予算特別委員会速記録第四号

○石川委員長 斉藤れいな委員の発言を許します。
   〔委員長退席、伊藤(ゆ)副委員長着席〕

○斉藤委員 森記念財団の世界都市ランキング二〇一八において、東京は昨年に引き続き、ロンドン、ニューヨークに次ぐ第三位を堅持しているものの、上位二都市との差は広がっているのが現実です。二〇一二年のオリンピック・パラリンピック以降、現在もトップを独走しているロンドンのように、東京二〇二〇大会以降もその都市力を伸ばしていけるかどうかが今問われています。
 都市力強化の観点から、文化振興は重要な要素でありますが、世界都市ランキング二〇一八における文化交流ランキングでは四位、アクター別でアーティストとしては五位という結果で、まだまだそのポテンシャルを生かし切れていないというふうに考えます。
 まず、東京を世界一の文化都市にするという思いを込めて、ロケーション誘致、そして公園の活用などについて伺います。
 現在、東京都は、文化都市として世界から選ばれる都市になっているかどうかという視点で、ロケーション誘致について伺います。
 海外の映画作品等のロケーション誘致は、映像産業の振興や雇用創出、文化振興やインバウンドの促進に有効です。例えば、経済産業省の資料によると、スペイン政府は二〇一一年公開のボリウッド映画、インドの映画ですね、こちらの誘致に成功をして、当年のインド人観光客数は、七万五千人から十一万五千人の六五%増加ということからも、その効果は確かでございます。
 東京都は世界的にも知名度の高い都市ですが、例えば東京都や日本が舞台である映像作品がつくられるときですら、実際の撮影は中国や台湾、韓国で行われているという実態がございます。その原因として、手続の煩雑さやさまざまな規制が掲げられておりまして、東京都が映像ロケーションの聖地となる機会をみすみす失っているかもしれないと考えると、大変もったいないと感じております。
 そこで、ロケーション誘致について、まず、現在どのような取り組みが行われているか伺います。

○藤田産業労働局長 都は、東京ロケーションボックスにおいて、都内でのロケ誘致に向けて、ロケ撮影に関する情報提供や施設管理者等との撮影許可の調整のほか、海外の映像制作者に情報発信を行っております。
 具体的には、映画やドラマ等の映像制作者に対して、都内のロケ撮影に適した場所の紹介や撮影条件などの情報提供を行っております。また、公共施設等での撮影においては、施設管理者への許可申請手続のサポートや撮影時の立ち会いを行っているところでございます。加えまして、世界の映像制作者が集まる海外の見本市に出展し、都でのロケ支援の内容などのPRを行っております。

○斉藤委員 ちなみに、東京都内の民間会社でもロケ地の案内やマッチング、またロケーションコーディネートなどを行っております。東京ロケーションボックスの強みは、公道使用などに当たって警察との連携や自治体との調整も行うという点でありまして、これは民間にはできない特筆すべき点です。けれど、余り知られていないのではないかと危惧をしています。
 東京都の取り組みや実績を広く周知するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都は、東京ロケーションボックスのホームページや季刊紙の発行により、ロケ撮影支援の取り組み実績をPRするとともに、ロケ撮影現場などを紹介する動画を作成することで、映像制作者はもとより、ロケ撮影への理解促進を図るために、広く都民に対しても情報提供を行っております。
 また、これまで撮影を支援した映画やドラマの中から、その時々に話題となっている作品とタイアップしたイベントやパネル展を開催し、PRすることで、東京を舞台としたロケ撮影の促進を図っているところでございます。

○斉藤委員 例えば、インスタグラムを開設して東京都のファンを世界中にふやすということを積極的にもっとやってもいいんじゃないかなということも考えております。
 周知に加えて海外の制作陣に対しての積極的な営業活動、PRが必要と考えます。カナダやニュージーランドでは、撮影に係る費用の税額控除やインフラ整備、人材育成も行われています。アジアでは、台湾や韓国が誘致に非常に熱心です。このような取り組みに加えて、日本人監督や制作陣からPRや企画の売り込みを行うことなどが有効であると考えます。
 東京都で撮影するに当たって、インセンティブを付与することや積極的なPRを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都は今年度から、海外作品の誘致に向けて、カンヌなどの世界有数の三つの映画見本市に出展し、都内のロケ地の紹介や業界関係者に対する直接の営業活動を行い、映像制作者とのネットワーク構築に取り組んでおります。
 また、国内外の映画業界における実績が豊富な映画プロデューサーなどをアンバサダーとして任命し、その発信力を活用することで、映像制作者に対してロケ地としての東京の魅力を広くPRしております。
 お話の海外におけるさまざまなインセンティブ制度などにつきましては周知をしているところでございますが、都におきましては、先ほどご答弁申し上げました東京ロケーションボックスによる撮影時のサポート活動を通じまして、海外作品の着実な誘致に取り組んでまいります。

○斉藤委員 例えばですけれども、現在、世界的なロックアーティストのX JAPANのYOSHIKIさんが音楽監督を務めるトリプルXという映画のバージョンフォーですね、第四弾が制作中ということで、撮影先を探しているという話を伺っております。こういったところにも、ぜひ東京都の方から積極的にアピールをしてほしいと考えております。
 関連して、都立公園大改革について伺います。
 知事は、昨年末に都立公園の多様な活用法を模索するとして、都立公園大改革に取り組むと表明されましたが、中でも日比谷公園については、先般グランドデザインが策定され、その中で、まちと連携し、芸術やエンターテインメントの多彩な魅力を先導的に打ち出すとして、具体的には日比谷公会堂や日比谷野外音楽堂、いわゆる野音を新たな魅力を生み出す大音楽堂として発信するとされています。
 私自身も、実はかつて野音で公演を行わせていただいた経験から、これはぜひ行っていただきたい、頑張っていただきたいと思っております。
 野音での公演は現在、音量や開催時間帯に制限がございます。音量の制限があると、海外のアーティストなどは使用を敬遠します。また、暗くなり切らない時間帯の撮影は、照明や演出の効果が薄れますので、映像作品にするのが難しいということがございます。
 二〇二〇年以降に野音を世界に選ばれる場所にしていくためには、半地下構造での改築や可動式の屋根を検討すべきというご意見も伺っております。
 二〇二〇年以降の本格的な改修においては、世界のアーティストを広く呼び込むような野心的な改修を行うべきであると考えており、さまざまな立場の方々から意見を聞くべきと考えますが、いかがでしょうか。

○西倉東京都技監 日比谷大音楽堂、いわゆる野音は、昭和五十八年の改築以降、施設の老朽化が進んでおりますことから、今年度から再整備に向けた検討に着手しております。
 検討に当たりまして、施設のポテンシャルを最大限引き出すためのアイデアなどにつきまして、民間事業者からヒアリングを行うとともに、音量や振動、利用時間拡大の可能性などにつきまして近隣施設からも意見を伺っております。
 これからも人々に愛される野音となりますよう検討を深めてまいります。

○斉藤委員 人々に愛される野音とするために、ぜひその検討に当たっては幅広く意見を聞いていただきたいと要望しておきます。
 ここでちょっとパネルを出すんですけれども、こちら、ニューヨークのセントラルパークの風景でございます。
 日比谷公園グランドデザインの中で比較されているニューヨークのセントラルパークでは、来場者五十万人ともいわれるライブイベントがあったり、ニューヨーク・フィルの無料コンサートが行われております。利用者数が年間約四千万人といわれ、世界で最も観光客が多い観光地ランキングのトップスリーに入ることもあるくらいです。
 ロンドンのハイドパークでは、冬はクリスマスマーケット、夏はサマーフェスがありまして、地域内外から多くの方々が足を運んでいます。
 このように、海外では既に都市における公園が国内外から多くの人を引きつける磁力ある場として機能しております。野音や日比谷公会堂を有する日比谷公園にも、これらに匹敵するポテンシャルがあるということにぜひ気づいていただきたいと思います。
 例えば、ことしの六月一日から二日にかけて、フリーで誰もが参加できるボーダーレスな音楽祭として、日比谷音楽祭が開催される予定になっております。
 こういった質の高いエンターテインメントの提供を初め、地域の人々も十分に楽しみ、時に国内外の観光客が日比谷公園を目がけてやってくるような、先ほど例示した世界の公園に負けない日比谷公園の活用について、都が主体的かつ官民連携で進めていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、日比谷公園は豊かな緑、文化施設を有しておりまして、そのポテンシャルを最大限に発揮させるためには、周辺のまちと連携しながら相乗的に新たな魅力、これを生み出すことは重要であります。
 これまでも、日比谷公園ガーデニングショー、東京味わいフェスタなどなど、イベントが開催されて、まちと一体となったにぎわいが生まれているところであります。
 今、お話がございました日比谷音楽祭でございますが、野音をメーンにして公園全体を会場とする初の試みとなります。
 今後、民間事業者やエリアマネジメント団体などとの連携をさらに深めまして、芸術やエンターテインメントなど多様な取り組みで、これまでにない日比谷公園の魅力を引き出していく考えです。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 例えば、東京都交響楽団のフリーコンサートを行うことや、オペラや伝統芸能を子供たちにも親しんでもらえるように発信することも夢ではありません。都ならでは、日比谷ならではの二〇二〇年以降の景色を多彩かつ壮大に描きながら検討を進めていただきますよう要望し、一つ一つの公園の魅力を最大限引き出す都立公園大改革に期待をしたいと思っております。
 次に、こちらのパネルを出させていただきます。
 次に、教育の質向上について伺います。
 二〇二五年以降に急速な少子高齢化が予想される東京にあって、世界の都市間競争に打ち勝ち、持続可能な発展を遂げていくためには、教育の質向上によって一人一人が稼ぐ力を高めていくことが重要であると考えます。
 国際的な学力調査をひもといてみると、国際数学・理科教育動向調査では小学校算数、中学校数学がともにシンガポール、香港、韓国、台湾に次ぐ五位、PISA調査による読解力ではシンガポール、香港、韓国などに次ぐ八位、二〇一七年の、こちらはTOEFLのスコアなんですけれども、ランキングでは百六十三カ国中百三十五位、アジア三十カ国中では二十七位という結果になっております。ここには載っていないんですけれども、世界の大学ランキングでは、日本一位の東京大学が世界で四十二位となっております。
 さらに、アメリカのステム教育やオランダのイエナプランなど、各国が自国の特徴に合わせた独自の教育モデルを構築しておりまして、それは学力向上にはとどまらない、子供一人一人の能力を最大限引き出すための教育へと向かっていると考えております。
 一方、日本全国と比較した東京都の学力はどうかといえば、平成三十年度、文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査における国語、算数、理科を総合した正答率は、小学生が全国五位、中学生が全国十一位という結果のようです。世界の都市間競争を勝ち抜こうとする東京都における教育としては少々物足りなさを覚える次第です。
 今般、東京都教育ビジョンが策定されようとしておりますが、これに先立ち、平成二十九年一月、東京都のこれからの教育の基本的な方向性を示す教育施策大綱が策定されております。
 東京都の教育の目指す方向性について、世界の都市間競争に打ち勝つ人材を育成するという観点から、知事の考えをお伺いいたします。

○小池知事 教育は、全ての子供が充実した幸せな人生を歩むための礎であり、また十年、百年先を見据えた未来への投資でございます。また、世界の中で輝き続ける持続可能な東京を実現して、誰もが希望と活力を持って生き生き暮らせる社会にしていくためにも重要。
 こうした考えに基づいて、一人一人の子供は将来の希望を抱いて、生きる希望となる力を身につけられますように、都独自で給付型の奨学金を創設したり、きめ細かな教育による基礎学力の定着を徹底しまして、学びのセーフティーネットを構築しております。
 さらに、世界で活躍できる国際感覚、生きた英語を学ぶ環境の充実、創造的、論理的な思考力を育成する教育なども推進してまいりました。
 今後も、東京の子供たちが夢や希望を持って力強く歩んでいけますように、教育委員会と力を合わせて、輝く未来を創造する質の高い教育の実現を目指してまいります。

○斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
 今後の施策展開においては、より学ぶ意欲を高めるような目標設定も必要ではないかと思います。例えば、二〇二〇実行プランの強化においては、世界で通用する指標を用いた目標を置くことを提案しておきます。
 また、国際感覚の醸成という視点から、英語を学ぶ、英語という教科を学ぶのではなく英語で学ぶ、そういった授業を取り入れる。例えばTGGの方で行っていらっしゃいますCLIL教育というのがあると思うんですが、これを公立の小中学校で展開していくことも検討するなど、世界の先端教育に引けを取らない教育環境を今後ぜひ目指していただきたいと考えております。
 教育の質向上の具体策として、ICTの活用が重要であると考えます。
 文部科学省が取りまとめたソサエティー五・〇に向けた人材育成においては、公正に個別最適化された学びの重要性が指摘されています。AIやビッグデータを活用して、一人一人の能力や意欲に合わせた学びを提供し、学習効果を高めることで基礎学力の定着とプラスアルファの学びを同じ教室で個別に実現することも可能といわれています。
 公正に個別最適化された学びを今の取り組みにいいかえるならば、習熟度別学習になると思いますが、都内小学校千二百八十校中千二百七十一校、都内中学校では六百二十三校中五百八十八校が習熟度別学習を現在導入していると伺っております。
 そこで、習熟度別学習におけるICT活用の有効性と学校の取り組みについて、都としての見解を伺います。

○中井教育長 お話の少人数、習熟度別指導におきましては、学習集団の理解の程度や技能の習熟度等の違いに応じた課題を設定するなど、個々の児童生徒の学習速度に合わせた指導の工夫がなされております。
 同様に、ICTを活用した学習においても、児童生徒がそれぞれの習熟の程度に応じた個別学習ができ、電子黒板やタブレットなどを有効に活用している学校もございます。
 こうしたことから、習熟度別指導とICTを活用する学習を適切に組み合わせることで、教育効果を高めることができるものと認識しております。

○斉藤委員 財政面での制約などから、タブレット配布などのICT環境に自治体間格差が生じております。
 私の地元、多摩市なんですけれども、多摩市からはICT環境の整備に加えて、WⅰFiなどの維持管理費が非常に大きな財政負担となっていると伺っております。こうした状況を打開するためには、ICT活用の有効性を検証し、具体的な活用策を周知していくこと、将来的には希望するものの、なお配備が難しい自治体に対しては、財政的な支援を行うということも検討していただきたいと考えております。
 来年度は、公立小中学校におけるICT利活用モデル検証事業を行う予定とのことですが、その内容と狙いについて都の見解を伺います。

○中井教育長 区市町村においてICT教育の環境整備を進めるに当たり、財源の確保のほか、ICTに関する知識を有する人材の不足や教育効果の検証が不十分であることが課題として挙げられます。こうしたことから、都教育委員会は平成三十一年度から先進的な取り組みを実施している区市町村などと連携し、ICT利活用モデル検証事業を実施してまいります。
 本事業は、一人一台の学習者用コンピューターの活用方法やその効果などを多面的に検証するものでございます。検証により得られた成果を取りまとめ、区市町村が環境整備の推進に必要な情報提供などを行い、取り組みを支援してまいります。

○斉藤委員 検証に当たっては、教育におけるエビデンスという視点を持った外部有識者の知見を生かしていただくことを要望しておきます。
 加えて、モデルとなる地区においても、より効果的な活用や課題解決策を探っているところだと思いますので、ともに考えを深め、ノウハウを構築していくような取り組みとしていただきたいと考えております。
 文部科学省の全国学力・学習状況調査によると、都内の小学生の五七・九%、中学生の七〇%が学習塾に通っているという結果がございます。また、公立中学校に通う生徒の学校外教育費が小学校と比べてはね上がるという結果もあります。
 目標の進路実現、もしくは苦手の克服、さまざまな理由で通塾をしていることと思いますが、学校の授業とその延長線上にある宿題だけでは不足を感じる、もしくはついていけないという生徒さんがいらっしゃることは確かな事実と考えております。
 こちら、私たちの会派東京みらいが独自に実施をしたインターネットの世論調査なんですけれども、子育て支援施策において東京都に今後、力を入れてほしい施策は何ですかというふうに伺いました。それによると、塾に通う必要のない公教育の充実というところが教育分野ではトップとなっておりました。
 学習塾を含む学校外教育の重要性はいうまでもなく、受験生チャレンジ事業などを通じて、その支援を講じている東京都の取り組みは評価するべきものですが、そもそも公教育の充実こそが最重要であるということを指摘しておきます。
 その意味では、東京都が基礎学力の定着を図るために開発をした東京ベーシック・ドリル、こちらの方を効果的に活用いただきたいと思いますが、現在のその活用状況と学習効果について、都の見解を伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、児童生徒が小学校第一学年から中学校第一学年までの基礎的、基本的な内容を確実に身につけることを目的として、平成二十五年度から三年間にわたり東京ベーシック・ドリルを開発してまいりました。平成二十九年三月には自動採点機能を備えた東京ベーシック・ドリルソフトを開発し、各学校に配布いたしました。
 こうした取り組みや学校における指導の工夫などにより、国の学力調査における算数の基礎を問う問題において、全国平均と比べて、習熟のおくれがちな子供の割合が減少している傾向が見られるなど、一定の効果を把握しているところでございます。

○斉藤委員 学習効果という観点は、ぜひ大切にしていただきたい観点だと考えます。学校教育と学校外教育、それぞれの効果を相乗的に高めるためにも、より正確な効果測定を心がけていただくようお願いを申し上げます。
 また、学習における公正な個別最適化という観点では、発展的な学習内容をまとめた、例えばですけれども、アドバンストドリルというようなものの開発も、ぜひ検討をしていただきたいと思います。こちらも要望をしておきます。
 東京都教育委員会では、その基本方針において、基礎的な学力の向上を図り、子供たちの個性と創造力を伸ばす教育を重視するとしています。
 子供たちの個性や創造力を育むには、学校外活動、これが非常に重要な要素と私たちは考えております。そこに経済的な格差を生んではいけないとも思っております。これは、学習塾での勉強という狭義の学校外活動ではなく、スポーツや音楽、美術、あるいは地域活動など幅広い意味での学校外活動を意味しております。
 都では、社会教育の場としてユース・プラザをPFIで運営されておりますが、また、来年度予算では放課後子供教室の予算拡充を行うと聞いております。多面的な視点から子供の成長を図ろうとする姿勢をぜひ歓迎したいと考えております。
 私はかねてから、文教委員会において、放課後子供教室の開設日数が区市町村によってばらつきがあるということや、人材の確保、育成、またプログラムの充実に苦心をしている多摩市の例もお伝えをして施策の充実を求めてまいりました。
 都として学校外活動の意義をどのように捉え、また放課後子供教室においては具体的にどのような取り組みを考えておられるのか、見解を伺います。

○中井教育長 児童生徒を取り巻く環境の変化や、地域の教育力の低下が指摘される中、子供たちが異年齢の友達や異世代の人々とかかわり、体験活動や交流活動を行う場を身近な地域に確保することは重要でございます。
 都教育委員会は、これまでも放課後子供教室の実施を通じて、スポーツ文化活動など多様な体験活動の機会を提供してまいりました。平成三十一年度からは実施日数等の拡大やNPO等の専門人材を活用した新たなプログラムの導入など、放課後活動の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 大変期待をさせていただきたいと思います。
 地元の放課後子供教室の指導員の方にお話を伺ったんですけれども、プログラム内容を充実させるために非常に苦労をしていらっしゃるという話を伺っておりまして、例えば保護者の方から、ボールを使った遊び、遊具を使った遊びで子供がけがをした場合に、危ないので今後は遊具を使わない、ボールを使わない、いろんな制約がふえてきてしまっているという場所があります、これは一カ所なんですけれども。そういったときに、子供たちが活動する内容が少し減ってしまって、すごく元気な体力だったりとか何か好奇心というのを残したまま、じっと過ごさなきゃいけない、ただじっとそこに座っている、子供たちが手遊びなんかをして遊んでいるというお話を伺いまして、これは何か急いでプログラムを充実させていただかなくてはいけないというふうに考えておりました。ぜひよろしくお願いいたします。
 子供たちの心が動くような本物に触れ合える体験も含め、プログラムの充実に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ソーシャルインクルージョンの観点から、障害者就労について質問をします。
 現在、週二十時間未満の就労は障害者雇用率の算定に含まれず、特に精神障害や知的障害のある方々の就労を阻む壁になっております。
 都においては、現在就労支援のあり方に関する有識者会議が開かれていますが、この会議で議論の対象となっている就労困難者に含まれるシングルマザーやひきこもり、高齢者や難病患者といった方々にも短時間勤務は有効であると考えます。
 都は、来年度から短時間就労支援事業を開始すると聞いておりまして、モデル企業を選定し、マッチングやその後の課題解決をともに取り組んでいくとのことでありますが、その狙いと今後の展開を伺います。

○藤田産業労働局長 短時間就業支援事業は、障害者の中でも体力や体調等の面から障害者雇用率の算定の対象となります週二十時間以上の就業が困難な方々の活躍の場を広げることを目的といたしましたモデル事業でございます。
 具体的には、こうした方々を短時間勤務で雇用しようとする中小企業と障害者をマッチングし、企業に対しては雇用管理の手法等のノウハウを提供いたしますとともに、障害者本人に対しましては体調管理等のアドバイスを行ってまいります。
 こうした支援の具体的な取り組み内容や得られた成果、課題などを事例集として取りまとめ、幅広く周知を行いますことで障害者の雇用の拡大を目指してまいります。

○斉藤委員 国においても短時間就労の重要性が認識され、インセンティブの付与も含めた議論が展開されているとのことです。こうした動向に先駆ける形で都が事業を行っていくことは率直にすばらしいことであると思います。
 タックスイーターからタックスペイヤーへとの思いで、障害者就労の未来を描いている方々がいらっしゃいます。こうした方々の願いに応える支援制度を検討いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 関連して、生活文化局の新規予算である二〇二〇大会開催時の東京の記録映像作成について提案をいたします。
 私たちからも、都として世界に向けて発信すべき先進的事業については、ぜひコンテンツに入れていただきたいと考えます。
 あらゆる差別の解消や心のバリアフリー、あるいは復興に向けた取り組みや再生エネルギー活用などがこれに当たります。
 ただ一つ懸念しておりますのは、東京都がこれまで作成された動画については、その意図が必ずしも効果的に伝わってきたとはいえないものもあるという点でございます。
 より魅力的なコンテンツにしていくために制作会社の専門性は生かしつつ、先ほども述べましたレガシーの観点など、行政として制作の意図を確実に制作会社に理解いただくなど、しっかりと制作の進捗の管理、こちらを行っていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○浜生活文化局長 東京二〇二〇大会を契機として制作する映像をより多くの人に届け後世に残していくためには、大会に向けた東京の進化の過程を伝える記録映像としての基本的性格を踏まえつつ、見る人の共感を得られるような魅力的な映像とする工夫も必要でございます。
 映像制作に当たっては、放送番組制作会社の持つ演出や表現手法等の専門的なノウハウを最大限活用しながら、重要施策など都として発信すべきテーマやメッセージを確実に伝えられるようにしてまいります。

○斉藤委員 東京都は、持続可能な社会を目指す取り組みとして、大会史上初めてみんなのメダルプロジェクトを実施してきました。このプロジェクトは今月末で回収受付を終了しますが、回収後の分解から選別等の処理を行っていく過程において、メダルの製造に従事している障害者の方々がいらっしゃいます。
 パラリンピック大会のレガシーとすべき障害者の就労から自立に向けた意識の転換点が、まさにここにあるのだということをぜひ発信いただきたいと考えます。
 高い集中力と誇りを持って取り組む職人のような姿をしっかりと記録し、メダルプロジェクトにおける障害者就労を、大会時の東京の記録映像として残すことを検討していただきたいと要望をしておきます。
 次に、倫理的な消費という観点から質問します。
 先ほども述べた世界都市ランキング二〇一八において、東京都は環境部門で大きく順位を下げています。本年度予算ではゼロエミッション東京の実現に向けて二百五十九億円の予算を計上していますが、都民一人一人が環境に対する意識を高めることが重要です。未利用地に限りがある東京都では、住宅における太陽光発電の設置促進が有効と考えます。
 そこで、都民に身近な環境対策である住宅用太陽光パネル設置初期費用支援について想定される事業効果を伺います。

○和賀井環境局長 お話の事業は、例えば都民が初期費用の負担なしで住宅に太陽光発電設備を設置する事業者とリース契約を結び、売電収入で利用料を支払っていく仕組みなどに都が補助を行うことで、都民の負担を軽減し再エネの普及を図る事業でございます。
 当事業により、新たに年間七千キロワットの太陽光発電の導入を見込んでおります。
 また、今後、こうした初期費用ゼロでのビジネス手法の拡大により、都内における太陽光発電の導入が進むものと考えております。

○斉藤委員 リースを対象とされるということで、都民と事業者双方にとり、パネル設置に取り組みたいという機運を醸成していくことができるのではないかと考えます。これは多くの都民の皆様にぜひ活用していただけるよう、周知については特に工夫を凝らしていただきたいと思います。
 都民自身がそのメリット、つまり、利益が還元されることを実感することが重要だと考えますが、本事業において工夫している点について伺います。

○和賀井環境局長 都は、事業者から提案されました契約手法や都民への補助金の還元スキーム等を審査した上で、初期費用ゼロでの事業プランとして登録し、ホームページでわかりやすく公開をいたします。
 都民は、登録された事業プランの中から、契約手法やメリット等を比較しながら、自分に合ったプランを選択することが可能となります。
 加えて、本事業では、設置事業者が太陽光発電設備を所有することから、設置事業者により必要なメンテナンスが図られるというメリットもあると考えております。

○斉藤委員 これはエネルギーの地産地消につながる事業であり、ひいては新たな地域経済の循環にも結びつくと期待をしております。ぜひ活用が進むよう事業周知に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 倫理的な消費について、次は提案をしたいと思います。
 来年度予算では、ファッション産業の振興に対する予算がついております。実際、これを見たときに、東京コレクションや東京ガールズコレクションなど東京都には既に民間の事業が大いに盛り上がっているものがありますので、都として果たすべき役割とは一体何なのかと考えました。
 そこで、例えばSDGsの実現を目的としたイベントとするなど東京都の姿勢を打ち出す事業としていただきたいと考えております。
 例えば、生活文化局では、エシカル消費の理念普及に取り組んでおられますが、エシカルファッションはいまだに産業的な基盤が脆弱です。価格的にも物理的にも商品が消費者の手に届きやすいとはいえないのが現状です。
 社会的に意義のある取り組みをより一層普及させていくには、ビジネスの視点を取り入れることが重要です。
 昨年、エシカルフェスタを訪れた際、数々のブースでスタッフをしている学生さんたちも、エシカル消費を進めたいが高くて買えないんですといっていたのが、非常に印象的です。エシカル製品が高いのは、ロット数が抑えられ大量生産がなされないということと、あと原材料や製造者の労働条件に配慮していること、こちらも一因になっています。
 原材料や製造元の労働条件に配慮した商品では、それに応じたブランディング手法を採用するなど価格が商品のすばらしさに見合うことを伝える戦略が効果的だと考えます。
 そのためには、デザイナーの経営や販売の強化につながる施策が必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都では、将来性のある東京の若手ファッションデザイナーを選抜し、国内外の展示会などのイベントで作品を発表し商談に結びつける支援を行っております。
 また、海外での活躍が見込まれる有望なデザイナーが外国でショーなどを開き、作品を発信できる機会も提供しております。
 来年度から、実力あるデザイナーが国際的なファッション市場でビジネスを一層拡大できるよう、商品のブランド化やマーケティング等の戦略に関し業界に精通したコンサルタントからの助言等による支援を開始いたします。これによりファッションデザイナーの個性や特色を生かすための経営の力を高めてまいります。

○斉藤委員 予算の中には業界団体と連携して有効な取り組みを検討していくというものがありましたが、もしファッションショーのようなイベントを行うのであれば、例えば、エシカル部門のような形で、長期的な目線でSDGsの実現にも資する取り組みとすることを検討していただきたいと要望いたします。
 話を変えまして、私の地元、多摩ニュータウンの再生について伺います。
 都の策定した多摩ニュータウン再生方針の目標としては、若い世代が引きつけられ、住み続けられるまちを実現することが掲げられ、具体的な取り組みとして多様な世代が住み続けられる住まいや住環境への再生が記されております。
 多摩ニュータウンの中でも、多摩市の高齢化率は平成三十年十月一日現在で二九・九%ですが、例えば諏訪二丁目のマンション建てかえがございまして、若い世代の転入がふえて、諏訪地区の高齢化率を三二%から二四%に引き下げをしました。若い世代のニーズに合った住宅の供給があれば、再生の実現は可能であるということが証明されております。
 そこで、多摩ニュータウンにおいて若い世代の転入を促し、地域の活性化につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤都市整備局長 多摩ニュータウンの初期入居地区では、入居開始から四十五年以上が経過いたしまして、子世代の転出等の理由から急速に高齢化が進みつつあります。
 都は昨年二月、多摩ニュータウン地域再生ガイドラインを策定いたしまして、将来にわたり多世代によるコミュニティ形成を促進することが課題であるとして、世代構成を平準化し、子育て世代や高齢者が地域の人々と触れ合いながら安心して暮らせるまちを実現するとの取り組み方針を示しており、親子間の近居、同居の仕組みづくりやコミュニティカフェの設置などによる世代間交流の活性化などに取り組むこととしております。

○斉藤委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 例えば、文京区の方で高齢者の住む住宅の一部屋を安価で学生に貸して、学生がそこに住む場合、地域活動に参加してもらうとする、ひとつ屋根の下プロジェクトという多世代ホームシェアの取り組みをNPO法人が展開をしています。
 多摩ニュータウンにおいても学生の住居を確保し、そこに住む学生が地域活動に参加するような取り組みを実施していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤都市整備局長 多摩ニュータウンとその周辺地域に大学が集積する特性を生かしまして、学生が地域活動に参加することを促すことにより、多様な世代の交流が期待できます。
 このため、都は、学生など若者向けに住戸の間取りや設備等を改修する住宅管理者に対し、その費用の一部を補助するほか、大学などと連携し、防災訓練など地域活動への参加を条件に家賃を減額する住宅管理者の制度の活用を促していく予定でございます。

○斉藤委員 多摩市においては、外国人留学生、特に大学生がふえており、多摩ニュータウンにおいても外国人留学生向けの住宅の確保や交流の場の整備を進めるべきではないかということも指摘をしておきます。
 加えて、多摩ニュータウンの再生に当たっては、公園などの都営住宅の周辺環境整備についても地元自治体の声を十分に聞いていただき、ともに再生を図っていただくことを要望しておきます。
 バス交通について伺います。
 多摩地域は都心のベッドタウンとして発展し、今では四百万人を超える人口を擁していますが、少子高齢化の波が激しく、高齢者などの移動手段の確保は大きな課題です。多摩地域は区部と比べて鉄道ネットワークの密度が低いため、鉄道を補完するバス交通が重要です。
 都においては、西多摩地域等において、過疎現象等により輸送人員が減少している地域の生活に必要なバス路線を維持することが困難な地域の路線バスに対して助成措置を講じられておりまして、平成三十一年度は約五千二百万円を計上されております。
 一方、全国的な動きとしては、バスの運転手不足などの理由から、民間事業者が撤退するなどの動きも出ている中ですが、多摩地域において路線バスを維持拡充させていく必要性も感じております。
 多摩地域の活力を向上させるためには、路線バスの充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤都市整備局長 路線バスの新設やダイヤ設定など輸送サービスの充実はバス事業者の経営と密接にかかわる事項である一方、バス交通は都民の日常生活や地域の活力向上につながるものでございます。
 このため、多くの市町村は、バス事業者に対してルートの新設や変更などを働きかけてきております。
 二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインでは、移動の利便性について鉄道ネットワークを生かすとともに、バスやタクシー、デマンド交通、自転車などの交通モードを組み合わせまして、駅を中心とした誰もが移動しやすい交通環境を充実するとしております。
 都は、グラウンドデザインも踏まえまして、市町村の取り組みに対して地域の実情に応じ、広域的、専門的な立場からの支援を行うなど、路線バスの充実に取り組んでまいります。

○斉藤委員 もともとは地元稲城市からの要望でもあるコミュニティバスへの支援のあり方についての問題意識から調査を進めていく中で、主に区部では都営バスが運行しており交通局が所管、鉄道路線を中心とした交通政策については都市整備局が所管、コミュニティバスやシルバーパスは福祉保健局が所管という形で、都内のバス交通の全体を俯瞰して論じる場がないことに危機感を抱きました。
 今後、長期的な視点で、組織横断でバス交通政策の検討を開始すべきということを申し述べます。
 最後に、高齢者予備軍向け読本について伺います。
 多摩市では、あなたの「生き方・老い方」応援本を既に作成し販売をしております。まさに健康長寿を目指して高齢者予備軍の方向けにつくられているものですが、やはりこういった本は当人に届いてこそ意味がある、どこかの棚に積まれていても意味がないということで、多摩市はこの読本の販売と同時にライフウェルネス検定として老い方についての周知啓発を行うこともできる、その人材の育成を行っているんです。
 都としても、このような人材育成も含めて読本をしっかりと届けるところまで施策を検討していただくことを要望し、最後にどのような方々に、どのような目的で配布するのかについて都の見解を伺い、私の質問を終わります。

○内藤福祉保健局長 お話の読本は、定年退職を迎えた後でも高齢者が就業や地域活動等の社会参加を続け、地域で活躍できるよう高齢者になる前の世代に必要な情報を提供することを目的に作成いたします。
 配布の対象といたしましては、主に五十代から六十代前半の都民を想定しており、みずからのライフプランをイメージできるよう高齢期の就業や起業、学び直し、ボランティア等の社会参加、趣味やスポーツ活動の場などに関する情報を盛り込んでまいる予定でございます。

○伊藤(ゆ)副委員長 斉藤れいな委員の発言は終わりました。(拍手)

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