予算特別委員会速記録第三号

○上野副委員長 森村隆行委員の発言を許します。
   〔上野副委員長退席、委員長着席〕

○森村委員 来年度予算案について、東京の未来をつくる視点から質疑いたします。
 まず、行政のICT活用です。
 来年度、政策企画局に戦略政策情報推進本部が設置されます。予算案では、都全体での先端技術を活用した予算は七百二十億円に上ります。都はICTの活用について、都民への旗振り役にもなるわけですが、まずは都職員みずからがICTを理解し使いこなす必要があります。
 そこで、都庁の業務の質と効率性の向上に向け、さまざまな業務プロセスにおいてICTを積極的に活用していくべきと考えますが、都の見解をお伺いします。

○遠藤総務局長 都庁の生産性向上に向けまして、業務の効率化、省力化を図るためには最新のICTの活用が大変重要でございます。
 都は今年度、定型的、反復的な事務へのRPAの導入に向けて、その活用効果や課題の洗い出しのための実証実験を実施いたしました。
 また、テレワークなどに活用可能なモバイル対応端末を本庁管理職や一部の先行職場へ配備するなど、効率的で柔軟な業務遂行を支えるシステム基盤の整備にも取り組んでまいりました。
 来年度は、これらの取り組みを踏まえまして、RPAの導入を進めていくほか、新たにAIを活用した業務効率化の取り組みにも着手してまいります。
 また、モバイル対応端末を本庁全職員に配備し、これに対応するWi-Fiを本庁舎に新たに導入するなど、ICT環境の整備拡大を図ってまいります。
 このような取り組みを通じ、都庁のICT活用を一層進めてまいります。

○森村委員 私も民間企業におりましたときに、ウエブ会議システムやRPAなど導入しました。劇的に業務効率改善しまして、やはり一度導入すると、もう手放せなくなります。ぜひ早期の導入促進をお願いしたいと思います。
 次に、行政サービス、すなわち都民との接点におきましてもICTの積極的な取り入れをしていくことが重要だと考えますが、都民の利便性向上を図るためには、行政手続のオンライン化をさらに積極的に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○遠藤総務局長 ICTの進展した今日において、都民の利便性向上と業務の効率化という両方の観点から行政手続のオンライン化は重要な課題でございます。
 そのため、都は、行政手続について棚卸しを行い、申請件数やオンライン化の阻害要因等を調査し、今年度、申請書の記載項目や添付書類、業務フローを抜本的に見直した上でオンライン化を行うよう電子申請取組方針を改正いたしました。その方針のもと、今年度末には新たに百を超える手続をオンライン化する見込みでございます。
 来年度は、有償の手続における手数料収納のオンライン化や、データ容量の大きな添付資料を必要とする手続への対応を行いまして、さらなるオンライン化を進めてまいります。

○森村委員 今年度末までに百を超える手続がオンライン化されるということだったんですけれども、ぜひ業務プロセスの棚卸しを通じまして、来年度の取り組みをさらに加速をさせていただければと思います。
 ICT化を進めることで得られる効果には、コスト削減のほかに、生産性の向上や都民との双方向のアクセシビリティーを高めることなど幅広く、これからの時代においては必要不可欠です。東京には先端技術の集積があります。ぜひ東京を日本で最も進んだICT先進都市にすべきではないでしょうか。
 今後、都庁のICT活用をさらに前進させていくことが重要であると考えますが、知事の見解をお伺いします。

○小池知事 ご承知のように、本格的な人口減少社会を迎える中で、東京が熾烈を極める国際競争に勝ち抜かなければなりません。
 そこで、ご指摘のように、先端技術を生かした民間のイノベーションをまず後押しをすると同時に、都庁自身が最新のICTを取り入れて、生産性、そして都民サービスの向上など、その機能を不断に高めていかなければならないと、このように考えております。
 都といたしまして、これまでも、おととし、一昨年に策定いたしました東京都ICT戦略がございますが、これに基づいて、テレワーク環境の整備、オープンデータの取り組み、そして多様な事業領域へのICTの導入など、先端技術を生かした取り組みを進めてまいりました。
 今後ですが、都の行政サービスで、デジタルファーストの考え方、ワンスオンリーの実現、そしてRPAやAIを活用いたしました業務改革、そして行政手続のさらなるデジタル化、キャッシュレス化を進めるなどなど、ICTの活用を加速してまいります。
 これらを新たに設置する戦略政策情報推進本部、ここを中心にいたしまして、一体的、局横断的に進めてまいります。ご指摘のように、ICT先進都市にふさわしい都庁のデジタル化を実現してまいりたいと考えています。
 さらに、それをてこにして、先端技術を活用して、経済発展と社会的課題の解決を両立いたしますソサエティー五・〇の実現に向けて、官民連携して取り組んでいきたいと考えております。

○森村委員 知事の強い意思を感じる答弁でございました。新体制を通じて、取り組みが加速することを期待しております。
 一つ、好事例でもあるんですけれども、次に、都市農業の生産性を高めるICT化の施策についてお伺いいたします。
 耕作面積の小さい都内農地では、単位面積当たりの収量をふやすなど、生産性の向上を図ることが効果的です。都ではこれまで、開発を進めてきたICTを活用した水耕栽培のシステムに関する実証実験を今年度開始しております。
 私も試験場を視察させていただいたんですけれども、こちらがその写真になります。ご紹介したくて持ってきました。市販の資材を組み合わせたものになっておりまして、廉価で、また、メンテナンスなどもしやすいというような格好になっているそうです。遠隔でスマートフォンからの操作が可能で、安定生産が期待できます。
 例えば、トマトであれば、従来のハウス栽培と比べて収量は三倍、そして、一般的な農家経営に導入した場合に、試算ベースでは、所得の倍増も可能であるというふうに聞いております。都の農業者の稼ぐ力を引き上げる切り札として大いに期待しております。
 農業の生産性を向上させるこうした先進技術を生産現場へ積極的に導入していくに当たりまして、来年度の都の取り組みをお伺いいたします。

○藤田産業労働局長 都は、農林総合研究センターにおきまして、産業技術研究センターとも連携をいたしまして、ICT等の新技術の活用によりまして、生育環境の自動制御や遠隔操作による作業の省力化を図る栽培施設の開発に取り組んでまいりました。本栽培施設の導入によりまして、小規模な農地でも、農産物の増産と高品質化を実現することが可能となっております。
 来年度は、新技術の活用に関心の高い若手農業者グループやJAの生産部会等を対象にいたしまして、施設の機能や導入メリット等に関する説明会を開催いたします。加えまして、施設を導入する際の補助率を従来の二分の一から三分の二に引き上げるなど支援を強化いたしますことで、その普及を図ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、農業の生産性を向上させ、東京農業のさらなる振興につなげてまいります。

○森村委員 ぜひICTの活用で生産性が向上するように期待しております。
 ソーシャルインクルージョンの観点から、都民ファーストの会が訴えてきましたソーシャルファームについて、現在、就労支援のあり方を考える有識者会議にて検討が進められておりまして、来年度、報告書がまとまります。
 就労困難者は、障害者、刑余者、ひとり親など幅広く、定義づけがまず困難なため、私は、今ある枠組みや制度の垣根を超える新たな枠組みをつくる必要があるのではないかと考えております。
 新たな枠組みを検討していく上で、現在の枠組みの中でどのような取り組みが行われているのか、まず把握しておく必要がありますが、就労支援に関して多くの事業が実施されている障害者の分野についての取り組みをお伺いします。

○藤田産業労働局長 都は、障害者の就業や職場定着を推進するため、障害者と企業双方への支援を行っております。
 障害者に向けましては、就職活動のポイント等を学ぶセミナーや職場体験の機会の提供、障害の特性に合わせて就職に必要な知識や技能を習得するための職業訓練、また、東京ジョブコーチによります職場定着への支援等を行っております。
 一方、企業に対しましては、セミナー等により、障害者雇用のノウハウを提供いたしますとともに、受け入れ環境の整備や社内のサポート体制づくりを支援しております。また、精神障害者の雇用を後押しするため、企業にアドバイザーを派遣し、採用前から採用後の定着まで一貫した支援を行っているところでございます。

○森村委員 障害者分野で培ってきたノウハウですね、こちらは必ずやソーシャルファームでの支援で生きてくるものと期待します。
 また、ソーシャルファームには、就労困難者が福祉の対象から経済の主体へ移行するという目的もあります。今後は、営利企業の経営者や社会起業家などからも意見を聴取しながら検討を進めていただければと思います。
 ソーシャルファーム発祥の地である欧州では、公共調達市場を社会問題の解決のために積極的に活用すべきという考えが普及しております。
 平成二十九年度の都の物品や役務関係の公共調達市場は、年五千億円程度と聞いております。そのうち障害者雇用施設等が受注した額約九億円ということですが、優先発注可能な業務や品目をふやし、都の公共調達市場を形成することで、就労困難者を雇用する企業を増加させるための政策誘導が可能なものと考えますが、就労困難者を積極的に雇用する事業者、いわゆるソーシャルファームへの公共調達市場における優先的な取り組みについての見解をお伺いします。

○武市財務局長 地方公共団体が締結する契約の方法や相手方の決定方法は、地方自治法等に規定されておりまして、競争性、公平性、透明性の確保の観点が要請されております。ソーシャルファームへの優先発注といった政策目的の発注におきましても、法令の範囲内で、こうした観点とのバランスを考慮しながら制度を運用していく必要がございます。
 現在、就労支援のあり方を考える有識者会議におきまして、ソーシャルファームを含めたより広い視点から、就労支援施策の方向性等に関し、議論が進められていると承知をしております。
 契約制度における対応を検討するに当たりましては、その前提となりますソーシャルファームの定義や範囲等が明確であることが必要であります。
 今後も、有識者会議の議論を注視しながら、契約制度所管局といたしまして、事業所管局の取り組みに積極的に協力してまいります。

○森村委員 公共調達市場の活用に加えまして、都民のエシカル消費を促すような施策も有効だと思います。あわせて検討を要望しておきます。
 人生百年時代を生きる子供たちが身につけるべき能力は、どんな時代の変化をも乗り越えられる生きる力であり、その源泉となる非認知能力の向上は重要です。
 子供たちの非認知能力を高める施策として、昨年の一般質問で行った森や自然を活用した保育、幼児教育の取り組みについて前向きに検討するという答弁が得られまして、来年度予算に自然を活用した東京都版の保育モデルの検討という施策が上がりました。具体的にどのような取り組みか、お伺いします。

○内藤福祉保健局長 来年度検討を開始いたします自然環境を活用して保育を行う東京都版保育モデルは、自然と触れ合う活動を通じまして、保育所等における幼児教育の充実に資することを目的としております。
 検討に当たりましては、子供たちがみずから興味、関心を持って自然とかかわり、遊びを通して自然環境からさまざまなことを学ぶことができるよう、民間事業者を活用してプログラムを企画し、都内の保育所等の協力を得て、子供たちに実際に体験してもらうことを考えております。
 プログラムの実施後は、その状況や効果につきまして、幼児教育や自然の中での遊びに精通した有識者等による検証を行いまして、モデルの作成につなげてまいります。

○森村委員 現在、森のようちえんなど、全国的に、森や自然を活用した保育のメソッドが急速に普及しています。認可外保育施設などでも、先端的でユニークな取り組みが進んでいます。こうした活動にかかわる方々の事例や知見がうまく生かされるよう、事業者の選定方法や事業の執行体制について工夫していただくように要望いたします。
 本分野でアウトプットする都版の保育モデルについては、認可保育所だけでなく、幼稚園や認可外保育施設など、さまざまな保育の現場にて活用されるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 保育所等を取り巻く自然などの環境は、施設種別や立地条件によりさまざまでございまして、各施設では、それぞれに工夫を凝らした保育が展開されております。
 本事業で保育所等に提供するプログラムは、森などの自然環境や身近な公園、緑地を活用するなど、施設の実情に合わせて応用可能なものとし、プログラム実施後、さまざまな施設が活用可能なモデルを検討したいと考えております。
 作成したモデルは、区市町村や認可保育所、認証保育所、幼稚園、認可外保育施設等に幅広く周知してまいります。

○森村委員 周囲に豊富な自然がある園や都心などで余り身近な自然がないような園でも活用できるようなモデルの作成、ぜひさまざまに検討をお願いしたいと思います。
 非認知能力を高める取り組み、これ現在、国内外で注目をされております。子供たちにとって、非認知能力の向上は重要であると考えますが、知事の認識をお伺いいたします。

○小池知事 お話の非認知能力でございます。
 現在、幼児教育、そして保育において注目されている概念と聞いております。OECDワーキングペーパーでも、目標を達成する力、他者と協働する力、そして情動を制御する力、これが含まれているとされております。
 これらの能力は、家庭や保育所、地域社会などさまざまな状況において養われて、親子のかかわりであるとか、子供時代の自然体験や友達との遊びなどによって、将来の基礎が築かれるものとされております。
 この非認知能力を初めとして、子供たちの生涯にわたる生きる力の基礎を幼児期に培うということは重要でございます。
 都といたしましても、来年度、モデル事業を検討することといたしておりまして、保育所などにおける幼児教育の充実につなげてまいります。

○森村委員 子供たちへの教育は、未来への投資というお話がきのうもありました。幼児教育における非認知能力の育成ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、去る二月二十二日、小惑星探査機「はやぶさ2」が、C型小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功しました。
 プロジェクトの目的は、太陽系の起源の解明につながる手がかりを得ることであり、持ち帰ったサンプルの中に、もし有機物や含水鉱物の存在が確認できれば、生命の起源にも迫る大発見につながり得ます。
 このプロジェクトは、いわゆる自然史、つまり自然の歴史の解明に関するもので、成功すれば人類にとって大きな一歩になります。しかし、このプロジェクト、かつて事業仕分けの際には、予算の削減に苦しんだものと聞いております。
 東京にも、自然史に関する拠点で、財政再建の一連の取り組みの中で廃止され、今もそのままになっているものがあります。先ほど高倉先生もご指摘ありましたが、都立の自然史博物館です。大都市でありながら、豊かで多様な東京の自然に関する研究や記録、これは未来のために残すべきものですが、それらが散逸の危機に瀕しています。
 都は今年度、周辺県の自然史博物館の状況等について詳しい調査を行っているようですが、私のところには、多くの都民から、研究者等が所有するコレクションの先行きを不安に思う声が寄せられており、研究記録や貴重な標本などの収集、保管についての懸念が高まっております。
 そこでまず、平成三十年度の調査結果による東京の自然環境に関する情報の置かれた状況認識を伺います。

○和賀井環境局長 自然環境の情報には、一般に、標本や文献、写真等資料と計測結果等のデータがございます。中でも、標本資料は、その自然の存在の証拠となるだけでなく、将来の分析技術の発達により新たな検証が期待できるという価値もございます。
 今年度の調査の結果、東京の自然環境にかかわる資料は、都内の大学や周辺県の博物館の財産、あるいは研究者個人の所有物として散在しており、その全容については整理されていないことや、研究者が所有する標本類の受け入れ先は、体制等が十分でないことなどが明らかになりました。
 こうしたことから、東京の自然環境に関する情報は、散逸や喪失の懸念があると認識しておりまして、今後、この状況を念頭に置いて、自然環境情報の収集、分析、発信のあり方について検討を進めてまいります。

○森村委員 ぜひ、調査と並行して、そうした標本や文献等の保全に関する取り組みを検討していただければと思います。
 標本や文献が失われていくのと同時に、いわゆる異常気象を日常的に感じることの多くなってきた今日ですが、自然環境も、我々が考えている以上のスピードで変化しています。
 自然史博物館の検討と並行し、現在の自然の状況についての情報収集を進めるべきですが、広大な区域を調査するのは膨大な作業です。
 周辺県では、住民から情報を集める取り組みが行われており、成果が出ていると聞いておりますので、東京でも、自然公園などを訪れる利用者に情報収集に参加してもらうなど、双方向の取り組みを行うなどの検討が必要だと考えますが、見解を伺います。

○和賀井環境局長 今年度の調査によりまして、周辺県に例が見られる住民参加による情報収集は、情報の水準等には課題があるものの、即時性が高く、幅広く細かな情報が集められるとともに、住民の自然環境への関心を高め、普及啓発にも有効であることが判明をいたしております。
 一方、都内の自然公園では、登山道沿いに見られる草花や鳥などの情報は、都レンジャーやビジターセンタースタッフの巡視等により得られた情報にとどまっておりまして、利用者が知りたい自然環境情報に関するさまざまな問い合わせに十分応じ切れていない現状がございます。
 そこで、東京の自然公園のタイムリーな魅力の発信や利用者からの多様な問い合わせへの的確な対応が可能となるよう、自然公園の利用者と都が連携しながら、自然環境情報を収集、発信する仕組みを検討してまいります。

○森村委員 早期に、自然史博物館についての検討が進むことを期待しております。
 次に、市場の活性化に向けた取り組みについてお伺いします。
 市場業者の中にも、競争力強化に向けて、経営革新や新たな取り組みを行う機運が今生じております。
 都民ファーストの会は、十一の中央卸売市場全てにおいて、先駆的で意欲の高い事業者の取り組みを支援する施策について要望してきましたが、来年度予算案に、新たに、中央卸売市場活性化支援事業、これが盛り込まれました。未来を切り開くための施策です。
 この事業を新たに行うことによって期待される効果について、知事の見解をお伺いします。

○小池知事 中央卸売市場は、都民に生鮮食料品などを供給する基幹的なインフラでございます。そして、都内十一カ所の市場で日々の取引を担う市場業者によりまして都民の食生活を支えております。
 大幅な規制緩和を盛り込んだ卸売市場法の改正を控えております。つまり、市場を取り巻く環境の変化、これらを踏まえ、先進的な取り組みを市場業者に促して、卸売市場の活性化を図っていくということは重要でございます。
 来年度、市場業者や団体、グループが行います海外輸出や国内での販路の拡大、ICTを活用した業務の改革などなど、創意工夫のある取り組みを支援するための仕組み、これを新たに構築をいたします。
 そして、都内十一の市場が、産地、そして実需者の期待に応えて、それぞれの特性や強みを最大限発揮できますように、意欲ある市場業者を積極的に支援をしてまいる、そのような所存でございます。

○森村委員 ぜひよろしくお願いします。横並び一律の補助ではなくて、革新意欲の高い事業者への支援であること、また、卸や仲卸の団体単位に加えまして、グループや単体の事業者でも対象に含めた、この点を評価します。結果的に、市場全体を刺激、牽引し、全体の活性化につながるものと期待します。
 せっかくの施策ですが、使い勝手の問題がボトルネックにならないように、申請者のニーズに柔軟に対応いただくことが重要と考えます。審査に当たっては、極力丁寧にニーズを酌み取ってください。
 革新意欲の高い事業者への積極支援、事業者本位の柔軟な運用について指摘をいたしましたけれども、それらを踏まえて、来年度、この事業をどのように行っていくのか、見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 市場業者の中には、輸出や産地との連携による販路拡大、HACCPに沿った衛生管理など、新たな取り組みに意欲的な事業者が多数おられます。
 こうしたニーズを把握するため、引き続き業界団体等と丁寧に意見交換を行い、的確な制度の運用につなげてまいります。
 支援に当たりましては、新たな事業に取り組む市場業者から事業計画の提出を受け、実効性があり効果的な取り組みとなるよう、相談にも対応するなど、都内十一の市場の活性化に向けて本事業を進めてまいります。

○森村委員 ありがとうございます。
 次に、東京二〇二〇大会のレガシーについてお伺いします。
 来年度は、大会予算として、約五千三百三十億円が計上されています。東京にとって歴史的なイベントですが、復興五輪としての位置づけも重要です。
 復興五輪は、スポーツの力で被災地を元気にし、国内外から訪れる人たちに復興の姿を見せ、感謝を伝えることがコンセプトになっておりますが、大会を契機に被災地を訪れ、新たな体験をし、新たな魅力に触れることで、未来につながる新たな交流が生まれる、そんな無形のレガシーを残すべきと考えます。
 復興五輪にかける知事の思いと決意を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、東京二〇二〇大会という世界中の注目が集まるその機会を捉えて、復興が進む被災地の姿やその地域の魅力、そして、これまでの支援への感謝を伝えるということは重要だと考えております。
 都はこれまでも、各県のご協力もいただきながら、被災地の復興に関します映像を制作して、さまざまな機会に発信する取り組みも行ってまいりました。
 このほか、毎年、都内で復興応援イベントを開催いたしております。私からも、直接都民の皆様にも、被災地を訪問して復興していく姿を見てください、感じてくださいと、この旨を呼びかけているところでございます。
 それから、東京と東北を結ぶモデル観光ルートの情報をウエブサイトで紹介をするなどなど、双方の観光を通じた魅力の発信を行っております。
 大会開催時でございますが、被災地の子供たちの競技観戦招待や都が新設いたします競技会場におけます復興の記念植樹など、取り組みも検討いたしているところでございます。
 東京二〇二〇大会が、被災地にとりまして本当に実りのあるものになるように、今後とも組織委員会、そして被災県などと連携しながら、大会の原点でございます復興オリンピック・パラリンピックの実現を目指してまいりたいと考えております。

○森村委員 大会の成功に向けまして、被災地と一緒に、これから頑張っていただければというふうに思っております。
 次に、都内においては、会場が少ない多摩地域でレガシーをどのように残すかが課題です。訪都外国人観光客二千五百万人を呼び込む大会の開催効果を波及させるためには、旅行者を周遊させる取り組みが必要です。
 例えば、西多摩は、都心にない豊かな自然が特徴ですが、平成二十九年の国別外国人旅行者行動特性調査によりますと、こちらなんですけれども、(パネルを示す)都を訪れた方のうち、西多摩に足を伸ばした方、これは一%にも満たない状況で、こちらが区部なんですが、区部に比べて外国人旅行者が極端に少ない状況になっております。
 一方で、同調査の、訪問して一番満足した場所で行った行動、こういう項目がありまして、こちらでは、自然を感じるの項目で、青梅御岳山で六四・七%、奥多摩で八三・四%と満足度が非常に高い状況です。地域を一度訪れる機会をつくることでリピーターが増加し、すなわち、これがレガシーにつながるものと考えております。
 東京二〇二〇大会に向けて、西多摩地域へのさらなる外国人旅行者の誘致に、都は来年度どのように取り組んでいくのか伺います。

○藤田産業労働局長 都は、多摩地域の中でも、とりわけ自然に恵まれております西多摩エリアにつきまして、ウエブサイトやSNS、またVR映像など、多様な媒体を活用した魅力の発信のほか、林業や紙すき体験といった豊かな自然や文化等を生かした誘客の取り組みを支援してまいりました。
 来年度は、自然や伝統文化に関心が高い、欧米豪地域への発信を強化してまいりますとともに、都内の交通広告等を活用した集中的なPRを展開いたします。また、外国人旅行者向けの旅行商品をふやすため、自然の中での新たなアクティビティーなどコンテンツの発掘から受け入れ面での磨き上げ、販売までを一体的に行うことで、東京二〇二〇大会後の西多摩エリアへの旅行者数のさらなる拡大につなげてまいります。

○森村委員 東京二〇二〇大会は一大イベントですので、世界中の方々の目が集まる一つのメディアでもあると思います。ぜひ、被災地、また多摩地域に多くの方々の注目が集まるように取り組みをお願いいたします。
 東京の未来を支えるインフラ整備についてお伺いします。
 首都圏三環状道路は、首都高中央環状線、外環道、圏央道から成り、これらの連携は、都心部の渋滞緩和と首都圏の活発な経済活動を支える上で必要不可欠です。
 このうち外環道の早期整備については、有識者等で構成する東京と日本の成長を考える検討会が昨秋まとめた報告書でも、都の国際競争力強化に向けて必要となる具体的取り組みの一つに挙げられており、本年一月に東名側に続き、関越側からもシールドマシンが発進、全線で工事が本格化しました。
 私も先日、地元の青梅インターから乗りまして、圏央道、関越道、そして外環道を使って千葉方面に行ったんですけれども、都心を経由するよりも短時間で目的地に到着することができまして、やはりこの首都圏の交通や物流に果たす三環状道路の役割の大きさ、身をもって感じたところでございます。
 そこで、改めて首都圏三環状道路の意義と整備効果についてお伺いいたします。

○西倉東京都技監 首都圏三環状道路は、首都圏の陸海空の要衝を結び、交通渋滞の解消や環境改善を図るとともに、災害時に日本の東西交通の分断を防ぐなど、首都圏の骨格を形成する極めて重要な道路でございまして、これまでに約八割が整備されております。
 外環道では、昨年六月の千葉区間の開通によりまして、首都高速中央環状線の交通量が東側で約一割減少しております。圏央道でも、整備の進展に伴い、物流におきましては配送時間の短縮や定時性の確保により生産性が向上いたしまして、沿線では、物流拠点や工場等の立地が進み、年間の沿線市町村の工場立地面積は、二十年前と比べ約六倍となるなど、そのストック効果を発揮しております。
 現在、事業中の外環道及び圏央道の区間につきましても、首都圏三環状道路の機能を十分に発揮させていくため、引き続き早期完成を国に求めてまいります。

○森村委員 三環状道路の整備後は、いかに有効に活用するか、こちらが重要になります。
 今、圏央道青梅インター北側における物流拠点の整備に向けて、青梅市の取り組みが加速しています。当該地は現在、農業振興地域に指定されておりまして、市の農業生産の一翼を担うエリアですが、物流立地としての需要が非常に高まっているわけです。
 今後、当該地の整備に向けて、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○佐藤都市整備局長 圏央道などの広域的な都市インフラを生かし、多摩地域に物流拠点を整備していくことは、東京及び首都圏の物流を支える上で重要でございます。
 このため、都が策定した東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針では、圏央道周辺における流通業務施設の整備を促進することとしております。
 一方で、お話の地区におけます物流拠点を整備するには、市街化調整区域及び農業振興地域の見直しが必要でございまして、青梅市において、現在、土地利用計画や農業政策等との調整を図りながら、物流拠点の整備計画策定に向けた検討を進めております。
 都といたしましては、関係機関と連携を密にして、市の取り組みを支援することにより多摩地域の物流機能の強化に取り組んでまいります。

○森村委員 当該地での物流拠点開発の実現ですが、多くの地域住民が望むところであり、前向きに取り組みを進めていただきたいと思います。
 取り組みに当たっては、代替地を求める営農者への適切な配慮と丁寧な対応、そして、新たな農業振興策の実施、また、時代の先端を行く物流拠点のあり方についての情報提供などを要望しておきます。
 次に、当該地の物流拠点整備にあわせまして、物流ネットワークの構築や地域の利便性向上に寄与する圏央道アクセス道路の整備について伺います。
 圏央道アクセス道路の一つ、青梅三・四・一三号線については、圏央道青梅インター付近が未整備で、事業化に当たっての課題があると聞いています。
 そこでまず、本路線の整備に当たり、現時点で把握している課題はどのようなものなのか、お伺いいたします。

○西倉東京都技監 青梅三・四・一三号線のうち、青梅市今井五丁目の岩蔵街道から瑞穂町長岡下師岡の青梅街道に至る約一キロメートル区間につきましては、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。
 本路線の事業化に当たりましては、事業予定地の一部に、戦後、農地改革の一環として、国が山林などの未墾地を買収した開拓財産がございまして、用地の取得に向けて農地法に基づく手続が必要でございます。
 また、事業予定地の一部は、農用地区区域内であり、この区域から除外するため、農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして、地元自治体との調整が必要でございます。
 さらに、岩蔵街道との接続部は複雑な構造となることから、交差点形状について検討を要します。

○森村委員 課題についてわかりました。
 それでは、その課題解決に向けた来年度の取り組みについて伺います。

○西倉東京都技監 来年度は、開拓財産の取得に向けまして、国など関係機関と手続を進めるとともに、農用地区域からの除外手続につきまして、地元自治体と調整を進めます。
 また、岩蔵街道との接続部の交差点形状を検討するため、交通量調査や道路概略設計を実施いたします。
 今後とも、圏央道の青梅インターチェンジへのアクセス性を向上させるため、本路線の整備に向け、着実に取り組んでまいります。

○森村委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 次に、人生百年時代において、健康寿命の延伸が極めて重要になります。ぴんぴんころりという言葉がありますが、亡くなる直前まで健康でいられる社会を目指して、都全体の活力向上につなげなければなりません。
 都は、都道府県健康増進計画に基づいて、第二次の東京都健康推進プラン21を進めておりますが、先月パブコメを行いました。報告書案では、改善している項目と、そうでない項目、指標があるんですけれども、中間評価を踏まえて、どのような施策を来年度展開するか伺います。

○内藤福祉保健局長 東京都健康推進プラン21(第二次)の中間評価では男女とも健康寿命は延伸し、二十七の指標のうち十三は改善しているものの、女性の飲酒に関する指標や高齢者の社会参加に関する指標、栄養、食生活に関する指標などの項目については、残念ながら改善が見られておりません。
 このため、来年度は、女性を対象に、飲酒に伴う健康リスクや適度な飲酒の重要性を啓発するとともに、高齢者を含め、都民の社会活動への参加を促進する観点から、地域ですぐれた取り組みを行う団体等を表彰し、その取り組み内容をさまざまな広報媒体を活用して広く発信してまいります。
 また、フレイルの原因の一つである高齢者の低栄養を予防するため、コンビニエンスストアと連携した普及啓発や配食事業者を対象とした講習会を行うなど、都民の健康づくりの推進に向け、さまざまな施策を展開してまいります。

○森村委員 本件ですね、さまざまな分野が連携していくべきと考えておりますけれども、最後に、知事の見解と意気込みをお伺いいたします。

○小池知事 健康づくりは、まず一人一人が日ごろから食事、運動、休養などの生活習慣に気をつけることから始めなければなりません。子供のころから、幼少期から望ましい生活習慣を確立して、働く世代においては、定期的な健診受診や生活習慣の改善に努める、高齢期におきましては、適度な運動を実践して社会活動や地域活動へ参加することなどが必要でございます。
 健康づくりというのは、個人の自覚と実践が基本ではございますが、都民の主体的な取り組みを社会全体で支援することも不可欠と考えております。
 学校におきましては発達段階に応じた健康教育、企業では職場の環境の整備や健康診断の実施、そして区市町村においては地域の状況に応じた事業の実施などに取り組むことが重要でございます。
 年齢を重ねましても、いつまでも健康で暮らしたい、そうした都民の願いに応えるためにも、学校、企業、区市町村など、さまざまな分野の関係機関と連携をいたしながら、ライフステージに応じた健康づくりと、それを支える環境づくりを進めてまいります。

○石川委員長 森村隆行委員の発言は終わりました。(拍手)

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