予算特別委員会速記録第四号

○石川委員長 滝田やすひこ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、伊藤(ゆ)副委員長着席〕

○滝田委員 私からは、四つのテーマを順に伺います。
 まず、乳児用液体ミルクです。
 今週、ついに店頭販売がスタートいたしました。こちらがこの商品になります。
 小池都知事は、液体ミルクの国内流通に向けて、先駆けて取り組んできました。知事就任前の熊本地震の際には、フィンランドから被災地に救援物資として送り届け、国政でも研究会を立ち上げたと聞いています。
 また、都では昨年、民間事業者と協定を結び、災害時に液体ミルクを海外から緊急調達する体制を整えました。今後、当該協定を改定するなど、国内供給の開始に迅速に対応するべきと考えます。
 また、都が率先して備蓄をするなど、乳児用液体ミルクの普及の後押しを引き続きリーダーシップを発揮して行うべきですが、これまでの取り組みの総括と今後の取り組みについて知事に伺います。

○小池知事 液体ミルクについてのお尋ねでございます。
 そもそも滝田議員は商社マン時代、ミルクの担当でもあられたということで、私はいつもミルクの滝田さんというふうに申し上げております。
 そして、お尋ねの乳児用液体ミルクですが、お湯で溶かさずそのまま飲めるということもあり、災害時には大変有用でございます。
 そこで、私は、国内での製造販売が可能となるように、国会で研究会を立ち上げたり、ご指摘ございましたように熊本地震の被災地へ届けるなど、さまざまな形で国に働きかけを行ってきたところでございます。
 そこで、昨年の八月には、国がいよいよ規定の整備を行い、先週から国内メーカーによる販売が開始をされたところでございまして、大変喜んでいるところでございます。
 これらの動きを受けて、都といたしましては、昨年六月に民間事業者と締結いたしました災害時における海外からの緊急調達に係る協定、これが国内からも調達できるように現在見直しを進めているところでございます。そもそもこれまで国内製造がなかったということで輸入に頼っていた、よって、見直しも少し改めるということであります。
 また、国内流通などの状況、そしてまた、区市町村の意見なども踏まえまして、災害時の備蓄方法についても検討をいたしているところであります。
 あわせまして、子育て世代の方などが、正しい理解のもとで災害時に適切に使用できるように、専門家等の意見も聞きながら普及啓発を行うなど、今後、災害時における乳児用液体ミルクの活用に向けた取り組みを推進いたしてまいります。
 また、加えまして、お出かけの際や、また夜の授乳時の調合などなど、そういった意味で、大変子育てにも有用かと、このように考えておりますので、これからの普及啓発ということについても、引き続き努めてまいりたいと考えております。

○滝田委員 今後、都でも、災害時の備蓄について検討していく旨、知事から力強い答弁をいただきました。
 液体ミルクの賞味期限は六カ月から一年でありまして、単純な備蓄には課題があります。流通在庫を回しながら、常に新しい商品を備蓄分として確保する、いわゆるランニングストックを民間事業者の協力を得ながら構築していくことが必要であります。
 先ほどの海外からの緊急調達の協定とは別に、都は、メーカーや流通事業者などで構成される企業グループ、日本TCGFなどとの間で、粉ミルクを含む災害時の物品調達協定を締結しています。
 今後、災害時の体制を整えるため、こうした調達協定の中にも乳児用液体ミルクを加えるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○遠藤総務局長 災害時におきまして、物資の確保をより確実なものとするため、東京都では、メーカー、小売などの事業者で構成される日本TCGFを初め、セブン&アイ・ホールディングス、全国清涼飲料連合会などと、災害時に必要とされる物資が迅速かつ的確に避難所へ提供できるよう、あらかじめ協定を締結しているところでございます。
 乳児用液体ミルクは、常温保存が可能であり、調乳せずに飲むことができることから、災害時に極めて有用でございます。
 そこで、乳児用液体ミルクの国内での販売開始を踏まえまして、既に協定を締結している民間事業者等に対し、今後、乳児用液体ミルクについても調達の対象とするよう働きかけ、協定の見直しを進めてまいります。

○滝田委員 民間事業者との物品調達の協定について、見直しに前向きに取り組むとの答弁でした。相手がいることではありますが、よろしくお願いいたします。
 さて、都の防災備蓄は、東京都地域防災計画に基づいています。粉ミルクについては、被災乳幼児用として必要な調製粉乳は都及び区市町村で確保するとの記載がありまして、基礎自治体で三日分、都は四日目以降の備蓄を確保することとされています。
 この調製粉乳とは、いわゆる粉ミルクを指していることから、今後、東京都地域防災計画の記載は速やかに見直し、乳児用液体ミルクも備蓄の対象とするべきですが、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 都は、災害時の乳児用液体ミルクの備蓄につきまして検討を進めておりますが、現在改定作業を行っております地域防災計画にも、その旨を新たに盛り込む予定でございます。
 今後、国内の流通状況や区市町村の意見、賞味期限が粉ミルクよりも短いことなども踏まえながら、備蓄の方法や数量など具体的な検討を進めてまいります。

○滝田委員 液体ミルクを特に必要とするのは、水や電気の寸断が懸念される発災直後であります。つまり、基礎自治体による地域の備蓄も重要です。
 先ほど知事の答弁にもありましたが、都が備蓄を具体的に検討していくことは大きな前進であります。これに加えて、今後、基礎自治体における備蓄や防災訓練など、取り組みを広げていくことが課題です。
 基礎自治体などで行う防災訓練において、実際に液体ミルクを見てもらう、使ってもらうといった使用訓練を通じた啓発などを、知見の蓄積がある都として支援するべきですが、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 赤ちゃんにとりまして最良の栄養は母乳であるとされておりますが、災害時には、母乳の継続が一時的に困難になる場合や、水や電気、ガス等のライフラインが寸断されることも想定されていることから、お湯の要らない乳児用液体ミルクは有用であると考えております。
 乳児用液体ミルクが災害時に有効に活用されるためには、平常時から正しい知識の普及啓発を行い、その有用性等につきまして都民に理解していただくことが重要でございます。
 そのため、都は来年度、製品の特性や使用方法等の住民向けの適切な情報発信や、防災イベント等での実際の製品を用いた普及啓発、地域における災害時の活用に向けた仕組みづくりなど、乳児用液体ミルクの活用に向けて取り組む区市町村を包括補助で支援してまいります。

○滝田委員 母乳育児のできない事情や災害時に母乳が出ないなどの際に、乳児用液体ミルクはママたちの選択肢になります。母乳育児の有用性は重要ではありますが、選択肢を摘むということのないように、都が正しい情報を発信し、推進をリードしてもらいたいと思います。
 来年度、都民提案事業として、液体ミルクの普及啓発動画の作成が予定されています。忙しい育児中のママ、パパにもわかりやすく伝わる動画を制作するべきであります。また、調乳が不要で、パパや周りの家族もミルクをしやすいということは、日常の育児参画だけではなく、災害時にもメリットがあります。動画作成の上での視点に加えていただきたいと思います。
 一方で、保健所などの自治体職員向けの理解促進、加えて、医師や薬剤師などの専門家の巻き込みも重要であると考えますが、今後の取り組みを伺います。

○内藤福祉保健局長 災害時に乳児用液体ミルクを必要とする方に適切に提供し、安心して利用していただくためには、支援に携わる区市町村職員の正しい理解が必要でございます。
 そのため、都は来年度、区市町村の母子保健従事者向けの研修会等におきまして、赤ちゃんにとって最良の栄養とされている母乳の代替食品の一つである乳児用液体ミルクをテーマといたしまして、製品特性や適切な使用方法、安全衛生上及び保存上の注意点等について具体的な説明を行う予定でございます。
 研修資料の作成等に当たりましては、医療や保健分野の専門家等の意見をお聞きし、今後、都民だけでなく区市町村職員に対しましても、乳児用液体ミルクに関する正しい知識について理解促進を図ってまいります。

○滝田委員 乳児用液体ミルクは、母乳育児との対立になるわけではありません。選択肢です。災害時でなくとも、育児中のママたちの環境や悩み事はさまざまです。選択肢をふやして、多様な育児ができる環境を整える、一つでも悩み事を軽くしてあげることが何よりも重要です。
 子育て世代を代表し、子育て環境ファーストの実現に引き続き取り組みたいと思います。
 次に、昨年の一般質問に続き、公園改革について伺います。
 さきの我が会派の代表質問におきまして、知事から、公園大改革における三つの視点、新たな発想でこれまでにない魅力を引き出すこと、公園を主役とした地域、都民との連携を推進すること、自宅と会社以外の地域の居場所、いわゆるサードプレースをまちの中に創出すること、これが示されました。
 これらを具体的な公園に落とし込む上で、民間の発想をどう生かすか、簡単にですが、三つのパターンに整理をしてパネルに示しました。皆様にもお配りをしております。
 さて、日比谷公園では、昨年十二月にグランドデザインを策定し、来年度には再整備の計画を策定すると理解しています。新たな時代のニーズに応えて、東京のセントラルパークともいえる公園を整備する。そのための鍵はエリアマネジメントであると考えます。公園を核に、周囲の事業者などと連携してエリアの価値を高めていくということが重要です。
 エリアマネジメントの観点で、整備計画の策定段階から、公園周囲の民間事業者を加えた組織で、整備後の運営まで見据えたアイデアを出し合うべきと考えますが、公園周囲の民間事業者にいつ、どのように加わってもらうか、方針を伺います。

○西倉東京都技監 都心に立地する日比谷公園が周囲のまちとともに新たな魅力やにぎわいを創出していくことは重要でございます。
 日比谷公園グランドデザインでは、周辺のまちづくりを担うエリアマネジメント団体等との連携を進めまして、公園とまちとの一体的な運営により、地域の魅力向上を図ることとされております。
 また、整備計画策定に当たりましては、公園の運営等に係る関係者による協議会におけます議論を踏まえながら、合意形成を図るべきとされております。
 この協議会につきましては、周辺の民間事業者のほか、エリアマネジメント団体にも参加を呼びかけまして、来年度、整備計画の策定段階から設置いたします。

○滝田委員 公園の整備計画を策定するに当たり、民間事業者が加わる協議会の議論を踏まえる、これは画期的であります。ビジネスパーソンも公園のターゲットに据えて、新たなニーズ、シーズを民間事業者とともに掘り起こすことを期待します。
 米国では、一九八〇年代からBIDと呼ばれるエリア地権者からの徴収金を財源としたエリアマネジメントが行われております。本邦でも長年有効性が指摘されており、昨年、地域再生法の改正により、日本版BIDも制度化されました。
 今回質問とはしませんが、エリアマネジメントの財源を確保する上で、BIDの仕組みは有効であると考えます。特に、大規模事業所に囲まれる日比谷は適地であります。今後の議論の中で検討するよう提案をいたします。
 次に、こちらのパネル写真をごらんください。これはお手元には配布しておりません。こちら、どこかおわかりになりますでしょうか。
 今や、年間延べ百五十万人がランニングするといわれているのが皇居ランです。ランニングステーションには、更衣室、ロッカー、シャワー、女性向けにはきれいなパウダースペースもあります。シューズなども一式借りられるところも多いです。
 日比谷公園では、昨年十一月に民間事業者と共同でスポーツカフェを設置し、ランニングステーション機能を持たせました。その施設がこちらの写真でございます。シャワーもなく機能は十分ではありません。視察しましたが、利用者もなく、これはねじを巻いて取り組む必要があると危機感を持ちました。民間の力を生かすのも殺すのも、担当部局や東京都公園協会などの現場次第です。
 これからの公園経営においては、民間企業や地域の人々と公園をうまくつなぎ、よい面を引き出していくコーディネーターの機能、人材が重要でありますが、見解を伺います。

○西倉東京都技監 都立公園におきましてはこれまでも、近隣の自治体やボランティア、民間事業者などから成る協議会等、多様な主体の意見を聞きながら、公園運営に取り組んでまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めまして、多様化する利用ニーズに対応するため、お話の東京都公園協会では、来年度から、地域と行政、民間をつなぎ、合意形成をサポートする役割を担う人材を活用することとしております。
 今後とも、地域や民間との連携を促進いたしまして、公園のさらなる魅力や価値の向上に努めてまいります。

○滝田委員 しっかりと進めていただくようにお願いいたします。
 公園に求められることが多様になる中で、東京都公園協会の人材と組織の能力の向上も求められます。また、ほかの指定管理者にも同様です。
 さて、先ほどは日比谷公園での取り組みについて少し厳しく指摘をさせていただきましたが、一方で、ランニングという新たな発想でのチャレンジは評価をしております。
 皇居外苑などとのつながりで考えられること、ビジネスパーソンに新たな価値を提供できること、利用者がいることで公園の夜の安心感が増すこと、これらはまさに、三つの視点の新たな発想でこれまでにない魅力を引き出すことにつながっています。
 皇居ランや緑のネットワークなどのさまざまな横連携の切り口から、皇居外苑などと管理者の垣根を超えた連携を都民の目線で構想すべきと考えますが、協議体の組成などについて方針を伺います。

○西倉東京都技監 日比谷公園と皇居周辺にございます皇居外苑、東御苑などは、都市計画で一つの公園として位置づけられております。これらは世界に誇るべき緑と水の空間を形成しておりまして、これまで以上に連携して、相互に魅力を高め合う取り組みが求められております。
 日比谷公園グランドデザインでは、日比谷公園や皇居外苑等が核となりまして、緑の回廊を形成するとともに、一体的な利活用を促進することとされております。
 今後、日比谷公園と地域の魅力を高めるため、皇居外苑等との回遊性が向上するよう、関係者による連絡会を立ち上げまして、サインの統一や効果的な情報発信等について検討し、一体感を創出してまいります。

○滝田委員 日比谷公園と皇居外苑を世界のほかにない魅力あふれた場所にさらに高めるため、皇居ランの文化が定着したことも踏まえて、あり方を改めて関係者で整理していただきたいと思います。
 次に、特定の公園からは離れまして、指定管理者制度について伺います。
 民間事業者が行政にかわって効率的に管理運営業務を行うというのが制度導入時の目的でありました。その目的に沿って、都全体の制度運用や公園に関しての運用が定められております。
 具体的には、指定管理者の募集選定や評価における配点バランスなどにもあらわれているものと理解をしております。
 公園大改革の三つの視点を各公園で具体化していく上で、今後、指定管理者の募集選定においても、適正な維持管理や効率的な管理運営を重視したものから、企画力、経営力や、地域コミュニティの形成力を軸とした選定基準に改める必要があると考えますが、見解を伺います。

○西倉東京都技監 都立公園におけます指定管理者の選定基準につきましては、東京都立公園条例及び規則に基づきまして、公園の効用を最大限に発揮することや適正な管理運営ができることなどを定めております。
 具体的には、公園利用者への質の高いサービスを提供できるか、提案内容が適切な施設管理の内容となっているかなどを評価項目として設定いたしまして、公園の魅力づくりや地域との連携など、事業者の創意工夫に基づく具体的な提案を評価しております。
 今後、都立公園大改革を進めるに当たりまして、魅力ある公園づくりを担う指定管理者を選定する評価の方法などにつきまして検討してまいります。

○滝田委員 より適切な選定基準を定めた上で、次回の契約更新まで待つのではなくて、指定管理者と協議し、できるところから反映させていくことも要望をいたします。
 次に、多摩地域の公園です。昨年、民間知見の活用を広げるため、サウンディング調査を提案いたしました。その後、区北部と多摩地域を対象に、初年の調査を実施したと聞いています。
 サウンディング調査の結果を踏まえて、多摩地域の都立公園における民間活用をどのように行っていくのか、見解を伺います。

○西倉東京都技監 多摩地域の都立公園におきましては、これまでも、武蔵国分寺公園のマルシェや野山北・六道山公園でのデーキャンプ等、指定管理者が市民団体や民間企業などと連携して取り組みまして、さまざまなにぎわいを創出してまいりました。
 今年度実施いたしましたサウンディング調査では、豊かな自然を生かしましたアウトドア施設などの提案があった一方で、事業の実施におきましては、事業採算性なども重要であるという意見をいただいております。
 今後、今回の調査で得られました提案等を参考にしながら、それぞれの公園が持つ個性や特性を踏まえまして、民間事業者の導入可能性を検討するなど、多摩地域の都立公園のさらなる魅力向上を図ってまいります。

○滝田委員 住宅地にあります多摩地域の都立公園では、ただ収益施設をつくることにとどまらず、それを核として、行政、民間、地域をつなぐコミュニティ形成の役割を持たせることが重要と考えます。
 課題も多いと聞いておりますけれども、民間活用の事例に乏しい多摩地域においても、公園が変わったなと感じる成功モデルを早期に築いていただきたいと要望いたします。
 米国では、都市公園についての国際会議、グレーターアンドグリーナーを毎年開催しており、公園や緑の創出や活用、コミュニティの形成などに関して、最新の事例が共有されております。また、各地での取り組みの質の向上に寄与していると聞いております。
 東京の公園がどのように変わっていくのか、旧来型の公園イメージを脱して世界基準に目線を上げることは有効であると考えます。
 公園改革を前に進める上で、このようなきっかけづくりに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○西倉東京都技監 ニューヨーク市など、海外では、公園の再整備等によりまして、地域の価値や魅力が向上しております。
 このため、日比谷公園グランドデザインの策定に当たりましては、海外の先進事例を参考にしながら検討し、公園の将来像が広く都民に共有されるよう、主な取り組みやイメージ図を示しております。
 今後とも、改革によって生まれ変わっていく新しい都立公園の姿を広く浸透させまして、都民の期待感を醸成するため、リーフレットの配布やシンポジウムの活用を検討するなど、工夫を凝らしながら情報発信に取り組んでまいります。

○滝田委員 都が都立公園の大改革を打ち出したのは、大きな一歩として評価をしております。着実に先進事例をふやして、都市公園の国際会議の開催などもぜひ目指していただきたいと要望をいたします。
 世界的には、ニューヨーク、ロンドン、ソウルなどでは、公園や緑を都市づくりの中核に据えて治安や魅力が大きく向上、まちが生まれ変わりました。
 特に、ニューヨークでは、二〇〇七年に策定をしました長期計画、プランニューヨークシティーの中で、公園や緑を柱に据えて、その後の取り組みを次々と成功させました。
 施政方針にて、都の長期計画を策定すると知事の方針が示されました。ぜひとも海外の事例も参考に、公園や緑の力を都市の魅力に生かす視点を長期計画に含めるように提案をいたします。
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。
 世界的には、太陽光を中心に、再生可能エネルギーの発電コストは大きく下がってきており、火力あるいは原子力に比べて、既に同等の経済性に至ったとする国際機関による研究も出てきております。
 再生可能エネルギーは、これまでの環境政策から、経済合理性のある成長戦略に生まれ変わる段階に来ています。今後、都の長期計画などにおいて、東京の成長戦略としてエネルギー政策を位置づけ、海外各国と比べておくれが目立つ日本の取り組みを、都が先頭に立って進めていくべきと考えます。
 都は、二〇一六年に策定しました環境基本計画におきまして、再生可能エネルギー比率を二〇三〇年に三〇%にするという目標を掲げています。
 これは、省エネが進むことも加味したものと理解をしておりますけれども、二〇三〇年の都内電力使用量の見込みと、現状と比較して必要な再生可能エネルギーの電力量について概算を伺います。

○和賀井環境局長 都は、二〇三〇年における再エネ電力利用割合の目標を設定するに当たりまして、都内の電力使用量は、二〇〇〇年比で三八%削減に当たります約六百四十六億キロワットアワーと試算しております。
 このうち、目標であります三〇%に当たる再エネ電力利用量は約百九十四億キロワットアワーでございます。
 また、二〇一六年度における再エネ電力利用量は約九十五億キロワットアワーとなっております。

○滝田委員 エネルギー政策については、個別施策ごとに使用される単位がまちまちであったり、全体像が少しわかりにくいということも一つの課題であると思っています。
 基本的な数字をパネルにまとめさせていただきました。パネルの空欄部分、はてなの部分ですね、こちらについては、明示された資料がなく、今回、先ほど質問で数字を確認させていただきました。
 概算ですが、二〇三〇年までに九十五億キロワット時、これを、百九十四億キロワット時に、約百億キロワット時、再生可能エネルギーを伸ばす必要があるということがわかりました。
 次に、この再生可能エネルギーの電力利用量の算出方法と構成、また、二〇三〇年に想定する構成について伺います。

○和賀井環境局長 二〇一六年度におけます再エネ電力利用量は、固定価格買い取り制度により全国で買い取られた再エネ電力量を都内の電力販売量割合で案分したものが約五十二億キロワットアワーでございます。
 固定価格買い取り制度で買い取られていない水力発電等の都内供給電力量と、都内に設置されました太陽光発電等の自家消費分とを合わせました再エネ電力量は約四十三億キロワットアワーとなっております。
 二〇三〇年におけます再エネ電力利用量につきましては、固定価格買い取り制度によるものが約百二十二億キロワットアワーであり、それ以外が約七十二億キロワットアワーと試算してございます。

○滝田委員 ちょっと少しわかりにくいと思いますので、改めてパネルで説明しますけれども、今お話伺ったところというのは、先ほどの九十五と百九十四という数字が出ましたけれども、その内訳を聞いておりまして、固定価格買い取り制度、いわゆるFITを通じた部分というのがより伸びが大きい、重要な部分であるということです。
 その部分が五十二億キロワット時から、このはてなになっております百二十二億キロワット時、今ご説明がありましたけれども、約七十億キロワット時伸ばす必要があるということを数字で確認いたしました。
 一方で、今、算出方法についても確認させていただきましたけれども、この部分の数字の把握というのは、簡単にいうと、全国平均の比率が現在使われているということであります。
 先ほど我が会派の木下都議が提案しましたとおり、都庁のRE一〇〇の取り組みなどを進めて、今後、企業にもさらに広がりを求めていくべきです。しかしながら、調達を再生可能エネルギーに転換しても、現在の算出方法では、全国平均ですので直接数字にあらわれてこないということになってしまいます。
 しかしながら、今後、都、基礎自治体、民間企業が電力調達を変える動きを加速していく中で、再生可能エネルギー導入の取り組み結果を見える化していくことは有効と考えますが、都の見解を伺います。

○和賀井環境局長 多くの企業等に再エネ電力調達の動きを広げていきますためには、ご指摘のように、積極的に取り組みを進める企業等による再エネ導入の状況を把握し、見える化していくことは重要でございます。
 都は、企業等の再エネ利用を促すための制度改正を進めておりまして、キャップ・アンド・トレード制度において、再エネ割合の高い電力を調達した場合、追加的な削減量として評価するなど、新たなインセンティブを導入する予定でございます。
 また、中小規模事業所に対します地球温暖化対策報告書制度におきましても、再エネ電力などの調達状況等を報告する義務を新たに設けます。
 今後、こうした制度等において得られました再エネ導入量や、これによるCO2削減効果などを取りまとめまして、公表していくことを検討してまいります。

○滝田委員 ぜひ検討を深めていただきたいと思います。
 需要者側の取り組みについて今回質問いたしましたが、加えて、供給側の再生可能エネルギー扱い量についても同様に見える化を進めるべきであります。成果を定量化し、検証することが次の施策の土台となります。
 今後、取り組みの見える化を進め、再生エネルギー比率三〇%の目標達成に向けて施策の整理を行い、都の長期計画や実行プランの改定において、総合的に目標設定をしていくべきと提案をいたします。
 次に、省エネです。
 家庭部門に省エネ余力があることに着眼し、LEDの交換事業を実施いたしました。直接交換した分だけで、家庭用電力にして約二万戸分の省エネに相当すると聞いております。また、投資した経費総額が約二十一億円であるのに対して、毎年約十七億円、省エネで家計負担が浮くとのことです。この事業、私は高く評価されていいのではないかと思っております。
 百万個の目標に対して苦戦したということを殊さらに取り上げる向きがあるようですけれども、単純な執行率や達成率、あるいは印象で評価して、新しい事業への行政の挑戦意欲を折ってはいけません。
 さて、省エネ家電に対して新しい取り組みが予算化されています。
 パネルをごらんください。家庭における電気の消費量は、一位が照明、一八%、二位が冷蔵庫、一七%、三位がエアコン、資料では一五%になっていますが、一六%といわれております。一番効果の高い照明にまず焦点を当てて、今回は、次に政策効果の高い冷蔵庫やエアコンに焦点を当てたものと理解をしております。
 来年度に予定をしております省エネ家電を政策対象とした家庭のゼロエミッション行動推進事業において、予算総額、買いかえの想定数、また、それによって期待される省エネの金額についてお伺いをいたします。

○和賀井環境局長 家庭のゼロエミッション行動推進事業は、家庭の省エネ行動を促すために、省エネ性能の高いエアコンや冷蔵庫、給湯器への買いかえに対しましてポイントを付与するものであり、事業期間は二年間でございます。
 初年度の予算規模は、事務費を含めまして四十五億円でございまして、エアコンで十三万九千台、冷蔵庫で八万四千台、給湯器で三万四千台の買いかえを想定してございます。
 想定する買いかえが行われた場合、CO2にいたしまして年間約五万八千トンの削減につながり、光熱費削減効果は年間二十八億三千万円と見込んでおります。

○滝田委員 予算規模が四十五億円に対して、省エネの効果は年間で二十八億円です。二年もかからずに元が取れるという計算になりますが、冷蔵庫やエアコンは耐用年数が長いために、非常に大きな投資効果があるといえます。
 また、ポイント制度で直接交換するだけに終わらせず、省エネ効果を感じる、得したといった実感を持たせて呼び水にするべきだと思います。
 自主的に家庭が省エネ家電に買いかえていくように広がりを持つことが重要ですが、そうした観点での今後の取り組みを伺います。

○和賀井環境局長 本事業の周知を行う際には、単に事業の仕組みを説明するだけではなく、省エネラベルも活用しながら、省エネ性能の高い機器への買いかえによるCO2や光熱費の削減効果などをわかりやすく伝えてまいります。
 あわせまして、本事業に参加した方から、光熱費削減を実感した声などを集めるなどしまして、家電等の販売店を初め、チームもったいないの参加事業者や区市町村など多様な主体とも連携しながら、省エネ家電のメリットに関する情報を広く発信してまいります。
 以上の取り組みによりまして、本事業をきっかけとして、都民一人一人の意識の向上を図りながら、省エネ行動につなげてまいります。

○滝田委員 最後のテーマとなりますが、新技術に関する調査について伺っていきます。
 都が他に先駆けて、自動運転車が都市構造に及ぼす影響に関して調査研究をしていること、この挑戦を高く評価いたします。
 一方で、来年度で三年目となりますが、検討内容について、いまだ公表はありません。新技術や新しいコンセプトをつくっていくようなものについては、調査研究内容の公表、共有により、都民を巻き込んだ、より幅の広い議論を喚起するべきです。
 ついては、今後どのように調査研究を行い、その過程や結果を明らかにしていくのか、伺います。

○佐藤都市整備局長 都は、自動運転技術をゆとりある空間の創出や人を中心とした都市づくりに生かしていくため、これまで、自動運転に関する動向調査のほか、有識者、民間事業者に対するヒアリング、関係部局と連携した実証実験などを通じて、道路交通や道路空間等に与える影響や効果について調査を行ってまいりました。
 あわせて、交通渋滞が著しい都心部や、公共交通空白地域が見られる多摩部など、地域特性に応じた自動運転技術の活用方法についても検討を始めたところでございます。
 来年度は、有識者などを交えた検討会を立ち上げ、引き続き、都市づくりへの活用のあり方について検討を行います。その状況につきましては適宜お知らせし、二〇二〇年度を目途に取りまとめを行う予定でございます。

○滝田委員 有識者を交えての検討会とするとの都市整備局長からの新しい答弁に大いに期待をいたします。検討会においては、未来像を描くことのできる専門家を招くこと、また、資料などの公表を要望いたします。
 一方で、都市間競争の相手となる主要海外都市では、自動運転だけではなくて、AI、ビッグデータ、新しいモビリティーなど、かつてないスピードで生み出される新技術を取り入れて、さまざまな政策を展開しています。
 例えばシンガポールでは、国土全土を3D化するプロジェクトを進めていると聞いています。サンフランシスコなどでは、パーソナルモビリティーとして、乗り捨て自由の電動キックボードが市民の足として既に定着をしています。
 一方、東京は、二〇二〇大会を跳躍台とし、その先の未来像を具体的に示していく段階にあります。変化の時代に対応し、既存の延長にはない政策をも実現していくためには、職員が海外の現場にも実際に赴いて、調査研究を通じて技術革新や社会モデルの変化を貪欲に取り込むことが不可欠です。
 私自身、前職は総合商社に勤めておりました。海外の現場に行くという機会は、大体三カ月に一度ぐらいありましたけれども、やはり毎回、何かしらの新しい気がつきがあり、次のビジネスにつながっていたというのがあります。
 今まさに都庁は変わろうとしている。そして、二〇二〇大会の後の絵を描かなきゃいけないという時代にあります。ぜひとも皆様に、ここにいらっしゃる皆様だけではなくて、現場の部課の皆様に海外の現場を見てきていただきたいというふうに思います。
 最後の質問となります。
 このような観点から、都の国際競争力向上を支える職員の育成を一層強化していくべきですが、改めて知事の姿勢を伺いまして、私の質問を終わります。

○小池知事 東京が、二〇二〇年を超えて、その先も持続的な発展を遂げていく、そのためには、都政を支える職員が、世界の潮流をいち早くつかんで政策へ反映していくことは重要であります。
 また、東京二〇二〇大会を来年に控えて、大会後の東京のさらなる進化に向けました政策全般の道筋を示すことは喫緊の課題でございます。
 そこで、国際的な都市間競争を見据えまして、新規事業の立案や、既存の事業の見直し、これを着実に進めていくために、国際競争力強化プロジェクトを立ち上げることといたしました。
 このプロジェクトは、世界基準のベストプラクティスを職員みずからが現地に赴いて調査研究することを通じまして、それぞれの政策分野の課題解決を図るという取り組みでございます。三十一年度には五百名の職員を海外に送り出すことを予定いたしております。
 世界におけます東京のプレゼンスを高めるためにも、国際感覚を身につけて、新たな発想で政策立案できる職員を幅広い政策分野で育成していきたいと考えております。

○滝田委員 ただいま知事から力強い答弁がありましたけれども、ぜひとも各局の皆様、そして現場の皆様で、どういった海外調査がいいのか、どうやって現場を見てくればいいのかということを掘り下げていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)

○伊藤(ゆ)副委員長 滝田やすひこ委員の発言は終わりました。

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