予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○石川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営をしてまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをいたします。
 この際、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁をされるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言をされますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 伊藤ゆう副委員長の発言を許します。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、都民ファーストの会東京都議団の伊藤ゆうから、平成三十一年度予算について質疑をさせていただきたいと思います。
 きょうは何の日かといえば、二〇一一年三月十一日のあの東日本大震災の翌日でもあり、また、復興を掲げた東京二〇二〇大会を世界に示していくその大会まで、ちょうど五百日というタイミングでございます。
 来年のちょうどきょう、三月十二日に、古代オリンピック発祥の地、オリンピア市の神殿跡地で聖火を採取し、その後、福島県から聖火リレーがスタートするというタイミングでもあります。
 折しも、きょうから五輪経費を含んだ来年度予算を審議させていただくということでありますので、東京の新しい姿をこの質疑を通じて明らかにしていきたいというふうに思います。
 ロンドン大会、五輪の中でも大変成功した大会だといわれていますが、このロンドン大会では、ロンドン市がソーシャルインクルージョンという概念を打ち出されました。社会が疎外された人を社会全体で包み込んでいこうという概念であります。東京では、東京二〇二〇大会を通じて、東京が抱える社会問題をどう解決できるか、きょう明らかにしてまいりたいというふうに思います。
 また、その陣頭指揮をとっている小池知事に対しては、中には実績がないという方もいらっしゃいますが、しっかりこの間、小池知事が実績を積み上げてきたところを、これは感情ではなくて数字、エビデンスをもとに明らかにしてまいりたいというふうに思います。
 立場によって評価が分かれるのが政治だとは思いますが、数字はうそをつかないと思いますので、後ほどしっかりエビデンスを見ていただければよくおわかりいただけるものと思います。
 ちなみに、データ、統計というふうにもいえますけれども、統計といえば今、国で問題になっているところがございます。ちなみに統計というと、戦後直後にマッカーサー元帥とのやりとりの中で、吉田茂元首相が当時、興味深いことを発言されておられます。
 これは通告にしていないんですけれども、知事、このマッカーサーと、そして吉田茂元首相とのやりとり、何かご存じのことがあったらご発言をお願いします。

○小池知事 突然のご質問でございますが、吉田茂氏がGHQ占領下における発言として、多くの子供たちが餓死をするということをいい、それによって食料支援を引き出したというエピソードの中で、そんなたくさんの餓死者を出すことはないといって反論されたという、そのくだりではないかなというふうに思いますが、GHQ相手に、そうやってちょうちょうはっし、数字をめぐってやりとりをするというのは、改めて吉田茂という人はすごい人だというふうに思いますし、そのときに統計が不正確かどうかというのを先方から指摘された件について、正確な統計を日本軍が確保していたならば戦争などしなかったというくだりもあったかというふうに記憶しております。

○伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。まことに正確だと思います。まさにこの吉田茂元首相がマッカーサーに対して、日本の統計が正確であったらアメリカと戦争などしなかったと、いささかウイットも含めておっしゃられたんだと思いますけれども、こういう発言をされています。
 国の命運を分けるほど統計は大事であるということの証左だということを申し上げて、これから数字をもとに質疑をさせていただきたいと思います。
 今、日本は、戦争の危機には幸いにして直面していませんが、少子化という戦後最大の課題には直面をしております。
 まず、この三七%減という数字を見ていただきたいと思います。これもちょっと通告していないので、もしお答えになれなければ結構ですけれども、福祉保健局長、この三七%減という数字を見て、何か印象としてお答えになれることはありますでしょうか。

○内藤福祉保健局長 突然のご質問でございます。待機児童が三七%減というのは、それ以前、八千台で推移し、また、私の記憶では二十九年度に待機児童の算定方法が変わった、その中で数字上はまたふえていく。それを受けて、算定方法も変わった中で三七%減、数字にしますと八千五百幾つから五千四百まで落ちたと思うんですが、その数字というのは非常に効果のある数字だと思っております。

○伊藤(ゆ)委員 突然の質問に対してお答えありがとうございました。
 今、局長にお話しいただいたように、平成二十九年度、八千五百八十六人だった待機児童数が平成三十年度に五千四百十四人になった。これを割り返すと、まさに三七%でございます。
 ここで、待機児童を含めた小池都政と、そして舛添都政時代の比較表というのをつくってみましたので、ごらんをいただければと思います。
 今お話をさせていただいた待機児童数の変化。小池知事になってほぼ三千人減りました。また、逆に保育サービスの利用者、児童数はふえております。
 これをまさに裏づける形でどれだけ予算が使われたかという意味でいえば、舛添知事時代の二十八年度当初額は、待機児童対策が九百七十八億円でした。対して、小池都政になって三十一年度、まさに来年度のこの審議にかかっている予算案では一千七百四十五億円と。これは一・五倍以上の数字になっております。
 また、保育士等のキャリアアップ補助も、二・三万円だったものが四・四万円と大幅に拡充をされているところでございます。
 私の知る限り、歴代の知事でここまで待機児童に重点的に予算、そしてまた人をしっかり充ててきたという知事はいらっしゃらなかったと思っております。
 一方で、ことしも待機児童がまだ発生をいたしております。まだまだ保育所の整備を待ち望んでいる保護者の皆さんに対して、知事の待機児童にかける熱意を伺いたいと思います。

○小池知事 女性の力をもっと引き出して、その活躍を後押しする、そして誰もが働きながら地域で安心して子育てができる、そんな環境を整えていくことは必要であります。
 私は、待機児童の解消という大きな項目を都政の最重要課題の一つに位置づけて知事職を始めたわけであります。保育所などの整備の促進や人材を確保すること、定着も支援していかなければなりません。それから利用者支援の充実、この三つを柱として保育サービスの拡大を精力的に進めてきた、その結果がそちらの数字にあらわれてきているのかなと、このように思います。十年ぶりの五千人台でございます。
 来年度でありますが、区市町村が取り組む保育所などの整備をさらに後押ししてまいりますと同時に、多様化する保育ニーズなどを踏まえまして、認証保育所やベビーシッターの活用、夜間などの保育を充実してまいります。
 このように、引き続き東京都待機児童対策協議会なども活用しまして、現場である区市町村としっかり連携しながら、二〇一九年度末までの待機児童の解消に向けて、さらに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 これまで保育所不足で悩んでおられて、そしてことし入れた方にとっては大変心強い後押しだったと思います。また、まだこれからも保育所の入所を待ち望んでいらっしゃる方々もいらっしゃいます。
 我々は、この異次元ともいえる知事の少子化対策をしっかり支え、またエンジン役として促進していくのが都民ファーストの会東京都議団の役割だというふうに感じておりますので、しっかりその点は提言をさせていただきたいというふうに思います。
 そしてもう一つ、小池知事と、そして舛添知事の都政の比較というものを出させていただきました。これ、あくまで幾つか特徴的なところを抜き出しをしていますけれども、まず一つは、新規事業、舛添知事時代に大体年間二百十二件程度だったものが、ことし、来年度予算ですね、四百十一件に、過去最高に上っております。新たな取り組みを始めているということであります。
 また一方で、一番大事なところ、舛添知事時代に事業評価等で生み出した財源確保は、二カ年で約七百億円でございました。
 一方で、小池知事は三カ年ですけれども、三カ年で二千五百億円の財源確保をなされています。三で割ったとしても、一年間に八百億円程度。舛添知事時代には、二で割れば三百五十億円程度ということですので、これも大きな取り組みの成果だというふうに感じております。
 事業の見直し件数も、ごらんのとおり、この点については、こうした数字上しっかりごらんをいただいて、適切な評価を下していただきたいというふうに思います。
 ちなみに、きょうはこうして統計のことを申し上げていますけれども、私にいわせると、統計の反対は系統でございます。これは読み方だけの問題ではなくて、統計はまさに数字に基づいて。しかし、系統は、誰かがつくった予算を脈々と続けていく、こういうことでありまして、今回、知事就任直後に政党復活枠の予算二百億円というものを廃止されました。
 もともと、四十七都道府県どこを見渡しても、政党復活枠の予算、こういうものを確保している議会、あるいは行政というのは、私は知りません。そういう意味で、二元代表制の根幹を揺るがすような枠組みをまさに取っ払って、そして廃止に導いた小池知事でございます。(発言する者あり)
 そして、これを廃止し、一方で、むしろ都民提案、そしてまた、大学研究者提案予算を生み出されました。平成三十一年度予算編成に当たっても、こうした都民、大学研究者提案というものを色濃く反映されているわけでございます。
 どうも政党復活枠の予算の廃止の話をすると、自民党の皆さんが大変やじを多く飛ばされるので、非常にわかりやすいんですけれども、この件については知事の今申し上げた都民提案、そしてまた大学提案に込めた知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。

○小池知事 私が就任して以来、一貫して東京大改革を進めてまいりました。その要諦というのは、都民とともに進める都政の実現であります。
 こうした観点から、これまでいわゆる政党復活予算の廃止であるとか、査定状況の途中経過を公表するなど、透明性を高める取り組みの実施をしてまいりました。
 加えまして、都民からの提案を直接施策の立案に活用するという都民による事業提案制度を導入するなど、予算編成プロセスの見直しを進めてきたところでございます。
 東京の今を生きる方々の生の声、これを施策に生かしていく、そして還元をしていく、こうしたことこそが都民が第一、都民ファーストの視点だと考えております。そして、それこそが都政の進化、大きく変わっていくということでありますが、それに大きく寄与するものだと考えています。
 平成三十一年度の予算編成でございますが、この東京に集積する大学、多々ありますが、そこで集まってくる知が持つ可能性を施策の構築に活用するために、今回新たに大学研究者による事業提案制度を導入いたしました。
 都民とともに進む、またともに歩む取り組みを加速させて、過去最高、四百十一件、そちらにありますけれども、新規事業を立ち上げました。そして、積極果敢な施策の展開を図りまして、未来に向けた道筋をつける予算案が練り上げられたものと考えております。
 この予算案をてこにしまして、都議会の皆様方のご協力もいただきながら、東京大改革をしっかり進めて、希望、そして活力にあふれた新しい東京をつくり上げていきたい、このように考えております。

○伊藤(ゆ)委員 都民とともに歩む取り組みを加速させるという今の決意がよくわかりました。
 それでは、次に、削減効果はよくわかりましたが、一方で、今度は、問題になっているのが国による都税のいわば収奪でございます。
 九千二百億とも報道されている国による都税の収奪。都民の皆さんで余りご存じない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これは社会保障関係費の増額と地方法人課税の減収の影響というものをグラフにしてみました。
 緑のところが、少なくても今後二十五年間で、放っておいても高齢化によって生まれる自然増する社会保障費でございます。そして、青のところが、これは従来、今の状態の中での社会保障費でございます。二十五年間で約七千五百億円、社会保障関係費の自然増だけでこれだけ、いってみれば純増するという中にあって、もともと今回の九千二百億の偏在是正、いわば国による都税の収奪がなかったとしても、この点線を推移します。
 しかし一方で、今回、その都税収奪の影響が出るのがいわば平成三十三年でありますので、そこを起点として見ていきますと、この赤字のライン、つまりは今までの社会保障費も賄えないほどに都税収入、あるいは都税全体としての歳入が減ってしまうということでございます。
 これらのことからもわかるように、その影響額は極めて大きいわけであります。もちろん、東京都の予算は一兆一千億とか一兆九千億という全体のパイではなくて、来年度の予算でいえば七兆四千億円程度の全体額でありますので、その中でのやりくりというものがこれから迫られるわけでございます。
 いずれにせよ、事業評価を用いた歳出削減の取り組みの強化をしてまいりませんと、今まで行っている一つ一つの事業についても支障を来す状況に今陥っているところでございます。
 そこで、歳出削減の取り組み強化に取り組んだ知事の考えを改めて伺いたいと思います。

○石川委員長 挙手を願います。

○小池知事 失礼しました。人口減少、そして超高齢化が東京、日本の持続的成長に影を落としているというお話でございました。また、中国経済が減速をしているとの報道もございます。さらには、イギリスのEUの離脱問題など、世界経済の先行きは極めて不透明という状況でございます。今後の都税収入の動向についても、確かな見通しを持つということはなかなか容易なことではございません。
 一方で、今ご指摘ありましたように、都におきましては、社会保障関係経費を初めとして、将来にわたって膨大な財政需要が見込まれているところでございます。
 こうした中で、都民生活を守って、東京、日本の成長につなげていくための施策を安定的かつ着実に進めていく。そのためには、健全な財政基盤をいかに堅持するかという、財政運営を行う上ではこのような視点は不可欠でございます。
 こうした考え方から、平成三十一年度の予算編成で、引き続き全ての事業に終期、終わりの期を設定し、事業の実施に必要な経費、そしてその効果をエビデンスベースで−−ちょっとお水いただいてよろしい
   〔伊藤(ゆ)委員「時間だけとめてください」と呼ぶ〕

○石川委員長 時計とめてください。
 始めてください。

○小池知事 エビデンスベースで比較検証する、いわゆるコストベネフィットの視点を踏まえた評価を新たに導入するなど、事業評価の取り組みを一層強化したところでございます。
 この結果、過去最高で千二百八件の評価を公表いたしまして、約九百億円の財源確保につなげたところでございます。失礼しました。

○伊藤(ゆ)委員 まず、予算委員会、これからも長丁場ですので、知事、どうぞお大事になさっていただきたいと思いますし、せきがつらいようでしたら時計をとめますので、申し出ていただければというふうに思います。
 今、お話をいただきましたとおり、事業評価の取り組みを一層強化し、強固な財政基盤の堅持に努める、こういう決意でございました。そうした決意のもとに、都税の収奪があっても、あるいは、これらを改めて阻止していくべく努めていただきたいというふうに思います。
 そして、今、社会保障の話をさせていただきましたけれども、豊洲市場についても触れさせていただきたいと思います。こちらも数字をもとに少し追いかけたいと思います。
 ここに、実は平成十六年当時、豊洲新市場基本計画というものがつくられておりますので、手に入れてまいりました。平成十二年から十四年ころに東京ガスと東京都で、いわば土地の売買の合意、あるいは覚書というものがなされたわけでありますので、平成十六年というと、もうまさに設計、あるいはこの基本計画をつくるという意味では、初期の初期の段階でございます。
 その中をどんな設計思想で豊洲新市場がつくられたのかを検証するために、ここのところを一読してまいりました。非常に正確に今の時代をいい当てていると思います。
 第一章、卸売市場流通をめぐる変化。この中に、生産者からの直接買い付けやインターネット取引など、流通チャンネルが多元化するとか、あるいはまた、物流システムが搬入から搬出まで一貫したものとして確立されるべきだというようなことが書かれていますし、ゾーニングについても、ちょっとこれはパネルにはしていませんけれども、こういうことで第五街区、六街区、七街区、まさに今と全く同じ設計に近いゾーニングというものが書かれていますので、大変正確に平成十六年のころから設計過程に入っていたんだなということがよくわかるものでございます。
 何がいいたいかといいますと、この中に施設規模というのが書かれておりまして、詳細版を読みますと、その施設規模は簡単にいうと、完成したときの豊洲市場においては一日当たり二千三百トンを想定してつくっていこう、こういうことでございました。
 では、パネルをお願いします。ここに、ここ三十年間の、三十年だけちょっと豊洲に移りましたが、主に築地市場の水産取扱量の推移というものをお出しいたしました。
 平成元年ころは七十八万一千トンあったものが、まさにこの基本計画が書かれた平成十五年ころは六十一万五千四百トン。そして、現在はというと三十六万二千七百五十七トンということでございまして、残念ながら右肩下がりになっているところでございます。
 ちなみにいうと、平成十五年ころ、この基本計画が書かれたころの一日の割り返しをしますと、大体二千三百トン程度ということでございますので、恐らくこの基本計画をつくったころには、こう下がっていかないでほしいという希望も含めて設定数値が書かれたものというふうに理解をいたしております。
 しかしながら、本当に残念ながらですけれども、先ほど申し上げたように、三十六万二千トン、これは今、一日当たりに割り返していきますと大体千四百トンということでございますので、当時、基本計画をつくられていたころに比べても一千トンぐらい、そういう意味では足りていない状態でございます。
 私も所管委員長もしていましたので、築地、豊洲、特に豊洲にも最近よく行かせていただいています。だからといって、今余っている場所があるとかいうことではなくて、マルシェの駐車場が足りていないというようなこともあり、四十ヘクタールあるこの敷地をいっぱいにご活用いただいているというふうに認識しておりますし、そして、これから何よりも豊洲新ブランドを世界に向けて確立していっていただきたいというふうに思っているところでございます。
 何がいいたかったのかといえば、一つには、やはり予測は正確にこれからも立てていかなければいけないということと同時に、今少なくても、当時の数字、目標数字であったのか、設定数字に届いていませんので、ぜひここは最大の努力を払って、当時のまさに二千三百トン程度を達成していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そして、さらに、当初、九百九十億円の建設コストが最終的には二千五百七十四億円に膨張されております。
 小池知事の誕生、そして、それによってまさに立ちどまりが起きたことによって、この建設コストの方も随分検証が進んでいったものと思います。そしてまた、知事が開場延期を決断された直後に盛り土がなかった問題が発覚をし、その後、さまざまな検証と、そしてまた追加対策工事が実施をされて、安全宣言という運びになりました。私は、これを立ちどまってこその安全、特に安心だったというふうに考えております。
 一方で、市場会計は、今回五千四百億円投入をされてもなお、五十年後には底をつくといわれております。そういう意味では、改めてここも、知事、厳しい検証の目を向けていただきたいと思います。
 豊洲新市場問題に際して立ちどまったことの意義と、そして市場会計をどう改革していくのかを知事に伺いたいと思います。

○小池知事 平成二十八年八月に、私は安全性への懸念など、三つの疑問点が解消されていないとして、豊洲市場への移転を延期いたしました。
 移転延期した後、専門家会議、そして市場問題プロジェクトチームなど、さまざまな検証を進めまして、その中で、主要な建物の下に盛り土がなされていなかった問題、市場会計の持続可能性の問題など、これまで議論の対象とならなかった課題に光が当てられたわけであります。
 豊洲市場の用地につきましては、専門家会議の検証で法的、科学的な安全性が確認され、この会議の提言に基づいて実施をいたしました、将来のリスクにも備えた追加対策工事でさらなる安全性の向上が図られたものであります。
 その検証過程、そして測定データの情報公開を徹底して、一種のステップをオープンな形で進めました。その結果、市場移転問題に対しての都民や市場関係者の理解も深めることができたと考えております。
 また、市場会計でございますが、豊洲市場の減価償却費などの影響を踏まえますと、会計の持続可能性の確保、そのためにも抜本的な改善が必要であるとの認識はございます。
 今後、戦略的な市場経営と、そして強固な財務体質の確保に向けた経営計画を策定することといたしておりますが、これまでの検証と同様、ここで改めて、市場会計の現状であるとか事業の費用対効果、そして市場経営を取り巻く状況をしっかりと把握いたしまして、実効性ある取り組みを進めていく必要がございます。
 外部の有識者によります市場運営の検証を行うとともに、企業経営や財務や会計の専門家などの知見を最大限に活用しながら、スピード感を持って市場会計の改革に取り組んでいきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ外部の目も入れながら、この市場会計の改革に取り組んでいただき、都民の信頼をぜひ取り戻していただきたいということを申し上げたいと思います。
 この築地、豊洲の問題というのは、私の知る限り少なくてももう二十年以上にわたる議論が都政においてあったことと思います。(「もっとだよ」と呼ぶ者あり)そう、もっとですね、三十年ぐらいあったかもしれません。
 そういう意味では、小池知事が誕生して二年半でございますので、この二年半だけを殊さら取り上げて問題だ問題だというのは、私はむしろ議会の責任放棄だというふうに思います。むしろ二、三十年間のことを少し振り返って、胸に手を当ててお考えになられた方がいいのではないかということを申し上げたいと思います。
 さて、築地市場、今まさに解体が進んでおりますけれども、この築地の市場、正しく保存しておくということも必要ではないかというふうに思います。今後、築地のさまざまなポテンシャルを生かした再開発が進めていかれることと思いますが、その再開発に当たって、八十三年にわたって運営されてきた築地の市場の記憶を何らかの形で残すことも一案ではないかというふうに思います。
 解体工事において、都は何か対応を施しているのか、市場長に伺いたいと思います。

○村松中央卸売市場長 旧築地市場の跡地につきましては、東京二〇二〇大会の車両基地として活用するため、解体工事を進めているところでございます。
 旧築地市場の建物につきまして、都は、当時の竣工図書などを保有しているほか、旧築地市場の建物や取引の様子などを映像にして記録しております。
 あわせて、昭和初期に建設されました水産仲卸売り場棟などについて、歴史的な観点から専門家のアドバイスを受け、扉などの建具や鉄骨部材の一部を保存することも予定しておりまして、こうした貴重な資料を後世に引き継いでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 東京都には、江戸東京博物館があったり、またさまざまな展示品を展示できるところがあったりされると思います。これから築地が再開発されて、まさに解体を今されているところでありますけれども、こうした築地に残されたレガシーともいえるような、そうした今お話しの鉄骨部材や扉などの建具を保存しておくことは、後世の皆様方にまさにレガシーを残すことになると思いますので、取り組みをぜひ進めていただきたいということを思います。
 次いで、知事は、都政にとってまさに長期的なプランといえる新長期計画を策定すると先日表明をされました。今回のプランは、知事にとってはいわば初めての長期計画となるものと思います。まさにこの長期計画に基づいてさまざまな東京都の各局、各部課の政策が実現をされていくわけでありますので、いわば東京都政の屋台骨となる新長期計画でございます。
 そこで、これから策定をされる新長期計画、これまでの実行プランの達成状況と、そしてこれから策定される新長期プランの策定を含めた今後の取り組みについて、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 お尋ねの二〇二〇年以降の新長期計画の策定でございますが、現在、二〇一六年の十二月に策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランに基づいて、三つのシティー、つまりセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー、この三つのシティーを実現するため、さまざまな政策を積極的に展開しているところでございます。
 実行プランでありますが、PDCAサイクルのもとで毎年政策のブラッシュアップを行っております。そして、二〇一八年度までを目標年度といたします政策目標を全て達成する見込みであります。
 現在の実行プランですが、二〇二〇年までを計画期間としております。また、今後、東京二〇二〇大会のレガシーを将来に生かす、さらにはエポックメーキングの年となるでありましょう二〇二五年以降の人口減少、そしてさらなる高齢化といった、まさしく大きな時代の変化に対応していくためには、より長期的な視点で、東京の進むべき道のりを具体的に示すことが必要と考えております。
 そして、そのために三つのシティーが進化したおおむね十年先の東京の将来を描く新たな長期計画を、年内を目途といたしまして策定をいたしてまいります。
 この計画でございますが、東京の発展の原動力は、やはり何といっても人であると、人材であるということで、人に焦点を当てまして、誰もが存分に力を発揮する、そのことで持続可能な、持続的な成長につながっていく東京の明るい未来を描いてまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 今、新長期プランの策定に当たってのご決意を伺いました。その中でも二〇二五年以降の人口減少について触れられておりましたし、少子化、あるいは高齢化といった東京の直面する課題を克服していくためのプランが練られていくものというふうに理解をいたしました。
 全ての生物が自分の種を一つでも多く残していきたいというふうに、この地球上では思っているわけでありますが、ある意味、人間だけが、今まさにみずから、食料事情にかかわらず個数を減らしているという、非常に自然界においては珍しい現象が起きているわけでございます。
 では、その原因分析も正確になされていかなければならないんだろうと思います。
 そこで、きょう、厚生労働省の機関である国立社会保障・人口問題研究所、二〇一五年の統計結果をここでご紹介したいと思います。
 これは、国内の夫婦の方々にお聞きをいたしました、平均の理想として欲しいと思っている子供の数、そしてまた、実際に理想とは別に何人ぐらいの子供を欲しい、つくりたいなと思っているかというものの統計でございます。
 青が理想の子供数、オレンジが予定子供の数ということで、ごめんなさい、これは九七年になっていますけれども、一九七七年ですね。一九七七年から二〇一五年、まさに今に至るに当たってどれぐらい変わっているかというと、理想の子供数は一九七七年のころ二・六一、今は二・三二。そして、予定の子供数、七七年のころが二・一七、今は二・〇一と。ご想像にかたくありませんけれども、やはり減ってはいます。
 ただ一方で、注目すべき点は、予定子供数に関しては二・一から二・〇一ですので、そんなに大きく減ったわけではございません。
 では、どこに少子化に拍車のかかった原因があるのかということを少し分析していきたいというふうに思います。
 次に、今度は理想の子供数を持たない理由を聞かせてくださいという統計結果でございます。
 もともと理想の子供が一人以上、予定は実はゼロ人なんですという方、そして、こちらは理想は三人以上、予定は二人以上なんですという方々。
 大きな特性の違いがありまして、理想一人以上、予定はゼロという方の一番大きな理由は、欲しいけれどもできないというのが七四%でございます。一方で、理想三人以上といわれている方においては、子育てや教育にお金がかかり過ぎると答えられている方が七〇%。
 逆にいうと、一人、二人欲しいという方にとっては、教育費ではなくて、むしろ欲しいけれどもできない、健康上の、あるいはまた高齢というような理由などもあり、その特徴に大きな違いがあることがわかります。
 一つの傾向としては、一人目のお子さんをつくりたいけれどもなかなかできないという壁は、年齢や肉体的な理由が主であることがここから見てとれます。三人目は教育費。
 そして、逆に少し意外だったのは、自分の生活を大事にしたいからという方は、九%、五%、六%と決して多くありません。ですので、私は、まずこの一人目の壁を下げるというところが非常に重要な点だというふうに考えております。
 そこで、知事は不妊検査や不妊治療費助成の大幅拡充をされました。また、都民提案の子供を持つということに対する総合的な普及啓発に新規で予算をつけられてもおられます。知事の考える少子化対策についてまず伺いたいと思います。

○小池知事 誰もが生き生きと生活して活躍できる都市東京、都民の多くはそれを望んでおられることであります。そして、その実現のためには、子供を持ちたいと願っている全ての人が安心してまた子供を産み育てることができる環境の整備が必要かと存じます。
 そこで、妊娠、出産、子育てと、シームレス、切れ目のない支援の充実というのが重要でございますし、また女性が活躍することを促進する、それから、ライフワークバランスの推進などなど、これまでもさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 来年度からより多くの方々を支援しようということで、例えば不妊検査などの助成で、奥さんの側の年齢要件を三十五歳未満から四十歳未満に拡大いたしました。それから、特定の不妊治療費の助成でございますが、所得の制限がございます。その額を夫婦合算しまして七百三十万円から九百五万円へと緩和をする。
 これらのことによりまして、妊娠、出産、そして不妊治療など、子供を持つことに関する知識についての啓発も行うなど、総合的に進めていく必要があろうかと考えております。
 よって、福祉、医療、雇用など、あらゆる分野の施策を総合的に推進して、子供を待ちたいと願っていく方々、この皆さんを支援していく。その熱意といいましょうか、その思いが伝わることも重要なのではないのかなと、このように考えております。

○伊藤(ゆ)委員 本当に欲しいけれどもなかなかできないという中にあって、そこにしっかり手を差し伸べる予算ということで、こうした予算の拡充も今後一層進めていただきたいというふうに思います。
 そして、先ほどお話をさせていただいた、いわば三人目の壁、教育費について伺いたいと思います。
 実は、都内の塾は、このところ過去最高益を出しているところもございます。少子化である一方で、塾の経常収支が過去最高。逆に、東京都民の平均塾費用は合わせて常に全国一位、二位でございます。
 そういう意味では、私は、東京というのは、実は教育費家計圧迫都市なんではないかなというふうに思っているわけでありまして、塾に行ける子と行けない子の教育格差もますます広がっていると確信をしております。
 そこで、スタディーアシストについてここで少し触れさせていただきたいと思います。
 これは本年度の予算で知事が新規事業として立ち上げられたものでございます。これ自体は立川市、そして青梅市で導入をされました。何かというと、公立中学校の中に塾の講師を招いて、そして塾に行けないお子さんたちに対して希望をとって、週に一回程度、学校の中で、いってみれば塾の講義を受験生の子たちが受けられるということでありまして、塾に行けないお子さんたちにとってはまさに希望の塾に、まさに学校になっているということでございます。
 ちなみに、立川市立中学校では、中学三年生約一千三百人のうち約百名が受講されているということで、七%から八%のお子さんたちが今ここに集われているところでございます。これは都民ファーストの会の主要政策でもございました。
 この塾講師を学校内に取り込んでのスタディーアシスト事業に当たっての知事の認識を伺いたいと思います。

○小池知事 教育への投資は、すなわち未来への投資ということができると思います。子供たちが家庭の状況に左右されずに学力を確実に身につけるということができるように、個々の状況に応じたきめ細かな教育に取り組む必要がございます。
 スタディーアシスト事業についてのお尋ねでございますが、こうした認識のもとで、中学生の進路の実現に向けた授業の外における学習支援として、今年度から実施しているものであります。
 生徒さんや、また保護者の皆さんから、予習や復習の習慣がついて入試に向けた勉強ができたと、また、子供が学校で安心して進学支援が受けられたなど、いろんな声が寄せられていると伺っております。
 今後とも、教育委員会と力を合わせまして、未来を担う子供たちの夢や希望を大切に育む、そのような教育の充実を図ってまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 まさに教育への投資は未来への投資であると私も感じます。学校の現場でも高い評価を得ていると伺っておりますし、今後、この学校に学校関係者の皆さんが見学に来られて、そしてさらに多くの学校で取り組みが進むように、見学の受け入れの促進を要望しておきたいと思います。
 次に、関連しますが、東京都は今、特に低所得の世帯の方々向けに、なかなか家庭の事情で塾に行けない方々に向けて、受験生チャレンジ支援制度というものを設けていらっしゃいます。現在、この制度ができてから十年程度がたっているところであります。
 これは塾代を貸し付けてあげて、そして、とてもいい仕組みなのは、志望校に受かった場合には、二十万円なんですけれども、お金を返さなくていいですよということでありまして、お子さんたちも大変熱心に、これによって塾に通って勉強し、進学できているというふうに伺っています。
 そこで、この受験生チャレンジ支援事業の十年間を振り返り、寄せられた声など、その実績について伺いたいと思います。

○内藤福祉保健局長 お尋ねの受験生チャレンジ支援貸付事業は、平成二十年度に開始し、一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生等の受験を支援するため、受験料や学習塾の受講料の無利子貸付を行っております。
 この受験料及び学習塾受講料の貸付件数の平成二十九年度の実績は、合計九千百六十件でございまして、貸付金額は約十億一千二百五万円となってございます。
 志望校へ入学した場合などには貸付金の償還を免除しており、平成二十九年度の償還免除率は九九・三%となってございます。
 また、平成二十六年度に本事業を利用した生徒に対しまして昨年実施した調査では、学習意欲が向上した、成績がよくなったなどの回答が寄せられておりまして、低所得世帯の子供の学習意欲を高め、高等教育への進学率の向上などに寄与しているものと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 学習意欲が向上したということでありまして、なかなか家庭の事情で塾に行けなかったお子さんにとっては、大変ありがたい制度ではなかろうかというふうに思います。
 今は生活保護世帯の約一・一倍の層まで対象にされているということですけれども、今後、求めていらっしゃる方はまだまだいっぱいいらっしゃると思いますので、これを一・一倍から一・二倍と拡充していただきますように、ご検討を要望しておきたいと思います。
 あわせて、スタディークーポンという新しい仕組みについて触れさせていただきたいと思います。
 実は、受験生チャレンジ支援制度とはちょっと違った視点から生活困難世帯に対する塾の支援をされている団体があります。NPO、スタディクーポン・イニシアティブという団体でありますけれども、その団体の今井悠介さんという代表の方は、もともと兵庫のご出身で、阪神・淡路も経験されたんでしょうかね、東日本大震災のときに学生時代だったのか、卒業して直後ぐらいに東日本に行って、そして、まさに被災をしたお子さんたちで塾に行けなくなった方々のために、企業からお金を集めて、そしてそれをクーポンにして被災者のお子さんたちに配ってさしあげて、塾に通えるようにしてあげたということでございます。
 実は、この仕組みについて、渋谷区が今連携をとって、スタディークーポンを本年度から導入をされているようであります。渋谷区の場合、学習援助、または生活保護を受給している世帯の中学三年生を対象に、クーポンを配布されているというふうに聞いております。
 特に、渋谷区の福祉課のケースワーカーの方々と連携したことで、対象となる方々が、お子さん五十四名いらっしゃったそうですけれども、この五十四名にクーポンが行き渡って、うち八〇%のお子さんたちがクーポンを利用されて塾に通われているそうであります。
 そういう意味では、非常にアウトリーチしやすい仕組み、そして、塾とともに社会全体でお子さんたちを見守れる、いわばソーシャルインクルージョンの思想というものも、このクーポンの中には含まれております。
 そこで、学習塾などで利用できるスタディークーポンという取り組みが、まさに区で始まっておりますけれども、学習支援に対する都の認識を伺いたいと思います。

○内藤福祉保健局長 子供が生まれ育った環境にかかわらず、自立に向けて進路を選択できるよう、学習支援などの低所得世帯の子供を支援することは重要であると認識してございます。
 都は、受験生チャレンジ支援貸付事業に加えまして、生活保護世帯の子供を対象に、生活保護費の支給対象とならない学習塾の費用や大学等の受験料を助成する区市を包括補助で支援しておりまして、平成二十九年度の実績は、四十八区市、約三億五千七百四十万円となってございます。
 ただいまご紹介いただいた渋谷区の事例につきましても、独自の子供の学習支援策の一つであると認識しており、今後とも、各区市の取り組みも視野に入れまして、子供への学習支援を推進してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ検討を、これは三十二年度予算に向けてということになろうかと思いますけれども、お願いを申し上げたいと思います。
 そして、今、塾の話を少しさせていただきましたけれども、そもそもでいえば、必ずしも塾に行かなくてもというのは、逆にいうと、塾は何のために行っているかといえば、いい高校に行くため、それはすなわち大学に行くため、それがいい就職につながるからと、こういう循環ではなかろうかと思います。
 そういう意味では、必ずしも大学進学を望まない子たちが大学に行かなくてもすばらしいキャリアを築ける、そういう進学のコースというものが今望まれているのではないかというふうに思います。
 そこで、改めてですけれども、教育費がどれぐらい変わったかということを、少しこれも数字でご紹介をしたいと思います。
 一九七五年と二〇一七年の国立大学授業料と大卒初任給の比較でございます。何と一九七五年当時の国立大学の授業料平均は三万六千円でございました。これは年間です。それから、今、二〇一七年となって国立大学の授業料は幾らになったかというと、五十三万五千八百円でございます。一方で、大卒初任給は当時約九万円、そして、今は二十万六千円と。
 つまるところ、授業料は十四倍になっていて、初任給は二倍ということでありますので、国立でこれですから、当然ながら、一九七五年、私が生まれたころと比べて大きく教育費の負担というものが、親にとって変わってきたということでございます。
 そこで、改めて申し上げますが、大学に進まなくても、すばらしいキャリアの築ける進学コース−−ドイツでは、そういう意味では必ずしも大学進学率は高くありませんが、さまざまなコース、専門職であったり技術職というものを小学校の四年生の段階で選択を迫られるというようなことになっているそうであります。必ずしも小四でそこまで決定することがいいとは思いませんが、一方で、都は、東京都立産業技術高等専門学校を有しております。
 実は、都立産業技術高等専門学校というのは、大変おもしろい取り組みでございまして、まさにスキルを中学卒業段階から身につけられる、いわば専門学校ということでございます。
 そして、一年、二年、三年、四年、五年と、基本的なことを、ここで技術も含めて学び、さらに学びたい人は専攻科に進んで二年間。そして、例えば五年間でも大学に編入することができる。それがまさに首都大学と連携しておりますので、首都大に編入することもできるし、またこの専門学校の中で二年学んでから大学院に入ることもできれば、それぞれ就職の道もあったり、ほかの一般大学に編入していくことも可能であるということでございます。
 この学校は、今もう本当に民間企業から引く手あまた。そして、一方で、授業料は年間二十三万四千円と、国立大学の半分以下でございます。また、授業料の納入が困難な場合は半額に免除するというような仕組みもございます。
 企業は、専門技術を持った人に期待をしているというふうに思いますが、この高専の就職状況と企業の声を伺いたいと思います。

○遠藤総務局長 都立産業技術高等専門学校は、開校以来、首都東京の産業振興や課題解決に貢献する、ものづくりスペシャリストの育成を使命といたしまして、実践的技術者を輩出してまいりました。
 都立高専への求人企業数は就職希望者数の十倍を超えておりまして、平成二十九年度は卒業生二百七十三名のうち、大学等へ進学する者を除けば百七十三名が就職しており、主な就職先は製造業や情報通信業でございます。
 卒業生が就職した企業からは、即戦力であり、就業に対してのモチベーションが高いとか、工学や技術の基礎的知識が身についているなど、技術者として働く上での基礎力を評価する声が寄せられております。
 また、平成二十八年度から開始した情報セキュリティー及び航空分野の職業教育プログラムは、喫緊の課題に対応したものとして産業界から高く評価されているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 今、お話のあったように、求人企業数は就職希望者数の十倍ですから、どれだけ多くの企業が今この高専の卒業生に対して期待を寄せているかのあかしであります。
 そういう意味では、私はこの高専、もっともっとフィールドを広げていただいて、多くの方々に知っていただいて、必ずしも大学に行かなくても、この高専で学べば、スキルも身につくということを多くの都民の方々に知っていただきたいというふうに思っているところでございます。
 ちなみに、この高専の中で機械システム工学コースを卒業した方の年収、その後、調査をされたそうでありますので、年収が出ています。
 二十歳から二十九歳の年収、何と四百万円以上が六%、五百万円以上六百万円未満一一%、つまり、年収四百万円から六百万円、二十代にして取っている方々が一七%もいらっしゃいます。ほかのコースでは、もっと高い年収を若くして取っていらっしゃる方も多数いらっしゃいました。これも一つの証左でありまして、この高専に集う多くの学生にとっては、まさにキャリアの道が開かれているわけでございます。
 そういう意味では、今後とも、この高専については、ぜひフィールドを拡充していっていただきたいということを、これは要望をしておきたいというふうに思います。
 そして、高専とは別に、都立工業高校についても伺いたいと思います。
 十六校の都立の工業高校がございますが、こちらの方は現在、いわば倍率は、入りたいというお子さんの数という意味での倍率は一倍程度ということなので、まだまだ伸ばしていける余地があるというふうに思います。
 一方で、工業高校卒業者も今、中小企業を中心に引く手があまたでございます。府中工業高校を卒業し、民間に就職した清水義晃氏が、アブダビで開催された技能五輪国際大会で金メダルを獲得されたというようなこともあるそうであります。そうしたことを在校生にも、今お伝えをいただいているというふうに聞いております。
 こうした工業高校のこれからの、いわば改革というのは待ったなしではなかろうかと思います。
 そういう意味で、工業高校の魅力発信と企業が求める人材育成を推進するために、外部の技術者を活用するなど、一層踏み込んだ取り組みが必要であると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○中井教育長 工業高校では、教員による授業に加え、実社会で活躍する建築家やデザイナーなどによる講座や地元企業との連携による進路指導や企業実習、卒業生の再就職支援を実施するなど、多様な取り組みを行っております。
 こうした取り組みの成果などに加えて、先ほど副委員長からもお話ございましたが、ロールモデルとなり得るような、現に実社会で活躍する卒業生の情報を一層充実させ、ホームページ等を通じて周知することなどにより、工業高校で学ぶことの魅力を発信してまいります。
 さらには、都教育委員会において、IT分野で高度な専門性を持つ人材を有し世界的に活躍している企業や高い教育実践力を持つ専門学校などとの連携のもとで、外部の教育力を活用した新たな教育プログラムを検討するなど、今後の工業教育のモデルとなり得る取り組みに着手してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 力強い答弁をありがとうございました。
 あわせて、工業高校のイメージ、名称なども検証していく必要があるのではないかというふうに思います。
 そこで、外部の柔軟な発想を取り入れた、工業高校のさらなる改革を検討していくべきだというふうに思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○中井教育長 都教育委員会は、生徒や産業界のニーズを踏まえて、科学技術高校の開校やデュアルシステム科の設置、エンカレッジスクールの指定など、工業高校の改革を推進してまいりましたが、その一方で、昨今の産業を取り巻く環境の変化は目まぐるしく、引き続き改革を進めていくことが必要でございます。
 そこで、今後、生徒や保護者、教育界や産業界等の意見も踏まえながら、中長期的な工業高校のあり方について検討してまいります。
 来年度については、在校生や卒業生、卒業後の就職先や進学先等に対して、工業高校のイメージや求める教育内容等に関する調査を実施してまいります。
 今後とも、生徒や社会の期待に応え得る魅力ある工業高校を目指し、取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 調査を行うというのは初めての答弁かと思います。ぜひこの調査結果を踏まえて、都立高校、特に都立工業高校のイメージ向上に努めていただきたいというふうに思います。
 さて、先ほど子育ての応援が重要であるということを申し上げました。国の幼児教育無償化の対象外とされた幼稚園類似施設に対する支援についても伺いたいと思います。
 これは、昭和四十年代後半から現在まで、東京都が独自に認定してきている幼稚園類似施設は、特色ある教育を施し、また、障害児や外国籍の子供の受け入れを積極的に行うなど、長年にわたり地域に密着をし、重要な役割を担っております。
 このたびの無償化の動きによって、廃園を余儀なくされるおそれもあり、通園する子供や保護者から不安の声が多く寄せられております。
 国の制度により影響を受ける幼稚園類似施設に通う児童、親を支援するため、今般、我々の重点要望を受けて、予算案に都内私立平均保育料を目安にした都独自の支援策が盛り込まれました。
 当面、四年間ということでありましたが、期限を区切ってしまうと、再来年度以降、入園を予定している幼児の選択肢を狭めてしまうことにもなります。施設や、そこに通う子供たちのことを考えれば、四年後に補助を打ち切るということではなくて、補助期間の延長など、慎重に対応を検討していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○浜生活文化局長 都は、これまでの経緯なども踏まえまして、幼稚園類似の幼児施設に通う保護者の負担軽減を図るため、当面、独自の補助を行うこととしております。
 今後につきましては、幼児の健やかな成長にも資するよう、施設の置かれた状況や意向なども踏まえまして、区市とも綿密に連携しながら、都として丁寧に対応してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 まさに、そのようにお願いしたいと思います。国や都に要望を行ってこられた保護者の方々からは、今の答弁に対して安堵の声が聞かれそうであります。補助を打ち切ることがないように強く求めておきたいと思います。
 続いて、待機児童対策を改めて申し上げたいと思います。
 ちょっと新しい視点ですけれども、いっても待機児童対策、一番の問題になるのは用地不足、なかなか条件に見合った物件が見つからないということは常々いわれております。
 そういう中にあって、国有地の払い下げ時というのは、一番、その土地、あるいはまた建物を建てていく上でのチャンスとなり得ます。
 そこで、しかし問題がございまして、実は今の国有地の売却フローでいきますと、国は国有地を売ろうと思ったときには、まず東京都、そしてまた区にそれぞれ要りますかという問い合わせをいたします。
 例えば、東京都では、その土地に対して特に事業計画がないよということであれば、それを国に対して返答するわけでございます。すると、今度は、とりわけて区の方でここを何とか使えないかという検討が始まるわけですけれども、区市町村においては、私の選挙区、目黒区でも資金不足があって、欲しいけど買えないと。そこに本当は保育園をつくりたいんだけれども、欲しいけれども、広過ぎて買えないようなことがございます。
 これまでは、東京都、区、それぞれに対して問い合わせがあり、回答がありました。しかし、欲しいけど買えないというものに対する解決策が、私はあってもいいのではないかというふうに思います。
 杉並区の公務員高円寺宿舎跡地は、これは区と、たまたまなのかもしれませんが、東京都が連携できて、そして新たな特養ホームがつくられるということでございました。
 そこで、国から都に打診があった場合に、都としての活用意識をまず都庁内で確認をすることとあわせて、あらかじめ区に必要の有無を確認するべきではないかと思います。
 そして、必要性を認めた場合においては、区との連携事業と捉えて購入できるように改めるべきではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○武市財務局長 これまで未利用国有地に関しましては、国からの活用意向照会が都と地元区市町村とに別々に出されていたこともありまして、それぞれが単独で回答を行ってまいりました。
 そのため、都及び区市町村がそれぞれ別々に活用可能性の検討を行ってきたところでございまして、両者の間での調整などは、基本的には行われてまいりませんでした。
 しかしながら、例えば、都と区市町村がその土地を分割してそれぞれ活用したい場合など、双方の意向が折り合った場合には、一つの土地を共同で活用することも考えられます。
 お話のございました杉並区高円寺南における国有地の件につきましては、国からの照会に対して、都と区がそれぞれ活用の意思を示しましたが、両者の間で調整を図り、結果的に都と区が共同で活用することとなった事例でございます。
 そこで、まずは都において活用意向を有する国有地に関しましては、あらかじめ地元区市町村へ情報提供を行い、双方のニーズの調整を行うなど、都及び区市町村の間で情報共有を図っていく仕組みの構築を検討してまいります。
 それによりまして、区市町村との連携を深め、都有地はもとより未利用国有地につきましても積極的な利活用を図っていきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 これは本当に画期的な答弁だというふうに思います。ぜひ区と連携をしながら、国有地の有効活用を図っていただきますようにお願いしたいと思います。これは保育園に限らず、高齢者福祉施設においても同様のことではないかと思います。
 区との連携について、もう一つ伺いたいと思います。
 私の選挙区の目黒区内においても、結愛ちゃんの死亡事件というものがありました。今現在、東京都内においては、荒川区、世田谷区、江戸川区では区独自での児童相談所設置の動きが加速をしているところでございます。
 私は、ちょっと懸念があるのは、それぞれの区が進める場合、児相のまさに人づくりという点でございます。
 そこで、都は区が児相を設置する場合に、これまで東京都が築いてきたノウハウを区に提供するなど、都のスケールメリットを生かした支援を行うべきではないかと考えます。
 児童相談所のあり方に対する知事の認識を伺いたいと思います。

○小池知事 児童相談所、児相についてのお尋ねでございました。
 児童の健やかな成長を願い、家庭とともに考えて問題解決する専門の相談機関のことでございます。
 特に昨今、虐待、非行など困難な事案が増加しております。それらに対応できる専門性と、そして保護者との関係なども考慮した施設等への広域的な入所調整ができる体制は不可欠でございますし、また、家庭復帰までの一貫した対応が求められるところでございます。
 そこで、平成二十八年に児童福祉法が改正されました際、市と同様に特別区も児童相談所を設置できるようになった旨のお話が今ございました。
 都は、特別区からの求めに応じまして、派遣研修職員を児相に受け入れる、そのほか児童相談行政について特別区の職員の理解が深まりますように、虐待相談や非行相談などに関する勉強会も開催をいたしております。
 また、児童養護施設や一時保護所などの広域利用につきましては、都区間で検討を行っているところでございます。
 今後とも、何よりも子供たちの安全・安心、これを確保するという考え方に立ちまして、特別区の取り組みを支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 特別区の取り組みを支援していくという心強い答弁がありましたので、ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 そして、子供の安全のみならず、今、都民の安全を守ってくれているのが防犯カメラ。いずれの犯罪に対しても防犯カメラは有効であると考え、都民ファーストの会東京都議団からも、この維持管理費への補助創設を強く要望したところでございます。
 この防犯カメラの設置促進に向けての考えを伺いたいと思います。

○大澤青少年・治安対策本部長 地域の防犯力向上のため、都は区市町村とともに、町会、自治会、商店街等が設置する防犯カメラの整備費用の補助を行っており、現在、新規設置に係る都の補助率を引き上げ、町会、自治会、商店街等の負担を軽減するなど、設置を促進しております。
 また、来年度は、お話の防犯カメラの継続利用に資する保守点検費、修繕費への補助を新たに実施いたします。
 さらに、区市町村が登下校区域や区市町村立公園に設置する防犯カメラの整備費用補助も実施することとしており、来年度予算には、合わせて約九億九千万円を計上しております。
 今後とも、犯罪が起こりにくく、安全で安心して暮らせる社会の実現を目指し、区市町村と連携しながら防犯カメラの設置促進を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思います。要望を受けて、しっかり予算化していただいたということについては大変高く評価を申し上げたいと思います。
 そして、あわせて、犯罪の中でも悪質であり、子供の心も体も傷つけるのが幼児への性犯罪であります。特に性犯罪の場合、犯行がエスカレートしていくというような傾向も顕著でございます。
 大阪府、福岡県では、既に再犯対策のプログラムを含めた性犯罪対策の条例が制定をされていると聞いております。今後、検証していくテーマであるというふうにまず申し上げておきたいと思います。
 そして、あわせて犯罪者の再犯防止についても触れさせていただきます。
 新宿駆け込み餃子というお店をご存じでしょうか。余りご存じないかもしれませんが、これはサラ金経営なども務め、暴力団の事情にも通じている新宿の玄さんという有名な方がおりまして、私もお会いしたことがございます。
 この方、さまざまな方の駆け込み寺もやりながら、まさに今申し上げたギョーザ屋さんを元受刑者の方々を店員として経営をされているということでございます。いわばソーシャルファーム。その方にいわせると、再犯防止に一番つながるのは家族と、そして仕事があることということでございました。
 就労弱者を福祉の対象から経済の主体へ導いていこうということで、今まさに知事のもとでソーシャルファーム条例に向けて検討が進められているものというふうに思います。この条例の中身については、まさに今、検討段階ということでありますので、むしろ私どもの方から要望を申し上げておきたいというふうに思います。
 それは、手当て型、つまりソーシャルファームを行うまさに事業体、企業、これはつまるところ、鬱の方であったり受刑者の方々を社員や店員にして、そして福祉政策というよりは、むしろしっかり利益を生み出していただく事業体にしていこうという取り組みでありますけれども、やはりこれを都内全域で醸成していくためには、補助金をそういう団体に都として出すという手当て型では、なかなか根づいていかないというふうに思います。
 かつて東京都は、認証保育サービスという都独自の仕組みをおつくりになりました。まさに私は、これは伴走型、一緒に走って、一緒に仕組みをつくっていく形、民間と一緒にやっていくという形だというふうに理解をしています。
 そういう意味では、今度のソーシャルファームのあり方について、伴走型の制度設計を念頭に条例づくりを進めるべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。

○小池知事 ソーシャルファームについてのお尋ねでございます。
 海外におきましては、このソーシャルファームと呼ばれる社会的企業というのは多数存在しておりまして、そこでは障害のある方を初め、さまざまな要因から就労に困難を抱える方々が一般の労働者と一緒になって働いて、社会の一員として活躍しているケースが多々ございます。
 日本でもこのソーシャルファームの取り組みが徐々に進んできているところですが、私はその動きをぜひ後押しするということで、この東京にソーシャルファームを根づかせる、そしてダイバーシティーの実現に近づけていきたいと、このように考えております。
 希望する全ての都民の就労を応援する条例の制定、これを目指すに当たりまして設置した有識者会議がございますが、一月にソーシャルファームをテーマとして取り上げたところでございます。
 この会議では、実際にソーシャルファームの取り組みを行っておられる委員から、活動内容であるとか現場で苦労していることなどについて報告を受けまして、その後、各委員から、担い手の育成や確保、経営基盤の強化が重要であること、そして、住居のない方への対応も必要だなど、さまざまなご意見をいただいたところであります。
 条例の制定に向けまして、引き続き就労支援のあり方を議論していく中で、お話のソーシャルファームへの支援につきましても、議員のご意見も参考にしながら検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 そして、多摩草むらの会、まさに実践されていらっしゃる風間代表にお話を伺いましたところ、こうした事業を行う上で一番大変なのは、実はマネジメントをする人であるというふうにいわれておりました。
 都は、本格的な就業を希望する高齢者の方に対して、次なる就職に必要な知識を学ぶ今、東京セカンドキャリア塾というものを今年度から実施されているところでございます。
 この東京セカンドキャリア塾などに集った高齢者の方々をソーシャルファームのようなところに派遣をしてはどうかというふうに考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○藤田産業労働局長 都は今年度から、本格的な就業を希望する高齢者を対象に、新たな分野での就職に必要な知識等を学ぶ講座、東京セカンドキャリア塾を実施しておりまして、この中で、より具体的な社会貢献の手法として、NPOの役割や地域活動について学習するカリキュラムも設けているところでございます。
 また、企業への派遣により、高齢者に就業体験の機会を提供する事業や、高齢者の就業拡大に向けた機運醸成のためのイベントもあわせて実施しております。
 今後は、高齢者の就業の選択肢を広げるため、お話のございましたように、ソーシャルファームの取り組みを進める社会的企業について、講座やイベントの中で事例等を紹介いたしますとともに、就業体験を行う派遣先や職場見学先に加えていくことも検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、提案のとおりやっていただけるということでございますので、心強い答弁をいただいたというふうに思います。
 次に、私たちは東京二〇二〇大会を契機に東京が変わることが大切だということを考え、これまでも申し上げてまいりましたので、特にパラリンピック、あるいはまたパラリンピック以外の障害者スポーツに視点を当てた質問をさせていただきたいと思います。
 パラリンピックを通じて、また、そのレガシーによりダイバーシティー東京を実現していかなければならないのはいうまでもありません。
 誰もが輝く多様性のある東京を実現するためには、パラリンピック以外の障害者スポーツの振興も重要ではないでしょうか。
 聴覚障害者のデフリンピック、また知的障害者のスペシャルオリンピックスといった国際大会がありますが、本年二月に公表された東京都の世論調査によりますと、パラリンピックの認知度は九六%である一方で、デフリンピック、スペシャルオリンピックスの認知度は六%台にすぎないという結果が明らかになっております。
 そこで、東京二〇二〇大会後の障害者スポーツの振興を見据え、パラリンピック以外の聴覚障害者などの障害者スポーツにも、もっと注目が集まるように、競技の普及啓発や場の確保、障害者スポーツ大会の支援など、一層進めるべきと考えますが、来年度の都の取り組みについて伺いたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 これまで都は、パラリンピック競技以外の障害者スポーツも含めまして、TOKYO障スポ・ナビやチャレスポTOKYO等を通じ、広く情報発信をするほか、都立特別支援学校の体育施設を活用しまして、場の提供を進めてまいりました。
 来年度は、活用する特別支援学校を十五校から二十校に拡大するほか、競技スポーツとの出会いの場として、新たに障害者スポーツ次世代ホープ発掘事業を開始いたします。
 さらに、東京二〇二〇大会の経験や都立施設の活用なども視野に入れながら、聴覚障害者など、障害者スポーツの大会の支援に向けた調査検討を実施してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、パラリンピックを契機に高まりつつある障害者スポーツへの関心をさらに引き上げ、東京に障害者スポーツがしっかりと根づくよう努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思います。
 続いて、都民の安全と健康にちょっと話題を移したいと思います。
 まず、安全でありますけれども、都内の地下鉄のホームドア、先日も中目黒の駅において、三十代の方ですけれども、インフルエンザと思われるふらつきによって、死亡事故が残念ながら起きてしまいました。
 都内、どれぐらい整備状況が進んでいるかといいますと、実は他都市と比べて、ソウルは三百七駅一〇〇%、シンガポールも一〇〇%、東京の場合は九十八駅実施されていまして、百七十九駅のうち九十八駅ですから五五%ということで、必ずしもアジアの諸都市と比べたときに先進しているとはいえません。そういう意味では、ますますこのホームドアの設置を加速させていかなければならないと思います。
 特に、先日の方は三十七歳という若さで生涯を閉じることになってしまいました。ホームドアのあるなしが人生を分けてしまったと、変えてしまったといっても過言ではありません。
 そこで、都として中目黒を初め都内駅のホームドア設置を加速させるべきと考えますが、所見を伺います。

○佐藤都市整備局長 利用者の安全を確保するため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 現在、東京二〇二〇大会競技会場周辺駅を含む都内の三分の一を超える駅でホームドアが設置されております。
 お話の日比谷線においては、ドア位置を統一するための車両更新が行われており、その完了後、二〇二〇年度から順次ホームドア整備を進める計画でございます。
 今回の事故を受けまして、東京メトロは中目黒駅を最優先で進めることといたしました。
 また、ホームドア設置までの対策として、今月からホームの警備員を増員しており、さらにホーム端への注意喚起シート設置を準備していると聞いております。
 都は、利用者の安全・安心を守るため、都内のホームドアの整備がさらに加速するよう、鉄道事業者に働きかけるとともに、国や区市町と連携し、その取り組みを支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて、続いて受動喫煙防止について伺いたいと思います。こちらも都民のまさに健康という意味での安全でございます。
 これをまずごらんください。こちらは、渋谷区の恵比寿公園の禁煙対策でございます。私も家が近いのでよく通るんですけれども、公園の真ん中に誰が見てもよくわかるような形で、のぼりが中心に立っているところでございます。ほかの公園においても、このような取り組みが今、渋谷区においては進んでおります。
 ところが、一方で都立公園に行っても、なかなかこういう看板であったりのぼりを見かけることはございません。聞くと、都立公園は敷地が広大であるということもあって、全面禁煙にすることはなかなか難しいということでありますけれども、まさに条例をつくったのは東京都、また、子どもを受動喫煙から守る条例をつくったのは東京都議会ということでございますので、積極的な取り組みを行っていただきたいと思います。
 ですので、少なくても都立公園に関していえば、子どもを受動喫煙から守る条例というものを議員提案条例でつくらせていただきましたので、都立公園内の特にじゃぶじゃぶ池とか、あるいはまた遊具があるところについては、このような形で、いわば受動喫煙防止エリアのようなものをつくっていただいて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、その所見を伺いたいと思います。
   〔発言する者あり〕

○西倉東京都技監 東京都受動喫煙防止条例では、他人に受動喫煙をさせることのないよう努めることとされております。
 都立公園におきましては、この趣旨も踏まえ、歩きながらの喫煙や妊娠中の女性、子供の周囲での喫煙をしないよう、園内掲示板等で周知するとともに、巡回時に注意するなど、マナー向上に取り組んでおります。
 また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや遊具の周辺にある吸い殻入れの撤去を進めております。
 今後とも、公園内での喫煙マナーの向上を図るとともに、特に子供の集まる場所等につきましては、お話の渋谷区の例なども参考にしながら、福祉保健局と連携し、より効果的な受動喫煙対策を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 大事な答弁です。特に建設局の皆さんも福祉保健局と連携をして積極的に取り組んでいただけるという答弁でありましたので、今後、ぜひ見守らせていただきたいと思います。
 あわせて学校もなんですね。先ほど申し上げた議員提案条例の中で、学校周辺においても吸わないでくださいねということが書かれています。
 しかし、運動会なんかに行きますと、さすがに、今どき学校の中で吸う人は、お父さん、お母さん、いらっしゃいませんが、休憩中に学校のちょっと外まで行ってポケット灰皿でしょうか、そこで吸っているというような光景は多々目にいたします。
 しかし、学校を見渡しても、どこにも受動喫煙防止の条例ができたということが書かれていません。私は、フェンスなどを利用してぜひ啓発をしなければ、なかなか注意をするときにも、PTAの皆さん、町会の皆さん、注意しづらいんじゃないかというふうに思います。
 そこで、都内の高校や小中学校のフェンスなどに看板を設置するなどして注意喚起をするべきだというふうに思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○内藤福祉保健局長 昨年四月の子どもを受動喫煙から守る条例の施行に合わせまして、都は条例の趣旨や目的を初め学校の周辺の路上では喫煙をしないことなど、都民の責務をわかりやすく示したチラシやポスターを作成し、幼稚園や保育所、小中高校、区市町村等に配布するなど周知を図ってまいりました。
 来年度は、学校敷地内の禁煙など、昨年六月に成立いたしました受動喫煙防止条例の内容を含めまして、教育庁とも連携しながら、学校が活用しやすい啓発資材を作成するなど、子供の受動喫煙防止に関する都民への普及啓発に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 前向きな答弁をいただきました。まさに学校が活用しやすい啓発資材を作成していただいて、区市町村にとって負担のない形で、すぐにでもできるというような、いわばモデルというものをちゃんと示してさしあげてほしいというふうに思います。
 そして、もう一つ大事なことは、来年の四月一日から罰則つきの全面施行が行われるわけでございまして、いわば東京二〇二〇大会前に、都として世界的に受動喫煙防止をPRする絶好の場でもございます。
 一方で、これらのことが飲食店等で徹底をされていませんと、条例をつくったけれども、しかし残念ながら守られていないということになりかねません。
 そういう意味では、飲食店は都内に十六万店舗を数えております。今回の条例はその八四%が対象でありますが、いわば取り締まりというとおかしいですけれども、飲食店に対して受動喫煙防止のために取り組んでくださいねとお願いをするのは、私たちでもありますが、現場としては区市町村の保健所ということになります。
 恐らく今後、保健所に対して通報等も入ってくる可能性もありますが、残念ながら保健所にもそれだけの手が十分にあるとはいい切れません。
 そこで、まず啓発員を都としてしっかりここは準備をしていくということが必要ではなかろうかと思います。ちょっと取り締まりと啓発員は違いますけれども、駐車違反に関しては、今、緑の制服を着た駐車監視員という方々がいらっしゃいます。これによって随分促進されました。
 そういう意味では、条例の制定で終わらせないためにも、今後は都民や飲食店や企業などへの働きかけが重要であります。(発言する者あり)そのためには、ポスター、動画だけではなく、駐車監視員やポイ捨て指導員のように、まちに出て啓発を行う啓発員のような仕組みが効果的だと考えますが、所見を伺いたいと思います。
 おかしいのは、受動喫煙防止のことをやっていて、何でやじが飛ぶのか私にはさっぱりわかりませんけれども、ぜひ積極的に、建設的に、みんなで力を合わせてこの東京をまさに煙のないオリンピックを迎えられるようにしていくのが都議会の仕事だということを申し上げておきたいと思います。
 では、お願いします。

○内藤福祉保健局長 条例を実効性あるものとするためには、都民や事業者に条例の趣旨や内容を理解し行動していただくことが重要でございまして、そのためには区市町村等と連携して啓発活動を行うことは有効であると考えております。
 都は、昨年九月から条例に関する普及啓発や円滑な施行に向けた取り組みを行う区市町村への支援を開始いたしました。
 この中では、路上喫煙を防止するための見回りに合わせて行う普及啓発や地元企業等と連携協力した取り組み等も支援の対象としてございまして、区市町村に対し、今後活用を働きかけてまいります。
 また、区市町村や関係団体と協働いたしまして、条例の施行に合わせて集中的なキャンペーンを実施するなど、区市町村等と連携協力しながら、受動喫煙防止対策を一層推進してまいります。
   〔発言する者あり〕

○伊藤(ゆ)委員 まさに平成三十二年度に向けて、私たちも集中的なキャンペーンのために予算要望をしっかりさせていただこうというふうに思って、やじを飛ばしている方とは違う立場でしっかり進めさせていただきたいと思います。
 続いて、これ、関連するんですけれども、地域の底力発展事業について伺いたいと思います。
 十二年前に地域の課題解決を行うために、まさに町会などに対する助成事業として立ち上がった同事業、現在、町会などが災害訓練などを行う際に助成をされていらっしゃるわけでございます。最大で一町会当たり二十万円程度、二町会そろえば五十万円程度支給をされるというものでございます。
 もう十二年たってみて、傾向を少し分析しましたけれども、都内には全部で九千町会ございます。平成三十年度、何町会使ったかというと五百七十四町会でございました。ですから、九千町会の中でいうと六%程度でございます。
 それはそれとしても、新規申請というものがございまして、新たに申請をされたところが二三%でございました。すなわち多くの町会が毎年お使いになられている一方で、使われない町会はほとんどお使いになられていないというものでもございます。
 ここは改めて、町会の皆様方に、こういう制度がある、しかもこれは訓練だけではなくて訓練に伴うものであれば備品においても補助をするということでございますので、PRをしっかり行っていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、少し受動喫煙に戻りますが、通学路や、先ほど申し上げた学校周辺での喫煙を地域の課題と認識した場合、町会が防止を啓発するためにユニホームなどを買おうと思ったときに、この制度を使って受動喫煙防止の普及啓発グッズとして買うことは可能なのかどうか、所見を伺いたいと思います。
   〔「当然だよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○浜生活文化局長 地域の底力発展事業助成は、地域の課題解決のために実施される事業を対象としておりまして、町会、自治会が地域の課題解決につながるものとして受動喫煙防止の取り組みを行う場合には、助成対象となり得るものと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 当然のことをしっかり確認させていただいて、そしてこういう質疑を通じて町会の皆様方にお伝えするということが、都議会の使命だというふうに思っております。
 そして、もう一つ伺いたいと思います。
 町会と連携した災害対策という意味では、消防団の存在は欠かせません。町会の防災訓練を支えているのがまさに消防団。東京二〇二〇大会でもこの消防団の皆様にご協力を仰ぐことになろうかと思います。
 しかし、昨年も災害級といわれる猛暑が続きました。そこで、昨年の猛暑を受けて、都民ファーストの会は、昨年の代表質問でも消防団の夏服、被服の充実を求めてきたところです。
 東京二〇二〇大会に向けて、夏に活動しやすい被服についての消防庁の取り組みについて伺いたいと思います。

○村上消防総監 特別区消防団員が夏季に警戒活動等を快適に実施するためには、被服の充実が重要であると認識しております。
 東京消防庁では、近年、夏季における気温の上昇を踏まえ、消防団員が活動しやすい薄型の活動服、半袖の制服などを整備してまいりました。
 東京二〇二〇大会期間中は一層の暑さが予想されていますことから、来年度新たに、ご指摘のとおり、警戒活動で着用できる通気性のよいポロシャツ、Tシャツ及びメッシュタイプの帽子を整備いたします。
 なお、デザイン等につきましては、東京を訪れる人にも認知されますよう、着用する消防団員を含め幅広く意見を聞き、決定する予定でございます。
 今後とも、都民に親しまれる魅力ある消防団とするため、消防団等の意見を踏まえ、被服の充実に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 まさに要望を受けて、しっかり対策を講じていただけるということでございますので、多くの消防団の皆さんにも喜んでいただけるものというふうに思います。
 あわせて申し上げれば、最近、本当に消防団の皆さんの活動は日増しに多くなってきております。その負担もかなり過大になってきているということも消防庁の皆様にはご認識をいただいた上で、バランスのいい消防活動というものをぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 さて、東京、これからますます稼ぐ力を養っていかなければなりません。
 そこで、稼ぐ力、道路と稼ぐ力についても少し触れさせていただきたいと思います。
 先ほどはホームドアでありましたけれども、今度は環状道路整備状況ということで、北京とソウルを比べてみました。もちろん本数の違い等もありますけれども、環状という意味ではソウルも北京もつながっておりますので、一〇〇%でございます。
 対して東京は七九%、今まさに工事が進んでおりますけれども、これからこの七九%をますます一〇〇%に進めていかなければならないさなかにございます。
 そこで、東京の稼ぐ力を支える道路整備について見解を伺いたいと思います。

○西倉東京都技監 人や物の流れは、あらゆる生産活動の根幹でございまして、それを支える道路は、交通渋滞の解消や防災性の向上に寄与するだけでなく、多様な経済波及効果を生み出し、国際的な都市間競争に勝ち抜くための礎となります重要な都市基盤でございます。
 とりわけ多くの人々や企業が集積し、日本経済を牽引する東京では、道路整備の投資効果は極めて高く、早期に幹線道路ネットワークを形成する必要がございます。
 このため、交通や物流を円滑化し、都市機能が集積する拠点間の連携を強化いたします、三環状道路の一つである外環道、さらには区部の放射、環状、多摩の南北、東西の骨格幹線道路の整備を重点的に推進してまいります。
 今後とも、稼ぐ力の下支えとなる道路整備に全力で取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 そして、稼ぐ力の下支えが道路であるとすると、その道路建設の下支えがまさに人でございます。
 そういう意味では、今、国の方では建設従事者の技能を建設キャリアアップシステムの導入などによって、しっかりそこを証明し、そしてそれぞれの賃金水準の向上につなげていこうという取り組みが進んでいるところでございます。
 都においても、これは国の事業ということではなしに、ぜひ積極的にこの動向を踏まえながら、活用方法を検討していただきたいということを要望させていただきます。
 次いで、工業用水道について伺います。
 昨年の第三回定例会で工業用水道の廃止が決定されました。平成十六年度の包括外部監査の指摘を受けてから十四年が経過、これ以上の先送りは許されない状況でありました。
 廃止により利用者への影響を最小限にとどめるための支援計画を都が策定するとともに、都議会において工業用水道の廃止条例が可決されたことは大きな進展でありました。
 今後は、利用者支援と廃止経費の縮減を両輪として、廃止に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
 平成三十一年度予算には、工業用水道の廃止経費、約二十九億円が盛り込まれたところでございます。
 そこで、利用者支援の着実な実施や廃止経費の縮減に向けて、どのような取り組みが行われていくのか伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 工業用水道事業の廃止条例案が可決されて以降、水道局では本年四月からの上水道への円滑な切りかえに向け、官公庁を除く三百八件の工業用水道利用者を改めて個別に訪問しております。
 その中で、宅地内の配管や受水タンクなど設備の状況を確認するとともに、今後の企業活動を踏まえた使用水量の見込みについて伺うなど、具体的なご相談を進めております。
 また、工業用水道配水管の転用、撤去に関しましては、地元区を初め関係機関と路線ごとの配水管の埋設状況などを確認しながら、個別に協議を進めてきております。
 こうした取り組みを通しまして、廃止経費の縮減につきましては、個別訪問で把握した水使用の見通しに伴う料金差額補填経費の精査や、配水管工事に伴う関係機関との協議を踏まえた撤去費用の積算見直しなどを現在進めております。

○伊藤(ゆ)委員 よくわかりました。
 そして、都は廃止経費の試算を明らかにしており、利用者支援や配水管撤去などの経費から既存資産の有効活用などによる経費縮減額を差し引くと、廃止経費の総額は九百六十五億円と聞いております。
 その後、先ほど答弁にあったとおり、利用者との切りかえに向けた調整や、配水管の転用、撤去に関する関係機関との協議を進める中で、状況の変化が生じていると思われます。
 現時点での廃止経費が幾らになると見込んでいるのか、伺いたいと思います。

○中嶋水道局長 利用者訪問や関係機関との調整を通して、現時点における工業用水道事業の廃止に伴う経費の縮減額は、まず利用者支援に要する経費につきましては、工業用水道の使用中止など、利用者の水使用の今後の見通しを考慮した結果、料金差額補填経費が五十三億円の減、切りかえ工事経費が一億円の減、合計で五十四億円の縮減を見込んでおります。
 次に、配水管の撤去等に要する経費につきましては、施工方法や道路の舗装費用を精査した結果、六十三億円の縮減を見込んでおります。
 これらを合わせますと、工業用水道事業の廃止に伴う経費の総額は八百四十八億円と試算しており、昨年の第三回定例会でご説明しました支援計画案における試算額、九百六十五億円から百十七億円の縮減となります。

○伊藤(ゆ)委員 支援策の円滑な実施を求めておきたいと思います。
 続いて、廃プラスチックについて伺いたいと思います。
 民間企業の取り組みも本当にだんだん進んできていまして、スターバックスは二〇二五年までに世界二万八千店舗でストローを廃止するということを表明されているそうです。
 また、マクドナルドも二〇二五年までに世界全店舗でストローを廃止、包装紙もリサイクル可能なものに変えていくということでございました。
 また、エビアンは二〇二五年までに一〇〇%リサイクルされた再生プラスチックでペットボトルをつくると、これもまた画期的な発表をされているところでございます。
 そこで、もちろん都内の事業者の皆様にもこれからご協力を仰いでいかなきゃいけないわけですが、一つ参考になりそうなものが、かつて石原都政下において行われたCO2の削減、このときにキャップ・アンド・トレードが導入をされました。削減目標を課して、そしていっぱい削減できたところは、まだ削減できていないところにその分を売ることも可能だというような制度でございました。
 この取り組みによって、基準排出量から二七%減となるなど、大幅な削減が達成されたというふうに聞いているところでございます。このキャップ・アンド・トレードのいわば総量規制は、今後、廃プラスチックの規制においても極めて参考になる例ではないかと思います。
 そこでまず、ペットボトル製の容器包装を利用する大手事業者などに対し、削減目標を申告してもらい、達成企業を都として表彰する仕組みなどを検討すべきではないでしょうか。
 あわせて、まずは都庁内の取り組みを知事に伺ってまいりたいと思います。

○小池知事 プラスチックの削減に向けましては、今、委員からご提案がございました。事業者に対してプラスチックの使用量や削減目標などについての報告を求めて、それを広く公表することで自主的な取り組みを促すという効果、そしてプラスチックの削減に向けた社会全体の機運を盛り上げていく、そういう流れのご指摘かと思います。
 このため、容器包装リサイクル法が定めております使用量などの定期報告制度、これを対象を小売業以外に拡大すること、そしてまた公表制度の導入については国に求めていきたいと考えております。
 また、この法律が対象としていないのがワンウエーの製品なんですが、東京都廃棄物審議会での議論を踏まえまして、事業者との協定などによります使用量の報告、公表の仕組みなど、検討をしてまいります。
 さらに、製造販売事業者に取り組みを求めるだけでなくて、消費する側の事業所にもワンウエープラスチックの削減を求めていくということは重要かと存じます。
 まずは、都庁舎内におきまして、隗より始めよということで、職員にレジ袋などの辞退を徹底する、それから削減目標を設定して、その実施状況を公表する、それとともに、順次、他の都有施設にも拡大しながら、都内のオフィスビルでの取り組みの先導役になることを目指してまいりたいと存じます。

○伊藤(ゆ)委員 今、知事から、まず公表制度の導入を国に求めていくというお話がありました。削減目標をまず定めていくということがファーストステップではないかと思います。
 そういう意味では、まず東京都庁舎内から始めていく、それも削減目標をまず明確にするというのは、他の民間企業に対しても範となるものと思います。そういう意味では、これまで削減目標、何をもって削減の量とするのかという物差し自体がなかなか定まっていませんでしたので、都庁の取り組みによって、削減目標の物差しを一つつくり上げていくということは、廃プラスチック対策において大変意義のあることだというふうに評価をさせていただきたいというふうに思います。
 まずは、この都庁舎内、そしてまた都有施設に拡大されることを強く望みたいと思います。
 そしてまた、こうした東京都の取り組みが二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを迎える中で、世界から注目をされてまいります。
 ロンドンにおいては、先ほどソーシャルインクルージョンというレガシーを残していったことをお話しいたしましたが、東京においては、さまざまレガシーがあると思いますけれども、環境に対する取り組みというのは、特に知事が環境大臣を務めていたということもあろうかと思います。
 都内、あるいは国内全域的に環境に対しては意識の大変高い国民性であるということを世界の皆さんもご認識をいただいていますので、この取り組みは世界から注目をされるものと考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会において、例えば使い捨てストローを使用しないなど、東京の取り組み姿勢を大会を通じて世界にPRすべきと考えますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 まさしく世界の注目が集まりますのがラグビーワールドカップ二〇一九、そして東京二〇二〇大会でございます。
 これらのイベントを通じまして、世界的な潮流も踏まえながら、ワンウエープラスチック対策を進めて、持続可能な社会の実現を目指すということは、ご指摘のとおり重要でございます。
 これまでも、東京スタジアムにおけるラグビーの日本代表戦に合わせて開催いたしましたイベントでは、使い捨て容器の抑制をするなど、環境に配慮した取り組みに努めてまいりました。例えば、デザイン性にすぐれたリターナブルカップなども活用していただいたという例もございます。
 今後、都が実施をいたします東京二〇二〇大会のライブサイトの会場などで、飲食の提供に当たりましても、プラスチックではない食器類の使用であるとか、リサイクルなどについて幅広く検討をしてまいります。
 また、選手村などにおける飲食の提供でございますが、都も検討に加わって策定いたしました東京二〇二〇大会の飲食戦略を踏まえて、組織委員会に対してプラスチック製のストローを使用しないであるとか、リユース食器や資源化が可能な素材の使用に最大限取り組むように求めてまいります。
 それから、都といたしましても、リサイクルしやすい素材、そしてバイオマス素材の活用などについて調査を行うなど、組織委員会と一体となりまして、ワンウエープラスチックの削減に取り組んでまいります。
 持続可能な社会の実現に向けた課題解決のモデルを国内外に示していくチャンスを最大限活用したいと存じます。

○伊藤(ゆ)委員 非常に積極的なご答弁をいただいたというふうに思います。
 ライブサイト会場というのは、まさに東京都みずからが設置をする会場であります。そのライブサイト会場において、飲食の提供に当たって、プラスチックでない食器類の使用や、あるいはリサイクルなどについて幅広く検討していくということでありますし、また組織委員会に対しても働きかけをしていただくということでございます。
 これらの取り組みを通じて、まさに世界中の大手企業が集まるのが東京二〇二〇大会でありますので、まさに東京がリードする形で、多くの企業を廃プラスチック対策に導いていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次いで、この東京二〇二〇大会の多くの会場が集積をする江東区、また、その江東区における青海地区について伺いたいと思います。
 まさに、そのストローが多くの企業において全廃をされていく二〇三〇年ころ、ヘルスケア産業は国内で三十七兆円、海外では五百二十五兆円に上る一大産業になるというふうに予想をされています。この間、我が党の鈴木邦和議員からも一般質問させていただきました。
 まさに、ものづくり大国として、車産業の次の稼ぎ頭がヘルスケア産業になるのではないかというふうに予見できます。
 これまでも、青海地区においては、私は、二〇二〇大会のときに多くのエリアが、そこはちょっと今、遊休地になっていますけれども、オフィシャルスポンサーの方々がパビリオンを建てて、そこで多くの企業の展示を行うというふうに聞いています。
 一方で、あの地域には、例えば日本科学未来館とか、また産業技術研究所などがあり、例えばですけれども、オフィシャルスポンサー以外の中小企業の皆さんにもここに集まっていただいて、そしてみずからの持っているヘルスケア産業の技術であったり、あるいはテクノロジー、あるいは自動走行、そうしたさまざまな技術をここで世界の皆さんにアピールをしていただければ、大変有意義な二〇二〇大会になるのではないかというふうに考えます。
 そういう意味で、さきの、前の都議会の代表質問においても、まさにミニ万博といえるような取り組みを行うべきではないかということを以前に提案をさせていただきました。
 また、都は、国際戦略特区制度を活用して、自動車の自動走行などの最先端技術の実証実験を支援されています。
 東京二〇二〇大会前後に、今申し上げたようなミニ万博に合わせて、どのような取り組みを検討しているのか伺いたいと思います。

○梶原政策企画局長 今、委員お話しのように、都は、平成二十九年度に、国家戦略特区を活用した東京自動走行ワンストップセンターを開設いたしまして、自動運転の公道での実証実験を支援しております。
 また、来年度は、移動制約者や外国人観光客の利便性向上等のための社会実装モデルのショーケース化を目指しまして、移動支援や接客などのサービス分野における最先端のロボット技術の実証実験を新たに実施する予定でございます。
 お話の青海地区では、昨年十月に、シンボルプロムナード公園で自動運転の試乗会を実施しており、大会開催時には先端技術を紹介する取り組みを検討しております。
 また、大会期間の直前には日本自動車工業会も大規模な自動運転のデモンストレーションを予定しておりまして、東京二〇二〇大会の機を捉え、官民連携しながら、我が国の最先端技術を国内外に発信するさまざまな取り組みを進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 この大会開催時には先端技術を紹介する取り組みを検討するということでありますので、まさに時を捉えて日本の最先端技術をPRしていただいて、車産業のその先にある産業づくりに貢献していただきたいというふうに思います。
 今まさに、こうした青海地区を含めた臨海ベイエリアの大きな視点を、小池知事のもとで東京ベイエリアビジョンという、会議体を設けられて策定されているわけでございます。
 臨海ベイエリアというと、築地から中央防波堤までと、もう本当に広大な面積を含むエリアということになります。そしてまたおもしろいのが、官民連携ということで、官においては非常に若い職員の皆さんに入っていただいているということが特徴的でもございます。
 そういう意味では、私は、今後、ベイエリアビジョンの策定に当たっては、今までのまちづくりとは一つ二つちょっと違った視点をぜひ入れていただきたいと思います。
 それはやはり、収益性ばかりではなくて、収益性や収支も大事ですけれども、やっぱりスポーツ、あるいはまた文化性といったものをまちづくりのまさに中軸に据えていただいて、多くの方々が集うエリアをつくっていただきたいと思います。
 そういう意味では、回遊性であったり、また文化性の高いまちづくりを民間事業者の方々からアイデアとして募っていただきたいと思います。
 今後、東京ベイエリアビジョンを通じて、都としてベイエリアに対してどのような未来像を描いていくのか、知事の見解を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。

○小池知事 ご指摘のベイエリアでございますが、産業、都市活動を支える人、そして物のメーンゲートとして発展を続けてまいりました。
 東京二〇二〇大会では、世界中の耳目を集める主要な舞台ともなります。ベイエリアビジョンは、今後の東京、そして日本の成長を牽引するベイエリアの将来像を指し示す羅針盤ともなるものでございます。
 先週には、各界をリードするプロフェッショナルの方々や、また若手の職員から構成されます官民連携チームからのご提案をいただいたところでございます。
 これまでの行政の枠を超えた発想を取り入れて、豊かな水辺、オープンスペースなど、ベイエリアならではの強みも生かし、東京がこれからも世界をリードしていく都市として存在感を発揮し続けられるように、本年末をめどに、夢のあるビジョンを描いてまいります。
 そして、このビジョンをもとにいたしまして、ベイエリアを新たな価値を生み出して未来を創造していくまちへと進化させていきたいと考えております。
 以上です。

○石川委員長 伊藤ゆう副委員長の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時三分休憩

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