予算特別委員会速記録第五号

○両角委員長 西沢けいた委員の発言を許します。
   〔委員長退席、木村副委員長着席〕

○西沢委員 予算特別委員会締めくくり総括質疑で、都議会民進党・立憲民主党を代表して質疑をさせていただきます。
 まず、今回の質疑は、今回の定例会でエビデンスデータに基づいて事業の評価などをしていくという議論、結婚の機運醸成などさまざまな議論がありました。また、知事がリーダーシップをしっかりと発揮していかなければいけないということ、電柱の地中化とか、これは知事がやはりリーダーシップを発揮して進めてきた、そういった政策、たくさんあると思います。
 来年度予算において、こうした視点から幾つか質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、満員電車ゼロについて伺います。
 この満員電車ゼロの政策は、知事の公約でございます。厳密にいえば、満員電車ゼロへということだと思うんですが、この満員電車ゼロとは一体何なのかということです。
 国土交通省による東京圏における主要区間の混雑率、主要三十一区間の平均混雑率は一六五%、東西線の木場 門前仲町とかで一九九%で一番高い。私の地元でいうと、中野駅から新宿駅、これ一八七%で、すごく混んでいるんですね。
 この調査の実態、いろいろといわれておりますが、これを指標とすると、大体二〇〇%ぐらいというのが、週刊誌なら何とか読めるんだけれども、体が触れ合い、相当な圧迫感があるというのを指すんだそうです。これを例えば一五〇%にする。肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読めるというのが一五〇%だということなので、例えばこういう混雑率は幾つかと聞かれれば、一五〇だとか二〇〇だとか、こういった数値でしっかりと示していく必要があるんだというように思います。
 知事の目指す満員電車ゼロとは、いつまでにどういう状態を指すのか、数値を含めてお伺いいたします。

○小池知事 満員電車ゼロを目指す件についてのお尋ねでございます。
 都はこれまで、鉄道事業者等と連携しまして、輸送力の増強に取り組んでまいり、三十年前でありますが、二〇〇%を超えていた平均混雑率、中に押し屋さんなどがいたのも懐かしいところでありますけれども、現在は一六五%にまで改善をしているというのが今の数字でございます。
 しかし、例えば路線によって違いますけれども、混雑状況が続いてきた小田急線は、ご承知のように、都の連続立体交差事業と一体となって、複々線化の事業を今月完成させ、混雑が大幅に緩和されているのはご承知のとおりでございます。
 満員電車をゼロへは目指すべき姿でございますが、それをベースに、都市づくりのグランドデザインでも、鉄道のピーク時の混雑を解消することを都市づくりの挑戦の一つとして掲げております。
 東京の強みである鉄道でございます。これほど公共交通機関である鉄道が発達したメガシティーというのはそうそう多くはありません。そういう強みである鉄道を、より快適で便利なものにしていくために、今般、鉄道新線建設等準備基金を創設いたし、都の取り組み姿勢も明確にしたところでございます。
 また、国の答申で、事業化に向けて検討などを進めるべき六路線が挙げられておりますが、この六路線を中心といたしまして、関係者との協議、調整を加速させてまいります。
 それから、今年度開始した時差ビズでございますが、オフピーク通勤を促進する取り組みを一斉に行いまして、そしてこの時差ビズを、来年度も期間などを拡大して実施をしてまいります。
 今後とも、鉄道事業者などと連携し、鉄道の混雑緩和に向けて、ハード、ソフトの両面から取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

○西沢委員 いろいろとご説明をいただきました。確かに現状はよくわかりましたが、目指す満員電車ゼロとは、いつまでにどういう状態を指すのか、数値を含めて伺ったつもりなんですね。
 ですので、改めてこの数値がどうなっているのかと。つまり、ないのならないでいいと思うんですが、満員電車ゼロへの対策の数値はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

○邊見東京都技監 知事からもお答えしましたように、都市づくりのグランドデザインでは、鉄道のピーク時の混雑を解消と、このことを目標として掲げてございます。少し先の時代ということになろうかと思います。
 一方で、国の答申におきましては、二〇三〇年ごろを念頭に置きまして、東京圏におけるピーク時間の主要区間の平均混雑率、これを一五〇%にするということを掲げてございます。個別区間で申し上げますと、混雑率を一八〇%以下にする、この目標を掲げているところでございます。

○西沢委員 数値目標ということであれば、今、技監の方からは、ピーク時に一八〇%以下で、平均で一五〇%という話でした。これは、国の交通政策審議会の答申ですね。これは二〇一五年に定められたものですから、知事就任前のものと同じだと。これが東京都の目標なんだということでよろしいんでしょうか。
 つまり、今、先の長い話という話がございましたが、都市づくりのグランドデザイン、これは小池知事就任後につくられたものでございます。ここには二〇四〇年代、つまり二〇四九年までにやるべきことが書いてあって、そこには一八〇%以上、鉄道混雑率を解消と書いています。国の答申は二〇三〇年ごろを念頭ですから、国は二〇三〇年までに一八〇%のピーク、一五〇%平均、東京都の方針は二〇四九年だけれども一八〇%。東京都の方が甘いんですよね。だから、多分、技監は国の方の目標の方を答弁されたんだと思います。
 この目標でいいのかという話がありますが、質疑を続けますけれども、来年度予算に満員電車ゼロという文字はありません。実行プランでは、快適通勤に向けた取り組みの推進ということで新たに政策目標が書いています。目標年次は二〇二〇年で、時差ビズの定着ですね。
 時差ビズはいろいろと議論がありましたが、定着というのは、じゃあどういう状態なのか。都内就業者の何割が時差ビズを使ったら定着なのか。それが混雑率の緩和にどれくらい寄与するのか。今までの時差ビズの取り組みで混雑率がどれほど下がったのか、知事にお伺いいたします。

○小池知事 先ほど私の答弁の方で、最後、ハードとソフトの合わせわざ、両面で進めていくということを申し上げました。この時差ビズは、まさしくソフトの部分でございます。
 そして、この時差ビズは、企業や鉄道利用者が皆さんで一斉に快適通勤に取り組むムーブメントのことを指すわけでございますが、昨年は三百二十社の企業にご賛同いただいて、民間のインターネット調査でも、認知率七割を超えるということで、いい結果が得られたと、このように思います。
 ちなみに、賛同企業の多いエリアにあります十六駅の改札データを分析いたしまして、その結果は、ピーク一時間の乗客は全体で約二・三%減少するなどの効果が確認をできております。
 この時差ビズが社会に認知されて、さらにムーブメントの輪が広がるということで、個々のライフスタイルに応じて通勤時間を選択できる柔軟な働き方が浸透する、ひいては鉄道の混雑も緩和されて快適通勤が可能になると。このことを目指しているわけでございます。
 今、お話もございましたように、これからのこの東京における快適な通勤、そしてそれはソフトの面での時差ビズの浸透によって進んでいくことと思います。また、進めていかなければならないと思っております。官民連携して取り組みを進めて、時差ビズを新たな常識として定着させることによって、満員電車ゼロを一歩でも近づけたいと思っております。

○西沢委員 時差ビズでの数値的なこともお伺いしたんですが、やっぱりなかなかはっきりとしたお答えではなかったのかなと。唯一、数字で、ピーク時一時間の乗客が二・三%減少と。これは乗客率で、混雑率の解消ではないということを申し上げておきたいというふうに思います。
 知事にちょっと確認したいんですけれども、先ほど都技監が答弁して、東京都の目標を国の指標に基づいていいましたが、一応、都技監の答弁と認識は同じということでよろしいんでしょうか。

○小池知事 数値については共有していきたいと思っております。ただ、方法については、より加速させる必要があると、このように認識をいたしております。

○邊見東京都技監 少し補足をさせていただきたいと思いますが、先ほど委員のおっしゃった、都のグランドデザインにおきまして位置づけているものは、解消と、確かに定性的な表現ではございますが、一八〇%以下にするということではなくて、現状が一八〇%以上であるのを解消と、定性的な表現でありますが、掲げてございます。都の方が甘いということではございません。

○西沢委員 ちょっとよくわからなかったんですが、都市づくりのグランドデザインについては、今、技監が答弁しましたが、いずれにしても、技監が最初おっしゃったのは、国の交通政策審議会が出している、二〇三〇年までには混雑区間一八〇、平均一五〇、これを持ち出されたわけですよね。知事もそれは共有したいということですから、東京都の政策の満員電車ゼロの政策の目標は何かというと今の答弁ですね。国の政策審議会の答申ということです。
 ここで交通局にちょっとお伺いしますが、満員電車ゼロに向けた取り組み、お膝元の都営交通ですから、この混雑率の状況把握に基づき、満員電車ゼロないし混雑緩和に向けた目標設定を行い、必要な取り組みを進めるべきと考えますが、現状数値とともに交通局の見解をお伺いいたします。

○山手交通局長 都営地下鉄ではこれまでも、混雑緩和と利便性の向上を図るため、ダイヤ改正を実施し、さらに必要に応じて車両の増備を行い、輸送力を増強してまいりました。
 各線における平成二十八年度の混雑率は、浅草線一三一%、三田線一五六%、新宿線一五八%、大江戸線一五五%となっておりまして、都営地下鉄四線の平均では一四九%でございまして、先ほどからお話しになっている国の答申で示されている混雑率の目標をいずれも下回ってございます。
 なお、都営地下鉄では、平成三十年度に大江戸線の車両を三編成増備するなど、さらなる輸送力の増強を図るとともに、引き続き時差ビズに取り組むことによりまして、混雑対策を進めてまいります。

○西沢委員 交通局では一八〇%をいずれも下回っていて、浅草線、三田線、新宿線、大江戸線、一三一、一五六、一五八、一五五と。平均一五〇以下になるのかな、一五〇以下、つまりもう目標を達成しているんですね、都営交通は。目標を達成している、満員電車ゼロの。
 都営交通を使われている方、この会場にもいると思いますが、まだ全然混んでいますよね。もちろんこれからも引き続き取り組んでいくという話がございましたが、取り組んでいただきたいと思いますが、改めて、今、この満員電車ゼロについては、私も知り合いから知事に投票したよという方がいて、何でという話を通じて、満員電車ゼロに、解消してくれるという話で、それどうなっているのと聞かれるわけですね。なので、こういった方に、いや、都営交通を使っていたらもう達成していますよといったら、これ怒ると思うんです。
 なので、国が定めたものではなくて、今、東京都がやったグランドデザインでもなくて、やっぱり知事が、国の定めたものではなく、リーダーシップを発揮して  いろいろあります、民間事業者との、鉄道事業者との連携や、テレワークだとか車両とか、それから働き方改革とか、いろんなものがあると思いますから、これをセットにして、しっかりと知事がリーダーシップを持って目標を定めるということが必要だと思います。ぜひご検討いただきたいと思いますが、見解をお伺いします。

○小池知事 ありがとうございます。と申しますのも、今、都営地下鉄の話が出ました。そしてまた、それぞれJRや、小田急線は今回の複々線によって大幅に緩和が期待されているし、実際にそうなりつつあるというところでございます。それぞれの路線によって混雑率が違うのは当たり前の話でございますが、今ご指摘いただきましたように、満員電車については、これほど苛酷な満員状況というのはそうそうないと思います、世界を見ましても。
 ぜひ、快適な通勤をするからこそ生産性が向上すると。それによって、働き方改革の一番ベースの部分が改善されるというのは、都民にとっても必要なこと、またうれしいことだと思っております。
 電車の交通機関の話だけに、これからもっとスピードアップしていきたいと考えております。

○西沢委員 ぜひ期待したいと思います。知事の任期中じゃなくてもいいと思いますし、方向性を指し示して、さらに、二階建て電車という言葉が入っていなくてもいいと思います。しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいというように思います。
 次に、市場問題についてお伺いをいたします。
 これは知事の発言ですが、市場移転後も、築地と豊洲がともにブランドとして並び立つ妙案を、みんなで知恵を出し、探ることは重要、都はこうした観点に立ち、中央区との合意に基づき、食文化の拠点を継承していくことに協力していきたいと、知事の発言でもありますが、平成二十四年当時の石原知事の答弁そのままでもあります。
 こうした方向性は過去からずっと来ているものですから、市場移転後の問題について、知事に対して、いろいろできもしないことみたいなところはありますが、冷静に分析すれば、この方針を貫く限り、小池知事の批判には当たらないというように私は思っています。
 都議会でも、当時は、築地のまちづくりについては、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限努力するという付帯決議を可決した経緯があります。昨年九月にも、中央区から提出された要望書、食文化の拠点として、築地の活気とにぎわいを継承していくことは、成熟都市東京において重要な課題といった認識が示されています。
 しかし、現在の築地再開発検討会議の議論を聞くと、食文化の拠点継承という視点が軽んじられて、自由闊達過ぎる議論がなされているんじゃないかと危惧をするわけであります。どうやって着陸させるんだという声が聞こえてくるわけでありますが、ここもやはりリーダーシップです。
 この跡地利用の方向性は、小池知事がリーダーシップを発揮して決めるべき問題です。食文化の拠点継承という観点は絶対に残るのか、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 ご指摘がございましたように、築地は銀座など都心に近接したまたとないロケーションでございます。そして、培ってきた長年の伝統がある。周辺に浜離宮がすばらしい景観とともに存在をし、水辺があり、築地本願寺があるということで、さまざまな宝物がそこに集約されているといっても過言ではないかと思います。
 ご指摘がありました築地再開発検討会議でございますが、そういった築地のポテンシャルを生かして、東京の魅力をさらに高める、持続的な成長につなげていくというその観点から、自由な発想で幅広いご意見をいただいているところでございます。
 そしてまた、ご指摘ございましたように、地元の中央区からにぎわいなどご要望いただいておりますが、再開発がよりよいものとなるために、地元区との連携協力は不可欠でございます。
 来年度にかけまして、民間からのヒアリングなども行いながら、都としてまちづくりの方針を取りまとめていく、その所存でございます。

○木村副委員長 西沢けいた委員の発言は終わりました。

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