予算特別委員会速記録第三号

○木村副委員長 斉藤やすひろ委員の発言を許します。
   〔木村副委員長退席、中山副委員長着席〕

○斉藤委員 まず、新型コロナウイルス感染症対策について質問をさせていただきます。
 先日、我が党は、区市町村が地域の実情に合わせて新型コロナウイルス対策が実施できるように包括補助制度を構築するよう一昨日知事に提言し、区市町村が置かれた財政上の課題に都として最大限対応するように求めたところであります。
 特に現場を抱える区市町村への支援に当たっては、地域が抱える課題や個別の事情に配慮したきめ細かな対応が求められます。
 区市町村が財政的な問題にちゅうちょすることなく、新型コロナウイルス対策を実施できるように、財政的な支援をすることが必要と考えますが、今後どのような取り組みをされていくのか、知事の決意を伺います。

○小池知事 新型コロナウイルス感染症への対応についてでございますが、学校教育や保育行政、保健所における対応など、住民に身近な行政を担っている区市町村が、現場の最前線で大きな役割を果たしておられます。
 先日、区市町村の代表の皆様方から、それぞれの地域が抱える課題、都に対するご意見、ご要望など、現場の生の声を伺いました。そして、この難局をともに乗り越えていかなければならないと、強くそれらを通じて実感をしたところでございます。
 区市町村におきましては、公立小中学校の臨時休校や管理する体育館、図書館等の臨時休館、そして主催するイベントの中止や延期などに伴って、今後多額の財政負担の発生が見込まれているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、補助金の創設など区市町村の財政負担に対します特別の措置を国に要望していくとともに、都におきましては、市町村の財政需要に応えるために、新たな交付金の創設を検討いたします。
 また、特別区の財政需要に対しましては、都区財政調整の特別交付金を活用することで対応してまいります。

○斉藤委員 現場の皆様をしっかりと財政的に支援をしていき、この国難ともいえるべき感染症に立ち向かっていきたいと思います。
 中小企業にとって、年度末は最も資金繰りが厳しくなる時期であります。知事は、本委員会の我が党の九日の代表総括質疑で、みずから地域金融機関に対し柔軟な対応を求めていくと答弁をされました。しかし、現在の厳しい状況下で借入金返済に取り組む中小企業の窮状を鑑みますと、さらなる支援も必要であります。
 そこで、我が党は一昨日、知事にこれも要望いたしましたけれども、既存の融資の返済猶予など、企業の負担を緩和する方策も講じるべきと考えます。
 また、企業経営が厳しいときに真っ先に雇用と収入の安定が脅かされるのは、非正規雇用の皆様、それも雇用保険に加入していない週の労働時間が二十時間未満のパートタイムの皆様などでございます。
 こうした方々に対しまして、これまでにない思い切った支援策を講じるべきと考えます。あわせて知事の見解を伺います。

○小池知事 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、中小企業やそこで働く人々にもさまざまな影響が出ております。都といたしましても、独自の経済対策を講じることといたしました。
 まず、委員ご指摘の資金繰りが厳しくなる年度末、この機を中小企業が乗り切ることができますように、感染症に対応した緊急借りかえ制度を新たに創設をいたします。
 この制度におきましては、既存の融資を借りかえまして、元本返済の据置期間を最長二年といたしまして、実質的な返済猶予を可能とする、そして、事業者の負担の軽減を図るというものでございます。
 さらに、危機対応融資をこちらも新設いたしまして、既存の債務とは別枠で融資を受けることができるようにいたします。
 また、働く人の生活の安定に向けまして、中小企業の従業員を対象といたします実質無利子の融資制度の新設、これによって経済的負担の軽減を図ってまいります。
 この制度でございますが、中央労働金庫を通じまして、上限が百万円、貸出期間は五年間、信用保証料も都が全額負担をいたします。さらに、非正規雇用の方々のセーフティーネットとなりますように、雇用保険の加入対象とならない方々も利用が可となります。
 こうした取り組みで、中小零細企業の経営であるとか、非正規雇用の方々の生活を全力で支えていく所存でございます。

○斉藤委員 働く現場の皆様の側にしっかり寄り添って、応援いただきたいと思います。
 次いで、テレワークについて質問いたします。
 毎日会社に通勤する従業員の皆様の感染防止を進める上で、現在テレワークを活用した在宅勤務が注目されております。しかし、ITのノウハウを十分に持たない中小企業では、テレワークの導入は決して簡単なことではございません。
 今回の感染症対策といたしまして、さらに多くの企業へのテレワーク導入を進めるためには、こうした中小企業の実情に寄り添い、導入のハードルを下げるための新たな手法による支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 中小企業の中には、ITに詳しい従業員が少ないなどの理由で、テレワーク導入に踏み切れていない企業や、セキュリティーの確保などへの不安から、テレワークを敬遠している企業も数多く存在しております。
 このため、中小企業の不安を払拭し、テレワークを円滑に導入いただけますよう、新たな支援策を講じることといたしました。
 具体的には、経済団体と連携し、テレワーク導入に必要なノウハウ等を紹介するセミナーをウエブ配信により実施いたします。さらに、中小企業にテレワークを体験いただくため、実用ツールを搭載した機器を無料で一定期間貸し出す事業を開始いたします。
 あわせて、企業への直接訪問や相談窓口によるサポート体制を整備いたしまして、中小企業のテレワーク導入を強力に支援してまいります。

○斉藤委員 コロナウイルス対策については以上でございますけれども、全力を挙げて、ちゅうちょなく、さまざまな支援を引き続き行っていただきたいと思うわけでございます。
 次に、SDGsの視点から、長期戦略ビジョンと令和二年度予算案について質問したいと思います。
 我が党は、第二回定例会代表質問などで、新たな長期計画はSDGsの視点に立って山積する社会課題の解決に全力で取り組み、誰ひとり取り残さない持続可能な都市東京を構築する内容とするべきだと重ねて提案をしてまいりました。
 昨年暮れに公表されました長期戦略ビジョンの第四章では、SDGsの目線で政策を展開するとし、さらに、SDGsの目線から都庁が率先して政策を強力に推進するとされておりまして、令和二年度予算案には、この戦略ビジョンの具体化に向けた取り組みも盛り込まれております。
 今重要なことは、実際の行動です。国連のグテーレス事務総長も、ことしから二〇三〇年までをSDGs達成に向けた行動の十年と位置づけました。
 知事は、この長期戦略ビジョンで、SDGsと軌を一にするとの立ち位置から一歩踏み込まれまして、SDGsを推進するという、いわば行動宣言をされたと評価をいたします。
 そこで、SDGs達成への行動宣言をされた知事の思いについて、令和二年度予算案における対応状況も含め、知事に伺います。

○小池知事 今般策定いたしました未来の東京戦略ビジョンでございますが、今後想定されます大きな変化や変革を見据えまして、持続可能な成長と成熟が両立をいたしました都市の実現に向けた方向性をお示ししたものでございます。
 こうした都市の実現は、環境、経済など、あらゆる分野における地球規模の課題解決を目指すSDGsの理念を体現することにつながるものでございます。
 こうした認識のもとで、戦略ビジョンにおきましては、都庁みずからの政策の推進、区市町村との連携、都民、企業など多様な主体との連携、全国との連携、世界への発信など、SDGsの目線に立った多面的な取り組みを推進することといたしたものでございます。
 特に、都庁みずからの取り組みにつきましては、気候変動対策や中小企業の取り組み支援、そしてESG投資など、さまざまな分野で強力に推進するために、令和二年度の予算案にも数多くの具体的な事業を盛り込んでおります。
 また、実施した施策につきましては、PDCAサイクルを回しまして、確実な事業目標の達成と、さらなる施策の充実強化を図ってまいります。
 重要なことは何かといいますと、戦略ビジョンに掲げた内容を具体的な施策の推進につなげていくことでございます。
 SDGsの視点から政策に磨きをかけて、長期戦略に結実させる。そのことで全ての都民が豊かに生き生きと活躍できる明るい未来の東京を実現してまいる所存でございます。

○斉藤委員 知事のSDGs実現に向けた強い思いを確認させていただきました。
 今後SDGsの目線での政策を推進していくためには、予算編成の段階からその考え方を示し、さらには、その推進体制をつくっていくことが必要であります。
 令和二年度予算案に計上された各事業を前へと進め、一つ一つ実現していくこととあわせまして、さらに先を見据えた都の体制づくりをしっかりと行っていくことをきょうは求めておきます。
 また、都庁各局は、みずからの事業のうち、区市町村への補助事業などにおきまして、SDGsの取り組みに役立つものを選び、区市町村の担当者に周知するとともに、実践する上で参考となるような有意義な先行事例を整理するべきであります。
 加えて、区市町村がSDGsに積極的に取り組めるよう、都がサポートするべきであります。あわせて見解を求めます。

○山手政策企画局長 SDGsを達成する上で、住民に身近な区市町村の果たす役割が大きいことから、先般公表いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきまして、都と区市町村が連携、協働しながら、地域の課題を踏まえた特色のあるSDGsの取り組みを推進していくことを掲げてございます。
 今後、区市町村の実務担当者に対しまして、都の取り組みや各局の区市町村向けの補助事業のうち、SDGsに貢献する事業の紹介を行うとともに、区市町村が実践しているSDGsの事例を取りまとめ、共有を図ることで、取り組みの輪を広げてまいります。
 これらを通じ、都と区市町村が連携をさらに深めることで、SDGsの取り組みを推進してまいります。

○斉藤委員 各自治体からも、東京都がSDGsを推進しているといっても、どういうところでつながって協力していけばいいかという問い合わせもこれからふえてくると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 具体的な話に入っていきますが、きょうは金融の話をちょっと取り上げたいと思います。
 ESG投資に関連してです。
 SDGsは、今や日本でも大企業を中心に認知度は高まってまいりまして、広く受け入れられつつありますけれども、行動の面ではまだ道半ばであります。
 その中で、金融の分野は、SDGsを推進する事業やSDGsに積極的な企業に投資するESG投資が世界の主流となっております。
 都は、金融の力で社会的な課題を解決するために、国際金融都市東京構想の中で、このESG投資の普及を重要施策として打ち出しております。これらはSDGsを推進する具体的な行動として評価いたします。
 そこで、世界のメーンストリームとなっているこのESG投資の日本におけるさらなる普及に向けた取り組みと、知事の決意を伺いたいと思います。

○小池知事 金融の力で、気候変動など社会的課題の解決を図って、そして持続的な経済発展を確保するということは、これはまさに世界のトレンド、潮流でございます。
 都といたしましても、世界をリードする環境先進都市、かつ国際金融都市であり続けるためには、ご指摘のESG投資の普及促進に積極的に取り組んでいかなければならない、まさにそうしているところでございます。
 具体的には、グリーンボンドを発行する。これは、日本で東京都が自治体として初めてでございました。そして、ESG投資の普及を実践する金融事業者に対しまして、東京金融賞で表彰する。これもいち早く行っております。ニューヨークやロンドンを初めとして、世界の主な金融センターが集まりますネットワーク連合体、これはFC4Sといわれますが、こちらに加盟をするなど、施策を積極的に展開をしてまいりました。
 都といたしましては、このESG投資のさらなる普及促進に向けまして、引き続き先導的な取り組みを行ってまいります。
 そのためにも、先月、東京版ESGファンドを創設いたしました。
 これは、国内の再生可能エネルギー発電施設への民間投資などを促進するとともに、来年度には、その運営事業者が管理報酬の一部を寄附して、社会的課題の解決に資するという、その事業を支援するものでございまして、仮称でございますが、ソーシャル・エンジェル・ファンド、こちらを創設することといたしております。
 引き続き、このような取り組みを通じ、東京が先頭に立ちまして、社会的課題の解決を図る新たな金融の動きを引っ張っていく。そのことで日本全体のESG投資の普及促進を図って、東京を、委員がご指摘のSDGsの推進をするスマートシティーとしていきたいと考えております。

○斉藤委員 先日、金融機関の担当の方にお会いしたときに、もう三千百六十兆円、およそ三十一兆ドルというお金が世界をめぐっていると。このESG投資の金額の総量ですね。日本はまだ七%ちょっと、一割いくかどうかということですが、そういった金融の力を呼び込んで、社会課題解決に挑戦していく一つの試みとして、非常に重要でございます。
 ソーシャル・エンジェル・ファンド、今お話ございましたが、この支援する事業について、具体的な事業内容を伺いたいと思います。

○松下戦略政策情報推進本部長 仮称ソーシャル・エンジェル・ファンド、これでございますが、これは社会的課題の解決に資する事業でありながらも、現実には民間資金を十分に集めにくい、そういった事業につきまして、継続的に資金支援を行うために、新たに創設するものでございます。
 ファンドから資金支援を行う事業の対象としましては、具体的には、例えば、ひとり親の創業などへの支援、あるいは女性活躍の推進、子供食堂の運営、これらの子供、子育て支援に対する支援、さらに、中小企業での障害者雇用の促進、こういったことを想定しているものでございます。
 実際に資金支援を行う事業につきましては、来年度に、都がファンドの運営事業者を公募いたしまして、選定された事業者から提案していただく予定でございます。

○斉藤委員 わかりました。
 この東京版ESGファンドとあわせまして、金融の力によります社会課題解決への貢献を東京から全国に普及促進させることが、都民の理解を得るためには、どうしても社会課題解決というアウトカムということが大事でございますので、ぜひともこれを指摘しておきたいと思います。
 次に、国家戦略特区を活用した規制改革について質問します。
 先日、都は、国家戦略特区を活用して障害者雇用を促進する取り組みについて発表いたしました。これは、障害の有無にかかわらず、ともに暮らす社会の実現に向けての一歩ということで、先ほどのESGのうちのS、これはソーシャルということですが、ソーシャルの分野に当たる取り組みと思われますが、その具体的な内容について伺います。

○松下戦略政策情報推進本部長 都は、国家戦略特区に積極的にこれまで取り組んできておりまして、特区の認定を受けた件数は全体の約三割を占めます九十六件と、これは全国で最も多く、都市再生、あるいは外国人人材の活用など、幅広い分野で活用してまいりました。
 昨年の十二月には、障害者の雇用を推進するため、中小企業が共同で簡便に設立できる有限責任事業組合、これはいわゆるLLPでございますが、これを活用して障害者雇用を促進する取り組みが全国で初めて認定を受けたものでございます。
 これは、国家戦略特区を活用いたしまして、中小企業における障害者雇用という、いわゆるソーシャル分野を支援していく新たな取り組みでございます。
 今後とも、さまざまな分野で国家戦略特区を活用し、全員参加の社会の実現を進めるとともに、ESGのソーシャル分野も含めた国際的なビジネス拠点の形成を図ってまいります。

○斉藤委員 金融面だけでなく、こういった特区も活用していることがわかりました。
 昨年の第三回定例会代表質問におきまして、我が党は、ソサエティー五・〇推進の一環といたしまして、ホテルの客室、誰でもトイレ、駅や劇場などのバリアフリー情報を集めた、あらゆる人が生き生きと東京で暮らすことができる情報のオープンデータ化と発信が必要であると質問をいたしました。
 このオープンデータ化の取り組みは、さきに述べたSDGsの推進に資するものでありまして、官民が協働して取り組んでいくべきであります。必要な財源についても、税金だけでなく、民間の資金を活用することが重要です。
 そこで、東京二〇二〇大会の開催が秒読みとなった今、このホテルの客室情報の情報収集、これは大変苦労があるようですが、これに当たりまして、民間の持つ資源を十分に活用して、この事業を進めるべきであると考えますが、現在の取り組み状況を伺います。

○松下戦略政策情報推進本部長 都におきましては、障害のある方等、あらゆる人々が東京で快適に過ごせるよう、ホテル客室の出入り口の幅など、駅や劇場等も含めた詳細な施設情報のオープンデータ化に取り組んでいるところでございます。
 これらの情報の収集におきましては、社会、行政課題の解決、あるいは成果連動型、あるいは民間資金の活用といったキーワードで説明されます、これらの特徴を持ちますSIB、ソーシャル・インパクト・ボンド、この手法を都で初めて採用するものでございます。
 この事業は、宿泊業の知見やネットワークを持つ業界団体と連携いたしまして、成果連動型で情報の収集を行うものでございまして、お話の民間資金の活用についても取り組んでまいるものでございます。
 さらに、今年度末に発表予定のポータルサイトを利用者目線で構築するため、障害者支援団体やICTの専門家等の助言を取り入れるなど、民間の資源を有効に活用してまいります。

○斉藤委員 肢体不自由の方が移動するのに、トイレがどこにあるかということがわからないと、旅行とか移動ができないというお声も伺っておりますので、大型ベッドというのが備えられたトイレ情報が欲しいということもございました。こうした情報なども、ぜひ加えていただきたいと要望しておきます。
 そして、このソーシャル・インパクト・ボンド、税金によらず官民連携で、しかも、その成果が出ないと税金を動かさないという、こういう仕組みでございますので、ぜひこれをいろんな面で活用して、横展開をしていただきたい。これは要望しておきます。
 次に、スマート東京に関しまして、都立施設におけるキャッシュレス決済について伺います。
 都は長期戦略ビジョンにおきまして、行政のデジタル化を推進し、ソサエティー五・〇であるスマート東京の実現を挙げています。
 スマート東京を実現するために、公金の収納や支払いについて、キャッシュレス対応を図ることが重要でありまして、行政サービスの利用者の利便性向上のため、さらなる取り組みを加速させることが必要です。
 都は今年度、特に利用者数の多い都民利用施設におきまして、クレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス決済を導入してきたほか、新たな決済手段であるQRコード決済について、恩賜上野動物園において実証実験を今開始しているところであります。
 訪日外国人の多くは、キャッシュレス決済の利用傾向が高いと伺っております。
 そこで、都は、一日も早く、多くの都民や外国人観光客が利用する施設につきまして、キャッシュレス化を実現すべきと考えます。都の取り組みを伺います。

○佐藤会計管理局長 都民利用施設のキャッシュレス化につきましては、東京二〇二〇大会までに、動物園や文化施設など、特に訪日外国人の利用が多い施設を中心に、QRコード決済の導入を初めとするキャッシュレス対応を強力に進めてまいります。
 あわせて、そのほかの施設におきましても、これまで蓄積しましたキャッシュレス決済の導入ノウハウを活用し、関係各局と連携しまして、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどの多様な決済手段を施設の特性に合わせて導入することで、キャッシュレス化を加速してまいります。
 これらの取り組みにより、二〇二二年度までには、多くの方がレジャーなどの目的で訪れます約八十の都民利用施設におきまして、キャッシュレス対応率一〇〇%を目指してまいります。

○斉藤委員 外国人にはさまざまな社会がございますけれども、クレジットカードが進んでいる国はクレジットカードによる決済、そしてQRコードで決済が進んでいる、多分中国などはそうですけれども、QRコードということで、多様な支払い方法を用意しておくということ、そういうことを、外国人のためだけじゃなくて、日本人のためにも、それが翻って非常に利便性のいい形になっていきますので、ぜひ進めていただきたい。一〇〇%を目指すということでございますので、よろしくお願いします。
 次に、キャッシュレス納税についても伺いたいと思います。
 障害のある方や高齢者の方にとって、都税を納付するために、銀行や郵便局に出向いて納付書や現金のやりとりをすることは想像以上に大変なことと伺っております。こうした方々のためにも、納税のキャッシュレス化を進め、バリアフリーにしていかなければなりません。
 我が党はこれまで、クレジットカード納税を初めとする利便性の高い納付方法を提案し、実現をしてまいりました。今後はソサエティー五・〇の実現を見据え、キャッシュレスでいつでも簡単に支払える納税環境をさらに整えていくことが重要であります。
 都は、現在、三八%のキャッシュレス納税比率と伺っておりますけれども、これを十年後には七〇%にしていく目標を掲げております。
 そこで、今後のキャッシュレス納税比率を高めるための都の取り組みについて伺います。

○塩見主税局長 キャッシュレス納税比率を高めるためには、現金による納付件数の多い法人二税や固定資産税等を中心に取り組みを進めていくことが重要でございます。
 法人二税については、昨年十月から稼働している地方税共通納税システムによる電子納税の積極的な活用を、企業や関係団体に強く働きかけているところでございます。
 また、そのほかの固定資産税等を初めとする税目については、新たにスマートフォン決済アプリを活用したキャッシュレス納付を来年度中に導入すべく、準備を進めております。
 現在、急速に普及しているスマートフォン決済アプリによる納税を導入することで、都税の納付方法の選択肢を広げ、キャッシュレス納税比率とともに、納税者の利便向上につなげてまいります。

○斉藤委員 スマートフォンのアプリというと、高齢者の方が使えないんじゃないかという声があるんですが、そんなことないんですね。そういう方も使えるようにしていくのも大事でございます。シニアのアクティブの方、すごく活躍されていますし、一言で高齢者といって、できないというのは大変失礼なことでございますので、ぜひこのアプリ、早目につくっていただきたいと思います。
 スマートフォン決済アプリによる納税は、納税通知書のバーコードをスマートフォンで読み取り、支払いが完了するものでありまして、クレジットカードを所有していなくても、二十四時間三百六十五日、自宅、外出先など場所を問わず、いつでもどこでも納税することが可能となるわけであります。都民の皆様に少しでも早くスマートフォン決済アプリの納税を利用してもらうために、スピード感を持って準備を進めていただくよう求めたいと思います。
 次に、このキャッシュレス納税などを支える税務行政のデジタル化について伺います。
 昨今の社会経済状況の変化によって、都の税務行政、ひいては日本の税務行政は二つの大きな課題に直面していると考えます。
 一つは、納税者の利便性、行政の効率化といった、こういった観点、これを重視したデジタル化の推進でありまして、もう一つは、いわゆる大相続時代が参ります。こうした大相続時代における相続人の確認や、そして急増する外国人の資産に対する調査、こうした新たな環境変化への対応が必要です。
 都庁デジタルガバメントプロジェクトでは、最先端技術を活用して、都民の利便性の向上を図ることはもちろんのこと、これにより、生産性の高いスマート都庁をつくることを掲げておられます。
 そこで、デジタル化など社会経済の様相が大きく変わっていく中で、税務にかかわる仕事のあり方をどのように改革していくのか、見解を伺います。

○塩見主税局長 社会全体のデジタル化が進む中、税の分野においてもデジタル化による納税者の利便性向上が重要でございます。また、お話のございました大量相続の発生や外国人納税者の増加等、新たな変化に対応した適正で公正な税務執行が求められております。
 こうした要請に応えるため、今般、税務基幹システムの再構築を含む税務行政の将来像を主税局ビジョン二〇三〇として公表し、デジタル化の利便性を最大限発揮できる基盤の確保とともに、システムで可能な業務はシステムに任せ、職員一人一人が税務の専門性を向上させていくという基本方針を示したところでございます。
 今後、このビジョンに基づき、現行の手続や業務を一から精査し、利便性が高く、効率的で生産性の高い業務フローを検討し、税務事務改革の具体的な姿について令和二年度中に公表してまいります。

○斉藤委員 この限られた人材、能力を最大限に活用していくためにも、これまでの延長線にとらわれることなく、システム、機械、AI等、できるものは任せて、そして人でなければできないような、丁寧な税務の現場、これをつくっていただきたいと思っております。
 先端技術により、業務の生産性、効率性を高める仕事改革を果敢に進めていくことを求めておきます。
 次に、SDGsの視点での中小企業支援について質問します。
 近年、世界の企業がSDGsを経営計画に取り込むことで、先ほどお話しさせていただきましたけれども、ESG投資、これを呼び込むことに注力しておりまして、我が国においても、SDGsを企業経営に結びつけて企業価値を高めていく取り組みが大企業などでは多く見られております。今、学んでいる子供たちが企業を選ぶ時代が二〇三〇年、そのときに、こうしたものに貢献している企業かどうかを見られる時代が来るということで、大企業は必死です。お金と人材、これがキーワードでございます。
 では、中小企業はどうでしょうか。私は昨年の第三回定例会一般質問で、特に成長戦略の一環として、中小企業の皆様にもこのSDGs経営の推進をすべきと質問しました。その際、今年度新たに実施する実態調査を踏まえ、検討を進めるとの答弁がありました。
 そこで、実態調査の結果と今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○村松産業労働局長 企業におけるSDGsの認知度等の調査におきまして、約四千五百社から回答を得たところでございます。その結果、環境への配慮などSDGsの理念を既に事業活動に取り入れている企業は六%にすぎず、さらに、何も知らないとした企業が半数を超えるなど、SDGsへの理解が広まっていない実情が明らかになったところでございます。
 そのため、来年度から、中小企業におけるSDGs経営の促進に向け、その理念や導入方法などを学ぶ普及啓発セミナーを年三回、経営戦略に取り入れるための計画策定を支援いたしますワークショップを年二回開催することといたしました。さらに、基礎知識をまとめたハンドブックの発行や専用ポータルサイトでのモデルとなる先行事例の発信などを通じまして、広範に中小企業のSDGs経営を促進してまいります。

○斉藤委員 これは知らない方、企業が大変多いんですけれども、これはチャンスであると同時にリスクでもあるわけなので、これをできるだけ丁寧にわかりやすく説明をし、学んでいただくことも重要だと思います。
 続きまして、中小企業の人材確保についてですが、高齢者の就労支援として、平成三十年度より東京キャリア・トライアル六十五事業を実施しております。これは、新たに企業に派遣される高齢者と、希望する受け入れ企業との双方のニーズをマッチさせるという、そういった取り組みでありまして、大変好評だということで、来年度は事業が拡充されると聞いております。
 こういった角度での中小企業における人材不足の一助ということを期待するわけでありますが、一つこれは提案でありますけれども、中小企業の人材獲得を支援する取り組みとして、国は、平成二十七年度よりプロフェッショナル人材事業というものを実施しております。これは東京と沖縄以外、四十五道府県では既にこれを利用していると。
 大企業で活躍するプロ人材を、生産性向上、競争力強化や新規事業の立ち上げなどを目指す企業が中小企業に人材を流していく、大企業から中小企業に流していくということが目的であります。
 都内の大企業には、長年をかけて培ったスキルの実務経験を持つシニアが多くおられまして、国の事業と同様に、こうした方々を新たな中小企業のようなステージで生かせる仕組みを都が独自に整えていくことは、都内の中小企業にとっても大変有効であると考えます。
 そこで、都は今後、雇用安定の目的からの就労支援、これはとても大事ですが、それだけではなくて、中小企業の経営者は大変孤独でございます、こうした皆様を支えるという意味で、こうしたプロ人材、経営支援としてのマッチング事業を、ぜひとも都が行うべきだと提案をしていきたいと思います。
 次に、生物多様性について質問したいと思います。
 ことしは、十月に中国で第十五回生物多様性条約締約国会議、COP15が開催をされ、二〇三〇年までの目標でありますポスト愛知目標が採択される見通しでございます。
 ポスト愛知目標は、生態系を基盤とした気候変動緩和策や適応策など、パリ協定との整合、連携や、SDGs等の社会経済の課題解決への生物多様性の貢献がポイントになると注目されています。
 都内では、近年、緑地や農地の減少が続いておりまして、自然の減少、荒廃に歯どめがかかっているとはいえません、できるだけそれをなくそうという努力はありますけれども。
 また、昨年の台風十九号による河川の氾濫などに見られますように、気候が大変、気候変動が激しいものがございまして、洪水リスクや災害並みともいわれる夏の猛暑、これ熱中症リスクですが、こういったものが高まっているという社会課題が発生しています。
 それでちょっと図をごらんいただきたいんですけれども、実はこれ、これが一般的に皆さんが見ているSDGsの十七の目標が書いてあるデザインですね。
 これに対しまして、きょうご紹介したいのはこちらです。これは、ここに書いてありますように、ストックホルムのレジリエンスセンターというところが、さまざまな十七ある目標をどういうつながりがあるかということを立体的にデザインしたもので、SDGsのウエディングケーキといわれているわけですね。これケーキに見立てているわけですが、このベースに生態系を置いている、生物多様性はここにあります。そしてこの上に都民生活が乗っかっていて、そして経済活動はさらにその上にあるということで、この基礎になる自然の生態系が破壊されると、これはその上が立ち行かなくなるという図をあらわしているわけであります。
 そこで、社会経済活動を支えるこの自然環境を守るためには、気候変動への対応や水資源問題への対応、そして生物多様性の保全に一丸となって取り組んでいくことが必要であります。
 そこで、ポスト愛知目標が決定されるのを機に、自然環境の保全や回復を進めることはもちろん、社会課題の解決に資するよう、これからの時代にふさわしい新たな東京の生物多様性戦略を策定すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉村環境局長 社会経済活動を支えます自然環境の劣化を食いとめ、気候変動の影響等の新たな社会課題に対応するには、貴重な自然を守り、持続的に利用することが重要でございます。
 都は、平成二十四年に生物多様性地域戦略に当たります緑施策の新展開を策定し、生物多様性の保全に取り組んでまいりました。
 ポスト愛知目標に基づき、令和三年度に国が国家戦略を改定するのに合わせ、都の生物多様性戦略を改定いたします。改定に当たりましては、従来の取り組みに加え、希少な動植物の保全等、生き物の生息、生育環境の維持回復する取り組みの強化や、自然が持つ防災、減災機能の活用などについて検討してまいります。
 今後、庁内各局やさまざまな主体と連携して、これからの時代にふさわしい地域戦略を取りまとめてまいります。

○斉藤委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九大会後のラグビーの普及啓発について質問したいと思います。
 都は現在、現在のラグビー人気を一過性のものとせず、大会後も東京のラグビー文化の定着を図るということを長期戦略ビジョンに明記されております。
 都内のラグビースクールでは、ワールドカップ後、子供たちの入会希望がふえておりますが、練習会場の確保に苦労されていると聞いております。また、交流試合や大会の開催など、ラグビーのできる競技場をふやしてほしいという声が多数寄せられております。
 この点について、昨年、我が党の第四回定例会代表質問に対しまして、知事からは今後、都立公園の整備等の機会を捉え、ラグビーができる場の整備について検討していくと、こういう答弁をいただいております。
 今後の都立公園における取り組みについて、都の見解を伺います。

○三浦建設局長 都立公園には、サッカー場や陸上競技場など、さまざまなスポーツ施設があり、都民が身近な場所で気軽にラグビーに親しむ環境を整備することは重要でございます。
 具体的には来年度、代々木公園、府中の森公園のサッカー、ホッケー場を天候による影響を受けにくい人工芝に改修していく機会を捉え、ラグビーの試合ができる広さを確保するための設計や土壌調査に着手いたします。
 また、整備中の高井戸公園におきましても、地元自治体やラグビー、サッカーなどの関係団体と連携をし、ラグビーができる場として具体的な設計を進めてまいります。
 今後、さまざまなスポーツが楽しめる場として、都立公園の一層の整備に取り組んでまいります。

○斉藤委員 この設計においては、ぜひ東京都ラグビーフットボール協会など、競技団体とよく連携して整備を進めていただきたいと思います。
 また、昨年の我が党の同じ第四回定例会の代表質問に対しまして、都からは、今後は、これまでの事業で培ってきた競技団体等との協力関係を生かしつつ、子供たちがラグビーを楽しみながら、技術力の向上にもつながる取り組みを検討すると答弁がありました。
 令和二年度に実施するラグビー普及の取り組みについて、都の検討状況を伺いたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 ラグビーの普及を図っていくためには、都民がラグビーに親しめる機会をふやしていくことが重要でございます。
 このため、都は来年度、子供たちを初めとした都民が気軽にラグビーに触れ、競技の楽しさを感じてもらえますよう、広いグラウンドを活用した体験会を実施いたします。また、子供たちが互いに技術を高め合えるよう、都内のラグビースクールによる交流試合を行うほか、指導者向けクリニック等も開催いたします。
 こうした取り組みを行うに当たりましては、東京都ラグビーフットボール協会を初めとする関係団体と連携を強化するなど、ラグビーワールドカップ開催を契機に高まったラグビー熱を都内に広く継続させ、ラグビー文化の定着を図ってまいります。

○斉藤委員 最後の質問です。
 豪雨対策についてですが、私の地元目黒区では、平成二十五年に時間当たり百ミリ以上の猛烈な豪雨がありまして、区内で約二百棟の床上、床下浸水がありました。特に上目黒地区と八雲地区がひどかったため、二十六年のこの場で私は、雨水整備の水準のレベルアップを図るべきと訴えました。
 その後の取り組みを伺いたいと思います。
 そして、大きくないけれども、私の地元自由が丘駅付近では浸水被害が発生しております。重点地区以外で取り組みがどうなっているかをあわせて伺います。

○和賀井下水道局長 浸水から都民の生命と財産を守るため、大規模な幹線等の整備を進めることに加え、地域の実情に応じたきめ細かな対策も重要でございます。
 目黒区の上目黒地区、八雲地区につきましては、直径二・二メートルから五メートルに及ぶ大規模な貯留管の整備を進めておりまして、現在は、地域の公園等を借用し、必要な立て穴の掘削を行っているところでございます。
 また、自由が丘駅付近では、降った雨を速やかに下水道に取り込むため、地元区と連携して雨水ますの増設を既に実施をしておりまして、枝線の排水能力を強化するバイパス管の設置等の基本設計に着手したところでございます。
 いずれの地区も密集した市街地での事業であり、地元の皆様のご理解をいただきながら、浸水対策を積極的に進め、地域の安全・安心を確保してまいります。

○中山副委員長 斉藤やすひろ委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十五分開議

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