎自治体の枠を超えた端末の共同購入を取りまとめたりもできるのではないでしょうか。そのような窓口をエドテック企業側も求めています。ぜひご検討ください。
 次に、イノベーション人材の育成について伺います。
 IoTやビッグデータをベースに機能するAIは、あたかもみずから考え行動し、価値さえも生み出す存在のように見えますが、そこに目的や活動範囲を与えるのは人間です。STEAM教育やPBLを通じて、知識やツールを習得、取り組み方を学んだ上で創造力を持ってイノベーションの種を見出し結実させる力が求められています。
 都立高校において、あらゆる科学技術の根底にある理数系分野に秀でた生徒を受け入れ、生徒がみずからの適性を見きわめながら専門的な学びを進めることを通じて、すぐれた才能をさらに伸長し、イノベーション人材としての素養を育成するべきだと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 東京が将来にわたって持続的な発展を遂げていくためには、その原動力となる東京発のイノベーションを絶え間なく生み出していくことが重要でございまして、その基盤となる科学技術のさらなる発展を担う人材育成が不可欠でございます。
 都教育委員会では、その認識のもと、令和四年度に多摩地区に理数科の設置を予定しているところでございます。理数科におきましては、理数系分野全体を俯瞰する素養の育成に加え、大学や研究機関等との連携により、生徒の希望する進路に応じた、より高度で専門的な学びを提供し、秀でた才能を伸長するための取り組みを進めてまいります。
 さらに、特別区のエリアにおきましても、可能な限り早期に理数科を設置することに向けて検討することといたしておりまして、理数科が東京の理数教育を牽引し、東京、さらには我が国の将来を担う人材を多数輩出していくことを目指してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。イノベーション人材の育成のベースとなる理数教育の重要性を鑑み、多摩地区に加えて、今回新たに特別区での早期の設置も検討するというご答弁でした。スピード感を持った取り組みを評価いたします。
 次に、廃プラスチックの削減について伺います。
 安価で加工が容易なプラスチックは、私たちの生活に欠かせない素材ですが、その原料は化石燃料に由来するため、使用量の削減は喫緊の課題です。
 海外の企業は、SDGsを契機にプラスチックの利用において、みずからに高いハードルを課し、投資家を初めとするステークホルダーの信頼を得るとともに、技術革新を進め、企業価値や国際競争力を維持向上しようとしています。
 そのような中、SDGsへの貢献や環境に配慮した二〇二〇大会の運営を掲げる都が、昨年末にプラスチック削減プログラムを公表し、気候変動対策として位置づけたことを評価します。
 そこで、改めて、プラスチック対策に気候変動対策を盛り込んだ意義について伺います。

○吉村環境局長 プラスチックのサプライチェーンでは、原料の樹脂の生産段階から製品の生産、流通、消費、さらには廃棄、焼却の各段階においてCO2が排出されており、気候変動対策の観点から、その利用のあり方を見直す必要がございます。
 このため、本プログラムでは、プラスチック利用に伴うCO2の排出削減に向け、使い捨てを見直すリデュースや、商品提供等において容器を繰り返し活用するリユース、さらには使用済みプラスチックを同等の素材に戻す水平リサイクルなどの施策の方向性を示しました。
 あわせて、二〇五〇年までにCO2実質ゼロのプラスチック利用を念頭に、二〇三〇年までに家庭などの廃プラスチックの焼却量を四〇%削減する目標を設定いたしました。
 今後、本プログラムをもとに、資源の有効利用とCO2排出削減を両立する施策を推し進めてまいります。

○福島委員 気候変動の観点から見直し、焼却量を四〇%削減するという具体的な目標を掲げたことを高く評価をいたします。
 ところで、区部においては、平成二十一年度に一旦、廃プラスチックをサーマルリサイクルで処理すると整理しまして、埋立量削減やエネルギー回収等において一定の成果を上げてきました。
 しかし、昨年の東京都廃棄物審議会の最終答申では、CO2の排出削減に向け、都に区市町村の分別回収を強力に後押しすべきとの提言がなされまして、私も昨年の一般質問で埋立処分量を削減する観点からも、より多くの自治体で分別回収が進むよう取り組みを求めてまいりました。
 都民ファーストの会が実施した調査によると、プラスチック製容器包装の分別回収に取り組んでいない自治体にお住まいの約半数の住民が分別回収に賛同しており、プラスチック問題に対する都民の意識が高まっている今こそ、リサイクルを加速する絶好のタイミングといえます。
 都は来年度から、プラスチック製容器包装のリサイクルに取り組む区市町村に対する支援事業を開始するとのことですが、その具体的な取り組みについて伺います。

○吉村環境局長 気候変動の影響が危機的状況にある中、脱炭素社会の実現に向け、プラスチックごみの処理を、焼却や埋め立てからリサイクルに転換することは世界的な潮流でございます。
 プラ製容器包装・再資源化支援事業では、収集品目を拡大する区市町村に対し、プラスチックごみの発生量や効率的な収集ルートなどの調査費を初年度に補助することに加え、ごみの分別収集費を三年間補助いたします。
 また、既にプラスチック製容器包装を回収している区市町村に対しても、リサイクル実績の向上に向け、事業者と連携した店頭回収や、リサイクル施設の分離機能の強化などに対し二年間の財政支援を行います。
 本事業を通じて、都民に身近な家庭ごみの処理で廃プラスチックのリサイクルを促進し、都民、区市町村とともに持続可能なプラスチック利用を目指してまいります。

○福島委員 長らく課題だった自治体ごとの取り組みの差に正面から向き合うとともに、先進的に取り組む自治体の取り組みをも支援する新たな支援策、これを評価いたします。四年間限定の財政支援であることを区市町村に丁寧に説明し、この機を捉えた参画を促していただきたいと考えます。私も、地元区の取り組みを促してまいります。
 続いて、女性活躍の推進に関して伺います。
 昨年末に公表されたジェンダーギャップ指数で日本は百二十一位と過去最低を更新しました。その理由の一つが、民間企業における女性の地位の低さや賃金格差です。
 例えば、女性の管理職の比率は、世界の平均が二七%であるのに対し、日本では一二%にとどまり、特に中小企業での対策がおくれています。
 我が会派の女性活躍推進本部は、昨年、二度にわたって知事に、女性のための政策要望を提出、その中で、女性が働きやすい環境を整備した企業に対して、制度融資の利率の優遇などに取り組むことを求めてまいりました。
 なぜなら、一般的な補助事業の多くが、その対象が数百社程度であるのに対しまして、制度融資を利用する中小企業は全体の四割、約十八万社にも上ることから、より本質的な取り組みになると考えたからです。
 さきの本会議における我が会派の代表質問に対し、都からは来年度、女性活躍推進に向けた中小企業の積極的な取り組みを誘導することを目的に、女性活躍推進特例を設けるとのご答弁をいただいています。
 具体的取り組みについて伺います。

○村松産業労働局長 都は来年度、制度融資におきまして、中小企業の女性活躍推進に向けた自発的な行動を後押しするため、女性活躍推進特例制度を新たに設けることとしております。
 この特例制度は、テレワークや時差ビズなどの働き方改革の取り組みとあわせて、採用者に占める女性の割合や男女別の育児休業取得率など、女性の活躍状況に関する情報を、国の女性の活躍推進企業データベースに登録し、公開することを利用の要件といたします。
 こうした取り組みを行います中小企業を対象に、融資利率を〇・四%優遇するとともに、信用保証料の三分の二を都が補助することによりまして、利用しやすい仕組みといたします。

○福島委員 都が進める働き方改革の取り組みのいずれかに参加するとともに、先ほどの国のデータベースで女性の活躍状況を情報公開すれば、信用保証料、融資利率ともに都の常設の制度融資メニューの中で、最も優遇されるという大変意欲的な取り組みです。女性活躍に特化した制度融資メニューは初めてとも聞いており、高く評価をいたします。
 ちなみに、そのデータベースに現在登録している企業数は全国で一・一万社にとどまっていることから、多くの都内中小企業経営者に本事業に手を挙げていただくことで、情報公開が一層進み、都が女性活躍を牽引できる可能性さえあります。
 そこで、私は、制度の中身がわかる、そのような愛称をつけて広めることも効果的ではないかと提案をしてまいりました。
 そのような方法も含め、対象者に届く啓発に取り組む必要があると考えますが、具体的取り組みを伺います。

○村松産業労働局長 来年度創設いたします女性活躍推進特例制度を中小企業などに広く認識していただく上で、委員ご提案のとおり、親しみやすい愛称をつけることも有効な手法でございます。
 そこで、本制度が中小企業における女性のさらなる活躍を応援するものであることを踏まえまして、愛称を、TOKYOウィメン・ビズ・サポートとすることといたしました。
 この愛称とともに本制度を広く普及していくこととし、具体的には、都のホームページで紹介するほか、チラシを作成して制度融資の相談窓口等で配布いたします。また、取扱金融機関や商工会議所、商工会などにも情報提供を行いまして、周知の協力を依頼することとしております。
 愛称を活用することで本制度の浸透を図り、女性の活躍推進に取り組む中小企業を後押ししてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 女性活躍推進特例というよりも、今、ご紹介いただきましたTOKYOウィメン・ビズ・サポート、随分格好いいと思います。中身の伝わる、このすてきな名称、とてもうれしくなりました。SDGsにもつながる本取り組みを、私もホームページやチラシを使ってさまざまな場でPRをしてまいります。
 さらに、我が会派は、子供たちに対する性教育の重要性についても継続して訴えてまいりました。質の高い性教育は、自分自身と同様に他者の体と心も大切にできるように導くことができます。
 現場の実情を踏まえた上で学習指導要領に示された内容に加え、発展的な内容を盛り込んだ性教育の手引の改定についても高く評価をいたします。
 今後、我が会派が求めてきた産婦人科医による性教育のモデル事業の取り組みについて、速やかに全公立中学校に普及していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○藤田教育長 学校における性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて行うとともに、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な行動を選択できるよう進めていく必要がございます。
 今年度、産婦人科医を外部講師としてモデル授業を実施した中学校十校では、地区の教員や保護者に授業を公開いたしました。授業終了後の情報交換会に参加した教員からは、専門的な講義は説得力があった、所属校でも生かしていきたいなどの感想が寄せられたところでございました。
 来年度は、産婦人科医を活用した授業を実施する学校の募集枠を三十校に拡大するとともに、性教育の目的や意義、指導方法等に関する教員研修の内容を動画配信するなど、性教育の適切な実施を支援してまいります。

○福島委員 取り組みを加速するために、募集枠の拡大に加え、新たに動画配信も行うとのことです。質の高い性教育を広く届ける有効な施策であり評価をいたします。
 最後に、都庁ホームページを通じた情報提供について伺います。
 これまでの私の質疑の中でも、ホームページを使って紹介するという言葉が多数出てきましたけれども、都がさまざまな都民サービスを用意しても、必要とする人に届かなければ意味がありません。
 都は、一九九九年以降、従来の紙を使った情報提供に加えて、ホームページやSNS、アプリなど、インターネットを介した情報発信に、そして一昨年からは、チャットボットの導入に取り組み、先日は、東京都公式新型コロナウイルス対策サイトの公開に合わせて、全てのデータ、ソースコードを、ギットハブ上で公開して大変評判になっている、これはもう何度も取り上げられてきたことです。
 一方、ICTを活用した情報提供にはコストもかかります。民間では必ず、費用対効果の検証と継続的な改善、これを繰り返していきます。
 このため、私は、一年前の文教委員会において、都のホームページにもアクセス解析ツールを導入し、効果検証をするべきだと訴えてまいりました。
 今後は、都庁全局のホームページについて、アクセス解析ツールを有効に活用し、都民一人一人に必要な情報が届くよう、定量的な評価を踏まえた継続的な改善を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○浜生活文化局長 都民一人一人に必要な情報を効果的に届けるためには、ホームページへのアクセス状況を的確に把握し、その結果を広報展開に反映させていくことが重要でございます。
 都庁総合ホームページにつきましてはこれまでも、各ページへのアクセス件数や検索ワードによる利用者の関心分野等を確認しております。
 来年度は、各ページへの流入経路など、さらに詳細なアクセス状況の分析を行うため、都庁総合ホームページのほか、東京二〇二〇大会関連サイトなど主要な施策に係るサイトに順次アクセス解析ツールを導入いたします。
 さらに、解析結果を十分に活用できるよう、各局担当者向けにデータ分析の研修を実施し、各局ホームページの改善につなげてまいります。

○福島委員 来年度から順次、最終的には全局にアクセス解析ツールを導入するための最初の予算、約七千五百万円を来年度、計上したことを高く評価いたします。
 加えて、必要な人に必要な情報を届けるために、リコメンドなど民間で有効性が確認できている手法も含めて改善を検討するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○浜生活文化局長 都はこれまでも、都庁総合ホームページのトップページにスライドバナーやタイルバナーを配置するなど、都民の関心が高くタイムリーに伝えるべき情報にアクセスしやすくする工夫を行ってまいりました。
 また、本年一月には検索専用ページをリニューアルし、検索キーワードや利用の多いページをリコメンドして掲載しております。
 来年度は、解析ツールを導入することにより、さらに詳細に利用者ニーズを把握し、ユーザー目線でのホームページの利便性向上、情報発信の充実につなげてまいります。
 今後、双方向コミュニケーション型広報への転換を見据え、閲覧履歴など個人データの適正な利用にも配慮しながら、一人一人のニーズに応じた情報を発信することについても検討してまいります。

○福島委員 一人一人のニーズに応じた情報発信をも検討するという意欲的なご答弁でした。期待をしております。
 最後になりますが、アクセス解析の結果をホームページの改善につなげられるよう、職員が解析データを理解、検証し、改善点を考案するスキルを身につける体制を整備し、PDCAサイクルを完成させることを要望して、私の質疑を終えます。(拍手)

○木村副委員長 福島りえこ委員の発言は終わりました。

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