予算特別委員会速記録第四号

○石川委員長 おじま紘平委員の発言を許します。
   〔委員長退席、伊藤(ゆ)副委員長着席〕

○おじま委員 まずは二〇二〇改革プランについて伺いたいと思います。
 確定申告の締め切りがあしたになったんですけれども、見える化改革の事業ユニットの中に税務行政というものがあります。ユニット番号17、中身はIoTであったりとか、AI、最先端の科学技術を積極的に活用していくということであります。
 税務行政においても、ICTは取り入れつつあります。ネットバンキングによる電子納税。私は、クレジットカードで納税をしていますけれども、便利な世の中になってきたものだなと思う一方で、ICT活用という面では、まだまだこの税務行政は道半ばであります。
 全国共通の電子申告納税システム、eLTAXの利用状況を見ると、法人二税の電子申告率は年々向上してきています。昨年度末には六五・八%、国税におけるe-Taxの八〇%に迫ってきているところであります。
 一方、電子納税の利用件数を見ますと、e-Taxは全国で約五百八十万件あるのに対して、eLTAXは、地方全体でも、これは約四万件しかないということであります。電子申告は全ての自治体で利用可能である一方で、この電子納税となると対応する自治体が極めて少ないということで、導入自治体と非導入自治体に分かれているから、結局は何回も同じ手続をやるということになるとワンストップではないと。ICTなのに何でという声もあるわけであります。これが普及の足かせになっているのではないかと思っております。
 平成三十二年度からは、大法人の法人二税について、この電子申告が義務化をされるということでありますけれども、こうした制度改正をチャンスと捉えてICTの利点を最大限に取り入れた税務行政に改革をして、都民利益の向上に努めるべきと思いますけれども、都の見解を伺います。

○目黒主税局長 申告や納税などにおける納税者の負担を軽減し、業務の効率性を高めるためにICTの活用を図ることは、都民利益の増進につながる重要な取り組みでございます。
 ご指摘のとおり、eLTAXにおきましては、電子納税に対応した自治体が少ないため、企業などの納税者が煩雑な手続を強いられるという課題があり、普及の足かせになってございます。
 この点、本年秋に稼働予定の地方税共通納税システム、これはeLTAXに新たな機能を追加するものでございますが、当該システムは、複数自治体への納付手続を一括して処理できる仕組みであり、納税者の利便性が飛躍的に向上されるものとして期待をされるものでございます。
 今後、都は、お話のように大法人の電子申告義務化をICT普及の好機と捉え、中小法人にも電子申告を働きかけるなど、その効果が最大限に発揮されるよう取り組んでまいります。

○おじま委員 今、飛躍的にというお言葉もございました。大変期待をするところであります。これにとどまらず、税務行政においては、東京が先進都市として、全国の地方自治体としっかり連携をしていただきたいと思います。
 利便性の向上によるということも大事なんですけれども、納税者に納得して税を納めていただくためにわかりやすい情報提供を行っていくということも重要であると思います。
 主税局では昨年、チャットボットによる実証実験を行ったというふうに聞いております。これによって、納税者の問い合わせに対応するという試みであったと記憶をしています。文字入力による会話形式のコミュニケーションを自動で行うプログラムということでありまして、民間企業であったり、あるいはほかの自治体でも、この導入の動きが広がってきているということでありました。
 私も試してみたことがあったんですけれども、まだまだ発展途上かなという思いもありましたけれども、これは大変おもしろい取り組みであると思います。
 三十一年度の予算案にも、このチャットボットによる税務相談機能というのを構築して、納税者の情報アクセシビリティーの向上を図るというふうに書いてあるんですけれども、昨年の実証実験の結果を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○目黒主税局長 納税者が必要とする情報をいつでも簡単に入手できることは、税に対する理解と信頼を高める上で極めて重要な要件でございまして、その点、AI技術を活用したチャットボットには大きな可能性があると考えております。
 昨年、納税者の皆様に実際にご利用いただいて行った実証実験では、回答精度の向上にさらなる改善が必要との認識が関係職員間で共有されました一方で、利用者アンケートの結果はおおむね好評でございまして、対話形式でわかりやすいこと、夜間や休日にも利用できることなどを評価する声をいただいております。
 今後、この実証実験で得られた知見をもとに、幅広い質問に的確に回答できるよう、システムの精度をさらに高め、できるだけ早期に本格導入できるよう全力で取り組んでまいります。

○おじま委員 大変楽しみにしております。
 続きまして、同じく二〇二〇改革プランの見える化改革の事業ユニットの中に区市町村というものがあります。ユニット番号は9であります。
 この報告書として、総務局の行政部が区市町村という冊子を出しております。
 都内の基礎自治体、区市町村の将来のあり方に関して、統一の観点から横串を刺した分析を行ったものというふうに聞いております。
 東京都全体においては、二〇三〇年が人口のピークでありまして、その後は減少に転じる見込みであるということでありました。特別区においては、もう少し遅くて二〇三五年がピークとなっています。
 一方、市町村部、多摩・島しょでは、今後三十年間で人口が半減をしてしまうというようなところもあります。三十年後の東京がどうであるかということは、決してこの議会の机上の空論ではなくて、さまざまな統計的、客観的なデータを用いて分析をして、今から議論をしていかなくてはならないことであると思っております。これはシミュレーションをして備えていくということであります。
 一方で、国立社会保障・人口問題研究所、社人研は、東京及び特別区の人口動態を五年ごとに出しているわけでありますけれども、これが五年前に発表されたときと大きく将来予想が異なっているということであります。
 さほど急激に、この五年間でも東京の環境が大きく変化をしてきたということであると思いますけれども、この人口動態の変化とその要因について、都の見解を伺います。

○遠藤総務局長 国立社会保障・人口問題研究所がまとめました日本の地域別将来推計人口によりますと、平成二十五年の推計と平成三十年の推計を比べた場合、東京都全体の人口のピークは、二〇一五年から二〇三〇年へと十五年遅くなっております。特別区の場合を見ますと、人口のピークは、二〇一五年から二〇三五年へと二十年遅くなっております。
 また、平成二十五年の推計では、十七の区で人口減少するとの推計であったが、平成三十年度推計では、十八区で人口が増加もしくは維持できるという推計に変化をしております。
 このような変化を一概にいうことは難しいとは思いますけれども、近年の出生率の改善や都心部への人口移動の増加を反映したことなどによるものと考えております。

○おじま委員 今、人口についてのご答弁をいただいたんですけれども、人口というのは財政状況の推移であったり、行政需要については一定の指標になるんですけれども、これだけでは分析にはならないということで、報告書では、人口のほかに少子高齢化、地理、あと、社会基盤・インフラ、産業、自治体行政という、ほかの観点を加えて分析を行っております。
 都内区市町村には当然ながらそれぞれ独特の課題があります。一体的かつ統一的な発展を目指していくといっているこの二十三区についても、これは同じだと思います。例えば、私の地元の練馬区と同じぐらいの人口規模がありますけれども、大田区とでは、地域事情、地域特性というのが全然違うということもあります。
 現在は、都で地域ごとのデータを持ち寄って、都で分析をして、これをまとめたという段階であります。この後は、それぞれ地域の特性を正確に反映させて、より精度の高いものにしていく必要があると考えます。そのためには、区市町村の現場の声をしっかり聞いて、そして、より深い分析を行っていくということであると思います。
 この報告書が決してこれで完結ということではなくて、三十年後の東京の持続可能性をいかに担保するかということを議論するに当たっての説得力のある材料として、この冊子を活用していくべきと思いますけれども、今後の考え方を伺います。

○遠藤総務局長 将来推計人口は、社会経済情勢等により多少変化するものの、人口減少、少子高齢化という大きなトレンドは変わらないものと考えております。
 一方、人口規模や年齢構成が同様であっても、土地の利用実態や道路、鉄道網などのインフラ整備状況など、それぞれ区市町村によって状態が異なっております。
 今後は、ただいまご紹介もいただきました少子高齢化、地理、社会基盤・インフラ、産業、自治体行政の五つの観点からの分析を、各区市町村を取り巻く状況につきまして、さらに進めていくことで、区市町村が行政サービスのあり方を検討する一助として活用していただきたいというふうに考えております。

○おじま委員 続いて、現場の話、都と区の現場の話をしたいと思います。
 きょうも二十三区選出の議員がずらっと、こっちはいないですけど、そろっていまして、昨年の二定で、都と東京二十三区、都区制度のあり方について、事務と権限の観点から質問したところであります。
 今回は、財源の面から都区財調、三十一年度の交付総額は一兆八百二十億、これは過去最高額ということでありました。
 都民の皆様からお預かりをする税金のうちの固定資産税と市町村税の法人分、特別土地保有税、これらをいわゆる調整税として、うち四五%を都で留保して五五%を二十三区に配分するというシステムであります。三十一年度は、調整税の総額が一兆九千五百五十九億円あって、この五五%が二十三区に配分されるという話をしても、ぴんとこない都民も多いのではないかと思います。
 二十三区に住んでいて、自分のところの財政が都区財調で、都区制度のもとで運営をされているということ自体を知っている都民がどれだけいるのかということもあり、あるいは都区財調という言葉すらも聞いたことがないのではないかと思いますので、まずは、都区財調、都区財政調整制度の概要と意義を、わかりやすくお願いいたします。

○遠藤総務局長 都区財調と呼んでおりますけれども、都区財政調整制度は、大都市の一体性確保と住民自治の両立という都区制度の目的を実現するために地方自治法で定められている制度でございます。
 都と特別区及び特別区相互間の財源を均衡化するため、都が特別区の区域内で徴収する、いわゆる調整税、調整三税とも呼んでおりますけれども、この調整三税の一定割合を特別区財政調整交付金として交付するものでございます。

○おじま委員 では、三十一年度予算の話ですので、今回、過去最高額となったんですけれども、その要因を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 特別区財政調整交付金の総額は、先ほどもお話に出ました、いわゆる調整三税の毎年度の税収額に連動するものでございます。
 平成三十一年度は、調整三税のうち、特に市町村民税法人分の大きな伸びが見込まれることから、交付金総額も対前年度比五・八%増の一兆八百二十億円となったものでございます。

○おじま委員 私の地元である練馬区が発表した三十一年度当初予算なんですけれども、歳入の内訳を見ますと、この特別区交付金、都区財調からのいわゆる繰り入れが八百六十四億で歳入の三一・九%を占めます。これが一番多いということでして、二番目に多いのが自主財源である特別区税、次に続くのが国庫支出金、国からもらう分。その次が都支出金であります。これらもどちらも依存財源であります。
 何がいいたいかと申しますと、練馬区においては、依存財源が自主財源を上回ってしまっていると。港区のように、財調に頼らなくても、交付がゼロという区もあれば、練馬区のように財調がないとやっていけないという区もあります。
 私は、一般質問で地元練馬区が独立七十周年を迎えたけれども、果たして、では、基礎自治体として、練馬区は独立をしているのか。あるいは東京都は広域自治体として機能しているかというふうなことを述べたところでありました。その課題提起も改めて行っていきたいと思います。
 財調に関しては計算式があって、基本的にはその計算式に沿って機械的に二十三区に配分を行うということでありました。
 一方で、項目として何を算定するのか、あるいはしないのかという議論は毎年やっていて、その議論、協議をしているのが、年一回のいわゆる財調協議、都区協議会というのが正式名称だと思いますけれども、この都区協議会がどのようなものなのか、今回の論点は何だったのか、主な新規項目、見直し項目について伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 特別区財政調整交付金は、地方自治法及び同法施行令において、その内容を条例で定めること、また、条例を改正する場合は、あらかじめ都区協議会で協議することが定められております。
 本年度の協議に当たりましては、地方法人課税のいわゆる偏在是正論をも意識しまして、都区双方が適切な財調制度運営のためのより一層合理的な算定に努めたところでございます。
 都区で協議した結果、水防訓練や水害ハザードマップに関する経費、新生児の聴覚検査費など十七項目を新たに算定に加え、勤労福祉会館運営費や特定優良賃貸住宅家賃補助事業費など四項目については縮減、廃止などの見直しを行ったほか、二十六項目の算定方法の変更につきまして、それぞれ都区で合意したところでございます。

○おじま委員 水防訓練であったり、ハザードマップ、こういう新規に算定されたものと廃止をされたものと、今、これはどちらも合意を得られたものについてご答弁をいただいたんですけれども、今回合意ができなかった、そういう事項もあると聞いています。
 今回一番もめたのは児童相談所に関してということで、都と区の考え方に大きな隔たりがあって、それで合意に至らなかったということで聞いております。どのような論点で今回すれ違ってしまったのか、都側と区側のそれぞれの主張について伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 特別区が設置する予定の児童相談所の経費の取り扱いにつきましては、特別区側の主な主張は、この経費は地方交付税でも算定対象となっていることから、開設前の現時点において、将来の算定を明言すべきであるというものでございました。
 これに対して、都側の主な主張は、特別区の児童相談所設置は平成三十二年度以降であり、現時点で発生していない将来需要の算定について検討できる状況にはないというものでございました。
 都区間で精力的に協議を行いましたが、合意には至らなかったものでございます。

○おじま委員 要は児相について、先の約束をするかしないかということだと思います。今回は三十一年度の財調についての協議であって、児相については三十二年度以降であるからというのが都の主張であったようであります。
 予特の初日の代表質疑で、我が会派の伊藤議員から区児相への支援についての質問がありました。都のスケールメリットを生かした支援を行うべきと、知事からも前向きな答弁がありました。
 先行三区、世田谷、荒川、江戸川の児童相談所の設置まであと一年とちょっとであります。現場としては、具体的にどういうふうに対応していくのか伺います。

○遠藤総務局長 特別区の児童相談所については、現在、福祉保健局において、平成三十二年度に開設予定の世田谷区、荒川区、江戸川区の三区の計画案の確認を個別に行っているところでございます。
 また、特別区職員の研修派遣受け入れなど、設置に向けた支援を行っているほか、都と区における広域的な連携についても検討が進められております。
 このような状況も踏まえ、児童相談所に係る経費の都区財政調整上の取り扱いにつきましては、来年度の財調協議の場においても議論をしてまいります。

○おじま委員 今回の区児相がどういう扱いになるかというと、基礎自治体でも児童相談所を設置できるような枠組みを国がつくったというもので、いわゆる事務移管ではないわけであります。
 区に権限はあるけれども、財源と人はそのままということでありました。現状は手挙げ方式でありまして、私の地元の練馬の前川区長、都庁の出身ですけれども、児童相談所についてはやらないというふうに二十三区で唯一明言をしているところであります。この理由が広域行政でやるべきだということでありました。
 私も区議会議員だったので、よく承知をしているんですけれども、練馬区は、まず虐待への対応も含めて、子供家庭支援センター、子家センにおいてこれをやっていく、強化をしていくということをいっていまして、そのセンター長が今、都児相の課長も兼務をするという体制になっています。
 四月からは、ちなみに、これは練馬と新宿だけみたいなんですけれども、センター長とは別の管理職を都児相にべたで常時派遣して、さらなる連携強化を図っていくということにするようであります。都がやって区もやるということではなくて、児童相談行政の中でも役割分担をするのだと、こういう考え方もあります。
 一方で、国会の超党派議連では、二十三区の全てと中核市に対して、児童相談所の設置を義務づけるということを含めた児童福祉法の改正方針を打ち出そうとしていたわけであります。うちの区長もそこに呼び出されて行ったというふうに聞いていますけれども、これは中核市は少なくともそろって反対をしたということでありました。
 児童相談行政のどこまでが都がやるべきなのか、広域行政でやるべきなのか、あるいはどこからがニア・イズ・ベターなのか、区でやった方がいいのか。まさにこの都区の役割分担のあり方が問われているんだと思っています。
 財調算定の具体的中身については、年に一回の財調協議、都区協議会で議論がされるということでありますけれども、では、どこまでが都でどこからが区なのかという、この事務配分のあり方、役割分担のあり方、こういうものをそもそもどこで決めていたかといえば、これが都区のあり方検討委員会という会議体でありました。
 都区のあり方検討委員会というのはどういうものなのか、これを伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 都区のあり方検討委員会は、地方自治法に基づき、都及び特別区の事務の処理について調整を図る協議体であります都区協議会のもとに設置をされたものでございまして、都区のあり方を根本的かつ発展的に検討するため、平成十八年十一月に都区共同で設置をされたものでございます。
 都区制度そのものは、制度の発足以来、何回かの変遷を経て、形を変えておりますけれども、そうした議論を次につなげていくものだというふうに理解をしております。
 本委員会の構成員は、都側は副知事及び総務局長、特別区側は特別区長会会長、副会長、事務局長でございまして、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度について検討することとなっております。

○おじま委員 今、根本的かつ発展的に検討する場だという答弁がありますけれども、では、この都区のあり方検討委員会の現状を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 都区のあり方検討委員会では、大都市の一体性を確保しつつ、住民サービスをより充実させていく観点から、四百四十四の事務事業につきまして、今後の役割分担について議論を行いました。
 しかしながら、区域のあり方の検討に関する都と特別区の意見に隔たりがあったことから、平成二十三年十二月以降、議論を中断している状況にございます。

○おじま委員 平成二十三年十二月以降、中断ということでありました。
 区側は、この五十三項目の移管を進めていこうという主張をしていて、都側は区域の議論、これはたしか二十三区の合併整理をやっていこうとかそういうことだったと思うんですけれども、これが先だという主張であります。
 この区域の議論というのも、このあり検の設置要綱に書いてあることでもありますので、その約束が履行されなかったら動かせないという都の主張も、これも一定の理解はしますけれども、それだといつまでたってもなんですよ、いつまでたっても動かない、前に進まないと思います。
 あり検はまさにそもそも論をやる、そもそもの部分について議論をする場所だった。しかし、これも実際に都で行っている事務の五十三項目、これはもう移管すべきというふうに一旦は結論が出たんだけれども、あり検そのものが中断をして、ストップをしてしまって七年が経過をしてしまったということであります。
 その間も財調は財調で、これは算定をしてやってきているわけでありますけれども、では、今、何を基準に財調算定をしているのか、それを伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 特別区財政調整交付金は、地方自治法で特別区がひとしくその行うべき事務を遂行できるように交付するものであると規定をされております。また、算定に当たっては、合理的かつ妥当な水準であることが求められております。
 このため、財調交付金の原資である調整三税の税収状況や、算定を検討する事業の各区での実施状況、その水準が合理的で妥当なものになっているかといった点を踏まえまして、毎年度算定を行っております。
 なお、この算定は、先ほどもお話を申し上げましたように都と区で協議して合意することが必要となっております。

○おじま委員 つまり、あり検そのものはやっていないので、広域行政とは、あるいは基礎自治体行政とはという、このそもそもの部分が、基準が、定義がないままに毎年度の財調を算定し続けているといういい方もできると思います。実際、あり検がストップした七年前と比べても、この東京の状況は大きく違うと思います。
 分権議論は常に闘争の歴史を繰り返してきました。大阪では、都構想の是非をかけて、まさに今この統治機構改革の是非をかけて、府知事と市長のダブル選挙がやられようとしています。
 東京と大阪で大きくこれは事情も違いますけれども、この統治機構のあり方というのは、本当はこの東京においても、それぐらい真剣に考えてもいいのではないかと私は思っています。
 あるいは、結局はこの都区間の議論というのが役所間の縄張り争いのようになってしまうこともあります。今までもありました。
 しかし、これは都民益とはほど遠いものでありまして、今は都区がしっかりと連携をして、目の前にある一つ一つの課題、東京もたくさんありますから、それに取り組んでいくことの方が建設的であって、現実的であって、これが一番都民のためになるのではないかと思っております。
 一度、都と区の間でこじれてしまったものをひもとくというのも困難であることも承知をしていますし、あるいはあり検がストップをしていること、これが再開できないことの背景にさまざま政治的な事情があることも私も承知をしているので、今回、再びテーブルについて議論せよと、あるいはあり検を今すぐ再開せよという質問はしませんけれども、これは私からの強い要望にとどめますけれども、一方で、東京二十三区、少子高齢化、あるいは教育、保育、都市計画、さまざまたくさん独特の行政課題が山積をしており、いずれも都区の緊密な連携が必須であると思っております。
 そこで、このあり検が中断をしている状況においても、適切に都と区が連携をできているのか、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 二十三区、特別区の存在する地域でございますが、ご承知のように人口の規模や、またそれに関連する機能の集中度は、ほかの地域と比べますと極めて高くなっているわけでございます。そこで全体としての一体性と統一性の確保ということが要請されてくるわけであります。
 都といたしまして、通常の地域では市町村が処理をすることとなっているのは、例えば水道の事務であったり下水道の事務、消防事務などがありますが、それを都が一体的に行っているということでございます。
 特別区は、都が一体的に処理をするものとされている、今申し上げたような事務を除く、住民に身近な事務を担当している、処理をしているということであります。
 施策の形成であるとか実施に当たりましては、日ごろから都の各局と各区が連携協力をいたしております。
 また、重要な課題については、区長会、またその部会などございますが、それらを通じましてさまざまな協議を行って、そして、ご意見をいただきながら施策を推進しているということでございます。
 東京がさらなる発展を遂げるというそのためには、ともに大都市行政を担う都と、それから特別区がしっかりと連携をする、そして協力をする、このことが必要不可欠でございます。
 今後も、これまでに培われた信頼関係をさらに深めて、そしてお互いに特別区も都も、まさしく都民が第一、都民ファーストの都政を展開していく必要があると考えております。

○おじま委員 都と区としっかり連携をして、都民ファーストの都政をつくっていくという知事の力強い答弁もありました。
 先日の予特の伊藤議員の別の話でありましたけれども、杉並の土地の話を取り上げて、こんな記事がありました。
 この日の予算特別委員会では、国有地の払い下げをめぐり、こんな弊害があるんだというやりとりがあった。杉並区では、約二千六百平方メートルの国有地を都と区が折半し、それぞれ消防署の出張所と特別養護老人ホーム、特養を整備する計画が進んでいる。都と区が連携して利用すること自体が珍しいという。国は未利用の国有地があると、都と区市町村に別々に情報提供をし、使う意向があるかは別々に回答している。だから、区市町村が保育園をつくりたいけれど広過ぎるとなるケースもあるという。都民ファの伊藤さんの質問に、都側は都と区市町村の間で情報共有を行う仕組みの構築を検討すると答弁した。保育所も特養も圧倒的に足りない。こんな課題は、すぐにでも改善できるよう知恵を絞ってほしいという記事でありますけれども、これはまさに私もそう思います。
 都議会議員になると、都と区の間に立たされることがたくさんありまして、都庁と区役所の担当者の間でにらみ合いになって動かない、とまってしまっているという案件もままあります。
 これはまた、私も別の機会に質問しようと思いますけれども、都が動いてくれないといわれて、それを東京都に持ってきたら、区役所から連絡がないんですよと。こういう、都からすれば区からの連絡待ち、区からすれば都から何も連絡がないから動かないんですという、こういう押しつけ合いじゃないですけれども、お互い同じことをいってしまっていて、全く動いていないというような、こういうケースもあります。
 最後は、どっちからどっちに電話をしましょうというのを、間に立って調整するわけですけれども、これは本当は直接やっていただかなくてはならない、コミュニケーションの問題だと思っています。
 ロバートの秋山さんという、私が好きな芸人なんですけれども、TOKAKUKAという歌を出して、これが以前、ヒットしたことがありました。これはどういう歌かというと、都か区かどっちかわからないと。東京という大きなくくりの中で、この中での縦割り行政というのを批判をしたというか、やゆをしたというか、皮肉ったというか、そういう歌であります。これが一般都民の感覚なのではないかと思っております。こういう歌が、今後さらに出てこないことを願って、次の質問に行きたいと思います。
 都内、多摩・島しょがございます。二〇二〇年に向けた実行プランでは、多摩・島しょに対して、分野横断的な政策展開を行っていくというふうにされておりまして、一昨年には、多摩の振興プランというものも策定をされました。
 八王子のように人口が六十万人あるところもあれば、二百人に満たない青ヶ島、ここは村ですけれども、そういうところもあります。東京にもさまざまな地域があります。
 練馬区のお隣、西東京であったり、あるいは武蔵野のような住宅地もあれば、こういうところが抱える課題と、奥多摩であったり島しょが抱える課題は、当然大きく違うわけであります。
 まず、多摩と島しょに対する知事の思いを伺いたいと思います。

○小池知事 多摩・島しょについてのご質問でございました。先ほどは特別区のご質問、今度は島しょ・多摩ということで、ご意見だと思います。
 多摩地域は、いうまでもなく大変豊かな自然を抱えていて、そして東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁しているわけでございます。北海道がたしか五百万人の人口なので、それを考えますと、多摩というのは非常に大きな人口も抱えて、かつ面積も広い。そして、そこに高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積をしているわけであります。
 多摩地域には、創業支援の拠点を整備するなど、地域の特色を生かした産業振興であるとか、多摩の南北方向の道路を中心といたしまして幹線道路網を整備することで、さらに高いポテンシャルを引き出していきたいと考えています。
 一方で、島しょ地域でありますが、豊かな海洋資源に恵まれ、自然環境に恵まれ、鯨が来たり、イルカが見えたりと、まさしく自然そのものであります。そして、島々がそれぞれ特色のある島でありまして、特産品、文化、それぞれ個性的な宝物を有していると考えております。
 島しょ地域では、その魅力を再発見する、そのブランド化を行う、そして再生可能エネルギーを活用したゼロエミッションアイランドの実現に向けた取り組みなどなど、個性とその魅力あふれる地域づくりを進めているところであります。
 多摩と島しょ両地域の魅力、そして活力の向上を図って、その発展へとつなげていくということは、総体としての東京の活力を一層伸ばしていく、その点で不可欠だと、このように認識しています。

○おじま委員 都知事選を思い出しますけれども、告示日の翌日に、私もびっくりしましたけれども、八丈島に飛びました。その後には奥多摩にも行きました。
 知事自身もともと多摩・島しょが好きで、強いこだわりを持っておられるのではないかと私は認識をしております。就任してからもよく足を運ばれているようであります。そこで市町村との意見交換も重ねてきていると。
 こういったことを通じてどのようなことを感じておられるのか、課題認識はどうか伺いまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○小池知事 おっしゃいますように、知事に就任いたしまして、多摩地域、そして島しょ、しばしば訪れております。
 島については十一の、人が住む全ての島も訪れております。そして、毎年全ての市町村長の皆さんとは意見交換を行っております。
 各市町村それぞれ個性がある、特徴があるということは、すなわち島によっては人口減少だったり、それから少子高齢化の典型であったり、また一方で、産業振興をもっとやりたいというご意見があったり、それぞれ地域の課題の解決に向けて創意工夫を凝らして取り組まれている状況を実際にお伺いしているところでございます。
 そして、近年は防災をテーマとすることが多うございます。異常気象であるとか豪雨、地震などなど、自然災害が頻発しておりますので、そういったことから、今年度は特に防災という切り口でお話を伺わせていただいたところでございます。
 こうした市町村長の皆様とのコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。そして引き続き、各地域の実情を的確に把握しまして、多摩・島しょ地域の持続的な発展に向けて、ともに取り組んでいきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)副委員長 おじま紘平委員の発言は終わりました。(拍手)

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