予算特別委員会速記録第三号

○三宅副委員長 大松あきら委員の発言を許します。
   〔三宅副委員長退席、上野副委員長着席〕

○大松委員 私からは、キャッシュレス化について質問をいたします。
 日本では、買い物をした際に、現金で支払うというのが一般的でありますけれども、海外では、クレジットカードやスマホによるキャッシュレス決済が主流になっているところでございます。
 民間のシンクタンクによりますと、二〇一六年の日本のキャッシュレス比率は二〇%、それに対し、韓国は九六%、アメリカは四六%、中国は二〇一五年の数字でありますけれども、六〇%でございまして、日本のキャッシュレス比率は、諸外国に比べて低くとどまっているわけでございます。
 現金でいいんじゃないかと、こう考える方も多いと思いますけれども、グローバル化が進む中にありまして、今後の日本の経済の発展、消費者サービスの向上、行政コストの削減などを考えた場合に、キャッシュレス化は、今、進めなければならない重要な課題の一つになっているわけでございます。
 例えば、今、海外から多くの訪日観光客の皆様方がいらっしゃっているわけでありますが、その観光客の苦情の多くは、カードやスマホで買い物ができないでございます。
 以前は、インターネットがつながらない、通信環境が悪いでございましたけれども、今は決済環境が悪いという苦情に変わってきているわけでございます。
 経済産業省によりますと、外国人観光客の四割が現金しか使えないということに対して不満を持っていらっしゃいまして、この現状を改善しなければ、二〇二〇年に訪日外国人が仮に四千万人になったとしても、全国で約一兆二千億円の購買機会の損失が発生するとの試算があるわけでございます。
 つまり、キャッシュレスなら買ったんだけれども、現金しかだめだったから買わなかった、買えなかったと、この金額が一兆二千億円になるわけでございます。これは、観光立国を目指す日本、そしてまた東京にとりまして、大変大きな損失になるわけでございます。
 また、みずほフィナンシャルグループによりますと、ATMやレジで現金を管理して、それを、店舗から銀行に運んだりすることに係るコストが大変大きなものがありまして、人件費を含めますと、その金額は、全国で年間八兆円にもなると、こうした試算があるわけでございます。こうしたコストを削減すれば、生産性は向上いたしまして、消費者の利便性の向上、行政コストの削減に寄与することになるわけでございます。
 そこで、国は東京オリ・パラ大会を一つの目途にいたしまして、キャッシュレス化を推進していこうということで、二〇二五年度までに、日本のキャッシュレス決済比率を四〇%にして、将来的には八〇%を目指すとしているわけでございます。
 東京都におきましても、稼ぐ力を養うためにも、キャッシュレス化を推進していくべきと考えます。今後の東京のあり方として、キャッシュレス化についての小池知事の見解を求めます。

○小池知事 大変重要なご指摘をいただきありがとうございます。キャッシュレスの推進でございますが、現金取扱コストの低減や決済データを活用したサービスの創出につながるものでございます。そして、都民や外国人観光客の利便性の向上、国際金融都市としての東京の価値を高めるものでございます。
 現在、国は、未来投資戦略二〇一八の中で、経済発展と社会的課題の解決を両立させるソサエティー五・〇実現の重点分野としてキャッシュレス化を挙げており、その推進に向けた取り組みを進めておられます。
 都におきましても、来年度、ソサエティー五・〇の実現に向けた取り組みを検討することといたしておりまして、その中で、キャッシュレスの普及に向けて、最新のフィンテックを用いたデジタル地域通貨の活用につきまして、調査検討などを行う予定といたしております。
 今後、こうしたキャッシュレスの普及促進に向けた取り組みを進めて、世界に開かれた国際観光都市、国際金融都市として東京の競争力を高めていきたいと考えております。
 ちなみに、都立の幾つかの施設におきまして、このキャッシュレス化を試験的に行うという、そのような予定でおります。

○大松委員 クレジットカードや交通系ICカードに加えまして、最近ではQRコードやバーコードを活用して、スマホで支払う、こういう決済サービスが広がりつつあるわけでございまして、先日、このスマホ決済を試験的に導入している新宿区内の商店街を視察してまいりました。
 そして、この商店街の役員の方によりますと、ほぼ一〇〇%の外国人の方がカードを使えるのか、キャッシュレスでいけるのかと聞いてくるそうでありまして、また、一〇〇%の中国人の方はスマホで支払えますかと、このように聞いてくるとおっしゃっておりました。
 最近は、ツアーではなくグループや個人旅行もふえまして、この地域の商店街に外国人観光客の方が多数訪れるそうでございまして、カードやスマホで決済ができなければ、せっかくの商売のチャンスを逃してしまうということでございました。
 そこで、この商店街の店舗のレジには、〇〇ペイという、このスマホ決済事業者のQRコードが掲示をされていらっしゃいまして、さらに、複数のスマホ決済事業者に対応できるタブレットが備えられているわけでございまして、その一台のタブレットで、この店側のQRコードを提示したり、そして、お客様のQRコードを読み込んだりできるようになっているわけでございます。
 それで、この商店街ではタブレットを通して、携帯電話会社系のスマホ決済サービスを行っているわけでありますけれども、それによりまして、携帯電話のポイントも、この商店街で使ってお買い物ができるということで、集客効果も上げているということでございました。
 工夫次第で、さまざまな可能性が広がっていくキャッシュレス化でありますけれども、多くの商店街では、その基本的な仕組みやメリット等についても、十分に情報が行き届いていないわけでございます。
 こうした中、国は十月からキャッシュレス決済の端末などを、中小小規模事業者が導入する場合に、その費用の全額を国と事業者で負担をする支援事業を始めるわけでございますけれども、商店街がキャッシュレス決済を導入して訪日外国人を取り込んで、売り上げをアップする絶好のチャンスでございます。
 このキャッシュレス化を進めるために、導入等につきまして実情の把握や周知を図りまして、導入を促進していくべきと考えますけれども、都の見解を求めます。

○藤田産業労働局長 都は現在、海外からの旅行者の買い物に円滑に対応できるよう、店舗にキャッシュレスでの支払いを可能とする機器を導入する費用への助成を行っております。
 また、中小の小売業者に対しまして、経営をめぐる最新の状況等を紹介いたしますセミナーにおきまして、今年度は、キャッシュレス決済に関する情報を提供しているところでございます。
 現在、お話のとおり、国によるキャッシュレス化の推進や民間での取り組みの活発化など、さまざまな動きが出てきております。
 このため、都といたしましては、新年度におきまして、中小企業を対象として、定期的に実施している調査がございますけれども、その中で、新たにキャッシュレス決済に関しまして、小売事業者の対応の現状等を把握し、課題の分析を行ってまいります。
 また、経済団体と協力をして行っております経営ノウハウ等に関する講座の中で、地域の金融機関から講師を招きまして、キャッシュレスについて、きめ細かい説明を行うなど、情報提供の機会を拡充してまいります。

○大松委員 大変すばらしい答弁、ありがとうございました。
 それでは次に、行政におけるキャッシュレス化について質問いたします。
 先ほど知事からもお話がございましたけれども、東京都は来年度、このQRコードによるスマホ決済を、都立施設における公金収納に初めて取り組むとのことでございます。
 まず、その意義について答弁を求めます。

○土渕会計管理局長 都はこれまで、公金収納手段の多様化に取り組み、文化施設等にクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済を導入してきました。
 今後も東京二〇二〇大会等に向け、インバウンドを含めた利用者の利便性向上や、事務の効率化などの観点から、都立施設等におけるキャッシュレス決済の導入を加速させる必要があると認識しております。
 QRコード決済は、利用者にとって利便性が高く、店舗にとっても導入しやすい決済手段であり、今後の普及状況等を勘案しながら、新たな公金収納手段として、適切に対応していく必要があると考えております。
 そのため、都では来年度から、恩賜上野動物園におきまして、QRコード決済の実証実験を行い、利用状況等を見きわめるとともに利用者の利便性向上を図ってまいります。

○大松委員 全国の他の自治体でもわずかではありますが、既にQRコードを使いましたスマホ決済を導入している施設がございます。
 しかしながら、上野動物園は年間来場者数四百五十万人という、全国でも群を抜く施設でございますので、そこで導入する意義は大変大きいものがございます。この先駆的な取り組みを通して、全国に波及効果を及ぼすとともに、来場者の利便性が向上されることを期待するものでございます。
 一方、新聞社の調査によりますと、このQRコードを活用したスマホ決済の認知度は約二〇%で、実際の利用率は二%にとどまっているわけでございまして、また、現在、スマホ決済サービスには多くの事業者が相次いで参入し、群雄割拠の状態でありまして、まだ安定したインフラとして定着しているわけではございません。
 こうした中で、公金の収納に導入するに当たっては、決済した金額が確実に都に入金されるのか、この安全性を担保した上で進めるべきと考えます。都の見解を求めます。

○土渕会計管理局長 公金の収納につきましては、利便性に配慮しながらも、安全性、効率性を確保していくことが何より重要であると認識しております。
 これまでも、クレジットカードや電子マネーなど、新たな収納手段を導入する際には、制度的な適合性やリスク管理をしっかりと担保した上で、取り組みを進めてきました。
 来年度から実施するQRコード決済の実証実験につきましても、インバウンドを含めた利用者等へのアンケートを実施し、利用者の属性やQRコード決済の利用状況等を把握するとともに、収納業務の流れなどを確認し、公金収納の確実性や業務の効率化などを着実に検証しながら取り組んでまいります。

○大松委員 既に文化施設等に導入されているクレジットカードや電子マネーは当然のことといたしまして、このスマホ決済につきましても、都の収入が損なわれることのないように、実証実験により安全性等を検証した上で、このスマホ決済を含めて、キャッシュレス化への取り組みをさらに展開していくべきと考えます。
 この実証実験を踏まえ、今後、他の都立施設等へのキャッシュレス導入にも取り組んでいくべきであります。都の所見を求めます。

○土渕会計管理局長 キャッシュレスの進展は日進月歩であり、取り組みに当たりスピード感もまた重要であると認識をしております。
 実証実験において、安全性、有効性が確認できた時点で、速やかに他の都立施設等への導入に向け取り組んでまいります。
 具体的には、実証実験で得られた検証データを各局に提供するとともに、キャッシュレス決済の導入手順を整備するなど、各局の取り組みを下支えいたします。
 また、東京二〇二〇大会に向け、来年度中に、年間利用件数十万件以上の都立施設がキャッシュレスに対応できるよう、恩賜上野動物園を初め五施設のクレジットカードや電子マネー決済の導入を支援いたします。
 こうした取り組みを通じ、都立施設等へのキャッシュレス導入を加速してまいります。

○大松委員 次に、都税について質問いたします。
 固定資産税の納税者約三百万人のうち、半数が口座振替を行っているわけでございますけれども、この口座振替もキャッシュレスの一つでございます。一度申し込むと大変便利なわけでありますけれども、その申込手続に手間がかかるという課題がございます。
 申請書に記入をして、そして、窓口に持参をするか、もしくは郵送しなければならないわけでございまして、六月上旬に固定資産税の納税通知書を受け取って、すぐに申し込みの手続を行っても、六月末の第一期の納付には間に合わないわけでございます。
 一期目から口座振替できないのか、手続に時間がかかり過ぎるという都民の声も、かねてから聞かせていただいていたわけでございますけれども、そこで、都議会公明党が昨年の第一回定例会で、口座振替の申込手続を簡単にする方策について質問したところ、都は、いわゆるウエブ口座振替を平成三十一年度の導入に向けて検討していくと答弁をしておりました。
 そこで、ウエブ口座振替の導入を急ぐべきであります。その取り組み状況について、都の答弁を求めます。

○目黒主税局長 口座振替は、一回の申し込みで、その後、継続して納付が可能となるため利用者も多く、代表的な納付方法として定着をしております。
 このため、その利便性向上を図る取り組みは、極めて重要であると認識をしております。ウエブ口座振替の導入によりまして、依頼書への記入、押印、提出が不要となる上に、口座引き落としまでの期間が二十日程度に短縮され、例えば、固定資産税の納税通知書が届いた後でも、第一期の納期からの利用が可能となります。
 このように、ウエブ口座振替は納税者の利便性が大きく向上するサービスでありまして、ペーパーレス、判こレス、キャッシュレスという三つのレスにもつながるものでございます。
 納税者にとりまして、安全で利用しやすいシステムとなるよう、現在、準備を進めておりまして、平成三十一年四月、本年四月一日からサービスを開始いたします。

○大松委員 ウエブ口座振替を利用すれば、六月の初めに納税通知書が届いた後、十日までに手続をすれば、六月末の納期限に口座振替ができるとのことでございまして、大変便利になるわけでございます。
 これは都道府県では初めての導入というふうに聞いておりますので、どう多くの納税者にこのことを知っていただくかということが課題になってくるわけでございます。
 そこで、ウエブ口座振替につきまして、納税者に広く知っていただくためにさまざまな周知活動を行う必要があります。納税者に対する広報活動の展開について、都の見解を求めます。

○目黒主税局長 より多くの都民の方にウエブ口座振替を知っていただくために、報道発表、新聞広告の掲載、電車やバスへの車内ポスター掲示を行っていくほか、サービスを開始する四月以降は、PR動画を駅や街頭などで放映する予定でございます。
 また、六月に発付する固定資産税の納税通知書には、ウエブ口座振替の申し込みを強力に促すため、申し込みサイトへのアクセスや、操作方法等を説明したチラシを同封し、周知を図ることとしております。
 さらに、テレビや広報紙などの各種媒体やSNS等を利用した情報発信により、納税者への周知を積極的に推進してまいります。こうした取り組みを通じ、都税におけるキャッシュレス化の流れを着実なものとしてまいります。

○大松委員 キャッシュレス化は、スマホの普及によりまして、さまざまな決済サービス事業者が登場いたしまして、多様化の様相を見せているわけでございまして、例えば、QRコードによるスマホ決済についても、日常の支払いにおいて、一般的な決済手段として定着をしていくことになれば、いずれ納税方法として導入していくことを幅広く検討する必要があると思います。
 都税の納税に当たりましては、安全で安定的かつ効率的な仕組みでなければなりませんし、制度上の制約もあることは承知をしているわけでございますけれども、キャッシュレス化の動向を見きわめつつ、引き続き、納税者の利便性に寄与するよう取り組んでいくことを要望しておきたいと思います。
 次に、教育について質問をいたします。
 グローバル化が進む世界にありまして、子供たちが伸び伸びと活躍をして、幸福で充実した人生を送れるようにするには、どのような教育が求められるのか。
 その一つとして、東京都教育委員会は、自国の文化を理解して、そして他国の多様な文化も理解し尊重できる、いわゆるグローバル人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 こうした人材を育成するためには、子供たちが多様で異なる国や文化に触れ合える国際交流の機会をふやしていくことが大変重要でございまして、とともに、教育する側の教員、学校、教育委員会も国際理解を深めていかなければなりません。
 その意味からも、現在、東京都教育委員会が海外の教育行政機関と覚書を締結して、教育分野における国際交流を進めていることは大変、重要なことであると思います。
 これまでに都教育委員会は、カナダのブリティッシュコロンビア州の教育省、オーストラリアのニューサウスウェールズ州及びクイーンズランド州の教育省、ニュージーランドの政府の教育機関、中国の北京市教育委員会、台湾の台北市及び高雄市の教育局、タイの教育省など、ちょうどこの太平洋を取り囲むような形で、この教育のネットワークを広げられていらっしゃるわけでございまして、この東京都教育委員会の取り組みを高く評価するものでございます。
 そこで、今後は、この覚書による交流をどう具体化していくのかが重要になってまいります。その一つが、姉妹校など学校ごとの国際交流を広げていくことであると考えます。東京オリ・パラ大会も来年に迫りまして、国際交流の機運も高まります。
 今後、多くの学校で国際交流の機会が提供されるようにするべきであります。都立高校が確実に国際交流に取り組めるようにするべきと考えますが、東京都教育委員会の見解を求めます。

○中井教育長 都教育委員会は、昨年十月に都内の学校と海外の学校との国際交流の窓口となり、学校向けのワンストップサービスの機能を持ちます国際交流コンシェルジュを開設いたしました。
 これにより、これまでにメッセージカードの交換やインターネットを活用した対話、在京大使館との交流など都内公立学校で百五十件以上の交流活動が実施されております。
 利用した学校からは、交流先を見つけるには担当の教員だけでは限界があり、とても助かった、交流の準備や相談に丁寧に応じてもらえたのは、心強かったなどの声が寄せられております。
 今後、国際交流コンシェルジュの取り組みをさらに充実させ、学校にとって有益な情報や豊富な交流機会を提供するなどして、全ての都立高校がそれぞれの学校に合った多様な国際交流が実現できるよう支援してまいります。

○大松委員 次に、グローバル人材を育成をするためには、教育の国際交流を担当する教員の指導力の向上を図らなければなりません。
 都教育委員会は、英語科教員の指導力を磨くために、今、海外の大学に派遣をして、その報告会を海外の教育関係者も交えてのシンポジウム形式で行っているわけでございまして、私も、昨年も一昨年も出席をさせていただきましたけれども、大変に充実した内容になっているわけでございまして、今後、この海外派遣研修と報告会及びシンポジウムをさらに拡充をして、グローバル人材の育成、教育の国際交流を推進できる教員の指導力向上に努めていくべきと考えます。東京都教育委員会の見解を求めます。

○中井教育長 海外派遣研修において、教員は大学での研修のほか、現地の教員や他国から派遣されている教員との交流、ホームステイ等を通じて、異文化理解を深め、国際交流の意義を体験的に学んでおります。
 来年度、都教育委員会は、現地で実施している国際交流に関するプログラムを拡充するとともに、今後のイマージョン教育の推進を担う教員の育成を視野に、英語科以外で国際交流を担当する教員を、派遣研修の対象に新たに加えるなどして、海外派遣研修を充実させてまいります。
 また、帰国後に実施する、先ほどお話がございました海外派遣研修報告会及びシンポジウムにおきまして、研修成果を広く周知するとともに、派遣教員が国際交流のあり方等について、海外教育機関の指導者とディスカッションする場を設けるなど、国際交流に関する実践力や指導力をさらに高めてまいります。

○大松委員 今、訪日する外国人労働者の増加に伴いまして、都内の学校には、日本語を母語としない子供たちがふえているわけでございます。
 子供たちは、日本語による日常会話を身につけるには、比較的短期間のうちにできるようになりますけれども、学習に必要な語学力、これを身につけるにはさらに数年がかかるといわれているわけでございまして、その子供たちが、この年齢相応に本来習得できるはずの学力を身につけられるように、現場の教職員の皆様方は、日本語教育や学科教育に懸命に取り組んでいらっしゃるわけでございますけれども、現状は、まだまだ追いついていないというわけでございます。
 現在、文科省は、外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チームをつくりまして、外国人児童生徒等への教育の充実について検討し、ことし六月までに対策をまとめる予定と聞いております。
 また、超党派の国会議員が日本語教育を推進するため、国、地方自治体、事業主の責務を規定する日本語教育推進法案を今国会に提出をする動きもございます。
 都教育委員会は、都立高校改革推進計画新実施計画(第二次)の中で、在京外国人等への就学機会の確保を図るため、都立高校への受け入れの拡大の検討や、入学後の日本語習得に向けた支援を行っていくとしています。
 そこで、都立高校での日本語教育の充実に向けた取り組みの方向性について、東京都教育委員会の見解を求めます。

○中井教育長 いわゆる入管法改正等に伴い、在京外国人生徒等のさらなる増加が見込まれますことから、高校への就学機会の確保や、学校生活を円滑に送るために必要な日本語習得に向けた支援が一層重要となってまいります。
 そのため、先ほどお話しいただきましたとおり、都教育委員会は、都立高校改革推進計画新実施計画(第二次)において、在京外国人生徒等に係る適切な募集規模の検討や、日本語指導の充実に取り組むことといたしました。
 今後、日本語指導が必要な在京外国人生徒数の動向を精査するとともに、在京外国人生徒対象の募集枠を設置している都立高校において、日本語指導が必要な生徒への支援に係る校内組織を強化してまいります。
 さらに、NPOや大学などとの連携による学習支援や効果的な指導方法などについても検討してまいります。

○大松委員 今、全国で義務教育年齢にある外国籍児童は約十二万人、そして、そのうち就学しているかどうか状況がわからない児童が一万八千人いるといわれていまして、文科省は四月にも各自治体に要請をして、その実態調査に着手をすると聞いております。
 国際人権規約には、外国人の子供も教育を受ける権利があることが規定をされているわけでございまして、今後、この実態調査の結果が明らかになれば、未就学の外国籍児童の学校への受け入れを促進していかなければならないわけでございます。
 そうなりますと、日本語指導の人材がより一層必要になってまいります。そこで、都教育委員会は、語学のできる教員、OBや留学生の活用など、日本語指導をできる人材を確保するとともに、ICTなどを活用した日本語指導のサポート体制を構築して、区市町村を支援すべきと考えますが、都教育委員会の見解を求めます。

○中井教育長 都教育委員会はこれまで、日本語学級設置校や日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する小中学校に教員の加配を実施してまいりました。
 こうした取り組みに加え、平成三十一年度には、ICTを活用して教職員が学習指導や就学手続などで、児童生徒や保護者との会話を円滑に行うことができる多言語翻訳システムの導入に対し、区市町村への補助を実施してまいります。
 今後とも、区市町村における日本語指導体制の充実を支援してまいります。

○大松委員 このほかにも、外国人の受け入れをめぐる問題は多岐にわたるわけでございますが、そこで、都として、広範囲にわたるこの外国人受け入れに伴う課題に取り組むために、局横断的な体制で総合的な対策を検討すべきと考えますが、小池知事の見解を求めます。

○小池知事 ご指摘の在住外国人は、都内で三年間で十万人以上増加し、現在、五十五万人に上っております。また、法改正で、さらに国の外国人材の受け入れ拡大が進むことを考えると、増加が見込まれるところでございます。
 都といたしまして、これまで文化、生活習慣、言葉の違いなど、外国人の方のさまざまな課題に対して、都の外国人相談窓口を設け、また、各局で相談対応を受け付け、外国人に対する生活、そして防災に関する情報の提供なども含めまして、幅広い支援に取り組んできたところでございます。
 さらに、昨年十一月に、ご指摘のように庁内横断的な組織をつくっております。それは外国人施策に関するプロジェクトチームという名称で立ち上げておりまして、今後の外国人施策の展開について、全庁的な視点から検討を進めていく、このように整えております。
 外国人と日本人が多様性を認め合うということ、そしてまた、ともに安心して生活をし、活躍できる社会にする、それがダイバーシティーということで、その実現のために、これらの理解が必要かと考えております。
 今後、子供の教育、住宅、そして労働、さまざまな分野で、各局が連携をしていくことによって、そのもとで、施策の一層の強化と総合的に推進をしていく必要があると考えております。

○大松委員 次に、受動喫煙防止対策について質問します。
 東京都受動喫煙防止条例が、昨年、国の法律に先行して制定され、来年四月から全面施行になります。
 東京オリ・パラ大会も一年後に迫っておりまして、国の法律も条例と同時施行になります。法令に基づき、オリンピック・パラリンピックの開催都市にふさわしい、スモークフリーのまちづくりを着実に進めなければなりません。
 スモークフリーのまちづくりを進めるためには、この新しいルールを、受動喫煙防止対策を義務づけられる施設管理者や喫煙者に、さまざまな方法を活用してきちんと周知をしていくことが欠かせません。
 また、喫煙者に配慮するとともに、屋外での受動喫煙を防止するための公衆喫煙所の設置を促進していくべきと考えます。小池知事の見解を求めます。

○小池知事 二〇二〇年四月、受動喫煙防止条例の全面施行まで残すところ一年余りでございます。
 都といたしまして、昨年六月に条例を制定いたしました後、都民や事業者、区市町村の皆様方に、条例の趣旨、そして目的をご理解いただくために、広報紙やホームページ、SNSを活用した普及啓発を行っております。とともに、区市町村や事業者向けの説明会の開催など、具体的な内容に関する周知を行っているところでございます。もっと工夫をしろというようなお声もいただいております。
 また、専門相談窓口を開設いたしまして、都民や事業者からの個別のご相談に応じるとともに、喫煙専用室などを設置しようとする事業者に対しまして、具体的な助言を行います専門アドバイザーを派遣いたしております。
 さらに、区市町村に対しては、公衆喫煙所の設置に要する経費を補助するなど、地域の実情に応じました取り組みを支援しているところでございます。
 引き続き、こうした取り組みを推進してまいります。そして、区市町村、事業者、しっかり連携をしながら、協力をしながら、受動喫煙防止の取り組みを一層進めてまいりたい、このように考えております。

○大松委員 この条例の施行に当たりましては、知事にも今お答えいただきましたけれども、公衆喫煙所を一層きめ細かく設置をしていくことが重要になってまいります。
 公衆喫煙所を設置する市区町村に対して、財政支援に加えて、より一層の取り組みが進むよう、都としてさらに支援をしていくべきと考えます。見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都は、屋内外の受動喫煙を防止するため、昨年九月から、区市町村が行います公衆喫煙所の整備に対する支援を開始いたしました。
 支援に当たりましては、区市町村がみずから設置する場合に加え、民間事業者と連携して公衆喫煙所を整備する場合も対象としておりまして、区市町村は、オフィスビル、コンビニエンスストアの喫煙所や、空気清浄機を搭載した移動可能なトレーラー型の屋内喫煙所など、地域の実情に応じて整備を進めているところでございます。
 こうしたさまざまな取り組み事例も紹介し、引き続き、区市町村と連携協力しながら公衆喫煙所の整備を進めてまいります。

○大松委員 原則屋内禁煙となります飲食店やホテル業の皆様方からは、喫煙専用室を設置する場合、コストは幾らぐらいかかるのか、設計上、設置が可能なのか、経営への影響はどうなのか、さまざまな問い合わせ、お声を聞かせていただいているところでございます。
 国の政省令によりまして、喫煙専用室の設計の基準などもようやく決定をいたしました。最前線の飲食店やホテルへの相談体制をよりきめ細かくしながら、早急に補助金制度をスタートするべきと考えます。都の見解を求めます。

○藤田産業労働局長 都では、都内の中小飲食店、宿泊施設を対象に、東京二〇二〇大会に向け、受動喫煙防止対策が円滑に進むよう支援を行います。
 まず、店舗を全面禁煙にするか、喫煙専用室を設置するかなど、飲食店等のさまざまな悩みにきめ細かく対応するため、本年一月から、中小企業診断士等の専門家を無料で派遣し、経営上の助言を行う取り組みを開始しております。
 また、こうした助言等を受けまして、専用喫煙室を設置しようとする中小飲食店等に対しましては、来年度より、四百万円を上限に必要な経費を補助いたします。
 特に、客席面積百平方メートル以下の中小飲食店に対しては、補助率をさらに十分の九まで引き上げ、一層の負担軽減を図ってまいります。
 この補助制度を、本年四月に速やかに募集開始できるよう、中小飲食店等への周知も含め、現在、準備を進めているところでございます。

○大松委員 最後に、まちづくりで、JR埼京線十条駅付近の連続立体化事業の取り組み状況について都の答弁を求めまして、私の質問を終わります。

○西倉東京都技監 連続立体交差事業は、道路整備の一環として実施しておりまして、数多くの踏切を同時に除却することで、地域の活性化や防災性の向上にも資する、極めて効果の高い事業でございます。
 JR埼京線十条駅付近には、都市計画道路補助第八五号線と交差する十条道踏切など六カ所の踏切があり、鉄道立体化が必要でございます。
 このため、昨年度、十条駅付近の連続立体交差化について都市計画決定し、現在、用地測量や詳細設計を実施しておりまして、今後、国との詳細設計協議などを進め、来年度、事業に着手いたします。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。
   〔上野副委員長退席、委員長着席〕

○石川委員長 大松あきら委員の発言は終わりました。(拍手)
 以上で、本日予定をしておりました質疑は全て終了いたしました。
 なお、明日は、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時十三分散会