予算特別委員会速記録第二号

   午後六時五分開議

○上野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 橘正剛理事の発言を許します。

○橘委員 都議会公明党を代表して総括質問をさせていただきます。
 昨日、三月十一日で東日本大震災の発災から八年となりました。被災地の皆様に改めてお見舞いを申し上げますとともに、より一層復興への思いを共有していくという決意を新たにしたいと思っております。
 それでは、質問に入ります。
 都の財政運営と平成三十一年度予算案について質問いたします。
 三十一年度予算案は、防災、減災対策や稼ぐ東京への施策の充実など、都民の安全・安心、東京の持続的発展につながる積極的な予算となっており、これは高く評価したいと思います。
 一方で、国の平成三十一年度税制改正では、地方法人課税のいわゆる偏在是正によって、今後、都の年間の減収額は約八千八百億円の見込みとなっております。
 そうした状況下で、我が党は今定例会の代表質問におきまして、バランスシートや行政コスト計算書を活用した事業評価や、都債、基金を創意工夫して活用する財政運営を行うべきと指摘いたしました。
 また、東京オリ・パラ大会に関係する経費や、築地市場跡地の有償所管がえに関係する経費などの議論に際しても、我が党は、都民に負担をお願いしたり、都民生活に影響を与えることのないように、財政運営の工夫という観点から種々施策を提案してまいりました。
 都民生活に影響を与えない財政運営の工夫とは具体的にどういうことなのか、これについて見ていきたいと思っております。
 まず、都の財政運営にとって重要な役割を果たしている基金と事業評価の取り組みについて、これまでの基金残高の推移と事業評価による財源確保について、この関係について伺いたいと思います。

○武市財務局長 東京都の基金残高は、バブル経済崩壊後、大幅に減少いたしましたが、平成二十年度末時点で約一兆八千億円まで回復をいたしました。しかし、その後のリーマンショックによる減収局面には約四千億円の取り崩しを行ったところでございます。
 さらにその後は、増収局面が続いていることから、計画的に基金を積み立てており、二十九年度末の残高は二兆八千億円となっております。
 その後、三十年度からは、東京二〇二〇大会の開催準備などのために積極的に基金を取り崩しておりまして、三十一年度末には約一兆九千億円にまで残高が減少する見込みでございます。
 また、事業評価につきましては、一つ一つの事業の効率性、実効性の向上に向けまして、創意工夫を凝らし、取り組みの強化を図っておりまして、事業評価の取り組みを開始した平成十九年度以降の財源確保額は、累計で約一兆三千億円に上ってございます。

○橘委員 今、局長から、基金残高、それから事業評価の成果についてお話がありました。
 これは、我が党が推進してきました、バランスシートや行政コスト計算書を活用した事業評価の取り組みによって、事業の新陳代謝が進んで、結果として基金残高の確保にもつながっていると思います。
 重要なのは、事業評価の取り組みというのは、単なる経費削減、それだけをやればいいというものではなくて、予算編成の過程で多面的な検証を行うことで、事業の継続、拡充、廃止などの判断を行い、事業の効率性、実効性を高めるところに意義があるわけであります。こうして積み立ててきた基金を戦略的に活用することで、税収の減収局面や一時的な歳出の増加などにも柔軟に対応していくことが可能となっているわけであります。
 都民サービスを支える都の施策の財源は、都税、中でも景気の影響を受けやすい法人税が大きなウエートを占めていることから、都にとって、基金の戦略的な活用というのは必要不可欠な手段であります。
 こうした都財政の構造を踏まえた上で、三つのシティーの実現に向けた基金と財政調整基金の戦略的な活用について、平成三十一年度予算における基金の取り崩し予定額と、あわせて見解を求めます。

○武市財務局長 三つのシティー実現に向けた基金につきましては、東京二〇二〇大会の開催準備の着実な推進などのために、平成三十二年度までの三カ年で一兆円以上を取り崩して活用することを予定しておりまして、三十一年度予算におきましては、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金を二千七百四十四億円、防災街づくり基金を一千七十六億円など、合計で五千五百七十七億円の取り崩しを計上してございます。
 一方、年度間の財源調整のかなめとなります財政調整基金につきましては、三十一年度末で、前年度比四十二億円増となります八千四百七十億円の残高を確保する見込みでございます。
 これらの基金を合わせました残高は、三十一年度末時点で約一兆九千億円となる見込みでありまして、長期的視点に立って健全な財政運営を図り、積極的、安定的な施策展開を支える観点から、引き続き戦略的に活用してまいります。

○橘委員 まず、東京オリ・パラ大会に向けて必要になる経費でございますけれども、さらには喫緊の課題である防災、減災対策、これにもやっぱりお金は必要になってまいります。しかしながら、都民に負担を転嫁しない形で、これを今まで基金で調整してきたという、こういう手法というのは、大いに評価されてしかるべきだと私は思っております。
 予算編成段階における財政運営の工夫を聞いてまいりましたけれども、予算の執行段階における工夫も欠かせません。
 我が党は、さきの財政委員会の質疑で、都民生活に影響を与えない工夫という観点から、築地市場跡地の有償所管がえにかかわる経費の財源を明らかにいたしました。
 すなわち、平成二十九年度の決算余剰金や予算の執行段階における経費の精査の徹底など、いわば過去に行った予算執行段階の工夫によって、築地市場跡地の有償所管がえに必要となる財源を生み出すことができた。これはひとえに、こうした工夫があってのことと思っております。
 このように、予算の執行段階においても無駄の排除を徹底して、施策の一層の推進につなげていく、こういった工夫も重要かと思います。
 ちょっとパネルをごらんいただきたいと思います。都の財政の基本的な構造、運営というのは、リーマンショックが発生した、これによって都税収入はがくんと落ち込みます。急激に落ち込んで、このときでもこの一般歳出は落ちていません。じゃあ、これをどうしたかというと、今申し上げた基金、この基金の残高によってこれを補っていった。それによって、都民のために必要な税金というのは、一般歳出という緑の線、これによって補完された。これによって滞りなく執行されているということが、まずここでいえると思います。
 そしてまた、平成二十四年ごろから税収が増加の局面に入っていきます。そうしますと、増収の局面に入っていったからといって、これを使うということをしないで、ある程度は使いましたけれども、使うということをしないで、計画的に基金に積み立てていった。これによって、一般歳出はやや伸びている、歳出は伸びている、都民のためのお金は使っていく、けれども基金も積み立てていくということをします。
 一部には意見もあります。都民からの税収が伸びたのだから、その分、都民に返せという、そういった意見もあります。しかしながらそうじゃないんです。いざというときに都民に負担をかけない、迷惑をかけないために、ここで基金を計画的に積み立てることがいかに大事かというのが、この折れ線グラフでわかるかと思います。
 そして、今、オリ・パラ開催の準備に向けてお金がかかっていく。これをどうするか。今まで積み立てた基金を取り崩して今活用しているから、オリンピックで大変なお金はかかるけれども、都民には負担をかけない、迷惑をかけていないという財政運営が都ではされているということが、このグラフにも如実にあらわれているかと思います。
 そうした対応というのは、これからも大事だと思いますので、これは私たちも留意していかなければならないと思っております。
 こうした手法を駆使した財政運営、これは、これからも都民には負担を強いていかない、そういった体制を貫いていただきたいと思いますが、こうした財政運営の中で、これからも三十一年度予算案で政策実現、これは知事が今大変な思いで、さまざまな施策も盛り込んでいらっしゃいます。そうした財政運営の中、来年度予算への思いも込めて、三十一年度予算で政策実現に込めた知事の思い、そしてまた臨機応変の的確な財政運営への思いについて、知事の見解を求めたいと思います。

○小池知事 平成三十一年度予算案には、二〇二〇年を越えたその先の東京、日本の持続的な成長に向けて、その土台を固めるべく、未来を見据えた施策を数多く盛り込んだところでございます。
 具体的には、気候変動に対します都市力の強化、東京、日本の持続的成長に不可欠な稼ぐ東京、そして都市の活力の源泉である人と人をつなぐ、この三つを軸にいたしまして、三つのシティーを実現するための施策を展開いたしてまいります。
 過去最高の四百十一件の新規事業を盛り込むなど、まさに未来に向けた道筋をつける予算に仕上がったと、このように考えております。
 あわせまして、複式簿記・発生主義による新公会計制度を分析ツールとして活用し、事業に必要な経費とその効果をエビデンスベースで比較検証する新たな評価を導入するなど、事業評価の取り組みに工夫を凝らしまして、無駄の排除を一層徹底したところでございます。
 また同時に、予算規模が過去最大となる中でも、将来世代の負担を見据えまして、都債の発行を抑制するほか、基金を戦略的に活用するなど、財政の健全性にも目くばせをしながら、これまで以上にめり張りをきかせた予算とさせていただきました。
 まさしく、ただいま橘教授の財政教室がわかりやすく指し示していただいたとおりでございます。ありがとうございます。
 この三十一年度予算案をてこにいたしまして、将来にわたって都民の負託に応えるための財政運営にさらなる磨きをかけるとともに、都民生活を守って、東京、そして日本の持続的成長につながる施策を積極果敢に展開をしてまいります。

○橘委員 テーマをオリンピック・パラリンピック大会に移します。
 東京オリ・パラ大会本番まで、ちょうど五百日となりました。東京都では大会本番に子供たちを競技観戦に招待する事業を展開することにしております。これは、過去のオリンピック大会、パラリンピック大会を見ますと、子供の競技観戦が行われているのは結構ございまして、直近では二〇一二年のロンドン大会、これでは子供たちを三十万人招待しているんですね。それから、二〇一六年のリオ大会では約十一万人の子供の観戦が報告されておりまして、大変な人数が観戦に招かれているわけであります。
 子供たちにとって、オリンピックを本番で、生で見るということは、これほど生涯の思い出になることはないだろうし、また、これを契機にスポーツに対する、また、その中から世界的なアスリートも誕生してくるかもしれない、何がきっかけで子供たちの夢を大きく膨らませるのか、育てるのかわからないと思います。
 この大会で観戦するということは、大きな大きな私は意義があると思っております。したがって、できるだけ多くの子供たちを観戦に招いて見せてあげたい、そんな思いがしてなりません。
 したがって、どのくらいの規模で子供たちの観戦ができるのか、この規模感について教育長にお尋ねしたいと思います。

○中井教育長 都教育委員会は、都内全公立学校において、全ての子供がかかわる教育活動であるオリンピック・パラリンピック教育の集大成として、子供たちにかけがえのないレガシーを残すため、東京二〇二〇大会本番の競技を直接観戦する機会を提供することとしております。
 そのため、昨年十一月に、区市町村教育委員会や都立学校に対し、第一回の意向調査を実施し、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など全ての学校種別を対象に、子供の観戦の意向を確認いたしました。
 その結果、現時点において、公立学校と私立学校を合わせて百万人以上の観戦希望が出てきており、過去大会と比較しても、史上最大規模の子供の観戦が実現される見込みでございます。

○橘委員 百万人を超える規模というのは、本当に希望が持てる、夢が膨らむ規模だと思います。
 こういった今までの例にないような規模で展開する、これは非常に期待が持てるんですけれども、ただしその人数を、いかにどの会場のどの時間帯に観戦してもらうか、これを調整するのは大変な作業だと聞きました。
 しかしながら、学校の行事の関係とか夏休みの関係、それから夏休みが終わってからの観戦と、さまざまなケースがあります。したがって、その調整には大変な苦労が必要かと思っておりますけれども、このスケジュールについて都教委はどのように調整していくのか、その見解を求めます。

○中井教育長 子供たちの競技観戦につきましては、東京都を含む全国の子供の観戦を実現するために、組織委員会が企画した学校連携観戦チケットを活用してまいります。
 今後、組織委員会から、都内の子供の観戦について、より具体的な条件が提示された後に、都教育委員会は、観戦を希望する各学校に対し、観戦会場、競技、時間等に係る詳細な意向調査を実施いたします。
 遅くとも平成三十一年度末までには各学校の具体的な観戦内容を決定する予定であり、今後、組織委員会や区市町村教育委員会等とも精力的に検討を進め、希望する全ての子供が観戦できるよう取り組んでまいります。

○橘委員 希望する子供たちは全員が観戦できるように、これは本当に最大の配慮をしていただきたいと思っております。
 同じく子供の観戦の関係ですけれども、被災地の子供たちの観戦ですけれども、オリ・パラ大会の競技観戦、被災地の子供たちを招待するという取り組みについて、具体的に伺っていきたいと思います。
 私は、東日本大震災の被災地の子供たち、これは人選するのが大変だろうなというふうに思います。たくさんいますし、いろんな分野がいますけれども、その中でも、一つの提案でありますけれども、東日本大震災の被災直後から、東京に、スポーツ交流ということで、被災地から子供たちを招いてまいりました。サッカー、野球、バレーボール、そういった種目の交流をしてきたわけでありますけれども、東京に縁のある子供たち、東京に来て一緒に交流した仲間でもありますので、これは、そういったスポーツ交流事業に参加した子供たちであるとか、それから、被災地で今も大変な状況で生活している子供たちもいらっしゃいます。それから、被災に負けずに活躍しているジュニアアスリートも、東北地方にはかなりいらっしゃるというふうにも聞いております。
 そういった人たちに東京に来てもらって、そして交流をするというのは、これまた大事なことかと思いますけれども、この点についてはどういう認識でしょうか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 都が平成二十三年度から実施しておりますスポーツ交流事業を通じまして、都と被災地の間でかけがえのないきずなが築かれているというふうに考えております。
 このきずなをより確かなものとするとともに、今この瞬間も被災地で頑張っている子供たちにスポーツの力でエールを送るため、被災地の未来を担う世代の方々を東京二〇二〇大会へ招待したいと考えております。
 二月七日の復興支援連絡協議会におきまして、取り組みの方針につきましては各県とも意見交換をしておりまして、今後、速やかに、招待する子供の選定方法などについて、ご提案いただきました内容も含めまして、各県等の希望も丁寧に聴取しながら、具体的な検討を進めてまいります。

○橘委員 期待しております。
 そしてまた、東京に招いた子供たち、観戦してすぐ帰るというのでは、ちょっと味気ないような気がしてなりません。
 したがって、そこで、オリンピックに出場した選手そのものと交流というのは、大会最中でありますし、これは難しいかと思いますけれども、これまでにオリンピック・パラリンピック大会に出場した人たち、またはそういったメダリスト、そういう人たちとの交流の機会をつくってあげたら、また招待された子供たちは物すごく喜ぶのではないかと思いますけれども、この辺の考えはどうでしょうか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 競技観戦により、大会の感動を肌で感じていただくことに加えまして、オリンピック・パラリンピックを経験した選手の方などと交流する機会を設けられれば、招待した子供たちに一生の思い出を提供できるものと考えております。
 今後、観戦する競技種目の選定など、招待事業の詳細を詰めていく中で、競技団体等と連携をいたしまして、どのような交流が可能なのか、いただいたご意見も参考にいたしまして、具体的な検討を進めてまいります。

○橘委員 ぜひ実現していただきたいと思います。
 さて、ことし九月には、いよいよラグビーワールドカップが開催をされます。この大会、私たちも応援してまいりたいと思います。
 そして、一つは岩手県の釜石市、この釜石市で開かれる大会が成功するように、私たちも応援していくつもりでありますけれども、同時に、来年度予算案では、ラグビーワールドカップで、宮城県や福島県の中学生などを東京の会場に観戦するために招待をするという事業が予算化されております。これはすばらしい、いい取り組みだと私は思います。
 それを通じて、観戦に東京にいらした子供たち、この子供たちが東京の少年少女ラガーとまたこれも交流するということが、これはレガシーとしても、また、これから将来への希望、夢にとっても大事なことだと思いますけれども、これもぜひ競技団体と連携しながら実現していただきたいと思いますが、これはどうでしょうか。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 ラグビーワールドカップ二〇一九は、初めて日本、そしてアジアで開催される大会でありまして、世界最高峰のレベルの試合を間近に体感できる貴重な機会でございます。
 このような機会を捉え、都は、被災地の子供たちに夢と希望を与えられるよう、試合会場のない宮城県、福島県の子供たちを東京スタジアムでの試合に招待することといたしました。
 試合観戦に加えまして、被災地の子供たちと東京の子供たちとのラグビーを通じた交流を行うことは意義深いものと考えております。
 今後、関係団体とも連携いたしまして、双方の子供たちにとって心の財産となりますよう、交流なども含め事業内容を検討してまいります。

○橘委員 関連して、東京大会のレガシー施設について質問しておきます。
 今まで私たち公明党は、レガシー施設を絶対つくるべきだというふうに提案してまいりましたし、そしてまたその具体的な場所についても提案をしてまいりました。
 その中で、さまざまな候補地もあって、またオリ・パラ準備局では、駒沢競技場とかアクアティクスセンターとか、そういったところも調査をされたとも聞いております。これはこれからスピードを上げて詰めていかなければならないと思いますけれども、例えば東京体育館とか有明アリーナとか江戸東京博物館といった都が抱える施設、また、そこに大勢の人が集まる施設、そういったところも候補地として考えていいのではないかと思っております。
 そこで、現在の検討状況について見解を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 大会の成功とともに、その成果や感動を確かなレガシーとして将来にわたって残すことは重要であります。
 都、JOC、組織委員会がIOCと締結した開催都市契約等におきましては、組織委員会が大会の資料等について保存する計画を策定することとされておりまして、現在、都を含む関係機関において、その保存、活用について協議を行っているところでございます。
 こうした協議の状況も踏まえ、都としても、展示スペースや効果的な展示方法のあり方などの検討を行っているところでございます。
 今後、大会を通じて残されるメダルや聖火リレーのトーチなど、貴重な財産の保存と活用について、多くの都民が訪れる都立施設での展示を含めまして、大会後、円滑に実施できますよう具体的な検討を進めてまいります。

○橘委員 この施設については、私たち公明党、いろんな施設の提案もさせていただいておりますけれども、誰もが末永く楽しめるアミューズメント性のある施設が望ましいなというふうにも考えておりますので、参考にしていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 さて、小池知事は今定例会の施政方針演説の中で、このレガシーという観点から、開催都市としての記録映像を制作し、世界へ発信するとともに、次世代へと語り継いでいきたいというふうな所感を述べられました。私も同感であります。
 この内容につきましては、次世代につないでいくという、この辺がみそなんですね。そうしますと、ただ単に大会の記録だけを残せばいいという、そういった施設であってはならないと思います。
 この大会を迎えるに当たって、東京は、メダルプロジェクトであるとか、暑さ対策であるとか、スムーズビズであるとか、オリ・パラ教育であるとか、復興五輪の取り組み、バリアフリー化、さまざまな取り組みを、この大会を成功させるために、また、これが契機として東京が発展していくために、そういった工夫をしてきたわけであります。そういったものも後世へ伝えていくものとして、これは残していってもいいなというふうに私は思っております。
 東京がどのような都市として生まれ変わっていったのか、どこで転換期となったのか、その進化の過程というもの、これから、そういうものをしっかりとして都民に示す、そしてまた後世の人たちに語り継いでいく、受け継いでいく、そういったものが必要かと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。

○小池知事 さきの一九六四年の大会は、東海道新幹線や首都高速道路など、高度経済成長を牽引するレガシーを生み出しました。
 二〇二〇年の東京大会でございますが、バリアフリーのまちづくり、ボランティア活動の推進などを通じて、真の共生社会の実現であるとか、世界をリードする環境先進都市の構築、さらには、働き方改革などによります社会全体の生産性の向上などなど、都市としての成熟を示す、そんなレガシーを残していきたいと考えております。
 そのために、二〇二〇年に向けた実行プランや実行プランの政策の強化版、これでは、これらの実現に向けた具体的な政策を盛り込みまして、全庁一丸となって、ハードとソフトの両面からさまざまな取り組みを推進しているところでございます。
 六年後の二〇二五年以降でございますが、東京もいよいよ人口減少局面に入って、高齢化もさらに進むこととなります。年内を目途に策定いたします新たな長期計画の中には、こうした社会経済状況の変化も踏まえて、東京二〇二〇大会のレガシーを生かし、おおむね十年先の東京の明るい未来の姿をしっかりと描いて、都民の皆さんにお示しをしていきたいと考えております。

○橘委員 次に、テーマを移しまして、外国人の受け入れ環境の整備について質問してまいります。
 この質問の中で、日本語教育というのも出てきているんですが、ちょっと時間の関係で、後日に日本語教育の部分は回したいと思っております。ご了解ください。
 まず、外国人の受け入れ環境でありますけれども、都内の在住外国人は年々増加しておりまして、人口に占める割合も全国最多となっております。特に、二十代では十人に一人が外国人となっております。それほど多くなっております。
 現在でも、外国人をめぐるさまざまな課題が指摘されておりますけれども、入管法の改正によりまして、さらなる増加が予想される状況となっておりまして、都としても、これから本格的な対策を講じる必要があると、そういう状況になっていると思います。
 まず、日常生活では、日本語のコミュニケーション不足と、それから生活習慣の違いや、それから地域のルール、マナーをめぐって、いろんなトラブルが発生しております。
 住民と在住外国人が地域で円滑に生活をしていくためには、日本語指導とか、それから生活をサポートする外国人支援団体、こういった人たちの協力が必要不可欠でありますけれども、同時に、住民と身近な立場にある区市町村の立場も、これもまたつないでいかなければならないと思っております。
 そうしていきますと、この外国人支援団体であるとかそういったグループ、それから地元の自治体、それからボランティア団体とか、そういったさまざまな外国人を支援する団体、この人たちを支えていくという体制がこれから必要になってくると思います。
 同時に、これは東京都も絡んでいかなければ、うまく機能していかないと思っておりますので、提案でありますけれども、東京都と区市町村、これと、できればまた支援団体も含めた連絡会議を設置しまして、いろんな具体的な対策を連携の中で講じていくという、そういう体制をつくってみてはどうかと思いますが、見解を求めます。

○浜生活文化局長 在住外国人向けの生活相談など区市町村はさまざまな支援を行い、また、外国人支援団体は、日本語学習支援などその専門性を生かした活動を行っております。外国人が地域の中で生活し、活躍していくためには、こうした区市町村や支援団体の役割が重要でございます。
 都はこれまでも、区市町村等の職員を対象に、多文化共生に関する研修等を実施してまいりました。また、助成制度によりさまざまな活動を行っている支援団体に対して、その活動を支援してまいりました。
 今後は、助成制度の一層の周知を図って、支援団体の活動の活性化を促すとともに、都と区市町村のネットワーク強化に向けた会議を設置し、先進的な取り組みや施策に関する情報の共有化を図るなどして、外国人が生活しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

○橘委員 外国人とのトラブルという点では、都営住宅においても結構トラブルが発生しているんですね。
 ここでは、私の知っている限りでは、自治会の役員の皆さんとか、それからボランティアの方とかが、いろいろ連携をとろうとしたり、そしてマナーを日常生活の中で知っていただこうという努力をしたり、さまざまな工夫をしているというのは、私も日常的に目の当たりにしておりますけれども、それでもなかなかトラブルはなくならないというのが現状であります。
 そこで、このトラブル防止のために、マナーとか、それから自治会活動などについて、周知徹底をする、もう少し、もう一段の力を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

○佐藤都市整備局長 都営住宅では、入居説明会におきまして、住まい方のルールや自治会活動などについて、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で記載した冊子「住まいのしおり」を配布しております。
 来年度からは、入居前に、ごみ出しなど日常生活上のマナーなどを記載したチラシを配布し、周知徹底を図ってまいります。
 加えて、毎月、入居者向けに配布している広報紙「すまいのひろば」を、同じく四カ国語にして東京都住宅供給公社のホームページに掲載し、収入報告などの手続や生活マナーなどを周知してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都営住宅における外国人居住者への対応を適切に行ってまいります。

○橘委員 今でも都営住宅には、いろんな注意事項であるとか、そういったものが呼びかけでチラシ的に入るときもあります。また、「すまいのひろば」でもそういうのは周知されておりますけれども、言語で違いを出してもなかなか対応し切れないという、そんな状況もあります。
 東京都が発行する、そういった注意を呼びかけるようなチラシとか、そういったものを今度みんなで共有できるような、そういった工夫もまたしていただければと思いますので、要望しておきますのでよろしくお願いいたします。
 それから、外国人が安心して働ける環境、これも大事であります。
 外国人の雇用においても、技能実習生が賃金未払いや苛酷な労働環境に耐え切れずに失踪するという事件もたびたび報道されているわけであります。
 しかしながら、それが、だからといってということではなくて、これは日本がこれから、また東京がこれから発展していくためには、国際都市となっていくためには、外国人との共生、また多文化共生の社会、これをまずこの機につくっていかなければならないという、そういう契機と捉えていくべきだと私は考えております。
 したがって、日本にいらっしゃるということは、働くためにいらっしゃるわけですから、外国人労働者が安心して働ける環境づくり、外国人から、むしろ日本は働きやすい、住みやすいといわれるような、そういった外国人に選ばれる都市、そういったものをつくっていくべきだと私は考えておりますが、これについて見解を伺います。

○藤田産業労働局長 都は来年度、外国人が働きやすい職場環境づくりに取り組む企業を支援するため、外国人雇用に関する法制度や、異なる文化、生活習慣等の配慮すべきポイントなどを紹介するセミナーを拡充して実施いたしますとともに、外国人材の受け入れに関する専門相談を開始いたします。
 また、外国人労働者向けには、職場での円滑なコミュニケーションに役立つビジネス日本語講座を新たに実施いたします。
 さらに、労働法の基礎知識など日本で働く際に必要となる情報の提供に加え、労働相談情報センターにおける多言語での労働相談も充実させるなど、きめ細かくサポートを進めてまいります。

○橘委員 現在、都内の外国人労働者数は、昨年十月末現在で約四十三万九千人となっておりまして、前年同期に比べまして一一・一%の増加となっております。
 外国人を雇用する事業所は、九・〇%の増で五万九千カ所に上っておりまして、いずれも届け出が義務化されて以降、過去最高を更新しております。
 来月からは、改正出入国管理法の施行によりまして、介護や外食、建設など十四の業種で外国人労働者の受け入れが拡大されていくわけで、さらにこれがふえていくということになっております。
 言葉の壁によるコミュニケーション不足とか、労働慣行の違いなどから、外国人が働く事業所で労使間のトラブルもまたふえていくと予想されております。
 したがいまして、この対応策として、東京都の労働相談情報センター、これの機能を強化して、トラブルに対処していく体制を改めて構築していく必要があると思いますが、どうお考えでしょうか。

○藤田産業労働局長 現在、労働相談情報センターにおきまして、英語と中国語の通訳を定期的に配置をいたしますほか、随時通訳を確保いたしまして、計七言語で外国人への労働相談を実施しているところでございます。
 来年度は、さらに三言語を加えまして計十言語で対応いたしますとともに、外国人の労働問題に精通した弁護士を配置いたしまして、専門的な相談に対応できる体制を確保してまいります。
 また、労働トラブルの未然防止に向け、これまで英語、中国語、ベトナム語、ネパール語で発行しておりました労働者向けの啓発資料につきまして、新たに、労働者数の多いインドネシア語とタイ語の二言語を追加して発行してまいります。
 さらに、外国人を受け入れる労働環境の整備等をテーマとした使用者向けの労働セミナーの開催回数もふやしていくなど、労使双方への対応を充実させてまいります。

○橘委員 じゃあ、次は、被災地支援についてテーマを移します。
 一点目は、千客万来事業施設用地の活用であります。
 豊洲市場の千客万来施設事業用地を活用した被災地支援のにぎわい創出、これについてでありますけれども、公明党は前から折あるごとに、被災地支援のために東京で応援できるものは応援していこうというふうにして、こういったイベントを提案してまいりました。
 昨年九月の第三回定例会の代表質問では、改めて、大会期間中も含めまして、東京オリ・パラ大会へ向けて、被災地の復興のシンボルとなるイベントを豊洲市場内の千客万来施設事業用地を使って盛り上げていくべきと提案をいたしました。これに対して、そのとき知事からは、検討を進めていくという答弁をいただいている経緯がございます。
 そこで、この事業用地の活用について、現在の検討状況を伺いたいと思います。

○村松中央卸売市場長 現在、千客万来施設事業用地を活用いたしまして、豊洲市場のにぎわい創出に取り組んでおります。
 五街区におきまして、毎週土曜日に豊洲市場おいしい土曜マルシェを開催しておりまして、三月九日時点で約六万六千人の方々にお越しいただいております。
 今後、五街区では、仮設のにぎわい施設の整備を進めるため、四月からは六街区におきまして、新鮮な食材の販売や豊洲ならではの食の提供などを行うイベントを開催していくこととしております。
 さらに、各局が行うさまざまな施策のPRや、民間事業者などが主催いたします食、スポーツ等の魅力発信につながる多様なイベントも実施してまいります。

○橘委員 関連するんですけれども、ラグビーワールドカップ終了後に、被災地のにぎわいイベント、これをやってはどうかというふうに提案させていただきたいと思います。
 実は昨年九月ですけれども−−実は昨年の七月、私たち都議会公明党は一つのグループとして、岩手県の視察に行ってまいりました。そのときに、岩手県の釜石市の市長であるとか、近隣の市町村も参りまして、さまざまな意見交換をして、何ができるのか、何を喜んでいただけるのか、そういったものも調べてまいりました。
 その結果、海岸沿いの地域というのは物産が、なかなか販路が拡大しないという、そういったことの声が聞かれましたので、それでは、被災地のアピールということと、それから復興にこんなに頑張っているということも、そんなアピールも含めまして、都庁のPRコーナーがございますけれども、そこで物産展をやってみてはどうかというふうに提案をしてみましたら、ぜひやらせていただきたいというのが橋渡しになりまして、実際にそこで行われました。
 私はちょっと都合で行けなかったんですけれども、その中で聞きましたらば、大変たくさんの人がそこに詰めかけてくれまして、あっという間に出店した物産が売れたという、そんなうれしい報告もありました。
 そして、これと同じように、ワールドカップの終了後のことしの秋ごろ、東北の被災三県へ都が声をかけて、こちらから声をかけて、東北被災地によるにぎわいイベントを開催してはどうかと思いますが、どうでしょうか。

○遠藤総務局長 東北被災地の復興に向けましては、被災地の産業や暮らしが着実に再生し、元気になっていく姿を発信していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、都営地下鉄駅構内での産直市や、岩手県、宮城県、福島県とともに都内で実施した風化防止イベントなどを通じまして、被災地の復興が着実に進展していることを都民に直接伝える場を提供してまいりました。
 この秋開催されるラグビーワールドカップでは、岩手県釜石市が会場となり、復興の状況を世界にPRする絶好の機会となっております。
 都においても、ラグビーワールドカップの終了後に、復興に向け取り組んでいる姿を被災地と連携して発信していくために、県産品や郷土料理の販売を通じて、販路回復や消費拡大にもつながるようなイベントを豊洲市場の千客万来施設事業用地で開催してまいります。

○橘委員 同じく被災地支援に関連いたしましてですけれども、ラムサール条約湿地登録に関する連携でございます。
 東京の江戸川区にございます葛西海浜公園ですね、そういうのがありますけれども、葛西海浜公園がラムサール条約の湿地登録となりました。
 同時に、このときに宮城県の南三陸町、これも登録されているんです。不思議なえにしかと思います。
 今、葛西海浜公園につきましては、東京都が努力してくださいまして、いろんなところで、動画で外国人旅行者にも伝えたり、そういった工夫をされて、PRしてくださっておりますけれども、なかなか自治体と連携をとるというのが難しいようなことでもございまして、来年度は自治体と連携をとるという事業費が盛り込まれております。
 まず一点目は、どういう取り組みをしていくかという内容を確認しておきたいのが一点でございますけれども、そして同時に、宮城県の南三陸町、ここもラムサール条約の湿地に登録された。
 この二つの地域、地域といいますか、都市ですね、東京の葛西海浜公園と宮城県の南三陸町、この二つ、これが五輪を目指す契機としまして、被災地の復興も含めまして、積極的に連携をとって、お互いが自然環境といったものからアピールできる、そしてまた同じく交流もしていける、そんなふうな交流をしていってはどうかと思いますけれども、知事に見解を求めます。

○小池知事 ご指摘のとおり、このたび葛西海浜公園と同時に、宮城県の南三陸町の志津川湾、ここがラムサール条約の湿地に登録されたこと、これは被災地の復興支援に尽力してまいりました東京都としても大変喜ばしいことかと存じます。
 葛西海浜公園のPRに当たりましては、宮城県南三陸町とともに連携をするということで、被災地への関心を薄れさせない、そしてまた同町への支援や復興にもつながるものと期待をいたしております。
 今後ですが、志津川湾を擁しますこの南三陸町を初め、ラムサール条約に登録されているほかの自治体とも連携を図りながら、ラムサールつながりとでも申しましょうか、我が国の自然豊かな海辺の魅力を、そして世界的な大都市東京に葛西海浜公園という実は国際的にも認められた豊かな自然があるということ、これを広く発信していくチャンスにしていきたいと考えております。

○橘委員 テーマを移しまして、児童虐待防止について質問してまいります。
 このたび、我が党が求めてきた東京都子供への虐待の防止等に関する条例案が提出されました。東京から児童虐待をなくしていくという決意と行動の条例でございまして、決して単なる理念条例にしてはならないと思っております。
 我が党は、条例骨子案の段階から厚生委員会におきまして、特に警察との連携を明記することや体罰の禁止などを主張いたしまして、そうした内容が盛り込まれております。そのことは高く評価したいと思います。
 国会レベルですけれども、二月十九日には公明党が虐待から子供を守る緊急提言を安倍首相に提出いたしました。その内容については、今、政府部内で詰めているというふうに聞いております。
 そうした中で、児童虐待防止の観点から、緊急性が求められておりますのは、スクールローヤーの配置であります。なぜなら、千葉県野田市の事件の対応で大きな問題となったのは、法的な観点から弁護士が学校に対して助言をする体制整備がとられていなかったためであります。
 既にスクールローヤーについては、十府県で導入されておりますけれども、東京都はスクールローヤーに区分していないものの、学校問題解決サポートセンターで対応しているとのことであります。
 今回の野田市の事件から見えてきた課題というのは、学校現場や教育委員会におけるトラブルに対応する体制の強化であります。
 そこで、緊急性のある問題にも対応できる体制強化が必要と考えますけれども、見解を求めます。

○中井教育長 都教育委員会は、学校問題解決サポートセンターにおいて、弁護士や臨床心理士、精神科医などを講師として、管理職や教職員を対象とした初期対応に関する講演会を実施し、問題発生時の関係機関との迅速な連携などについて周知を図り、学校の組織的な対応力を向上させる取り組みを進めてまいりました。
 また、都内公立学校では、問題の未然防止や早期解決を図るために、平成二十一年度から警察OBや民生児童委員等から成る学校サポートチームを設置することとし、平成二十六年度以降は全ての学校で設置されております。
 今後は、国の動向を注視し、問題が発生した初期段階から法律の専門家が助言するなど、学校をさらにサポートする方法について検討してまいります。

○橘委員 同じく児童虐待防止対策の観点からですけれども、東京都におきましては平成二十九年度における児童虐待相談対応件数、これが一万三千七百七件となっております。児童福祉司一人当たりが抱える児童相談件数も、これによって増加をしております。
 対応するための職員の大幅な増員が必要なわけでありますけれども、この点については、我が党の本会議代表質問で六十五名を増員するとの答弁をいただいております。
 一方で、増加する児童相談件数の中で同児童相談所の間、相互ですね、間や子供家庭相談センターとの連携を強化していくか、これが課題となっておりまして、この点が指摘されているように重要な部分なんですね。
 速やかに確実に丁寧に行わなきゃならない。連携強化の具体的な対策が今求められておりますけれども、答弁を求めます。

○内藤福祉保健局長 児童相談に係る情報を迅速、確実に共有するため、都は来年度、児童相談センターと二カ所の児童相談所及び一カ所の子供家庭支援センターにテレビ会議システムを試行的に導入する予定としてございます。
 このシステムを活用いたしまして、児童相談所間では、児童の転居に伴うケースの引き継ぎや専門課長による助言指導などを行ってまいります。
 また、児童相談所と子供家庭支援センターとの間では、ケースを送致する際の協議や虐待ケースの進行管理会議などを実施してまいります。
 この取り組みに加えまして、児童相談体制に係る区市町村との合同検討会におきまして、情報共有を初めといたしました効果的な連携方策等を検討することとしておりまして、各機関の連携、協働を一層推進してまいります。

○橘委員 今、テレビ会議というのが出ましたけれども、これはやはりかなり有効だと思います。というのは、実際に聞いてみますと、職員が児相間で連携をとらなきゃならない、それから子家センと連携をとらなきゃならないといった場合は、電話でやりとりする。これも早いんですけれども、正確に伝わらないケースがあるそうなんですね。
 実際に直接会って、協議しなきゃならないというときには、やはり出かけていって、出張扱いになって、それで出かけていく。時間のロスなんです。ただでさえ職員が少ないときに、足りないときに、こういった時間のロスというのは非常にマイナスだと思います。事業に影響も出ると思います。その面でテレビ会議というのは、実際に絵柄で見させてもらいましたけれども、非常に効果的だと思います。
 ただし、まだ実験段階ということで、わずか三台でしたでしょうかね。−−ですね、すごく台数が少ないんです。これは実験レベルだから、しょうがないんだけれども、これはなるべく早く多く導入して、連携がとれるような体制にしてもらいたいと思いますので、要望しておきますので、よろしくお願いいたします。
 それから、児相の人材確保の件ですけれども、この表、皆様方の手元にも配っておりますが、ごらんください。
 平成三十一年度より児童福祉司の配置基準が、人口五万人に一人、それが四万人に一人に基準が変わります、変わりました。その後、昨年十二月に国が示しました新プランによりますと、平成三十四年度、ここですね、これが今度、三万人に一人となっていきます。
 そうしますと、今、基準の人数から比べますと、三十年度は二十四人が足りない、三十一年度は五十七人が足りない、そして三十四年度には百八十四人も足りなくなるという、こういった状況が生じます。
 そして、児童心理司、この基準を同じように見てまいりますと、このように三十一年度の見込みで五十四人が足りなくなる、三十四年度は百十六人が足りなくなるという、こういう状況になっております。
 そうしますと、これは何としても確保しなければならないというふうに思うわけですけれども、実際に見ますと、各県とも全国で奪い合いになっている状況らしいんですね。そうしますと、いかに来てもらうのか、東京でやってもらうのか、そういった働きかけも大事だと思うんです。
 そうしますと、東京ではどういう工夫をして、どういうふうにして必要な人員を確保するのか、これを知恵を絞っていかなければならないと思います。この点について、東京都はどう考えているのか、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都におきましては、児童福祉司の採用に当たりまして、主に新卒者を対象とする採用試験に加え、専門的な知識や経験を有する人材を一定期間任用する任期付職員採用制度や民間経験者等を採用するキャリア活用採用制度などを活用してございます。
 これらの経験者は、採用後、主任として任用いたしまして、児童福祉に関する職務等で培った高度な知識や経験を還元することで、児童相談所の専門的機能のさらなる強化を図っております。
 また、今後も質の高い人材を採用できるよう、効果的な確保策等につきまして、社会的養育推進計画の策定に向けた議論の中でも検討してまいる所存でございます。

○橘委員 今、人材を確保する、人数を確保するという、そういう観点からお話をさせていただきましたけれども、現在いる人材、これをいかに育成するか、これも大事な点でございます。
 これも聞いた話で恐縮でございますが、一、二年、現場を経験する。けれども、なかなかそれでは的確に対応できるだけの能力といいますか、力は備わらないというケースも多々あるそうなんです。それをサポートしていって、育成し、相談に乗り、そしてまた激励して、ノウハウも教えていく。そういったスーパーアドバイザー、この役割が非常に大事だというふうに聞いております。
 したがって、大幅に増員するということと同時に、増員した、また現在いる人たち、職員を定着させるという、こういった取り組みも今からやっておかなければ、ほころびが出てくる可能性があると思います。
 したがいまして、これは組織全体で対応する人たちの育成に取り組む必要があると思いますけれども、この点について、局長の所見を伺います。

○内藤福祉保健局長 都におきましては、児童福祉司の育成に当たりまして、毎年度策定する研修計画に基づき、職員の経験等に応じて、幅広い内容の研修を行っております。
 新任職員につきましては、個別指導等を担う児童福祉司OB等が面接への同席や家庭訪問への同行などのOJTを通じまして、実務能力の向上に取り組んでいるところでございます。
 また、定期的な会議におけるケースの情報共有や進行管理、援助方針に関する職員同士の意見交換、困難ケースでの専門課長による助言や指導などを通じまして、組織全体で児童福祉司のスキルアップを支援しているところでございます。
 来年度は、この専門課長を増員いたしまして、児童相談センターに加え、江東及び立川の両児童相談所の計三カ所に配置する予定であり、人材育成の体制を強化いたしまして、児童福祉司のより一層の育成を図ってまいります。

○橘委員 これはしっかり取り組んでいただかないと、やはり、またさまざまな問題が発生する可能性がありますので、これは一つ一つ連携体制から、人材育成から、確保から、一つ一つ丁寧に着実に進めていかないと、ほころびというのはどこかから出てきますので、これはぜひとも真剣に緻密に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、シニア予備軍向け読本、これについて質問いたします。
 来年度の福祉保健局の予算の中に、シニア予備軍向け読本の作成、これが予算計上されております。人生百年時代に当たりまして、特に五十代から六十代の方々が学ぶ、読む、そういったライフプランを立てることは非常に重要なことでございまして、これは役立つものと私は見ております。
 そこで、シニア予備軍向けの読本、これをつくる意義、狙いについて、説明をお願いしたいと思います。

○内藤福祉保健局長 お話のように、高齢者になる前の世代の方々に介護サービスの利用や社会参加に関する有用な情報をわかりやすく提供していくことは、できるだけ早いうちから今後の人生を具体的に考える一助となり、自分や家族の介護が必要となったときなどに備える上でも非常に有効であると考えております。
 そのため、都は来年度、主に五十代から六十代前半の都民を対象に、介護保険制度の概要や介護が必要になったときの対応方法、就業、起業、学び直し、社会参加、趣味活動など、高齢期を元気で生きがいを持って過ごすために必要な情報を掲載した読本を作成してまいりたいと考えております。

○橘委員 これは私の体験もございまして、私は五十代の前半のころから、両親の介護という、それも山形が実家でございますので、遠隔地介護というんでしょうか、という経験をいたしまして、約十年間、行ったり来たりの生活がありました。
 そういうこともありまして−−それは突然やってくるんですね。親の介護が必要だという、そういったものは離れていますから、突然伝わってきて、どうしたらいいかわからない。その当時、まだ特養ホームにもなかなか入れないという状況でございましたので、三カ月ごとに施設を変わったり、そんな手続をしょっちゅうやったりしておりました。
 突然だったから、心の構えといいますか、それがなかったものですから、すごく慌てふためいたという体験があります。
 そうしますと、こういった読本を今から読んでおくということは、お互いに、自分もそうですし、また親たちの世代もそうだと思いますけれども、助かると思いますので、ぜひ内容という工夫も非常に重要だと思いますので、内容について見解をお願いします。

○内藤福祉保健局長 来年度作成する読本は、五十代から六十代前半の社会人として充実した時期を迎えた年代の方を対象としてございまして、高齢期を迎える前から、つまり退職等により社会的な立場が変化する前からの健康づくりや地域とのつながりをつくるための取り組みや、高齢期に入ってからの就業や趣味等の活躍の場に関する情報などを紹介する予定としてございます。
 その中には、フレイル予防や介護予防等の効果や意義も盛り込み、身近な地域活動への参加にもつながる内容とするほか、多くの方に手にとっていただき、必要なときに読み直してもらえるよう、構成やデザイン等に関しましても、さまざまな工夫を凝らしていく予定でございます。

○橘委員 期待している人がたくさんいると思いますので、ぜひ内容の充実したものにして、なるべく多くの方にこれが行き渡るような、そんな工夫もしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、医療的ケアを必要とする児童の専用通学車両について質問いたします。
 医療的ケアを必要とする児童生徒のための専用通学車両は、昨年九月から運行がされております。提案し、これを実現まで粘り強く取り組んだ私たちとしては本当にうれしく思っておりますし、またお父さん、お母さんたちからも大変喜びの声が寄せられております。
 そして、ことしの一月からは対象となる肢体不自由児校全校での運行が可能となりまして、拡大されている、大変すばらしいことであります。現在運行している専用通学車両三十九台ございますけれども、一部乗車も含めて、三十四台に看護師が同乗しておりますけれども、登下校全てに同乗しているコースはまだ少ないと聞いております。
 この専用通学車両に看護師に同乗してもらうためには、報酬の引き上げなど、確実に看護師を確保しなければならない、そういった今、状況になっているんですね。
 したがいまして、教育委員会として、喫緊の課題は看護師をいかに確保するのか。その看護師を確保できなければ、配置することもできないんです。この事業を拡大することもできないんです。看護師の確保、これは何としても知恵を絞っていただきたいと思っておりますが、どうでしょうか。

○中井教育長 特別支援学校の医療的ケア児専用通学車両を児童生徒の安全を確保しつつ、着実に運行するためには、車両に乗車する看護師を安定的に確保することが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、平成三十一年四月から専用通学車両の乗車に特化した非常勤看護職を創設してまいります。その報酬単価は、職責の重さや早朝からの勤務であることに鑑み、一般の非常勤看護職の時給千八百円ではなく、早朝の登校便については三千百円、下校便については二千五百円としてまいります。
 これに基づき、現在、専用通学車両に乗車する看護師の募集に向けて、準備を進めているところでございます。

○橘委員 専用の通学車両に乗車します看護師につきましては、重症心身障害児のケアの経験が望まれると、そういう条件もあります。それから、医師が近くにいないわけでありますから、一人で医療的ケアを実施すること、それから緊急時の対応が必要であることなど、専門性と職責の重さが求められる立場なわけです。
 ということで、それを考えると、なかなか確保が難しいかと思いますけれども、これは何としても確保していただかなければならないと思っております。
 乗車看護師がいないために、専用通学車両に乗りたくても乗れない子供がまだいるということ、これを考えますと、もう一度、再答弁みたいになってしまって申しわけないのですけれども、即効性のある確保策、これについて、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

○中井教育長 即効性ある確保策ということでございますが、先ほど報酬額を上げるということを申し上げました。
 それと同時に、今、理事からもご指摘がございましたとおり、専用通学車両に乗車する看護師は、移動する車内でケアを実施したり、医師が近くにいない状況で、緊急時の対応を行ったりする専門的なスキルが求められます。
 こういったスキルをどうやってつけるかというところが非常に重要でございまして、これにつきましては、訪問看護師はこうした業務に日常的に従事しておりますことから、その経験は本事業の安全な実施に資するものと考えておりまして、このため、都教育委員会は、採用した非常勤看護師の経験分野などに応じて、乗車に必要なスキルが習熟できるよう、訪問看護師の協力を得るなどして、その育成に努めてまいりたいと、そのように考えております。

○橘委員 同じく医ケア児の関係でありますけれども、子供たちの中には、特別支援学校への通学が困難なために、自宅で特別支援学校の教員による週三回、一回当たり二時間の在宅訪問教育を受けているお子さんもいらっしゃいます。
 もっと学びたい、それからみんなと一緒に学びたい、そういった強い願いが私たちのところにも寄せられております。この在宅訪問教育の機会の充実、これは大事な問題だと思います。
 こうした中で、昨今のICT技術の進展の成果を生かして、都が分身ロボットを活用したモデル事業を来年度から実施することとしております。これはちょっと注目をしておきたいと思います。
 今回、分身ロボットの仕様としましては、スピーカーやビデオカメラを内蔵して、挙手等の動作が可能であり、子供たちが本人の意思でロボットを操作して、黒板の書かれた文字とか、教員の説明などを見聞きして、教員とか、それから他の子供たちの問いかけにも応じることができると。
 つまり教室の中に分身ロボットというのを置いて、在宅の子供さんがいらっしゃいますと、先生の顔が見たいとなったら、そこの方に教室の中のロボットが向く、そして映し出される。それから、黒板の文字が見たいとなったら、黒板の方にロボットの目が行って、そして送信されてくる。そういった仕組みのようでありますけれども、これはやっぱり臨場感があって、すばらしいなというふうに思います。
 これは、今実証段階でありますけれども、この効果というのは大きいと思いますので、可能性を追求していって、取り組みを前進させていただきたい、これを強化していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○中井教育長 ご指摘の分身ロボットは、学習機会の拡充のみならず、教室で学ぶ児童生徒との学び合いや交流にも有効でございます。モデル事業では、教科指導はもとより、総合的な学習の時間や学校行事等の特別活動にも活用を予定しております。
 これにより、児童生徒が自宅にいながら自分の考えを発表し、他の児童生徒との意見の違いに気づくなど、同世代の児童生徒と切磋琢磨する機会を通して思考を深め、コミュニケーション能力を伸長できると期待しておるところでございます。
 また、マンツーマンでの指導では得られない、広い視野や知見を得られるといった効果も見込んでいるところでございます。
 このように、分身ロボットを活用した遠隔教育は、障害のある児童生徒の学びのあり方を大きく変革する可能性を秘めていることから、将来の本格活用に向けて、実証、検討を積極的に進めてまいります。

○橘委員 続きまして、障害者雇用について質問していきたいと思います。
 一昨年の予算特別委員会におきまして、私は精神障害者、知的障害者にも東京都庁の試験、この門戸を開くべきだというふうにして質問いたしました。それを踏まえまして、都は、昨年度の障害者採用選考から精神障害者、知的障害者に対象を初めて広げたわけであります。
 また、昨年のこの委員会の場では、私は知的障害者については、門戸開放とはまた別に、新たな雇用の枠組みを講じるよう主張いたしまして、これを受けまして、都の方では知的障害者の一般就労の非常勤職員、つまりオフィスサポーターの採用を始めました。これは大きな大きな前進だと思います。
 来年度から今度フルタイム勤務に近づくことが可能となるわけでありますが、今後とも検証と工夫を行いまして、さらに取り組みの拡大を希望しておきたいと思います。
 提案してから実際に動き出しましてから一年が経過しているわけでありますので、この間における東京都における障害者雇用の状況について見解を求めます。

○遠藤総務局長 精神障害者、知的障害者に対象を拡大いたしました昨年度及び今年度の常勤職員の採用選考における合格者は七十五名でございまして、その内訳は、精神障害者が四十七名、身体障害者が二十八名となっております。
 また、今年度から知的障害者を対象に、非常勤職員として総務局人事部で勤務するオフィスサポーターの雇用を開始しておりまして、昨年度及び今年度の採用選考で五名が合格をしているところでございます。
 障害者の雇用に当たりましては、障害特性や配慮すべき事項、各職場の取り組みをまとめた事例集の改定等を行うとともに、受け入れ職場等を対象に改めて職員研修を実施し、誰もが働きやすい環境整備に努めているところでございます。

○橘委員 東京都が門戸を開放したことによりまして、これは東京特別区の方にも職員採用の波及効果が及んでおりまして、選考試験では都の取り組みを踏まえまして、特別区でも今年度の採用選考から精神障害者、知的障害者に対象を拡大しております。
 その結果、合格者は六十五名、そのうち精神障害者が三十七名で、知的障害者が二名、合格しております。この都の取り組みがあったがゆえに、特別区にも採用が広がって、大きな波及効果が及んでいるということがいえるかと思います。
 知的障害者につきましては、特別区では合格者が出ておりますけれども、残念ながら、都においてはこの二年間、ゼロとなっております。総務局においては、知的障害者を対象にオフィスサポーターの取り組みを進めておりまして、いろんな工夫をされているというのは聞いております。
 任期一年を基本とする非常勤職員という立場でありますけれども、常勤職員と比べれば雇用が安定していないというのも事実であります。
 したがいまして、知的障害者の保護者の方々からは、知的障害があっても、安定して、定年まで働き続けられるような環境に配慮してほしいと、そういった声もあります。
 こういった声も対応していっていただきたいと思いますけれども、今後、知的障害のさらなる雇用拡大を図るためにどのような考えを持っているのか、見解を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 今年度から採用を開始いたしましたオフィスサポーターの取り組みでは、実際の勤務を通じて、知的障害者の特性に合った職務内容や勤務条件を検証しております。
 具体的には、これまで常勤職員等が担っていた各種庶務事務や軽作業の一部を切り出すことにより、個々の能力や適性に応じた職務の創出を行うとともに、勤務時間につきましては、採用当初の週二十四時間から現在週三十時間にまで延ばしており、来年度は週三十五時間まで可能となるように見直す予定でございます。
 このような工夫を行いながら、障害特性に合った職務内容や勤務条件の検証と改善を積み重ね、知的障害者のさらなる雇用促進に努めてまいります。

○橘委員 障害者雇用に関連して、監理団体の法定雇用率の達成という観点から質問いたしたいと思います。
 東京都には監理団体、三十三あるわけでありますけれども、障害者雇用促進法に基づく雇用義務制度の適用対象は二十六団体がございます。そのうち、昨年六月一日現在で、法定雇用率及び法定雇用数の未達成の団体が十一に上っております。
 これが三十三ある監理団体の中で、義務制度がある、適用される団体が二十六、これを一覧にしております。この中で未達成なのは、この黄色で示しました十一の団体でございます。これがまだ監理団体としては未達成となっているわけであります。
 この対策として、監理団体の法定雇用率達成、これはどうしてもやらなければならないと思いますけれども、今後、どのように取り組むのか。
 そして、監理団体の雇用率達成というのは、小さな団体もございます、そういった中で、その中でのノウハウだけでは対応し切れないというものもありますので、どのようにこれから取り組んでいくかという点と、それから都庁グループ全体として、今まで培ったノウハウを生かしながら雇用促進に進むようにしていくべきだと考えますが、この二点についてお願いいたします。

○遠藤総務局長 都庁グループの一員である監理団体における障害者の雇用確保につきましては、都としても重要な課題だと認識しております。
 都はこれまでも、各団体が進める障害者雇用に向けた取り組みを促進してきたところではございますが、法定雇用率を達成していない団体が存在している現状を踏まえまして、これまで以上に積極的に取り組む必要があると考えております。
 そのため、法定雇用率が適用される全ての団体に対し、来年度から今後の障害者雇用の取り組みやスケジュールを具体化した計画を作成させ、提出させる新たな仕組みを導入いたします。
 団体における障害者の雇用については、こうした具体的な取り組みを通じ、都としてもその進捗を適切に管理し、全団体の法定雇用率の達成に向けて努めてまいります。
 さらに、都では障害者の雇用確保に向けて、これまで各所属の管理職を窓口とした相談体制の整備や、職場で働く職員の理解促進に向けた研修の実施、対応事例集の作成などの取り組みを通じて、雇用環境の整備に努めてまいりました。
 監理団体においても、障害者雇用のさらなる促進に向けて、一人一人の障害者の特性に配慮した職場環境の整備が欠かせません。
 今後、都のこれまでのこうした取り組み事例やノウハウを提供いたしまして、各団体の規模や特性に合わせ、受け入れ職場となる団体職員の理解を深めるための研修や各団体の障害者雇用に係る事例の共有などの取り組みを来年度から実施してまいります。
 これらの取り組みを通じて、監理団体における障害者の雇用確保、定着を一層促進してまいります。

○橘委員 質問のテーマを変えまして、学校のトイレの洋式化について質問いたします。
 学校のトイレは、災害時には高齢者や障害者なども避難所として活用することから、その洋式化は重要な課題だと思っております。ただ単に子供たちのためのトイレではありません。
 都議会公明党は、これまで何度も何度も学校のトイレの洋式化、これについては何度も繰り返し提案してまいりましたけれども、それはお子さんということも観点がありますけれども、災害時ということも想定しまして、力を入れてまいりました。
 それを受けまして、東京都教育委員会は、二〇二〇年までに洋式化率八〇%とするという目標を定めております。都立学校については、学校施設全体の改修とか、大規模改修の予算とは別に、別枠でトイレの洋式化の推進に向けて予算化をしまして、強力に取り組みが進んできました。これは高く評価したいと思います。
 一方、公立の小中学校のトイレの洋式化については、平成二十九年度から補助制度をスタートさせましたけれども、三十年度の洋式化率は六一・二%と、前年度比でわずか四ポイントしか上がっていないんですね。
 そうしますと、洋式化の率、八〇%の目標を達成するには、かなり今のところ厳しいかなという、そんな現状でもあるかと思いますけれども、これはこれから力を入れていけば、挽回はできると思います。
 そこで、来年度、補助率をアップして、取り組みを強化すべきと思いますが、答弁を求めます。

○中井教育長 都教育委員会は、洋式化を含めたトイレ整備を行う区市町村に対し、平成二十九年度から補助を行ってまいりましたが、整備に当たっては、国が定める補助単価と実勢工事単価に乖離があることから、平成三十一年度からは新たに都独自の補助単価を設定し、国が定める補助単価との差に対して、二分の一補助を行ってまいります。
 今後も区市町村を支援し、平成三十二年度末までに学校トイレの洋式化率八〇%以上とすることを目指して、洋式化の促進に取り組んでまいります。

○橘委員 都立公園のトイレ、この洋式化も必要であります。都立公園というのは、今、二〇二〇大会、これに向けて、国内外から多くの人が訪れる、そういった場所にもなっておりますので、トイレの洋式化というのは非常に大事かと思います。
 都立公園のトイレにおいて、洋式化をさらに推進すべきと考えますが、見解を求めます。

○西倉東京都技監 都立公園におきまして、全ての人々が快適に利用できるトイレを整備することは重要でございます。都はこれまで、新たにトイレを整備する際には、トイレ一棟につきまして和式を最低一つ確保しながら、洋式化を進めてまいりましたが、来年度からは、洋式化の一層の推進を図るため、一つの公園に和式を一つ残しまして、全て洋式化することといたしました。
 この方針に基づきまして、来年度は、国内外から多くの来園者が訪れます上野恩賜公園、日比谷公園、代々木公園、井の頭恩賜公園におきまして整備を行いまして、洋式化を加速させてまいります。

○橘委員 トイレについて、もう一題、済みません。都立の府中の森公園を利用した方から次のようなお手紙を頂戴しました。
 誰でもトイレはありますが、おむつがえをするベビーベッドがありません。もし可能なら、誰でもトイレにベビーベッドの設置をお願いしたいです。難しければ、パパが一人でおむつがえができるように、男女トイレともにベビーベッド設置をお願いします。
 これはそのままでございます。こういう手紙でございました。
 今、男女とも子育てに参加している社会状況でございます。子供が伸び伸びと遊べる都立公園の環境整備のためには、男女ともに使用できる誰でもトイレの設置を進めるのは当然でございまして、この誰でもトイレには必ずベビーベッドを設置すべきと思いますが、答弁を求めます。

○西倉東京都技監 都立公園におきましては、これまで性別、年齢、障害の有無にかかわらず使用できる誰でもトイレの設置を進めるとともに、その機能の充実を図ってまいりました。
 今年度は、葛西臨海公園、代々木公園など、八公園で誰でもトイレの整備を進めております。来年度は、駒沢オリンピック公園や武蔵野公園など九公園で、委員ご指摘のように、ベビーベッド等を備えました誰でもトイレの整備に着手してまいります。
 引き続き、誰もが快適に利用できるよう、公園づくりを推進してまいります。

○橘委員 これは要望となりますけれども、既に設置されている誰でもトイレ、これにはベビーベッドがついていないんですね。それで、これについても、新たにつくるものについてはベビーベッドもつけるということですけれども、今、既に設置されている誰でもトイレ、これにもベビーベッドを計画的に整備するように要望しておきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ドクターヘリについて質問いたします。
 ドクターヘリにつきましては、テレビのドラマにもなっていることもありまして、知名度は高まっているかと思います。
 簡単に申し上げますと、一一九番通報で要請があったと。そうしますと、この消防機関、消防署ですけれども、ここから今度、病院に通報が行きます。通報が行ったら、もう既に屋上であるとか、隣接地にドクターヘリが待機しておりまして、これが病院に通報があってから、大体二分ないし三分ぐらいで出動体制、離陸できる体制は整っているというのが一つの条件であります。
 そして、この病院の中から、隣接地であればフライトドクター、フライトナースが走っていって、ドクターヘリに乗り込む。そうしますと、基準としましては、五分以内にここをもう離陸するんです。そして、離陸して、ドクターとナースを乗っけて、ランデブーポイント、患者のいるすぐ近く、または患者のいる現場かもしれません、そういったところに行く。
 例えばこれが交通事故の現場であって、人が挟まって、瀕死の重傷を負っている、重篤の状態であると。そういった場合は、今度、救急車によって医師を運んでいくとかといった臨機応変の対応で、一分一秒を争う人の命を救うために、こういった仕組みがつくられている。これがドクターヘリであります。
 そして、このドクターヘリでありますけれども、今現在、東京都では二十四時間体制で対応できる東京型ドクターヘリ、多摩・島しょ部でこれは運用しております。
 また、首都直下地震、こういったものも想定しまして、ドクターヘリの有用性というのは結構あるかなというふうに私は思っておりますけれども、今までいろんなさまざまな観点でドクターヘリというのは話題になっておりますので、知事も認識があると思いますけれども、まず最初に、ドクターヘリに対する知事の認識についてお聞きしておきたいと思います。

○小池知事 一刻を争う救急医療の現場でございます。医師が同乗するドクターヘリの有用性については、私も認識をしております。
 一方、都は現在、二十四時間出場可能な東京型のドクターヘリを多摩、また島しょ地域での運用として活用しております。
 また、首都直下地震を想定して、防災訓練などで他県のドクターヘリを受け入れるということもやっております。東京二〇二〇大会の開催も見据えまして、近隣県とのドクターヘリの受け入れも含めまして、具体的な連携について検討しているところであります。
 ドクターヘリは、速やかにお医者様、医師が患者のもとに行って、現場や機内において必要な治療を行いながら、医療機関に搬送できるというものでありまして、効率的な救急医療体制の確保に寄与するものと考えております。

○橘委員 今、答弁にもございましたけれども、救急医療というのは、人の命がかかっているだけに、一人でも多くの命を守るために不断の体制の強化が必要であり、それを続けていかなければならない。これが救急医療の使命でもあると思います。
 東京におきましては、救急車による救急搬送、島しょ部や夜間でも対応できる東京消防庁のヘリを活用した東京型ドクターヘリ、救急病院が自主的に運用しておりますドクターカー、こういった組み合わせによって、救急治療、救急搬送が行われているわけであります。
 東京は、医療機関が多いこと、それから医療機関による救急医療と搬送体制を充実させて、そして一千三百万人都民の命を守っている。この体制があってこそ守られているという、その点は評価いたします。
 一方で、重大事故や脳疾患など一分一秒を争うような初期治療の有用性については、短時間で救急現場に医師と看護師を送り込むドクターヘリの有用性が指摘されている次第であります。
 東京は、小型ヘリを活用したいわゆる全国版ドクターヘリを導入しておりませんけれども、東京における有用性について、福祉保健局長の認識を伺います。

○内藤福祉保健局長 先ほど知事からのご答弁にもございましたが、都では、東京消防庁と連携いたしまして、東京型ドクターヘリを多摩・島しょ地域で二十四時間三百六十五日運用しており、同乗する医師の確保や患者の受け入れを行う協力病院といたしまして、広尾病院を初めとする都立病院のほか、十一カ所の病院を確保しているところでございます。
 東京型ドクターヘリは、大型機四機、中型機四機の計八機で運用しており、小型機に比べまして離陸までに時間を要し、着陸場所も限定されますが、遠距離運航や夜間飛行が可能で、複数の患者を同時に搬送することが可能となってございます。
 一方、お話の小型ヘリを活用したいわゆる全国版ドクターヘリでございますが、一度に搬送する患者の数が限られ、現在、日没までの運航となっておりますが、お話あったように、離陸するまでの時間が短く、着陸場所を設定しやすいなど、良質で適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与しているものと認識しております。

○橘委員 東京型のドクターヘリと、いわゆる全国版のドクターヘリ、これの併用によって、それによってそれぞれの特徴を生かして、より重層的な救急医療体制が私は構築できると思っております。
 先日、消防防災ヘリと併用で平成十九年からドクターヘリを導入している埼玉県を訪ねました。県の担当部署や運航主体の埼玉医科大学総合医療センターの責任者にお話を伺ってまいりました。
 出動要請から三分以内にヘリコプターのエンジンを始動し、遅くとも五分以内にフライトドクターとフライトナースを搭乗させ飛び立ち、交通渋滞に巻き込まれることなく短時間で重篤な患者のもとに駆けつけ、その場で治療が開始されるという、この仕組み、また実績、これに対しては、非常に私は有用であると感じました。
 この視察に伺った関係者の話を聞いて、ドクターヘリにはもう一つ、災害時の有用性も大きいとの認識を持った次第であります。
 例えば、首都直下地震等を想定した場合に、大災害の発生を想定しますと、ヘリの機動力というのは、人命救助に欠かせない。他県からドクターヘリが応援に駆けつけた、それを東京都が持っていないために、運用のノウハウがない、そういったときに果たして支障がないものかどうか。そういった懸念も持った次第でございます。
 こういう災害時におけるドクターヘリの有用性についても大事だと思いますが、認識を伺います。

○内藤福祉保健局長 ドクターヘリは、医師が速やかに傷病者がいる現場に赴き、その場で、あるいは医療機関に搬送するまでの間、患者に対して必要な治療を行うものであり、震災等により幹線道路が寸断されるなど、救急車による救急活動が十分に行えない場合でも、ヘリコプターの機動力を生かすことができまして、有効であると認識しております。

○橘委員 東京都と他県では地形も違いますし、交通事情も違います。医療機関の数も違います。地域特性を勘案して判断しなければなりませんけれども、東京においては、現在の東京型ドクターヘリの体制、そしてドクターカー、救急車の体制、これと併存させて、救急体制をドクターヘリによって重層的にすることができると思います。
 一人の命を救うためには、救急医療体制を強化してし過ぎることはないと思いますし、都民の理解も得られると私は思います。
 これから東京都は、ドクターヘリ導入を視野に入れた本格的な検討を開始すべきだと思いますけれども、見解を求めます。

○内藤福祉保健局長 都は、重篤な患者に一刻も早く適切な医療を提供できるよう、全国最多の二十六カ所の救命救急センターを確保するとともに、二十四時間出場可能な東京型ドクターヘリ及び専門研修を受けた医師等で構成する東京DMATを整備し、事故現場等で救命処置を行っているところでございます。
 また、東京二〇二〇大会の開催を見据え、限りある医療資源を有効に活用できるよう、近隣県とのドクターヘリの受け入れを含めた具体的な連携について検討することとしております。
 今後、東京DMAT及び東京型ドクターヘリ等による救急医療体制の現状や課題を踏まえた上で、ドクターヘリを活用した救急医療体制の機能強化を念頭に置きながら、学識経験者等で構成する救急医療対策協議会などで検討してまいります。

○上野副委員長 橘正剛理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後七時四十二分休憩

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