予算特別委員会速記録第五号

○木村副委員長 おときた駿委員の発言を許します。

○おときた委員 都政の抱える大きな財政支出を支えていく上で、小さな改革の積み上げで財源を生み出す努力は欠かせません。本日はまず、高額な給与を得ながら、極めて不透明な存在である特別秘書についてお伺いをいたします。
 議会承認や任期のない特別職であり、知事の任命により二名が選出される特別秘書については、かねてからその存在意義や合理性についての疑念が持たれてまいりました。既に知事には、知事を補佐する秘書業務だけで十五名の職員がおります。幾ら東京都が巨大行政機関とはいえ、そこにさらに特別秘書が加わっているわけです。
 そこでまず、特別秘書の役割について確認をいたします。
 知事には、政治家、リーダーとしての側面と、都庁行政の代表者、執行権者としての側面がありますが、知事特別秘書はどちらの側面を、どのように補佐するものなのでしょうか、伺います。

○多羅尾総務局長 特別秘書は、地方公務員法の規定に基づき、条例により設置されている特別職であり、議会との連絡調整、マスコミへの対応、政策形成に係る事項など、都政運営に関する事柄全般について、知事を直接補佐するものでございます。

○おときた委員 制度面のご説明をいただいたわけですけれども、これだけの都庁職員が既にいる中で、それは果たして知事が任命する特別秘書でなければできないことなんでしょうか。
 その特別秘書の待遇については、昨年、情報公開がなされました。パネルにまとめてまいりました。
 比較をしてみると、現在、都知事の報酬が年間千四百六十六万円、都議会議員が千三百八十四万円となる中で、特別秘書は何と年間千四百二十二万円もの給与を得ていることがわかりました。これが二名です。都知事、都議ともに報酬カットを行っているとはいえ、この数字に目を疑った都民も多いと思います。
 他の自治体事例に目を向けますと、既に大阪府、京都府、兵庫県などでは、厳しい世間からの指摘を受けて、この特別秘書職を設けておりません。都民目線での改革を標榜する知事として、知事並みの報酬をもらう特別秘書職の廃止や待遇見直しを行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。(小池知事「私」と呼ぶ)知事です。

○小池知事 知事なら知事としてください。
 特別秘書でございますけれども、地方公務員法の規定に基づく地方公共団体の長の秘書となる特別職となっております。今も既に制度面からの説明をさせていただきましたが、都におきましては、特別職の指定に関する条例によりまして、昭和二十六年の条例制定当初から設置されているものと聞いております。
 もとより特別秘書というのは、知事がその職務遂行上、特別の信頼を置ける秘書を必要として任用するものでございます。都政の円滑な遂行のためにも、今後も必要な職であると私は考えております。
 以上でございます。

○おときた委員 あくまで必要であるとのご見解でした。であれば、特別秘書への給与が年間千四百万円以上も都税から支払われ、全体の奉仕者たる公務員であることが明白である以上、都民から疑念を受けるようなことがあってはなりません。
 都の業務の利害関係者や職員団体、あるいはその上部機関の関係者から、特別秘書が便宜や接待を受けることはないのか、これを確認いたします。

○多羅尾総務局長 特別秘書は、地方公務員法の規定に基づき、条例により設置されている特別職でございます。
 特別秘書の服務等については、地方公務員法の適用はありませんが、地方自治法附則において、地方公務員法制定前の規定である東京都職員服務紀律が準用される取り扱いとなっておりまして、利害関係者からの便宜供与は禁じられております。

○おときた委員 利害関係者からの便宜供与は禁止と、明確な答弁がありました。
 では、それを誰が、どのように管理、チェックしているんでしょうか。今、それご答弁なかったんです。ここがシステム的に管理されていないのが非常に大きな問題なんです。
 都知事については、行動スケジュールは一定の情報公開がされていますし、政治家ですから、衆人環視も働きます。一方で、特別秘書にはそういうものがない。にもかかわらず、都の政策決定に影響力を持っているとしたら、見えないところでこれは何が起こっているのかわからないわけです。
 そこで、特別秘書についても、勤怠状況などを含めて、他の公務員に準じた、あるいはそれ以上の管理、情報公開を行うべきと考えますが、知事ご自身の所見をお伺いいたします。

○小池知事 先ほどもご説明いたしましたように、特別秘書というのは、地方公務員法上の特別職でございます。そして、一般職のように、勤務時間その他の勤務条件に係ります規定の適用はございません。そして、場所、時間を問わず職責を果たすこととなっておりまして、一般職と同様に出勤管理を行う必要はないものでございます。
 勤務状況、そしてその中身などにつきましては、私が直接把握をしているところでございます。

○おときた委員 私が直接把握という重要なご答弁がありました。では、ぜひそれをできる限り公開してほしいと、そのように思います。
 以前に、知事の頭の中で決めた、いわゆるAI発言がありましたけれども、これはブラックボックスだと、都民からは厳しく批判がありました。それと同じで、知事の頭の中にあるだけでは、これは疑念が払拭できません。知事だけが抱え込んで、万が一、万が一特別秘書の方が接待や便宜供与を受けていたとき、知事だけの責任にもなりかねない。そうならないためにも、システムや衆人環視が必要だと考えます。
 もう一回これ知事に聞きますけど、情報公開を一丁目一番地に掲げる知事として、都税から多額の出費がなされている特別秘書について、さらなる情報公開は進めないんでしょうか、知事に改めて伺います。

○小池知事 先ほどから申し上げておりますように、特別秘書というのは、その勤怠状況などを報告する、その責務を負っておりません。そして、私が把握をしているということでございます。
 また、一方で、公用車の運行記録など、この三月いっぱいまででございますけれども、関連する運行記録などの開示については、必要に応じて適切に対応をいたしております。
 なお、今後とも、個人情報の保護の観点なども勘案し、適切な情報公開のあり方については、引き続き検討していくということでございます。
 それから、先ほど質問にありましたAI云々のことについては、多分理解が、私が申し上げたことと違っておりますので、正確にご質問し、正確にご指摘をいただきたいと思います。
 以上です。

○おときた委員 ご質問していないことまでご答弁いただいたんですけれども、決裁権を持たない役職者にこれだけの給与が支給されていることもやはり異例でありまして、重ねて、情報公開という観点から、これは道義的な面で大変残念なご答弁だと思います。
 これでは、疑念が深まる懸念が拭えませんので、本件につきましては引き続き注視をしていきたいと思います。
 次に、環状二号線について手短に伺います。
 三月二十三日の日経新聞記事を見て、非常に驚きました。環二暫定道路、豊洲開場と同時開通検討、上り線を十月十一日に、都、築地水産業者に配慮との記事が掲載されていたからです。工期を短縮することは多くの人が望むところですが、開場との同時開通を目指すとすれば、市場関係者や地域住民への甚大な負の影響が発生しかねません。
 報道記事には、同時開通を目指す素案があると書かれています。これは、記者がしかるべき出どころから入手した素案を実際に目にした書き方になりますけれども、この内容は事実なんでしょうか。素案をつくっているのかどうか、建設局にお伺いいたします。

○西倉建設局長 記事にございます都の素案につきまして、決定した事実はございません。
 環状第二号線の暫定迂回道路につきましては、豊洲市場への移転完了後、約二カ月後に開通させることとしておりますが、環状第二号線の整備効果を早期に発現させるため、また築地市場の業界団体の皆様などから早期開通の要望を受けていることも踏まえまして、現在、工事手順を見直すなど、工事工程の短縮につきまして検討を進めております。

○おときた委員 今のご答弁は重要なんですけれども、決定したものではないということで、上り線を先行開通する素案の存在自体は存在するということを、今、建設局長は認められたわけです。これが適切な情報公開ではなくて、メディアにリークをされて報じられてしまった。これは私、非常に大きな問題だと思います。
 もう時間がないんですが、最後に知事に伺いたいので、よくお聞きいただきたいんですけれども、今確かに、市場業者の一部からは、暫定開通道路を同時に通してほしいというご要望はあります。
 しかしながら、それはあくまで今はまだごく一部の意見であって、築地の事業者の中には、八十年の歴史を紡いできた築地市場、最終日まで全力で営業したいと、スペックを落としたくないという声も私には届いています。あるいは地域住民、これ以上振り回されたくない、上下線は同時に開通するという約束だったじゃないかと、そう怒っている方がたくさんいると、そういったことも仄聞をしております。
 まさにこういった全体の状況を、鳥の目で俯瞰をして見ていただいて、こういう観測気球みたいな記事を上げるんじゃなくて、私はこれ、リスクが非常に高いと思いますから、慎重に慎重を重ねて、この暫定道路について検討をいただきたいと思いますが、環状二号線暫定道路につきましての知事の所見を最後にお聞かせください。
   〔木村副委員長退席、委員長着席〕

○小池知事 手短に。記事にございます都の素案について、私は承知をしておりません。豊洲市場の円滑な物流を確保するために、市場の業界団体の皆様方から、環状第二号線の暫定迂回道路の早期開通を求められているのは事実でございます。
 それだけに、現在、築地市場の解体工事と道路整備工事との工程の調整など、工期の短縮に向けた検討を関係局で進めているところでございます。
 また、早期開通に向けましては、市場業者などのご理解、ご協力が不可欠でございます。いうまでもありません。市場当局に、業界団体に対して、その実現に向けた課題などを説明し、丁寧に調整するように指示をしておりまして、また、リークという発言がございましたけれども、その根拠について明確に示していただいた上でのご質問をいただきたいところでございます。
 以上です。

○両角委員長 おときた駿委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百二十号議案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、明日は午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十九分散会

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