予算特別委員会速記録第四号

   午後六時三十分開議

○両角委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ひぐちたかあき委員の発言を許します。

○ひぐち委員 初めに、障害者施策について伺います。
 現在検討中の障害者差別の解消に向けた条例は、本年十月の施行を目指し、六月の第二回定例会に提案される予定となっております。ダイバーシティー東京づくりの重要な条例であります。私たち都民ファーストの会東京都議団は、これを契機として、個別の分野ごとの障害者施策を大きく前進させていきたいと考えております。
 さて、平成二十八年四月から、障害者差別解消法が施行されていますが、今も障害を持った方々への誤解や偏見など、いまだ不当な差別的取り扱いを受けている事案があるやに聞いております。その意味で、国の法に上乗せして、東京都が障害者差別を解消する取り組みを積極的に行っていくことは大変前向きな前進であります。
 本条例では、合理的配慮の提供、つまり過重な負担にならない範囲で、障害者の行動の妨げを取り除く努力を、事業者へ義務化することがまさにかなめとなっているわけであります。
 そこで、実効性を確保するために、一つ一つの事案に丁寧に対応し、事業者と障害者の間に起きるトラブルを適切に解決していかねばなりません。本条例に盛り込まれる専門相談の体制や紛争解決の仕組みの整備に関する規定について、具体的にどのような整備をしていくのか、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 条例では、都に、差別解消に関し、知識経験を有する広域支援相談員や障害者の権利擁護に識見を有する学識経験者、弁護士、当事者等で構成される第三者機関として、調整委員会を新たに設置することを定める考えでございます。
 障害を理由とする差別に関する相談があった場合には、この相談員が助言や調整等を行い、解決が見込めない場合には、当事者は、知事に対して紛争解決のためのあっせんを求めることができ、知事は、事実を調査し、その結果、必要と認める場合、調整委員会にあっせんを求めるものといたします。
 事業者が正当な理由なくあっせん案に従わない場合には、必要な措置を講ずるよう勧告し、さらにそれに従わない場合、その旨を公表できるようにする考えでございます。

○ひぐち委員 本条例は、多様性のある社会の実現に向けて具体的に進めていくものであります。合理的配慮、そして、そのための体制を整備する、まさに今、答弁がありましたように、勧告や公表までしっかりと行う点については評価をしたいと思います。
 さて、先般の代表質問、我が会派の増子ひろき幹事長による質疑から、本条例では、情報保障の推進を基本的な施策に位置づけ、手話は一つの言語であるとの認識に基づき、その利用が普及するよう必要な施策を、また、障害特性に応じた多様な情報提供の手段が普及するよう施策を講じるとの答弁がありました。
 ただ、ここで私は、手話を言語として位置づけるだけではなく、ろうあ者の方々の多様なニーズに対応できるようなコミュニケーション手段について規定することが必要ではないかと考えます。
 そして、例えば、群馬県、明石市などの自治体における手話言語条例のように、単に手話を言語として認知するだけではなく、聞こえない子供が手話を獲得できる環境を整備し、手話で各教科、領域を学び、手話を国語のように学ぶという教育の観点も大変重要であります。
 そこで、東京都として、障害者差別解消条例の手話言語化に関する規定だけでは吸収し切れない問題について、具体的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 障害者差別解消の取り組みを進めるためには、障害者が円滑に意思疎通できる環境の整備が必要であることから、条例では、情報保障を基本的施策に位置づけ、手話の普及に必要な施策を講じることを定める考えでございます。
 都は現在、障害者総合支援法に基づいて策定をしている障害福祉計画に情報バリアフリーの充実を位置づけ、聴覚障害者の意思疎通を支援するため、手話通訳者、要約筆記者の育成や手話等の普及啓発イベントの開催などに取り組んでおります。
 また、今年度、タブレット端末での遠隔手話通訳をモデル実施しており、来年度からはより多くの人に利用、体験してもらえるよう、都のイベントで活用する予定でございます。
 現在改定中の障害福祉計画にも、ICTを活用した取り組みを初め、さまざまな施策を盛り込む予定であり、聴覚障害者の意思疎通支援の充実を図ってまいります。

○ひぐち委員 やはり今伺っていましても、障害者差別解消条例は、あくまで第一歩であります。いつでも、どこでも対応できるようなICTを活用した遠隔手話通訳、そして、手話の教育環境の整備については、ぜひこれから進めていただくようお願い申し上げます。
 また、福島県郡山市のように、手話言語条例、その中には、災害時における対応、医療機関における普及などの観点も検討されるべきだと思います。
 実際に、東日本大震災において、障害者の死亡割合は健常者の二倍、特に津波の被災地ではさらに差が開き、中でも聴覚障害者の死亡率が最も高い、このようなデータもあります。災害時、リアルタイムの情報は音声中心であり、何をどうすればよいのかわからないのであります。
 これらの課題を解決するためには、障害者差別解消条例を一種の基本条例と考え、障害の特性に応じた個別のニーズを満たす条例を実施条例として制定していくことも検討すべきと考えます。
 では、市場について伺います。
 小池知事は、二〇一六年八月に豊洲市場への移転を延期されましたが、今も当初予定どおり、二〇一六年十一月七日に移転すべきであったという意見もあります。
 そこでお伺いします。
 知事が豊洲市場移転延期の判断をされたことは、大変難しい判断を迫られる厳しい状況の中で、意義の深いものであったと思います。その決断の意義について、知事の見解を伺います。

○小池知事 私が豊洲市場への移転延期を決断した、その理由ということでございますが、改めて振り返ってみます。
 安全性への懸念、建設費の増大、情報公開の不足などなど、豊洲新市場をめぐる疑問が解消されない中で移転を進めること、都民の納得を得られるものではないと、その際、考えたわけであります。
 さまざまな課題について、外部有識者の知恵もおかりいたしました。そして、一つ一つ丁寧に検証してまいりました。
 例えば、主要の建物下に盛り土がなされていなかった問題、市場会計の持続可能性など、これまで議論の対象とならなかった課題にも光が当てられたところでございます。
 都民にオープンな形で検討がなされた、そのことによって、市場移転に係る問題の議論を深めることができたと考えます。
 また、現在行われております追加対策工事の実施など、豊洲市場の安全性をさらに高めることにもつながっていると考えます。
 こうした一連の取り組みでございますが、食の安全を守り、都民の理解と納得を得る上では極めて意義のあるプロセスだったと、このように考えております。

○ひぐち委員 二〇一六年八月三十日、仮に小池知事が豊洲市場への移転延期ではなく、十一月七日に移転すべく、農林水産大臣に移転認可申請していたとした場合、何が起こり得たでしょうか。
 移転認可申請直後の九月初旬には、これまで議会や業者に説明してきた建物地下の盛り土がないことが発覚、その地下水からヒ素と六価クロムが検出されました。また、地下ピットにたまっていた水は地下水であり、地下水をAPプラス一・八に管理するという約束も果たされていないことが明らかになりました。
 そして、操業由来の汚染物質が除去されているかを確認するための二年間の地下水モニタリングの測定結果は、七回目までは……
   〔発言する者あり〕

○両角委員長 ご静粛に願います。

○ひぐち委員 環境基準以下でしたが、九月二十九日の八回目の速報値で環境基準値を超える値が検出されました。
 二〇一六年秋口、このような状況のもとで、果たして市場業者の皆さんが十一月七日の移転を納得されたでしょうか。
 また、こういった状況のもとで、十一月七日の移転認可申請を維持することができたのか、さらには、農林水産大臣の移転認可がおりたかどうか、大きな困難に直面していたものと想定されます。
 それでも豊洲市場移転の認可が行われ、十一月七日に豊洲市場が開場したとします。
 開場後初めて迎える二〇一六年、年末商戦が過ぎたころ、今度は、二〇一七年一月に公表される七十二カ所の井戸で環境基準値を上回る衝撃的な数値が出ます。
 実に、操業由来の汚染物質を除去するという約束が実現されていないことが明らかになりました。これは最悪の場合、豊洲市場の機能がとまり、都民への供給ができなくなるという事態もあり得たと考えられます。
 さらに、平成二十八年度の資料によれば、築地市場の一日当たりの取扱額は、水産物で約十六億四千二百万円、青果で約三億三千四百万円、つまり、一日当たりの取扱額計十九億七千六百万円でありますが、経済的な損失も大変大きかったと想定されるわけであります。
 また、豊洲市場に移転した後に、市場を運営しながら専門委員会が提案した盛り土にかわる追加措置を行うことは困難であったと考えられます。
 このように、さまざまな観点から、小池知事の決断は極めて難しい局面にあって、まさに苦渋の判断をされた、非常に意義の深いものであったと考えます。この点は改めて申し上げます。
 さて、話を今に戻し、今ある課題について伺ってまいります。
 まず、環状二号線の暫定道路についてです。
 先日、築地にて、私もこの現場を確認してまいりました。実際に見てみるとよくわかるのですが、暫定迂回道路の工事は、閉場前に工事ができる箇所と閉場後でないと工事が難しい箇所があります。
 工期を縮めるには、閉場前施工をでき得る限り進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○西倉建設局長 環状第二号線の暫定迂回道路につきましては、豊洲市場への移転完了後約二カ月後に開通させることとしておりますが、環状第二号線の整備効果を早期に発現させるため、また、築地市場の業界団体の皆様などから早期開通の要望を受けていることも踏まえまして、現在、工事手順を見直すなど、工事工程の短縮につきまして検討を進めております。
 本工事につきましては、閉場前に施工が可能となる箇所が増加すれば、工期の短縮に寄与するものと認識しております。

○ひぐち委員 ありがとうございます。閉場前施工が工期短縮に寄与するものであるとの答弁がありました。
 では、日々業務をしておられる市場関係者の皆さんへ、ご理解やご協力をいただく際のアプローチについてはいかがでしょうか。
 市場当局が建設局の取り組みを後押しし、業界団体の皆さんとの調整に汗をかくべきと考えますが、見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 環状第二号線の暫定迂回道路の早期開通は、豊洲市場の円滑な物流を確保する上で、重要な課題であると認識しております。
 このため、現在、築地市場の解体工事と道路整備工事との工程調整など、工期の短縮に向けまして、市場業者への影響等も考慮しながら、建設局とともに検討を進めているところでございます。
 引き続き、建設局と緊密な連携を図るとともに、工事の工程やスケジュールについて、市場業者の理解や協力を得ながら、暫定迂回道路の早期開通に向けて精力的に取り組んでまいります。

○ひぐち委員 早期開通に向けて、市場業者の皆さんのご理解、協力を得ながら精力的に取り組むとのご答弁です。
 豊洲へ移転後も円滑に営業できるか、得意先との関係、経営に支障を来さないか、市場業者の皆さんにとっては死活的に重要な問題であります。ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 さて、平成二十四年の都議会の付帯決議では、築地のまちづくりについては、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限協力することとされています。
 そのような前提のもと、そもそも再開発する際は、埋蔵文化財調査、土壌汚染調査をいつ行うか、そして調査で得たデータこそが再開発のスケジュールに重要であります。
 歴史をひもとけば、明暦三年、西暦一六五七年、江戸の六割を焼き尽くすほどの大火が起きた後、瓦れきを海に沈め大地を削り埋め立てた、広大で新しい土地が築地であります。時はそこまでさかのぼります。
 以降、幾つかの大名屋敷が建てられ、江戸中期には松平定信も隠居し築地に住み、浴恩園と呼ばれる庭園がつくられました。
 この図のように、明治に入ると海軍省を初め、海軍関係の幾つもの施設が集中し、軍艦が停泊できるほどの大きな池もありました。そして一九二三年三月、中央卸売市場法が公布され、関東大震災後の同年十二月一日、東京市によって築地市場が開かれ、その後、中央卸売市場として整備されていくのです。
 戦争中、空襲によっても、その多くを破壊されなかった築地市場でありますが、日本の敗戦、占領下において築地は米軍により、敷地のおよそ四分の一を接収され、一部施設は大規模なランドリー工場に変貌、後、一九五五年、施設は市場へ返還され、現在に至ります。このように築地は、さまざまな土地の歴史を歩んできたのです。
 土地の歴史だけではありません。地下構造も大切なポイントであります。
 現在の築地市場は、地下構造を持つ建物もあり、昨年四月に開催されました第二回市場のあり方戦略本部の資料によれば、事前に把握していれば、建物などで既に破壊されている場所で地下施設をつくる場合など、埋蔵文化財の調査の必要はないのであります。
 こうした歴史や現状は既にわかっております。まずは埋蔵文化財の調査に向けた取り組み、そして、土壌汚染調査についても取り組みを早急に開始するべきだと考えます。
 現状、再開発の建築計画はまだありませんけれども、今、取り組めることは前倒して取り組んでおくべきではないでしょうか。
 土壌や埋文調査の現状を踏まえた上で、今のうちからできるものがあれば、調査に向けた取り組みを進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
   〔発言する者あり〕

○両角委員長 ご静粛に願います。

○邊見東京都技監 都として、まちづくり方針を来年度中に策定し、その後、この方針に基づいて民間事業者からの提案募集、それに伴う必要な都市計画の手続などを進めるとともに、これらと並行して、土壌や埋蔵文化財の調査を進めることを想定してございます。
 調査に向けた取り組みについては、今後必要となる、現場での調査が円滑に進められるよう、民間事業者からの提案募集に先立って、来年度の委託業務を活用しながら、調査計画の検討など、準備を進めてまいります。

○ひぐち委員 ありがとうございます。来年度の委託業務も活用しながら、先んじて調査に向けた取り組みを進める予定との明確な答弁でありました。ぜひともよろしくお願いいたします。
 もちろん埋蔵文化財調査については、時間がかかることも想定されます。また、土壌調査の結果、汚染が見つかった場合にも対策工事が必要になります。
 これらについて、効率的に進めていく必要があると思いますが、所見を伺います。

○邊見東京都技監 土壌汚染や埋蔵文化財調査は不確定要素でありますが、さまざまな工夫を行い、できる限り早期の着工を目指してまいります。
 例えば、埋蔵文化財調査では、汐留地区の開発の際に、地区内を複数の街区に区分し、街区ごとに埋蔵文化財の調査を実施し、先行街区で早期に着工しているなどしてございます。
 また、土壌汚染の対策工事については、通常、事業着手後に、本体工事の中で掘削除去や封じ込めなどの対策を実施することになります。
 先行事例なども参考にしながら、今後、民間事業者との役割分担等について検討し、民間の知恵やノウハウも活用しながら、しっかりと取り組んでまいります。

○ひぐち委員 これら調査や工事は、再開発を進める上でも、二号線をつくる上でも大変重要であります。効率的に進めなければなりません。
 さて、先般の我が会派の代表質問では、築地市場跡地における工事に関する答弁がありました。
 騒音、振動対策、作業時間、アスベスト飛散防止など、近隣の方々への影響が最小限になるよう対策を講じ、周辺交通への影響にも配慮し、工事車両の抑制にも取り組み、その上で、近隣の方々へ事前に十分な説明を行うとのことです。
 私たちは、築地場外業者の方々からもヒアリングを行っています。
 工事は築地市場の解体工事、そして、オリ・パラのためのデポ建設工事があるわけですが、そこで具体的に伺ってまいります。
 解体工事に際し、事前説明を行う近隣の方々とはどこを対象とするのか、都の所見を伺います。

○村松中央卸売市場長 解体工事の事前説明の対象となります近隣の方々の範囲については、中央区の要綱では、敷地境界線から、解体の対象となる建築物の高さに相当する距離の範囲内の居住者や事業者、または公共施設管理者とされております。
 築地市場の解体工事は非常に大規模な工事でございますので、近隣への影響も大きいことから、この範囲を超えて、築地地区などのまちづくり協議会や近隣町会、場外市場などの方々を対象に、事前に丁寧な説明を行っていく予定でございます。
 具体的な進め方につきましては、今後、中央区と連携して、遺漏のないよう対応してまいります。

○ひぐち委員 東京都として事前説明を行う近隣の方々について答弁をいただきました。
 築地において、築地での食文化の拠点が継承される再開発を進めるに当たって、移転後、築地再開発が終わるまでの間、築地場外市場のにぎわいを維持していかなければなりません。その意味で、場外市場の経営存続は極めて重要であります。
 当事者である東京都は、近隣住民、そして事業所だけでなく、築地のにぎわいを継承していく場外市場の皆さんに、ぜひ膝を突き合わせて説明する真摯な対応が必要だと思います。
 では、具体的に築地解体工事、デポ建設工事に当たって、地元住民や場外市場への影響を及ぼさないよう、騒音、振動、粉じん、ダンプの通行時間やルート、工事時間、交通渋滞緩和などについて、どのような資料を用意し、どのように地元に説明を行い、いつごろ説明会を開催していく予定か、そのための予算はどう措置されているのか伺います。

○村松中央卸売市場長 築地市場の跡地においては、建物の解体工事を行い、順次、車両基地整備工事を行うこととなっておりまして、工事車両の通行時間帯や経路、騒音や振動の範囲や程度が日々変わるなど、複雑な状況となるものと考えております。
 そのため、早期に近隣の方々への対応を図るとともに、具体的な工事内容やスケジュールなどを盛り込んだ、わかりやすい説明資料を作成する予定としております。
 こうした資料を活用し、築地地区などのまちづくり協議会や場外市場などの方々への説明会を、解体工事の契約締結後、順次行ってまいります。
 なお、これらに要する経費は、工事の予算に含まれております。

○ひぐち委員 今、時期については早期にと、しっかりご答弁いただきました。
 大変大規模な工事ですから、ぜひとも四月、遅くとも五月には、早期に近隣の方々への対応をお願いしたいと思います。
 次に、場外市場からの要望への対応についてです。
 都は、築地市場移転後に中央区に対して暫定貸付を行うこととしていますが、場外市場からは、いつから利用を開始できるのか心配する声が上がっています。また、さらなる駐車場の確保や冷蔵庫の使用などの要望も出されています。
 これらの要望に、中央区とどのように対応していくのか伺います。

○村松中央卸売市場長 中央区に対する暫定貸付は、築地地区における来街者及び事業者の駐車場や荷おろし場として、築地市場跡地の一部を有効活用するものでございます。
 現在、中央区におきましては、場外事業者の意見も聞きながら、貸付地内の必要な設備などについて検討しておりまして、都といたしましては、今後、区と具体的に協議をしてまいります。
 また、当該地区のにぎわいを継承する観点から、貸付地の速やかな利用開始は重要であると認識しておりまして、区と調整しながら、移転後、可能な限り早期の貸し付けを目指してまいります。
 引き続き、築地の活気とにぎわいが途絶えることのないよう、区の意向を踏まえながら、相互に連携して取り組んでまいります。

○ひぐち委員 これらの要望対応には、区との連携が欠かせません。こちらもぜひ対応を続けていただけるよう、お願いいいたします。
 さて、本年十月十一日、豊洲市場の開場まで七カ月を切りました。移転準備を本格的に進めていく状況においては、市場業者の皆さんとの連携が極めて大切であります。
 我が会派は、市場業者の皆さんに寄り添うべく、東京魚市場卸協同組合、東卸の皆さんからも直接要望を伺っており、私たちも都へ予算要望いたしました。実際、本年一月には、追加での移転支援案が出されています。
 まさに移転の取り組みを進めるに当たっては、市場業者の皆さんに対する支援が不可欠であります。三十年度予算において、どのような移転支援策を行うのか、伺います。

○村松中央卸売市場長 都では、市場業者の移転に関する経済的負担を軽減するため行ってまいりました制度融資に対する利子補給事業や融資事業、環境・省エネ設備導入に対する補助事業などの移転支援策を平成三十年度も延長して実施することとしております。
 また、新たな支援を追加いたしまして、円滑な豊洲市場への引っ越しや築地市場の閉場対応に向けた取り組み、豊洲市場の魅力発信や販路開拓など、取引の活性化に資する事業を業界団体と連携して実施することとしております。
 今後、業界団体と協議を行い、これらの移転支援策や活性化策などの具体化に向けまして、取り組んでまいります。

○ひぐち委員 今、融資事業や省エネ設備の補助など、まさに多くの市場関係者が活用していると聞いています。
 また、市場関係者からは、豊洲市場の魅力発信や取引の活性化に向けて、都民だけではなく、取引先や産地や小売への働きかけが重要だと伺っています。
 そうした要望を受け、この連携事業では、イベント、各種PR、新たな販路開拓、拡大のための展示会など、さまざまな事業展開が可能となり、業界が豊洲市場の活性化に向けてみずから取り組むことに意味があるのではないでしょうか。
 今後とも、引っ越し対応、閉場対応も含めて、都は、市場関係者にしっかりと寄り添いながら手厚いサポートを行い、豊洲市場の円滑な移転と開場に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 では、買い回り支援について伺います。
 先ほど、豊洲市場については、かねてより、五街区と六街区の買い回りを改善してほしいとの声が寄せられていました。買い回り支援のシャトルバスの運行費用も今回の予算で計上されています。
 このシャトルバスの運行に当たっても、業界としっかり調整して進めてほしいと考えますが、都の見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 都はこれまで、五街区と六街区の買い回りに配慮して、歩行者デッキや連絡ブリッジなどの歩行者動線を確保するとともに、車両での買い回りのため、荷さばきスペースを六街区に設置するなどの施設整備を行ってきたところでございます。
 こうした取り組みに加えて、来年度は、試行として、五街区と六街区を結ぶシャトルバスを運行する予定でございます。
 今後、シャトルバスのコース設定、運行方法といった詳細な内容につきまして、業界団体と緊密に調整し、豊洲市場の使い勝手の向上を図ってまいります。

○ひぐち委員 次に、習熟訓練について伺います。
 先ほど細田委員の質疑にもありましたように、業界団体からは、習熟訓練の結果を踏まえて、さまざまな意見が寄せられていると聞きますが、こうした意見については、真摯に受けとめ、丁寧に対応していただきたく、開場に迫る時期など、開場までに対応することが難しい場合もあるかと思いますが、そうした場合は、開場後も含めて対応していただきたいと考えます。都の見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 現在、各業界団体は、大型トラックやトレーラーを走行させ、物流動線等の確認を行うなど、創意工夫を凝らしながら習熟訓練を行っておりまして、こうした訓練を踏まえて、場内サインの改善など、具体的な意見が寄せられております。
 都といたしましては、業界からの意見をしっかりと受けとめた上で、交通標示などをよりわかりやすくする方策など、必要な対応について検討してまいります。
 また、お話のように、開場までの対応が難しい意見があった場合には、業界団体と意見交換を行いつつ、開場後も見据えて検討を進め、市場開設者として適切に対応してまいります。

○ひぐち委員 移転までの期間が限られる中で、業界による造作工事や引っ越し準備などの作業も本格化していきます。市場業者の方々の準備をしっかりと進めてもらう必要があり、一方で、どのように準備を進めたらよいのかわからず、不安を抱える業者の方もいるはずです。
 こうした方々に対して、親身になって対応してもらいたいと考えますが、都の見解を伺います。

○村松中央卸売市場長 限られた移転までの期間の中で、造作工事や引っ越し作業といった移転準備を円滑に進めていくためには、個々の市場業者による取り組みをきめ細かく支援する必要がございます。
 このため、まず、造作工事については、七日間にわたり、業界別に造作説明会を開催いたしまして、必要な手続等を丁寧に説明するとともに、申請手続を行っていない方々に個別に働きかけるなど、市場業者による取り組みを促しているところでございます。
 また、引っ越し作業につきましては、先月、引っ越し相談室を開設したところであり、これを有効に活用し、個々の事業者の抱える課題に応じて適切な相談対応を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、さまざまな状況を抱える個々の事業者に丁寧に寄り添いまして、移転に向けた準備作業をしっかりと支えてまいります。

○ひぐち委員 幾つか円滑な移転、開場に向けた予算案について伺ってまいりましたが、これからも不安を抱える方々に寄り添い、親身に、丹念に対応していただくようお願いいたします。
 さて、先般の我が会派の伊藤ゆう理事の質疑にて、築地の車両基地において交通管制などの機能を設置する旨の答弁をいただきました。
 警視庁には交通指令センターがあり、巨大モニターによってパトカーの位置などが一目瞭然となっております。こうした警視庁の管制技術は、車両基地及び車両を統制する上で大変参考になると考えます。
 そこで、大会輸送の輸送センター設置に当たっては、警視庁の協力を仰ぎ、高い先進技術を導入すべきであると考えますが、所見を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 大会時の安全で円滑な大会輸送を実現するため、警視庁などの交通管理者や道路管理者、鉄道事業者など、交通にかかわる関係者の知見を生かしていくことは重要であると認識しております。
 そのため、大会時には、鉄道、道路等の状況などを把握し、大会関係者や観客等の輸送運営を担う輸送センターを大会組織委員会と共同で設置することとしております。
 この輸送センターの具体的な機能やシステムについて、警視庁などの交通管理者や道路管理者等の関係機関と調整を進めまして、安全で円滑な大会輸送の実現に努めてまいります。

○ひぐち委員 さて、今後、晴海地域には環状二号線が開通するとはいえ、選手村が予定されるエリアは、地下鉄などの公共交通に恵まれているとはいえません。大会終了後には五千六百五十戸のマンション販売が予定され、新住民が移り住むことになりますから、日常生活を支える交通インフラや飲食店など、今後、整備が求められております。
 選手村後の住宅は、レガシーの代表格といっても過言ではありません。販売の苦戦がないようにしなければなりません。その大前提は、地元住民の理解であります。まちづくりは長期間にわたるものでありますので、地元の皆さんへの説明や配慮を特に求めておきたいと思います。
 そこで、大会後の選手村の将来に向けたまちづくりの取り組みについて伺います。

○邊見東京都技監 大会後の選手村については、海に開かれ、都心に近接した晴海の立地特性を生かして、人々が交流し、都市生活を楽しむことができる成熟したまちにつくりかえてまいります。
 具体的には、単身者や子育てファミリーに加え、シェアハウスや高齢者向け住宅など、多様なニーズに対応した幅広い住戸バリエーションを設けるとともに、商業施設、保育所、スポーツ施設など、地域の生活を支え、にぎわいを生み出す施設の導入を図ってまいります。
 また、選手村と隣接して、マルチモビリティーステーションとなる交通広場を整備して、路線バスを初め、新たなバス輸送システムであるBRTやシェアサイクルなどの導入を支援し、暮らしの足を支えてまいります。
 今後とも、地域の理解と協力を得ながら、選手村の整備と大会後のレガシーとなるまちづくりに取り組んでまいります。

○ひぐち委員 最後に、島しょについて伺います。
 魅力の発信という意味では、東京の島しょ部の魅力にも知事は注目され、東京宝島推進委員会を立ち上げ、戦略的なプロモーションに取り組んでいくこととしています。
 やはり、行ったことのない人に島の魅力を伝えることが大事です。聞くよりも見るが効果的で、島の魅力を最大限に引き出した映像の作成は費用対効果が高いものと思います。
   〔発言する者あり〕

○両角委員長 ご静粛に願います。

○ひぐち委員 さらに、その映像を、二〇二〇年大会に向けて、例えば、航空会社の協力のもと、来日する旅客機の機内で放映してもらうなど、さまざまなメディアを活用した旅行者に対する戦略的な発信が有効と考えます。
 知事の島に対する魅力発信にかける思いを伺います。

○小池知事 島しょ地域に対するご質問をいただきまして、まことにありがとうございます。
 東京の島しょ地域というのは、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた、大変個性豊かな地域でございます。実際に現地を訪れますと、本当にすばらしい景観、そして、特産品などの宝物にあふれていることがよくわかります。
 先月は、神津島を訪問いたしました。島民の方々が暮らす十一の島々のうち、十の島を訪問することが、これでできました。
 東京二〇二〇大会に向けましては、東京への注目が高まるこの機会、絶好の機会でございます。島の隠れた魅力を発掘し、そしてまた、その魅力が十分に伝わるように、最新の映像技術なども活用いたしまして、広く発信していこうと考えております。
 そして、このため、今お話にありましたように、いろいろな協力を得ていきたいと思っております。
 例えば、航空会社と協力した取り組みでございますけれども、海辺の温泉などの絶景スポットがございますが、そこをドローンで空撮をいたしまして、機内番組として、現在、もう既に放映中となっております。
 そして、島の魅力を満載いたしましたPR映像を作成いたしまして、ウエブサイトやSNS、そして、空港のサイネージなどを通じて紹介をしているところでございます。
 来年度は、島しょのダイナミックな自然やダイビングといったアクティビティーなど、実際に体験しているような臨場感の高い三百六十度VR映像を新たに制作いたしまして動画サイトで発信するほか、旅行博などさまざまなイベントで活用していく所存でございます。
 ちなみに、東京に島があるといいますと、海外の友人たちはみんなびっくりいたします。ぜひしっかりと発信をして、そして、すばらしい宝物探しをみんなで進めていきたいと思っております。
 ご指摘も踏まえながら、さらなる旅行者の誘致を進めるなど、島しょ地域の活性化に積極的に取り組んでまいります。

○ひぐち委員 これまで、知事、そして関係各局へ質疑を行ってまいりました。
 私は予算や議案を審査する立場でありますが、知事、そして執行機関である皆さんと、都民のために、都政にとってベストを最後まで追求し続ける点では違いはありません。
 私自身も、公のために奉仕する、この気持ちも同じであります。
 しかし、そのためにも、時には厳しいご指摘、厳しい提案もさせていただきます。
 ましてや今、二〇二〇年がいよいよ迫る中で、私は都民のための都政を、ぎりぎりと着実に動かし、皆さんとともに、そして知事とともに、一つ一つ課題を乗り越えていきたいと、心から、そして強く思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)

○両角委員長 ひぐちたかあき委員の発言は終わりました。

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