予算特別委員会速記録第四号

○伊藤(ゆ)副委員長 増田一郎委員の発言を許します。
   〔伊藤(ゆ)副委員長退席、委員長着席〕

○増田委員 それでは、私の方から、まず国際金融都市東京構想について質問させていただきます。
 私は、大学を出まして社会に出ましたのが昭和の最後の年、昭和六十三年、一九八八年でございました。その当時は、世界の三大国際金融センターがどこかといわれれば、これは皆迷わず、アメリカのニューヨーク、そしてヨーロッパのロンドン、そしてアジアの東京と、このように認識をされていたわけであります。
 その当時、香港やシンガポールというのも相応に大きな金融都市ではありましたけれども、これから来るであろうアジアの時代のゲートウエーというところで期待感は持って見られておりましたけれども、まだまだ東京には相当引き離された存在だったというところだったと記憶をしております。
 ところが、その後、アジア経済の急速な発展というのがありまして、どんどん香港、シンガポールが発展し、そして二〇〇八年にリーマンショックが起こりまして、欧米の金融機関というのがアジアの業務というのを一気に縮小させてしまった。みんな本国に帰っていってしまったわけですね。
 そこで、東京の市場というのが非常に寂しくなりまして、その後、そういった欧米の金融機関がまた再びアジアに拠点を構えようというときに、やはり今後の成長性への期待感であるとか、あるいは拠点を構えるコストであるとか、そういうようなことを考えたときに、東京よりも香港、シンガポール、あるいは上海というところが選ばれていった、こういうような流れであったと思います。
 そして、いつの間にか、東京の地位というのは、国際金融の世界においては、香港、シンガポールに次ぐアジアでの三番目というところがすっかりと定着してしまったということであります。
 そのような中、小池知事がご就任直後の平成二十八年十一月でありましたけれども、最初の国際金融都市・東京のあり方懇談会が立ち上げられました。そして、八回の懇談会を経まして、一昨年の十一月、最終的にその構想が取りまとめられたものであります。
 その柱は、資産運用業者、あるいは新興のフィンテック企業など、そういったものを東京市場に参加する新たなプレーヤーとして育成すること、そして有能な外国人にとっての生活環境や行政手続の利便性を向上させること、そして金融によって社会的問題を解決していく、そのようなことが柱として据えられたわけであります。
 私も改めて、いろいろとそのときのやりとり、記録を見ましたところ、まず素直に驚きましたのは、その懇談会のメンバーであります。これは、本当によくこれだけ集められたなというふうに思うほどの当時の金融業界の各界のトップの方々が集まっておられたと。
 例えば、全銀協の会長、証券業協会の会長さん、損保協会の副会長、そして投資顧問協会の会長、ベンチャーキャピタル協会の会長、本当に各業界、時には競合することが多いんですけれども、そういう方々、加えて日銀の局長さんであるとか、民間の企業再生のアドバイザーの第一人者である方であるとか、そして外資系の金融機関の協会の会長さんであるとか、そして大学教授、シティー・オブ・ロンドンの議長さんなど、本当に考え得る中では最高の顔ぶれがそろった、そのような集まりだったのではないかと思っております。
 そのような高い知見を有する方々が集まって、この日本の首都たる東京の再興を真剣に協議された、それがこの国際金融都市東京構想でありました。これはもうまさに、それそのものが東京の成長戦略を描いた、そのものだったというふうに私は理解しております。非常にクオリティーの高い構想でございますので、何としてもこれを推進していかなければならない、こういう思いでおるところであります。
 そこで、その懇談会にも終始、ご自身みずから参加しておられました小池知事に、国際金融における都市間競争に関して、東京の現状認識と今後の取り組みにつきましてご見解をお伺いしたいと思います。

○小池知事 もともとが金融のご出身の増田一郎委員からのご質問でございます。
 私が初代キャスターとして担当いたしておりました番組の最初のタイトルが、東京、ロンドン、ニューヨークと三つの都市が、かかかかかっと回るような、そういうCGが最初にぼおんと出てから番組が始まるんですね。
 ということで、当時はまさしく東京、ロンドン、ニューヨークというのが国際金融都市としての三大都市ということでありました。それが残念ながら、今やアジアのライバルともいえるシンガポール、香港などの台頭で、アジア地域の中でもそのステータスの低下が懸念されているところでございます。
 一方、欧州に目を移しましても、ブレグジットという、今的な大きな文明的な地殻変動が起ころうかというところでございまして、その意味では金融をめぐる国際都市間競争というのも日々動いているという状況ではないでしょうか。
 金融は特に経済の血液ともいわれまして、それぞれの都市の例をまつまでもなく、都市の活力の向上であるとか持続的な成長には不可欠なものでございます。
 東京がさらなる成長を創出していくためには、改めてこの金融の部分を活性化していく必要があると考えた次第でございます。
 そのため、今、ご指摘ありましたように、昨年度、魅力的なビジネス面、生活面の環境整備や東京市場に参加するプレーヤーの育成、金融による社会的課題解決への貢献、これは東京金融賞というのを設けましたけれども、この三つを柱に国際金融都市東京構想を策定いたした次第でございます。
 そこで、それのアウトプットといたしまして、東京版のEMPの導入であるとか、先ほど申し上げた東京金融賞を創設したり、それから金融プロモーション組織の設立、これは元日銀の副総裁を務められた方がこのトップに立っていただくような流れとなっております。
 これまでにない、これはみんな新しい施策ばかりでございますので、これからスピード感を持って展開をしていきたいと考えております。
 今後、こうした取り組みは一層加速いたしまして、世界中から人材、資金、情報、技術、それらが集積する世界に冠たる国際金融都市東京としての輝きをもう一度取り戻していきたい、そのような考えでございます。

○増田委員 ありがとうございます。
 本構想の目指すところ、あるいは最新の取り組み状況につきまして理解したところでございます。知事の番組は、当時、私も独身寮の食堂で毎晩、仲間と一緒に見ておりました。オープニングもよく記憶しております。
 それで、国際金融都市のランキングというのがありまして、これは都の職員の方もそうだと思いますし、各国の担当者が注目しているものにグローバル・ファイナンシャル・センター・インデックスというのがあります。
 これは、ロンドンのシンクタンクが年に二回、三月と九月に発表しているのでございますが、直近のものが昨年の九月に発表されまして、これが何と東京は、実は上海にも抜かれてしまいまして、六位になってしまったんですね。ずっと五位だったんですけれども、いよいよ六位になってしまったというところで、まさにその地位回復というのは、本当に待ったなしの急務というところであります。
 その評価の中で、例えばシンガポールや香港は、どういうところが評価されているかといいますと、例えば、わかりやすく利用しやすい規制環境、そして低い税率、高い英語力、こういうような項目で軒並み日本、東京を上回っているというところでございます。その辺から東京の課題というものが改めて見えてくるのではないかと思う次第であります。
 そのような中、やはり外資系の金融機関の誘致に関しまして、先ほど知事の話も出ましたけれども、金融プロモーション組織に期待されるところが非常に大きいところであると思います。
 そこで、この金融プロモーション組織設立の意義につきましてお伺いします。

○梶原政策企画局長 国際金融都市を実現していくためには、官民の金融関係者が連携をして、それぞれの強みを生かしながら、総合的な情報発信や海外金融系企業の誘致などの取り組みを進めることが重要でございます。
 また、ロンドンやパリなど、海外の主要な金融都市では、官民一体の業界横断的なプロモーション組織が存在しておりまして、東京におきましても同様の組織を設立する必要性が国際金融都市・東京のあり方懇談会でも示されたところでございます。
 そのため、現在、官民の関係者の間で金融プロモーション組織の設立を目指した検討を進めておりまして、来年度早期には、金融機関や業界団体、東京都など、二十を超える会員から構成される組織を設立することで合意したところでございます。

○増田委員 来年度中に官民から成るプロモーション組織が立ち上がるということでございますので、ぜひ早期に軌道に乗せていただきまして、金融機関の誘致に力を発揮していただきたいと、このように思うところであります。
 また、来年度以降ひとつ--一昨年の十二月にシティー・オブ・ロンドンといわゆる覚書、MOU、メモランダム・オブ・アンダースタンディングを締結されました。そして、この金融市場の運営について、いろいろとノウハウの交換をしていくということが申し合わされていると理解しております。
 昨年は、知事も直接ご出張されまして、いろんな情報交換、意見交換をされてこられたと認識しております。その中で、来年度以降、シティー・オブ・ロンドンへ都の職員を派遣するという話があろうかと思います。
 つきましては、まずその職員派遣の意義についてお伺いいたします。

○梶原政策企画局長 委員お話しのように、国際金融都市として長く世界のトップを占める英国ロンドンとの連携を深め、その取り組みを参考とするため、平成二十九年十二月にシティー・オブ・ロンドンとの間で金融分野での交流、協力に関する合意書を締結いたしました。
 この合意書に基づく取り組みの一つとして、昨年十月の知事のロンドン出張において、来年度からの同市への都の職員の派遣について、ロード・メイヤーと合意をしたところでございます。
 派遣職員は、国際金融に関する施策の立案や情報収集、同市の金融プロモーション活動等の実務を学ぶ予定でございまして、そこで得られた知見や人脈等を、帰国後の金融構想に関する施策立案に生かしてまいりたいというふうに考えております。

○増田委員 ぜひ、これは非常に貴重な機会だと思いますし、きのうもきょうも国際人材の育成のための研修といいましょうか、出張といいましょうか、議論が出ましたけれども、私は特に若い人といいましょうか、どんどん大いに外に行っていただいて、東京都を外から見るということも必要なんじゃないかというふうに思っております。
 また、個人的にはロンドンと組むというのは非常におもしろいと思っておりまして、二つ理由があるんですけれども、一つは、もともとロンドンというのは自分の国の金融機関に余りこだわらず、外国の金融機関に自由なトレードをさせて、その分しっかりと、何というんでしょうかね、言葉は悪いですけれども、場代といいましょうか、上がりといいましょうか、それをしっかり取るという、そういう一歩引いたところからの金融市場の運営というのには非常にたけたところがございました。
 そしてまた、もう一つは、ブレグジットの話ですね。本当にどうなるか、非常に混沌としているところでありますけれども、ロンドンそのものも、これから、じゃあ、金融都市としての地位がどうなるんだろうということは非常に不安に思っているところかと思いますので、やはり彼らも、今、組む相手を探しているというか、必要としているというか、その中から東京と組むということで何か生まれてくるという余地があるんじゃないかなと、これは私見でございますけれども、そのように感じているところでございます。
 ですので、ぜひその機会を有効に生かしていただいて、さまざまなノウハウを持ってきていただければと思う次第であります。
 次に、もう一つの取り組みであります東京金融賞でありますけれども、やはり東京金融賞、東京都として、さまざまな新しい金融商品でありますとか取り組みに対して賞を出す、これについては、やはり非常に重要なメッセージになると思います。東京都が何を重視し、どういう市場をつくろうとしているのか、これをそういった市場のプレーヤーに伝える非常に重要なメッセージになると思います。
 そこで、今回、都が東京金融賞を創設した狙い、そして、都民ニーズ解決部門、ESG投資部門において企業審査をするそのポイントについてお伺いいたします。

○梶原政策企画局長 東京金融賞でございますが、その狙いは、都民の声に対応した画期的な金融サービスを提案する企業や、ESG投資に積極的に取り組む企業を表彰することで、都民の利便性向上や温暖化対策、女性活躍といった社会的課題への解決に向けた金融事業者の意識を一層高めることにございます。
 また、金融に関する新たな表彰制度の創設により、世界中の優秀な金融系人材の注目を集め、東京への人材や企業の誘致につながることを期待しております。
 そのため、都民ニーズ解決部門の応募企業の審査に当たりましては、提案内容が都民ニーズと合致しているか、革新的なサービスか、実現可能性は高いかなどを重視いたしました。
 また、ESG投資部門では、投資年数や投資額などの実績やESG投資の普及につながる活動の独自性や積極性などを評価のポイントとしたところでございます。

○増田委員 ありがとうございます。
 これは、申しましたように、本当に東京に来ようとする新しいプレーヤーにとりましても一つのステータスになるでしょうし、我々も東京の目指す方向を伝えるメッセージにもなる取り組みでございますので、毎年、またテーマを新たにしながら、ぜひ続けていただきたいと思うところであります。
 国際金融都市関係で結びに申し上げるとすれば、やはり今、金融界そのものの変化が非常に大変なスピードで変わっております。特にAIは金融業界との親和性というのが非常に高くて、例えば審査のスコアリングですとか、本当にもう人が要らないんじゃないかというぐらいのところに来ております。
 ですので、この構想がまとめられて既に一年半たつわけですけれども、それそのものをどんどん変えていかなければならないかもしれない、そのぐらいの速さの変化が今起きているということを私も含めて認識をしなければならないと思っております。
 ただ、これは本当に非常に重要な成長戦略だと思いますので、私も都民の方々に易しくわかっていただく工夫というのを日ごろ心がけておりますけれども、職員の方々にも同じ思いで、ぜひこれを強力に推し進めていっていただきたいと思う次第であります。
 次の質問でありますが、事業承継についてであります。
 事業承継につきましては、私も昨年、例えばいろいろな団体の方々に予算要望でお話を聞いたり、あるいは地元の経済団体、それから商店街の皆さんとお話をする中で、後継者不足というのが切実な問題として、本当に多くの声を聞く機会が多うございます。
 経営者の年齢というのも年を追うごとに高齢化が進んでおりまして、例えば中小企業の経営者の年齢の分布というのは、一九九五年時点ではピークは四十七歳でありましたけれども、二〇一五年には六十六歳となっております。実際には、皆様も、七十代の経営者の方、八十代の経営者の方々を日ごろ多く見ていらっしゃると思います。
 そういう方々は、余りにも仕事に一生懸命になる余り、後継者の育成に手が回らなかったりとか、どうしても、譲るのであれば近い身内に限定しようと、このような心理が働いて、その結果、この事業承継がうまくいかないケースというのは散見されているわけであります。
 そうなりますと、やはりせっかくあるすぐれた技術力、あるいは独自のサービスが継承されない、そして地域経済の活力をそいでしまう、そして我々、都政にとっても税収の機会が失われてしまう、そのように廃業というのが最悪なシナリオなわけであります。何としても、その貴重なノウハウですとかを伝承させていかなければ、やはり経済の活力というのはそがれてしまう、都としては喫緊の課題といわざるを得ないわけであります。
 そこで、まず都としては、こうした問題に対応するため、事業承継・再生支援事業を実施され、中小企業からの相談を初め、さまざまな支援に取り組まれていると理解しておりますが、その内容について、まず伺います。

○藤田産業労働局長 都では、民間の企業情報を活用することで、事業承継期にある中小企業を絞り込みまして、巡回相談員十名によりまして、年間で八百社を訪れて、情報の提供や相談対応を行っております。
 また、承継に意欲や関心のある企業に対しましては、専門的な知識を提供するセミナーを開きますほか、金融機関等が実施する勉強会の場に講師が出向く形で出張セミナーを実施しているところでございます。さらに、会社の経営者向けには、短期間で集中的に承継に必要なスキルを学べる講習を行っているところでございます。
 これらに加えまして、すぐれた技術を持ち、承継の計画づくりとその実施に意欲のある企業に対し専門家がサポートを行いますほか、法律上の手続等に必要な経費の三分の二に対しまして、年間で二百万円を上限として、最長で三年にわたりまして支援をしております。
 こうした支援につきましては、会社の承継を企業合併や事業譲渡等により行う場合にも対象としているところでございます。

○増田委員 ただいまいただきました答弁で、非常に積極的に、承継を必要としている企業に対して、まさに寄り添うような形で、伴走型といいましょうか、そのようなアドバイスをされているのだと理解をしたところであります。それは、会社の側にとっても非常に心強いサポートであろうと思いますし、ぜひ続けていただきたいと思うところであります。
 そして、今、中小企業での事業承継の世界で非常に注目されているのがMアンドAの手法であります。
 MアンドAといいますと、少しイメージとして大げさといいましょうか、大企業の買収ですとか、何か敵対的買収とか、乗っ取りとか、ハゲタカとか、そういうようなイメージがつきまとう言葉なのでありますけれども、これは決してそんなものではなくて、会社が株式会社という形態さえとっていれば、たとえ二、三人の小さな商店、町工場であっても適用できる譲渡の手法であります。
 その会社の資産と負債を正しく評価して、その株式の価値をしっかりと査定して、そうすればその株式自体を第三者に譲渡することも可能になるわけで、やはり事業承継というのは譲る側と譲られる側のマッチングという側面もありますので、そういったときに身内だけに限定してしまいますと、本当にその機会というのが少ないものになってしまう。それを株式の譲渡、すなわちMアンドAという形を使った譲渡をとれば、その譲渡先というのは限りなく広がるわけであります。
 そして、譲り受ける側も対象企業のノウハウや技術を取得できる一方で、またみずからのノウハウとも融合して新たな価値を生み出していく可能性というのが非常に広がる、そういったものであります。
 そこで、行政としても中小企業がMアンドAに取り組みやすいよう支援の強化が求められると思いますが、都の事業承継・再生支援事業において、新年度、MアンドAということを意識して、どのような取り組みを進められるかお伺いします。

○藤田産業労働局長 お話の本事業では、現在、中小企業が相手先と合併や事業譲渡等を行う際に、会社登記や会計処理などのさまざまな手続に要する費用に対して助成を行っております。
 これに加えまして、新年度からは、合併等の相手先を探すための助成を開始いたします。具体的に申し上げますと、先生お話しのとおり、合併等におきましては自社の持つ資産の評価、あるいは事業の特徴を経営者みずからが正確に把握をした上で相手先を決めていくことが非常に重要となります。
 そうしたことから、合併等の仲介を専門とする外部機関への業務委託に要する経費等に対し、二百万円を上限に三分の二の補助率で助成を行うことといたします。
 これにより、合併や事業譲渡等による事業承継の支援を充実してまいります。

○増田委員 今のご説明で、今、急速に普及しようとしているMアンドA手法の事業承継を見据えて、しっかりとそれに対応したサポートの体制を整えていらっしゃると、このように理解をしたところであります。
 また、そういった特に高齢の社長さん方の中には、どうしても身内を優先ということでMアンドAということに多少慎重な方もいらっしゃるようではありますけれども、非常に理解は進んでいるようであります。
 今後、その際にお金のかかる部分というのは、企業価値の査定という部分でありまして、今、局長さん、ご説明がありましたけれども、そういうところの補助をしっかりと出していくというところで、この手法が一気に広がるという可能性がございますので、そのような支援を講じていただきますように要望をしたいと思います。
 次に、都債と基金を初めとしました財政規律についてお伺いをいたします。
 東京都の財政は、これから人口減により税収が少なくなる一方、社会福祉費用や社会インフラの更新費用によりまして、どんどんと厳しい財政運営となっていくことが予想されております。今後、財政運営をサステーナブルなものにするためには、税収をふやすこと、そして無駄の見直しを粘り強く徹底すること、それ以外の早道はないものと考えております。
 一方で、都債や基金というのは、その補完的なものとして、これは補完的ではありますけれども極めて重要なものと、このように理解をするところであります。
 私も社会人になるまで、預金と借り入れと何で両方残しておくんだろうと、預金があるなら全部借り入れを返してしまえばいいじゃないかというふうに思っていたところもあったんですけれども、やはりそれは、それぞれの大事な役割があるわけでありまして、実際、都債には世代間の負担の均衡を図る機能、そして基金にも年度間の財源調整機能というのがあるわけでありまして、それをいかにうまく組み合わせていくかと、これが重要なところだと思います。
 また、都債はもちろんコストのかかる話でありますので、大事なことは、無駄な発行はもちろん控えるべきでありますけれども、出したいときに、いい条件でいつでも出せる、そういったいわゆる市場流動性を常に高めておく、こういう不断の取り組みも非常に重要なものと思います。
 そこで、三十一年度の会計予算案の都債のところを見ますと、発行額については抑制が図られておりまして、前年度に比べ十一億の減、〇・五%の減で二千九十六億円、起債の依存度も二・八%ということで、コントロールされている、国や地方と比べても健全な状態。
 その一方で、基金につきましては、この三十一年度、大きなトピックとしては、五千八百億円以上の取り崩しが予定されているというところであります。
 ただ、これはやはり、使うときには、必要なことがあるときには使うというのが基金のそもそもの性質であると思いますので、これは、オリンピックも控えてやむを得ないものと理解しているところであります。
 そこで、東京が将来にわたって健全な財政運営を行っていくため、基金と都債をどのように活用していくのか、その考え方についてお伺いいたします。

○武市財務局長 東京都におきましては、将来に目を向けますと、少子高齢、人口減少社会への対応など、膨大な財政需要が見込まれております。
 一方、都税収入は元来、景気に左右されやすく、足元におきましては海外の経済情勢が不透明さを増しておりまして、今後、確かな見通しを持つことは難しいというのが現状でございます。
 こうした困難な状況の中にありましても、施策を安定的、積極的に展開するための財源を確保することが財政当局に課せられた使命でありまして、そのための具体的なツールとなりますのが、ご指摘の基金と都債であります。
 このような考え方のもと、平成三十一年度予算案では、東京二〇二〇大会の開催準備などに向けまして、従前からの方針どおり、計画的に積み立ててきた基金を積極的に取り崩すとともに、都債につきましては、将来世代への負担を考慮いたしまして、発行額を抑制し、将来、何かあった場合に備えた発行余力を残しております。
 今後とも、中長期的な視点に立ち、基金と都債を戦略的に活用し、強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいりたいと考えております。

○増田委員 ありがとうございます。
 私も今回、この予算案で五千八百億の基金が取り崩されるというところを最初見ましたときに、まず最初に感じたことは、じゃ、どうやって崩すのが都民にとって一番影響がないか、負担にならないかというところでありまして、そのとき思いましたのは、この二年ぐらいはゼロ金利、マイナス金利でございましたので、もしそれ以前の定期預金みたいなものが残っていれば、それをむしろ残して、最近の定期預金はきっともう利回りが低いから、そこから崩していけばいいのかなと直感でそういうふうに思ったんですけれども、ご担当のお話を聞いたら、どうやら、都の基金というのは全て一カ月ないし三カ月で金利を見直す変動金利の運用になっているということで、どれを崩しても同じということがわかったんですけれども、事ほどさように東京都の扱っているお金というのを、私もいろいろ去年、財政委員会あるいは一般質問でも申し上げたんですけれども、本当に巨額でございます。
 例えば、都債が仮に五兆円あるとすれば、○・一%の違いで五十億円、〇・〇一%の違いでも五億円、これだけもう、すぐに変わってまいります。
 そのお金で何ができるかということを考えると、やはりそういった本当に細部にこだわる運用、あるいは発行条件の検討というのは、やってやり過ぎることはないと思いますので、どうかその辺は引き続き、ふだんからそのようなことにご配慮いただきまして、今の東京都の健全な財政の姿を二十年後、三十年後、少しでも長く、本当にその先もということなんですけれども、続けていけるようにする、そういう取り組みを今、平時のときにこそ、いろんなことに考えをめぐらせて努力していくということが大事だと思いますし、我々の責任ではないかというふうに思っているところであります。
 引き続き、そのようなご尽力をお願いしたいと思います。
 それでは、質問を立川防災基地の方に移したいと思います。
 まず、こちらのパネルが、立川のまちの概略図でございます。ちょっと見にくいかもしれませんけれども、これが立川駅でございます。中央線が走っておりまして、そしてこちらが中央本線、こちらが青梅線になります。ここに立川広域防災基地がございます。
 この立川広域防災基地は、もし官邸、都心が直下型の大きな地震、災害が見舞われたときに、ここにまさにその本部機能を移すという、非常に重要な施設が集中しております。
 例えば、ここは自衛隊の駐屯地でありますし、そこはヘリコプターの主要な基地になっております。そして、ここには東京都の広域防災倉庫があるというところ。そして、災害医療センターもここに隣接してあります。まさに災害時の中核設備がここに集中しているというところであります。
 そして、よく立川は多摩地域の交通の要衝であるといわれるわけでありますけれども、これはあくまでも鉄道に関してのことでありまして、事道路ということにフォーカスしてみますと、非常にその整備状況というのは心もとないところがあるわけでありまして、立川には縦の、二つ都道の計画線があります。これがこの下を南北に走る中央高速とまだつながっていない、こういう状況なわけであります。そして、北には五日市街道があるわけですけれども、これは片側一車線のもともと狭い道路であります。
 そこで、特に防災基地の機能を最大限に発揮させるためには、この縦の都道の一日も早い完成というのがもう何年も前から望まれているところであるわけであります。
 そこでまず、この立川広域防災基地周辺の道路のアクセス状況につきまして、都市計画道路の整備の状況につきまして、都の見解をお伺いいたします。

○西倉東京都技監 立川広域防災基地は、首都機能に甚大な被害が生じた場合に災害応急対策活動の中枢拠点となります。この拠点としての役割を十分に機能させるためには、本基地へのアクセス性の確保が極めて重要であると認識しております。
 このため、本年一月に公表いたしました実行プランの政策の強化版におきまして、周辺の都市計画道路の整備により、立川広域防災基地へのアクセス性を強化しまして、災害対策機能を向上させることを新たに位置づけたところでございます。

○増田委員 今のお話で、この立川広域防災基地周辺の都市計画道路の整備が極めて重要であるということを確認させていただきました。
 それでは、二本ある縦の都道のうち、まず東側の立川東大和線、いわゆる立川三・三・三〇といいますが、この今後の取り組みについて伺います。

○西倉東京都技監 立川東大和線は、多摩地域における南北方向の主要な骨格幹線道路でございまして、中央自動車道の国立府中インターチェンジにつながることから、災害時における物資輸送や救援、救助活動など、広域的な防災性の向上に寄与する極めて重要な路線でございます。
 現在、未整備区間のうち多摩都市モノレールの泉体育館駅付近から都道一四五号線までの約二・五キロメートルの区間につきまして事業化に向けた準備を進めておりまして、今月中に都市計画変更案及び環境影響評価書案の地元説明会を開催いたします。
 今後、都市計画等の手続を進めまして、平成三十三年度の事業化に向けまして、測量や道路設計を実施してまいります。

○増田委員 今のが立川の二本ある縦の計画線のうちの東側の立川東大和線のお話だったわけなんですけれども、これはもう大分計画も見えてまいりまして、今お話がありましたように、具体的に今粛々と進められているというところなのでありますが、もう一方の西側の縦の道路、立川三・一・三四号線でありますけれども、これは青梅線の踏切が二カ所かかりまして、非常に、それが交通の妨げとなっている。
 特に八年前の東日本大震災のときには、青梅線がとまってしまったので、踏切がおりたままになって、数時間全く、交通が遮断されてしまったという状況が起きました。これが防災基地に直結する一番最も重要な道でございますので、早期にこの整備が望まれるところでございます。
 その取り組み状況について伺いまして、質問を終わらせていただきます。

○西倉東京都技監 立川三・一・三四号線は、多摩川を渡る橋梁の新設とあわせて整備することによりまして、立川広域防災基地と南多摩地域が直結されることから、広域的な防災性の向上に寄与する極めて重要な路線でございます。
 本路線のうち、立川市富士見町七丁目から同市富士見町二丁目までの約一・六キロメートルの区間を第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。本区間につきましては、高さ約十五メートルの高低差があること、またJR青梅線や複数の都市計画道路と交差することを踏まえまして、道路構造や周辺道路との接続方法などにつきまして検討を重ねるとともに、関係機関との協議を進めてまいります。
 今後とも、立川広域防災基地へのアクセス性の強化に資する都市計画道路の整備に積極的に取り組んでまいります。

○石川委員長 増田一郎委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後七時十九分休憩

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