予算特別委員会速記録第四号

○両角委員長 中山ひろゆき委員の発言を許します。
   〔委員長退席、木村副委員長着席〕

○中山(ひ)委員 私からは、大きく三点について質問させていただきたいと思います。
 まず医工連携についてであります。
 この医工連携というのは知名度が低いわけなんですが、ものづくり中小企業の医療機器産業への参入支援ということでございます。
 これは、国でも成長戦略の一環といたしまして、平成二十五年の六月に閣議決定をされております。背景にあるのが、医療機器産業は景気に左右されず堅調な成長が期待できることや、国内市場が大変大きいことと、世界の市場も大変大きいということであります。
 特に、この日本においても、二兆八千億という市場を持っているわけでございます。世界を見れば、新興国が台頭しておりますので、五十兆円、大きな市場を持っているわけでございます。
 こうしたことから、平成二十七年度から都は、医療機器メーカーのニーズ、そして、お医者さんだとか、あるいは臨床機関、このニーズと、一方では、この中小企業のいわゆるシーズ、技術をマッチングすることを基本にいたしまして、施策を取り組んできたわけでございます。
 そこで、医療現場で使われている医療機器のニーズや市場を的確に把握することは難しいという点、さらに、安全性を担保するための厳しい規制をクリアする必要がある点も踏まえ、都内のものづくり中小企業の医療機器産業への参入を進めるためには、さらなる後押しをすべきだと考えますが、産業労働局長の答弁を求めます。

○藤田産業労働局長 都では、平成二十七年度より、中小のものづくり企業が医療機器の製造や販売を行う会社と協力し、病院の現場ニーズを把握し、製品開発につなげる取り組みを支援しております。
 これまで、医療機器の開発に向けて、中小企業が製品の性能等に関する要望を大学病院の医師等から直接聞くための研究会を十四回開催いたしました。また、こうした場などを通じまして収集いたしました約五百件に上るニーズをデータベースに登録し、ホームページで公開することにより、中小企業が製品開発のテーマを探し出し、医療機関と相談するきっかけを提供しております。
 今年度からは、中小企業の人材育成のため、社員が医療機器の開発や販売に必要となる知識を体系的に継続して学ぶ講座を設けまして、八十九名が参加しているところでございます。

○中山(ひ)委員 先ほど、国の成長戦略にも位置づけられているというお話をしましたが、全国の医療機器メーカーの四割が、この東京都にあるということから、平成二十七年度からスタートをいたしました、これまでの実績と今後の事業展開について、確認をさせていただいた次第でございます。
 先ほど、市場規模について私触れたんですが、市場規模が大きい分、期待は高いものの、どうしても国内市場はもとより、世界市場においても、アメリカや、あるいはヨーロッパ群に後塵を拝しているというのが実態なようであります。
 特に国内市場では、診断系、つまりMRIだとか、あるいは血液の検査装置だとか、あるいは内視鏡、こういうものに関しては、輸出の方が多いわけなんですが、どうしても治療系の機器は、輸入が二・四倍という状況にあって、治療機器においては、おくれをとっていることがうかがえるわけでございます。
 そもそも、医療機器産業参入には高い参入障壁があることが指摘されております。それは、複雑な法規制であったり、販路開拓の困難さや事業化までに要する時間の長さだそうであります。
 特に、これまで指摘されていたのが、アメリカでは医療機器の申請から承認まで、約十四カ月が基本的な期間だったわけですが、一方で、日本は三十三カ月という長い期間がかかっておりました。そのうちに、日本のメーカーは、長い審査期間と高い審査費用を費やしている間に、欧米メーカーが特許を取って市場を押さえてしまうといったことが続いていたわけであります。
 しかし、こうしたことから、状況を踏まえつつ、成長戦略の一つでもあるため、国は、審査員の増員に加え、タイムラグは大分解消されていると聞いております。
 そこで、開発支援や販路開拓により、医療機器産業への参入は着実にふえていると考えますが、都内の医療機器産業のさらなる活性化に向けて、増大する医療機器ニーズを着実に取り組むためには、都内の中小企業による高度管理医療機器の開発を後押しする取り組みも必要と考えますが、見解を伺います。

○藤田産業労働局長 高い性能や安全性を求められる先端医療機器の開発には、多くの資金が必要となります上、幾つかの段階を踏むため長い期間を要しますことから、意欲を持ってこれに取り組む中小企業への支援を、来年度新たに開始いたします。
 具体的には、中小企業が先端医療機器の開発と事業化を図る計画を公募により三件選び、まず、その内容のレベルを高めるため、医療や技術分野の専門家による助言等の支援を三年間で集中的に行います。このうち最も有望な計画を一件選定いたしまして、二年目以降、開発経費の三分の二を上限に三年間で最大三億円の助成を行ってまいります。
 また、計画どおりに開発が進み、実用化に向けた臨床試験などをさらに進める必要のある場合には、助成の制度を再び利用できる仕組みとして、中小企業の取り組みを支援してまいります。

○中山(ひ)委員 高度管理医療機器は、一般的に治療機器だというふうに思います。非常に成長率が高いということと、市場も大変大きい。都の取り組みについては評価をしたいというふうに思っております。
 ここで重要なのは、やっぱりコーディネーターをする人材確保。ここをさらに強化するべきだというふうに思っておりますので、そこをお願いしたいというふうに思っております。
 従来型の医工連携スキームというのが、どちらかというと、お医者さんと臨床機関が、直接ものづくり中小企業に依頼をして、開発をすると。開発をしたものをメーカーに持ち込むと断られてしまうといったケースも多々あったと聞いております。
 つまり、医師や臨床機関のニーズのみであって、市場のニーズを顧みずに製品開発をしても、市場は受け入れてくれないということであります。
 今回、都の医工連携スキームというのは、医療機器メーカーを一つの軸にしてスキームを立てている点だというふうに思います。
 ただ、医療機器メーカーの経営者にお聞きしたところ、だからといってメーカー側がお医者さんにご用聞きをしても、なかなかニーズを的確に見きわめられないということも聞いております。つまり、一人の医師の認識が、全ての医師のニーズであるとは限らないそうであります。
 さらに、この医療現場のニーズを分析、把握したことに加え、製品の機能や経済性、医療現場に対する貢献度、これからの医療政策の方向性などを総合的に検討し、新たな市場を創造したり、製品の市場価値を高める事業戦略を描くことも重要と考えております。
 そこで、都は、参入を一層促進するために、具体的な成功事例を創出するべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○藤田産業労働局長 都は、中小の製造業による医療機器の開発が早期に実用化に結びつくよう、日本橋にサポート拠点を設け、医学関連情報の提供や製品の特許取得に関する専門相談を実施しております。
 また、同拠点には、製品の試作ができる3Dプリンターを設置しておりまして、中小企業と医療関係者が相談をしながら、試作品に改良を加えることのできる場を提供しているところでございます。
 さらに、中小企業が医療機器の製造や販売を行う会社と協力して取り組む具体的な製品開発に対し、その経費の三分の二を五千万円を上限に助成しております。
 今年度は、歯科治療において、見えにくい患部を拡大し高画質でモニターに表示できるカメラの製作など、十三の案件を採択し、専門家によるアドバイスも行いながら実用化に向けた支援を行っているところでございます。

○中山(ひ)委員 医工連携事業による中小企業の参入促進においては、どちらかといえば、ものづくり中小企業が集積している大田区を初め、市区町村へのアプローチも有効だというふうに考えます。現場レベルで参入促進を図っていただきますよう求めておきたいと思います。
 これまで質問をしてきた中で、ものづくり中小企業の技術、そして、臨床機関や医療機器メーカーのニーズをマッチングする施策を軸にして、法規制や市場との対話など数々の困難を乗り越える中で、事業展開を進めている点は評価するものであり、中小企業対策として大変意義が大きいということが明らかになってまいりました。
 そうした事業を進めていく上で、先ほどお話ししたとおり、新興国が経済成長する中で、二〇一九年には、五十兆円の市場になるといわれている世界市場も視野に入れていかなくてはなりません。
 もっとも、新たに参入する企業にとって、この海外でのビジネス展開は大きな課題であって、市場の動向を知ることは重要であります。
 そこで、海外への販路開拓の取り組みについては、どのような取り組みをされているのか伺いたいと思います。

○藤田産業労働局長 都は、海外での今後のニーズの大きな伸びの期待される医療機器につきまして、中小製造業の販路の確保をサポートするため、今年度より、外国で開催される展示会に、ものづくり中小企業が出展する支援を開始したところでございます。
 具体的には、ドイツで十一月に開かれました国際的な医療機器等の見本市に十社の出展を支援し、技術力のPRや商談を行うためのサポートを行いました。
 また、中小企業振興公社の販路開拓支援により、一月から二月にかけ、中東のドバイで行われました先端医療系の大規模展示会に十五社が参加し、海外市場に詳しい専門家による助言のもと、現地での商談を行ったところでございます。
 こうした取り組みにより、今後とも、海外市場で中小企業が開発した医療機器の販路開拓を支援してまいります。

○中山(ひ)委員 この海外の販路開拓も、実際は長い期間を要する、忍耐強く進めていかなければなりませんし、当てが外れるといったことも多々あると思います。
 質問してきたとおり、臨床ニーズを把握することから始まって、申請、承認、保険適用の申請審査など、本当に忍耐強く進めていかなければならず、大変長い時間を要する事業であります。
 しかし、国内、外国ともに市場規模が大きいことに加え、中小ものづくり企業の強みである小ロットにも対応できることや、国内の大手の医療機器メーカーが選択と集中をしているために、中小企業にも、この間隙を狙うチャンスがあるのではないかといわれているわけであります。
 そこで、ものづくり中小企業に対して、知事はどのようなご認識をお持ちか、伺いたいと思います。

○小池知事 すぐれた技術力で製品開発を目指す中小ものづくり企業、そして、きらりと光る下町の小さな工場などは、お地元を含めまして、東京の経済と雇用を支える産業の発展にとって欠かせないものでございます。
 東京の活力を将来にわたって持続していくためにも、中小の製造業が新たな時代にふさわしい製品を、例えば従来にないような発想であるとか、創意工夫をすることで生み出せるように、積極的にサポートしていくことが大切だと考えております。
 例えば、お話がありますように、最先端の医療機器の分野、生き馬の目を抜くような産業ではございますが、意欲ある中小企業が、高度で専門的な知見を持つ大学、そしてまた医療機関と協力して、長期にわたる製品開発に果敢に挑戦できるような、そんな後押しをしてまいります。
 また、独自の技術やアイデアを持つ中小企業やベンチャー企業が、豊かな経営資源を有する大企業と連携することによって、革新的な製品を開発して、そして新たな市場をつくり出すような、そんな取り組みを支援してまいります。
 都といたしまして、新たな事業展開に取り組むこうした中小企業の成長を後押しをする、そして東京のものづくりを下支えしているすぐれた基盤技術を持つ中小零細企業を、引き続き、経営、そして資金、人材育成などの面からしっかりと支援をしてまいります。

○中山(ひ)委員 知事、ありがとうございました。
 きょうは、この医工連携事業について取り上げさせていただきましたが、今、答弁いただいたとおり、中小企業対策というのは多岐にわたっているといえるというふうに思います。
 我が会派の代表質疑にもあったように、江戸東京きらりプロジェクトも、東京の貴重な財産である中小企業のたくみの技術や、食の文化を内外に発信するもので、これも中小企業施策といえるというふうに思います。
 さらに、中小企業の経営者というのは、経理もやらなければいけない、あるいは総務もやらなければいけない、営業あるいは金融との取引もしなければいけないということでございます。そういう面では、転ばぬ先のつえとして、相談窓口業務ということも大変重要な施策だと私は思っております。
 医工連携事業についても、大変長く時間がかかりますから、粘り強く事業展開を図っていただくようお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問は、地上機器についてです。
 私がいうこの地上機器とは、電柱の地中化に伴う配電地上機器でありまして、都でも、防災や景観の観点から、小池知事が就任以来、無電柱化を推進し、昨年九月、都道で新たな電柱設置を禁じる無電柱化推進条例が施行されました。
 また、先般、無電柱化計画の素案を発表して、これまで以上に重点地域を拡大するとのことであります。
 都内では、現時点でも、この地上機器とされるものが二万五千基以上あるといわれております。
 先日、上野恩賜公園でイベントがありまして、上野恩賜公園をとことこ歩いていたわけなんですけれども、こちらの方を発見したんですね。(パネルを示す)これはシャンシャンとシンシンで、いつもどおりお父さんのリーリーがいないということでございまして、私もお父さんとして大変心苦しいんですけれども、いつも二匹ということであります。
 そのものの地上機器をラッピングしたことで、本当に景観が明るく感じたわけですが、上野公園内に設置されているラッピングされた配電地上機器は何だろうというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

○西倉建設局長 上野恩賜公園内にございます配電地上機器は、公園内の施設への電力の供給等を目的に、東京電力パワーグリッド株式会社が設置したものでございます。
 本機器には、委員お話しのとおり、パンダのイラストがラッピングされておりますとともに、その上部には、動物園等、園内の施設の情報を配信いたしますデジタルサイネージが設置されておりまして、都が一体として占用を許可してございます。

○中山(ひ)委員 ありがとうございます。
 上野恩賜公園内には、同じように、国立西洋美術館が世界遺産化されましたら、それを記念にこうしたラッピングもされているわけでございます。(パネルを示す)これは区が設置しておりますから、公共性が高いものと認められているわけであります。
 地元の浅草においてもちょうど、伝法院通りといった通りがあるわけなんですが、ここは江戸町風の景観になっているんですけれども、やっぱり浅草公会堂の横に装飾をした地上機器もありまして、江戸町の景観に調和しているわけであります。
 このように、パンダのイラストと同様に、まち中、道路でも配電地上機器のラッピングをよく見かけるわけでありますが、屋外広告物条例においてどのように位置づけられ、表示等されているのか、ご説明をしていただけますでしょうか。

○邊見東京都技監 パンダのラッピングのような広告物を民間事業者が表示する場合、屋外広告物条例上の道路や公園等の広告禁止区域でも、安全性の確保など一定の条件に合うものについて、特例許可を受け、表示することが可能でございます。
 また、国または公共団体が、お話のように、公共目的を持って地域イベントの情報などを表示する場合は適用除外となり、表示が可能でございます。
 なお、今後、民間事業者が配電地上機器に表示する商業広告についても、特例許可によらず、一定の条件のもと、通常の許可で可能となるよう、広告物審議会の意見を聞きながら検討を行ってまいります。

○中山(ひ)委員 気づかれにくいところでありますけれども、本当に前向きな答弁でありました。
 つまり、何でもかんでもラッピングできないけれども、公共性が高いものであれば積極的に行ってよいということだというふうに思います。きょうは要望にとどめますけれども、そういう意味では、きょうは各局長さんもおられるわけでございますので、念頭に置いてご活用いただきたいとお願いをいたします。
 しかも、先ほど、デジタルサイネージが上に乗っかっていたんですけれども、大変頑丈にできておりますので、さまざまなことに活用できるというふうにも思います。
 また、私が一つ思うのは、この電柱の地中化に伴うさまざまな困難があるわけであります。
 きのうも本橋理事の方から質問がありました。本当に、掘り返したり、また埋め戻したり、あるいは、夜間やらなければいけないからうるさいとか、埋設物があるから大変だとか、そういういろんな障壁があるわけなんですけれども、この地上機器も、自分の家の前に設置するならば反対だという方もいらっしゃるんですね。
 そういう面では、理解を進めるためにも、活用をぜひ進めていっていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
 最後の項目で、観光振興について質問をさせていただきます。
 都では、観光をめぐる状況の変化に速やかに対応しながら、観光産業振興を戦略性を持って総合的に展開していくため、PRIME観光都市・東京、観光産業振興プランを策定いたしました。
 プランの策定の意義はと書いてあるんですけれども、人口減少と少子高齢化によって、我が国における今後の内需の大幅な期待ができなくなる中、東京の将来に向けた持続的な成長と発展を実現する上で、観光の果たす役割の重要性はこれまでになく高くなってきたと書かれております。私もまさにそのように思うわけであります。
 顧みますと、日本人をターゲットにいたしまして、いち早く市区町村では、観光課などもつくって施策展開に取り組んできた地域もあったんですけれども、もちろん、それはそれとして重要なんですけれども、一方で、この日本人をターゲットにした施策というのは、ある程度、成熟してきたというふうにも思うわけであります。
 今後は、この訪日外国人観光客をターゲットにした受け入れ環境整備を加速度的に進めなければいけないと思います。そうすると、もう広域行政の役割というのが、大変私は大きくなっていく、ますます大きくなっていくというふうに思います。
 そこで、都は、先月公表したPRIME観光都市・東京、観光産業振興プラン二〇一八では、インバウンドの誘致に向けて、欧米豪、東アジア地域など三つの市場別旅行者数の目標値を新たに設定しています。
 二〇二〇年に二千五百万人という目標の実現に向けて、観光振興にさらに取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 東京はご指摘のように、国際的な観光都市として世界で高い評価を受けておりますが、今後さらに東京が持つ宝物に磨きをかけて戦略的に発信することによって、より多くの旅行者をお迎えしたいと考えております。
 外国人旅行者数二千五百万人という高い目標を設定いたしておりますが、その目標を達成するために、欧米豪、オーストラリアですね--の富裕層、そして東アジアのリピーターなど、市場ごとの特性を踏まえたプロモーション活動を展開してまいります。
 それから、新たな視点に立って、例えばライトアップをするとか、夜間のまち並みを演出する、まちを歩きながら、江戸から続く地域の歴史や文化を再発見する取り組みなどを進めてまいりたいと考えております。
 あわせまして、世界各国からの旅行者が快適に観光を楽しめるように、先ほどもサイネージがありましたけれども、こういったICTの技術を活用した多言語対応の充実を図る、また、ムスリムの旅行者の受け入れに向けた対応、ハラールなどですね--多様な文化、そして食、そして習慣などに配慮いたしました環境の整備を加速させてまいります。
 東京二〇二〇大会とその先を見据えまして、世界最高の観光都市東京の実現を目指してまいります。

○中山(ひ)委員 知事の答弁でもありましたように、やはり国際観光都市をつくっていくというのは、政策の総動員だというふうにも思いますし、広域行政の役割というのが本当に大きくなってきたという認識を持っております。
 国際観光都市の機能そのものを高めるためには、広域行政といたしまして、産業労働局だけでは役割を達成できるものではありません。まさに、充実した交通網であれば交通局がやらなければいけないし、また二〇二〇年には、港湾局で、クルーズ客船ふ頭も完成が目の前に迫っているわけであります。文化芸術においては生活文化局、そして、最も大切な安心・安全と、さまざまな要素がかみ合って国際観光都市としての機能を果たすというふうにも思うわけでございます。
 もう一つ、他の国にない強みというのは、やっぱり東京都の財政力であったり、行政力だというふうにも思うわけであります。
 そこで、産業労働局だけでは役割を達成するものではなく、庁内各局が連携し、一体的な施策の推進が必要であることから、産業労働局が横串を刺す役割を果たすべきと考えますが、所見を伺います。

○藤田産業労働局長 都は、急増する外国人旅行者への対応に向け、庁内各局での事業実施に加え、新たな課題の対応に当たりましては、組織横断的なプロジェクトチーム等を設置いたしまして、観光振興の取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、外国人旅行者が観光情報等を容易に入手できるよう、都立施設において、共通の手続で利用する無料Wi-Fiサービスの提供や、MICE誘致に有効な手段となりますユニークベニューに美術館や都立公園等を積極的に活用する取り組みなどを行っているところでございます。
 引き続き、各局と十分に連携を図りながら、観光振興施策を推進してまいります。

○中山(ひ)委員 私たちのまちだけではなく、このごろは観光バスがもうあふれ返っているわけでございまして、台東区においては、もうあふれているという状況にあるわけであります。
 もっとも、一義的には、駐車場の設置というのは、例えば墨田区のスカイツリーであれば事業者が設置するものであったり、あるいは市区町村がバスの駐車場を設置するということが大前提ではあるわけなんですけれども、それをしっかり、やっぱり広域行政として後押ししていただくということが何よりも私は大切なのではないかというふうに要望させていただきたいと思います。
 地元の浅草でも、都営浅草線の浅草駅というのが、もうバリアフリー--ワンルートは確保しているんですけれども、階段階段で、大きいボストンバッグを持って上りおりしている方々を大勢見受けられるといったところもあるわけでございまして、そうした政策の総動員をしていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
 二〇一九年のラグビーワールドカップは、もう来年九月に迫っているわけであります。
 ラグビーといえば、ヨーロッパあるいはオセアニア地域が盛んで強豪国になっているわけなんですけれども、欧米豪は、訪日外国人は相対的に少ないんですけれども、今回のこのプランにおいては、今現在二百五十九万人、訪日外国人としていらっしゃるんですけれども、これを二〇二〇年までに五百万人に持っていこうということでありまして、千載一遇のチャンスであるわけであります。
 また、訪日外国人旅行者の一人当たりの消費額は十七万六千円でございます。ラグビー発祥の地、イギリス人は二十一万一千円、そして、ラグビーの盛んな地域、二十三万一千円でありまして、地元の浅草の人たちにも聞いているのですが、オーストラリアの人たちはよく物を買ってくれるというふうにも聞いているわけでございます。
 そこで、ある特定の国へのアプローチが課題とするならば、この地域のコンテンツは、どの国を、あるいはどの民族をターゲットとして、彼らが求める価値をどのように提供するかを明確にすることが重要だと思います。マーケティング戦略が重要だということなんですね。それこそ広域行政の役割とするところだと思います。
 そこで、来年のラグビーワールドカップや二〇二〇年の東京大会に向けて、着実に旅行者を東京に取り込んでいくためには、マーケティングが重要であると考えますが、どのように取り組まれているのか、所見を伺いたいと存じます。

○藤田産業労働局長 現在、都は、欧米豪等の十二都市に東京観光レップを設置いたしまして、東京の最新情報の提供やシティーセールス活動に加えまして、現地で有するネットワークを活用したさまざまな情報収集を行っているところでございます。
 また、こうした海外での取り組みに加えまして、東京を訪れました外国人旅行者を対象に、その訪問先や滞在中の行動、消費額などを国や地域ごとに把握する調査を行っているところでございます。
 これら収集した情報や調査の結果につきましては、海外での旅行博への出展や、旅行事業者向けセミナー等のプロモーションの実施に当たり、ターゲットとする顧客層や活用する媒体等を決定する際に活用しているところでございます。
 今後もきめ細かなマーケティングを行い、市場の特性に応じた効果的なプロモーションを展開してまいります。

○中山(ひ)委員 答弁は多としたいというふうに思っております。素人考えなんですけれども、マーケティングのこういう結果を事業者等--事業者や、あるいは市区町村というものにしっかり情報提供することによって有効活用できるんじゃないかなと、いつも常々思っているわけなんですけれども、ぜひこのマーケティングの情報提供ということも検討してみていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 次に、プランでも示されているように、将来を見据えた新たな観光開発も重要であります。
 これ、市区町村の熱意も大変重要なんですけれども、やっぱりもっと大事なのが、地域に住んでいる人たち、あるいはそこで仕事をやっている人たちが主体的に、しっかり組織をつくって、地域の歴史といいますか、これを勉強会などをやって積み上げていって、地域の資源を掘り出していくということが私は大切だというふうに常々思っております。
 都は、各地域の観光振興の力を伸ばすため、地域の観光の担い手である観光団体に対し、観光まちづくりの専門家などを派遣して、アドバイスなどの支援を行っております。手前みそなんですが、これ、台東区においては五つの観光連盟であったり、観光団体が存在をしていて、何十年もの間、観光の施策というかイベントを行ってきたわけなんですね。
 しかしながら、地域経済には寄与するんですけれども、文化イベントですから、なかなか収益性がない。そこが問題で、イベントを断念してしまうといったケースが実は出始めております。
 そこで、地域の観光振興を進めるためには、観光協会の活動を活性化する必要があります。観光協会、あるいは観光連盟への支援を強化すべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○藤田産業労働局長 都は、観光協会等がみずからの創意工夫を発揮して観光振興に取り組めるよう、地域の多様な魅力を生かしたイベントやツアー等のアイデアを民間のノウハウと結びつけて実現する取り組みを支援しております。
 また、テーマに応じた専門家を派遣し、その助言を受けて計画した外国人向けの観光PR冊子の作成等に対して助成を行っているところでございます。
 来年度からは、観光協会の運営面に加えまして、新たな観光資源の開発やPRの強化など、協会が抱えるさまざまな課題にきめ細かく対応できるよう、各分野の専門家をチームとして派遣をいたします。
 また、観光協会の発信力を強化するため、SNSや映像等の導入に係る経費の三分の二について、二百万円を上限に助成を行います。さらに、こうした支援を総合的にコーディネートする窓口を設置し、地域の観光振興の活性化を図ってまいります。

○中山(ひ)委員 答弁は多としたいと思いますが、これから観光を興していくような団体と、これまでずっとやってきた観光団体と、課題もいろいろと、これ違うと思います。そういう面では、そのことを念頭に置きまして施策展開を行っていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
 先ほど、文化観光イベントは、それ自体に収益を生まないので、なかなかこのイベントが続かないんだ、そういうお話をさせていただきました。
 商店街施策の中で、地域連携型施策があるんですけれども、私は同じようなイメージを持っているんですが、そういった地域連携型観光版みたいなものも、もうことしは間に合わないというふうには思いますけれども、今後、ぜひ検討していただいて、今、自民党さんの方からのお話もありましたけれども、ライブサイトの話もありましたけれども、オリンピック・パラリンピックの機運醸成、これは大変課題になっているんですけれども、そうしたイベントとあわせて行っていくということも、地域の参加者も、もう来年はラグビーワールドカップなんだ、あるいは再来年は二〇二〇年のオリンピックなんだということが認識されるというふうに思っております。
 我が台東区でも大きなイベントもやっておりますので、そういったところで機運醸成を図れるようバックアップしていただきたいと、ひとつ要望させていただきたいと思います。
 最後、MICE施策について伺いたいと思います。
 このMICE施策は、ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京大会を含めて、都の経済政策として大変重要な政策であると私は考えております。
 オリンピック・パラリンピックでよくレガシーという言葉を使いますが、過去の遺産ではなくて、将来につながるこのレガシーをどうやってつくっていくのかということなんですけれども、まさにこれ、MICEをどう生かしていくのかということが、私は本当にレガシーだというふうに思っております。
 都ではこの間、MICE施策は、国際会議などの参加者は一人当たりの消費額が大きいことや、さまざまなビジネスの機会の創出、都市のブランド力、競争力を向上させることから施策展開を行ってまいりました。二〇二四年には、三百三十件開催を目標にしております。
 よく経済界から、二〇二〇年後の東京というのは大丈夫なのかということが問われるわけなんですけれども、それを課題解決に導くとするならば、やっぱり私は、MICE施策、これがその一つであろうというふうに思っております。
 特に、二〇一九年、二〇二〇年と、大きなイベントでばんばんと弾みがついている中での誘致活動は大きな成果が上がるだろうと期待できるものであります。
 そこで、誘致活動の取り組みにさらに力を尽くすべきと考えますが、見解を伺いたいと存じます。

○藤田産業労働局長 都は、東京でのMICEの開催をふやすため、国際的な会議やイベント等を誘致するためのPR活動や会場の借り上げに必要となる経費に対する助成等を行っております。
 来年度は、誘致の有効な手段となりますユニークベニューにつきまして、民間の施設等を引き続き掘り起こしますとともに、その魅力を効果的に発信するための専用ウエブサイトを開設いたします。
 あわせて、MICE主催者等と施設側との調整などをワンストップで総合的に支援する窓口を設置いたします。加えて、MICE事業者が加盟いたします国際団体と連携をいたしまして、実践講座を開設し、誘致等に係る専門スキルを持つ人材を計画的に育成してまいります。
 これらにより、東京へのMICE誘致に向けた取り組みへの支援を強化してまいります。

○中山(ひ)委員 先日、三月五日から八日まで、世界食品安全会議が開催されておりましたけれども、これも都が支援したようであります。こうした施策展開に伴い、ことしの九月に開催されますIWA世界会議は、国内及び世界百カ国から総勢六千人を集めるともいわれております。
 都は、水に関する長年培ってきた技術やノウハウが豊富なため、東京が注目されるよい機会になると予測されます。MICE施策を展開する上で、IWA世界会議は、東京にとって千載一遇のチャンスと捉え、支援すべきと考えます。
 そこで、都はどのような支援施策を行うのか、お願いします。

○藤田産業労働局長 都はこれまで、IWA世界会議の誘致を目指す国内組織に対しまして、さまざまな支援を行ってまいりました。具体的には、立候補ファイル作成におけるアドバイスを行いますとともに、都市として歓迎の意を表する都知事の招請状を発行いたしました。
 また、IWAの役員が開催候補都市として視察に訪れた際には、東京の強みである交通の利便性や観光スポットの魅力など、東京の開催のメリットをアピールいたしました。
 今後は、本年九月の開催に向けて、ユニークベニューの利用に係る支援や会議開催時の経費助成を行いますとともに、開催期間中には、参加者に対し、都内観光ツアーや日本文化の体験プログラムを提供するなど、会議運営に向けたさまざまなサポートに取り組んでまいります。

○中山(ひ)委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○木村副委員長 中山ひろゆき委員の発言は終わりました。

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