予算特別委員会速記録第五号

○石川委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十四日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 木村基成理事の発言を許します。

○木村委員 都民ファーストの会東京都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 予算は、政策を具体的に示すものです。平成三十一年度予算は、東京二〇二〇大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算として位置づけられています。
 そして、第一に、局横断的な連携や行政にはない新たな発想の活用により、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現するための戦略的な施策を積極的に展開すること、第二に、ワイズスペンディングの視点により、自律的な都政改革を不断に推し進め、一層無駄の排除を徹底し、健全な財政基盤を堅持すること、第三に、東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げを着実かつ効率的に進めることの三点を基本に編成したとされています。
 一般会計予算七兆四千六百十億円、特別会計と公営企業会計を含めた全会計予算十四兆九千五百九十四億円に上る平成三十一年度予算には、防災対策や都民に身近な犯罪対策、国際金融、観光都市対策、中小企業対策、ゼロエミッション対策、未来を担う人材の育成対策、待機児童対策、児童虐待対策、女性活躍対策、高齢者対策、多摩・島しょの振興など、都民生活にとって欠かすことができない大切な経費が盛り込まれています。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、古い議会を新しく、そして、東京大改革を推進して、都民の利益を第一に考え、都議会の最大会派として、責任を持って予算審議に臨んでまいりました。
 さて、平成二十八年八月二日に都知事が就任されてから、平成二十九年度予算、三十年度予算、そして今回の平成三十一年度予算と、三回目の予算となります。平成二十九年度予算は、これまでの予算編成作業の中での予算でしたが、予算の編成権は知事に、議決権は議会にあるという地方自治法の規定にのっとって、政党による復活予算二百億円という慣行を廃止し、業界団体などからの要望も公開の場で聞き取る方式にするなど、予算編成過程における団体とのかかわりを透明化しました。
 平成三十年度予算は、当初から小池都知事の政策を実現するため練り上げられ、都民からの提案を予算化しました。都議会自民党は反対をしましたが、私たち都民ファーストの会東京都議団など、都民生活を守ろうとする会派の賛成多数で成立しました。
 そして、いよいよ平成三十一年度予算は、ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会に向けた総仕上げの予算となっています。大会の成功はもちろんのこと、その後の東京の発展と都民のための極めて重要な予算であることを申し上げておきます。
 東京二〇二〇大会を控えて、私たち都民ファーストの会東京都議団は、IOCとWHOが進めるたばこのないオリンピック・パラリンピックを実現するために、一つ一つ成果を積み重ねてきました。
 平成二十九年七月に執行された東京都議会議員選挙を経て、私たち都民ファーストの会東京都議団は、同年、都議会第三回定例会において、子どもを受動喫煙から守る条例を提出し、この条例は同年十月五日に成立しました。
 都が提出した東京都受動喫煙防止条例は、平成三十年の都議会第二回定例会で成立いたしました。都議会自民党は、この条例にも反対をしました。この条例は、今、ボードにしておりますが、平成三十一年の一月一日から、都、都民及び保護者の責務の規定が施行され、九月一日から、学校等の屋外喫煙場所の設置不可規定、飲食店の店頭表示義務規定が施行され、来年の四月一日から全面施行されます。大会組織委員会は、オリンピック会場敷地内の全面禁煙を決定しました。
 平成三十一年度予算には、受動喫煙防止対策のための推進予算四十六億円が盛り込まれております。東京都子どもを受動喫煙から守る条例や受動喫煙防止条例を成立させてきた私たち都民ファーストの会東京都議団としては、都民の健康を守るために必要な予算であると考えており、評価をしております。
 東京都子どもを受動喫煙から守る条例に対しても、都議会自民党は、厚生委員会において、法は家庭に入るべきではないなどと主張しました。しかし、この定例会の委員会で可決された東京都の児童虐待防止条例では、体罰の禁止規定が盛り込まれ、子供を守るためには、行政が家庭に介入することは当然のこととされています。
 法は家庭に入るべきではないというのは財産関係についての理論であり、生命、身体に関する利益を守る場合は、もはや妥当しません。
 さて、ことし九月に迫ったラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会では、多くの外国の方が東京を訪れます。屋内での喫煙禁止措置などはWHOでも広報していますし、諸外国でもある程度は知られていますが、区市などで行われている路上喫煙の禁止は余り知られていないおそれがあります。
 そこで、東京を訪れる外国人も路上喫煙や受動喫煙に関する規制を遵守していただくために、民間の協力を得て、旅行ガイドブックなどを通じた事前の周知、空港や駅、ホテルなどで周知することが有効だと考えますが、都の見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 都は、外国人旅行者等に路上喫煙の禁止など、各自治体の喫煙上のルールや公衆喫煙所の場所を周知するため、多言語でマップ等を作成し、ホテルや観光案内所等で配布するなど、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを支援しております。
 また、外国人の方にも受動喫煙防止条例の内容を正しく理解していただけるよう、現在作成している条例の解説動画に英語テロップを表示する予定でございます。
 さらに、飲食店等に入る前に、喫煙環境を知ることができるよう、英語、中国語、韓国語を併記した店頭表示ステッカーを現在作成しており、来年度早々に、施設管理者等に広く配布することとしております。
 今後も区市町村等と連携協力しながら、東京を訪れる外国人も含め、受動喫煙防止対策の周知を進めてまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 ホテル等のバリアフリーの周知について、次は伺いたいと思います。
 東京都は、新築、増築、または改築部分の床面積の合計が一千平方メートル以上の建築物における全ての客室をバリアフリー化する条例改正案を本定例会に提案しています。一般客室のバリアフリー化は初めての試みですが、東京がさらに共生都市へと進化するための条例改正であり、賛成です。
 先日、会派の島しょ振興政策研究会で大島を視察した際に、大島の宿泊事業者から、バリアフリーに対応した宿泊施設の情報が少ないという声を伺いました。一般客室もバリアフリー化する条例についても、ホテル、旅館の利用客に対してわかりやすく周知することが大切だと思います。
 そこで、ネットによる宿泊予約が多くなっていることに鑑み、工夫が必要だとは思いますが、バリアフリー化された宿泊施設の情報発信が重要だと考えます。今後の取り組みについて伺います。

○内藤福祉保健局長 都は現在、高齢者や障害者などの外出に役立つトイレの情報やバリアフリーマップなどを取りまとめたポータルサイト、とうきょうユニバーサルデザインナビを開設し、宿泊施設等のバリアフリー情報につきましても提供してございます。
 来年度は、このサイトを改修いたしまして、必要な情報をより入手しやすくなるよう、ピクトグラム表示や検索機能などを追加してまいります。また、宿泊事業者等を対象としたバリアフリー化促進セミナー等を開催し、各事業者が発信する情報を充実するよう働きかけることとしておりまして、誰もができる限り自分に合った宿泊施設を円滑に検索し利用できるよう、バリアフリーに関する情報発信を充実してまいります。

○木村委員 次に、東京二〇二〇大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げるという観点から質問をいたします。
 オリンピック・パラリンピックの成功とは、競技が滞りなく行われることだけではありません。一九六四年のオリンピックは、戦後日本の復興と国際社会への復帰の象徴であり、新幹線の開通、首都高速道路の建設など、日本が戦後復興をなし遂げ、高度経済成長の軌道に乗ったことを内外に示しました。
 また、初めてパラリンピックの名称で、障害者スポーツの大会が開催されました。東京二〇二〇大会では、東日本大震災からの復興、そして、受動喫煙防止条例、障害者差別解消条例、オリンピック憲章条例などによって、健康都市、共生社会都市、水素ステーションや電気自動車の普及、再生可能エネルギーの導入促進などによる環境先進都市、伝統と新しいものが出会う文化創造都市など、成熟都市東京としての制度的、文化的、物理的な整備を進めています。
 その中でも、最も大切なのは人です。国の内外から東京を訪れる人が、東京に持つ印象は、まち並みや観光スポットだけでなく、接する人のホスピタリティーが決め手です。このボードは、シティキャストの応募からの流れを示したものであります。東京二〇二〇大会を支えるボランティアとして、東京都が運営するシティキャスト三万人と、組織運営委員会が運営するフィールドキャスト八万人がおります。
 今後、手続を経て、採用が決定され、研修が行われますが、シティキャストの研修内容に、東京都が進めてきた受動喫煙防止やオリンピック憲章条例、インクルーシブデザインのまちづくり、さらに、救命措置に有効なAED講習などを含めていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 開催都市東京の顔として活動していただきますシティキャストが、活動内容に関する東京二〇二〇大会に向けた都の取り組みについて理解を深めていただくことは重要でございます。
 シティキャストの共通研修では、大会の理念やダイバーシティーの理解を深めていただくとともに、役割別研修では、障害の特性に応じたきめ細かな対応や急病人の発生など、緊急時の初動対応を習得いただくことを予定しております。
 この中で、都でも条例を制定いたしました受動喫煙防止対策やオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す取り組みのほか、ハード、ソフト両面のバリアフリーの取り組みについても解説を行ってまいります。
 また、AEDの具体的な使用方法や設置場所についても学んでいただき、シティキャストの活動に生かしていただけるよう取り組んでまいります。

○木村委員 また、このような研修を受け、実際に活動されているボランティアの方々は、東京二〇二〇大会の人的なレガシーであると思います。少なくともシティキャストの方々には、ボランティアになっていただいたことのあかし、その記念として、特製のバッジを渡すことが、シティキャストの方々の参加意識にも役立つと考えますが、都の見解を求めます。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 シティキャストの方々が東京二〇二〇大会のボランティアとして活動したあかしとなるものを提供することなどにより、参加者同士の連帯感を強め、ボランティア文化の定着につなげていくことは重要でございます。
 そのため、都はシティキャストご本人の申請に基づき、活動日などを記載した証明書を発行することに加え、活動いただいた全員に感謝の意を表明し、その活動が東京二〇二〇大会を支えたことを実感できるような取り組みについて検討いたします。
 お話のシティキャスト向けのピンバッジにつきましては、過去大会において、ボランティアに提供した事例もございまして、こうしたことも十分参考に具体的検討を進めまして、大会後のボランティア活動継続に向けた機運を高め、ボランティア文化の定着につなげてまいります。

○木村委員 ボランティアの方々を大切にしていく、そういうことが重要になってまいると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 東京には、既に多くの外国人が訪れており、東京二〇二〇大会には、さらに多くの人が訪れることが想定されます。
 そこで、東京の観光振興の観点から質問をいたします。
 東京都は、有料の外国人旅行者向け観光ガイドサービス、無料の都庁案内・展望室ガイドサービス、街なか観光案内、派遣ボランティア業務を内容とする東京都観光ボランティア事業を推進していますが、外国人訪問客へのPRの状況、応募手続実績について伺います。

○藤田産業労働局長 東京都観光ボランティアは、外国人旅行者が多く訪れる地域のまち中で観光案内等を行っておりまして、その募集に当たりましては、おもてなしの心を持ち、外国の方とコミュニケーション可能な語学能力を有する等の条件で募集の上、書類による選考を実施しており、平成三十年四月時点で約三千名の登録をいただいているところでございます。
 こうした観光ボランティアの利用促進に向けて、外国人旅行者に対し、東京の観光公式サイト、GO TOKYOで活動内容を周知いたしますとともに、SNSや現地メディアを活用した個別の旅行者へのPRを実施しているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、今年度の実績について申し上げますと、本年一月末におきまして、街なか観光案内で約十四万件の問い合わせや案内に対応するなど、ニーズに応じた観光情報等を提供しております。

○木村委員 ありがとうございました。
 次に、東京二〇二〇大会に向けた成熟都市への取り組みに対する周知、広報について質問いたします。
 都民ファーストの会東京都議団は、広報予算の戦略的活用を主張してまいりました。東京には、外国の人、スペシャルニーズのある人、若い人や高齢の人、自分の性に違和感を持っている人、さまざまな人がいます。
 その中で、東京は、東京二〇二〇大会を推進力として、多様な人々が共生できる社会を創造しつつあります。私たちは、東京にはさまざまな違いがある人々が住み、働き、学んでいることを、まずは認識する必要があると思います。
 さらに、その違いを受け入れ、働き、生活し、新しい産業や文化を創造する行動を喚起していくキャンペーンを展開する必要性を感じています。こうしたキャンペーンは、戦略的に実施することで効果があらわれると思います。
 そこで、東京都の重要な広報テーマについて、例えば、テレビコマーシャルを戦略的に、かつ積極的に活用すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○浜生活文化局長 都では、「広報東京都」、都庁総合ホームページ、東京動画、SNSのほか、テレビ、ラジオ番組を提供するなど、さまざまな媒体により広報を展開しております。
 テレビは、多くの視聴者の方に同時に情報を発信できる効果的な媒体でございまして、中でもCMはメッセージをダイレクトに伝えられる広報手段でございます。このため、都の提供テレビ番組に来年度から新たにCM枠を設けるとともに、情報やメッセージが確実に都民に届くような魅力的なCMを制作することとしております。
 CMの展開に当たっては、「広報東京都」やホームページなどの都の媒体に加え、新聞広告や電車内の広告などの多様な媒体を組み合わせ、同時期に同一のテーマでクロスメディア展開を図ることにより、その効果を最大化してまいります。

○木村委員 ありがとうございます。
 CMについて、ただいま伺いましたけれども、次はオリ・パラに向けて進化する東京の記録映像について伺いたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックの記録は、組織委員会が作成する競技に関係する映像だけではありません。東京二〇二〇大会に向けて、東京がバリアフリー化も含め、共生社会の実現を目指してさまざまな制度を整えていく様子、あるいは多彩な文化プログラムを展開していくさまなど、進化していく東京の姿を、映像に記録することも極めて大切です。
 今回、私たち都民ファーストの会東京都議団の提案を受けて、映像作成を予算化していただいたことを大変評価しております。東京都が作成する記録映像では、東京二〇二〇大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げる姿を、単なる記録や教育教材ではなく、楽しんで見ることができるように、監督を立てて、作成していただきたいと考えます。
 また、でき上がった作品を、都民、国民だけでなく、海外の人にも見ていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○浜生活文化局長 東京二〇二〇大会を契機として制作する映像を、より多くの方に届けるためには、記録映像としての基本的性格を踏まえつつ、見る方の共感を得られるよう、訴求力を高める工夫が必要でございます。
 このため、演出や表現手法等の専門的なノウハウを持つ映像制作会社を活用しながら、東京二〇二〇大会に向けた都の施策や取り組みの紹介にとどまらず、今の東京に生きる人々の生活や日常風景も織りまぜるなど、魅力的な映像を制作してまいります。制作した記録映像は国内のみならず、海外にも広く発信するとともに、貴重な財産として次世代に継承してまいります。

○木村委員 次に、東京二〇二〇大会の招致及び組織委員会の文書保存について伺います。
 JOCの竹田会長が、ことし六月には辞任されることを発表されました。長年にわたり、スポーツ振興と、二〇一六年、二〇二〇年大会の招致運動を牽引し、多くの功績を残してきた竹田会長が、フランス当局の捜査対象になったことは驚きを隠せず、開催都市東京としても、まことに残念であります。
 既に竹田会長からは辞意が表明され、国内外に大きな波紋を呼んでおり、この問題が都民、国民の開催機運に水を差してしまうのではないかと危惧をしております。
 今回の件で、東京二〇二〇大会のイメージを悪化させないために、開催都市の東京都は、この問題に正面から向き合い、事態の適宜適切な掌握に努め、国内外に対して、的確な発信を行うとともに、開催都市として、組織委員会やJOC、IOCなど、関係者とこれまで以上に連携を強化しながら大会準備を進め、大会を成功に導くことで、東京の明るい未来へとつながるレガシーを残していくべきだと考えます。知事の所見を伺います。

○小池知事 竹田会長、ご指摘のとおり、JOCの会長として長年スポーツ界を牽引して来られた方でいらっしゃいます。そのご努力に対しましては、まず敬意を表したいと存じます。
 そして、ご本人は、本件に関して、みずから潔白を証明していきたいと発言されておられます。都といたしまして、今後の状況に応じて、必要な対応を行っていく、そのことに変わりはございません。
 また、大会まで五百日を切った今、都といたしまして、開催都市でございますので、施設整備、そしてボランティアの育成、暑さ対策、TDMを含めましたスムーズビズへの取り組みなど、さまざまございます、この大会準備を着実に推進をしてまいります。
 また、注目が集まります節目節目において、イベントや広報を効果的に展開をいたしまして、祝祭感を高めるシティードレッシング、そして、ライブサイトなどの準備を進めて、大会の機運をさらに盛り上げていく考えであります。
 今後とも、JOC、組織委員会など、ご指摘のように関係者の皆さんとしっかりと連携いたしまして、東京二〇二〇大会、成功に導くとともに、ハードとソフトの両面から、都民にとって価値あるレガシーを次世代に残していきたいと考えております。

○木村委員 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、公益財団法人でありますから、公益社団法人及び公益財団法人の認定に関する法律によって、財産目録などの書類は五年間保存することになっております。
 しかし、東京二〇二〇大会が終われば、残務整理を終了した段階で解散してしまいます。組織委員会の文書は、組織委員会が解散した後には、国際オリンピック委員会、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会及び組織委員会が合意した開催都市契約大会運営要件、二〇一五年九月版に基づき、オリンピックの記録及びアーカイブを長期的に保存する計画を作成することに基づいて保存されることとなっています。
 しかし、どの範囲の文書がどのような形で、誰が責任を持って保存されるのかについて懸念されるところであります。東京都においては、チェック機関としての議会がありますが、共同実施事業など、東京都が組織委員会に予算を支出している事業がどのように行われているか、都議会がチェックできないものもあります。
 東京二〇二〇大会の終了後、組織委員会は解散することになりますが、解散後、組織委員会の活動や経費の支払いについて、確認や検証が必要になったときに困らないよう、東京都公文書館とは別に、例えばオリンピック・パラリンピック公文書館を設置するなどして、伝票類や会計資料などを保存しておくことが重要だと考えます。
 そこで、オリンピック・パラリンピック公文書館の創設を強く要望をしておきます。
 また、文書に限らず、東京二〇二〇大会を通じて残るさまざまなものについて、都民、国民に大会の感動を末永く感じてもらうべき、貴重なレガシーとして後世に引き継いでいただきたいと思っております。
 次に、東京が世界の都市間競争に打ち勝ち、都民のための施策を講じていくには、財政的基盤の充実が不可欠です。そのために、第二として、稼ぐ力をつけるという観点から質問をさせていただきます。
 東京都の人口は、二〇五〇年をピークに減少に転じる見込みです。この社会構造の変化への対応も不可欠であります。
 第一に、生産年齢人口の減少は、都内総生産の押し下げ要因となりますが、これへの対策は、イノベーションのシーズを生かして、熾烈な国際競争に打ち勝つための成長戦略を展開し、一人当たりの都内総生産を高めていかなければなりません。このためには、子供対策や教育対策の充実が必要だと思います。
 第二に、高齢者に対しては、人生百年時代に対応し、意欲ある高齢者の活力を、経済に、地域に還元していく政策、体力、気力を維持していくための政策、安心して介護や医療を受けられるための政策の充実が必要だと思います。
 第三に、成熟都市として、都民が心も豊かな生活を送るためには、働き方改革を推進し、芸術文化やスポーツを育て、これらを都民が楽しめる環境整備を促進することも重要であります。
 このような社会構造の変化を踏まえ、古い都政から決別し、東京二〇二〇大会を推進力として、未来志向の都政に大きくかじを切っていくことが必要であるという観点から質問をさせていただきます。
 まず、働き方改革について伺います。
 少子高齢化の中で生産人口が減少しております。さらに、日本の働き方の悪弊であった長時間労働の是正、過労死の防止対策が喫緊の課題となっています。
 この中で、確かな成長を確保するには、一人当たりの労働生産性を上げていかなければなりません。そのためには、IoTやAIの活用などの技術革新と、テレワークなどの働く制度の改革が不可欠であります。
 テレワークについては、平成三十一年度予算で、業界団体連携によるテレワーク導入促進事業六億円、そして、テレワーク導入促進整備補助事業二十一億円が新たに計上されていることを評価いたします。
 テレワークを必要とする勤労者は、住まいや会社、事務所の所在地にかかわらず存在しており、そのニーズに合った、使いやすい、柔軟な予算執行をすべきであると考えますが、都としてはどのような予算執行の方法を考えているのか伺います。

○藤田産業労働局長 都は来年度、テレワークの普及に向け、企業のニーズや導入状況に応じた多様な支援を実施してまいります。
 現在導入を計画している企業には、専門家を派遣し、企業の実情に合ったテレワークの活用につながるよう、きめ細かな助言を行いますとともに、トライアルから本格導入まで希望に応じた支援メニューを提供いたします。
 また、当面導入の予定がないとしている企業に対しましては、金融機関や業界団体等を通じて働きかけを行いますほか、イベントやキャンペーンなどにより、普及啓発を進めてまいります。また、業界ごとの好事例をまとめたハンドブックを配布するとともに、活用方法等を紹介するセミナーを実施するなど、将来の導入に向け、誘導してまいります。
 こうした取り組みにより、企業におけるテレワーク導入を効果的に後押ししてまいります。

○木村委員 民間企業に対してテレワークを推進しているところでございますが、都職員のライフワークバランス向上のためには、都庁としても取り組みを推進することが大切であると思います。
 東京都職員に関するテレワーク推進に向けた現在の取り組み状況、そして今後の展開について、都の見解を伺います。

○遠藤総務局長 都では、テレワークの推進に当たりまして、ICT環境などの整備とともに、多くの職員が実際にテレワークを体験することで、働き方改革を進めていくこととしております。
 まず、平成二十九年度から、一部職場においてモバイル対応の端末を導入し、毎月の都庁テレワークデーなどの取り組みを開始いたしました。
 本年一月には、モバイル対応端末を本庁全管理職や先行職場へ拡大、時差ビズと連携した集中取り組みを行い、多くの職員から、仕事の効率化とともにライフワークバランスも向上したとの声が寄せられたところでございます。
 本格実施となる来年度は、東京二〇二〇大会に向けたスムーズビズと連動した取り組みや、本庁全職員への端末配備等を進め、大会後には、テレワークが都庁のワークスタイルの一つとして定着することを目指してまいります。

○木村委員 都庁が率先してテレワークを推進していくということは、社会的にも大変影響が大きいことだと思います。
 私はサラリーマンのときに、自分が新入社員のころにパソコンが配布され始めたんですけれども、パソコンが使えない上司から配布されていくことに非常に憤りを覚えて、なぜ--まだエクセルは当時ありませんでしたけれども、自分で関数を組んでいくんですが、そのパソコンは常に上司のものでありまして、上司が帰った後でその数式を組んでいくと。ぜひ、実際に最前線で働いている職員に少しでも早く普及をしていただきますよう要望させていただきたいと思います。
 次に、東京の観光資源開発について質問をいたします。
 東京都では、美術館、博物館の共通入場券、割引券である東京・ミュージアムぐるっとパスを発行しております。ロンドン、パリ、ベルリンなどでは、観光客に対して、さまざまな便利なパスが発行されております。
 東京都においても、都の施設だけでなく、国や民間の施設とも協力して、観光客にとって、より一層利便性が高いツーリストパスを開発することが東京の魅力を高めると考えますが、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都では、東京観光に必要な幅広い情報を多言語で提供するため、東京を訪れる旅行者向けの観光公式ガイドブック、東京トラベルガイドを九言語十種類で発行いたしております。
 本ガイドで紹介しております観光スポット等を外国人旅行者に一層訪問していただけますよう、掲載する施設のうち、国や民間事業者が運営する美術館や博物館等も含め、四十を超える施設の割引を実施しており、今後、割引施設のさらなる拡充に努めてまいります。
 また、民間等が発行する九十を超える美術館などの入場券や割引券を一冊にまとめました、ただいまお話ございましたチケットブック、東京・ミュージアムぐるっとパス、これにつきまして、東京の観光公式サイト、GO TOKYOにて紹介するとともに、外国人旅行者への一層の認知度の向上を図ってまいります。
 これらの取り組みを通じ、東京の観光の魅力発信を図ってまいります。

○木村委員 ぜひ東京・ミュージアムぐるっとパスが外国の方々にも認知されるよう、さまざまな工夫だとかを一層やっていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 次に、ユニークベニューについて伺います。
 東京都のユニークベニューのホームページを見ますと、東京都では、都内の美術館や庭園などの特別感を演出できる施設を、MICEの会議やレセプション等の会場、いわゆるユニークベニューとして利用する取り組みを推進するため、平成二十八年度からこれらの施設を広くPRするパンフレットを作成し、企業やMICE関係者への配布を行っていますとあります。これがそのホームページから抜き出したものであります。(パネルを示す)
 東京都としては、ユニークベニューの利用を希望するMICE主催者等に対して総合的な支援を行う窓口、Tokyo Unique Venuesを東京観光財団に設置しているとしていますが、東京都のユニークベニューにリストアップされている施設数、ユニークベニューとして活用された実績について伺います。

○藤田産業労働局長 都は、MICE主催者等に向けて、東京ならではのユニークベニューの魅力を広く発信するため、PRパンフレットを作成しておりまして、現在、浜離宮恩賜庭園など都立八施設、上野の森美術館など民間等三十施設の合わせて三十八施設を掲載しているところでございます。
 平成三十年度におきまして、都立施設におけるユニークベニューの開催実績は、二十件程度の見込みでございます。
 具体的には、昨年九月に清澄庭園で開催をされましたIWA世界会議・展示会のイベントや、十一月に葛西臨海水族園で開催された世界水族館会議のレセプションなどがございます。
 このほか、民間等施設におきましては、会議のオープニングパーティーや団体の設立周年イベント等、さまざまな用途で幅広く活用されているところでございます。

○木村委員 ユニークベニューの活用を促進するために、例えば、美術館あるいは庭園などの施設と企業との間でスポンサー契約を結んで、定期的にレセプションなどを開催するなどの稼働率を上げる方策もあるかと考えます。
 東京都の施設をユニークベニューとして活用するために、今後どのような方策を検討しているのか、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都は昨年五月、ユニークベニュー総合支援窓口を開設いたしまして、MICE主催者の利用ニーズに応じた施設の紹介や行政官庁に対する申請手続の支援等を行っております。
 また、明後日になりますけれども、先ほど委員もお示しをいただきました、先ほど答弁させていただきましたユニークベニューのPRパンフレットにつきまして、商店街一帯や歴史的な建築物など、魅力ある施設等を新たに加えまして改訂をいたしますとともに、専用ウエブサイトを開設し、施設の基本情報のほか、歴史的背景の紹介や、三百六十度画像の活用等によりまして、施設の魅力を効果的に発信してまいります。
 さらに、来年度は、ユニークベニューの取り組みを開始もしくは拡大しようとする施設において、実際にレセプション等のショーケースイベントを実施することにより、MICE主催者、施設側双方に施設の具体的な活用方法をお示ししますほか、影響力のあるブランドの発表会など、発信力や訴求力の高いイベントでの利用も促進してまいります。

○木村委員 今、局長のご答弁で、あさって新しいサイトがオープンし、また、冊子などの改訂が行われるということでございました。
 歴史的な建築物の地歴的な背景というのを、外国人の方々というのは非常に私、興味を持って見るんだと思います。ただ単に建築物が古いとか、何年代にできたというよりも、歴史的な背景で、なぜこうした建物は建っているのか、あるいは私たちが今暮らしている東京とその建物がどういう因果関係にあるのかとか、そういったこともぜひご説明の中に加えていただきたいと思います。
 以前、オリンピック・パラリンピック特別委員会で私は申し上げたんですけれども、ボランティアの方々が観光地を案内する場合、例えば鎌倉にご案内する場合に、小町通り、楽しいですよというだけではなくて、鎌倉幕府があったからこそ、今、東京、この江戸があるんだと、そういったことを外国人の方々にご説明いただけると、なるほど、東京と鎌倉というのはそういうふうにつながっているんだ、鎌倉がなければ今の東京はないんだ、そういうふうにすると、東京が目指している地方との共生、あるいは近隣の県または自治体と一緒になって盛り上げていくということも可能になってくるかと思います。
 ぜひ、産業労働局の皆様には、その点もご留意いただいて鋭意取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、東京都のエンターテインメントの活性化について伺いたいと思います。
 ニューヨークにはブロードウエー、ロンドンにはウエストエンド、そのようなエンターテインメントの集積地区があります。当日券が割安で購入でき、多くの観光客がミュージカルや芝居、コンサートなどを楽しんでいます。
 ところが、東京では、観光客が訪れる地域ごとのエンターテインメントのチケットを購入したり、その前後に食事をしたりすることができるレストラン情報など整備がされていません。もちろん、これらの多くは、民間のチケット請負業者や情報提供業者が担っていることは承知をしております。
 東京の劇場やレストランを、ブロードウエーやウエストエンドのように、エンターテインメントの集積地区としての魅力として高めていくための方策の検討を、都として喚起し、支援していくべきであると考えますが、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都内には、劇場やレストランなど、さまざまな観光資源が一定の集積をなしているエリアがございまして、それぞれの地域が特徴を生かし、主体的に旅行者誘致に取り組むことは、ナイトライフ観光の振興にも資するものでございます。
 このため、来年度、例えばアートや飲食、ナイトマーケットなど、地域内でさまざまな観光を楽しむことができるような夜間の集客イベントを開催し、新たなにぎわいを創出する区市町村や民間企業の共同体等の主体的な取り組みなどへの支援を開始いたしまして、観光資源の創出やさらなる集積につながるよう取り組んでまいります。
 また、外国人旅行者に、都内で開催されるさまざまなエンターテインメントをより一層楽しんでいただくことができるよう、公演に関する情報等を容易に入手できるポータルサイトを制作する民間事業者の取り組みを新たに支援してまいります。

○木村委員 海外の旅行客の方々への情報発信でございますけれども、やっぱり海外の方々が何を見ているのかなというのを気にしていくのが大事だと思っています。ロンリープラネットみたいなものが、外国人の方、大変多く見ているということでありますから、そうしたものも意識して、ぜひそうしたところへの発信なども行っていただきたいと思っております。
 次に、公共空間を活用したアートの創出について伺いたいと思います。
 都内の繁華街では、公共空間への落書きが見られ、都市景観を損なっています。これを放置しておくと、ますます落書きがふえていきます。いわゆるブロークンウインドーの理論です。
 ところが、壁面にしっかりと描かれたアートであれば、そこに落書きをする人はほぼなく、ほかの都市では、壁面アートによる都市景観の創出をしております。東京でも、例えば六本木トンネルでその試みは始まっています。
 先般、中目黒において同様の事例があり、手続等さまざまな課題が明らかになっております。
 そこで、地域の理解を得て、都の施設の空間をアーティストに開放して、絵を描くことを可能とするルールづくりをして、落書きの防止を図り、都道の擁壁などの公共空間を、地域のさまざまな主体がアートの創出に役立てることができるようにすべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘の公共施設としての都道の壁に絵を描くという件でありますけれども、地元との合意形成、そして景観への配慮が不可欠だと思います。
 お話のありました目黒区の事例ですけれども、地元の調整が実を結んだ結果かと存じます。現在、壁画の制作に取りかかっていると聞いておりますので、楽しみにしております。
 また、地元のさまざまな主体からこういう要望がありました場合には、地元の区市町村がこれを取りまとめられまして、地元の合意形成を図った上で都に協議をしているということであります。
 都といたしまして、これを受けて、区市町村がデザイン、そしてまた、その維持管理について責任を持って対応することなどの条件を付しまして認めているところでございます。
 今後も、こうした取り扱いにつきましては、他の区市町村にも周知をしていきたいと考えております。

○木村委員 私、質問の中で目黒の事例と六本木をいいましたけれども、私の地元は世田谷でございまして、たまたま有名な事例が中目黒ということでございました。ぜひ、こうしたアーティストに活動の場を広げていただきたいと思っております。
 アーティストというつながりで、国際都市東京の発展に欠かせないということで、日比谷野外音楽堂の積極的活用について質問させていただきたいと思います。
 アーティストが日比谷の野音でコンサートを希望する抽せん倍率というのは、百倍近いというふうに伺っております。
 日比谷の野音で育ったアーティストには、例えば、南こうせつ、森山良子、キャンディーズ、尾崎豊、THE BLUE HEARTSなどがいます。私は南こうせつのライブは実は行ったことがございますが、CAROLは野音で解散コンサートを行い、ソロになった矢沢永吉は、野音をその出発点と位置づけております。ここは、多くのアーティストにとって音楽の聖地であり、これほどの財産を活用しない手はないと思います。
 現在、音響技術は発達しており、フラットパネルスピーカーのように直進性の鋭い、音声が遠くまで届くスピーカーが開発、普及しております。音が伝わる方向をコントロールできるようになっているということです。また、簡易遮音幕などの設置で音漏れを防止できることは、野音の常識となっているということです。技術によって騒音問題は解決可能であると考えます。
 また、経済産業省は、官民協働によるプレミアムフライデーを推進しています。現在、野音でコンサートとして利用できるのは、土日、そして祝日に限定されていますが、平日であっても、例えばプレミアムフライデーにはコンサートが開催できるよう、使用機会を拡大してはどうかと考えますが、都の見解を伺います。

○西倉東京都技監 日比谷公園大音楽堂、いわゆる野音は、文化の発信拠点といたしまして、ご指摘のように、これまでロックやポップスを初めとする幅広い音楽ジャンルのコンサートが開催されるなど、多くの人々に親しまれております。
 現在、コンサートの開催は、音量や振動など周辺施設に及ぼす影響に配慮いたしまして、四月から十月の土日祝日のみとなっております。
 今後、近隣の理解も得ながら、東京二〇二〇大会に向けて増加が見込まれる観光客等もより楽しめるよう、平日夜のコンサート開催も含めまして、野音の利用拡大を検討してまいります。

○木村委員 大変夢のある答弁でありまして、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、eスポーツについて伺います。
 eスポーツないしeゲームは、二〇二二年の北京での冬季オリンピックの種目に加えられるかIOCでも検討されております。
 アジア競技大会においては、チェスやコントラクトブリッジ、囲碁などの学校では文科系サークルとして分類されるゲームは、マインドスポーツとしてアジア大会の種目となったことがあり、eスポーツは、二〇一八年のジャカルタ大会の公開競技となり、二〇二二年の杭州大会でも正式競技化への検討が始まっております。
 総務省の委託調査、eスポーツ産業に関する調査研究によれば、ゲーム市場は、ヨーロッパで一兆八千四百三十六億円、アメリカで二兆五千二百五十億円、アジアで四兆一千三百三十五億円と、その規模は大きく、それをベースにしたeスポーツの二〇一七年の市場規模は約七百億円、視聴者の数は三億三千五百万人と試算されております。二〇二一年には、市場規模は一千七百六十六億円に拡大するものと予測がされております。
 日本国内は、海外に比べて普及の程度はまだ低く、市場規模五億円未満、視聴者の数も百五十八万人と試算されています。
 しかし、最近では、Jリーグがeスポーツ大会を開催するなど、スポーツとゲームが一体となって事業展開をし始めました。
 eスポーツが一つの産業として成立しつつある現状で、東京都としても成長戦略の一つとして取り組んでいくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 eスポーツについてのお尋ねでございました。
 きょうも、新聞でeスポーツのあり方についての記事、目にしたところでございます。
 コンピューターゲームなどを使用した対戦競技でありますeスポーツは、ご指摘のように、近年は海外での普及が大変進んでおります。そして、最近は国内でも広がりを見せておりまして、そのファンの数、そしてその市場は、今後大きな伸びが見込まれるところでございます。
 eスポーツへの関心を高めてプレーヤーをふやすということは、それによってすぐれたコンテンツ、そして周辺機器へのニーズを生み出す、また、中小企業の力を発揮する機会をつくるということにつながろうと考えられます。
 そこで、新年度でありますが、eスポーツの競技大会を開催いたしまして、その魅力を幅広く発信してまいります。
 また、会場には中小企業の出展するブースも設けまして、その商品やサービスを来場者にPRできる、そんな場としていきたいと考えております。
 大会の運営でございますが、都と業界団体とで実行委員会を設立した上で、お互いが緊密に協力をしながら、より多くの方に関心を持っていただけますように、企画内容に東京ならではの工夫を凝らしていく考えであります。
 この大会の開催を通じまして、eスポーツの普及を図る、そして、関連する中小企業の振興にもつなげていきたいと考えております。

○木村委員 ぜひ、eスポーツは、東京にしかできないような大会を開催していただきたいと思います。
 次に、島しょ振興についてお伺いをいたします。
 島しょ地域での稼ぐ力の育成でありますが、東京都は今年度から、景観や産品など、島しょ地域の資源を高付加価値化、ブランド化する東京宝島事業に取り組んでいます。
 島しょ地域は、アクセスや人口減少、担い手不足などの課題を抱える一方で、景観や産品など、ほかにはない魅力、宝物が数多く存在しております。
 ブランド化や高付加価値化などについて、島の事業者が議論や検討をする島会議は大変意義のあるものだと、このように思っております。
 東京宝島事業の中で実施している島会議の平成三十年度の開催状況と平成三十一年度の実施予定について伺います。

○遠藤総務局長 島会議についてでございますが、今年度は、若手の事業者などを中心メンバーといたしまして、大島、神津島、三宅島、八丈島の四つの島で開催をしております。
 メンバーは定例の会議以外にも自主的に集まりまして、テレビ会議を通じて専門家にアドバイスを受けるなど、積極的に各島のブランド化に向けた議論を展開しておりまして、今月末をめどに、各島のブランドコンセプトやそれに基づく取り組みが取りまとまる予定でございます。
 また、来年度については、十一の有人島のうち、残りの七つの島においても島会議を開催していくほか、今年度会議を実施した四島につきましては、今年度の取り組みを引き継ぐ、自主的、主体的な取り組みが開始される予定であり、都としては、各島からの求めに応じ、専門家を派遣するなどの支援を実施してまいります。

○木村委員 島しょ地域のブランド化には観光も重要な要素となります。すばらしい景観や食はもとより、マリンスポーツやトレッキングを初めとしたさまざまなアクティビティーを体験できるなど、多くの魅力にあふれています。
 とはいえ、旅行の魅力の一つである宿泊サービスについては、多様な旅行客をお迎えする、また、観光の面からブランド化するという視点からは、さらに充実をさせていくことが必要だと思います。
 平成三十一年度予算に新規事業として、島しょ地域における宿泊施設の誘致に関する経費が計上されていますが、この目的と内容はどのようなものか伺います。

○遠藤総務局長 島しょ地域の魅力を高め、さらに活性化していくためには、今後増加することが想定される外国人旅行者を初めとした観光客のニーズの多様化に対応していくことが必要でございます。
 そこで、このようなニーズに対応する新たな宿泊施設を誘致、整備し、宿泊施設の多様化を図る島しょの町村を支援する取り組みを開始いたします。
 具体的には、町村が行う誘致方法の検討や事業者の掘り起こしなどに必要な経費につきまして、三分の二を上限とした補助を予定しております。
 町村の意向や現地の状況を踏まえながら、多様な宿泊サービスの提供を推進し、島しょ地域の活性化を図ってまいります。

○木村委員 各島の自主的、主体的な取り組みの支援、産品のブランド化や多様な宿泊施設の誘致の支援などの取り組みを通じて、島しょ地域のブランド化を実現し、ぜひとも島しょ地域の稼ぐ力を高めていただきたいと思います。
 そこで、宝島を実現するための島しょ地域のブランディングに向けた知事の意気込みを伺います。

○小池知事 私自身、知事に就任してからというもの、十一の島々全て訪問いたしました。島民の方々が--有人島ということですね。二度目の訪問、二巡目に入った島もございます。
 それぞれの島にはすばらしい景観がありますし、例えば新島だったらガラス、それから御蔵のツゲ、そのような特産品もございます。それから、それぞれ島の独特の文化がございます宝物にあふれていて、私もそれぞれ島を訪れるたびに新しい発見をするということで、大変いつも楽しく、またうれしく、島を訪れているところでございます。
 島会議に参加されている事業者の方々からは、これまでになかったようなアイデアの提案をいただいたり、それから、島の振興に対する強い思いを伺うなどなど、この東京宝島の取り組みを通じまして、各島での自主的、そして主体的な宝物磨きが始まっているなということを実感しております。
 こうした各島の機運をさらに活性化いたしまして、ブランド化を推進する、そして新たに多様な宿泊施設の誘致を支援するなど、島しょ地域の各町村と連携しながら、より一層東京宝島の取り組みを発展させまして、魅力と活力にあふれた東京の島々の実現につなげまして、いわゆる稼ぐ力、これを高めていきたいと考えております。

○木村委員 知事の大変心温まる、そしてまた力強い意気込みを伺わせていただきました。
 もう二巡目に入ったということでありますが、私たち都民ファーストの会では、島しょ振興政策研究会が中心になりまして、今まで八丈島、小笠原、そして神津、大島と訪問してまいりました。
 行く先々で地元の方々と意見交換などをしていると、本当に真剣な議論になって、その後、仲よくなるんですね。その方たちが、こちら都庁のそばなど来ると必ずご連絡いただけて、私や、私だけでなくそのとき行ったメンバーなどは、外でお茶をしたりだとか、夜会ったりして親睦を深めるなど、本当に人の情けというのに触れて、また、心の触れ合いを深めているわけであります。
 都民ファーストの会としては、引き続き島しょ地域の振興、一生懸命力を尽くしてまいりたいと思っております。
 次に、都民が安心して暮らせる安全な東京、セーフシティーの観点から質問をいたします。
 まず、身近な犯罪から都民を守る対策について質問をいたします。
 オレオレ詐欺の被害は後を絶ちませんが、最近では、アポ電強盗へと転化するなど、凶悪化現象も見られております。
 また、五月の元号改正に伴い、キャッシュカードを変更する必要があるなどとして、金融機関の口座番号や暗証番号を聞き出そうとする改元詐欺も発生するなど、特殊詐欺は後を絶ちません。
 被害が急増している特殊詐欺の被害防止対策には、高齢者だけでなく、世代を超え、広く都民に訴えることが必要であり、知事が率先して特殊詐欺事件防止のキャンペーンを実施すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 いわゆるオレオレ詐欺に関するご質問でございました。
 オレオレ詐欺を初めとする特殊詐欺でございますが、子供さんを思う親心につけ込むなどなど、高齢者から高額なお金をだまし取るという卑劣な犯罪でございます。
 今お話ありましたように、ことし五月には改元が控えていると。この改元に合わせて、キャッシュカードが変わりますよとか通帳が変わります、いろんなことをいって、これは新たな手口で詐欺を行うということで、どんどん巧妙化しているというおそれがございます。
 都におきましては、被害防止対策として自動通話録音機、この設置を促進すること、それから、少年がいわゆる受け子、出し子として犯罪に加担しないように、高校などに出向いて、勧誘の実態を実演する講演なども実施をしてきているところでございます。
 来年度におきましては、自動通話録音機の補助台数を倍増いたします。そしてさらに、少年が加害者とならないように、犯罪の重大性などを理解させるリーフレットを都内の全高校に配布をいたします。そして、中学、高校、少年院に対する講演の回数をふやして、対策を強力に推進をしてまいります。
 これらの特殊詐欺の被害を防止する、そのためには被害の実態やさまざまな手口などを広く知ってもらう、そして高齢者本人はもとより、家族、社会全体で取り組むということが重要と考えます。
 今後とも、特殊詐欺被害が一件でも減少するように、私自身も広い世代に被害の防止をこれからも訴えてまいりたいと考えております。

○木村委員 ありがとうございました。ぜひ自動通話録音機の倍増、これは今後も続けていただきたいと思っております。
 次に、一刻を争う心疾患の救命、AEDの活用について質問させていただきます。
 東京二〇二〇大会に向けて、東京都は、救急搬送の電話を受けてから七分以内に現場に到着するという目標を立てております。その努力に心から感謝をいたします。
 その上で、患者にとっては、救急車が来てくれるだけで命が助かるわけではありません。特に、心臓の筋肉がけいれんを起こし、心臓から血液が全身に送り出せなくなる危険な不整脈が生じている段階では、緊急に対処しなければ、血液を送り出せないため、体内への酸素の供給がとまり、脳に損傷が起きてしまいます。
 AEDによる対処が遅ければ、救命率は一分後に七%から一〇%ずつ減少していくといわれており、極めて重要です。AEDをまち中でも利用しやすい環境づくりが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 AEDの設置場所等につきましては、救急医療に関する普及啓発等を行う日本救急医療財団が全国AEDマップを作成し、平成二十七年度からウエブで公開するとともに、二十九年度からは、スマートフォンで検索できるアプリも公開してございます。
 都は、AEDの設置者に対しまして、区市町村や業界団体等を通じて、AEDマップへの登録を呼びかけており、登録数は、本年二月末時点で約三万件となっております。
 来年度は、例えば一階受付横ですとか、二階エレベーター前など、建物内の具体的な設置場所や、休日、夜間も含め使用可能な時間帯など、詳細な情報をマップに登録するよう、設置者に働きかけることとしておりまして、今後、AEDマップを活用し、都民が緊急時に速やかにAEDを利用できる環境づくりを推進してまいります。

○木村委員 都民が緊急時に速やかにAEDを利用できる環境整備は、都民ファーストの会東京都議団が強く要望してきたことであり、評価をいたします。AEDマップのさらなる充実、よろしくお願いをいたします。
 AEDの機器はかなり普及をしておりますが、実際にそれを使う訓練がまだ十分でないと思います。緊急の際に使うことができるかどうか、その点で不安があります。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、AED研修の重要性を繰り返し訴えてまいりました。また、都議団としても皆でAED研修を受講するなど、その実践に努めております。
 学校教育の時間や職場での研修の時間などを使って、外部講師を活用してAEDの使用の説明と訓練を毎年行うなど、命を守る教育、研修を行うことが有用であると考えますが、教育長に見解を伺います。

○中井教育長 命の危機に瀕している人に対して、AED等で適切に対応し、救急隊員に引き継ぐことができるようにするためには、学校において、児童生徒の発達段階に応じ、救命処置に関する指導を計画的に行うことが重要でございます。
 現在、小学生は、都教育委員会が東京消防庁と連携して作成した防災ノートを用いて、心肺蘇生におけるAEDの必要性等について学んでおります。また、中学生、高校生は、保健の授業でAEDの使用方法について学んでおり、学校が実施する救命講習や都立学校における宿泊防災訓練等を通して技能講習を実施している学校もございます。
 今後、都教育委員会は、消防署員に加え、救命救急にかかわる人材の指導により、AEDの技能講習が一層多くの学校で行われるよう、校長会や区市町村教育委員会の担当者連絡会、教員研修会等で実践事例を周知してまいります。

○木村委員 AEDは、東京都内、数こそ大変普及をしてまいりました。ところが、福祉保健局でつくってくださるマップには、いろんな時間帯で使えるとか、そういうのが記載される予定ということでございますが、例えばオフィスなどにあるAEDは、人が帰ってしまうので夜間使えないとか、そういう実態もございます。
 そしてまた、夜間というのは、普通、人は家でくつろいで、あるいは就寝しているわけでありますから、住宅街に近いところにもAEDがなければ人の命は救えないだろうと、私たち都民ファーストの会ではそうした問題意識も持っております。
 まち中にもっと多くのAEDが普及していく。例えばコンビニエンスストアだとか、二十四時間営業のコインランドリー、あるいは二十四時間営業の飲食店、そうしたところにAEDが普及して、また、それが誰もが使いやすい、あるいはどこにあるか、そうしたことがわかるような環境整備が必要であると思います。
 また、このAEDについて、目の前で人が倒れている、AEDが必要である、そういった場面になったときに、どの程度胸骨を押していいか、これがわからなくてちゅうちょする人が大変多いと伺っております。実践をしないと自信を持ってAEDを使えない、こういう人がいるという現状を私たちは教わりまして、先ほども申し上げましたけれども、議員団としてもAED研修をして、どのくらいまで胸骨を押していいのか、これを一回だけでもやれば、人はもう大体覚えますので、こうした研修の機会もぜひふやしていただきたいと思います。
 このことについては、今後も会派としてお願いを引き続きさせていただきたいと思います。
 ただいまセーフシティーの観点で、AEDの普及について質問いたしましたが、同じ人命にかかわる創薬支援について、スマートシティーの観点から質問をさせていただきたいと思います。
 私たち都民ファーストの会は、都民、国民の健康長寿に寄与する創薬関連産業のイノベーションも推進してまいりました。
 そもそも、東京は製薬企業の本社が集積していることに加え、情報など、あらゆるものが集積しており、そうしたメリットを最大限に生かし、付加価値が高いといわれる創薬関連産業のイノベーションを起こしていくことは、何より東京の力強い経済、その活性化につながると思っています。
 創薬開発のオープンイノベーションが世界中で起きており、我が国のベンチャー企業が、創薬の一つの鍵を握ることが期待されていますが、都が開始した創薬系ベンチャー育成支援事業の今年度の実施状況について伺います。

○梶原政策企画局長 お話のとおり、新薬の開発は、製薬企業が外部のベンチャー企業等が有する高度な技術を活用するオープンイノベーションの時代となってきてございます。
 そのため、都は今年度から、オープンイノベーションを活用した革新的な医薬品や治療手法の創出を支援する創薬系ベンチャー育成支援プログラム、いわゆるブロックバスタートーキョーを開始いたしました。
 この事業の研修プログラムでは、創薬技術の最新動向や知的財産保護など、起業に必要な知識が得られるセミナーを実施し、全国から延べ約六百名の参加があったところでございます。
 また、選抜プログラムには二十チームが参加をし、専門家による起業や事業運営に係るメンタリング、経営チームの組成支援、さらには投資家等とのマッチングの機会の提供などを行ったところでございます。

○木村委員 創薬系オープンイノベーション事業をより一層推進すべきと考えておりますが、来年度の実施内容についてお伺いをいたします。

○梶原政策企画局長 来年度の創薬系オープンイノベーション支援事業におきましては、今年度の育成支援プログラムに加えまして、研究開発の環境整備、大学が保有する機器等の共同使用の促進という、三つの事業を実施いたします。
 まず、育成支援プログラムでは、研究開発に必要なデータ取得を支援するなど、支援内容をさらに充実させてまいります。また、研究開発の環境整備では、シーズの実用化を目指すベンチャーや研究者のウエットラボへの入居を支援いたします。さらに、都内の大学との連携により、例えばDNAシーケンサーなどの大学が保有する高度な研究機器などをベンチャー等も利用できる仕組みを構築してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、創薬、医療分野のオープンイノベーションを活性化させ、革新的な医薬品や治療手法の実用化につなげてまいります。

○木村委員 昨今、医療、創薬の領域では新たなトレンドが生まれております。医療費の削減などの観点から、より効率的で効果的なアプローチが求められ、また、個々のニーズに合った個別化医療へトレンドがシフトし、今までのような伝統的な創薬だけではなく、データやAIを活用したビジネスが本格化しております。治療アプリという新しいアプローチも注目を集めています。
 さらに、今後は、バイオベンチャーがイノベーションの創出の中心になっていくことが予想され、パイプラインの導出先やMアンドA先はグローバルであるため、グローバルなトレンドを捉えた開発戦略や顧客開拓、資金調達が重要になります。ますます躍動する創薬関連産業でありますから、ぜひともこうしたトレンド、観点も吸収し、都においては鋭意取り組んでいただきたいと思います。
 次に、誰もが生き生きと活躍できる都市、ダイバーシティーの観点から質問をいたします。
 少子高齢化が進行する中で、私たち都民ファーストの会東京都議団は、高齢化社会に対応するため、高齢者ができるだけ健康に、介護を必要としない状態を続けられるようにするフレイル対策を充実すべきことを主張してまいりました。
 また、会派の医療政策研究会では、フレイル対策の第一人者である東京大学の飯島勝矢教授をお招きして勉強会も開催いたしました。
 平成三十一年度予算では、介護予防・フレイル予防推進事業に三千万円の予算が計上されており、フレイルが都政の課題に上がったことを大変評価しております。
 しかし、都のフレイル予防は緒についたばかりです。今後、フレイル対策のさらなる充実を図っていくことを強く要望し、シニアの方々が元気に活躍いただくための活動について質問をさせていただきます。
 人生百年時代、シニアの方々が元気に活躍していただくことは大変重要です。平成三十一年度予算案では、囲碁、将棋、健康マージャン、ダンス、カラオケなど、日ごろから親しんでいる趣味活動などを通じたシニア世代の地域コミュニティ等への参加促進事業、約八千万円が計上されています。
 これらの活動は、シニア世代が長く楽しめるものでもあり、身体、精神だけに限らず、ご近所の集まりに定期的に出かけるなど、社会的なつながりを持てるものであります。これは、我が会派が介護予防、フレイル予防対策とともに提案してきた事業であり、こうした誰でもできる五種目の交流大会を始めることは、高く評価をしております。
 交流大会の実施に当たっては、各種目の関係団体などの協力も得ながら、幅広い都民の参加を募るとともに、大会を地域コミュニティの強化につなげていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 人生百年時代、だからこそ、キョウイクとキョウヨウが必要だとよくいわれます。きょう行くところがある、きょう用があるということでございますが、東京が活力あるまちであり続けるためには、今後さらに増加するシニア世代が、身近なコミュニティなどで生き生きと活動できる環境を整えるということが重要であります。
 このため、シニア世代が気軽に取り組める趣味を通じて活動するきっかけとして、来年一月を目途にいたしまして、囲碁、将棋、健康マージャン、ダンススポーツ、そしてカラオケ、この五種目によります東京都シニア・コミュニティ交流大会を開催することといたしました。
 この大会の実施に際しましては、各種目の関係団体を初め、地域のコミュニティに密接にかかわりを持つ町会や自治会、そして老人クラブなどに協力を依頼しまして、参加を呼びかける。そのほか、さまざまな広報手段で周知を図って、幅広く参加者を募集してまいります。
 また、初心者の方々が関心を持てる企画も取り入れるなど、参加のハードルを下げるように工夫するとともに、参加者の交流を促す方策を検討してまいります。
 こうした取り組みで、誰もが参加できる魅力的な大会として、人と人とのつながりを新たに生み出すことで、地域を初めとしたコミュニティの強化にもつなげていく、そして、シニア世代が健康で心豊かな生活を送ることができますように応援してまいります。

○木村委員 まさか都知事からキョウイクの話をここで、きょう行くところがあるということを伺うとは思いませんでしたが、ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、ダブルケアについて質問をさせていただきます。
 育児をする時期に親が介護を必要とする状況になることがあります。子育てと介護を同時に行わなければならない、いわゆるダブルケアについて伺います。
 都として、ダブルケア相談窓口を設置するなど、包括支援センターを機能強化する区市町村の取り組みを支援すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 都は、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援の拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護などの必要なサービスにつなぐことができるよう、職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を担う専門職の配置を包括補助等で支援してございます。
 また、育児と介護のいわゆるダブルケアなど分野横断的なニーズにも対応していくため、センター職員の増配置等により、相談支援体制の充実を図る取り組みも支援しているところでございます。
 今後、区市町村向けの説明会などで取り組み事例を紹介するなど、都の支援策の積極的な活用を働きかけ、センターの機能強化を推進してまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 次に、性教育について伺います。
 性に関して、ネットなどで不確かな情報があふれている一方で、学校における性教育は、子供たちの実態とかけ離れた内容になっていました。
 私たち都民ファーストの会は、これまでに性教育関連の団体からヒアリングを行い、さらに、全国の中でも最も性教育に力を入れている自治体である秋田県に性教育の視察に行くなどして、性教育に関する調査を進めてまいりました。
 性教育は、子供の発達段階に応じた内容で行うべきであり、適切な時期を逃してはなりません。
 そこで、性教育こそ医師などの専門家の活用が必要な分野だと考え、東京都に対しては提言をしてまいりました。
 都民ファーストの会東京都議団のこうした提言を受け、東京都は本年度、都内の中学校五校で専門家による性教育のモデル授業を実施いたしました。
 ネット社会の現状を踏まえて、今回のモデル授業に対する評価について、そして、今後どのように継続、展開していくのか、都の見解を伺います。

○中井教育長 ただいま理事からお話ございましたとおり、東京都教育委員会は、今年度、産婦人科医を外部講師として招聘したモデル授業を中学校五校で実施し、学習指導要領に示されていない内容の取り扱いや、情報化社会における性教育のあり方等について検証してまいりました。
 実施した学校の生徒からは、講師の先生から説明してもらい、インターネットの内容を全て信用するのは危険だとわかった、また、保護者からは、性に関する正しい知識を伝えることが大切であるなどの感想が寄せられております。
 来年度は、モデル授業を中学校十校に拡大し、その成果を広く他の学校に普及するとともに、今月末に完成予定の性教育の手引に、性情報への適切な対応や性犯罪被害の防止に関する指導事例等を、小中高、特別支援学校、全ての校種の実践編に掲載するなどして、各学校における性教育の適切な実施を支援してまいります。

○木村委員 我々の会派としても、いろいろなところで性教育に関するお話は伺ってまいりました。
 子供たちの中には、寂しさに任せて行動してしまうことがある、そういったお話を聞いたときに、大変衝撃を受けたと同時に、やはりここは大人がしっかりと歩み寄って、子供たちを守っていかなければならない、そんなことを感じました。
 ぜひ来年度、そしてそれ以降も、こうした授業を続けて拡大していっていただきたいと要望させていただきます。ありがとうございます。
 次に、今後一層必要となる行財政改革を進める観点から質問をいたします。
 都税収入は五兆五千三十二億円と、過去最高に迫る水準となっておりますが、元来、不安定な構造にあり、過去には一年で一兆円の大幅な減収に見舞われたこともあります。
 そして、都税収入が減少する兆候が顕在化しております。
 第一は、国による都税の収奪です。
 平成三十一年度税制改正で、消費税一〇%段階で特別法人事業税がことし十月一日以後に開始される事業年度から適用されることになりました。
 都税減収の影響は、二〇二〇年度からあらわれ、平年度化される二〇二一年度の減収額は、これまでの四千九百四十六億円を合わせると、八千七百五十七億円と試算されています。
 第二は、都税収入が依拠する法人住民税と法人事業税の法人二税の今後の動向です。
 米中貿易協議やイギリスのEUからの離脱をめぐる混乱は、世界経済の減速要因です。既に、世界経済も、日本経済も、減速過程に入ったのではないかとの観測もあり、日本企業の業績低下、ひいては法人二税に大きく依拠している都税収入減少のリスクが顕在化するおそれがあります。
 第三は、ことし十月の消費税一〇%への引き上げです。これにより消費が冷え込むリスクがあります。
 まず、長年見直しが行われていない事業の見直しについて伺います。
 まず、シンボルロード整備事業についてであります。
 都は、東京の魅力を高める道路整備事業を各種行ってまいりました。中でも、東京の交通の円滑化を目的とするのではなく、個性豊かで、魅力的な道路を整備するとの目的のもとで、今から約三十年前の平成二年から整備が開始されたシンボルロード事業は特徴ある事業だと思います。
 中央通り、靖国通り、また浅草通りなど、品格を持って、大変きれいに豪華に整備されてきました。
 しかし、当時は二十路線、総延長八十一・九キロを整備するとしていましたが、約三十年がたっても、いまだ三十五・二キロしか整備が完了されておらず、その間、見直しもされていません。
 既に秋葉原や渋谷を初め、東京の姿は、事業を開始した平成の初めとは大きく変化をしております。また、東京都が目指す姿も当時とは異なり、IoTを活用したセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現するための戦略的な施策を積極的に展開しています。
 そこで、平成三十年度までに整備した箇所の実績や成果、また、未整備の箇所の状況などの検討資料を取りまとめ、シンボルロード事業を抜本的に見直し、社会情勢の変化を踏まえて、今後の事業を展開していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西倉東京都技監 快適な道路環境を創出し、美しさや潤いのある道路づくりを進めるため、道路の景観整備は重要でございます。
 都はこれまで、地域の歴史的、文化的施設等と道路空間との調和を図りまして、誰もが歩きやすく快適な歩行空間を創出することを目的に、シンボルロード整備事業を進めてまいりました。
 一方、事業開始から約三十年が経過いたしまして、渋谷駅周辺を初め、都内で都市再開発が進むとともに、急速な訪日外国人の増加など、地域の状況が大きく変化しております。
 こうした周辺環境の変化を踏まえまして、これまでの整備内容や未整備箇所の状況を整理した上で、未整備区間も含めました、今後整備すべき箇所や、その整備手法につきまして検討を行ってまいります。

○木村委員 道路の品格というのは大変必要だと思っております。そのことは申し上げておきたいと思います。その上で、社会情勢の変化を踏まえた今後の事業展開、この必要性というものを、私たちは申し上げさせていただきたいと思っております。
 次に、東京都災害復興計画について質問をいたします。
 東京都震災対策条例の第四章、復興対策に基づき、震災復興グランドデザインがつくられ、復興に必要な予算は九兆一千億円程度と見積もられています。
 その後、震災復興マニュアルが平成十五年につくられ、それ以降は、復興市民組織育成事業などが行われています。これが震災復興グランドデザインの冊子であります。(パネルを示す)このグランドデザインは十五年以上見直しが行われていないことを懸念しておりましたが、今年度から学識経験者を交えた検討委員会を開催し、復興時の都市づくりの基本的な検討を始めたということですが、その取り組み状況について伺います。

○佐藤都市整備局長 都は、防災の専門家の先生方を交えた都市復興基本計画検討委員会におきまして、今年度から都市復興の理念、目標及び基本方針の検討を行っております。
 検討に当たりましては、震災復興グランドデザインを発展させ、近年の大災害からの教訓などを考慮することとしております。
 例えば、委員会では、地震に台風が重なって発生する複合災害など、想定を超える被害があった場合への対応や、復興に当たって大きな役割を果たす住宅の供給との連携などを図るべきとの意見をいただいております。
 こうした委員会における検討や意見を取りまとめ、来年度早期に基本方針等を作成してまいります。

○木村委員 都市復興の基本方針を作成するだけでなく、それに基づいて訓練を行うなど、その実効性を担保するための取り組みも必要だと考えますが、見解を伺います。

○佐藤都市整備局長 都市復興の基本方針などは、都が来年度に改定を予定している都市計画区域マスタープランに位置づけて実効性を持たせるとともに、区市町村等の都市計画にも反映させてまいります。
 また、基本方針等に基づき、復興手順や執行体制を示した震災復興マニュアルの修正を行うとともに、区市町村の職員向けに毎年度実施しております都市復興に係る訓練のレベルアップを図ってまいります。
 ここでの成果を、地域住民を交えたワークショップなどに活用してもらうとともに、今後は、多摩地域でも訓練を積極的に開催するなど、被災時において東京全体を速やかに復興できるよう体制を強化してまいります。

○木村委員 訓練をしたかしないかというのは、大変大きな体験の違いとなってくると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、監理団体について質問をいたします。
 まず、水道局及び東京水道サービス株式会社について質問をいたします。
 水道事業は独立採算制の中で運営をされてきましたが、水道局と監理団体が一体となって行政を進めてきたという体制の中で、水道局本体の公正取引委員会による調査、監理団体の不適正な業務執行が明るみになりました。
 水道局は第三者コンプライアンス委員会を設置して検証を行うとのことですが、懸念することは、事務局がドラフトを作成し、委員がそれにコメントをするだけということにならないか、また、第三者性がしっかり確保できるのかという点でございます。
 第三者コンプライアンス委員会は、どの範囲を調査、検証の対象とするのか、また、調査、検証の方法について、委員みずからが調査を指揮し、報告書のドラフトを作成し、取りまとめるなど、委員が中心となって作業することが第三者性を確保するために必要だと考えますが、都の第三者コンプライアンス委員会の運営方針を伺います。

○中嶋水道局長 第三者コンプライアンス委員会では、水道局職員による情報漏えい事故の再発防止策や、東京水道サービス株式会社への特別監察における指摘事項の改善策に加えまして、東京水道グループが抱える構造的な課題などを対象といたします。
 具体的には、弁護士や公認会計士、学識経験者による委員で構成し、おのおの専門的な見地から、各課題の分析、検証を行い、闊達な議論を通じて助言や提言をいただきます。
 また、局内のコンプライアンス専管組織は、公募で採用いたしました法曹資格を有する課長級職員のもと、委員会での検討のための素材提供や、委員の指示による調査を行うほか、委員の意見や指摘に基づき報告書の取りまとめを担うなど、客観性を持って委員会の活動をサポートしてまいります。
 こうした運営方針により、委員会の自立性を確保しながら、東京水道グループの課題を包括的に検証してまいります。

○木村委員 平成三十一年二月の総務局による東京水道サービス株式会社に対する特別監察報告書によれば、目安箱を契機にして、幾つかの不適正事例が摘発されていますが、東京水道あんしん診断では、そもそも使用者宅を訪問したかどうかを確認する方法がビルトインされていないなど、改善すべき点があると思っております。
 政令指定都市の水道局では実施しておらず、実施しなくても支障がない事業であるとも考えられます。
 予算委員会の総括質疑において、東京水道あんしん診断については、平成三十一年度の実施に当たっては、効果を一層発揮できるよう、見直すべき点は見直した上で実施すべきであるとの我が会派の質問に対して、アンケートの内容を見直し、都民ニーズの一層の把握に努めるということを確認しました。
 平成三十一年度の実施に当たっては、エビデンスベースで評価できるよう、改善を改めて強く要望いたします。
 そこで、平成三十一年度において、この東京水道あんしん診断の効果をどのように検証し、反映していくのか、都の見解を伺います。

○中嶋水道局長 東京水道あんしん診断は、都内全域のお客様宅を個別に直接訪問し、水質調査や漏水調査、アンケート調査によるお客様ニーズの把握を行う事業でございます。
 この診断では、お客様から水質やサービス、危機管理に至るまで、多岐にわたる項目のアンケートの回答を、これまで約四十八万件いただいており、お客様ニーズなどを詳細に把握してございます。
 事業の最終年度でございます平成三十一年度の実施に当たりましては、より一層お客様の声を把握するため、アンケート内容を新たな視点で見直すとともに、当局の自律点検・改革推進本部におきまして、これまで得られましたデータを地域や用途別に分析し、事業の効果を検証してまいります。
 この検証結果を今後の水道事業に的確に反映してまいります。

○木村委員 次に、今後の都庁組織全体のあり方について質問をいたします。
 都は、東京二〇二〇大会後を見据えて、都庁組織全体のあり方について検討することとしております。私たち都民ファーストの会東京都議団は、代表質問において、長期的な視点に立った本質的な議論が必要であるとして、あわせて、東京二〇二〇大会後のオリ・パラ準備局のあり方、改正法の全面施行を踏まえた都庁組織としての中央卸売市場のあり方などの検討が必要と指摘をしております。
 準備局のあり方については、大会のレガシーを将来に生かすという観点が、中央卸売市場については、東京、そして日本の将来を踏まえた食品流通の合理化、適正化に向けた対応が必要です。
 組織改正に当たっては、こうした時代変化、社会経済環境の変化に対応した政策や事業展開をしっかり踏まえるべきであると思います。同時に、都民のニーズの変化を踏まえた局と局との縦割りへの対応や、意思決定の迅速化、事務執行の効率化など、都庁の生産性向上の視点も重要です。
 都庁の現場を担う各局との十分な議論を行うことはもちろんのことですが、有識者等の意見を参考にするなど、多方面からの検討を行うべきだと思います。
 東京二〇二〇大会後を見据えた都庁組織全体の再編に向けては、時代変化に適切に対応するとともに、都庁の生産性向上に資するよう、所管の範囲や権限と、責任の明確化などの観点から、しっかりと検討を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のとおり、東京二〇二〇大会後の組織全体の検討が必要ということでありますが、長期的な視点から、今後の政策、そして重要施策の方向性を踏まえることは重要でございます。
 さらなる高齢化の進展や今後直面する人口減少の中で、東京が持続的に発展していくためには、東京の都市力を強化して、稼ぐ力を高める、そして持続可能な社会保障制度へ改革していく、災害にも強いまちづくりを推進する、環境変化を踏まえた市場の運営をするなどなど、多岐にわたる政策課題に的確に対応していかなければなりません。
 そのために、年内を目途といたしまして策定予定の新たな長期計画でございますが、これを受けまして、計画の実行に向けた実効性の高い組織のあり方を検討してまいります。
 今後、組織規模の適正化であるとか、意思決定の迅速化、政策立案部門と事業実施部門のあり方などにつきまして、現場感覚を踏まえながら、幅広く議論を重ねて、来年度中を目途に、都庁組織全体の方向性を示してまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 二〇二〇年の大会前、そして、大会後をあわせて見据えると、大会直前期などの公共工事の受注機会確保が極めて重要になってまいります。先般の我が会派の増子幹事長の代表質問において、受注機会の確保について知事にただしました。
 改めて申し上げますが、一九六四年の東京大会では、首都高速道路など、各種インフラの整備が進みましたが、大会開催のころから景気後退の兆しが見えており、翌六五年には株価急落や戦後初の赤字国債の発行にも至りました。
 東京二〇二〇大会の開催が同様の事態を招くことがないよう、都としても開催前から可能な対策の検討、準備を図られるよう、強く求めておきます。
 また、受注機会の確保とあわせて、工事の平準化は重要な課題です。建設関係の業界団体の方々から、現在、技術者や技能者の高齢化が進み、人手不足が顕著であり、公共工事に参加したくても、なかなか手が挙げられない、ぜひ工事の平準化を図ってほしいといった切実な声が聞こえております。
 国においても、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律を一部改正し、平準化への取り組みを行っており、また、昨年六月には働き方改革関連法が成立し、建設業では五年間の猶予はあるものの、特に設計等委託業務にかかわる事業者等においては、この四月から時間外労働の罰則つき規制が導入されることになっています。
 これら建設業を取り巻く状況を踏まえ、都では現在、関係各局による庁内連絡会を開催し、平準化に関するこれまでの状況を分析の上、平成三十一年度以降の取り組みを検討しています。
 平準化の推進に当たっては、多岐にわたる事業の特徴など、各局それぞれの事情も考慮して、平準化の数値目標を定めるとともに、その実効性を高めるためのきめ細やかな工夫が必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○武市財務局長 公共工事などにおけます平準化の取り組みは、都の事業進捗や建設業の働き方改革、公共工事の担い手確保にも資するものでありまして、これまでも債務負担行為の活用などにより推進をしてまいりました。
 ご指摘のありました数値目標につきましては、事業実態に即し、稼働状況に着目した平準化率という指標を導入することを考えておりまして、現在、庁内連絡会で来年度から三年後の目標値を検討しているところでございます。
 また、実効性を高める新たな取り組みとしましては、業種ごとに繁閑期が異なることなどを踏まえまして、業種別に細かく目標値の設定を行い、継続的に管理していくとともに、工事の上流に当たります設計等委託につきましても、二月や三月の年度末の履行期限を分散させることに取り組んでまいります。
 さらに、庁内連絡会を定期的に開催し、各局の優良な取り組み事例を共有するなど、工夫を凝らしながら、全庁を挙げて平準化を推進してまいります。

○木村委員 次に、豊洲市場について質問いたします。
 質問に入る前に、議会での質疑のあり方について、一言申し上げたいと思います。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、この間、よりよい政策を練り上げるために、都の関係部局とも長期的な視点に立った意見交換を重ねてまいりました。しかし、三月十三日の予算委員会での都議会自民党の川松議員の質疑において、意見交換会で使用された資料がパネルで提示されたほか、全国紙にも会派と都庁幹部との意見交換会の様子が流出し、報道される事態となりました。
 川松氏の質疑においても、報道においても、自由な意見交換会がまるで都の意思決定の場のごとく扱われておりますが、この意見交換会は会派と都の忌憚のない意見交換の場であり、ここでの発言をもって、都の最終方針であるかのように扱われることは、会派にとっても、都にとっても心外であり、双方の意見交換に著しく支障を与えるものです。
 加えて、この意見交換の様子については、詳細なメモが流出しているとの話も仄聞していることから、万が一、我が会派の議員からの流出でない場合には、議会と執行機関との信頼を根底から揺るがす問題と捉え、その流出経路については、会派を挙げて調査してまいりたいと考えております。
 また、不正な方法、ルートで他会派にこの会議メモが渡り、それをもとに質問に至った会派があるとすれば、執行機関と議決機関の健全な関係を脅かし、議会制民主主義の根幹を揺るがす事態であり、大きな問題になることを指摘しておきます。
 では、質問に入ります。豊洲市場と築地再開発については、本定例会で、築地市場跡地の有償所管がえの補正予算が成立しました。これにより、石原都政で始まった市場移転問題が決着し、今後は、豊洲市場を含む中央卸売市場の議論と、築地再開発の議論を切り離して、それぞれ議論を深めることができるようになり、ようやく新しい出発点に立って、未来志向の政策に踏み出すことができるようになりました。
 まず、築地再開発について質問します。
 築地については、石原都政のもとでは、築地市場跡地は民間に売却することになっていました。築地市場跡地は、単に豊洲市場建設の資金を捻出するためのものでしかなく、これを東京の発展のためにどう生かしていくのかという発想に欠けていたといわざるを得ません。
 これに対して、小池都知事は、平成二十九年六月二十日の基本方針で、築地市場の土地は売却せずに保有して、有効活用するとされ、東京都が民間主導で築地再開発をするという課題が初めて浮上してきたのであります。
 既に、築地市場跡地の有償所管がえは議会の了承を得ました。築地再開発は、中央卸売市場の議論とは独立して、築地の伝統を生かしながら都民のための開発計画を策定できるよう、都民ファーストの会東京都議団も積極的な貢献をしてまいります。
 築地再開発のまちづくり方針の素案では、国際会議場などの機能を中核としながら、国際交流拠点の形成を目指すとされていますが、どのような交流を想定しているのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 築地再開発におきましては、東京の食文化を担う多くの方々の努力によって脈々と築かれてきた築地ブランド、そして東京の宝物であります浜離宮、隅田川などのポテンシャルを生かしまして、都心のまたとない大規模で貴重な土地を幾つかのゾーンに分けまして、効果的に活用する、そして、都民の皆様方を初め多くの方々が集う国際的な交流拠点を形成していくという考えであります。
 海外の都市におきましては、国際会議の機能と展示機能の一体整備に加えまして、文化や音楽などのアフターコンベンションも考慮いたしました複合的な取り組みもございます。
 築地においては、こうした海外都市の取り組みも踏まえまして、クリエーティブな活動に都民にも、皆さんにも参加していただきながら、新たな東京ブランドを、民間のさまざまな知恵を活用しながら創造、発信していく、そんな拠点を形成していきたいと考えております。

○木村委員 豊洲市場の今後について質問をいたします。
 さて、豊洲市場についてですが、知事が、平成二十八年八月三十日に、同年十一月七日に予定されていた豊洲への移転の延期を決断されて以降、豊洲市場建設用地では、建物地下になされているはずの盛り土がなかったこと、地下水モニタリングで環境基準を超える値が測定され、土壌はもちろん地下水中の汚染も、環境基準以下になることも達成されていなかったこと、よって、操業に由来する汚染物質が全て除去、浄化されていないことが明らかになった、すなわち、都議会及び都庁が都民と業者の方々に約束していた無害化の三つの条件全てが実現できないことが判明しました。
 これに対して、知事は、無害化できなかったことを陳謝し、盛り土にかわる追加対策を行うための約五十五億円の補正予算を平成二十九年九月、都議会に提案しました。
 この予算は、都議会自民党も賛成して可決され、工事後に専門家会議の検証を経た上で、農水省から移転の認可を得ました。
 今でも、延期により環状二号線の工事がおくれて、オリンピック・パラリンピックに支障が起きたとか、約三十八億円の追加対策工事は無駄だったなどの意見を述べる人たちがいますが、無害化が実現できないまま、追加対策工事も行われていなかったら、豊洲市場を円滑に開場できなかったと考えますが、現場を預かる中央卸売市場長に見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場への移転を延期した後、土壌汚染対策の課題について、専門家会議でさまざまな検証を行っていただき、必要な対応策をご提言いただきました。その提言に基づき実施いたしました将来のリスクにも備えた追加対策工事の完了により、さらなる安全性の向上が図られたところでございます。
 また、かつて都が都民や市場業者の皆様にお約束した、いわゆる無害化が達成されていない状況につきましても、真摯に受けとめ、さまざまな議論の上で、無害化にかわる新たな方針を定めたほか、市場会計の持続可能性などの課題の整理にも取り組んでまいりました。
 こうした一連の検証や測定データの公開などを通じ、都民や市場関係者の皆様にご理解いただけるよう努めた結果、昨年十月の豊洲市場の開場につながったものと考えております。

○木村委員 市場会計は、工業用水道と同じように、経営に関する経費は、経営に伴う収入、すなわち使用料をもって充てる独立採算制を採用しています。しかし、現実は、独立採算制の本来の趣旨である使用料収入で会計を賄うことができない状況が続いています。
 中央卸売市場の取扱金額が半減する中、今後の市場会計の健全化は極めて重要な課題です。
 私たちは、市場会計の健全化に向けて、市場会計の持続性の確立、外部監査の導入が必要であることを求めてまいりました。
 十一の各市場について、経営戦略、経営計画を立て、それを現場で実行できる市場の組織改革をなし遂げることは、都民への責任であると考えています。そのための選択肢として、あらゆる方法、可能性を検討すべきであり、長期的なビジョンに立って、将来的な民営化も視野に入れていくべきであると思います。
 そこで、市場会計の健全性、持続可能性の確保を図るに当たって、外部監査を導入すべきと考えますが、どのように進めていくのか、見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 市場会計の健全性、持続可能性の確保を図るため、平成三十二年度を目途に、戦略的な市場経営と強固な財務体質の確保に向けた経営計画を策定することとしております。
 計画の策定に当たりましては、改めて市場会計の現状や事業の費用対効果など、市場経営を取り巻く状況をしっかりと把握いたしまして、今後の財政運営の実効性を確実なものとしていく必要がございます。
 また、外部有識者による民間企業経営の目線からの市場運営の検証が効果的に行われますよう、今後、関係局と連携しながら取り組んでまいります。

○木村委員 いろいろと皆様にご質問してまいりましたが、質問の最後に一言申し上げておきたいと思っております。
 三月十四日の予算委員会で、議会事務局が予算委員長のために用意した議事進行ファイルを予算委員長の議事進行を妨害する目的で、故意に委員長の机の上から持ち去ったという事件が起こりました。この事件について、都民ファーストの会東京都議団は徹底調査の申し入れを行っております。
 ファイルは、三月十九日になって、都議会自民党の吉原幹事長から予算委員長に返却されましたが、報道によれば、都議会自民党の小松委員が持ち去ったとのことです。都民ファーストの会東京都議団は、このような行為が議場で行われたことについて、到底許されない行為であると厳しく断じておきます。
 また、同じく三月十四日、委員会の開会前、都議会自民党の議員が委員長を威圧し、羽交い絞めにするなどの暴挙に対し、都民ファーストの会東京都議団は都議会自民党に対し、同日付で厳重抗議を行っております。
 本件については、事実関係の調査並びに判明した事実に基づいた適切な対応を強く求め、都民ファーストの会東京都議団を代表しての締めくくり総括質疑を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。

○石川委員長 木村基成理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

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