予算特別委員会速記録第三号

   午後三時三十分開議

○上野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 高倉良生委員の発言を許します。

○高倉委員 東京二〇二〇大会が来年に迫ってまいりました。オリンピック憲章にうたわれている人権尊重の理念について、開催都市東京でどう取り組みが進んでいるかが注目をされております。
 都議会公明党は、東京における人権施策の基本理念となる東京都人権施策推進指針の内容が長い間そのままになっており、時代の要請に応える内容になっていないことを、以前、質問で指摘をいたしました。それを踏まえ都は、平成二十七年に指針の見直しを行いました。
 新しい指針には、十七項目の柱が明確に示されました。その中には、体と心の性が一致せず苦しんでいる人がいるという性自認の課題、さらに性のさまざまなあり方に関する性的指向にかかわる課題がそれぞれ柱として盛り込まれたわけでございます。
 性自認また性的指向というと少しわかりづらいかもしれません。LGBTなどの性的マイノリティーといった方がわかりやすいかもしれません。
 昨年には、知事のご提案によります東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が都議会で可決、制定をされました。その条例には、人権にかかわる重要な柱としまして、性自認、性的指向が盛り込まれております。
 人権問題は多岐にわたることはいうまでもありませんけれども、特に多様な性の課題をしっかりと捉えて条例提案をされました知事の的確な見識を高く評価をいたしたいと思います。
 まず、人権尊重への取り組みの中で、性自認、性的指向にも重要な視点を置いた知事の所見についてお伺いいたします。

○小池知事 お答えいたします。
 多様な人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重される都市、それこそが私が目指しておりますダイバーシティー東京でございます。
 また、東京二〇二〇大会のホストシティーでもございます東京都でございます。オリンピック憲章を遵守して、そこにうたわれている人権尊重、この理念を実現することは、まさに必要不可欠といっていいかと思います。
 このため、人権尊重条例を制定をいたしました。多様な性の理解の推進を人権課題の一つの重要な柱として位置づけること、そして性自認及び性的指向に関する不当な差別の解消及びその啓発を推進し、人権尊重の理念を浸透させるという都の姿勢を明確にしたところでございます。
 東京二〇二〇大会とその後につながります持続可能なよりよい未来のために、性的マイノリティーの方々も含めまして、誰もが生活しやすい都市東京の実現に努めてまいりたいと考えております。

○高倉委員 条例に特に盛り込まれましたLGBTなどの性的マイノリティーの方々と、私は意見交換を重ねてまいりました。その中で、同性のパートナーと生活する人が、さまざまな生活の場面で同等に対応されないといったような声を聞いてきたわけでございます。
 例えば、病院におきまして手術など必要な治療を行う際などに、家族に同意を求められることがあるわけでありますが、同性パートナーは婚姻関係を認められていないために、パートナーが急病になったときに困ることがあるということもございます。
 こうした課題について、都立病院では、条例が制定をされる前の平成十三年には、患者権利章典というものを定めまして、さまざまなケースに対しまして適切な対処をしてきているというふうに聞いております。同性パートナーの方々について、これまでどう対応してきたのか、病院経営本部長の答弁を求めたいと思います。

○堤病院経営本部長 都立病院では、患者中心の医療を実現するため、お話のとおり平成十三年に患者権利章典を制定しております。ここには、患者の誰もが一人の人間として人格、価値観などを尊重されることや、治療方法などをみずからの意思で選択する権利を有することなどを掲げ、患者の自己決定権に基づいた医療を提供することを基本方針としております。
 この方針に基づき、都立病院では、面会者の範囲や患者が希望する手術などへの同意者を誰にするかは、法的な親族に限定せず、患者自身に決定いただいており、性的マイノリティーの患者についても同様でございます。
 また、重篤な状態で救急搬送されるなど、患者本人の意思を確認できない場合におきましても、患者の関係者からできる限り情報を収集し、患者の意思を推定するなど、患者個々の事情に応じた対応を行っております。

○高倉委員 今、ご答弁をいただきましたけれども、都立病院としては、できる限りの対応をしているというお話でございました。ただ、救急搬送も含めまして、さまざまな患者の状況に対応する病院においては、必要な治療から、場合によっては死亡に至るまでいろんな場面がありまして、同性パートナーの方々が困る事態ということが、実際には、まだ実は存在をするわけでございます。そして今、答弁にありましたとおり、都立病院においては大変丁寧なご対応をされているということであります。
 その上で、当事者の方々は、同性パートナーとして生活をしているということを、その都度説明しなきゃならないのですよ。その都度告知しなきゃならない。実は、これが精神的な負担にもなっているということは否めないわけでありまして、さまざまな配慮が実はさらに必要なわけであります。
 都立病院での対応を例に挙げましたけれども、そのほか、都が実施をする事業や、あるいは住民サービスに限ってみても、同性パートナーへの新たな配慮が必要なことがいろいろあるわけでございます。
 現在、同性の関係を証明をするパートナーシップ制度を導入する自治体が広がりを見せてきております。私が居住する地元の中野区もその一つでありまして、中野区においてこの制度が既に実施をされておりまして、これは地元の公明党区議団が全力で推進をしてきたものであります。
 私は、東京都が関係をする事業や都民サービスにおいて、同性パートナーへの配慮が必要であるということを考慮するならば、東京都においても、そうした同様の取り組みが必要ではないかというふうに考えているわけであります。
 都道府県でパートナーシップ制度のような取り組みを導入しているところは、現在のところないわけでありますけれども、茨城県では、開会中の第一回定例会において、それにかかわる条例改正が審議をされているというふうに聞いているわけでございます。
 私は、都の条例を生きた条例とするためには、他の道府県をリードするような具体的な施策を実施すべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、この点についての知事のご所見をお伺いしたいと思います。

○小池知事 性自認、そして性的指向に関して当事者が抱える困り事というのは、今ご指摘ありましたようにさまざまでございます。そして都の行政サービスにおけるそれぞれの現場で、当事者の方々にどのような配慮が必要なのか、これを考えることは重要でございます。
 現在導入されております同性パートナーシップ制度の内容でございますが、さまざまにございまして、婚姻関係のあり方にかかわるものでございますので、国民的な議論も必要かと認識をいたしております。
 同性カップルの支援に向けては、パートナーシップ制度を採用する動きも承知をいたしておりますが、制度の導入については、各自治体の判断が尊重されるべきと考えております。
 そこで、都といたしましては、先般成立した人権尊重条例を踏まえて、性的マイノリティーの方々に対しまして、都庁の各局の施策現場でどのような配慮が必要なのか、個別具体的に検討をして、必要な取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 そして、ご指摘のように、当事者の方々に寄り添う施策の展開を通じまして、誰もが生き生きと生活できるダイバーシティー東京を実現してまいりたいと考えております。

○高倉委員 今、知事が答弁をされました中で、都庁各局の現場において、どのような配慮が必要か検討をし、必要な取り組みを推進すると、これはとても重要な答弁ではなかったかというふうに思います。
 その一方で、今、知事の答弁の中で、国民的議論が必要であると、確かにこれはこのとおりなんだというふうに思いますけれども、そういった議論を誰がリードをしていくのか、こういう課題もあろうかと思いますし、各自治体の判断が尊重されるべきということも、これもそのとおりではありますけれども、東京都も、これは自治体であります、東京都自身のやはり主体的な判断ということもあるんだというふうに思います。
 今回の都の条例にオリンピック憲章という言葉がありますけれども、これは二〇一四年のソチの冬季大会、そこにおいての出来事を踏まえて、そしてその後、IOCにおいて、このオリンピック憲章の中に性的指向といった文言を入れる改正がなされたということであって、こうした経緯を踏まえますと、大変国際的にも重要な課題であると、それを踏まえて都として条例を制定をされたということは、本当に的確な取り組みであったというふうに思います。
 私は、この条例に魂を入れていかなきゃならないと、あるいは命を吹き込んでいかなければならないと、そういうふうに思うわけでありまして、そのためには、都として、世界にアピールすることができるような具体的な方策といったものをぜひ、知事に方針も示していただきながら取り組みをしていただきたいというふうに思うわけですけれども、改めて、済みません、もう一度ご答弁をいただければと思います。

○小池知事 来年の東京二〇二〇大会は、まさしくそういったアピールを世界に伝えていく絶好のチャンスかと、このように思います。今ご指摘の点を踏まえまして、しっかりと対応していきたいと考えております。

○高倉委員 最近は、企業においても、LGBTなどの性的マイノリティーの方々に配慮をする取り組みというのが進んでいるわけであります。
 例えば、研修会の開催でありますとか、相談窓口の設置あるいは企業の採用のときのエントリーシートから性別欄をなくしていくといったような配慮、あるいは誰でも使えるトイレといったものの整備、こうしたことが、さまざまに今行われているわけであります。
 東京都も、多数の職員を擁する、いわば事業体でありまして、またその一方で、行政でありますので、この仕事に携わる職員の方々は、さまざまな住民に対応をしていくといったような役割も担っているわけであります。
 したがって、LGBTなどの性的マイノリティーの方々に対しては十分に配慮をできるようにするべきというふうに思っております。事業主体としての都の取り組みについて答弁を求めたいと思います。

○遠藤総務局長 性自認及び性的指向に関して悩みや困り事を抱える当事者の方々に対し、各現場において適切に対応するためには、そうした方々と対峙する、担当する都の職員がこの問題について正しく理解をしていることが不可欠だと考えております。
 このため、性自認及び性的指向に関し、人権課題をテーマとした全職員を対象とするeラーニングや管理監督者向けの研修等を実施しているところでございます。また、人権尊重条例制定を契機に設置した全庁横断の会議を活用し、庁内における認識の共有化に努めております。
 来年度は、性的マイノリティーの方々への配慮などを記載した職員向けのマニュアルも作成し、研修資料としても活用していくことなどによりまして、性自認及び性的指向に関する職員の理解をさらに進めてまいります。

○高倉委員 次に、外堀の水質改善対策について質問をいたしたいと思います。
 外堀は、玉川上水からの水を排水して、また、舟運を確保するために江戸時代に形づくられた遺構であります。現在、史跡として、地元だけではなく我が国の国民全体で保全すべき施設として国指定の史跡に位置づけられてもおります。
 しかしながら、その水面では、冬場を除く春先から秋にかけまして発生するアオコによって水面が覆われ、悪臭を放つなどの課題を抱えております。この原因は、従来あった玉川上水からの水の補給がなくなったこと、また、下水道のはけ口から大雨が降るたびに汚水まじりの雨水が流れ込むことなどというふうにもいわれております。
 現在、都は、来年に迫った東京二〇二〇大会で、国内外から観戦に来られた多くの人たちに、少しでも快適な観戦環境を提供するために、外堀のしゅんせつや下水道の改善に取り組んでいるわけであります。具体的には、降雨時の汚れた下水が外堀に流入しないよう貯留施設の整備を進めておりますけれども、これまでの対応と今後の取り組みについて説明を求めたいと思います。

○小山下水道局長 下水道局では、雨天時に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を削減する合流式下水道の改善に取り組んでおります。特に、二〇二四年度から強化されます下水道法施行令に対応するために、降雨時の汚れた下水を貯留する施設の整備などを進めてございます。
 外堀では、十二カ所ある全てのはけ口に、ごみなどの流出を抑制します水面制御装置を設置いたしました。加えまして、外堀の流域では一万六千六百立方メートルに及ぶ下水を貯留する必要がございまして、そのうち、既に一千八百立方メートルの貯留管を稼働させてございます。現在、外堀通りの地下五十メートルで、残りの一万四千八百立方メートルを貯留する直径三メートル、延長約二・三キロメートルの貯留管の工事を進めております。
 事業効果を早期に発揮するため、外堀への放流量が最も多いはけ口から改造を行い、先行して貯留してまいります。これにより、雨天時に下水道から外堀に放流される汚濁負荷量を東京二〇二〇大会までに半減させてまいります。

○高倉委員 パネルをごらんいただきたいと思います。先ほど答弁にもありましたけれども、この丸い印が書かれているものがはけ口であります。
 このうち、この左下の方のオレンジ色のところ、ここのところが、外堀に下水の水が流れ出てくる約六割が、このオレンジ色のはけ口から流入するところであります。東京オリ・パラ大会までに、このはけ口をとめて貯留管の方に取水をされますと、外堀全体で、雨天時、雨のときには、下水から放流される汚濁負荷量が半減をするということであります。
 その一方で、この黄色で示している点、ほかに、このオレンジ色以外に十一カ所のはけ口があるわけでありますが、ここを同じようになくしますと、下水による外堀の汚濁というのがなくなるわけでありますが、この外堀への下水の流入がほとんどなくなるまでの取り組みと完成時期についてご答弁をいただきたいと思います。

○小山下水道局長 外堀の水質改善を図るためには、残る十一カ所のはけ口におきましても対策を進め、降雨時の汚れた下水を貯留していく必要がございます。貯留するためのはけ口の改造や下水を集める取水管などを整備し、外堀通りで現在施工しております貯留管に接続してまいります。
 これらの取水管などの工事は、市ヶ谷駅や飯田橋駅付近におきます地下鉄や埋設物がふくそうした箇所での困難な工事と想定されます。
 このため、今後、関係機関との協議を精力的に進めながら詳細な設計を行い、二〇二三年度末までに外堀にある全てのはけ口で対策を完了させてまいります。
 こうした取り組みによりまして、雨天時に下水道から放流される汚濁負荷量をさらに削減し、外堀の水質改善に貢献してまいります。

○高倉委員 私ども都議会公明党がこれまでも問題提起をしてきたところでありますけれども、この下水道の改善事業が完了をしますと、外堀にはほとんど水の循環がなくなってしまいまして、たまり水となった外堀では、相変わらずアオコや、あるいは悪臭が発生するなど環境問題になることを私どもは危惧しているわけであります。下水のはけ口がなくなるあと五年のうちに、恒久的な水質浄化対策を進めなければならないわけであります。
 この外堀ではなくて内堀ですね、内堀では、環境省が平成二十七年度末までに下水の流入をなくしました。そうすると内堀はいわばたまり水になりまして、水質が悪化をするわけであります。そこで、環境省は、平成の初めごろから、水循環の計画に取り組んできたというわけであります。平成二十五年度には、この循環施設を完成をさせまして、雨水を補給できるシステムを完成をさせたわけであります。
 一方、今、この質問で問題にしております外堀においては、下水をとめた後の対応が明確ではないわけであります。外堀は、河川法等の公物管理法の適用のない法定外公共物であります。現在、管理の役割分担は、財産所有者は国土交通省、そして東京都は法定受託事務として、土地境界確認などの財産管理を行っています。そして、使用許可などの日常の維持管理は、千代田区や新宿区や港区などの特別区が行っているわけであります。外堀の水質改善策が進まない背景には、こうした複数の行政機関が入り乱れ、実行管理ができていないといったようなことが主な要因であるというふうに思います。
 現在、東京都は、検討会を立ち上げまして外堀の水質改善方策を検討しているわけでありますが、しゅんせつやかい掘りのような一時的な効果しかない方策ではなく、恒久的な方策を検討すべきと考えますけれども、答弁を求めます。

○佐藤都市整備局長 都は庁内の関係局による検討会を立ち上げまして、外堀のより効果的な水質改善方策について検討を進めております。今年度は、全国の他の閉鎖性水域での取り組み事例を収集し、比較検討を進めており、また、一月には学識経験者などへの意見聴取も実施しております。
 これらを踏まえまして、来年度から、アオコの発生時期における水質等を詳しく調査した上で、想定される対策内容に応じたシミュレーションを行って水質改善効果の予測評価を行うとともに、その対策を実施した場合の課題の整理も進めながら、外堀への適応可能な方策について引き続き検討をしていく予定でございます。
 こうした取り組みを通して、外堀の恒久的な水質改善方策について着実に検討を進めてまいります。

○高倉委員 外堀の水の浄化は、単に外堀の環境がよくなるだけではありません。外堀の水は神田川に流れ、そして日本橋川の方にも流れていくわけであります。日本橋では、二〇三〇年代には高速道路が地下化をし、さらに国際金融都市としても再開発をされ、そして舟運も本格化されてくると。きれいな流れは、まちの魅力創出にもつながってきます。ぜひ外堀の恒久的な対策をしっかりとお願いしたいと思います。
 次に、子育て支援に関しまして、男性の不妊について質問をいたしたいと思います。
 一般的に、高齢になればなるほど妊娠が難しいというふうにいわれますけれども、しかしながら、女性の側の要因にばかり目を向けられる傾向があるわけであります。私は、男性の側にも要因があって、そこにも目を向けながら、妊娠、出産にかかわる対応を考えていくべきであるというふうに思います。
 近年、晩婚化、そして出産の高齢化が進んでいる現状がありますけれども、その中で、男性の年齢が高くなりますと、女性の年齢にかかわらず、妊娠するまでの期間が長くなるというようなことも明らかになっているわけであります。
 例えば、男性が二十代までですと、女性が妊娠するまでに約六カ月ぐらいかかる。それが、男性が、例えば四十代の後半ぐらいの年齢ということになりますと一年半ぐらいかかると、そして五十歳以上になりますと二年ぐらいかかると、こういったデータがあるわけであります。
 一つパネルをごらんいただきたいと思います。これは東京都の印刷物に掲載をされている資料であります。このダイダイ色のグラフは、女性と同じ年代の男性のケース、そして青い色の方は男性が女性より五歳以上年上の場合。この下の横棒は排卵日をゼロとしまして性交日であります。そして、この縦の棒は、これは妊娠率ということになりますけれども、このグラフを見てもわかるとおり、男性が五歳以上年上の場合に比べて、男女同年代の方が妊娠率というのは高いということが見てとれるというふうに思います。年齢とともに男性の精子にも衰えがあらわれてくるということであります。
 一方、世界の最先端の研究では、子供の疾病について妊娠時の父親の年齢が大きく影響するといったようなことも明らかにされているわけであります。
 子供を持ち、育てたいという希望を持つ男性は、高齢化の影響など、妊娠、出産にかかわる正しい知識を持って、個人個人のライフプランを立てていくことが重要であるというふうに思います。
 都議会公明党はこれまで、妊娠、出産にかかわる都の対応や不妊に対する支援を強く求めてまいりました。昨年十二月にも小池都知事に対しまして、改めて不妊などに関する取り組みを要望させていただいたところでございます。
 不妊の要因は、女性だけではなく男性にもあるという認識を男性が持つことが必要でありまして、その普及啓発を図っていくべきであります。男性の不妊についての都の認識と取り組みにつきまして答弁を求めたいと思います。

○内藤福祉保健局長 不妊の原因の半分は男性にあるとされておりまして、こうしたことを含め、男女を問わず妊娠、出産に関して正しい知識を持てるよう普及啓発を行うことが必要であると考えております。
 そのため、都は、平成二十二年度に不妊の原因や妊娠、出産の適齢期などを紹介した小冊子を作成し、区市町村の窓口や都内の大学等で配布しております。二十五年度には、男性にも不妊につながる要因が存在することを詳しく説明した内容を盛り込むなど改訂いたしまして、今年度はこれまで以上に関心が集まるよう、さらに内容を充実し、デザインを一新するとともに、配布先も専修学校まで拡大いたしました。
 また、体の仕組みや年齢と妊娠の関係、不妊の原因など、妊娠、出産に関しまして男女とも知っておくべき内容をまとめたリーフレットも作成し、都内の大学や区市町村の窓口のほか、成人式でも配布しているところでございます。

○高倉委員 都は、新年度の予算に不妊検査や治療を拡充する内容を盛り込んでいますけれども、男性の要因も含めた不妊に関する普及啓発は、今後も重要になってくるというふうに思います。普及啓発は、多様な情報手段を十分に活用しながら展開をしていくべきというふうに思いますけれども、この点についての見解を求めたいと思います。

○内藤福祉保健局長 都は、来年度、先ほど申し上げました小冊子やリーフレットに加えまして、動画やウエブ広告等を利用して、妊娠や出産、不妊治療、男性不妊等、子供を持つことに関する知識の普及啓発を実施することとしております。
 また、子供を持ちたいと希望する方が個々の状況に応じて必要な情報を得られるよう、妊娠に関する一般的な知識や不妊検査、不妊治療、不育症、男性不妊に関する情報等を一元化し、幅広く発信するポータルサイトを新たに開設いたします。
 今後とも、男女ともに妊娠、出産に関する正しい理解が進むよう、さまざまな媒体を活用しながら普及啓発に取り組んでまいります。

○高倉委員 次に、自然公園について質問をいたしたいというふうに思います。
 このパネルの写真をごらんいただきたいと思います。これは先月、青梅市の御岳山で行われた登山の様子でございます。この真ん中のオレンジ色の服を着ている方は、前の人につかまって登山をしておりますが、この方は視覚障害の方でございまして、この方が登山をされておりました。
 それから、次の写真ですけれども、この登山には、車椅子の方も参加をしたわけであります。車椅子に人力車のような牽引装置をつけまして、登山道を登っているわけであります。
 かねて、私たち公明党は、車椅子につけるこの人力車のような牽引の装置について、災害時に車椅子の方々が避難する際にはとても有用であるということを訴えてきたわけでありますけれども、実はこういう登山にも使えるということを知って私も驚いたわけであります。
 それから、この写真はケーブルカーに乗りおりするところ、階段があるわけでありますけれども、車椅子の下にキャタピラーをつけて移動して、そしてケーブルカーに乗りおりをすると、この写真であります。
 都が一年半前に策定した自然公園ビジョンにおいては、目指す姿の一つとして、誰もが訪れ、誰もがかかわることができ、誰からも理解される自然公園というのを掲げているわけであります。私は、この誰もがというところに着目をして、ソフト対策を充実させることができれば、障害のある方々も気軽に自然公園を楽しむことができるというふうに考えてまいりました。
 そこで、常任委員会でも質問したところ、検討を行うという答弁がございまして、その検討の一つとして行われたのがこの登山でございます。現時点での検討の状況について答弁を求めたいと思います。

○和賀井環境局長 都では、お話のように誰もが楽しめる自然公園を目指しておりまして、山岳地の土地の形状など物理的な制約条件の多い自然公園において、障害のある方々の利用を進めるためには、ソフト対策を充実させることが重要であると考えております。
 そこで、今年度、障害者の自然公園利用促進に関する内外の先進事例の調査や、障害者や支援団体あるいはレジャー施設管理者等へのヒアリングを実施するとともに、学識者や支援団体等の参加を得た検討会を開催し、課題の整理や必要なソフト対策について検討をしてまいりました。
 今、委員がお示しいただきましたパネルの写真でご紹介いただきましたけれども、検討会の中でさまざまなハンディキャップのある方々やその支援者、地元交通事業者やビジターセンタースタッフとともに御岳山に登りまして、現場検証を行ったところ、必要な対策について活発な意見交換がなされたところでございます。

○高倉委員 貴重な結果が得られたというふうに思います。それを来年度以降どう生かしてソフト対策を充実させていくのか、このことについて答弁を求めたいと思います。

○和賀井環境局長 検討会では、自然公園の利用は障害のある方もない方も自己責任が原則ではございますが、行政は障害者や支援者が利用に際して、みずからさまざまな判断ができる情報をあらかじめ提供することが重要であると指摘されたところでございます。
 具体的には、各トイレにおける洋式トイレの個数や登山道の傾斜などについての情報がホームページや地図等にあらかじめ提示されていれば、必要な支援体制や装備の準備が可能となるということでございました。このほか、ビジターセンターにおける障害特性に応じた個別ガイドや登山道での走行が可能となる車椅子用の補助器具の貸し出し等も有効であるということが確認されたところでございます。
 今後、検討の結果を踏まえまして、地域と連携した情報提供の充実やビジターセンターにおける器具の貸し出し等、必要なソフト対策に取り組んでまいります。

○高倉委員 私は自然公園に関しまして、特に東京の自然史博物館というものが必要であるというふうに考えてまいりました。東京都には残念ながら、これはないんですね。しかしながら、周辺の県にはこれがあるわけであります。特に静岡県なんかは大変立派なものがあるわけであります。
 東京都はこれに対してしっかりと取り組んでいるわけでありますが、ことしは都内の大学や、あるいは内外の自然史博物館等における都内の自然に関する資料の保有状況等について調査を行い、課題の整理をしてきているというふうにも聞いております。
 私は、都の自然史博物館の検討に当たっては、大学や動植物園等が多く存在するという東京の立地特性を生かしまして、都が中心となって大学や研究機関等と連携をしていくことが有効ではないかというふうに考えております。
 ことしの調査結果についても、都の内部だけで検証を行うのではなく、大学や研究機関とともに、今後何が必要で、それぞれどうした役割を果たしていくことができるのか、検討を進めるべきと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○和賀井環境局長 今年度の調査では、都内の大学や周辺県の県立自然史博物館等における東京の自然環境情報の蓄積状況ですとか、管理体制の現状等について調査を行いました。
 その結果、大学や周辺県の博物館等は対象分野の偏りはあるものの、一定規模の標本等資料を収集、保管していることや貴重な標本を個人的に所有する数多くの研究者の存在も明らかになったところでございます。しかし、各研究機関等が情報を共有する仕組みが十分に機能しておらず、蓄積された知見が活用し切れていないという実態が判明をいたしました。
 これらのことから、東京の自然環境情報に関する既存の蓄積のポテンシャルを十分に発揮させることが重要でございまして、今後は、大学や研究機関等と連携し情報の収集、分析、発信等についてさらなる検討を進めてまいります。

○高倉委員 東京は、都の面積に占める自然公園の割合というのが、実は滋賀県に次いで全国二位であります。非常に豊かな自然があるわけでありまして、ぜひ積極的な取り組みを行っていただきたいと思います。
 ところで、平成二十九年の第三回定例会において、私ども都議会公明党は、三宅島の雄山の登山道の安全確保とその活用について質問を行いまして、地元と調整、連携の上、東京都版エコツーリズムの導入について検討を行うという答弁を得たところでございます。
 来年度の予算には、伊豆諸島の自然保護と観光、エコツーリズムについて計上されているようでありますけれども、三宅島におきますエコツーリズムの調整、検討状況について答弁を求めたいと思います。

○和賀井環境局長 三宅島において、東京都版エコツーリズムの導入を図るため、今年度、活火山の登山利用の先進事例や自然環境等の調査を行いました。あわせまして、自然環境保全に向けた適正な利用人数や噴火時の安全対策等について地元三宅村や観光協会と連携しながら検討を進め、雄山の登山道の利用方針や役割分担を整理したところでございます。
 平成三十一年度は、早い時期に村と協定を締結し、エコツーリズムの実際の運用開始に向けてガイド養成やモニターツアー等を実施してまいります。
 これらの取り組みにより、人為的な影響を受けやすい自然環境の保全及び利用者の安全を図りながら、雄山の利用を促し、三宅島の魅力、東京の自然の豊かさを広く伝えてまいります。

○高倉委員 水害対策について質問をさせていただきます。
 私が初当選をした二〇〇五年の九月、私の地元の妙正寺川で大水害があったわけであります。その後、建設局の方々を初め、本当に最大限の尽力をいただいて水害対策が進んできております。
 現在、西武新宿線の鷺ノ宮駅の周辺で河川整備が行われておりますけれども、さらに上流を進めていく、その中で、私は調節池といったものをさらに追加をして整備をしていくことが必要であるというふうに思っております。
 この地域には、公社の西住宅というのがありまして、古い住宅であります。建てかえのときにはこうしたところも使って調節池を検討していただきたいと思いますけれども、今後の取り組みについてご答弁を求めたいと思います。

○西倉東京都技監 激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るには、護岸整備に調節池を組み合わせ、効率的、効果的に河川整備を進めることが重要でございます。
 妙正寺川上流部におきましては、平成二十五年に鷺宮調節池が取水を開始した効果によりまして、その上流の区間でも護岸整備に着手することが可能となったことから、現在、オリーブ橋付近などで工事を実施しております。
 また、平成二十八年に改定いたしました神田川流域河川整備計画では、最上流から八幡橋間におきまして、時間七十五ミリの降雨に対応した貯留量約六万八千立方メートルの調節池を位置づけております。
 今後は、引き続き上流に向けまして護岸整備を進めるとともに、調節池の検討に際しては他事業との連携も視野に入れまして、地元区等と調整を行うなど妙正寺川の治水対策に着実に取り組んでまいります。

○上野副委員長 高倉良生委員の発言は終わりました。(拍手)

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