予算特別委員会速記録第五号

○両角委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百二十号議案を一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十五日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありましたので、ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 木村基成副委員長の発言を許します。

○木村委員 都民ファーストの会東京都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 予算は、政策を具体的に示すものであります。平成三十年度予算は、小池知事の掲げる三つのシティー、すなわちダイバーシティー東京、スマートシティー東京、セーフシティー東京の形成を柱として組み立てられております。
 そこでまず、これらについて質問をいたします。
 既に質疑が重ねられ、これまで行われた質疑と重複する質問もあるかと思いますが、締めくくりとして、整理も兼ねて質問をいたします。
 まず、ダイバーシティー東京について質問をいたします。
 私たちは、東京二〇二〇大会を契機に東京が変わる、このことが大切だと考えています。オリンピック・パラリンピックは、兆という単位の都民の税金をつぎ込んで行う国際スポーツ大会です。この金額を都市交通の整備につぎ込めば、新空港線や有楽町線豊洲-住吉間、多摩都市モノレールの二路線などのために積み立てを予定している東京都鉄道新線建設等準備基金は、十分賄うことができるほどの額であります。このように巨額の都民の税金を投入するのですから、まずは東京二〇二〇大会の成功に向けて最大限の努力を行っていかなければなりません。
 知事は、三月十八日に行われた平昌パラリンピックの閉会式に出席されました。私は、この閉会式のセレモニーはすばらしいものであったと思います。しかし、パラリンピックのホストシティーである平昌郡は何をしたのか、ホストシティーの首長はどこにいたのか、大いに疑問を持つことになりました。
 国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長の閉会式挨拶でも、韓国大統領に対する感謝の言葉があり、大統領を映し出す映像も流れましたが、平昌郡の首長の名を上げての感謝の言葉や映像はありませんでした。
 都内の大学や商店街を初めとして、都民は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを素直に応援したいと思っております。しかし、都民の願いは著作権の壁に阻まれております。これでは、東京二〇二〇大会の機運を盛り上げようとしても、ブレーキを踏みながらアクセルを吹かしているようなものであります。
 知事は、組織委員会と東京都との責任と分担関係を都民に明確に説明した上で、都民の願いが実現できるよう、組織委員会やIOCとの交渉をさらに進めていただくことをお願いしておきます。
 そこで、知事の平昌二〇一八パラリンピック競技大会の視察の成果についてお伺いします。

○小池知事 お答えをいたします。
 ご指摘のように、平昌大会、パラリンピックの視察に行ってまいりました。限られた時間で駆け足ではございましたけれども、IPCのパーソンズ会長とも面会をいたしました。また、東京パラリンピックに向けた意見交換を行うことがその場でできたわけでございます。
 さらに、選手村、輸送、閉会式など、平昌大会の運営状況をつぶさに視察をしてまいりました。視察先では、さまざまな工夫がされている様子を確認してまいりました。と同時に、関係者の苦労も伺いながら、大会の成功に向けたヒントを得ることができたと存じます。
 例えば、選手村でございますが、スロープが随所に設置をされておりました。また、ダイニング、選手村の食堂でございますが、そちらでは、パラリンピック用に車椅子対応としてカウンターが少し低目に設置をされるなど、車椅子の方でも過ごしやすい環境が整備されていたわけでございます。一方で、一部にきつい傾斜や段差が残っているといった状況も見受けられたところでございます。
 輸送につきましては、車両基地にバス、そして乗用車の駐車スペースに加えて、車両の運営管理施設などが配置されておりまして、効率よく運営をされておりました。
 冬の大会、そして夏の大会では、規模、また季節は違うわけでございますけれども、なすべきことは同じだと思っております。参考にしていきたいと考えております。
 また、印象深かったのは、ボランティアの皆さんであります。ボランティアの皆さんは、やりがいや誇りを持って取り組まれておられ、とても満足そうだったということが印象深いところでございます。
 そして、この大会を支えるボランティアの役割というのはさまざまですけれども、それぞれが意気込みを持って、また、得意分野を生かして力を発揮できるように、東京大会ではしてまいりたいと思っております。
 また、まち並みを見て感じたことでございます。例えば、標識がハングルのみの場合が多い。それによって、なかなか自分がどこにいるのかわかりにくいということは、工夫の余地があるなと思ったところでございます。
 そこで、東京二〇二〇大会では、海外から訪れた方々の円滑な移動をサポートするという意味で、日本語だけでなくて、わかりやすい標識、サイネージの整備に加えて、ICTなども使って工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。
 最後に、参加いたしました閉会式でございますけれども、韓国の伝統と最先端の技術がうまく融合して、すばらしい演出だったと思います。選手と観客が一体となって非常に盛り上がった閉会式でございました。
 それぞれが東京二〇二〇大会にとって貴重な教訓となります。今回肌で感じたことをしっかりと受けとめながら、さまざまな工夫を重ねることによって、選手の皆さんが安心して競技に集中できる環境づくり、そして、世界中から訪れる多くの方々に最高のおもてなしができるよう、また、これからは国内におきましても機運醸成にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

○木村委員 ありがとうございます。オリンピック憲章は、オリンピック競技大会を開催する栄誉は、オリンピック競技大会の開催都市に指定された都市に対し、IOCによって託されるとされています。東京二〇二〇大会は、東京都が責任を持って開催するというオリンピック憲章の趣旨を貫徹されるよう、引き続きお願い申し上げます。
 まず、オリンピックで東京が国際基準を満たす都市に変わる、これをテーマに質問いたします。
 東京が多額の都民の税金を投入してオリンピック・パラリンピックを開催する意義は何でしょうか。都民にとってのオリンピック・パラリンピックとは何か、改めて考えてみれば、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、東京二〇二〇大会の過程で、東京がどう変わるのか、また、大会後に何を残すのか、これが極めて大切なことであると考えます。
 オリンピック・パラリンピックで東京が変わる。その第一は、東京を国際的なスタンダードを満たす国際都市へと変化させることだと考えます。
 二〇一四年のソチ・オリンピックの開会式では、ロシアの同性愛者に対する差別に抗議し、アメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領、イギリスのキャメロン首相らが参加しませんでした。
 本定例会で都民ファーストの会東京都議団の増子幹事長の代表質問への答弁で、ヘイトスピーチやLGBTを含むオリンピック憲章条例を、来年のラグビーワールドカップ前の施行を目指して、ことし後半の定例会に提出するとの答弁がございました。
 今、東京には、平成三十年一月一日現在で約五十二万人の外国人がいます。同時点での人口は約一千三百七十五万人ですから、人口の三・八%、二十六人に一人が外国人ということになります。また、LGBTについての公的な統計はありませんが、その割合は六%から七%であると民間の調査結果が出てございます。
 LGBTに関する法制上のバリアの除去については、わずかにトランスジェンダーについて、平成十五年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が成立し、民法や戸籍法などの法律上の扱いにおいて、性別について他の性に変わったものとみなす旨の特例が認められているにとどまっている状態であります。
 私たちは、これらの方々が感じておられる社会的な障壁、バリアをなくして、ダイバーシティー東京を実現していく上で、オリンピック憲章を実効性ある条例にしていただきたいと考えております。会派としても、有識者や当事者の方々からもご意見をお聞きし、東京都の条例案づくりに反映していただくべく提言をしてまいる予定であります。
 オリンピック憲章条例は、理念にとどまることなく、実効ある条例としていただきたいと考えますが、都の見解を求めます。

○多羅尾総務局長 東京二〇二〇大会を成功させるためには、東京が多様性が尊重される国際都市であることを世界に示す必要がございます。このため、オリンピック憲章に定める人権尊重の理念を都民に広める条例の制定に向け、調査検討に着手しており、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催も見据え、ことしの後半での条例案提出を目指しております。
 検討に当たっては、ダイバーシティー東京の実現に資する条例とするために、有識者などから幅広く意見を伺うとともに、他自治体の具体的取り組みの情報収集や、都民の方々からパブリックコメントを予定しております。
 今後、スピード感を持ちつつも、丁寧に検討を進めてまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 オリンピック・パラリンピックの開催都市としてのもう一つの課題は、たばこのないオリンピックの実現であります。繰り返し述べていることでございますが、WHOのたばこ規制枠組み条約の趣旨は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させることであります。
 IOCとWHOの合意も、受動喫煙だけではなく、たばこのないオリンピックであり、たばこのないパラリンピックの実現です。すなわち受動喫煙だけでなく、能動喫煙も減らしていくことがまず目的として置かれなければなりません。
 たばこの能動喫煙は、喫煙者の自由意思であり、それによる肺がんなどの発症は自己責任であるという見解が日本では行き渡っております。現在の日本の法律体系では、みずからを傷つける行為は自己責任であり、罰せられないことになっておりますが、自己責任の前提としては、たばこ会社みずからがたばこの害に関する情報を喫煙者に積極的に告知すべきであると考えます。
 また、たばこの喫煙習慣は治療を受ければ改善できます。病気にならないように都民の健康を増進させることは、行政の基本的な責務であります。
 都においては、東京都健康推進プラン21や、東京都がん対策推進計画において、健康寿命の延伸や、がんによる死亡者の減少のため、喫煙率の減少と受動喫煙の防止を目標に掲げていること、また、たばこの健康影響に関するリーフレットや、禁煙ステッカーの作成などに取り組む区市町村を支援していることも伺いました。
 WHOは、たばこ規制条約によるたばこ対策の進捗状況を二〇〇八年からWHOレポートを発刊して報告しており、最近の二〇一五年の報告では、たばこ規制条約による、たばこ規制の中でも鍵となる六つの政策、それぞれの政策の頭文字をとって、MPOWERと呼ばれている政策について、各国の進捗状況を評価しております。
 平成二十八年の厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会報告書では、現在、日本ではモニタリングを除くMPOWER施策のうち、最高レベルの達成度に到達している施策は一つもなく、受動喫煙防止対策、脱たばこメディアキャンペーン、たばこの広告、販売などの禁止の項目において、最低レベルだと判定されていると述べてあります。
 たばこ政策を評価するための指標については、MPOWERを踏まえて、ヨーロッパ各国で開発されたたばこコントロールスケールがあり、各たばこ政策に合計百点の点数をつけて評価します。インパクトが大きい順位、たばこの値上げ、増税の価格対策が三十点、職場や公共場所の禁煙が二十二点、政府の禁煙情報キャンペーンが十五点、たばこの広告などの禁止が十三点、たばこの箱の警告表示や禁煙支援が十点、禁煙治療が十点となっております。この調査から見ても、屋内禁煙化の重要性というものがうかがえるわけであります。
 この物差しで評価される日本の対策は、二〇〇七年の厚生労働省の研究班の結果によれば、百点満点中二十七点でとても低いものとなっています。
 また、受動喫煙については、これまでオリンピックが開催された都市でも、その法制化が課題となり、受動喫煙の罰則つきの法制度が整えられてきました。厚生労働省によれば、少なくとも二〇〇八年以降、日本を除くオリンピック開催地及び開催予定地が罰則を伴う受動喫煙防止策を講じている、受動喫煙防止対策は分煙でなく屋内禁煙とするのが主流などと説明されております。
 今、国会に提出されている受動喫煙法案によって、オリンピック開催都市として世界水準の受動喫煙防止対策となっているかの評価は、慎重に行わなければなりませんし、今後の国会審議の動向を見守っていかなければなりませんが、これまでの審議を見守る限り、ロシアやブラジル、中国よりも緩やかな規制となっているように思われるわけであります。
 都は、国の法改正の動向を踏まえ、今定例会には受動喫煙防止条例案の提出を見送ったわけでありますが、その中でも我が会派は、今定例会で受動喫煙防止に関するさまざまな質疑を交わしてまいりました。
 そこで、これまでの議論を総括して、受動喫煙防止条例に向けた今後の進め方について改めて伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、昨年三月に国が示した考え方を前提といたしまして、九月に東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方を取りまとめ、パブリックコメントを実施するなど、条例案の検討を進めてまいりました。
 しかし、本年一月に示された国の考え方では、規制対象など根幹にかかわる部分が大きく変更され、詳細は法律や政省令に委ねられたため、現在改めて検討を行っているところでございます。
 今月、国会に提出をされました健康増進法の一部改正案では、勧告、命令等の業務は、都道府県知事や保健所設置の市長、区長が行うこととなっておりますことから、都としては、法律との整合性を図るとともに、区市町村と連携協力しながら、実効性のある条例案の策定に向け検討を行ってまいります。

○木村委員 ありがとうございました。今後提出される受動喫煙防止条例案は、東京の実情に合った実効性のあるものでなければならないと申し上げておきます。
 次に、パラリンピックで東京がユニバーサルデザインの都市に変わるというテーマで質問をいたします。
 一九六四年のオリンピック・パラリンピックは、日本が戦後復興をなし遂げ、高度経済成長への軌道に乗るものでした。東京に首都高速道路が開通し、新幹線も営業を開始しました。東京も日本も大きく変わりました。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックでは、我が会派は、特にパラリンピックで東京が変わる、そのことを都民に実感していただきたいと思っております。
 東京は、平成二十九年四月現在で世帯数は約六百八十五万世帯、人口は一千三百六十八万人となっており、このうち身体障害者手帳交付者は四十八万二千九百九人、知的障害者、愛の手帳交付者は八万五千八百五十一人、精神障害者保健福祉手帳交付者は十万一千三百六十一人で、合計六十七万百二十一人、人口の四・九%になります。六十五歳以上の介護保険第一号被保険者数は約三百七万人で、人口の二二・四%となっています。
 障害者や高齢者は少数派、マイノリティーでありますが、人口一人当たりにすると、障害者手帳を持っておられる方は二十・五人に一人、六十五歳以上の方は四・五人に一人で、多数派ではありませんが、決して少数派ではありません。
 これらの人々が、差別を受けることなく個性を発揮できるようにすることがダイバーシティー東京だと考えております。
 我が会派の龍円議員が一般質問で述べたように、障害者対策は、障害者と健常者を区別して、障害者を障害があるがゆえに能力のない人、かわいそうな存在と決めつけて、彼らを助けてあげるというものではありません。
 介護や福祉の世界では当然のこととなっているノーマライゼーションは、障害や社会的マイノリティーの方々が、一般市民と同様の普通の生活、権利などが保障されるように環境整備を目指す理念です。
 これも、障害を抱えている人たちの訓練をして、できるだけ普通の生活ができるように支援するという自立支援のことではありません。既に二十年も前の平成七年版障害者白書では、道路や交通機関、その他都市構造が持つ物理的なバリア、資格制度や公営住宅入居等における制度的バリア、情報を入手する場面での文化、情報面でのバリア、無知と無関心による偏見と差別の障害者観や哀れみ、同情の障害者観からの意識上のバリアの四つのバリアを指摘しています。
 特に意識上のバリアは、障害のある人が社会参加しようとしたときの最も大きな問題であり、障害を庇護すべき存在と考え、優越的な立場から不幸な障害者のために何かをしてあげようとする姿勢、障害者が人間として当たり前の要求、権利を主張する際の障害者のくせにという態度や、犯罪を精神障害者と短絡的に結びつける発想、地域の中に障害者施設を建設しようとすると起きる反対運動などを例示として挙げています。
 誰でも年をとります。既に東京都の人口の四・五人に一人は六十五歳以上です。年をとれば身体機能は衰えてまいります。そうすると、これまでは十分であった都市機能、例えば歩道橋や広過ぎる踏切などが障害、バリアとなってきます。
 障害者と健常者は、決して二つに分けられるものではなく、連続的なものであり、それぞれが社会に求めるニーズが異なっていると考えるべきです。
 私たちは、これまで社会がつくってきた都市構造、制度などの鋳型に、多様なニーズを持つ人々を押し込めるレディーメードのまちや制度ではなく、人を中心に考えてその人に合ったオーダーメードのまちや制度をつくっていくことが、ダイバーシティー東京であると思っております。
 アメリカでも、かつては、障害者についてディスアビリティー等の言葉は使われていましたが、最近ではスペシャルニーズという言葉が使われています。
 これは、健常者が高齢になり、車椅子に乗ることになった場合に一定の支援が必要になることと障害者に一定の支援が必要なことを同列に捉えるとともに、それを個性として認識しているからであります。
 このスペシャルニーズという用語は、主に教育現場の用語であるかもしれませんが、一人の人間を行政の所管で切り分けることはできません。
 政策は人を中心にして考えていくものであり、これが最も大切だと思います。
 現在、東京都では障害者差別解消条例案の検討が進んでおり、我が会派の増子幹事長の代表質問の回答で、第二回定例会には条例案を提出する予定であるとの答弁をいただいております。
 そこで、都が検討を進めている障害者差別の解消に向けた条例では、障害者の社会参加を妨げているさまざまなバリアについてどのように位置づけ、バリアをなくしていくためにどのように取り組んでいくのか伺います。

○梶原福祉保健局長 都が検討をしております障害者差別の解消に向けた条例では、障害者が生活する上で受ける制約は、心身の機能障害だけに起因するのではなく、社会におけるさまざまな障壁、バリアがつくり出しているという社会モデルの考え方に立って、障害者への理解を促進し、障害を理由とする差別の解消を図っていく考えでございます。
 また、こうしたさまざまなバリアをなくしていくために、障害者総合支援法等に基づき、新たに策定をいたします障害者・障害児施策推進計画では、共生社会実現に向けた取り組みの推進を施策目標の一つに掲げる考えでございまして、これに基づき、心のバリアフリーの推進や情報バリアフリーの充実、ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりなどの取り組みを進めてまいります。

○木村委員 ほかの地方自治体では、既に障害者差別解消条例が制定されており、また、障害者差別解消条例に加えて、手話言語条例などの個別条例を制定している自治体もございます。
 そこで、障害者差別解消条例を出発点として、この条例では規定し切れない、聴覚障害者や視覚障害者などの意思疎通支援に係るニーズに具体的にどのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は、現在、聴覚障害者や視覚障害者の意思疎通を支援するため、障害福祉計画に基づき、手話通訳者や要約筆記者の育成、点訳や朗読ボランティアの指導者養成などに取り組んでおります。
 来年度は新たに、失語症により意思疎通を図ることに支障がある障害者等が、自立した生活を営むことができるよう、失語症者向けの意思疎通支援者を養成する事業を開始することとしておりまして、今後とも、障害者の意思疎通支援の充実を図ってまいります。

○木村委員 さて、教育の場面では、学校教育法の一部を改正する法律案が平成十八年六月二十一日に公布され、盲学校、ろう学校、養護学校が特別支援学校となりました。
 特別支援学校の目的は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者または病弱者に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることとされています。
 また、特殊学級の名称を特別支援学級に変更することになりました。
 学校教育法の改正法における教育上特別の支援を必要とする児童生徒及び幼児に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服するための教育を行うとスペシャルニーズを有する者のニーズを満たす教育との間には、まだまだ乖離があるように思いますが、一歩前進であったと考えております。
 平成十八年の学校教育法改正から十年ほど経過していますが、特別支援学校へと転換したことによって、児童生徒のスペシャルニーズの充足の観点及びインクルーシブな教育の観点から、教育現場にどのような変化が起きたのか伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、法改正の趣旨を踏まえ、都立特別支援学校において、個に応じた指導、支援の充実や、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流活動の充実等を図ることにより、共生社会の実現に向けて取り組んでまいりました。
 具体的には、児童生徒や保護者の学校生活に関する希望等を踏まえ、医療機関やデイサービスを行う事業所などと連携して作成した個別の教育支援計画に基づき、一人一人のニーズに応じた指導、支援を実施しております。
 さらに、各学校では、副籍制度による交流や学校間交流において、子供たちがともに音楽活動やボッチャ等のスポーツを通じた交流を行ったり、高校生と特別支援学校の児童生徒が共同で舞台発表等を行ったりして交流を深めております。

○木村委員 東京都では、大学などへの進学のために、特別支援学校の高等部での進学指導ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

○中井教育長 都立特別支援学校では、生徒が大学等への進学を希望する場合、教員が生徒一人一人の適性や能力に応じて、志望校の合格に向け、個別の指導等を行っております。
 具体的には、定期考査や校外の模擬試験の結果を踏まえて、生徒が適切に学習計画を立てられるよう助言をするとともに、この計画に基づいた授業の充実に加え、放課後、土曜日、長期休業日に補習等を行っております。
 こうした指導を行うに当たっては、教員が大学への進学実績の高い都立高校の教員の授業を参観し、受験に対応できる指導力の向上を図る取り組みを行っている学校もございます。
 また、生徒が進学先で他の学生とともに学び続けることができるよう、保護者の了解を得た上で、都立特別支援学校と大学の担当者の間で受験前から連絡を取り合い、障害の状況に関する情報などを共有しております。

○木村委員 ありがとうございました。特別支援学校は高等部までしかありませんが、切れ目のない支援をするには、大学における支援体制や社会人となった人への支援体制も必要かと考えます。
 しかし、それは行政の所管の中で空白の領域となっているのではないかと危惧するところです。
 特別支援学校を卒業して、大学などに進学した生徒や就職した生徒へのフォローアップや、大学などや職場への情報提供などによる協力体制をつくっていくことは有効だと考えますが、都の見解を伺います。

○中井教育長 障害のある子供が、将来、自分の力を十分に発揮して生きていくことができるよう、学校は生徒の卒業後にも相談に応じるとともに、進学先の学校や就労先の企業等と、一人一人の障害の特性に関する情報を共有するなどして、切れ目のない支援を実現することが重要でございます。
 そのため、都立特別支援学校では、教員が、大学等に進学した卒業生に対して学生生活への不安の解消に向けた助言を行ったり、大学卒業後の就職に際し障害者雇用を推進している企業の情報を提供したりしております。
 また、就労した卒業生に対しては、教員が職場訪問等を通して適応を促す助言を行うとともに、就労先の企業の要請に応じ支援策を提案するなど、卒業生が生き生きと勤務を続けキャリア形成を図ることができるよう、就労支援機関等との連携による支援を行っております。

○木村委員 先ほど、バリアには四つのバリアがあると申し上げました。物理的、制度、情報、意識での四つのバリアです。
 パラスポーツの物理的バリアは、パラスポーツをする施設が少ないことです。東京都の障害者用スポーツ施設は、北区と国立市の二カ所にあります。都内には、区市町村のスポーツ施設、大学や企業のスポーツ施設など、多くのスポーツ施設があります。しかし、パラスポーツを行える施設は限られています。専用の障害者スポーツ施設だけでなく、一般のスポーツ施設でもパラスポーツができるよう、施策を講じていかなければなりません。
 パラスポーツの制度的バリアは、パラスポーツの支援体制ができていないことです。各スポーツ施設での指導者の数も少なく、アスリートが競技大会に出るための大学や企業の支援も限られています。競技団体も脆弱であります。
 これらの強化が必要であると思うわけですが、パラスポーツの普及には裾野の拡大、例えばパラスポーツをしたり、観戦したりするなどの機会をふやしていく情報ネットワークの構築も必要です。そして、それを家族や友人と楽しむことができるような環境整備も有効であると考えております。
 競技会場をいっぱいにする、観客として来ていただくということは、パラリンピックの開催中の目標であって、パラリンピックを契機に東京を変えるというレガシーの見地からは、四つのバリアをフリーにしていく対策を講じなければなりません。
 オリ・パラ教育の一環として、都も特別支援学校と小中高校の児童生徒とボッチャ交流大会を行い、平成三十年度からゴールボールなど新しい種目を追加すると伺っております。交流会での単発的な取り組みを継続的なスポーツ推進につなげていくためには、特別支援学校における児童生徒の実情を踏まえつつ、体育等の時間でさまざまなスポーツを、時には地域の方々とともに一緒に経験する機会をふやしていくことが重要だと考えます。
 特別支援学校におけるパラスポーツなどの普及の状況及び課題について伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、都立特別支援学校に対して、パラリンピアンの派遣や障害者スポーツを紹介したDVDの配布などにより、障害者スポーツの普及に努めてまいりました。こうした取り組みにより、体育の授業等で新たにボッチャやフロアバレーボール等の指導を行う学校が増加いたしました。
 また、今年度は、公立学校ボッチャ交流大会を開催し、特別支援学校の生徒と都内公立学校の児童生徒が同じチームに所属して競技を行うなど、障害者スポーツを通した交流の機会の拡充を図ったところでございます。
 一方で、特別支援学校の児童生徒に、よりさまざまな競技を体験させるためには、障害者スポーツのすぐれた取り組み事例を各学校で共有する必要がございます。
 今後、都教育委員会は、これらの取り組み事例を教員を対象とした説明会で周知するなど、障害者スポーツの一層の普及を図ってまいります。

○木村委員 また、東京都は、都立学校活用促進モデル事業として、障害のある方や障害者スポーツ競技団体などが身近な地域でスポーツ活動ができるよう、学校教育活動に支障のない平日夜間、土日祝日の時間帯について、都内にある都立特別支援学校の体育施設の活用を促進する活動を進めております。
 健常者と障害者の二分法的考えを乗り越えるためには、相互乗り入れ、つまり、都の一般のスポーツ施設に積極的に障害者を受け入れていくべきであると考えます。
 もちろん、そのためのコーチやスタッフの養成は不可欠です。そして、究極的には、あらゆる施設で、例えば健常者、障害者が隣のコートで、場合によっては一緒にスポーツができるバリアフリーな環境を整えていくことを目指すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 障害のある人もない人も、ともに身近な地域でスポーツに親しむための場の整備は非常に重要であります。そのため、都は、区市町村のスポーツ施設整備費に対する補助を行っておりまして、手すりやスロープ、誰でもトイレの設置等のバリアフリー工事などを支援してございます。
 また、障害者のスポーツ施設利用に際しまして、大規模な工事を行わなくても、障害者を受け入れることができる工夫等の好事例を示しました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを作成し、区市町村や公立スポーツ施設に対し周知、啓発を図っております。加えまして、都立の特別支援学校におきまして、障害の有無にかかわらず参加できる障害者スポーツの体験教室を開催しているところでございます。
 今後も引き続き、誰もが身近な地域でスポーツを楽しめるよう、環境づくりを進めてまいります。

○木村委員 学校におけるインクルーシブな教育を進めるためには、専門的なスタッフの配置も欠かせません。学校の先生の過重な勤務状態を改善しつつ、インクルーシブな教育を進めるために、外部講師の活用やパラメディカルの資格を持ったスタッフなどを配置するなど、教育人材への投資が必要となります。
 現在、特別支援学校や特別支援学級における外部講師や、専門的な知識を持ったスタッフの配置状況はどうなっているのか、また、今後の配置計画について伺います。

○中井教育長 都立特別支援学校においては、現在、理学療法士や作業療法士、介護の専門家、看護師等の複数の専門人材によるチームアプローチ体制の構築を進めております。
 今後も、これらの専門人材の配置については、児童生徒の状況等に応じて適切に対応してまいります。
 また、公立小中学校に設置されている特別支援学級への専門人材の配置については、地域の実情に応じて各区市町村教育委員会が対応しておりますが、例えば、心理の専門家や退職校長などが配置されております。

○木村委員 ありがとうございました。
 次に、パラスポーツを支える技術開発について伺います。
 陸上競技の佐藤圭太選手の支援を行っている渋谷区の競技用義足を手がけるサイボーグなど、日本にはパラスポーツを支える技術があります。
 都内には、パラスポーツを支えるすぐれた技術、企業があると考えます。こうした中小企業の製品化への取り組みをしっかりと支援することが望ましいと考えますが、都の考えを伺います。

○藤田産業労働局長 東京二〇二〇大会の開催を契機に、障害者スポーツ用具へのニーズの増加が見込まれる中、都は、その開発に取り組む中小企業や地域に対する支援を行っております。
 具体的には、中小企業が大手のメーカー等と連携して開発に取り組む場合に必要となる経費の三分の二を八千万円まで複数年で助成をしております。また、今年度から産業技術研究センターと中小企業による共同の研究開発を開始いたしましたほか、中小企業による用具の開発を後押しする区市町村に五分の四の補助率で二千万円まで経費助成を行っているところでございます。これらにより、陸上競技用の義足やバスケットボール用の車椅子などの開発が進められております。
 引き続き、効果的な施策を展開し、中小企業の取り組みを支援してまいります。

○木村委員 パラリンピックを障害がある人が楽しむためには、ICT技術が有用だと思います。例えば、話ができない人は、文字と音声の変換を正確かつ迅速に行うソフトを開発することによって、バリアを低くすることができます。目の見えない人も、東京くらし防災は、視覚障害者の方にも配慮した音声コード掲載を行うなど、情報を音に変換する機能を充実することによって、バリアを減らすことができます。
 こうした技術は、多言語対応としても開発されています。看板での表示は、日本語、韓国語、中国語、英語の四カ国語を書けばスペースがいっぱいになってしまいます。しかし、ICT技術を使えば、フランス語でも、アラビア語でも、何カ国語でも対応できます。これらは、既に世界で配車アプリサービスを提供しているウーバーでは実用化されております。
 東京二〇二〇大会に向けて、パラリンピックを世界の人が楽しめるよう、多言語への変換を行うことができるICT技術の活用が期待されるところです。こうした技術は、聴覚障害のある方のコミュニケーションを支援するツールとしても有用であり、活用すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 都はこれまで、言葉のバリアフリー化を推進するため、最新のICTを多言語フォーラムなどで広く紹介するとともに、スポーツイベントの場で実験的に活用し、普及促進に努めてまいりました。
 例えば、スマートフォン等に音声で入力した言葉を画面に文字で表示をするとともに、多言語に翻訳できるシステムは、雑音による誤変換や誤訳等の課題は残っておりますものの、聴覚に障害のある方とのコミュニケーションにも有用でございまして、さらなる機能改善が期待されているところでございます。
 都は今後、日進月歩のICTの進展動向も見据えまして、東京二〇二〇大会に向けて、聴覚障害者はもとより、誰もが円滑にコミュニケーションができるよう、多言語対応に役立つICT機器の普及促進に努めるとともに、交通や観光などさまざまな場面での活用に向けて検討をしてまいります。

○木村委員 パラリンピックで東京を変えるためには、企業や大学によるパラリンピアンへのサポート体制を構築していく必要があります。企業や大学もパラリンピアンが活躍することで、パラリンピックへの参加意識も高まると思います。
 都として、パラスポーツ支援のベストプラクティス事例として紹介することによって、機運醸成の相乗効果が生まれます。パラアスリートの支援のため、大学や企業に働きかけて、スポーツの場を確保するなどの検討をすべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 障害のある方がスポーツを楽しむためには、公立施設に加え、大学や企業等と連携して、より多くのスポーツの場を確保することが重要であります。
 そのため、都は、障害者スポーツを応援したいという企業等の意向をアスリートへの支援につなげる障害者スポーツコンシェルジュ事業に取り組んでおります。
 また、これまで民間スポーツジムが競技団体の練習場所として施設を提供する取り組みを先行的に行うほか、今年度は、大学や企業と競技団体とのマッチングを後押しするための交流会を初めて実施いたしました。あわせまして、都立特別支援学校の体育施設の活用につきましても、来年度は十校から十五校にふやしまして、順次拡大していくところでございます。
 今後とも、障害のある方がスポーツに親しむための場の確保に向けまして、積極的に取り組んでまいります。

○木村委員 さて、東京都では、小池知事就任以来、トイレの洋式化、地下鉄の駅のホームドア設置や、エレベーターの設置の加速化に取り組んでおります。これまで進められてきた段差の解消は、いわば物理的なバリアを解決するための方策であり、パラリンピックで東京が変わるという一連の政策に位置づけることができます。
 ホームドアの設置について、都営地下鉄で未整備の浅草線及び新宿線における早急な対応を求めるとともに、現在の状況と、東京二〇二〇大会までにどの程度整備できるのか、今後の整備計画について伺います。

○山手交通局長 ホームドアが未整備の路線のうち、新宿線につきましては、本年四月から本八幡駅より順次ホームドアの設置及び稼働を開始し、平成三十一年秋までに全二十一駅での整備を完了する予定でございます。
 残る浅草線につきましては、他の路線とは異なり、車両の大規模な改修を伴わない方式でホームドアを整備することといたしておりまして、お客様が一日十万人以上の大門、三田、泉岳寺及び東京二〇二〇大会の際に多くの乗りかえのお客様が見込まれる新橋の計四駅について、大会開催までに先行的に整備をしてまいります。
 また、先行四駅でのホームドア整備後の状況を踏まえつつ、ホーム補強や輸送面の課題等への対応を進め、平成三十五年度までに交通局が管理する全ての駅でのホームドア整備完了を目指してまいります。

○木村委員 ありがとうございます。
 平成三十年度予算では、日本初となる路線バスのフルフラットバス導入予算が計上されています。フルフラットバス導入の狙いとその効果の見通しについて伺います。

○山手交通局長 都営バスでは、全国に先駆けて全ての車両をノンステップとするなど、積極的にバリアフリー対策を進めてまいりました。ノンステップバスは、乗降口の段差を解消したことでお客様が乗りおりしやすくなりましたが、車内後方の通路に段差がございまして、前方にお客様が滞留する傾向にございます。
 こうした状況を踏まえまして、東京二〇二〇大会や、今後のさらなる高齢化を見据え、より一層のバリアフリーを追求するため、フルフラットバスを国内で初めて導入することといたしまして、平成三十年内に運行を開始する予定でございます。これにより、高齢者を初め、誰もが車内後方まで移動しやすくなりますとともに、前方での混雑が緩和され、快適通勤にも寄与することが期待されます。
 今後、国に補助制度の確立を求めるとともに、都営バスからフルフラットバスのすぐれた点を積極的に発信するなど、普及拡大に努めてまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 物理的バリアの解消の方策は、都立公園にも及ぼうとしております。特に、国内外の障害者の方々が東京を訪れ、パラリンピックだけでなく、東京の庭園、公園を含む都市公園を公共交通機関で移動し、駅から公園までのルートもバリアフリーになっており、都市公園も園路が整備されている、公園内に限らず、公園に至るルートもバリアフリーになっている、そんな東京を私たちの会派はつくり上げたいと考えています。
 都市公園のバリアフリー化については、国土交通省は、平成十八年十二月のバリアフリー法において、一定の公園施設の新設時等に基準適合義務を果たすことを規定し、地方公共団体等の取り組みを支援しています。
 また、平成二十三年三月には、移動等円滑化の促進に関する基本方針の一部改正により、平成三十二年度末を期限としてより高い目標が設定され、ハード面でのバリアフリー化整備とともに、管理運営に関する取り組みの一層の推進を図るため、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインの改定を行っています。
 東京二〇二〇大会との関係では、平成二十九年二月二十日に開催されたユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議は、競技会場周辺エリア等にある都内の三十六都市公園を選定し、移動円滑化基準への適合に向けて取り組みを支援しています。
 三十六の都市公園には、東京二〇二〇大会の競技会場となる夢の島公園を初めとして都立公園が六カ所含まれていますが、これらの公園における東京都の取り組み状況について伺います。

○西倉建設局長 ユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議では、競技会場となる公園や外国人が多く訪れる主要な観光地周辺にある公園など、三十六カ所の都市公園が選定されました。そのうち、都立公園といたしましては、代々木公園、日比谷公園、上野恩賜公園、潮風公園、夢の島公園、葛西臨海公園の六カ所が含まれております。
 平成二十九年度は、夢の島公園、葛西臨海公園で案内サインの多言語化や園路の勾配を改善する園路改修を行いまして、日比谷公園でトイレの洋式化を実施いたしました。
 平成三十年度は、上野恩賜公園外四公園で園路改修を行いますとともに、代々木公園におきましてトイレの改築に合わせまして誰でもトイレにオストメイトを設置するなど、公園のバリアフリー化を進めてまいります。

○木村委員 国は、この三十六カ所の都市公園の移動円滑化に向けた整備についてどのような支援を行っているのか伺います。

○西倉建設局長 国は、社会資本整備総合交付金等の交付金制度によりまして、三十六公園を含みます都市公園のバリアフリー化のための整備を支援しております。本制度は、対象事業を実施する地方公共団体等の申請に基づきまして、国がその補助対象事業費の二分の一を交付することとなっております。
 都立公園では、潮風公園、夢の島公園、葛西臨海公園で行っております移動円滑化の整備工事につきまして、平成二十九年度に交付決定を受けております。
 今後とも、こうした交付金制度を積極的に活用するなど、東京二〇二〇大会に向けまして、誰もが安心して快適に過ごせる公園の環境整備に取り組んでまいります。

○木村委員 次に、障害者の就労支援についてお伺いをいたします。
 障害者の就労機会は、今後ますます拡大します。法定雇用率が上がり、企業はより多くの障害者を雇用することが義務づけられます。障害者雇用促進法では、事業者の義務として、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務が定められていますが、この法定雇用率が平成三十年四月一日から、民間企業では二・〇%から二・二%に、国、地方公共団体等では二・三%から二・五%に、都道府県などの教育委員会では二・二%から二・四%に引き上げられます。この法定雇用率は、平成三十三年四月までには、さらに〇・一%引き上げとなります。
 また、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲も、従業員五十人以上から四十五・五人以上に引き下げられます。
 さらに、障害者雇用義務の対象者に、これまでの身体障害者、知的障害者に、新たに精神障害者が加わります。これからは、企業も障害者雇用が当たり前の時代への対応をしなければなりません。
 改正障害者雇用促進法では、募集、採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練などの各項目において、障害者であることを理由に障害者を排除することや障害者に対してのみ不利な条件とすることなどが差別に該当するとして禁止されております。
 具体的に述べれば、障害者であることを理由として、障害者を募集または採用の対象から排除すること、募集または採用に当たって障害者に対してのみ不利な条件を付すこと、採用の基準を満たす者の中から障害者ではない者を優先して採用することは、差別に該当します。障害者の就労機会の拡大に伴い、今後は、ますます一般就労につなげていくことが課題となっていきます。
 そこで、民間企業における雇用率や障害の種類別の定着率など、障害者雇用を取り巻く現状について伺います。

○藤田産業労働局長 都内の民間企業における障害者雇用率についてでございますが、東京労働局の発表によりますと、常用労働者五十人以上の企業に義務づけられております法定雇用率二・〇%に対しまして、平成二十九年六月一日現在でございますが、平均で一・八八%となってございます。このうち、千人以上の大企業につきましては二・一三%、三百人未満の中小企業については一・〇七%となってございます。
 また、障害の種別ごとの職場定着率につきましては、国が平成二十七年に実施をいたしましたサンプル調査によりますと、就職後一年を経過した時点の定着率でございますが、身体障害が六〇・八%、知的障害が六八・〇%、精神障害が四九・三%となってございます。

○木村委員 障害者の就労支援は、雇用する企業の取り組みと送り出す福祉サービスの取り組み、そして両者をつなげる取り組みが不可欠です。他方で、就労事務所が、経営悪化を理由に廃業し、障害者を大量に解雇するケースも見られます。
 そこで、安定的な就労環境を整えるための中小企業への支援を都としてどのように進めていくのかについて伺います。
 また、中小企業における障害者雇用を促進するため、就労支援機関や関係機関の連携強化に向けて具体的にどのように取り組んでいくのかについても、あわせて伺います。

○藤田産業労働局長 まず、障害者の雇用に対する中小企業支援でございますが、都は、障害者を採用した企業の希望に応じまして、東京ジョブコーチの派遣や職場内サポーターの養成によりまして、障害者の職場への適応や定着を支援いたしますとともに、企業が障害者を雇い入れた場合等には助成金を支給し、雇用の促進を図っているところでございます。
 来年度は、大企業と比べて進んでいない中小企業の障害者雇用を促進するため、中小企業向けの賃金助成の支給額を一人当たり月額三万円から五万円に増額するとともに、支給期間をこれまでの二年から三年に延長し、国の助成と合わせて五年以上の継続雇用を支援いたします。
 加えて、障害者を正規雇用等で雇い入れる民間企業への奨励金につきまして、中小企業への支給額を一人当たり百二十万円から百五十万円に拡充し、安定的な雇用を促進してまいります。
 関係機関との連携強化についてでございますが、都は、東京労働局や障害者就労支援機関と連携をいたしまして、障害者雇用率未達成の中小企業に対し、専門の支援員による個別訪問を実施しております。企業が抱える課題に適した支援策を提供いたしますとともに、訪問で得られた企業の実態につきまして情報共有を行い、その後の相談業務や求人開拓に生かしているところでございます。
 また、中小企業における障害者雇用への理解を促進するため、支援機関等が一堂に会する障害者雇用支援フェアを国とともに実施し、各機関の取り組みをそれぞれのブースを設けて来場者に紹介しております。
 来年度は、同フェアにおきまして、先進的に取り組む企業の表彰式を国と合同で開催することで注目度を高めますとともに、さらなる機運醸成を図っていくこととしております。
 引き続き、関係機関と連携しながら、中小企業の障害者雇用をより一層支援してまいります。

○木村委員 次に、高齢者対策についても伺ってまいります。
 東京が抱える大きな課題は、超高齢化社会です。既に六十五歳以上の介護保険第一号被保険者数は約三百七万人で、人口の二二・四%となっていますが、二〇二五年には二三・三%、二〇三〇年には二四・三%、すなわち四人に一人が六十五歳以上となる見込みです。
 高齢者への対策は、年齢を重ねても元気でいられるようにすることです。シニア就業応援プロジェクト、首都大学東京プレミアムカレッジの開設及び産業技術大学院大学シニアスタートアッププログラムの実施など、さらに強化していただきたいと思います。
 シームレスな高齢者対策として極めて重要な対策は、フレイル対策やリハビリ対策であります。フレイル対策はこれからというところですが、都において、フレイル対策室またはフレイル対策課など組織的に対応できる窓口をつくるなど、区市町村とも連携して強力に取り組んでいただきたいと思います。
 また、高齢者が骨折や脳出血などの疾病にかかると、急激に衰えが進行することもあります。そうならないよう、急性期、回復期及び維持期のリハビリの充実も不可欠です。
 高齢者が元気でいられるようにするため、理学療法士や作業療法士などの専門家の助言を得ながら、運動などを行う機会をふやしていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、リハビリテーション専門職等を活用して地域で効果的な介護予防を進めるため、平成二十七年度から理学療法士や作業療法士などを対象に研修を実施し、これまでに千百二十九名の方が受講をしております。
 また、昨年四月には東京都健康長寿医療センターに介護予防推進支援センターを設置し、区市町村が行う介護予防事業へのリハビリテーション専門職の派遣や、住民主体の通いの場づくり等に取り組む地域づくり推進員などの人材育成や相談支援等を行っております。
 今後も、地域の高齢者のニーズに応じ、リハビリテーション専門職と地域づくり推進員が連携して、虚弱な高齢者でも効果が実感できる体操の指導や体力測定を行うなど、住民主体の介護予防の取り組みを進める区市町村を支援してまいります。

○木村委員 厚生労働省では、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を目途に、重度な要介護状態となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目標としています。
 地域包括ケアシステムの構築に向けては、高齢者が住みなれた地域で気軽に相談でき、必要な援助を受けられるよう、地域包括支援センターを初めとする区市町村の相談体制を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援の拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護など必要なサービスにつなぐことができるよう、職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職の配置を包括補助等で支援をしております。
 また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等の生活実態を把握して、地域住民等と連携した見守りなどや、在宅高齢者等の相談に対応する窓口を設置する区市町村を支援しております。
 今回策定をいたします第七期の高齢者保健福祉計画でも、地域包括ケアシステムの構築に向けまして、中核的な役割を担うセンターの機能強化を図ることとしており、今後とも区市町村における相談支援体制の充実を支援してまいります。

○木村委員 地域包括ケアシステムのうち、生活支援については、区市町村の社会福祉協議会が対応する日常生活自立支援事業がありますが、高齢者を狙った詐欺事件の対応など、財産的な問題は対応が困難であります。
 高齢者の財産管理については、法的には、元気なうちは財産管理の助言を受ける財産管理契約、認知症に備えての任意後見契約、死後の相続に備えての遺言などがあります。いずれも高齢者には切実な問題であり、かつ空き家問題の原因ともなっている問題でありながら、政策的な対応がなされていません。
 そこで、生活支援のうち、特に判断能力が低下した高齢者の財産管理、処分について、弁護士や信託など専門家の支援を受けることができるよう、公的な支援システムを検討すべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 今お話のありました成年後見制度は、判断能力が低下した高齢者等にかわって、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職や親族などが後見人等となって、財産の適切な管理などを行う制度でございます。
 都は、成年後見制度の活用を促進するため、成年後見活用あんしん生活創造事業を実施し、成年後見の利用相談や申し立て支援、後見人のサポート等を行う成年後見制度推進機関を設置する区市町村を支援しておりまして、現在、全ての区市に推進機関が設置をされております。
 また、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等の専門職団体と、区市町村や推進機関との連携を深めるため、連絡会も開催をしております。
 今後とも、区市町村や専門職団体等と連携して、成年後見制度の活用促進に向けて取り組んでまいります。

○木村委員 少子化への対策として、国も地域少子化対策重点推進交付金を交付し、地方自治体ではこれを活用して、婚活推進の事業をしております。高齢者の財産管理などの終活には、そのような仕組みがまだありません。
 空き家となった後については、東京都では、空き家の有効活用、適正管理、空き家発生の未然防止などを推進するため、不動産、建築、法律の専門家団体及び金融機関と、協力、連携に関する協定を締結し、都内に所在する空き家の所有者などが抱える課題に応じた専門家による相談窓口を順次設置しております。
 空き家になってから専門家との連携体制を組むだけでなく、空き家をこれ以上ふやさないよう、その前に専門家の公的な支援システムを組むべきだと考えますので、ぜひ終活支援体制をつくっていただくよう要望をしておきます。
 続いて、空き家対策について質問をいたします。
 さて、終活に対する公的な支援がない中、大量相続の時代を迎えて、空き家が増加しております。もちろん、空き家の増加は住まいだけでなく、商店など事業の倒産などによっても生じております。
 国は、空家対策の推進に関する特別措置法を制定し、平成二十七年五月二十六日に全面施行され、東京都も専門家による相談窓口を順次設置しています。
 しかし、空き家は増加の一途をたどっており、平成二十五年の総務省の住宅・土地統計調査では、東京都の空き家は八十一万七千戸で、空き家率は一一・一%とされています。
 そこで、空き家対策については、適正管理、有効活用や発生抑制といった総合的な対策が必要と考えますが、東京都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○邊見東京都技監 都はこれまで、適正管理、有効活用、発生抑制の視点を持って、空き家対策の取り組みを進めてまいりました。
 適正管理をさらに進めるため、来年度から、木密地域における無接道の老朽空き家の除却への補助を開始いたします。
 また、有効活用を促進するため、空き家所有者と利用希望者とのマッチング体制を整備する場合、区市町村への支援を行ってまいります。
 さらに、発生抑制の観点からは、既存住宅の流通活性化を促進するため、建物状況調査、いわゆるインスペクションに助成を開始いたします。また、現在モデル事業として行っている空き家のワンストップ相談窓口についても、民間事業者と連携し、普及啓発と一体的に行うなど、拡充して実施をいたします。
 都は、こうした取り組みを通じ、総合的な空き家対策を一層推進してまいります。

○木村委員 都は、東京都空き家対策連絡協議会を設置し、空き家の適正管理及び利活用等の推進等の空き家対策に取り組む区市町村に対し、他自治体の取り組みの情報共有や専門知識の習得などを初めとする技術支援を行うこととしております。
 そこで、区市町村の空き家対策計画の策定状況と、今後どのように区市町村の計画策定を支援していくのか伺います。

○邊見東京都技監 空き家対策計画については、これまで都内の全区市町村の約五割、二十九の区市町村で策定をしてございます。
 対策計画においては、除却など空き家の適正管理を初め、グループホームや学童保育への利活用など、具体的な施策や積極的な取り組みが多く見られるところでございます。
 都は、広域自治体として、未策定の自治体の計画策定が進むよう、今年度から立ち上げた全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会において、先進的な取り組み事例の情報共有を行うとともに、都の支援事業の活用を促してございます。
 引き続き、区市町村への支援に積極的に取り組んでまいります。

○木村委員 多摩地区や島しょでは、空き家の公的活用とまではいえませんが、移住支援住宅やシェアハウスなど、空き家の多様な活用の機運が高まっています。
 そこで、区市町村における空き家対策の多様な活用への支援について、都の見解を伺います。

○邊見東京都技監 都は、空き家の有効活用を進めるため、平成二十八年度から、空き家を集会所等の地域の活性化施設として改修する際に、区市町村に対し補助を行ってまいりました。来年度からは、これに加えて、地域の実情に応じて空き家を移住、定住や、近居、同居等を目的とする住宅に改修する場合にも補助を開始いたします。
 また、グループホームなど地域の活性化施設に改修する際の補助については、用途変更に伴い、間仕切りの増設などの費用がかかることから、来年度から補助の上限を五十万円から百万円へと二倍に引き上げ、支援を拡充することといたしました。
 今後とも、地域におけるコミュニティの維持や活性化に向けた区市町村の空き家活用の取り組みを支援してまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 次に、都営住宅に関して伺おうと思います。
 国土交通省では、バリアフリー法の施行を受けて、公営住宅や建てかえ事業によって新たに供給する都市再生機構賃貸住宅については、バリアフリー化を標準仕様とすることとしております。
 東京都でも、平成二十八年十二月公表の二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、多摩ニュータウンに昭和四十年代に建設した約三千九百戸の都営住宅については、良質な住宅ストックとして維持更新するため、周辺の学校跡地や未利用地などを活用しながら計画的に建てかえを実施し、バリアフリー化など住居の水準向上に取り組むとされています。
 都は、第七期東京都高齢者福祉保健計画で、平成三十七年度までに特別養護老人ホームは六万二千人分とする数値目標を立てています。しかし、高齢者が現在の住まいで、そのまま、あるいは改修や建てかえによって住み続けることができれば、それにまさるものはありません。
 都営住宅、公社住宅における入居者を見ると、六十五歳以上の世帯数の割合は、都営住宅では六六・六%、公社住宅では五〇%となっています。また、単身入居者は、都営住宅で八一・八%、公社住宅で五二・九%となっており、高齢者の単身世帯が多いという現状が浮かび上がってきます。高齢化は、都営住宅、公社住宅において、待ったなしの現実であります。
 そこで、お伺いをいたします。
 特に高齢化が進む都営住宅の建てかえや改修に当たって、障害者や高齢者が居住しやすいバリアフリー化を図っていく方針だと理解しておりますが、都営住宅のバリアフリー化にどのように取り組んでいくのか伺います。

○邊見東京都技監 都営住宅において、高齢者や障害者の生活利便性を確保するため、住宅設備の改善を図ることは重要でございます。
 現在、都営住宅では、建てかえや改修などの際に、エレベーターやスロープの設置、玄関や室内の段差解消、またぎやすい高さの浴槽の設置などを進めてございます。
 このほか、高齢者や障害者が現にお住まいの住戸では、玄関やトイレ、浴室への手すりの設置や、緊急通報が可能なインターホンへの取りかえなどについて、居住者向けの広報紙「すまいのひろば」でお知らせをし、希望を受けて実施をしてございます。
 引き続き、都営住宅におけるバリアフリー対策を進めてまいります。

○木村委員 続きまして、都道のバリアフリー化について伺おうと思います。
 都道のバリアフリー化のため、東京都はこれまでも、段差の解消や視覚障害者誘導ブロックを設置してきました。
 主要駅周辺の都道や官公庁を結ぶ都道については、区市町村の基本構想との整合性を図りながら、二十七年度までに三百二十七キロの整備を完了しております。
 今後は、三十六年度までに延長百八十キロのバリアフリー化を実現する計画だと伺っており、着実な実施を求めたいと思います。
 道路のバリアフリー化は順調に進んでいると考えますが、利用者目線に立った、きめ細かいバリアフリー化を実現するためには、実際に障害者などの声を聞き、そうした声を道路の整備に反映していくことが有効だと考えますが、東京都の見解を伺います。

○西倉建設局長 都はこれまで、全ての人が道路などの施設を円滑に利用できますよう、整備基準を定めました東京都福祉のまちづくり条例等に基づきまして、駅や官公庁、福祉施設等を結ぶ道路などにおきまして、歩道の段差解消や勾配改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置など、道路のバリアフリー化を進めてまいりました。
 これに加えまして、より利用者の目線に立ちました、きめ細かい道路のバリアフリー化を進めるためには、お話のように、障害者団体等と連携することが重要でございます。
 このため、平成三十年度は、モデルケースといたしまして、高齢者や障害者等の利用が多い路線を選定いたしまして、設計段階から障害者団体等と意見交換を行いまして、道路のバリアフリー化事業に生かしてまいります。

○木村委員 都内の道路のほとんどを占めるのは区市町村道であります。東京都は、ユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業として、地域住民のまち歩き点検結果を踏まえた施設整備を行う区市町村を支援しています。
 そこで、これまでの区市町村道のバリアフリー化への支援の実績と今後の取り組みの方向について伺います。

○西倉建設局長 都は、東京二〇二〇大会の開催に向けまして、駅から競技会場などをつなぎます連続的な道路のバリアフリー化を実現するため、今年度から、国と都で道路のバリアフリー化に要する事業費のおおむね四分の三を区市へ補助しております。
 この補助制度の対象区間といたしまして、競技会場や観光施設周辺におきまして、大会開催までに重点的に整備すべき区市道を選定し、支援を行っておりまして、今年度は九区市に対し財政支援を行っております。平成三十年度は十区市に拡大いたしまして、補助を実施する予定でございます。
 引き続き、区市道などを含めた面的な広がりを持ちました道路のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。

○木村委員 トイレのバリアフリー化は、東京二〇二〇大会を控えて、おもてなしの観点からも、高齢者、障害者のストレスをなくすための重要な施策であります。
 二十九年度は、こうした予算を、従来の五倍となる三十九億円が措置されたわけであります。都立施設はもちろんのこと、区市町村に対する補助制度も創設されました。
 私の地元世田谷区では、東京二〇二〇大会に向け、馬事公苑周辺の施設を一体的に改修し、一挙に二十三基の改修が進んだと伺っております。都市公園内にあるトイレのバリアフリー化には、区市町村の取り組みが欠かせないと考えますが、今後どのような支援を行っていくのか伺います。

○西倉建設局長 公園を訪れる全ての方々がトイレを快適に利用できるようにするためには、都立公園はもとより、区市町村が管理する公園におきましても、トイレのバリアフリー化を進めることが重要でございます。
 このため、都は、都市公園内のトイレのバリアフリー化に向けまして、国の交付金制度を適切に活用できますよう、区市町村に対しまして指導や助言などを行いますとともに、市町村土木補助制度を活用いたしまして、財政的にも支援をしてまいりました。
 引き続き、こうした取り組みを通じまして、都市公園内のトイレのバリアフリー化を推進してまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 以上、パラリンピックで東京がユニバーサルデザインの都市に変わるというコンセプトで質問をしてまいりました。このように重要なパラリンピックでありますから、パラリンピックをしっかり成功させることが重要であります。
 東京オリンピック・パラリンピックの機運醸成に関して、三月十七日、十八日の両日に、日比谷公園で平昌大会の東京二〇二〇ライブサイトが開催されました。我が会派の議員も視察に行きましたが、多くの方々が会場に足を運んでおられ、ただいま満席のため入場規制中と書かれたボードも掲示されておりました。
 もちろん、機運醸成に当たっては、イベントに単発的に人数を集めればよいというわけではなく、今後とも都民が継続的にオリンピック、とりわけパラリンピックに関心を持ち続けるための仕掛けが必要ですので、今後とも引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 そして、このようなイベントにとどまることなく、多くの都民、ひいては国民にパラリンピックの魅力に気づいてもらうことが、パラリンピックの成功につながると思っております。そのためには、メディアの活用が重要だと考えます。
 パラスポーツについての解説、選手の紹介、そして何よりも東京都が本気だということを示す必要があると思います。そして、メディアをもっと積極的に活用した機運醸成が必要だと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 私は、かねてよりパラリンピックの成功なくして大会の成功はないと、このように申し上げております。
 今よりももっと多くの方々に競技、そして選手の魅力を知っていただきたいと思います。そして、そのためには、ご指摘のように、一度に多くの方々に情報を届けることのできるメディアを通じた積極的な発信は極めて重要でございます。
 都といたしまして、これまで、例えば若者に人気のある雑誌であるとかラジオ番組で選手の魅力を紹介したり、そして、次の時代を担う大学生向けの講義でテレビ番組の映像を活用するなどいたしております。また、世界トップレベルのパラリンピアンの人間的な魅力やパフォーマンスの高さを伝えたり、テレビ局と連携して、選手みずからが競技の魅力を発信するイベントを実施してまいりました。
 来年度はこれらに加えまして、観戦の魅力や楽しさを伝える、また応援する機運を一層高めるということで、テレビやラジオ、雑誌の各社と連携をいたしまして、パラスポーツの観戦会を展開いたします。そして、さまざまな世代に向けて、パラリンピック競技や選手の魅力に触れる機会を提供してまいりたいと考えております。
 パラリンピック会場を満員の観客で盛り上げるために、私も率先をいたしまして競技を体験する、例えばボッチャもそうでありますけれども、PRを行っているところでございます。
 今後も開催都市の長といたしまして、必ずパラリンピックを皆さんとともに成功させるという決意のもとで、あらゆる機会を捉えまして機運醸成に取り組んでまいる所存でございます。

○木村委員 ありがとうございました。
 次に、スマートシティー東京について質問をいたします。
 東京都議会は、平成二十八年十月十三日に「パリ協定」の早期批准に関する意見書を採択しました。東京二〇二〇大会が開催される七月下旬から九月初旬は、猛暑や局所的な集中豪雨の可能性があり、気候変動の影響は看過できない問題です。
 都は、既に電力の最大消費地としてゼロエミッション東京の実現に向けた施策を展開しています。あわせて、東京二〇二〇大会に向けては、オリンピック・パラリンピックそれぞれの開会式、閉会式の四日間は、東京ゼロカーボンフォーデーズを実施し、水素エネルギーを活用しての燃料電池車や水素ステーションの普及に努めることとしています。
 また、二〇二〇年以降の施策として、東京都の率先行動計画であるスマートエネルギー都庁行動計画及びキャップ・アンド・トレード制度の、二〇二〇年から二〇二四年までの五カ年間の計画の検討を開始しています。
 これらの制度では、これまで、再生可能エネルギー電力のうち固定価格買い取り制度による再生可能エネルギー電力は、スマートエネルギー都庁行動計画やキャップ・アンド・トレード制度では考慮されない仕組みとなっています。
 しかし、スマートエネルギー都庁行動計画及びキャップ・アンド・トレード制度は、東京都独自の制度であります。経済産業省などの国がキャップ・アンド・トレード制度を導入していないにもかかわらず、都が国の指示を受ける理由はないと考えるわけであります。要は、東京都がどう考えるかということに尽きるのではないでしょうか。
 そこで、キャップ・アンド・トレード制度など都の独自制度では、固定価格買い取り制度の電力もカウントする制度とすべきと考えますが、このような考えに対する現時点での都の見解を伺います。

○和賀井環境局長 都のキャップ・アンド・トレード制度では、エネルギーの需要側であります対象事業所が、CO2排出係数の低い供給事業者から電力調達をした場合に、CO2削減分と認める低炭素電力選択の仕組みを平成二十七年度から導入しております。
 この仕組みでは、固定価格買い取り制度、いわゆるFIT制度による再生可能エネルギー電力の価値を含めた実排出係数を採用し、再生可能エネルギーの導入を促しております。
 また、都みずからの率先行動を示すスマートエネルギー都庁行動計画におきましても、電力のグリーン購入に際し、FIT制度による電気の利用率を評価する仕組みを設けております。
 今後とも、電力の大消費地の責務として再生可能エネルギー電力の需要拡大を図ってまいります。

○木村委員 もう一つの問題は、東京都に供給される再生可能エネルギー電力は極めて少なく、ゼロエミッション東京の実現のためには、電力会社が所有している送電網の開放などによって、大幅な再生可能エネルギー電力の供給を拡大することが不可欠となっていることであります。電力自由化政策は国の政策であり、その進捗の度合いを加速することは都の範疇ではありませんが、自由主義経済は需要と供給のバランスで成立しています。
 そこで、東京都がゼロエミッション東京を実現するために、また電力会社が送電網を開放する方向に動かすには、東京都がスマートエネルギー都庁行動計画やキャップ・アンド・トレード制度の次の期間において、固定価格買い取り制度の電力を含めて、再生可能エネルギー電力の需要を大幅に拡大すべきではないかと考えます。現時点での都の見解を伺います。

○和賀井環境局長 再エネ電力拡大のためには、発電した再エネをより多く電力系統に接続させることが必要でございます。
 このため、都は、九都県市首脳会議や全国知事会などを通じまして、系統設備の整備、増強、再エネ電力の広域融通を可能とするための系統運用の改善等について国に要望してまいりました。
 また、需要側の取り組みとして、キャップ・アンド・トレード制度において、低炭素電力選択の仕組みを平成二十七年度から導入しているところでございます。
 さらに、都の率先行動としまして、電気のグリーン購入に際し、FIT制度による電気を含む二〇%以上の再エネ電力を供給する電力会社と契約することを望ましい水準として設定し、利用を推進しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを進めながら、再エネ電力の利用拡大を図ってまいります。

○木村委員 引き続き、再生可能エネルギーの取り組みを行っていただきたいと思います。
 次に、フードロスについて伺います。
 フードロスも、大消費地である東京都の課題であります。フードロスを減少させていくには、生産者と流通者、そして消費者の連携も欠かせません。現在は、規格外の野菜などは商品として出荷されず、生産地で大部分が廃棄されてしまいます。しかし、人々が食べるのは調理された野菜であり、食べる段階では規格外の野菜であっても何ら不都合はないと思います。
 しかし、規格外の野菜を流通ルートに乗せ消費者に届けるには、さまざまな課題があります。まず、生産者は、規格外の野菜を出荷すると、規格に合った野菜の売れ行きに影響しないか心配になります。
 そこで、規格外の野菜については、通常の流通ルートではなく、値段が勝負の企業などの食堂で使ってもらうことが考えられます。しかし、それだけでは生産者の理解は得られません。その収益を生産農家に還元し、それで産地の子供食堂など子供たちに食を提供する原資とするのであります。
 これは構想ではなく、既に高知県の農家と東京の大田市場、そして、企業の食堂との間で現実に行われているサイクルであります。このようなことは、東京の農家、大田市場、東京の企業の食堂、そして東京の子供たちとの間でもぜひ実現したいと思っています。
 そこで、都庁としてもフードロス対策に取り組むべきだと考えます。例えば、都庁に入っている食堂が規格外の野菜を仕入れ、これを活用したメニューを提供すれば、職員や都民への普及啓発にもつながると思います。
 また、災害に備えて食料品の備蓄を都民に促す方法として、都庁の食堂で備蓄食品を使ったメニューの提供など有効に取り組めば、フードロス対策の後押しにもなると考えるのですが、都の見解を伺います。

○多羅尾総務局長 いわゆる食品ロス対策が社会全体で必要とされる中、都庁自身が事業者として積極的に取り組むことは重要であると認識しております。
 都庁の職員食堂ではこれまで、生ごみや廃油など廃棄物の資源としての再利用はもとより、食べ残しを防ぐためのメニューの工夫や、利用者の要望に応じた盛りつけなど、食品ロス対策に努めてきております。
 お話の規格外の農産物の仕入れや防災備蓄食品の有効利用など、都庁の食堂ができる取り組みを積極的に実施することは、廃棄されることになる野菜や食品の減少に寄与でき、もったいない精神の普及啓発にもつながるものと考えております。
 こうした観点から、今後とも、都庁の食堂において食品ロス対策に幅広く取り組んでまいります。

○木村委員 フードロス対策の東京モデルができるよう、私たちも努力してまいりたいと思います。
 東京二〇二〇大会に向け、東京のナイトライフの開拓が課題となっています。東京都は、ことし二月にPRIME観光都市・東京、東京都観光産業振興実行プラン二〇一八を取りまとめています。
 これは、東京都を訪れる外国人向けの実行プランですが、これに加えて私たちは、東京のナイトライフを日本人のために開発すべきであると考えます。ライフワークバランスは、長時間労働という日本のあしき常識を覆す試みです。しかし、長年、長時間労働にならされてきた私たち日本人は、生活を楽しむ時間ができても何をしていいかわからない、そんなことがあるかもしれません。
 そこで、ライフワークバランスのライフを充実するための方策として、日本人の長時間労働を是正し、休み方を見直すことでナイトライフなど余暇時間を創出すべく、働き方改革を戦略的に推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のとおりかと存じます。長時間労働の削減、休暇の取得促進など働き方改革は、早急に取り組むべき課題でございまして、日本の持続的な成長の鍵ともいえるかと存じます。
 仕事の生産性を上げて残業ゼロが実現いたしますと、家族と過ごす時間、スキルアップをする時間など、まさしくライフを見直すことができます。
 さらに、余暇がふえれば、例えば夕食後にコンサートに行くなど、ナイトライフを楽しみ、消費のシーンを広げて内需の拡大にもつながるというものでございます。
 個人個人が時間の使い方や自分の人生の優先順位を考え直すということで、日本の社会も変わろうかと思います。
 都もみずから、イクボス宣言、二十時完全退庁、そして昨年十一月の都庁働き方改革宣言など、ライフワークバランスを徹底しているところでございます。
 企業の取り組みにつきましても、宣言企業制度で、国、そして東京商工会議所とも連携しながら強力に支援をしているところでございます。
 今後ですが、テレワーク、そして育休の取得促進も含めまして、一体的かつ効果的な広報活動を年間を通じて展開をして、改革をさらに推し進めていく所存でございます。
 ちなみに、昨年夏に実施いたしました時差ビズでございますが、約三百二十社の企業が賛同していただきました。そして、認知率も七割を超えております。私自身もしっかり手応えを感じたところでございます。
 来年度でございますが、夏と冬の年二回、日数をふやして実施をいたしまして、社会的な機運を一層高めてまいりたいと考えております。
 こうした取り組みを通じまして、社会全体に働き方改革の輪を広げて、東京から大きなムーブメントを先導していく所存でございます。

○木村委員 ありがとうございます。
 次に、東京港のクルーズ振興について質問をいたします。
 二〇二〇年には、臨海副都心地区に新客船ふ頭が開業することによって、東京港における大型クルーズ客船の受け入れが本格的に始まります。民泊需要が増加する東京二〇二〇大会時に、クルーズ客船のホテルとしての活用、いわゆるホテルシップを実現することは、東京港を広く世界にアピールする絶好の機会だと考えます。
 ホテルシップは、東京二〇二〇大会時はもちろん、大会後にも、クルーズ振興のみならず、国際観光都市東京の地位向上にも大きく貢献します。ぜひホテルシップを実現してほしいと思いますが、実施に当たっては、旅館業法などの国の規制への対応や、長期間の係留に必要な給水や、下水処理施設の設置など、さまざまな課題があります。
 そこで、法規制などのさまざまな課題を克服し、東京二〇二〇大会後のクルーズ振興も視野に入れ、大会時におけるホテルシップ活用を実現すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○斎藤港湾局長 都は、東京二〇二〇大会までに世界最大級のクルーズ客船に対応できる新客船ふ頭を整備することとし、これとあわせて客船誘致に積極的に取り組んでおります。
 大会期間中にホテルシップを実施することは、東京港を世界に広くアピールすることにつながり、クルーズ振興の観点からも大変有意義であると考えております。
 このため、クルーズ客船の運航に実績があり、将来にわたり東京港を母港として利用する船会社を早急に選定し、客船を長期間係留できるなど必要な条件を満たす若洲の木材ふ頭において、ホテルシップを実施してまいります。
 今後、ふ頭利用者や地元区等と丁寧に調整を行い、国に対しましては規制緩和に向けた対応を求めていくなど、実現に向けて取り組んでまいります。

○木村委員 ぜひホテルシップが実現するよう、よろしくお願いをいたします。
 次に、島しょについて伺います。
 島しょ地域には、道路や港湾施設などのインフラ整備を初め、医療、福祉対策や自然災害への備えなど、幅広い分野において取り組むべき課題が山積しています。島しょ地域をさらに活性化させていくためには、これらの課題にしっかりと対応するとともに、島々の自然や景観、特産品などの資源を活用した観光振興や産業振興が必要だと考えます。
 昨年三月、都は、こうした島しょ地域の資源に、より一層磨きをかけ広く発信していくことを目的として、民間の専門家で構成する東京宝島推進委員会を設置しました。
 昨年十二月には東京宝島推進委員会から提言がなされましたが、同委員会ではどのような議論がなされ、提言にどう反映したのか伺います。

○多羅尾総務局長 民間の専門家で構成する東京宝島推進委員会では、昨年三月の発足以来、現地視察や島民の方々との意見交換などを進めながら、四回にわたり議論を重ねてまいりました。
 委員会では、特に、交通アクセスの充実や島の産品の生産体制、ブランド化に向けた方策、さらに観光客や消費者の関心を喚起する方法、各島の取り組みを牽引するリーディングケースなどについて熱心な議論をいただきました。
 提言では、島しょ特有の課題はありますが、ブランド化、高付加価値化への可能性は十分にあるとした上で、各島が主体的にみずからの個性を掘り起こし切磋琢磨する仕組みづくり、さらに、意欲ある島内事業者への支援や、観光客や事業者に向けた新たなPR手法などについて専門的な見地からご意見を頂戴いたしました。

○木村委員 島しょ地域のブランド化、宝島の実現に向けた取り組みを継続してしっかりと進めていただきたいと思います。
 平成三十年度予算案では、宝島の実現に向けた取り組みを進めていくための経費が計上されています。知事は就任以来、島しょ地域を積極的に訪問されておりますが、魅力あふれる島しょ地域のブランド化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、私は知事就任以来、一般の島民の方々が暮らす十一の東京の島々のうち十、訪問をいたしました。あと残すは小笠原諸島の母島のみとなっております。各島を訪れるたびに、島々それぞれ個性がございます。そして、きらりと光る宝物の存在を実感するところでございます。
 昨年、東京宝島推進委員会を立ち上げました。毎回、私も加わりまして活発な議論を重ねているところでございますが、先日提言をいただきまして、いよいよブランド化の実現に向け動き出しているところでございます。
 そこで、来年度は、この提言を踏まえまして、意欲ある島民の方々の議論を通じて、それぞれの島が主体的にブランド価値を高めていく機運を醸成していくとともに、外部の専門家を派遣いたしまして、新たなビジネスへの取り組みを後押ししてまいります。
 また、ブランド化に向けた取り組みを牽引するモデル事業に対しましては、販路の拡大などの支援を集中的に実施する、そのほか戦略的な国内外へのプロモーションを展開してまいります。
 それぞれの島の主体的な取り組みを通じまして、全ての島が魅力と活気あふれるものとなりますよう、引き続き東京宝島推進委員会のご助言をいただきながら、新たな島しょの発展を目指していく所存でございます。

○木村委員 ありがとうございました。
 都民ファーストの会東京都議団は、島しょ振興政策研究会を立ち上げ、先月、八丈島を訪問しました。島内の文化施設、地熱発電施設、港湾施設などを視察し、伝統工芸の現状などの話を地元の方々から伺いました。改めて、島しょ地域におけるすばらしい自然や景観、特産品など、さまざまな資源のポテンシャルを実感したところであります。
 特に八丈島の地熱発電は、東京都環境局の報道発表資料によれば、地熱発電は二五%であり、将来的には、地熱七九%、水力七%、ディーゼル一四%というエネルギーをほぼ自給できるポテンシャルを持っていることがうかがえます。
 また、視察した漁港では、八丈町の町民の方々から、この漁港施設にプレジャーボートなどの係留を可能にして、島外から多くの人を呼び込みたいという話も伺いました。例えば千葉県の保田漁港では、プレジャーボート用の浮き桟橋を整備し、漁業協同組合の直営の食堂や温泉を核として地域の活性化を図っています。
 島しょ部の開発、振興については、それぞれの個性を掘り起こし、その資源を活用する仕組みづくりや戦略的なプロモーションを展開していくとのことですが、地元の方々の力を引き出しながら、島しょ部の魅力あるまちづくりという、より広い視点も取り入れて検討を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、セーフシティー東京について質問いたします。
 近年、台風の上陸やゲリラ豪雨が多発しており、大雨がもたらす被害が懸念されております。もし住民の避難を促す情報がおくれた場合、早期の避難ができず、甚大な人的被害を招きかねないと思います。
 区市町村がタイムリーに的確な避難勧告等を発令する必要がありますが、住民自身も早目早目の行動をとることが重要であり、そのためには正確な情報が必要です。
 平成二十五年十月には、大島町で記録的豪雨による土砂災害で甚大な被害が発生し、今でも町は復興に取り組んでいます。
 そこで、都としても、風水害、とりわけ土砂災害に関する情報提供を充実させていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○多羅尾総務局長 都民が降雨状況に応じた土砂災害の危険の高まりを把握し、みずからのこととして避難行動を起こすためには、その危険が迫っている地域の範囲をより詳細に示すことが重要となります。
 これまで都では、気象庁が五キロメートル四方を単位として発表している土砂災害警戒判定メッシュ情報をホームページで紹介してきましたが、来年度から、これを一キロメートル四方を単位として表示できるよう改良いたします。これにより、より小さなエリアごとに正確な情報を提供できることとなります。
 今後とも、災害発生の危険度をわかりやすく提供するとともに、区市町村と連携し、都民が迅速に避難行動をとれるよう努めてまいります。

○木村委員 次に、液体ミルクについて伺います。
 これまでは、日本では液体ミルクは販売できませんでしたが、厚生労働省での検討が進み、三月に行われた厚生労働省の専門家部会では、製造や保存方法の基準を盛り込んだ省令改正案が了承され、今後、内閣府の食品安全委員会による健康影響評価や一般からの意見公募を経て、ことしの十月にも省令が改正されて、解禁になる見通しだということです。
 そこで、国での液体ミルクの動向と並行して、東京都でも準備を進め、液体ミルクが国内で早期に普及されるよう取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ご指摘の乳児用液体ミルクでございますが、お湯も要らない、外出時の保護者の負担も軽減される、さらには、何よりも災害時にも有用であるということでございます。
 私は、知事の就任前から、この必要性、有効性については訴えてきたわけでございまして、また、国への提案要求も行ってまいりました。
 今回、国で液体ミルクの規格基準案がまとまったということ、このニュースは大変大きな前進であるということであり、私も歓迎をしているところでございます。
 これからでありますけれども、災害時に確保できる仕組みづくりなど、液体ミルクの普及が進むように、都としても取り組んでまいりたいと考えております。

○木村委員 業界団体の試験データでは、液体ミルクの賞味期限は、缶とレトルトパウチの容器で九カ月から十二カ月、紙パックは六カ月ということですから、保育所などに備蓄して、賞味期限が近づいたら消費して、また備蓄する、こういうことにしておけば、災害時など、いざというときにも役立つと思います。ぜひそうした検討をしていただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、教育関係について質問をいたします。
 将来の予想が難しいこれからの社会は、情報や情報技術を受け身で捉えるのではなく、手段として主体的に活用する力が求められます。そのためには、情報を適切に活用する力を体系的に育んでいくことが重要です。
 こうした中、平成三十二年には、小学校において新たな学習指導要領が全面実施され、プログラミング教育が必修化されます。子供たちには、プログラムの働きによって生活が豊かになっていることを気づかせていくとともに、自分が意図した活動を実現するために、どのようにプログラムを組んだらよいのかを、理論的に考える力を身につけさせていくことが必要です。
 そこで、教育委員会では必修化に先立って既に推進校を指定し、プログラミング教育の推進に取り組んでいると聞いておりますが、その成果と課題について伺います。

○中井教育長 これからの情報社会においては、児童がプログラミング体験をしながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけることができる学習活動を計画的に実施することが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、今年度から小学校七校をプログラミング教育推進校に指定し、企業や大学、NPO等と連携しながら授業研究を支援しております。その成果として、企業等の持つ人的、物的資源を効果的に活用した教員研修の実施や教材の提供、継続的な授業への支援などを行うことができました。
 今後は、各学校が取り組みを進めるために参考となる実践事例を蓄積することや、推進校の授業を通して教員が研修する機会をふやしていくことが必要であると考えております。

○木村委員 都教育委員会が企業などと連携したプログラミング教育を推進していることは大変有意義であり、これから情報社会を生きていく子供たちに必要な取り組みであると考えております。
 平成三十二年度からは、必修化に伴って、どの小学校でも推進校と同じような授業を行うことになりますが、必修化に向けての都の教育委員会の取り組みを伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、平成三十年度、三十一年度の二年間、プログラミング教育推進校として、新たに各区市町村に一校以上、合計七十五校の小学校を指定し、プログラミング教育を推進してまいります。この取り組みを円滑に推進できるよう、学校と企業等が効果的な連携を図ることができる仕組みを構築し、区市町村教育委員会を支援してまいります。
 また、各教科等の特性を生かし、児童の発達段階に応じた多様な実践事例を資料としてまとめますとともに、地区ごとに公開授業や研究発表会を開催するなどして、授業実践の成果を周知してまいります。
 これらを通して、平成三十二年度以降、都内全ての公立小学校において主体的にプログラミング教育を実施できるよう取り組みを進めてまいります。

○木村委員 次に、市場について質問します。
 築地市場の豊洲への移転が明らかになったのは、平成十一年十一月に築地市場再整備推進協議会検討の取りまとめで、現在地再整備困難、移転整備へと方向転換したときでありました。
 翌平成十二年六月二日、東京ガスから、弊社豊洲用地への築地市場移転にかかわる御都のお考えについてという文書が公表されており、築地の現在地再整備困難との結論は、移転地を豊洲に考えていたものであったことがわかります。この段階で臨海工場地帯の工場跡地を移転地としていたことが全ての発端であったことは、ここで指摘しておきます。
 さて、知事は、平成二十八年八月、豊洲市場移転延期の決断をしました。移転延期の理由として、豊洲市場への移転延期を決断したのは、安全性への懸念や建設費の増大、情報公開の不足など、豊洲市場をめぐる疑問が解消されない中で移転を進めることは都民の納得を得られるものではないと考えたからであり、さまざまな課題について、外部有識者の知恵もかりながら一つ一つ丁寧に検証することで、主要建物下に盛り土がなされていなかった問題や、市場会計の持続可能性など、これまで議論の対象とならなかった課題に光が当てられたと述べられています。
 そして、知事はもう一つの決断、つまり無害化方針にかわる新たな方針も打ち出しました。
 振り返れば、豊洲市場用地の土壌汚染対策については、平成二十二年三月に、無害化した状態で開場することという予算案に対する都議会の付帯決議があり、平成二十三年二月には、当時の岡田市場長のいわゆる無害化三条件の提示がありました。
 一方で、土壌汚染対策法では、暴露経路の遮断により健康被害は防ぐことができるとされています。豊洲市場の用地は、土壌汚染対策法に基づき、平成二十三年十一月に、形質変更時要届け出区域、つまり土壌溶出基準を超える汚染土壌は存在するが、地下水を飲む、直接汚染土壌に触れるという暴露経由がなく、公共水域にも汚染が漏れ出していない区域として、健康被害のおそれがない区域と指定されました。
 つまり、土壌汚染対策法上は、既に安全であったのであります。法令上、安全であれば安全宣言をするべきであるとの意見もある中で、平成二十三年十一月、健康被害のおそれがない区域に指定されたものの、安全宣言はなされず、さらにその後、八百六十億円もかかる土壌汚染対策工事を行うことになりました。
 しかし、平成二十八年八月、市場移転延期後も、地下水のモニタリングでは環境基準を超えた数値を出しており、操業由来の物質を除去するという約束が実現できないことが明らかになりつつありました。
 そうした流れを受けて、平成二十九年六月一日、定例会での小池知事の所信表明では、無害化を約束したのは、かつての都知事を初め東京都であります、都議会での付帯決議も法的拘束力を有するものではないとはいえ、尊重されるべきものであり、八百六十億円もの土壌汚染対策を施しながら約束を守れなかったことを都知事として業界の皆様、都民の皆様へおわびし、実際に同月十七日、小池都知事は築地へ赴き、直接市場業者の方々へおわび、陳謝をしたわけであります。
 同年七月二十一日、小池知事は関係局長会議を開き、無害化方針を撤回、安全で安心な市場の実現に向けて、専門家会議で認められた追加の土壌汚染対策を行い、工事後も点検、確認をしてもらうことで、専門的な、科学的な対策を講じることと決めました。
 都議会では、知事の新しい方針を受け、昨年八月の臨時議会で補正予算を可決しました。小池知事は、今まで東京都が進めてきた取り組みを大きく転換したわけであります。
 この判断は、行っているはずの工事がなされていなかったことや、莫大な都の予算をつぎ込んでもなお、約束した無害化が達成できなかったことなど、石原都政から続く負の遺産に対する、非常に難しいながらも、それを解決する意義深いものであったと考えています。
 そこで、小池知事の決断について、改めて伺います。
 都民の食生活を支える中央卸売市場である豊洲市場の安全と安心を確保するために、平成二十九年七月二十一日の関係局長会議で小池知事が示した新たな方針をどのように受けとめ、現在どのように取り組んでいくのか、中央卸売市場長に見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場の安全性につきましては、市場のあり方戦略本部の中で外部専門家による検証結果を集約し、過去の土壌汚染対策の経緯をつまびらかにした上で、対応の方向性を整理いたしました。
 これを踏まえまして、環境基準以下とする目標が未達成の状況を真摯に受けとめ、市場移転に関する関係局長会議において、今後は数値によらず、専門的、科学的に妥当な取り組みや、測定データ等の情報公開等を行っていくことで、都民の理解を得ていくこととする新たな方針を定めたものであり、これを着実に進めることが重要と認識しております。
 中央卸売市場といたしましては、追加対策工事や認可手続などのステップを進めるとともに、こうした取り組み状況に関する正確な情報発信を通じて、都民や市場業者の方々の理解をいただきながら、豊洲市場の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

○木村委員 さて、舛添前都知事の安全宣言は、専門家の判断に依拠したものでありました。しかし、その前提となる盛り土工事は行われておらず、有害物質が除去されているかどうか判断する地下水モニタリングの値も環境基準を超えていました。安全宣言の前提事実が覆ってしまったのであります。
 そこで、専門家会議は、盛り土にかわる措置として追加工事を提言し、その工事が適切になされたかどうかを確認した上で、専門家会議としての判断を行うこととしています。この判断を受けて、安全・安心を発信するための必要な条件が整うことになるのだと思います。
 追加工事の実施後の専門家会議の確認は、豊洲市場の一層の安全性を確保していく上で大変重要であります。豊洲市場が安全・安心であることを今後どのように都民に伝えていこうと考えているのか、中央卸売市場長の見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 都は、工事の受注者と調整した上で、詳細な工事工程を策定いたしまして、この工程に基づきまして、現在、追加対策工事を進めているところでございます。
 工事の実施に当たりましては、専門家会議にも相談した上で、換気やコンクリート打設の方法等につきまして、それぞれの分野の専門家の助言等もいただきながら取り組んでおりまして、追加対策工事の完了後は、専門家会議に対策の有効性を確認していただくこととしております。
 また、こうした追加対策工事の実施状況や、豊洲市場におけるさまざまな測定データを適宜ホームページで公表するなど、都民に対する情報発信も進めております。
 このほか、豊洲市場の有する魅力をさまざまなイベントの開催等によりまして広く発信し、豊洲市場の安全・安心について、都民の理解と納得を得られるよう努めてまいります。

○木村委員 豊洲市場開場に向けて我が会派は、特に課題が山積している仲卸の方々、東京魚市場卸協同組合とも意見交換をしておりますが、都からもさまざまな形での移転支援案、活性化策が出されており、我が会派の質疑に対して、業界団体と協議を行い、豊洲市場への円滑な移転とその発展に向けて取り組むとの答弁がありました。
 環状二号線の暫定道路については、閉場前施工が可能になる箇所など、工期短縮について市場業者の理解や協力を得ながら、暫定迂回道路の早期開通に向けて精力的に取り組むと答弁がありました。
 また、非常に大規模な工事である築地市場の解体工事、そしてデポ工事については、早期に近隣の方々への対応を図るとともに、具体的な工事内容やスケジュールなどを盛り込んだわかりやすい説明資料を作成するとの答弁がありました。
 都は、これら答弁いただいた事項を誠実に実行するだけでなく、さらに、不安を抱える市場関係者、近隣の方々にしっかりと寄り添いながら、親身に丹念に対応していただくよう、手厚いサポートを行うよう強く要望いたします。
 次に、築地市場再開発のための予算について伺います。
 この間の予算特別委員会における質疑の中で、一部会派から、中央卸売市場会計に予算計上されている築地再開発検討経費五千四百万円について、一般会計に移しかえるべきとの主張がありました。さらに、築地再開発の検討に係る経費の減額を求める動きも見られます。
 そもそも築地再開発の検討経費については、昨年の臨時議会において、我が会派、公明党、自民党、民進党、新風自民党とともに賛成したことにより、補正予算として可決しているところであります。今回の減額を求める動きは、こうした経緯や、現在、築地市場の用地の取り扱いについて、築地再開発検討会議で検討が行われているという事実を無視するものであります。
 しかし、市場会計は、地方公営企業法を適用して、独立採算を原則として運用するわけです。その原則に照らせば、市場当局がみずから管理する土地の活用に関する経費を市場会計に計上することは当然のことであります。こうした考えは、何も市場会計に限ったことではなく、地方公営企業法を適用している事業全体に共通する考えであると思います。
 そこで、地方公営企業法の適用される事業体において、所管している土地の利活用に関する経費について、これまでどのように計上してきたのか、具体的事例を交えて都民にわかりやすく説明をお願いします。

○武市財務局長 公営企業局用地の利活用に関する経費につきましては、今回の市場会計だけでなく、公営企業の独立採算制の原則に基づき、これまでも土地を保有するおのおのの会計の予算で対応することを基本としております。
 そのため、例えば都営バス目黒営業所跡地の活用に際しましては、再開発事業に交通局が参画することで所有資産の有効活用を進め、安定収入の確保を図れることから、その利活用に関連する経費は、交通事業会計に予算を計上しております。
 また、水道局の給水所跡地を活用した晴海トリトンスクエアの再開発におきましても、水道事業会計に予算を計上し、利活用を図ってまいりました。
 このように、それぞれの公営企業局において、自前の財源により所有資産の価値向上に取り組んでおります。

○木村委員 市場会計に再開発検討経費を予算計上していることは、過去の事例と照らしても矛盾していないとの説明をいただき、よくわかりました。市場用地の利活用について、都民の税金を充当することなく、市場使用料収入を財源にする、こうした判断に合理性があると考えるものであります。
 このように、土地を所管する市場会計にその土地の利活用に関する予算を計上する考え方に異論を差し挟む余地はなく、そもそも、現在、中央卸売市場が所管している用地について、再開発予算を一般会計に移管すべきという主張は全く成り立たない立論であります。事の本質をきちんと理解しているとは到底思えません。
 また、築地市場の用地の取り扱いについて、築地再開発検討会議で幅広い議論がなされており、私たちもその検討経過を見守っているところですが、都心に残された貴重な土地であり、そのポテンシャルを十分に生かし、新たなにぎわい拠点につなげていただけるよう、将来を見据えた検討を要望しておきます。
 次に、市場業者のご理解、ご協力もいただき、いよいよ本年十月十一日には豊洲市場への移転が予定されております。
 豊洲市場は五千八百八十四億円という費用をかけてはいますが、完全な閉鎖型市場であり、全館定温管理され、HACCPへの対応、効率的な物流システム、情報システム、加工、パッケージ棟など、東京という大消費地を預かる新たな中央卸売市場として整備されたわけであります。
 決断されて以降は、豊洲を生かすべく、知事は豊洲視察を重ねて行い、機会を捉えては豊洲市場の魅力発信に努めてこられました。昨日も、豊洲市場魅力発信フェスタを視察されています。
 今、さらなる安全のため追加対策工事を行い、地域の人々にも受け入れられ、そして、市場業者の皆様や取引先の方々にも不安のない形で移転を行っていただくわけでありますが、改めて、豊洲市場を生かすという知事の決意を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、昨日は、豊洲の魅力を発信するというフェスタ、私も参加してまいりました。視察してまいりました。大変なにぎわいでございました。
 豊洲市場を日本の中核市場として育てていく、そのためには、まずは食の安全・安心の確保、そして、円滑な移転を実現して、市場関係者の事業を早期に軌道に乗せる必要がございます。
 このため、追加対策工事を着実に実施をする、そして、対策完了後の専門家会議による確認、さらに農林水産大臣への認可手続などのステップ、一つ一つ丁寧に進めているところでございます。
 また、市場業者から寄せられますさまざまな意見に耳を傾けまして、業界と連携し、多岐にわたる準備を進め、円滑な移転、開場を実現していく所存でございます。
 さらに、私自身、先頭に立ちまして、先ほどのように、豊洲市場の有する多様な魅力を広く発信する、そして、そのことを都民や市場の取引関係者等の理解にもつなげていきたいと考えております。
 こうした取り組みを積み重ねることによりまして、地域の方々に誇りとされ、活気にあふれた豊洲市場を目指してまいります。

○木村委員 次に、強固な財政基盤の確保について質問をいたします。
 政策を持続的に推進していくには、強固な財政基盤の確保が欠かせません。
 都民ファーストの会東京都議団は、本会議での代表質問、予算特別委員会の総括質疑、また委員会でも質問してきましたが、国による都税の収奪はオール東京で反対していかなければならない課題です。
 今、必要なことは、消費税の清算基準の見直しを阻止できなかった原因が、小池知事が国政選挙を戦ったことにあるなどと政争の具に使うことではなく、都民ファーストの視点で、執行機関と都議会が、さらに都民を含め、オール東京で国による都の財源の収奪を許さない体制をつくることです。
 そこで、国による都の財源収奪を許さないことについて、重ねて知事の決意を伺います。

○小池知事 国は、日本経済のエンジンとしての東京の役割、そして膨大な財政需要を抱える都の実情に目を向けることなく、また、これまでの強固な財政基盤の確保に向けた都の努力も無視し、都民の貴重な税金を奪って地方の財源不足に充てるという、まさに不合理な措置を繰り返しているといわざるを得ません。
 加えまして、最近のアメリカ、そして中国との貿易摩擦などの激化、きょうも為替、株式、それぞれ動いておりますけれども、世界経済をめぐる環境への懸念が増す中で、都税収入の先行きというのは予断を許す状況にはございません。都政を預かる者として、大変強い危機感を抱いているところでございます。
 こうした状況を踏まえてみましても、国が意図的につくり出した地方間で財源を奪い合うという構図の中では、巨額の財源不足の問題を決して解決できないということは明らかでございます。
 今必要なことは何か、それぞれの地方自治体が個性や強みを生かして、地域を活性化させることであります。そして、日本全体の活力を底上げしていくことであります。その礎となる地方税財源の拡充という本筋に沿った議論を進めていくことだと、このように確信をしております。
 このため、新たに立ち上げる検討会議でございますが、有識者などを交えまして、こうした都の主張に磨きをかけて、理解と共感の輪を都民、そして全国へと広げてまいりたいと考えております。
 今後とも、私みずから先頭に立ちまして、都議会の皆様を初めとして、都内区市町村などオール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかり連携しながら、あらゆる機会を捉え、都の主張を強力かつ戦略的に展開するなど、新たな偏在是正措置の導入を阻止すべく全力を尽くしてまいります。

○木村委員 ありがとうございました。
 さて、入札改革においては、一者入札の是非が問題となっていますが、東京二〇二〇大会の選手村を整備する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業では、そもそも入札を行っていないとも聞いております。
 選手村建設事業が三井不動産レジデンシャルを代表会社とする計十一社グループの一者となった経緯について、都民にわかりやすい説明を求めます。

○邊見東京都技監 選手村については、東京二〇二〇大会までの限られた時間の中で、選手の宿泊施設となる二十一棟の住宅などを確実に完成させるため、市街地再開発事業を実施し、特定建築者制度を活用して、民間事業者により全ての建築物の整備を進めてございます。
 事業者の選定に当たっては、過去の分譲マンションの供給実績などの条件を設定した上で、都市再開発法に基づき、平成二十八年五月から約二カ月、公募を行った結果、一グループから応募があったものでございます。
 この応募者から提案のあった建物配置計画等の企画と敷地譲り受け希望価格について、法に定める規準により設置した特定建築者選考委員会において、不動産や都市計画の学識経験者などの委員が総合評価方式により適正に審査した結果、同年九月に事業者として決定してございます。

○木村委員 また、岸記念体育会館の移転についても伺います。
 都民の目から見て、都市計画の手法を使うと、日本体育協会は何ら費用を負担することなく建物を建てかえることができるのか、こんなうまい話はないな、こんなふうに映りかねません。そこに行政の政策決定過程に不透明なものがあるのではないかという疑いすら生じかねません。
 そこで、岸記念体育会館移転の発端について、都民にわかりやすく説明していただきたいと思います。

○邊見東京都技監 都は、平成二十二年十二月には、神宮外苑におけるスポーツクラスターの形成について、都の長期計画に位置づけ、国立競技場の建てかえやオリンピック・パラリンピック大会の招致という国家プロジェクトとも連動して、都の政策として従来から取り組んでまいりました。
 日本体育協会は、岸記念体育会館の現地での建てかえを検討していた中で、都は会館の移転がスポーツクラスターの形成という政策目的の実現に資することから、平成二十四年四月に協会に対して移転の検討を行うことを提案し、その後、各関係者と相談、調整を進めてまいりました。

○木村委員 また、平成三十年度予算案に計上されている用地取得費が適正に見積もられているのか伺います。

○西倉建設局長 代々木公園事業に伴う岸記念体育会館の用地取得費は、建設局で行う全ての事業で用います東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づきまして適正に算定いたしまして、平成三十年度予算案に計上しております。
 土地代は、複数の不動産鑑定業者の鑑定結果を踏まえまして、近傍類地の取引事例及び公示地等と比較の上算定し、東京都財産価格審議会の評定を得まして、予算案に計上したものでございます。
 建物等の移転補償費は、まず専門業者の調査及び積算をもとに算定いたしまして、さらにその結果を精査した上で、予算案に計上したものでございます。
 いずれも合理的な手続や積算に基づいておりまして、用地取得費は適正な見積もりでございます。

○木村委員 次の質問に移ります。
 建物の建設費は、運営費も含めたいわゆるライフサイクルコストを考えると、その一部にすぎません。
 今後、ライフサイクルコストを把握することを意識した上で、それを縮減することが都の長期的な財政需要を低減することとなると考えますが、財務局長の見解を伺います。

○武市財務局長 長期的な財政需要の低減のためのライフサイクルコストの縮減を図ることは重要であります。
 都は、主要施設十か年維持更新計画を策定し、施設の改築に当たっては、設計段階からライフサイクルコストを意識して、将来の行政ニーズの変化による用途の変更や設備の更新に柔軟に対応できるよう計画をしております。
 その際、省エネ・再エネ東京仕様で定めたLED照明や、高効率の設備機器を導入することなどにより、ランニングコストの縮減を図っております。
 さらに、建設後も予防保全型維持管理を積極的に実施し、劣化の程度が軽微な段階で修繕を施すことで、効率的に施設の長寿命化を図っております。
 今後とも計画的に維持更新を行い、ライフサイクルコストの縮減に取り組んでまいります。

○木村委員 次に、下水道事業について伺います。
 下水道管の老朽化は社会活動に直結する大きな問題です。
 そこで、下水道管の老朽化に関してどのような計画で対応することを考えているのか伺います。

○渡辺下水道局長 老朽化した下水道管の再構築に当たりましては、建設費と維持管理費を合わせましたライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用することにより、計画的かつ効率的に事業を実施しております。
 具体的には、下水道管の老朽化による劣化状況を調査し、適切な維持管理を行うことで、法定耐用年数である五十年より三十年程度延命化し、経済的耐用年数である八十年程度で再構築することとしております。
 また、中長期的な事業の平準化を図るため、区部を下水道管の整備年代により三つのエリアに分けております。そのうち最も古い都心部の第一期再構築エリアである約一万六千三百ヘクタールにつきまして、平成七年度から優先的に再構築を進め、平成二十八年度末までに累計で約七千三百ヘクタールを完了しております。
 今後、平成四十一年度末までの完了を目指し、下水道管の再構築を積極的に進めてまいります。

○木村委員 区部における平成三十年度の合流式下水道の改善策と高度処理施設の具体的な取り組み及びその投資額について、最後に伺います。

○渡辺下水道局長 まず、合流式下水道の改善といたしましては、雨天時に河川などに放流される降雨初期の特に汚れました下水を水再生センターで処理するため、一時的に貯留する施設の整備などに取り組んでおります。平成三十年度は、引き続き、落合水再生センターなどで貯留施設を整備するなど、約百億円の事業費を計上しております。
 次に、高度処理といたしましては、東京湾や河川に放流される下水処理水の水質を一層改善するため、窒素やリンを削減する高度処理施設の整備を進めております。平成三十年度は、既存施設の改造により水質改善効果を早期に高めることができます準高度処理につきまして、森ヶ崎水再生センターなどで施設の整備に着手するなど、約二十一億円の事業費を計上しております。
 今後とも、合流式下水道の改善と高度処理を積極的に推進することで、良好な水辺環境の創出に貢献してまいります。

○両角委員長 木村基成副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

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