午後三時三十五分開議
○のがみ副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
中山信行委員の発言を許します。
○中山(信)委員 都議会公明党の締めくくり総括質疑を行います。
まず、都政改革、都政改革本部についてであります。
知事は、今月九日、都政改革の土台が完成し、今後は実践的段階に移ることから、特別顧問等を廃止し、職員主体の体制に移行すると発表されました。
知事は、ことし八月二日以降、就任三年目に入られます。もはや社外取締役のような特別顧問の存在は不要であり、知事を中心に都庁職員の総力を結集し、東京二〇二〇大会の成功とその後の対応などの課題に臨むべきであります。
体制の刷新は当然と考えますが、一方で、平成三十年度予算案には、総務局都政改革本部の関連経費として、特別顧問の報酬や旅費など約五千五百万円が計上されております。今後、その取り扱いをどうされていくのか、知事に見解を求めます。
○小池知事 今、時系列でお話がございましたが、今後の都政改革につきましては、ご指摘のように、本格的な自律改革を進める段階に入るということから、特別顧問を廃止いたしまして、職員を主体とした体制で取り組んでいくことといたしました。
なお、高度な専門的知識を持つ方など、必要性に応じまして外部の第三者からのアドバイスをいただくことも検討してまいりたいと考えております。
お尋ねの経費の面でございますが、現段階では、不用額を幾らということを明らかにすることは難しい面もございます。よって、今後、第三者からアドバイスいただく具体的な仕組みの検討を進めまして、また、都政改革本部に関する要綱改正などの正式な手続を経ました段階で、不用な額とすることが適切な処理と考えております。
なお、予算案の発表に当たりましては、各局の予算要求以降に生じた事情変更に関しましては最大限に盛り込んでおりますけれども、議会でご審議いただくために、期日に区切りをつけて取りまとめる必要がございます。
予算案の発表から議決までに生じました事情変更につきましては、これまでのように最終補正予算の中で対応を考えております。
以上でございます。
○中山(信)委員 都政改革本部の関連経費につきましては、通常の段取りに従って対処するものと理解いたします。
肝心なのは、都政改革の中身であり、成果であります。我が党は、これからも都民目線で都政運営をチェックし、都政発展への政策提言を意欲的に重ねていくことを表明しておきます。
次に、入札契約制度改革を取り上げます。
我が党は、さきの代表質問で、入札契約制度改革の抜本的な見直しを求め、三つの提案を行いました。知事からは、提案の内容をしっかりと受けとめながら、よりよい制度の構築に向けて取り組むという旨の力強い答弁をいただきました。
早速、三月十二日には入札監視委員会の制度部会が開催され、最終的な検証報告は今週内にもまとまると聞いております。入札監視委員会における議論や今後の見通しなどについて、我が党の提案に沿いながら質問します。
まず、一者入札の中止についてであります。
我が党の提案は、一者入札の中止を撤廃すべきであります。この点に係る入札監視委員会での議論の状況について伺います。
○武市財務局長 三月十二日に開催されました入札監視委員会の制度部会では、一者入札の中止に関し、平成三十年二月末現在で、対象三百五十三件中六十一件、約一七%が中止になっていること、また、中止後に再発注した案件について、当初からの開札日のおくれが約一月半生じていることなどについてデータが示されました。
こうした実績を踏まえ、一者入札の中止は、都の事業執行のおくれを招き、ひいては都民サービスの低下につながるおそれがあるというご意見や、構造的に一者入札となるものもあり、希望者数が一者以下の場合に一律に中止することに疑問を投げかけるご意見をいただいております。
部会では、こうした点なども踏まえ、本制度のあり方を抜本的に再考すべきという方向性が示されたところであります。
○中山(信)委員 事業執行のおくれは、我が党がかねてから指摘していた点であり、入札監視委員会からも裏づけがなされたものと考えます。
都民の生命を守る防災インフラの整備もあり、一刻のおくれも許されません。一者入札の中止は速やかに撤廃すべきと強く申し上げておきます。
次に、JV結成義務の撤廃についてであります。
我が党の提案は、土木建築工事などの指定案件について、担い手育成モデル事業としてJV結成義務を設けるべきであります。
建設業者側も、高齢化の中、若手への技術承継のため、研さんの機会を求めています。JV結成義務を設け、担い手育成モデル事業を実施し、将来の担い手の確保に協力することについて見解を求めます。
○武市財務局長 ご指摘のとおり、就業者の高齢化や若者の建設業離れなどを踏まえ、発注者として将来の担い手確保に向けた取り組みを進めることは大変重要でございます。
入札監視委員会における議論におきましても、入札参加者数の増加といった効果もあり、試行を行っている混合入札が望ましいと考えるが、中小企業の育成という観点から、JV結成のインセンティブを高める取り組みや技術研さんの機会を確保する取り組みを検討すべきというご意見もいただいております。
いただいたご提案の内容をしっかりと受けとめながら、今月末の入札監視委員会の検証報告を踏まえ、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。
○中山(信)委員 次いで、予定価格の事後公表であります。
予定価格の公表が事前から事後に変わり、積算を行う側の負担が増加しており、休日や夜間に積算をすることを余儀なくされています。
我が党の提案は、事後公表は財務局が発注するような大規模工事案件に限定し、中小案件は事前公表に戻すであります。
予定価格の事後公表に係る議論の状況について伺います。
○武市財務局長 入札監視委員会では、事後公表にしたことにより九九%以上の高落札が大きく減少していること、また、事後公表は事業者の積算努力を促すというメリットがあることなどから、予定価格の事後公表は、原則として継続すべきというご意見をいただいております。
一方で、主に中小企業が参加する各局契約案件において不調率が三割にも及んでいる点、積算の負担が重く、中小企業の都の入札への参加意欲が減少しているといった業界団体の声などを踏まえまして、中小企業への一定の配慮の必要性については理解できるというご意見もいただいております。
○中山(信)委員 ここで、事前公表に戻す上での具体的な提案をさせていただきたいと思います。
こちらの表をごらんいただきたいと思います。これは、昨年五月に財務局が公表した文書の一部を抜き出したものであります。文字の色づけはこちらで行いました。低入札価格調査制度の基準について、当初、都は、建築で三・五億円、土木で二・五億円、設備で〇・四億円以上に適用拡大を予定しておりました。
これに対し、都議会公明党は、事業者の強い要望を受け、適用拡大を狭めるべきと申し入れ、結果、都は、表のように対象を上方シフトさせ、中小案件の大部分が対象外となり、負担の緩和につながり、歓迎されております。
事前公表に戻す目的も、こちらの財務局の文書に記載がありましたとおり、中小企業への影響に配慮し、適用範囲を縮小という点では同じであります。
事前公表に戻す場合も、同じく、同じ目的であることから、同様に建築案件で四・四億円未満、土木案件で三・五億円未満、設備案件で二・五億円未満にすべきと提案したいと思いますが、知事の見解を求めます。
○小池知事 主に中小企業が入札に参加する各局案件でございますが、その中で不調率が高くなっているというご指摘、入札監視委員会の制度部会におきましても、中小企業への配慮として、低価格帯の工事において発注規模の価格帯の幅を狭めて示すこと、また、価格帯などによって事前公表と事後公表を使い分けることの検討を求めるご意見をいただいたところでございます。
今後の取り扱いでございますが、今月二十九日に出されます入札監視委員会の検証報告を受けまして、来月の業界団体からのヒアリングなど、手順を踏みました上で判断することとなります。いただいたご提案につきましては、貴重なご意見として受けとめさせていただきます。
既に、来月の業界団体からのヒアリングに向けまして、事務方も準備を進めているところでございます。試行段階におきまして明確になりました課題については、スピード感を持って改善すべきところは改善してまいりたいと考えております。
○中山(信)委員 知事には、来月のヒアリングで業界の声に真摯に耳を傾けていただくこと、その上でスピーディーに見直すことを求めたいと思います。迅速に、可能なところから見直すことを強く要望し、次の質問に移ります。
入札契約制度改革を取り上げたところで、東京水道の配水管の維持管理工事に触れます。
一昨年夏、都の配水管工事の発注がぴたりとやみ、ちょうど小池知事の就任と時期が同じだったものですから、小池知事のせいじゃないかとか、五輪の影響だとか、さまざまな臆測や風評が飛び交い、私も耳にしました。
しかし、私が受けた説明では、資材価格や労務単価の高騰に加えて、ここ数年の例年を上回る発注増で、管工事に投入できる事業費に限界が生じたためと聞いております。
そこでまず、一昨年夏、水道管工事の発注が減少した原因について、私が耳にした臆測や風評への見解も含めて、説明を求めます。
○中嶋水道局長 一昨年、すなわち平成二十八年の夏に水道管工事の発注量が減少した原因は、工事単価の急激な上昇によるものでございます。
また、もう一つの原因として、同じ年の六月から九月にかけて、利根川水系で発生しました渇水も影響しております。
水道管の工事では、工事に伴い発生する濁り水を解消するためや水道管内の洗浄作業等により、多量の水を使用する必要がございます。このため、予定していた工事の発注を一時的に絞るよう調整いたしました。
また、東京二〇二〇大会施設工事と水道局の管工事は、受注する工事業者の業種が異なるため、水道管工事の発注量とお話のオリンピック工事に直接の関係性はございません。
○中山(信)委員 知事、聞いていただいて明らかなように、就任や五輪工事と結びつけるのは余りにも無謀であります。また、渇水がなぜ影響するのかについても、今の説明でよく理解できました。
ただし、風評被害で無関係だといっていても始まりません。問題は解決しません。
私は、昨年夏に公営企業委員会に異動した後、二度もこの問題を取り上げ、都水道局は中嶋局長を中心に誠心誠意取り組んでいただいて、平成三十年度の発注件数はかなり回復する見込みと答弁を得ております。
しかし問題は、事業者の最大の関心は、今後もその発注量が安定して継続できるのかという点にあります。また再び落ち込むことがあれば、廃業に追い込まれてしまう事業者数は相当数に上ると思われます。
水道会計内では、これまでは修繕引当金を活用し、工場の未執行経費を翌年度の管工事の更新財源としていたと聞いております。しかし、これが底をつき始め、従前の発注量を支えられなくなっています。
その一方で、未執行金ではなく、利益剰余金を水道管の更新工事に充てるべきという主張も耳にします。
しかし、剰余金の大半は大規模修繕など引き当て先が既に決まっていると聞いておりまして、これを乱すことは、別の意味で将来不安を増すことになると危惧しております。
そこで私は、水道局の財政面での工夫、企業債の活用を図るべきと提案します。
企業債の充当先は、現状、浄水場などの大規模施設の更新に限定していると聞いておりますが、水道管の更新工事、特に耐震化、こうした点にも充当すれば、安定した発注につながります。
そこで、水道管路の更新をさらに促進していくため、財政運営のあり方を工夫すべきと考えますが、見解を求めます。
○中嶋水道局長 安定給水に欠くことのできない基幹的施設である水道管路の着実な更新のためには、財政基盤の確立が不可欠でございます。これまで管路の更新を目的とした修繕引当金は、更新を積極的に進めてきた結果、その活用に限界が来ております。また、利益剰余金は、翌年度以降に行う浄水場更新や給水所整備など、大規模工事の財源に充てるため使途が明確になっております。
お話の企業債充当先の拡充につきましては、将来の人口減少が見込まれる中での償還財源の確保や管路の更新財源として企業債を充当する場合の会計処理への影響など整理すべき課題はございますが、貴重なご意見と考えております。
今後、長期的な財政見通しを踏まえ、コスト縮減も図りつつ、より効果的に企業債を活用する方法なども含め管路更新における財源確保について幅広く検討してまいります。
○中山(信)委員 企業債の充当先の柔軟化は、説明を尽くしていけば、都民からもご理解をいただけるものと考えております。あとは小池知事のご決断をいただかなくてはなりません。
知事、水道局の意見もよく聞いていただいて、また、財務局ともよくご協議の上、賢明なご判断で、安定給水の体制確保にご尽力いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、公文書について質問します。
三月十三日の予算特別委員会で、共産党の曽根委員より、岸記念体育館の移転に伴う都の用地取得について、事実関係を明らかにするという名目で四つの文書が提出されました。そのうちの一つは、もともと共産党が情報開示請求で入手していたものだそうでありますが、残りの三つは、共産党都議団が入手と述べただけで、出所については明らかにしませんでした。
その後、十九日の都市整備委員会で共産党の委員から、十六日付で都市整備局から開示があった旨の情報の提供がありました。
そこでまず、都市整備局に質問します。十三日の予算特別委員会の時点で、共産党が提示した残りの三つの文書は、後に都市整備局が情報開示した都市整備局が機関として保管している文書に間違いなく、ただし十三日の時点では、正式に情報開示した事実はないということで間違いはないのか、お答えいただきたいと思います。
○邊見東京都技監 お尋ねの文書は、都市整備局が保管していた文書であり、三月十三日の時点では開示をしてございません。
○中山(信)委員 都市整備局が機関として保管をしており、後に開示した文書であり、十三日の時点では開示していないということでありました。
そこで、公文書管理の骨格をつかさどる総務局長にお聞きします。それら三つの文書は公文書という理解でよろしいでしょうか。
○多羅尾総務局長 東京都公文書の管理に関する条例において、公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、または取得し、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいうとなっております。
ご指摘の文書は、確認したところ、この要件に当てはまることから、公文書に該当するものと考えております。
○中山(信)委員 総務局長から、これら三つの文書は公文書であるという答弁がありました。そうしますと、これらの公文書が、共産党にだけ流れていたということになり、これは都の公文書管理上、大問題であります。このようなことは断じてあってはならないことであります。
今回の問題を受けて、今後の都における公文書管理の厳格化に向けた取り組みと知事の決意をお伺いいたします。
○小池知事 都民とともに進める都政の実現には情報公開の基盤であります公文書の適正な管理が何よりも重要でございます。正規な手続を経ずに取り扱うわけにはいきません。
都におきましては、昨年、東京都公文書の管理に関する条例を制定したところでございます。全庁的な公文書管理のルールを確立したことは皆さんご存じのとおりでございます。この条例におきましては、職員が公文書を作成し、または取得したときは、当該公文書の重要度、利用度などを考慮して、保存期間を設定すること、そしてその保存期間が満了するまでの間、適切に保存することなどを定めております。
また、これらの規定に基づいて公文書管理が確実に行われますよう、公文書の管理状況を点検して公表する仕組みも新たに導入をいたしております。
公文書の管理の重要性を職員に徹底するとともに、こうした点検制度なども活用しながら、都民共有の財産である公文書管理を厳格に進めてまいります。
○中山(信)委員 故意であれ、過失であれ、流出したということ自体が問題であります。意図や目的が何であれ、公文書が正式な手続を経ずして特定の政党に結果として流れたという事実は重大です。軽く受けとめてはなりません。
目的のためには手段は選ばないということは、手続上はあってはならないことであります。知事には厳格に再発防止に努めていただきたいと強く要望しておきます。
次いで、環境政策について質問します。
先ほど上水のことに触れましたけれども、今度は下水の再生水の活用について質問します。
二〇二〇年の東京大会は、史上最も持続可能なオリンピック・パラリンピックであったと評価される二〇一二年のロンドン大会を凌駕する環境保全への貢献を目指しています。一方、生命の源である水の安定確保は万国共通の課題です。その点、下水道は汚れた水を浄化し、再び水循環のサイクルへ戻す重要な使命を担っています。
その下水処理水を、都市の貴重な水資源として、上水にかわって利用することは、水の省資源化に役立つ取り組みであり、環境負荷の少ない都市東京の実現に大いに貢献します。
そこで、下水道局長にお伺いいたします。
まず、東京二〇二〇大会に向けた下水再生水の活用とその効果について見解を求めます。
○渡辺下水道局長 下水再生水は、通常の下水処理に加えまして、ろ過処理やオゾン処理などの高度な処理を行ったもので、トイレ用水や水源が枯渇しました河川の清流復活事業に活用してきております。
現在、トイレ用水として、臨海副都心地区など都内七地区百九十施設に一日当たり約一万立方メートルの再生水を供給しております。
東京二〇二〇大会の関連施設では、臨海副都心地区におきまして、既に、東京ビッグサイトに供給しておりますが、競技会場でありレガシー施設となる有明アリーナ、有明体操競技場、有明テニスの森にも新たに供給してまいります。
なお、環境効果といたしましては、三施設合計で年間約四十トンの温室効果ガスの削減が可能であり、これは、東京ドームの約二個分の面積の森林が一年間に吸収する二酸化炭素の量に相当いたします。
○中山(信)委員 大変な環境貢献でございます。下水の再生利用は、都市活動の進展、そして環境保全への配慮、この二つの取り組みの両立を図る、価値ある取り組みでございまして、次の世代にも確実に引き継がれていく必要がございます。
そこで、下水再生水の活用は、二〇二〇年以降も拡大していくべきと考えますが、見解を求めます。
○渡辺下水道局長 下水再生水の利用に当たりましては、利用するお客様みずからが敷地内などに再生水の専用管を整備する必要があることから、再生水を供給している七地区のエリア内におきまして、建物の新築や改築の機会を捉え環境効果などを説明しながら利用を要請しております。
特に、新たな大型の再開発事業などが見込まれる場合には、再開発関連の情報収集などに努めまして、関係局や区と連携し、計画段階から再生水の利用を促してきております。
現在、品川駅周辺や虎ノ門におきまして、再生水の新たな供給先の確保に向け複数の開発事業者などと協議を進めております。
今後、ホームページでのPR方法をさらに工夫するなど、都市の貴重な水資源である下水再生水の活用拡大に向けまして継続して取り組んでまいります。
○中山(信)委員 ぜひ将来的には、後々の世から、下水再生水の活用を世界で初めて都市インフラの標準仕様に組み込んだのは東京であるといわれるくらいまで頑張っていただきたいと思います。都心に限らず、よろしくお願いいたします。
続きまして、下水再生水に触れましたところで、水循環について意見表明を行わせていただきます。
こちらのパネルをごらんいただきたいと思いますが、外堀につきましては、都は既に水質浄化の取り組みを実施しており、知事も昨年七月に国土交通大臣とともに日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化に向けて取り組む旨を発表されており、関心が高いことと思います。
外堀の水質改善につきましては、都民の中にも熱心に取り組む団体があり、玉川上水の起点に当たる羽村堰から、こちらの方ですね、外堀、日本橋川へと河川水を試験的に通水し、日本が誇れる水辺景観を創出することなどの提言を行っております。
提言が実現すれば、外堀を初め神田川や日本橋川に水が循環して、水質の浄化が図られ、東京の水循環は大きく向上します。
先ほど申し上げました下水の再生水の活用を含め、多くの関係者の協力を仰ぎ、環境先進都市東京にふさわしい水循環、快適な水環境の創出を目指し、一層のご努力をお願いしたいと思います。
続きまして、少々順番を変更して、防災備蓄と大規模長屋について取り上げます。
私は、昨年、墨田区白鬚の都の防災倉庫や足立区内の防災倉庫を同僚議員と視察し、本会議で取り上げ課題の検討を求めました。リパックの必要性、積みかえですね、ハンドリフトの増強、パレット積みなどの転換などを提案しましたが、その後の対策の状況を明らかにしていただきたいと思います。
加えて先日、やはり同僚議員と立川市内の多摩広域防災倉庫を視察しました。大型トラックが横づけできる環境にありますが、フォークリフトがなく、荷台への積み込みは大丈夫なのかと心配いたしました。
トラック協会などの協力も仰ぎ、災害時の搬送訓練を実施し、使い勝手の向上を目指すべきであります。二問あわせて見解を求めます。
○梶原福祉保健局長 都は、物流事業者など関係機関からの意見も踏まえまして、備蓄物資の保管方法の改善を図っており、現在、八カ所の備蓄倉庫に十八台のハンドリフトを配備いたしますとともに、パレットを利用した保管方法に順次変更をしております。
また、箱の劣化が進行している、こん包が大きく重いなどの課題があった毛布につきまして、今年度七千枚を圧縮して再こん包し、こん包を小型化、軽量化いたしました。
来年度は、新たに毛布とカーペットを約十万枚ずつ再こん包するとともに、区市町村の倉庫に備蓄している都の物資につきましても、保管状況等を調査し、再こん包の必要性を判断してまいります。
今後とも、備蓄物資を災害時に効率的に搬出できるよう改善を進めてまいります。
次に、多摩広域防災倉庫でございますが、この倉庫は、昨年六月に活用を開始し、現在、食料約百六十三万食、紙おむつ約六万枚、生理用品約八万枚、毛布七千枚全てをパレット積みで備蓄しており、ハンドリフトを四台配備しております。
都では、発災時に備蓄倉庫での荷さばき業務を効率的に行えるよう、発災時の車両と荷役の提供について協定を締結しております一般社団法人東京都トラック協会との搬出訓練を、平成二十五年度から実施しておりまして、来年度は新たに多摩広域防災倉庫でも実施し、現場での訓練を通じた作業の検証や事業者の意見も踏まえながら搬出効率の向上を図ってまいります。
○中山(信)委員 リパックが進むということで、大変評価をいたしたいと思います。また、フォークリフトがない点につきましても、トラック協会などとの訓練を行うということであり、着実な改善をよろしくお願いいたします。
次に、やはり順番を少々変更しまして、住宅政策について質問させていただきます。
初めに申し上げますが、住宅局の復活を求めた、さきの我が党の東村幹事長の代表質問に対し、小池知事は、都政史上初めて検討を約束されました。画期的なことであります。
これまで石原知事は、住宅局の廃止を決定されたご当人でありますし、猪瀬知事も舛添知事も検証していくとの域は出ない答弁にとどまっておりました。ぜひ早期の再建を小池知事の手で仕上げていただきたいと念願します。そのことを申し上げて具体論に入ります。
まず、住宅確保要配慮者に向けた取り組みであります。
昨年十月に改正住宅セーフティーネット法が施行され、スタートした新制度ではあります。都も我が党の要望に応え、新年度から都の独自補助を開始しますが、現状、都内で本制度に登録された賃貸住宅の住棟は、一軒もありません。これまでは国の補助だけであったという前提もありましたが、都内の自治体で補助制度を立ち上げた自治体も一つもありません。こうした実態を踏まえ、もう一重、さらなる対応を求めて提案したいと思います。
それは区市町村が感じている不安の軽減と、家主への的を射たアプローチという点であります。
まず、区市町村の役所の理事者側は、補助制度を立ち上げた場合、最終的にどのくらいの予算規模に膨らんでいくのかという不安を抱えています。賃貸や分譲、戸建てや集合住宅の別など住宅確保要配慮者の居住実態に関する情報を欲しがっています。中には、居住実態の分布ぐあいを見て、地域を限定してでも、まずは試験的にやってみたい、そういう自治体もあります。
そこで、区市町村が補助制度を設計する際に、必要な助言や情報提供を行うなど、都として区市町村への支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
○邊見東京都技監 区市町村が、補助制度を検討するためには、対象となる住宅確保要配慮者の状況を把握できることが、お話のように重要と考えます。
このため、今後、区市町村に対し、居住者の年齢や世帯構成など、住宅関連の統計データや分析方法について情報提供し、検討の材料としてもらえるようにしてまいります。
加えて、区市町村が補助制度を具体化するときには、相談にきめ細かく対応し、その取り組みを後押ししてまいります。
また、区市町村は、不動産団体や福祉団体と連携し、高齢者等に対して、住宅相談や生活支援を行ってございます。こうした取り組みを他の区市町村にも紹介し、共有することで施策の推進につなげてまいります。
都は、住宅セーフティーネットの制度が、今後、十分に活用されるよう、区市町村との連携を一層強化してまいります。
○中山(信)委員 精いっぱいの答弁をいただいたと思います。住宅政策になれない区市町村に寄り添って、制度立ち上げの支援を求めたいと思います。
次いで、家主への的確なアプローチであります。
本登録制度は二段階で、住宅確保要配慮者の入居を拒まないというだけでは、金融公庫の融資を受けやすくなるという程度にとどまります。
住宅確保要配慮者しか入居できない専用住宅として、一棟であれ、登録して初めて改修費の助成や、家賃を低く抑えるための差額の補填、家賃債務の保証などのメリットを享受することができます。
しかも、一旦こうした補助を受けてしまうと、例えば、改修費の場合は、十年間は登録の継続が求められますし、入居者が住宅確保要配慮者であるかどうかの要件の確認は家主側が行うこととなっております。
しかし、こうした定め事は、家主側から見れば、大変面倒なこととしか目に映らず、そもそも制度を知らないということとあわせて登録が進まない原因となっています。
私は、かつて目黒区役所のときに、住宅改修アドバイザーという制度を立ち上げたことがございます。介護保険の住宅改修をスタートした、でも、本当に必要な工事かどうかわからないでやられてしまう、また、改修工事の事業者の方も、これが介護保険の適用の範囲に当たるかどうかわからない、それでちゃんと勉強を教えてあげて、これが法律の仕組みですよということをやっていただいて、その登録を協力してくれたアドバイザーに関しては償還払いではなくて、後から一割負担だけ請求する仕組みを、ご本人にかわって代理請求できる仕組み等、つくりました。
今回の制度でも、家主と住宅確保要配慮者との間に立って仲介的な役割を果たす良質の存在が必要であります。その点で、地元で長年の実績を残してきた不動産会社は家主、地主からも信頼が高いものがあります。しかし、不動産会社側には、住宅確保要配慮者を支える福祉制度等への知識、経験が不足しております。
そこで、これらを結びつけ、家主側からも住宅確保要配慮者の側からも、安心して本制度を利用できるソフト面の工夫が必要であります。それは、広域自治体としての都の役割と私は考えます。
住宅確保要配慮者に関する知識と経験を有する良質なNPO団体や、宅地建物取引業団体と、都みずからが積極的に連携を図るとともに、区市町村レベルでの連携も進んでいくよう都が役割を果たすべきと考えますが、見解を求めます。
○邊見東京都技監 住宅セーフティーネット法に基づく居住支援法人制度について、都は、昨年十二月にその指定基準を公表いたしました。
この基準に基づき指定が進むよう、居住支援の実績を持つNPO法人や福祉団体に対し、区市町村の協力を得て住宅セーフティーネット制度にかかわる情報を提供するとともに、申請への働きかけを行ってまいります。
また、区市町村の居住支援協議会に、指定した居住支援法人の参加を促し、居住支援法人が区市町村や不動産団体などとの連携を深めて、住まい探しや見守りサービス、家賃債務保証などの活動をしやすくしてまいります。
都として、こうした取り組みを進め、貸し主や借り主など、関係者が安心して利用できる仕組みをつくってまいります。
○中山(信)委員 今、都技監の答弁にございました関係者の安心感、これが最も大切でありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
住宅政策に関連して、住まいの場におけます外国人対応について質問します。
都内に住む外国人の数が増加しておりまして、住まいの場における外国人対応が課題となっております。都営住宅においても同じであります。
住宅行政をつかさどる東京都として、これからさまざまな地域で、ますます重要な課題となってきますでありましょう、住まいの場における外国人対応について、都営住宅を舞台に一つのモデルとなる取り組みを目指すべきと考えます。
東京都住宅供給公社は、都営住宅での居住に伴うルールや災害時対応など、外国人への一層寄り添った対応を図り、トラブルの未然防止に努めるべきと考えますが、見解を求めます。
○邊見東京都技監 都営住宅の外国人居住者に対しては、東京都住宅供給公社が、入居時に「住まいのしおり」の外国語版を配布して、ごみの出し方や騒音への配慮など、生活上のルール等を周知してございます。また、手続の申請案内や窓口対応のマニュアルを外国語で作成して使用するなど、工夫を重ねてございます。
来年度からは、言語の多様化に対応するため、約五十カ国語の機能を持つ通訳端末を六カ所の窓口センターに導入し、外国人からの相談によりきめ細かく対応してまいります。六カ月程度、試験的に運用を行った上で効果が確認されれば、十六ある全ての窓口センターへ導入してまいります。
○中山(信)委員 何かもめごとがありますと、急に、私、日本語わからないといい出す人がいらっしゃるわけですけれども、対立構造ではなくて、本当に住宅行政の中で寄り添って問題解決を図っていく、その試験的運用を来年度やるということですから、ぜひ期待したいと思います。他の局にも快くそのノウハウを提供して、都民全体で成果を共有できるように頑張っていただきたいと思います。
次に、働き方改革について質問します。
まず、都内の中小企業での対策です。
女性の活躍や時短などの働き方改革は、中小企業にとっては大変高いハードルでありますが、それに進んで対応できれば極めて効果的な人材確保策となります。この点、我が党は、昨年の代表質問で、業界ごとの特有の課題の解決に向け、中小企業の人材確保や働き方改革を一体的に支援すべきと提案しました。この点、来年度はどういった工夫を凝らすのか、見解を求めます。
○藤田産業労働局長 人手不足が深刻な中小企業を効果的に支援するため、都は来年度、それぞれの業界内で共通する課題の解決に向けて、業界団体ごとに、人材確保に関する計画の策定から実行までを二段階に分けてサポートしてまいります。
具体的には、まず初期段階といたしまして、専門家の助言をもとに各団体がみずから課題を調査分析いたします。その上で、働き方改革や女性活躍推進の視点を取り入れ、勤務時間の見直しや在宅勤務の導入など課題解決に有効な実施計画を策定できるよう支援をいたします。
その後、計画に基づき、団体が会員企業等に対して実施する採用や育成、定着に向けた取り組みが着実に進むよう、団体へのヒアリングや助言等を通して進行管理を行ってまいります。さらに、その成果を実証モデルとして広く波及させることで、業界全体の採用力の底上げを図ってまいります。
○中山(信)委員 人材確保と働き方改革を同時並行で支援するものでありますので、ぜひ成果をもたらしていただきたいと思います。
働き方改革に関連して、ことし四月から適用が始まる無期転換ルールについて質問します。
無期転換ルールとは、有期雇用契約を更新していって通算で五年を超えると無期雇用への転換を求める権利が発生するというものであります。しかし、雇いどめでありますとか、無期転換ルールが適用されない業務委託への切りかえですとか、申し出がないことをいいことに、黙って有期契約を更新していくとか、あるいは一定期間雇用しないクーリングを挟んで、せっかく積み重ねた有期雇用期間をゼロに戻してしまうとか、そういったさまざまな対応が考えられます。
都は、そうした被害を防ぐために、働き手側が正当な権利を主張できるよう、正しい知識の普及と相談体制を充実させるべきであります。労働基準監督官や東京労働局とも連携して、切りかえ後、間もない来年度早々は、相談体制の強化を図るべきと考えますが、見解を求めます。
○藤田産業労働局長 ことし四月からの無期転換ルールの本格化に向けまして、都はこれまでも、東京労働局と連携した制度の周知啓発や労働相談情報センターの相談において契約更新の留意点を助言するなど、きめ細かく対応してまいりました。
今後、無期転換の申込権は順次発生してまいりますことから、引き続き、有期雇用労働者が円滑に無期契約へ転換できるよう支援してまいります。具体的には、制度をわかりやすく説明した啓発資料を一万二千部作成し、労働組合等を通じて広く配布するとともに、街頭労働相談等においても周知を図ってまいります。
また、本格化後の企業の実際の取り組みや事例などを取り入れたセミナーを新たに開催するほか、非正規労働月間における特別労働相談会の実施についても検討いたします。こうした支援を切れ目なく続けていくことで、ルールが適切に運用されるよう取り組んでまいります。
○中山(信)委員 改正法の施行を、圧倒的多数であります働き手側の都民の幸せに通ずる契機としますよう、取り組みの充実を要望しておきます。
続いて、都の労働条件審査について質問します。
働き方改革は、都庁みずからが率先して取り組む必要があります。国や都内の自治体では、公契約の社会的責任に鑑み、事前の労働条件審査を契約締結の前提条件とする動きが広まっており、賃金の未払いや社会保険の未加入、不適切な時間外労働といった点でさまざまな是正の効果を発揮しています。
都においても、我が党の要請を受け入れ、ようやく平成二十九年度から、東京都と指定管理契約を結ぶ者のうち、東京都公園協会、東京都スポーツ文化事業団、株式会社日比谷アメニスを対象に適用を開始しました。
本来、労働法規の遵守は雇い主側責任でありますが、社会的には、まだ遵法意識が薄く、特に労働者側からは不当な労働慣行の是正を求めにくい環境にあります。加えて、関係帳票を実際に検分してみなければ、法違反の有無を確認することは難しく、働き方改革を進める都の立場としては、専門家の投入は必然の選択と考えます。
現状の成果と今後の拡大について都の見解を求めます。
○多羅尾総務局長 労働法規の遵守等、指定管理施設で働く職員の適正な労働環境を確保することは、都民に安全で良質なサービスを提供するために重要であると認識しております。
これまで都は、各施設の設置条例において、労働基準法等関係法令の遵守を義務づけてきましたが、現場実態をより詳細に把握するなどの観点から、今年度、指定管理者の中から三事業者を抽出し、専門的な知見を有する社会保険労務士を活用した調査を試行いたしました。
来年度は、引き続き調査結果の検証を行うとともに、さまざまな種別の施設における労働環境の実態を把握するため、対象事業者を拡大し、試行を継続してまいります。これらの調査の結果を踏まえ、今後とも、指定管理者制度における労働環境を適正に確保するため、必要な取り組みを行ってまいります。
○中山(信)委員 先ほど私がようやくと申し上げましたのは、他の先進自治体に比べると、少々、都の取り組みの開始が遅くなっている点があるからであります。
既に労働条件審査を実施している先ほどの三団体は、問題がありそうだから実施しているのではなくて、むしろ積極的に総務局側の呼びかけに呼応してくれた企業、団体です。
私は、少なくとも都の監理団体や報告団体であるならば、漏れなく、進んで労働条件審査を受け入れる姿勢を示すべきだと考えております。総務局の担当者だけではなく、都庁全体が力を出し合って、毅然たる態度で今後の拡大に臨んでいただきたいと思います。
次に、働き方改革を活用した福祉人材の確保策について質問します。
私の知人に、働き方改革が話題になる前から、社会保険労務士と顧問契約を結んで、労働法規を遵守し、時間外手当も確実に支給している通所介護の経営者がいます。
損益計算書を公開して労使で話し合い、支給可能な時間外手当の範囲内で総労働時間がおさまるよう、力を合わせ業務効率のアップに挑戦しております。働き手の確保が課題の介護業界にあって、求人難に陥ったことは一度もないということでありました。
一方で、都内では、円満に退職したはずの社員から、後日、高額の未払いの時間外手当を求められるといった事例も出てきております。そうしたリスクを未然に回避する効果も含めて、労務管理の適正化を通して魅力ある職場をつくり、人手不足の解消に取り組む介護などの福祉職場を支援すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○梶原福祉保健局長 都は現在、介護、保育、障害分野の小規模な事業者に対しまして、組織や労務管理に関する知見を有するコーディネーターを派遣し、就業規則などの規程整備やキャリアアップのための育成計画の策定、働きやすい職場環境に向けた改善等を支援しております。
また、介護保険の指定居宅サービス事業所等の新規指定や更新の際には、事業者に対し、東京労働局の協力を得て、労働関係法令に関する研修を実施しております。
来年度は、障害福祉サービス等事業者に対しまして、職場の安全管理や環境改善などの労務管理、人材育成計画の作成や業務の効率化等を内容とする講義や演習による実践的な研修を新たに実施するなど、人材対策に取り組む事業者を支援してまいります。
○中山(信)委員 ぜひ都として力を入れ、国に先駆けて業界の体質改善をリードしていただきたいと思います。
一方で、労務管理の点でもすぐれた人材がこぞって集まるような魅力ある職場とするためには、環境変化を先取りした経営感覚が重要です。例えば、通所介護でございますけれども、比較的に利益率が高いことから、連続して減額の報酬改定となっています。そうした中、当初から法改正の趨勢を読み取って、利用定員の上限である十九人まで受け入れ可能な賃貸物件にいち早く転居して、報酬減額を乗り越えている事業者もいます。その一方で、転居を思いつかないまま損益分岐点を割り込んでしまい、今では経営体力を失い、もはや引っ越しもままならなくなっている事業者もいます。また、上限まで利用者を受け入れたとしても、曜日ごとの利用者数の平準化に成功している事業者と、そうでない事業者とでは、利益率は大きく差が広がっています。
一般の企業とは異なり、平成十二年の介護保険法の施行に伴って、業界が一斉にスタートしておりますので、これまで先行的に経営ノウハウを蓄積してきた専門家というのは、福祉の分野では少ない、そういう事実があります。
そうした中、介護の世界でも、大手事業者による吸収合併や買収を専門的に行うMアンドA事業者の動きが始まっています。ただ、そうした流れに任せておいてしまうと、利用者や働き手などへの配慮が後回しになってしまうおそれがあります。何より、介護などの福祉職場に希望を持って飛び込んで、将来は独立を目指して頑張っている若者の夢を奪うことにもなりかねません。
介護などの福祉職場での本格的な経営支援は、どの道府県でもまだ行っていない試みであります。都が率先して道を開くべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 人、物、金といった経営的な視点を持ち事業運営に取り組むことは、この三要素が重要でございます。介護サービス事業者にとっても同じことでございます。
一方で、事業者の収入の中心となる介護報酬などは公定価格で定められている、よって、規模の小さい事業者にとりましては、経営の効率化を図る余地が少ないということがいえると思います。
都におきましては、専門的かつ客観的な立場から、事業者の経営、そして組織のマネジメントの力を評価する福祉サービス第三者評価制度を活用いたしまして、事業運営の改善に取り組む事業者を支援しております。
来年度につきましては、小規模な事業者の多い訪問介護事業所などに対しましてコンサルタントを派遣いたします。そして組織、人材、労務環境の問題解決を支援いたしてまいります。
また、経営の効率化に向けまして介護事業者の協同化、一緒にやることですね、これを進める区市町村を支援するといったような形で福祉職場の経営改善を後押ししてまいります。
○中山(信)委員 力強い答弁であったと思います。ぜひ優秀な都庁の職員の方々の英知を結集して、この点でも、小池知事の時代に先鞭をつけ、突破口を切り開いていただきたいと思います。
先ほど第三者評価という話がございましたけれども、こうした方々の中にはいろんな経営の実態をご存じである方々もいらっしゃいますので、そうした方々のノウハウというものもぜひご活用いただくのも一つの方法かと思います。ご提案させていただきます。
働き方改革に関連して、満員電車の混雑緩和について質問いたします。
時差ビズなども大事でありますが、やはり鉄道事業者による混雑緩和が一番大切であります。小池知事のもと、都民の期待が一層高まっておりまして、都交通局として即効性のある対策が必要であります。来年度の都営地下鉄の具体的な取り組みを伺います。
○山手交通局長 都営地下鉄では、混雑緩和と利便性の向上を図るため、適宜、ダイヤ改正や車両の増備を実施してきております。
新宿線では、車両更新等に合わせ、一編成当たりの車両数を順次八両から十両にふやしておりまして、現在、全二十八編成のうち、およそ七割の二十編成を十両化してございます。
また、大江戸線では、臨海地域等の開発による需要の増加に対応するため、平成三十年度に三編成を増備いたします。
さらに、三田線につきましても、相互直通運転を行っている東急目黒線を含め沿線地域の開発が進み、お客様の増加が見込まれますことから、一編成当たりの車両数を今般六両から八両に増強することといたしまして、そのために必要な駅施設の改修等に平成三十年度から着手をいたします。
今後とも、引き続き都営地下鉄や相互直通各線の需要動向も踏まえまして、混雑対策に取り組んでまいります。
○中山(信)委員 沿線都民の喜びと期待は大きいものと思います。ぜひ、私の地元足立区、荒川区を通る日暮里・舎人ライナーも、一八〇%を超える混雑率でございますので、改善、また混雑で乗れない高齢者のための都バスの継続も含めてよろしくお願いしたいと思います。
次に、教育について質問します。
初めに、私立高校への特別奨学金についてであります。
我が党の要請に応え小池知事が決断し、今年度から実現した私立高校への特別奨学金は、それだけでも画期的でありますけれども、さらに要望に応え、実施わずか二年目にして都認可の通信制高校や、学校が指定する他県の寮に移り住む場合も対象に加えたことを高く評価するものであります。
また、保護者から寄せられている通信制高校の対象をなぜ都認可校に限定するのかの理由につきましても、先日の我が党の橘政調会長への答弁の中で明らかになりました。現状として整合性のある、やむを得ない判断として理解いたします。
そもそも通信制高校におきましては、一部に、日中、サポート校に通いながら学籍上は別の通信制高校で卒業資格を得るといった実態もあり、学費の二重払い的状況が保護者の負担になっています。また、卒業単位の取得に必要なスクーリングで、およそ学習とはほど遠い内容の実態を問題視する声もあり、同じく課題となっています。
足立区内には、発達障害児を受け入れて、心理学の教育課程の中で実習を展開している大学があり、通信制高校も併設しておりますが、残念なことに都認可校ではありません。
国が、通信制高校の課題を整理して、これに決着をつけ、高校の側から都の調査や指導を受け入れていくという方針を明らかにするのであれば、都の認可校ではなくても、特別奨学金の適用範囲に加えてよいのではと考えます。
全日制の高校に通えない家庭ごとの状況に寄り添った救いの道として、これからも良質な通信制を選択する保護者や生徒のニーズは決して少なくありません。一層の適用拡大を望む声は切実であります。見解を求めます。
○塩見生活文化局長 特別奨学金は、授業料負担を軽減する助成制度であり、通信制高校の特徴である生徒ごとに異なる授業料を正確に把握するためには、各学校の協力や必要に応じた会計処理の状況確認などが求められるところでございます。
一方、複数の都道府県にまたがる広域通信制高校の一部では、就学支援金の不正請求や不適切な教育指導を行うなどの事例がございました。
このため、今お話にもありましたように、国におきまして、現在、サポート校の取り扱い等も含む学校の管理運営や教育指導のあり方、認可を行っている都道府県相互の緊密な連携協力、指導監督体制などについて、点検調査や制度の見直しなどについて取り組んでいるところでございます。
こうしたことから、まずはこの国の動向をしっかりと注視し、その上で都としての対応を検討してまいります。
○中山(信)委員 国の動向を注視した上で検討していく旨の答弁でありました。理にかなった答弁であると同時に、これがまた画期的な答弁だと思います。
さまざま課題はあると思いますけれども、都認可校ではない通信制高校に通う生徒も、都内在住の高校生であることに変わりはありません。今後、しっかりと対応を進めていただくことを要望しておきます。
先ほどちょっと私、防災関係で質問を飛ばしましたので、ここで、述べさせていただきたいと思います。大規模長屋のことでございます。
大規模長屋というのは、(パネルを示す)このように狭隘な道に集合住宅が建てられておりまして、防災上課題があります。自治体からは何とか対策を講じてほしいという、東京都に対する要望もございました。
私も石井国土交通大臣に申し入れを行いまして、そして都も含めた検討会がスタートいたしております。都議会の本会議でも取り上げさせていただいて、都技監からは前向きな答弁をいただいたところもございます。
いよいよ関係自治体も自分たちでできることはしっかりやろうと頑張っておりますけれども、都の取り組みの強化を求めておりますので、ご答弁いただきたいと思います。
○邊見東京都技監 大規模長屋に関しては、近年、一部の区で再び紛争が起きていたことから、都は、区や市の建築主管部課長会に対して、規制のあり方について見解の取りまとめを依頼していたところ、今般、その報告がございました。
報告では、建物規模に応じた通路の幅の制限や、住戸の主要な出入り口からの通路長さなどについて見直しを行うことが適切であるとし、これらの規制の実効性を確保するため、都による統一的な規制を求めてございます。
都は、この報告も踏まえ、建物の安全性の確保や居住者の避難などの観点から、東京都建築安全条例の改正が必要と考えており、見直しに向けて対応してまいります。
○中山(信)委員 条例の対応を図るということで、前向きな答弁であったと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
教育に戻らせていただいて、続いて、いじめ対策を取り上げたいと思います。
いじめ対策につきましては、どの学校でも起こり得るという前提で、いじめを許さない意識醸成を図りながら、その根絶に向けて、子供たちの間でいじめをなくすための方法などを意見交換して、精神面での発達を図るよい機会と捉えていくべきと考えます。
例えば、足立区の区立辰沼小学校は、一昨年一月ですけれども、全国いじめ問題子供サミットに都代表として参加をして、児童会が、校内パトロールを行ったりしている活動を紹介しました。
また、福生市では、ことし一月、児童生徒が主体となった学習発表の場で、いじめ防止のサミットを開きまして、宣言も採択し、子供たちが自分たちでできるいじめ防止のアイデア発表会を行いました。
私は、縁あってその発表に立った市立第二小学校の山下雅斗君とそのお母さんからお話を伺うことができました。皆さんで、いじめ防止ソングの替え歌をつくって歌い合ったり、ゆるキャラをつくったり、さまざまな取り組みをして展開しているそうであります。
注目すべきことは、そうした取り組みを通して、雅斗君もお母さんもいじめが減ったと実感しており、保護者の間でもそうした認識が広まっていることであります。
現在の学校長のレスポンスが大変よく、学校を挙げて迅速に対応してくれるので、風通しがよくなったと感じているそうであります。さほど経費を要しないでも、いじめ防止の効果もあり、児童生徒の健全な育成に役立つ取り組みであります。都としても、全都でこうした取り組みが広がるよう支援すべきと考えますが、見解を求めます。
○中井教育長 いじめ防止対策の推進に当たっては、学校が、子供にいじめは絶対に許されないことを指導するとともに、委員お話しのとおり、いじめ問題の解決に向けて、子供自身が主体的に行動しようとする意識や態度を育成することが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、上級生と下級生が話し合って、いじめ防止に向けた目標を決める取り組みや、生徒会がいじめをなくすためのポスターを作成し、全校生徒に呼びかける取り組みなど、学校のすぐれた実践事例を収集してまいりました。
今後、都教育委員会が設置した有識者会議であるいじめ問題対策委員会において、こうした実践の成果と課題を報告書にまとめ、校長や生活指導主任対象の連絡会で周知するなど、いじめ防止に向けた子供の主体的な取り組みが都内全ての公立学校で行われるよう、区市町村教育委員会とも連携して指導助言を強化してまいります。
○中山(信)委員 本当に子供らしいアイデアばかりなんですけれども、これが効果を上げているんですね。福生市の小学校の例でもわかりますとおり、学校長などの率先の応援の姿、これがとても大事でありますので、その点の周知もあわせてよろしくお願いしたいと思います。
次に、カウンセラーやソーシャルワーカー等の専門人材の活用について質問します。
カウンセラーは心理の専門職であり、ソーシャルワーカーは児童生徒本人やその家庭が抱える問題の解決に役立つ社会資源の活用にたけています。専門人材の活用は、児童生徒の健全な発育を導く上で効果的であるほか、教員の働き方改革を進めていく上でも大変効果的であります。その上で、今後の大きな課題は、優秀な若手人材を継続的に確保できるかという点にあります。そこで三点提案したいと思います。
まず、学校現場で孤独になりがちなカウンセラーやソーシャルワーカーの味方になってくれる存在や機能の確立であります。
専門人材は、たった一人で職員室の中に飛び込んでいきます。そのプレッシャーは尋常ではありません。しかし、そうしたプレッシャーに打ち勝ち専門的知見を生かした活動を粘り強く展開できなければ、問題解決は進みません。
そこで、専門人材側の研修も大事でありますけれども、迎え入れる学校側の意識醸成、場合によってはその改善も必要と考えます。また、教員と意見が対立したり、もめごとになったような場合には、仲介に立つ公平、中立な調整機能がないと安心して力を発揮できません。若手人材の確保も困難になってしまいます。都教育委員会の見解を求めます。
○中井教育長 都教育委員会はこれまで、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等が学校で円滑に職務を遂行できるよう、校長やこれらの専門人材を対象にした連絡会において、効果的な連携のあり方について具体的な事例や資料等を活用し、周知を図っております。
また、都教育委員会の担当者が、職場の状況の改善に向けた調整を行うため、校長や専門人材からの相談に応じ、学校や区市町村教育委員会を訪問するなどして、情報収集や問題解決に向けた助言等を行っております。
来年度は、校長を対象に専門人材の活用促進に向けた協議会を新たに開催し、大学等で心理職等の育成を担当している講師を交え、教員と専門人材の連携の促進に向けた方策について協議するなど、子供への支援の充実が図られるよう取り組みを強化してまいります。
○中山(信)委員 新たな協議会の設置、大変前向きな答弁であると思います。カウンセラーやソーシャルワーカーの味方になってくれる存在の確立、機能の充実につながることを希望しております。
二点目は、常勤化並びに上級職の設定であります。
上級職の設置は、教員側との間である程度対等に物を申せるポジショニングとして必要であります。加えて、人材育成の上でも欠かせません。
現在の人材育成は、草分け的にカウンセラーやソーシャルワーカーの業界で活躍してきた方々のボランティア的な活動に依存しており、先行きの不安を抱えております。
一方、上級職を設定する場合には正規化が前提となりますけれども、一年ごとの契約更新を望む専門人材の方もいらっしゃいます。
そこで、優秀な若手人材が、今後も一年契約の非常勤職を更新していく中で、安定した勤務評価を得られている場合は、希望に応じて正規職に移行して退職金などの対象となるほか、上級職への挑戦も可能となるといった選択制を、今後、実現していくべきと考えますが、見解を求めます。
○中井教育長 都教育委員会は、平成三十年度に、生徒の多様かつ複雑な課題に迅速に対応するため、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持ち、現場での豊富な実務経験を有する者を、新たに上級職の主任ユースソーシャルワーカーとして四名配置してまいります。
また、お尋ねのスクールカウンセラー等の常勤化につきましては、国が学校教育法等において、正規の職員として規定し、いわゆる標準法において教職員定数として算定されることが望ましいと考えております。
このため、都としても常勤化の必要性を整理した上で、必要な法整備について、新たに国に要望を行ってまいります。
○中山(信)委員 国に要望していくということでありまして、大変前向きな対応と評価しております。課題はありますけれども、乗り越え、推進をお願いしたいと思います。
三点目は苦情対応への活用です。
保護者などが学校に寄せる相談、要望、意見の中には、専門的な知見やノウハウ、高度な対応を必要としたり、時間を要したりする案件も少なくありません。保護者対応は、部活動以上に教員の働き方改革において早期の改善を要する課題だと指摘する声は多く、私の耳にも届いております。
保護者対応のかなめは何といっても担任です。しかしながら、担任にはベテランもいれば若手の方もいらっしゃいます。能力も違えば経験も違います。特に、初期対応において教員側の配慮が足りず、互いの意に反してこじれてしまうケースが間々見受けられ、私のもとにもたびたび相談が寄せられています。
そこで、このような保護者対応においては、カウンセラーの心理にかかわる専門性やソーシャルワーカーの社会資源にかかわる知見を相談対応の初期の段階から活用するべきと考えますが、教育委員会の見解を求めます。
○中井教育長 学校が保護者の願いを共感的に受けとめ、課題解決に向けた取り組みを適切に行うためには、教員が誠意を持って保護者に対応することのみならず、初期段階からスクールカウンセラー等の専門性を活用することが有効でございます。
そのため、各学校では、保護者が担任の指導に不満を持った場合などに、校長の指示のもと、スクールカウンセラーが保護者と面談した上で、担任に子供の心理に寄り添う指導のあり方を助言したり、スクールソーシャルワーカーが家庭への訪問を通して得られた情報を、福祉等の関係機関と共有したりして課題解決に取り組んでおります。
今後、都教育委員会は、学校における保護者対応の一層の充実を図るため、校長や専門人材対象の各連絡会で、教員と保護者との関係が専門人材の協力により改善した事例を周知することなどを通し、早期からの効果的な活用を促す取り組みを積極的に推進してまいります。
○中山(信)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
続いて、子育て支援について一問質問させていただきます。
都営住宅を活用した子育て支援策の推進でございますけれども、昨年、私はこの問題を取り上げて改善を求めさせていただいて、入居要件の緩和等は既に実現していただきました。また、年四回の定期募集以外に、子育て家庭向けの毎月五十戸ずつの募集というものも新たにこの一月からスタートしていただいております。迅速な対応を評価いたします。
その上で、一点残念なことがあります。それは、定期募集と違って、申込書等が区市町村の窓口で配布されていないということであります。ぜひ効果的に募集内容を広く周知できる方法を早急に検討し、実施していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。見解を求めます。
○邊見東京都技監 都営住宅の年四回の定期募集は、募集戸数が一回当たり約二千戸であるのに対して、毎月募集では戸数が約五十戸と少ないことから、東京都住宅供給公社のホームページに募集情報を掲載することで、お話のように本年一月から制度をスタートしたものでございます。
今後、お話のように、毎月募集を広くPRするために次回の定期募集に合わせて五月の募集から、広報用チラシを都、区市町村及び公社の窓口に備えつけてまいります。加えて、チラシにはQRコードをつけて、スマートフォン等で募集案内のホームページに直接アクセスできるようにいたします。
こうした取り組みを通じて、より多くの子育て世帯に毎月募集を周知してまいります。
○中山(信)委員 最後に、中小企業支援について質問させていただきます。
設備投資に関する税制面からの支援でございますけれども、平成三十年度税制改正では、一定の設備投資に関して償却資産に関する固定資産税を三年度分減額する方向が出されております。ただ、その割合を自治体で決めることになっておりまして、負担割合ゼロを選択すればいろんな優遇措置が使えます。
二十三区については東京都が所管いたしますが、その負担割合をゼロにすべき条例改正をしてでも対応すべきと思いますが、主税局に見解を求めます。
○目黒主税局長 平成三十年度税制改正では、先端設備等の導入促進基本計画を策定した区市町村において、中小企業が取得する一定の機械、装置等に係る固定資産税をゼロから二分の一の範囲内で市町村が定める割合に軽減する制度が創設されました。
今後、東京の産業の活力を高めていくには、中小企業における先端設備等への投資を促すことで、生産性向上を後押しすることが重要でございます。
このため、都は、各区における計画策定の意向等も踏まえ、中小企業の生産性向上のための設備投資を最大限促す観点から、現在、国において審議をされております地方税法改正案の成立後に、固定資産税の税負担をゼロとする条例改正を提案してまいります。
○のがみ副委員長 中山信行委員の発言は終わりました。(拍手)
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