予算特別委員会速記録第二号

   午後九時九分開議

○木村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 白石たみお委員の発言を許します。

○白石委員 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について質問をいたします。
 都内でも七日までに六十四名の方の感染が確認をされております。感染された方に心からのお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。
 こういうときだからこそ、科学的裏づけを持った冷静な判断と対応が求められております。ところが、安倍首相は、科学的根拠もなく、全国の学校を一律休校にする方針を発表いたしました。安倍首相が科学的根拠なく突然発表した全国一律休校の影響は甚大です。
 都内でも圧倒的多数の学校が休校となっております。保護者からは、そんなに休めない、子供がストレスをためてしまうなどの悲痛な声が寄せられ、学校や学童保育などの関係者も急な対応に追われて混乱をしております。
 都においては、一律休校の方針は解除して、冷静かつ慎重な判断と対応を改めて求めておきます。
 特に特別支援学校では、突然の休校でスクールバスの運行や学校の受け入れに混乱が生じております。学校に行かせたいと連絡したが、放課後等デイサービスに行ける、学校へは来ないでほしいと断られた、障害児が休校によって受ける害も考えてほしいなどの声が保護者から上がっております。
 都教委はこれをどう受けとめているのか。また、一人一人の障害の特性に応じた専門的な支援を保障するため、特別支援学校の一律休校は解除すべきですが、いかがでしょうか。

○藤田教育長 都教育委員会は、子供たちの健康や安全が全てに優先すると考え、多くの子供たちが日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、都立学校を令和二年三月二日から春季休業まで臨時休業といたしました。
 特別支援学校につきましては、各学校としての扱いは臨時休業中ではありますが、保護者の都合により自宅等で過ごすことが困難な子供につきましては、放課後等デイサービスなど、福祉機関等と連携した支援体制が整うまでの間、また、子供たちの精神的な安定という観点から、必要な場合は、学校で過ごすことができるように配慮しているところでございます。
 引き続き、子供や保護者を含め、学校現場の声を丁寧に聞き取って柔軟に対応してまいります。

○白石委員 一律休校によって、現在、特支の多くが目前に迫った卒業式に保護者が入れないと、このように聞いております。
 保護者からは、学校生活の一日一日をかけがえのない日々として送ってきた、そんな学校生活の最後の卒業式に立ち会うことができないなんてと、このような悲痛な声が出されております。ぜひ卒業式の対応なども含めて、子供や保護者の声に柔軟に対応していただきたいと改めて要望しておきます。
 それでは次に、都立病院の独立行政法人化、さらに羽田新飛行ルートについて質問をしてまいります。
 いずれも小池知事の政治判断にかかわる重要な問題です。お手元に答弁書がない質問もいたします。政治家として、都民への説明責任を果たすため、知事みずから、きちんと答弁していただくようお願いを最初にしておきます。
 都立病院、公社病院の地方独立行政法人化について伺います。
 都立病院は、都民の命と健康を支える上で極めて大きな役割を果たしております。例えば、都立墨東病院は、区東部二次医療圏、つまり、墨田区、江東区、江戸川区の地域での三次救急を一〇〇%引き受けています。島しょの救急患者の実に九割以上を、広尾病院を初めとした都立病院が受け入れています。
 今大きな問題になっている新型コロナウイルス感染症の患者を真っ先に受け入れたのも都立病院、公社病院でした。
 一方、これらの医療は、診療報酬による収入で採算をとることは困難となります。そのため、都立病院が役割を果たしていくためには、東京都が一般会計から都立病院のためにお金を支出することが不可欠だということは、知事も先日の我が党の代表質問に答弁をされたとおりです。
 では、独立行政法人化すると、その支出がどうなるか、皆さんがどのような検討をしてきたのか、このパネルをごらんいただきたいと思います。皆さんにもお手元にお配りをしております。公文書開示請求で都から出された資料になります。
 これは昨年六月の十九日に行われた知事室での打ち合わせで、病院経営本部が知事に説明したものです。何と書いてあるか。都の財政負担を軽減、独法化による効果を生かし病院のワイズスペンディングを実現とあります。右下には、収支改善により負担金の縮減が可能となると、このように実際に書かれております。
 ここで知事に伺いたいと思います。
 独法化により都の財政負担を減らすということが、はっきりとここからも書かれていることはわかるわけです。こうした考えというのは、その後、変わったのでしょうか、それとも変わっていないのか。知事、変わったか、変わっていないかだけ端的に、二択ですのでお答えください。

○堤病院経営本部長 都立、公社病院の地方独立行政法人化の目的は、超高齢者社会の本格化や医療の担い手など、医療課題がさらに深刻化していく中でも、行政的医療の安定的、継続的な提供や都の医療政策への貢献などの役割を将来にわたって果たすことでございます。
 最少の経費で最大のサービスを提供することは、現在の経営形態でも当然でございまして、これまでも不断の経営改善努力を行ってまいりました。
 独法化後は、そのメリットを生かし、人材の機動的な確保による新たな医療ニーズへの対応や柔軟な契約手法の導入などによるさらなるコスト削減等を行うことにより、行政的医療等を一層充実させることができると考えております。
 なお、一般会計からの繰入金は、毎年度の収入と支出の状況によっても増減するものでございまして、現行制度においても独法化後においても同様でございます。

○白石委員 私ね、本部長に聞いたんじゃないんですよ。知事に聞いているんですよ。しかも、長々長々と経営本部長、答弁されたけれども、私が聞いたことは、この考え方、変わったか、変わっていないかという、この二択なんですよ。全く答えていないと。これは本当にやめていただきたいと。時間限られているんです。質問にちゃんと答えていただきたい。
 都の財政支出を減らすことが独法化の効果だという検討をしていたことということは、まあ、否定しようがありません。先ほども資料を見せました。明確な事実です。財政支出が減らされれば、都が担うべき行政的医療の後退につながることは明らかです。
 知事は、都立病院の経営形態のメリット、デメリット、丁寧に検討すると表明されてきました。独法のデメリットはどういう分析がされたのか、ぜひお答えください。

○堤病院経営本部長 各経営形態の制度比較や、ほかの自治体の先行事例等の調査等を踏まえた検証を行いました結果、独法については制度上のデメリットはないと認識してございます。
 各経営形態の制度比較につきましては、新公立病院改革ガイドラインで掲げられております地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人、指定管理者の三つの制度につきまして、都立病院としての役割を安定的かつ継続的に果たすこと、効果的、効率的な病院運営を実現するとの二つの前提条件から比較検証を行った結果、地方独立行政法人の制度は、両方の条件を満たすものでございました。

○白石委員 今、本部長答えました、デメリットはないと。知事も同じ考えかどうか、知事、いかがでしょうか。(堤病院経営本部長発言を求む)知事、知事だよ。

○堤病院経営本部長 ただいまご答弁申し上げたとおりでございます。

○白石委員 委員長、私、知事に、今、同じ考えですかと簡単な質問しただけですよ。しっかりと知事に指していただきたい。
 デメリットはないといい切るというのは本当に驚きです。
 先ほどのパネル、知事ブリーフィング資料をもう一度ごらんいただきたいと思います。委員の皆さんにも配っております。
 先行独法では、設立から十年程度で経営改善が明らかになっている事例が多くあると、このように書かれております。しかし、それは本当かということ、私、これから指摘したいと思います。
 次のパネルをごらんいただきたいと思います。お手元には、そのままの資料をお配りしておりますので、ぜひ見ていただきたい。
 この資料は、その神奈川県立病院機構の昨年度の第五回理事会の議案です。原案どおり可決をされたものです。神奈川県立病院機構は、今月いっぱいでちょうど設立して十年目になります。
 表面の県立病院機構の経営状況のところに下線を引いておきました。見てください。
 昨年度の決算について、二十五億一千二百万円の経常損失を計上と、このようにあります。これ、どういうことかといいますと、病院には、県から不採算医療を行うためのお金である運営費負担金が出ております。都立病院の一般会計からの繰り入れに当たるものです。その県からの支出を含めても、収支が二十五億円マイナスだということなんです。その上、繰越欠損金は九十四億六千七百万円を計上する危機的な状況と書いてあります。危機的な状況と法人自身が明記をしているんですね。
 ここで、知事に伺いたいと思います。
 独立行政法人の神奈川県立病院機構、これでうまくいっていると、このようにいえるのでしょうか。知事どうぞ、知事、知事です。(堤病院経営本部長発言を求む)だめ、知事です。

○堤病院経営本部長 神奈川県立病院機構がこのような分析をしていることにつきましては、経営状況の厳しさを十分に踏まえて、解決に向けて努力をしているということであろうと受けとめております。

○白石委員 今、知事、立たない姿勢に、本当に私、恥ずかしいと思いますよ。
 これから、今、病院経営本部長、厳しい状況を改善しようと、このように今しているんだという答弁ありました。要するに厳しい状況なんですよ。こういう中で、私、知事に聞いたんですけれども、地方独立行政法人に移行して十年がたち軌道に乗っているはずの神奈川県立病院は、五つの県立病院を持つ大きな独立行政法人です。その経営状況について、危機的な状況になっていることを知事はどう受けとめているのかというのを聞いたんです。
 独立行政法人への移行準備を始めるというのは、知事の政治判断ではありませんか。その判断が正しいかどうかにかかわる、これは大事な問題なんです。
 知事、お答えいただきたいと思いますけれども、この神奈川県立病院機構、資料を見せました。これで十年目でうまくいっていると思われますか。どうでしょうか。知事です。(堤病院経営本部長発言を求む)いや、いいです。もういいです。

○堤病院経営本部長 公立病院は、非常に今どこも厳しい状況にございまして、平均在院日数の短縮等によります影響で、入院収益が厳しい状況にございます。これは、おおむね、どのような経営形態をとっていても共通の事象だというふうに受けとめております。(発言する者あり)神奈川県立病院機構が……

○木村副委員長 静粛に。

○堤病院経営本部長 厳しい状況といいますのは、私どもとしては、これは経営形態の問題ではないのではないかというふうに受けとめております。

○白石委員 いろいろいいますけれども、現状、本当に危機的な状況だと、経営状況厳しくなっているんだと、なっているんです。
 皆さん、独法化をすればバラ色のようなことをいっていますけれども、実際にはこれほどの経営危機が今起こっているというのが現実です。
 さらに注目すべき点を指摘したいと思います。
 危機的な状況にあるのに、県立病院機構に対する県からの運営費負担金は、昨年度に引き続き厳しい検討が行われているということです。これも下線を引いておきましたので、見ていただきたいと思います。
 神奈川県は、独法化前の二〇〇九年度には百三十二億円の財政支援を県立病院に行っていましたが、一七年度は九十九億円まで減らされております。
 神奈川県は議会で、県立病院機構の業務は公共性が高い、県民への医療の提供という役割を果たしていけるよう必要な支援を行うと、このように答弁をしています。ところが、その一方で、年々負担金が減ってきていると、このようにも答弁をしているんです。
 知事、都立病院や公社病院を独法化して、神奈川と同じように、運営費負担金、つまり繰入金、同じようにどんどんどんどん減らされる、こういうようなことにならないといえますか。知事、お答えください。(堤病院経営本部長発言を求む)知事、知事です。知事ですといっているの、知事。

○木村副委員長 いいですか、池川さん、ちょっと座ってください。よろしいですか。答弁者が手を挙げているんですから答弁者を指します。どうぞ。(発言する者あり)それはあなた方の自由であって、答弁者が選ぶことです。はい、質問を続行します。

○堤病院経営本部長 公立病院の運営費負担金に関しましては、地方独立行政法人法で、規定の形で支払われることとされております。

○白石委員 もう立たないということを決意しているかのような感じで、やっぱりこういう場なんですから、知事に聞いているんだから、ちゃんと答えていただきたい。そして委員長も、知事に指しているんだから、しっかり知事を当てていただきたいと思います。
 さらに、この資料の裏、ごらんいただきたいと思います。下線部分です。このような危機的な状況のもとで、原則として職員の増員、純増要求は認めないと、このようにあります。
 東京都は、独法化のメリットとして機動的な人員確保ができるなどと盛んに宣伝しておりますが、全然違うことがわかります。住民が必要とする医療を充実させるために不可欠な職員体制の充実が原則できないということなんですね。
 自治体の支出が抑えられているというのは、神奈川県だけの話だけではありません。
 私たちは、大阪府立病院機構に視察に行きました。法人の職員の方は、負担金の額を落としてくださいという要請が府からあったと、このように明言もされていました。現に大きく減らされております。
 全国の地方独法立病院でつくる全国地方独立行政法人病院協議会が昨年度開いた総会の資料にも、経常収益に占める運営費負担金、つまり自治体の支出の割合が年々減少している、全体の約三分の一の病院で運営費負担金が不足していると、このような報告があるとも書かれております。こうしたことは独法化の重大なデメリットだということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
 さらに質問を進めてまいりたいと思います。独法化をめぐる意思決定過程にもさまざまな問題があります。
 ここで、知事に伺います。
 都立、公社病院の地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始するという方針を知事が決定したのはいつでしょうか。知事どうぞ。(堤病院経営本部長発言を求む)これ知事、質問通告出しているんだから、だめだ。

○木村副委員長 どなたがお答えになりますか。

○小池知事 では、お答えいたします。
 都立病院の経営形態のあり方でございますが、平成十二年の都庁改革アクションプラン以来、平成十七年には行財政改革の新たな指針、平成十八年の行財政改革実行プログラムでも検討されておりまして、これはまさに長年にわたる課題でございました。
 平成十六年に地方独立行政法人法が施行された以降でございますが、地方独立行政法人を経営形態の一つとして加えて検討を進めてきたものでございます。
 私が知事に就任した後でも、平成三十年でございますが、都立病院経営委員会の方から提言を受けております。いわく、都として都立病院新改革実行プラン二〇一八を策定いたしまして、経営形態のあり方について病院事業の見える化改革による課題の検証、そのほか他の自治体の経営形態の動向調査など、さまざまな検討を重ねてきたものでございます。
 この間、私も病院経営本部より、検討の内容につきましては随時報告を受けております。そして、そのたびに必要な指示を行ってきたところでございまして、こうした一連の検討を踏まえまして、都立、公社病院の独法化に向けました今後の進め方を決定、昨年十二月三日の第四回の都議会定例会で準備の開始について表明をいたしたところでございます。
 今まさに独法化に向けましては歩みを始めている段階でございます。まずはこの定例会でのご議論を経まして、年度末までに独法化の方針といたしまして、新たな病院運営改革ビジョンを確定させていく、この流れでございます。

○白石委員 聞いたことに答えてくれないんですね。いつ決定をしたんですかと、このようにいったんです。だけれども具体的な日程はいわないと、こういうことなんですね。
 独法化に向けた進め方を都として決定したのは十一月八日です。第四回定例会に提出した文書質問で明確な答弁が来ております。
 昨年十二月定例会で、我が党は知事に対して、都としていつ、どこで意思決定したのか明らかにしていただきたいと質問いたしました。ところが、このとき知事は、聞いたことに全く答えなかったんです。それが文書質問では十一月八日に了承したという答弁に変わりました。今回はまた答えなくなりました。なぜ答弁が二転三転しているのか、大きな疑問が生じることを指摘しておきたいと思います。
 ここでパネルを見ていただきたいと思います。お手元に資料もお配りをしております。
 十一月八日の会議について知事にお聞きしたいことがあります。このパネルは十一月八日の知事への説明で使われた資料で、我が党の公文書開示請求に対して都が出したものです。当然知事もごらんになっているというふうに思います。知事、見ていると思いますね。
 ここで見て、知事、この資料を見て何かおかしなところがあると思いませんか。知事どうですか、ここ見て。もらったでしょう。見ているでしょう、知事。何かおかしいところないかなというところありませんか。(小池知事「ない」と呼ぶ)じゃあ、いいや。わかりました。ないと。ないということなので、わかりました。特に変なところがあるという答弁はありませんでした。
 資料によれば、経営形態の検討スケジュール案として、パターンA、そしてパターンBの二つの案が示されております。実際に採用されたのはパターンAということになりますが、ここではパターンBに注目をしていただきたいと思います。
 四定の代表質疑で独法化方針を答弁と記載されています。十一月八日というのはどういう日だったか。まだ第四回定例会の代表質問まで一カ月以上時期が離れている時期です。
 これの意味するところは何なのか。都議会でやらせ質問をしてもらって独法化方針を表明しようと、こういうことになります。これ、知事にお答えいただきたい。パターンBではやらせ質問を準備しようとしていたことですね、どうぞお答えください。

○堤病院経営本部長 この資料でございますけれども、独法化の検討が進んでまいりましたので、先ほど委員からお話もありましたとおり、この前段にその内容の説明をして、知事にご了承をいただいたものでございます。
 パターンAとパターンBにつきましては、パターンAにつきましては、知事が所信表明で独法化に向けた移行の準備を表明するというもの、それからパターンBについては、ご質問があった場合に答えていくものという意味で整理したものでございます。

○白石委員 もう、このごまかしはきかないですよ。なぜならば、これ十一月に出たばっかりじゃないですよ。十月からずうっと副知事にも上がってやってきているんですよね。今、質問が出た場合に表明すると。そんなことあるわけないじゃないですか。スケジュールなんてものは可能性でつくらないでしょう。質問が出なかったら、じゃあ表明しないということになるんですか。そんな提案を知事にしたんですか。そんなことあるわけないと。これこそ、やらせ質問の明らかな実態じゃないですか。
 どんなに取り繕ったって、やらせ質問を準備して独法化方針を表明することが考えられていたことは明らかなんです。それが公文書に公然と書かれて、知事を初め誰も疑問に思わなかったというのは本当に驚くべき実態だと思います。
 ここで見ていただきたいと思います、パネル。知事が都民ファーストの代表を務めていたときの政策パンフレットです。左上に何と書いてあるか。読み上げますと、質問原稿を都庁職員に書かせる議員の怠慢、質問づくりを都庁職員に丸投げする議員がいるといわれております、質疑は台本の読み合わせの場になり、緊張感がありませんでしたと、このように政策パンフレットに書いてあります。そして、古い都議会にノーと大きく書かれています。
 ところが、やらせ質問がこのように検討されているわけですよ。知事、これは知事自身でなければ答えようがないことです。みずから表明していたことと正反対のことが公然と行われているじゃないですか。ちゃんと認めていただきたい。知事、どうですか。

○小池知事 全く認識が異なると、このようにお答えをいたします。

○白石委員 認識が異なると。まあ、驚きですね。もう十月の時点から何度も何度もこの案は出されていて、知事まで来ているんです。最終的にはこのパターンBは採用されなかったわけですけれども、このスケジュールの提案は、知事への説明で突然出されたわけじゃないんです。我が党の開示請求で出された文書を見ても、知事に相談する前にも何度も副知事などと相談がされています。
 ところが、誰からも知事への説明にこうした文書を出すのが問題だとはされていないわけです。なぜなのかといえば、日ごろから庁内でやらせ質問を行う議論がされていて、知事もそれを認めているからだと考えざるを得ません。でなければ、こんな提案が病院経営本部から出るわけないんですよ。そうでなければ、こうした文書が知事まで上がることなんてあり得ないと、改めて指摘をしておきたいというふうに思います。
 都立病院の独法化という都民の命と健康に大きくかかわるテーマがやらせ質問まで公然と検討するという、こうした形で議論されることは許されないと改めて思います。しかも、十一月八日の打ち合わせのときに、都立、公社病院の独法化への移行準備を開始する方針が決定されたわけですが、決裁手続、一切行われていないんです。
 そこで、総務局長に伺いたいと思います。東京都の決裁手続について定めている根拠規定を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 公文書管理条例第六条第一項では、事案を決定するに当たっては、極めて軽易な事案を除き、文書によりこれを行わなければならないと規定されております。
 また、同条第三項では、重要な事案の決定に当たっては、その経過等を明らかにする文書を作成しなければならないと規定されております。なお、事務事業のどの段階で決裁手続を行うかは、事案の決定に至るまでの期間や検討の進め方が個々の事業により異なるため、それぞれの事案の性質に応じて個別に判断していくことになります。
 本件に関しては、病院経営本部において事案の経過資料も作成、保存されており、公文書管理条例の規定に反することなく適切に処理されているものと考えております。

○白石委員 余計なことをつけ加えなくていいんですよ。答弁があったように軽微な事案以外は決裁手続を文書で残すことが必要なんです。重要な事案の決定に当たっては、明らかにする文書を作成しなければいけないんです。その目的は、都政の透明化を推進し、現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすことにある、そのため、政策の形成過程についても、公文書をきちんとつくらなければならないと公文書管理条例にはっきりと書いております。
 都立病院の独法化は極めて重大な政策決定です。独法化に向けた今後の進め方を決めるという政策形成過程であっても、決裁を行わずに進められているのは明らかに条例違反です。しかも、都政の透明化という小池都政の中心中の中心のこの公約に逆行しているんです。
 先ほども私、開示資料を見せました。そうでないというのであれば、本来であれば、どうやってこの意思決定がされてきたのか、この途中の経過が全くないんです。そういう中で、あの開示資料が出てきたという状況なんです。やはり知事にしっかりと、ここの都政の透明化といったところでも、これ重大な問題があったと、まず厳しく指摘しておきたいというふうに思います。(遠藤総務局長発言を求む)先ほどの答弁で知事は……

○木村副委員長 どうしますか。手挙げていますよ、どうしますか。

○白石委員 質問はしておりません。今定例会での議論を経て、年度末までに独法化の方針を確定すると答弁をいたしました。
 今後--これ通告しております。独法化への移行はどのようなスケジュールで行う予定か、お答えください。通告していますよ。

○堤病院経営本部長 失礼いたしました。法人を設立するには、地方独立行政法人法で定めるところにより、目的や業務の範囲に関する事項、資産に関する事項など法人の根本原則となる定款について、都は、議会の議決を経た後に総務大臣の認可を受けることとされております。
 また、法の定めるところにより、法人が達成すべき住民サービスや業務改善等に関する中期目標について、議会の議決を経て、知事が定めて法人に指示し、法人は中期目標を達成するための計画である中期計画を策定し、議会の議決を経て知事の認可を受けるなどの手続がございます。
 法人の設立に向けましては、議会、都民、地域医療機関、医師会、病院職員などの声をしっかり聞きながら準備を進めてまいります。まずは本定例会でのご議論を経て、年度末までに独法化の方針として、新たな病院運営改革ビジョンを確定させてまいりたいと考えております。

○白石委員 では、続いて質問いたします。
 新年度予算案に独法化移行準備の外部委託予算が計上されております。入札、契約はいつを予定されていますか。これも通告をしております。

○堤病院経営本部長 本契約は準備契約でございまして、都議会で来年度予算を可決いただいた後に契約を確定させてまいります。
 入札参加者の申請期間は二月三日から二月六日まででございまして、その後、参加資格確認通知日でございます二月十日から三月十七日までが入札期間でございます。開札は三月十八日でございまして、その日に契約予定相手が決まりますが、契約締結は四月一日を予定しております。

○白石委員 これ本当に驚きですよ。そもそも独法化移行のための準備予算というのは、十一月の局要求にはありませんでした。ことし一月二十四日に発表された二〇二〇年度予算案で初めて独法化準備予算が出てきました。二月三日にはもう入札参加者の受け付けを行ったという答弁です。まだ議会に予算案が提出もされていない、議論もされていない、都民との関係でも独法化について書いた新たな病院運営改革ビジョン(素案)のパブリックコメントもまだ、この二月三日というのは募集中のときです。
 先ほどの答弁では、議会、都民などの意見を聞くことは重要だと、このように本部長もおっしゃいました。まずは、本定例会の議論を経て独法化方針を確定させるともおっしゃった。実際は全然違うじゃないですか。
 都民に向けて病院経営本部が出したQアンドAもあります。ここに何と書いてあるか。今後都民の皆様や都議会からの意見を丁寧に聞きながら、法人設立に向けた準備を進めていくと書いてあります。この説明とも全然違うじゃないですか。どこが都民の意見を丁寧に聞くのか、都議会の議論を経て決めるのか。これ丁寧どころか、このような乱暴かつ拙速なやり方、到底認められません。
 さらに、地方独立行政法人法の衆参の附帯決議では、地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに関係職員団体または関係労働組合と十分な意思疎通を行うことと、このようになっております。この国会附帯決議についてどう認識をしているのか、どう対応されているのか、お答えください。

○堤病院経営本部長 まず、先ほどの準備契約でございますが、本委託契約は法人を設立していく上で必要となります各種の制度構築等の準備業務や諸手続について行っていくための専門的助言やさまざまな制度設計に向けた支援等を受けるものでございます。地方独立行政法人化の方針として新たな病院運営改革ビジョンを確定させた後、法人への移行に向けた準備には時間を要することが予想されますことから、迅速に対応できるよう準備契約の手続を行っているところでございます。
 次に、国会の附帯決議を踏まえました対応についてでございますけれども、今後、地方独立行政法人化を進めるに当たりましては、国会における附帯決議の趣旨も踏まえまして関係者との十分な意思疎通を図るよう努めてまいります。

○白石委員 今の答弁も本当に重大だと思うんですよ。だって、都民の意見も聞かない、議会の議論を経ないで、もう迅速にやらなければいけないからと、手続どんどん進めているじゃないですか、これ方針が決定しているということなんですよ。これだって独法化の方針がなければ準備なんかしないんですから。でも、皆さん決定したとはいわない、なぜならば決裁文書と関係があるからですよ。こういうごまかしをずっとやっているんですよ。これは本当に許されないというふうに思います。
 この附帯決議の問題も今ご答弁されました。十分な意思疎通を図るように努めていくと、このようにしていますが、二月三日には独法化準備のための契約の入札参加者申請を始めていると。実際には、職員が何をいおうと粛々と進めるということじゃないですか。
 しかも、二月三日というのはどういう時期だったのか。新型コロナウイルス感染症の患者や中国の武漢市からチャーター便で帰国した方の受け入れを都立病院、公社病院で始めていた時期です。病院現場が受け入れのために必死に働いていました。病院経営本部でも対応で大変だったはずです。その中でもあくまで独法化準備の事前契約を進めていたことに本当に驚きを持って衝撃です。その後も、新型コロナウイルスの感染拡大はとまっておりません。いつまで続くかわからないという状況なんです。
 先ほどの答弁では、十分な意思疎通を図るように努めていくと、このようにいいましたが、病院の現場がコロナ対策に必死に取り組んでいるときに、職員に対する独法化の説明会をしたい、話し合いを進めようと、このようにやるつもりなんですか、いかがですか。

○堤病院経営本部長 まず、準備契約の関係でございますけれども、先ほどおっしゃいましたが、関係者と意思疎通を図ること、それから準備契約の契約事務を並行して進めること、それが矛盾するものではないというふうに考えてございます。それから職員との意思疎通のやり方でございますけれども、それは病院現場の実情は十分に踏まえてやらなければいけないということはもとより当然でございます。

○白石委員 苦しい答弁なんですよ。準備契約というのは、既に予算の議決の前にもう手続済ましちゃおうと、そして議決後の四月一日でもうやっちゃおうということなんです。もうありきなんです、独法化が。この附帯決議だって同じですよ。こういうふうに丁寧にやっていく、丁寧にやっていくといいますけれども、もう既に四月一日には契約できるように準備やっているじゃないですか。こういうありきの中でどうやってやるんですか。
 しかも……(堤病院経営本部長発言を求む)質問をしておりません。いいですか、こういう状況の中で、職員のこともお構いなし、こういうコロナウイルスの感染拡大とまっていない中で説明をしようとしたりとか、話し合いを進めようとするつもりなのかと、私は、はっきりと、これ厳しく指摘したいと思います。
 この新型コロナウイルス対策で現場が必死に対応している都立病院、公社病院の果たしている役割の重要性が改めて鮮明になっているにもかかわらず、とにかく独法化の準備はどんどん進めるという、こういう姿勢は改めるべきだと強く求めたいと思います。
 私、この間、さまざまな方からお話を聞く中で、都立病院の果たしている役割が本当にかけがえのないものだということを強く感じております。これ知事にもしっかり聞いていただきたいというふうに思います。
 島しょ地域の方から、八十代の女性からお話聞きました。今回の都立病院の独法化について次のように話してくれました。結婚して島に来て今までに何度も病気で入院してきたけれども、広尾病院の先生、看護師さん、スタッフの方たちの献身的な姿に心から感謝し命を助けていただきました。昨年、夫が緊急手術したとき、さくら寮に宿泊し看病もできました。三年前の都知事選挙で私たち家族は、小池都知事に期待し一票を投じました。小池都知事の都民ファーストという言葉を信じたからです。都民に約束した都民ファーストの公約を守り、広尾病院初め都立病院の独立行政法人化を進めることをやめてください。
 また、都立神経病院にお世話になっているALSの患者さん、二十五年前にALSだと、このように告知をされたときは、死の告知と同じように受けとめ、生きていけないと絶望の日々を過ごしていました。しかし、都立神経病院の医療スタッフの支援を受ける中で、再び生きる実感を取り戻し、当時四歳だった子供は社会に出て仕事をしているし、孫二人の成長を見ることもできた、都立神経病院は命のふるさとだと話をされています。私たちだけでなく多くの難病患者と家族がすがるようにして生きております、神経病院の都立直営での存続を心から願っておりますとのメッセージもいただきました。
 こうした都立病院の果たしている重要な役割を知事は正面から受けとめるべきではないでしょうか。
 都立病院は、直営のもとで長年、長い病院では百年以上にわたって都民が必要とする医療を提供し続けてきました。その都民の財産を損なうことにつながる地方独立行政法人化はきっぱりと中止をして、都立病院は直営を守って充実すること、公社病院も直営とすることを強く求めて、次のテーマに移りたいというふうに思います。

○木村副委員長 どうしますか。今、手を挙げていますよ。

○白石委員 次に、羽田新飛行ルートについて質問をいたします。
 知事は、知事選以来、三つのシティーを掲げています。三本柱の一つがセーフシティー、すなわち安全・安心な都市づくりです。これは単に災害から命を守るということだけでなく、新型コロナウイルス対応など、都政のあらゆる問題において、安全・安心を貫くのが知事の基本姿勢だと思います。
 また、知事のホームページには、東京大改革宣言と題して、都民が決める、都民と進めると書いてあります。これも知事が都政に挑む基本姿勢だと思います。しかし、羽田新飛行ルート問題で、その基本姿勢は一切貫かれていないといわざるを得ません。
 今、知事笑いましたけれども、私の地元品川を初め、都内各地で羽田新飛行ルートに反対、見直しを求める会が次々と立ち上がり、品川の区議会では多くの区民に理解しがたい現状、新飛行ルート案を容認することはできないと、会派の違いを超えて全会一致で決議がされました。渋谷区議会ではどうか。いまだ渋谷区内では十分な理解が進んでいない。区民の生活を守るために計画の見直し等を強く求めると、こういう意見書がこれも全会一致で上がりました。港区議会も同様の意見書が上がっております。
 知事が、都民が決める、都民と進めるという立場に立つなら、知事を先頭に都として国に撤回、中止を求める。これが本来の筋ではないでしょうか。
 ところが、都が行ったのは真逆の行動です。羽田新飛行ルート決定の引き金になった国の第五回協議会で長谷川副知事はどういったか。
 国は、住民説明会や総合的な対策に取り組まれてきた。さらに東京都の要請を受けて、さらなる取り組みが追加され、より一層の取り組みが示されたものと評価をすると、このようにおっしゃいました。国のこれまでの安全対策、騒音対策、追加対策について評価をしたと。その上で何いったか。必要な手続を着実に進めるよう要望すると。あくまでも延期などしないで、今月二十九日から本格実施することを念押しまでして羽田新飛行ルートの実現をするよう国に都として求めたという発言です。
 この長谷川副知事の発言は、個人の見解ではないと思います。都を代表しての発言であると、このように思いますが、副知事の発言趣旨について、知事ですね、知事は事前に承知、了解をしていたのか、お伺いしたいと思います。

○小池知事 ただいまご指摘のございました協議会におけます副知事の発言内容でございますが、事前に報告を受けておりまして、承知をいたしておりました。

○白石委員 知事お墨つきの発言であるということだと思います。
 さらに知事に続けて質問いたしたいと思います。
 知事は、羽田新飛行ルート計画を都民の命と暮らしを守る立場で検討された上で了承したということですね。知事、いかがでしょうか。

○小池知事 ご質問に端的にお答えいたしますと、導入に当たりましては、申すまでもなく、都民の安全・安心の確保が重要であり、そのために、これまで都は、国に対しまして、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてきたものでございます。
 そしてまた、我が国の国際競争力の向上や、東京二〇二〇大会の円滑な実施のためにも、羽田空港の機能強化は極めて重要であるという点、羽田空港における新飛行経路の導入については、国がみずからの判断、責任で決定したものである。それを踏まえまして、都といたしましてのさまざまな安全管理の徹底を求めてきたことに対し、国は、六期にわたる住民説明会を実施、低騒音機の導入促進を図るための着陸料見直し、航空機のチェック体制の強化、航空会社への世界的に類いまれな、類を見ない落下物防止対策の義務づけなど、さまざまな対策を実施してきたわけであります。
 都といたしましては、引き続き国に対しまして、丁寧な情報提供、そして騒音、安全対策の着実な実施を求めてまいります。

○白石委員 今質問をしたのは、都民の命と暮らしを守る立場で検討されたのかと伺ったんです。今答えたのは、国に求めてきましたという答弁なんです。検討されたかどうかは答えていないです。
 都民の命と暮らしを守る立場で検討したのかという点では、正面から答えられないことは今はっきりしました。なぜならば、都民の命や暮らしがどうなるのかという、最も重視しなければならない検証はされていないからです。
 羽田新飛行ルートが決定された国の第五回協議会での都の発言の重大さは、単に国の態度を評価して推進を求めたということだけにとどまりません。羽田新飛行ルートを開始するための決定打となりました。
 安倍首相は、先頭に、羽田新飛行ルートを進めるには地元の理解が必要だと繰り返し約束をしてきたものの、地元の区議会から次々と決議や意見書が上がり、国が進めたくても進められない窮地の状況を救ったのが都の発言なんです。
 国交大臣が、地元の理解が得られたと判断した主な理由は二点あります。
 一つ目、国がこれまで実施してきた対策、丁寧な情報提供、追加対策を評価されたこと、二つ目、予定どおり三月二十九日から開始することを求められたこと、これをもって地元の理解が得られたと判断をされました。どれも知事が了承した都の発言が新飛行ルートを決定する判断材料になっているんです。
 裏を返せば、都の発言がなければ、新飛行ルートを進めることはできなかったんです。
 知事、国が決めたことと、これもう国の責任論で逃げることはできないと思います。知事のこの都の発言の重大性、了承したこの重大性について、どのように自覚をしているのか、知事、お答えいただきたいと思います。

○小池知事 羽田空港の課題でございますけれども、まずは、新飛行経路の導入について、国みずからの判断、責任で決定したと先ほど申し述べさせていただきました。
 そしてまた、導入決定後も、国は六期目の住民説明会の開催や低騒音機の導入促進を図るための着陸料の再見直しなども実施をし、また今後も新飛行経路の運用開始に向けましては、地元の皆様の理解が深まるよう、さらに努めていくとしております。
 都といたしましては、引き続き国に対して、今回の実機飛行確認の結果も踏まえて、都民の理解がさらに深まりますように、丁寧な情報提供、騒音、安全対策の着実な実施を求めていくことには変わりはございません。

○白石委員 国が今、さまざまな対策をやったから評価をしているんだと、これで安全・安心というのがさらに担保されてきているというような趣旨の発言ですが、じゃあ、落下物対策どうなのかと。先ほど世界に類を見ない落下物防止対策がやられているから、これ評価できるんだと、このようにもいいました。
 国は、二〇一七年十一月から、羽田や成田など国内七空港で部品欠落報告制度を実施してきました。落下物といっても、海や山に落ちては発見されませんから、航空機の部品がなくなっているかどうかの調査というのは、落下物事故が実際に起きるかどうかの目安になります。
 二〇一七年十一月の制度拡充以来、部品欠落報告件数、部品欠落個数、その主な内容について説明をしていただきたいと思います。

○佐藤東京都技監 航空機の部品欠落について、国からは、新たな部品欠落報告制度に基づく、二〇一七年十一月から二〇一九年十月末までの二年間における報告件数は九百四十二件であり、部品個数は千四十四個と聞いております。
 欠落部品の多くは百グラム未満、半数以上は十グラム未満となっており、その例として、小さなねじやリベットなどのとめ具などがあると聞いております。

○白石委員 ごめんなさい、都技監、報告件数の部品個数というのは千百四十四個ということでよろしいですか。

○佐藤東京都技監 失礼しました。訂正させていただきます。千百四十四個でございます。

○白石委員 二年間で千百四十四個の部品が欠落をしていると。つまり、国内の七つの空港に離発着する飛行機だけでも、一日一・五個以上も部品が欠落をしている計算です。
 しかも、先ほど知事おっしゃった、世界に類を見ない落下物対策として示してきた落下物対策の基準が実施されたのは二〇一九年三月以降ですが、部品の欠落は、それ以前は一日一個ペースだったのが一日二個のペースにむしろ増加しているんです。世界に類を見ない落下物対策基準をやったとしても、むしろ部品欠落というのはふえているというのが実態なんです。
 先ほど都技監は、欠落部品の多くは百グラム未満だと、半数以上は、ねじやリベットなどの十グラム未満の小さなとめ具だといって、あたかも小さな部品だから問題がないかのような、この印象づける国の説明、紹介されました。
 この国の説明について、四十五年間、整備士をやってきた方に伺いました。百グラムであっても、地上千メートルから落下をしてくれば大きな衝撃だ、ねじやリベットは軽いとはいえ、空気抵抗を受けにくいからそのまますっと落ちてくる、このように指摘しておりました。国の説明は安全軽視も甚だしいといわざるを得ません。
 欠落したのは軽い部品だけじゃないんです。国の資料に基づけば、最大九百グラムのパネル、カバー類、最大八百グラムのレンズやライトカバー類も落ちております。さらに、一キログラム以上の落下物は二年間で八件あります。一昨年には、重量四キロ以上のパネルが落ちて、走行中の自動車に直撃する事故も起こっております。加えて、国の調査には含まれない雪や水が外気温によって固まって、氷となって氷塊となって落下すると、これは国の調査では明らかになっておりません。こういう問題も加わるんです。
 つまり、追加対策を幾らやったって落下物はなくならないということ、証明されているんです。
 これ、知事にお伺いしたいと。先ほど世界に類を見ない対策はやられていると、これは評価できるんだと知事おっしゃいました。知事、この追加対策で、国の対策によって、落下物というのはなくなるんですか。お答えいただきたいと思います。

○佐藤東京都技監 先ほど知事の方から、世界に類を見ない技術基準というお話いたしましたけれども、これは本当に、各航空機の機種ごとに、それぞれ違う技術基準にのっとって点検をしっかりするということでございまして、こうした厳しい基準、それから検査体制を、チェック体制を整えたと、そういうことによって、落下防止に関する航空会社の意識の向上、あるいは落下物の起こりやすい部品などの情報の蓄積、そういったことで点検精度の向上ということもございました。
 したがいまして、報告された部品の欠落の情報もかなり精度が高まっているという部分もあるというふうに聞いております。
 都としては、引き続き安全対策の着実な実施を国に求めてまいりたいと考えております。

○白石委員 そう、徹底したから精度高まって、部品の欠落がどんどんわかってきたわけです。
 落下物なくせるんですか、世界に類の見ない追加対策やってなくせるんですかと、今お聞きしました。一切、それ答えられない。当然なんです。世界に類を見ない精度の内容というのはどういうものか。落下物基準を設けた、この程度なんです。よほど評価に値するものじゃないというふうに思います。
 この整備士の方、何といっていたか。落下物というのはなくならないんだ、だからこそ、落下物というのは落ちる前提で、落ちても二次被害を生み出さないことを考えるのが落下物対策の基本だと、このようにいっているんです。
 だからこそ--羽田新飛行ルートというのは直下に何があるか。学校もある、保育園もある、病院もある、高齢者施設もある、福祉施設もある、住宅もある、こんなところに一回でも落下物おっこちたら、これ都民の命にかかわる大問題になるんじゃないか。みんな指摘しているんです。それを検証もせずに知事は推し進めた。大問題です。
 騒音はどうか。
 国は追加対策として、着陸時の進入角度を国際標準の三度から三・五度へと引き上げることで、着陸時の高度が引き上がり、騒音を減らすとしました。
 都も、進入角度の引き上げを騒音対策だと認識をしているのか、技監、これ答えてください。

○佐藤東京都技監 一般的に、進入角度の引き上げによりまして、飛行高度が高くなれば、地上から航空機までの距離が遠くなり、騒音影響が軽減されることになります。
 実機飛行確認における航空機の騒音測定結果については、現在、国が精査しているところでございます。

○白石委員 最後、語尾が何をいっているか、ちょっとよくわからなかったんですけれども、要するに、騒音対策だと、このように認めました。
 じゃあ、もう一度聞きます。先月、二月二日から十二日にかけて、三・五度の進入角による実機飛行行われました。これ今、技監答弁されました。どのぐらい騒音が削減されたんですか。お答えください。

○佐藤東京都技監 実機飛行確認における航空機の騒音測定結果については、現在、国が精査しているところでございます。

○白石委員 私、昨年の予特で取り上げましたが、国の最大騒音値はあり得ない条件をもとにして、コンピューター上で想定したものであって、実際とは大幅に異なる。実機飛行前、昨年の三月やりました。事実をもって厳しく指摘したいと思います。
 実機飛行でどうなったか。国は十三カ所の地点の騒音値を公表しております。大型機と小型機に分けて、毎日の最大騒音値は、一覧表にしたら、私が昨年三月、指摘したとおりの実態になることがわかりました。お手元に今、資料を配っております。パネルごらんいただきたいと思います。このオレンジが最大騒音値、全て超えているということです。
 先ほど、三・五度に進入角度を引き上げれば、一般的には騒音対策になるんだ、軽減されるんだ--軽減されていないんです。騒音はほとんどの場所で、毎日のように七十デシベル以上を記録しました。
 国交省の想定では、高度が千メートルを超す、北区、練馬区、板橋区、豊島区、中野区、新宿区、ここでは騒音は全て最大で六十デシベルと国はいっていましたが、実際そうならず、騒音の最大値は全て七十デシベル超えています。
 七十デシベルというのは、室内でも、窓を開けている場合は騒音が非常に大きい、声を大きくしないと会話が成り立たないレベル、窓を閉めても昼寝をしていた赤ちゃんや子供は起こされるような、こういうレベルが毎日続くんですよ。
 閑静な住宅地の港区の白金にある保育園の園長さん、試験飛行中、園庭で遊んでいた園児が騒音におびえて泣き出したことを紹介し、子供たちが安心して外遊びができなくなると訴えております。また、音響式信号の音が聞こえなくなるなど、視覚障害者の方の移動の安全にも深刻な影響を与えます。
 例えば、都の測定でも、食肉市場付近では八十六デシベルとなっています。国の最大値というのは七十六デシベルといっていました。何と十デシベルの差がある、こういうことです。もうこれ九十デシベル近い、パチンコ店の店内並みです。
 知事、実機飛行で示されたこの実態、三・五度で飛んだものの、国の想定を上回って大音量を広範囲にまき散らした。それは大型機だろうが小型機だろうが、そんな違わないんです。こういうことでも知事は問題ないと、このようにいえるのかお答えいただきたいと思います。

○佐藤東京都技監 国が説明会等で示してまいりました最大騒音レベルの標準値につきましては、重量などの運行条件、あるいは風向き等の気候条件などにより、上下にばらつきが生じるものというふうに聞いてございます。
 また、国からは、騒音実測値が最大騒音レベルの標準値を上回った地点があったことについては事実であるということで、精査を行った上で、その結果を公表するということで聞いてございます。
 都としては、引き続き国に対して、騒音対策の着実な実施を求めてまいります。

○白石委員 本当に、先ほど見せたように、最大騒音値超えているんですよ。認識もされていると、このようにいいました。
 知事、答えられないと。この最大騒音値、これ昨年もやりましたけれども、例えば子供が昼寝中に、この飛行機の騒音によって起こされるというようなことがあれば、WHOもいっているように、子供に大きな影響、発育にも影響あるんだ、だから航空機騒音というのは低減しなければならないんだと、このように世界的にもいわれています。
 そして、国は、追加対策やった、世界に類を見ないこともやっているんだと、いろいろやっておりますといいますけれども、実際、推計値で示したことよりも、最大騒音値超えているということ、もう明らかじゃないかということです。
 進入角を三度から三・五度に引き上げることは、騒音対策としてほとんど効果を上げていない。その一方で、着陸の難易度を格段に上げて、事故のリスクを高めるんです。これ深刻に受けとめなければならないと思います。
 世界の航空団体、パイロットの団体が警告の声を上げ始めました。世界の約二百九十の航空会社が加盟し、日本でも全日空や日本航空が参加している国際航空運送協会、IATAは、国交省を訪れました。世界の空港に例のない特別な操縦技術を求められる、大型機が頻繁に着陸する世界の大規模な空港で、この角度で飛んでいるパイロットはいないと危険性を指摘しています。そして着陸角度を緩やかにするようにも求めました。
 また、世界百四の国と地域から十万人以上のパイロットが加盟し、航空の安全に関するさまざまな分野でパイロットの声を反映させる、こういう役割を担っている世界のパイロット加盟団体、IFALPA、これも三・五度の角度では、通常とは異なる着陸時の操作が必要で、ハードランディングを引き起こす危険性が増大すると、このように指摘をしております。
 しかも、両団体とも何といったか。この進入角度の引き上げは、騒音対策に効果がないとはっきりいっているんです。世界の団体がいっているんです。
 国際的な航空団体、パイロットの団体が、こぞって三・五度の危険性を指摘しております。また、騒音軽減効果もほとんどないとも指摘している。知事、このことをご存じでしょうか。お答えください。

○佐藤東京都技監 航空団体の方が国と協議をしたということは国から聞いてございます。それは今回の実機飛行確認の前に、改めて飛行の方法を確認し合ったというふうなことだと聞いてございます。
 その際に、国から聞いておりますのは、三・五度の降下角というのは、東京だけの問題ではなくて、他の空港では既に実施をされている。例えば、国内では稚内あるいは広島空港で、その降下角で降りております。
 それから、海外でも、サンディエゴ空港あるいはローマ空港といった大都市の国際空港で三・五度の降下角ということで既に実施をされておりまして、何事も問題なく降下をしているということでございます。
 したがいまして、東京の降下角というものの降下方法を、改めて専門家の操縦士の団体と確認し合ったということかと考えてございます。

○白石委員 国交省に、私もこの事実を確認いたしました。IATAが国交省を訪問すること自体がこれまで一度もなかったといっているんです。どれだけ異例中の異例なのか、どれだけ危険を感じているのか、これ見ただけでも明らかなんです。
 今、国内の空港で、稚内、広島、サンディエゴやっているんだ、だから安全なんだというふうにいっています。そんなこと国際団体みんな知っていますよ。これ、一時的な障害物があるからやっているだけなんです。恒常的にやるなんていう、こんな危険なことはないんだといって、IATA、IFALPA、パイロット協会、航空団体が抗議、そして懸念を示したんです。この事実、私は本当にしっかりと受けとめなければいけないというふうに思うんです。
 これ三・五度の進入角で最も危険なのは何か。最終的な着地のときに、機首を上げるときに引き起こす尻餅事故です。二〇一九年には、ロシアの航空機が尻餅事故で炎上し、四十一人の方が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。
 尻餅事故というのは、炎上事故だけではないんです。一九八五年八月十二日の日航機の御巣鷹山墜落事故も、その七年前のひどい尻餅事故で壊れた部分の修理ミスが原因で起こったと、このようになっているんです。尻餅事故というのは、何年後かに大変な事故につながる危険性もあるんです。
 私は当時、三歳でしたので、当時の記憶ありませんけれども、その後、何度もテレビの報道で目にして強い衝撃を受けました。あのような事故を二度と起こしてはならない、これは、小池知事も含めて、日本人の多くに深く刻み込まれているのではないかというふうに思うんです。
 知事、東京都がなすべきは、三・五度の進入角を評価するんじゃなくて、危険なんだ、撤回すべきなんだと、国に率直に訴えることじゃないですか。知事、どうですか。

○佐藤東京都技監 実機飛行確認の終了後に、国土交通大臣が国内の空港会社の実機飛行確認の状況を確認したわけでございますが、そのときには事前に飛行方法について、国交省の方から周知があった、それによって安全に飛行ができたということが確認されたと聞いております。

○白石委員 世界の団体がいっているんですよ。国内の航空会社で確認しましたというけれども、世界の航空団体、パイロット団体が危険なんだ、これは重く受けとめるべきだと。事故が起こってからじゃ遅いんです。
 しかも、追加対策ですよ、これ。追加対策によって、さらに危険な新飛行ルートになったということなんです。落下物防げない、騒音は、最大騒音値は推計値をはるかに超えている。
 そして、パイロットや乗客も危険にさらすような角度でおりていかなければいけない。世界一危険な空港に羽田空港がなるということなんです。知事、重く受けとめていただきたい。
 これ品川ではどうかと、品川の空のことは品川区民が決めると、住民、立ち上がっています。住民投票条例をつくるために、住民の直接請求運動が今広がっております。
 必ずや、このような命も暮らしも奪うようなことを進めた知事や、そして国に対して厳しい審判が下るということを改めて強く指摘して、質問を終わりたいというふうに思います。(拍手)

○木村副委員長 白石たみお委員の発言は終わりました。

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